グラブバケット
【課題】本発明は、グラブバケットに関し、従来のグラブバケットにおいて水平掘削が高コストになることが課題であって、それを本発明により解決することである。
【解決手段】支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置しているグラブバケット1とする。
【解決手段】支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置しているグラブバケット1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫用のグラブバケットに係り、更に詳しくは、湾岸,河川,湖沼の浚渫工事において、グラブバケットを平坦に閉じることにより浚渫掘削跡を平坦にすると共に余堀を少なくする浚渫用のグラブバケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浚渫用グラブバケットは、その構造は図10に示すように、浚渫船の起重機におけるワイヤドラムから繰り出される吊りワイヤー21の端部に吊持される上部支持部材22に、左右のアーム23,24が揺動自在にピン結合で上部支軸22a,22bに連結され、そのアーム23,24の下端部にピン結合のバケット支軸25がそれぞれ設けられ、該バケット支軸25にバケット26a,26bの後端部が連結されている。該バケット26a、26bの上部はそれぞれ連結軸27に連結されている。この連結軸27は、下部支持部材28の下端部に設けられており、当該下部支持部材28は、前記浚渫船の開閉用ワイヤー29によって吊持されている。
【0003】
このようなグラブバケット26を使用して、前記吊りワイヤー21で上部支持部材22を上下方向で位置固定して、開閉用ワイヤー29を巻き上げて下部支持部材28を上昇させて、それによりバケット26a,26bを連結軸27を中心にして回転させることで掘削する。すると、図10に示すバケットの開状態から図11に示すようにグラブバケット26が閉じた状態になるまで、バケットの刃先の軌跡は、図12に示すようになる。
【0004】
前記グラブバケット26は、図11のY軸を中心線として、開状態で水平方向(X軸)に4.5m(×2=9.0m)で、刃先の上下方向の軌跡の変化幅はX軸を基準として0.75m+0.2m=0.95mである。このように、刃先の軌跡が平坦でなく、掘削後に凹凸ができるとともに、掘削土量が多くなり、その凹凸を地ならししたり掘削土量を処分する土地を確保したりするにもコストが嵩むという問題がある。
【0005】
そこで、余分な掘削量を発生させないように、ウインチ制御により刃先の位置を水平に制御する方法として、バケット昇降位置検出器,支持ロープ繰り出し検出器,バケット刃先高さ移動量計算器,バケット開度検出器,減算器,目標値設定器,制御装置などにより、昇降装置の昇降動作を制御してグラブバケットの刃先をほぼ水平に移動させるようにする水平掘削制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−128465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記グラブバケットの水平掘削制御装置は、自動制御装置を構成するために装置の構成が複雑になり一部の浚渫船にしか適用できないものであり且つコストが飛躍的に嵩むという課題がある。本発明に係るグラブバケットは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るグラブバケットの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していることである。
【0009】
また、本発明に係るグラブバケットの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていることである。
【0010】
前記両アームの交差させている左右方向の位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していることを含むものである。
【0011】
また、前記左右一対の対向したバケットの刃先の上下方向位置は、該バケットの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置にあることを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグラブバケットによれば、上部支持部材におけるアームの一端部を連結する位置を、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にすることで、簡易な構成でバケットの刃先を略水平掘削させることが可能となる。掘削させるときは、支持用ワイヤーは昇降させず、開閉用ワイヤーのみ上昇させればよいので、操作が簡単で熟練を要さず、一般の浚渫船や起重機船,クレーン付き台船などに簡単に装備することができる。従来の水平掘削バケットのように精密測定装置や制御装置等を複雑に要する設備コストに比較して、本発明のグラブバケットで従来の水平掘削バケットと同等の性能を発揮しつつ、製作コストは大幅に削減されることになる。
【0013】
更に、掘削底面の凹凸の大きい従来の掘削バケットに比較して、本発明のグラブバケットにより略水平に掘削できるので、余堀量が少なくなって掘削作業が効率的になるとともに、処分地確保も容易になる等の種々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るグラブバケット1の正面図である。
【図2】同本発明のグラブバケット1の側面図である。
【図3】同グラブバケット1において、開状態と閉状態における刃先の上下方向の位置が変化しないことを示す説明図である。
【図4】同グラブバケット1の開と閉とへ移行する際の上下方向の位置変化を示す軌跡図である。
【図5】同グラブバケット1と従来のグラブバケット20との比較における、バケット容量の相違による刃先の変化を示す図(A)と、変化量の図(B)とである。
【図6】本発明の第2実施例に係るグラブバケット1aの正面図である。
【図7】同第2実施例に係るグラブバケット1aにおいて、開状態と閉状態における刃先の上下方向の位置が変化しないことを示す説明図である。
【図8】同グラブバケット1aの刃先5dの軌跡を示す図である。
【図9】同グラブバケット1aと、グラブバケット1および従来のグラブバケット20との比較における、バケット容量の相違による刃先の変化量を示す図である。
【図10】従来例に係るグラブバケット20の正面図である。
【図11】同グラブバケット20の閉状態の正面図である。
【図12】同グラブバケット20の刃先の軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るグラブバケット1は、図1乃至図3に示すように、アームと上部支持部材との連結位置を、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上に位置するように設定するものである。また、図6乃至図7に示すように、前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていることである。
【実施例1】
【0016】
本発明に係るグラブバケット1の構成は、図1乃至図3に示すように、支持用ワイヤー2で上部支持部材3と該上部支持部材3に揺動自在に一端部4aを連結され他端部4bをバケット5a,5bの下端部に揺動自在に連結された左右の両アーム4とを介してグラブバケット5を吊持し、開閉用ワイヤー6で前記グラブバケット5を構成する左右一対の対向したバケット5a,5bを開閉させるために当該一対のバケット5a,5bの上部5c同士を回転自在に連結する連結軸7aを上下方向に昇降させる。
【0017】
前記支持ワイヤー2は浚渫船の第1巻上げ機のドラムから繰り出されるもので、グラブバケット1全体を昇降させる。前記開閉用ワイヤー6は、その一端が上部支持部材3に繋着され、連結軸7aを支持する下部支持部材7のシーブと前記上部支持部材3のシーブとの間を何重か通り浚渫船の第2巻上げ機に他端部が巻き取られている。
【0018】
前記左右の両アーム4,4の一端部4aの左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケット5a,5bの連結軸7aと該バケットの閉状態の刃先5dを通る直線上に位置している。なお、図5(A)に示すように、前記アーム4の一端部4aの位置が、左右方向において中心にあり、これに対して、従来例のグラブバケット20におけるアーム23,24の一端部が連結される上部支軸22a,22bの位置が、鉛直な吊りワイヤー21を中心にして左右方向に離れた位置にあることで、その違いが判る。
【0019】
更に、前記左右一対の対向したバケット5a,5bの刃先5dの上下方向位置は、該バケット5a,5bの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置bにある。図3(A)に示すように、連結軸7aの上下方向の位置とアーム4の他端部4bの上下位置とが、バケット5a,5bの開状態において、これらを結ぶ線cがほぼ水平になる関係にある。
【0020】
このような構成のグラブバケット1は、前記支持ワイヤー2を巻下げずに上部支持部材3を上下方向でa位置に位置固定して、前記開閉様ワイヤー6を第2巻上げ機で巻き上げると、図3(A)から同図3(B)に示す状態になり、刃先5dの軌跡は、図4に示すようになる。この結果、上下方向の刃先の変化幅は約15cm程度である。このグラブバケット1の全開時の幅が9mなので、その全体の大きさに比較すると、刃先5dの上下方向の変動はほとんど無視し得ると言える。
【0021】
このように、グラブバケット1のバケットの刃先5dをほぼ水平に移動させて、汚泥層のみを効率的に掘削できるようになる。浚渫後の底面が凹凸の少ない掘削跡となる。
【実施例2】
【0022】
本発明の第2実施例に係るグラブバケット1aは、図6に示すように、両アーム8,9の上部支持部材3に揺動自在に連結する位置を、水平方向において変えたものである。即ち、図6に示すバケットの開状態における、連結軸7aと上部支持部材3におけるアーム一端部8a,9aの連結部との上下方向の位置の間において、正面視して当該両アームをX状に交差させている。尚、バケット5a,5bは、上記第1実施例と同じ条件である。
【0023】
図7に示すように、バケット5a,5bの下端部に連結されたアームの他端部8b,9bから上方に、連結軸7aと閉じた状態の刃先5dとを通る直線上を超えて、アームの一端部8a,9aが上部支持部材3に連結されている。また、両アーム8,9が交差する位置は、左右対称形なので、連結軸7aと閉じた状態の刃先5dとを通る直線上にある。
【0024】
なお、更に第3実施例として、前記アーム8,9は、通常、同じ長さとしているが、同じ長さでない場合で、かつ、アーム8,9の一端部8a,9aの水平位置および上下位置が異なっている場合も含むものである。
【0025】
この第2実施例によるグラブバケット1aの刃先5dの軌跡の変化幅は、図8乃至図9に示すように、バケットの開口幅aを最大の9.0mとした時でも、上下で約11cm程度に収まっている。揺動バーとしての両アーム8,9の長さが長くなり、上記第1実施例の場合よりも改良された変化幅の数値を示している。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るグラブバケットは、港湾等における浚渫工事のグラブバケットのほか、一般のグラブバケットとして粒状体や粉体等を掬い上げることにも適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 グラブバケット、 1a グラブバケット、
2 支持用ワイヤー、
3 上部支持部材、
4 アーム、 4a 一端部、
4b 他端部、
5 グラブバケット、 5a,5b バケット、
5c 上部、 5d 刃先、
6 開閉用ワイヤー、
7 下部支持部材、 7a 連結軸、
8 アーム、 8a 一端部、
8b 他端部、
9 アーム、 9a 一端部、
9b 他端部、
20 従来例に係るグラブバケット、
21 吊りワイヤー、
22 上部支持部材、
23、24 アーム、
25 バケット支軸、
26 グラブバケット、 26a,26b バケット、
27 連結軸、
28 下部支持部材、
29 開閉用ワイヤー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫用のグラブバケットに係り、更に詳しくは、湾岸,河川,湖沼の浚渫工事において、グラブバケットを平坦に閉じることにより浚渫掘削跡を平坦にすると共に余堀を少なくする浚渫用のグラブバケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浚渫用グラブバケットは、その構造は図10に示すように、浚渫船の起重機におけるワイヤドラムから繰り出される吊りワイヤー21の端部に吊持される上部支持部材22に、左右のアーム23,24が揺動自在にピン結合で上部支軸22a,22bに連結され、そのアーム23,24の下端部にピン結合のバケット支軸25がそれぞれ設けられ、該バケット支軸25にバケット26a,26bの後端部が連結されている。該バケット26a、26bの上部はそれぞれ連結軸27に連結されている。この連結軸27は、下部支持部材28の下端部に設けられており、当該下部支持部材28は、前記浚渫船の開閉用ワイヤー29によって吊持されている。
【0003】
このようなグラブバケット26を使用して、前記吊りワイヤー21で上部支持部材22を上下方向で位置固定して、開閉用ワイヤー29を巻き上げて下部支持部材28を上昇させて、それによりバケット26a,26bを連結軸27を中心にして回転させることで掘削する。すると、図10に示すバケットの開状態から図11に示すようにグラブバケット26が閉じた状態になるまで、バケットの刃先の軌跡は、図12に示すようになる。
【0004】
前記グラブバケット26は、図11のY軸を中心線として、開状態で水平方向(X軸)に4.5m(×2=9.0m)で、刃先の上下方向の軌跡の変化幅はX軸を基準として0.75m+0.2m=0.95mである。このように、刃先の軌跡が平坦でなく、掘削後に凹凸ができるとともに、掘削土量が多くなり、その凹凸を地ならししたり掘削土量を処分する土地を確保したりするにもコストが嵩むという問題がある。
【0005】
そこで、余分な掘削量を発生させないように、ウインチ制御により刃先の位置を水平に制御する方法として、バケット昇降位置検出器,支持ロープ繰り出し検出器,バケット刃先高さ移動量計算器,バケット開度検出器,減算器,目標値設定器,制御装置などにより、昇降装置の昇降動作を制御してグラブバケットの刃先をほぼ水平に移動させるようにする水平掘削制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−128465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記グラブバケットの水平掘削制御装置は、自動制御装置を構成するために装置の構成が複雑になり一部の浚渫船にしか適用できないものであり且つコストが飛躍的に嵩むという課題がある。本発明に係るグラブバケットは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るグラブバケットの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していることである。
【0009】
また、本発明に係るグラブバケットの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていることである。
【0010】
前記両アームの交差させている左右方向の位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していることを含むものである。
【0011】
また、前記左右一対の対向したバケットの刃先の上下方向位置は、該バケットの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置にあることを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグラブバケットによれば、上部支持部材におけるアームの一端部を連結する位置を、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にすることで、簡易な構成でバケットの刃先を略水平掘削させることが可能となる。掘削させるときは、支持用ワイヤーは昇降させず、開閉用ワイヤーのみ上昇させればよいので、操作が簡単で熟練を要さず、一般の浚渫船や起重機船,クレーン付き台船などに簡単に装備することができる。従来の水平掘削バケットのように精密測定装置や制御装置等を複雑に要する設備コストに比較して、本発明のグラブバケットで従来の水平掘削バケットと同等の性能を発揮しつつ、製作コストは大幅に削減されることになる。
【0013】
更に、掘削底面の凹凸の大きい従来の掘削バケットに比較して、本発明のグラブバケットにより略水平に掘削できるので、余堀量が少なくなって掘削作業が効率的になるとともに、処分地確保も容易になる等の種々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るグラブバケット1の正面図である。
【図2】同本発明のグラブバケット1の側面図である。
【図3】同グラブバケット1において、開状態と閉状態における刃先の上下方向の位置が変化しないことを示す説明図である。
【図4】同グラブバケット1の開と閉とへ移行する際の上下方向の位置変化を示す軌跡図である。
【図5】同グラブバケット1と従来のグラブバケット20との比較における、バケット容量の相違による刃先の変化を示す図(A)と、変化量の図(B)とである。
【図6】本発明の第2実施例に係るグラブバケット1aの正面図である。
【図7】同第2実施例に係るグラブバケット1aにおいて、開状態と閉状態における刃先の上下方向の位置が変化しないことを示す説明図である。
【図8】同グラブバケット1aの刃先5dの軌跡を示す図である。
【図9】同グラブバケット1aと、グラブバケット1および従来のグラブバケット20との比較における、バケット容量の相違による刃先の変化量を示す図である。
【図10】従来例に係るグラブバケット20の正面図である。
【図11】同グラブバケット20の閉状態の正面図である。
【図12】同グラブバケット20の刃先の軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るグラブバケット1は、図1乃至図3に示すように、アームと上部支持部材との連結位置を、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上に位置するように設定するものである。また、図6乃至図7に示すように、前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていることである。
【実施例1】
【0016】
本発明に係るグラブバケット1の構成は、図1乃至図3に示すように、支持用ワイヤー2で上部支持部材3と該上部支持部材3に揺動自在に一端部4aを連結され他端部4bをバケット5a,5bの下端部に揺動自在に連結された左右の両アーム4とを介してグラブバケット5を吊持し、開閉用ワイヤー6で前記グラブバケット5を構成する左右一対の対向したバケット5a,5bを開閉させるために当該一対のバケット5a,5bの上部5c同士を回転自在に連結する連結軸7aを上下方向に昇降させる。
【0017】
前記支持ワイヤー2は浚渫船の第1巻上げ機のドラムから繰り出されるもので、グラブバケット1全体を昇降させる。前記開閉用ワイヤー6は、その一端が上部支持部材3に繋着され、連結軸7aを支持する下部支持部材7のシーブと前記上部支持部材3のシーブとの間を何重か通り浚渫船の第2巻上げ機に他端部が巻き取られている。
【0018】
前記左右の両アーム4,4の一端部4aの左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケット5a,5bの連結軸7aと該バケットの閉状態の刃先5dを通る直線上に位置している。なお、図5(A)に示すように、前記アーム4の一端部4aの位置が、左右方向において中心にあり、これに対して、従来例のグラブバケット20におけるアーム23,24の一端部が連結される上部支軸22a,22bの位置が、鉛直な吊りワイヤー21を中心にして左右方向に離れた位置にあることで、その違いが判る。
【0019】
更に、前記左右一対の対向したバケット5a,5bの刃先5dの上下方向位置は、該バケット5a,5bの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置bにある。図3(A)に示すように、連結軸7aの上下方向の位置とアーム4の他端部4bの上下位置とが、バケット5a,5bの開状態において、これらを結ぶ線cがほぼ水平になる関係にある。
【0020】
このような構成のグラブバケット1は、前記支持ワイヤー2を巻下げずに上部支持部材3を上下方向でa位置に位置固定して、前記開閉様ワイヤー6を第2巻上げ機で巻き上げると、図3(A)から同図3(B)に示す状態になり、刃先5dの軌跡は、図4に示すようになる。この結果、上下方向の刃先の変化幅は約15cm程度である。このグラブバケット1の全開時の幅が9mなので、その全体の大きさに比較すると、刃先5dの上下方向の変動はほとんど無視し得ると言える。
【0021】
このように、グラブバケット1のバケットの刃先5dをほぼ水平に移動させて、汚泥層のみを効率的に掘削できるようになる。浚渫後の底面が凹凸の少ない掘削跡となる。
【実施例2】
【0022】
本発明の第2実施例に係るグラブバケット1aは、図6に示すように、両アーム8,9の上部支持部材3に揺動自在に連結する位置を、水平方向において変えたものである。即ち、図6に示すバケットの開状態における、連結軸7aと上部支持部材3におけるアーム一端部8a,9aの連結部との上下方向の位置の間において、正面視して当該両アームをX状に交差させている。尚、バケット5a,5bは、上記第1実施例と同じ条件である。
【0023】
図7に示すように、バケット5a,5bの下端部に連結されたアームの他端部8b,9bから上方に、連結軸7aと閉じた状態の刃先5dとを通る直線上を超えて、アームの一端部8a,9aが上部支持部材3に連結されている。また、両アーム8,9が交差する位置は、左右対称形なので、連結軸7aと閉じた状態の刃先5dとを通る直線上にある。
【0024】
なお、更に第3実施例として、前記アーム8,9は、通常、同じ長さとしているが、同じ長さでない場合で、かつ、アーム8,9の一端部8a,9aの水平位置および上下位置が異なっている場合も含むものである。
【0025】
この第2実施例によるグラブバケット1aの刃先5dの軌跡の変化幅は、図8乃至図9に示すように、バケットの開口幅aを最大の9.0mとした時でも、上下で約11cm程度に収まっている。揺動バーとしての両アーム8,9の長さが長くなり、上記第1実施例の場合よりも改良された変化幅の数値を示している。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るグラブバケットは、港湾等における浚渫工事のグラブバケットのほか、一般のグラブバケットとして粒状体や粉体等を掬い上げることにも適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 グラブバケット、 1a グラブバケット、
2 支持用ワイヤー、
3 上部支持部材、
4 アーム、 4a 一端部、
4b 他端部、
5 グラブバケット、 5a,5b バケット、
5c 上部、 5d 刃先、
6 開閉用ワイヤー、
7 下部支持部材、 7a 連結軸、
8 アーム、 8a 一端部、
8b 他端部、
9 アーム、 9a 一端部、
9b 他端部、
20 従来例に係るグラブバケット、
21 吊りワイヤー、
22 上部支持部材、
23、24 アーム、
25 バケット支軸、
26 グラブバケット、 26a,26b バケット、
27 連結軸、
28 下部支持部材、
29 開閉用ワイヤー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していること、
を特徴とするグラブバケット。
【請求項2】
支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていること、
を特徴とするグラブバケット。
【請求項3】
両アームの交差させている左右方向の位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していること、
を特徴とする請求項2に記載のグラブバケット。
【請求項4】
左右一対の対向したバケットの刃先の上下方向位置は、該バケットの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置にあること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグラブバケット。
【請求項1】
支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームの一端部の左右方向における連結位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していること、
を特徴とするグラブバケット。
【請求項2】
支持用ワイヤーで上部支持部材と該上部支持部材に揺動自在に一端部を連結され他端部をバケットの下端部に揺動自在に連結された左右の両アームとを介してグラブバケットを吊持し、開閉用ワイヤーで前記グラブバケットを構成する左右一対の対向したバケットを開閉させるために当該一対のバケットの上部同士を回転自在に連結する連結軸を上下方向に昇降させる浚渫用グラブバケットにおいて、
前記左右の両アームは、バケットの開状態における連結軸と上部支持部材におけるアーム一端部の連結部との上下方向の位置の間において、当該両アームをX状に交差させていること、
を特徴とするグラブバケット。
【請求項3】
両アームの交差させている左右方向の位置は、左右一対の対向したバケットの連結軸と該バケットの閉状態の刃先を通る直線上にそれぞれ位置していること、
を特徴とする請求項2に記載のグラブバケット。
【請求項4】
左右一対の対向したバケットの刃先の上下方向位置は、該バケットの開状態と閉状態との位置が同じ水平位置にあること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のグラブバケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−32096(P2011−32096A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−130878(P2010−130878)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130878(P2010−130878)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]