説明

グルコースの吸収および排泄の指標としてのα−メチルグルコシド(AMG)の使用

α−メチルグルコシド(AMG)の経口投与後の胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは尿中のグルコース排泄の指標としてのAMGのin vivoでの使用法をここに提示する。該方法は、例えば、限定されるものでないが動物におけるナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)阻害剤の効果の確定、動物における第一および第二のSGLT阻害剤の効果の差異の比較、ならびに動物の胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄に関連する疾患の診断において使用を見出す。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の交差引用】
【0001】
本出願は、2009年9月15日に出願された米国仮出願第61/242,570号(その内容はそっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に対する利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
I.技術分野
本発明は、α−メチルグルコシド(AMG)の経口投与後の胃腸(GI)系からのグルコース吸収、腎尿細管からのグルコース再吸収、および/若しくは尿中のグルコース排泄の指標としてのAMGのin vivoでの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
II.関連技術の説明
高血糖すなわち上昇された血糖値は糖尿病の特質である。糖尿病症例のおよそ10%を含んでなるI型糖尿病は、以前はインスリン依存型糖尿病(「IDDM」)若しくは若年発症糖尿病と称された。本疾患は膵のβ細胞によるインスリン分泌機能の進行性低下を特徴とする。本特徴はその起源を膵疾患に有する非特発性すなわち「二次性」糖尿病によってもまた共有される。I型糖尿病は以下の臨床徴候若しくは症状、すなわち、持続的に上昇された血漿グルコース濃度すなわち高血糖;多尿;多飲および/若しくは過食;網膜症、腎症およびニューロパシーのような慢性微小血管合併症;ならびに、失明、末期腎疾患、四肢切断および心筋梗塞につながり得る高脂血症および高血圧のような大血管性合併症を伴う。
【0004】
II型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病若しくはNIDDM)は、グルコース代謝の調節不全およびインスリン感受性低下を伴う代謝障害である。II型糖尿病は通常成人期に発症し、そして十分なインスリンを利用若しくは作成することの身体の不能を伴う。標的組織で観察されるインスリン抵抗性に加え、II型糖尿病に苦しめられる患者は、所定の血漿グルコース濃度について予測されるインスリンレベルより低い相対的インスリン欠乏を有する。II型糖尿病は以下の臨床徴候若しくは症状、すなわち、持続的に上昇された血漿グルコース濃度すなわち高血糖;多尿;多飲および/若しくは過食;網膜症、腎症およびニューロパシーのような慢性微小血管合併症;ならびに失明、末期腎疾患、四肢切断および心筋梗塞につながり得る高脂血症および高血圧のような大血管性合併症を特徴とする。
【0005】
インスリン抵抗性症候群(IRS)、メタボリックシンドローム若しくはメタボリックシンドロームXともまた命名されるシンドロームXは、診断的冠動脈特徴付けの2%程度で認識される。しばしば障害性のそれは、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性、脂質異常症(例えば高トリグリセリド、低HDL)、高血圧および肥満を包含するII型糖尿病および心血管系疾患の症状若しくはそれらの発症の危険因子を提示する。
【0006】
IDDM患者のための治療は、多様な供給源(例えばヒト、ウシ、ブタインスリン)に由来しうる外因性インスリンの投与に一貫して集中してきた。異種の種の物質の使用は、活性を制限する影響を有しかつ所望の血糖降下効果を達成するためにより大用量の進行性の要求をもたらす、抗インスリン抗体の形成を生じさせる。
【0007】
II型糖尿病の典型的処置は、食事および運動に関する生活習慣改変、ならびに必要な場合は抗糖尿病薬若しくはインスリンまたはそれらの組合せでの処置を用いて血糖値を可能な限り正常近くに維持することに焦点を当てている。食事管理により制御され得ないNIDDMの一次治療は経口抗糖尿病薬での処置である。
【0008】
NIDDMの一次治療薬は、典型的にメトホルミンおよびスルホニル尿素ならびにチアゾリジンジオンを包含する。メトホルミン単剤療法は、とりわけ、肥満かつ/若しくは脂質異常症でもまたあるII型糖尿病患者を処置するための一次選択である。メトホルミンに対する適切な応答の欠如の後に、しばしば、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン若しくはインスリンと組合せのメトホルミンでの処置が続く。スルホニル尿素単剤療法(全世代の薬物を包含する)もまた普遍的な一次処置の選択肢である。別の一次治療の選択はチアゾリジンジオンでありうる。αグルコシダーゼ阻害薬もまた一次および二次治療として使用される。経口抗糖尿病薬単剤療法に適切に応答しない患者は上で挙げられた剤の組合せを与えられる。経口抗糖尿病薬のみで血糖コントロールを維持し得ない場合、インスリン療法を単剤療法として若しくは経口抗糖尿病薬と組合せでのいずれかで使用する。
【0009】
インスリン抵抗性は全部のシンドロームX患者で常に処置されるわけではないとは言え、空腹時血糖値が正常より高いことがあるがしかし糖尿病診断基準でそうでないことがある糖尿病前症(例えばIGT、IFG)を表す者は、いくつかの国(例えば独国)で糖尿病を予防するためにメトホルミンで処置する。抗糖尿病薬は付随する共存症の処置のための他の薬理学的剤(例えば高血圧のための降圧薬、脂質血症(lipidemia)のための脂質低下薬)ともまた組合せてよい。
【0010】
高血糖の処置における最近の発展は、過剰のグルコースの直接尿中への排泄に集中している。血漿グルコースは通常腎で糸球体中で濾過され、そして近位尿細管中で活発に再吸収される。とりわけ、腎でのグルコース再取り込みの90パーセントは腎皮質近位尿細管の初期S1分節(early S1 segment)の上皮細胞で起こる。ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT2)がこの部位でのグルコースの再取り込みを司る主要輸送体であるようである(非特許文献1)。
【0011】
SGLT2は、腎近位尿細管の初期S1分節で主に発現される14個の膜貫通セグメントを含有する672アミノ酸のタンパク質である。SGLT2の基質特異性、ナトリウム依存性および局在化は、ヒト腎皮質近位尿細管で以前に特徴付けられた高容量低親和性のナトリウム依存性グルコース輸送体の特性と矛盾しない。加えて、ラットでのハイブリッド枯渇(hybrid depletion)研究は、SGLT2を近位尿細管のS1分節の優勢なNa/グルコース共輸送体としてかかわらせた。事実上全部のナトリウム依存性グルコース輸送体活性が、ラットSGLT2に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドにより阻害されたためである(非特許文献2)。
【0012】
SGLT2はまた、いくつかの形態の家族性糖尿すなわち腎グルコース再吸収が変動する程度まで損なわれている遺伝子異常の候補遺伝子でもある(非特許文献3;および非特許文献4)。家族性糖尿症候群は、腸のグルコース輸送が正常でありかつ他のイオンおよびアミノ酸の腎輸送もまた正常である状態である。家族性糖尿患者は正常に発達し、正常な血糖値レベルを有するようであり、かつ、排泄されるグルコースのときに極めて高い(110〜114g/1日)レベルにもかかわらず、彼らの障害の結果としての大きな健康上の欠陥を経験しないようである。これらの患者で明白な主症状は過食、多尿および多飲を包含する。腎は構造および機能が正常であるようである。従って、これまで入手可能なエビデンスから、グルコースの腎再取り込みの欠陥は、それ以外は正常の個体において最小限度の長期の負の結果を有するようである。高度に相同なげっ歯類SGLTの研究もまた、SGLT2をグルコースの主要な腎のナトリウム依存性輸送体として強くかかわらせ
ており、そしてSGLT2活性が糖尿で何らかの役割を演じていることを示唆している。
【0013】
アミノ酸レベルでSGLT2に60%同一である別のナトリウム依存性グルコース輸送体SGLT1は、小腸、および腎近位尿細管のより遠位のS3分節で発現される(非特許文献5;および非特許文献6)。それらの配列類似性にもかかわらず、ヒトSGLT1およびSGLT2は生化学的に識別可能である。SGLT1について、輸送されるグルコースに対するNaのモル比は2:1である。SGLT2について、該比は1:1である。NaのKはSGLT1について32mMおよびSGLT2について250〜300mMである。SGLT1およびSGLT2は数種の糖に対するそれらの基質特異性もまた異なるが、しかしグルコースおよび代謝不可能なグルコースアナログα−メチルグルコシド(AMG)の取り込みのK値は同様である。グルコースについて、K値はSGLT1およびSGLT2についてそれぞれ0.8mMおよび1.6mMである。AMGについて、K値はSGLT1およびSGLT2についてそれぞれ0.4mMおよび1.6mMである(非特許文献1;および特許文献1)。
【0014】
非特異的SGLT1/SGLT2阻害薬フロリジンの投与は、高血糖を伴う障害(例えばNIDDMおよびシンドロームX)を処置するためのSGLT阻害薬の使用のための概念データのin vivoの証明を提供した。フロリジンの投与は、糖尿病のげっ歯類モデルおよび1種のイヌ糖尿病モデルにおいて、低血糖の副作用を伴わずに、グルコース排泄を促進し、空腹時および食後血糖値レベルを低下させ、そしてグルコース利用を促進した(非特許文献7)。血漿イオンバランス、腎機能若しくは腎形態に対する副作用は、約2週間のフロリジン処置の結果として観察されなかった。加えて、フロリジンを正常動物に投与した場合、糖尿の存在にもかかわらず高血糖若しくは他の副作用は観察されなかった。さらに、フロリジン由来の合成剤での長期処置が、肥満のII型糖尿病(NIDDM)ラットモデルにおいて空腹時および食後血糖値を改善し、インスリンの分泌および利用を改善し、ならびに低血糖若しくは腎の副作用の非存在下で腎症の発症を相殺することが報告された(非特許文献8)。
【0015】
フロリジンそれ自身は、しかしながら、それが非特異的SGLT1/SGLT2阻害薬であるため、およびそれが腸でアグリコン、フロレチンに加水分解されるため、経口薬物として魅力がない。該加水分解された生成物は促進グルコース輸送体(GLUT)の強力な阻害剤であり、そしてGLUTの同時阻害は望ましくない(非特許文献9)。こうした阻害剤は、末梢インスリン抵抗性を悪化させならびにCNSでの低血糖を促進することが予測されるであろう。SGLT1の阻害は、SGLT1共輸送体中の突然変異が腸での損なわれたグルコース取り込みならびに生命を脅かす下痢および脱水をもたらす遺伝性症候群グルコース/ガラクトース吸収不良(GGM)により具体的に説明されるとおり、重大な有害な結果もまた有し得る(非特許文献10;および非特許文献11)。
【0016】
全体として考えれば、これらのデータは、糖尿病患者におけるSGLT2の特異的阻害が、尿中のグルコースの排泄を高めてそれによりインスリン感受性を改善しかつ糖尿病性合併症の発症を遅らせることにより血糖値を安全に正常化しうることを示唆している。幸運なことに、SGLT1とSGLT2の間の生化学的差異ならびにそれらの間の配列の相違の程度は選択的SGLT2阻害剤の同定を見込む。しかしながら、こうした阻害剤の発見および最適化をさらに可能にするためになお必要とされるものは、阻害剤をin vivoで試験しかつSGLT2およびSGLT1に対する変動する効力および選択性をもつ阻害剤の効果を評価するためのアッセイである。
【0017】
グルコースアナログはグルコース輸送の研究およびグルコース輸送体の特徴付けに長く使用されている(総説については非特許文献12を参照されたい)。α−メチルグルコシド(AMG)は、しばしば、SGLT1および/若しくはSGLT2の活性を研究するた
めに設計された細胞に基づくアッセイのための選択すべきアナログである。
【0018】
【化1】

【0019】
α−メチルグルコシド(AMG)のいくつかの同義語
α−D−メチルグルコシド
α−メチル−D−グルコシド
メチル−α−D−グルコシド
メチルα−D−グルコシド
1−O−メチル−グルコシド
α−メチルグルコピラノシド
α−D−メチルグルコピラノシド
α−メチル−D−グルコピラノシド
メチル−アルファ−D−グルコピラノシド
メチル−α−D−グルコピラノシド
1−O−メチル−α−D−グルコピラノシド
1−メチル−α−D−グルコピラノシド
α−メチルD−グルコースエーテル
【0020】
AMGは代謝不可能なグルコースアナログである。それは双方の輸送体についてグルコースに類似のK値をもつSGLT1およびSGLT2双方の基質であり、このことはそれをSGLT1およびSGLT2によるグルコースの輸送を研究するための理想的な指標にする。グルコースのK値はSGLT1およびSGLT2についてそれぞれ0.8mMおよび1.6mMである。AMGのK値はSGLT1およびSGLT2についてそれぞれ0.4mMおよび1.6mMである(非特許文献1;および特許文献1)。さらに、尾静脈を介する注入により投与される11C標識AMGをグルコース輸送の選択的トレーサーとして使用し得、かつ、in vivoで行われるPET画像化を用いて多様な輸送体の機能を可視化するのに使用し得ることが示されている(非特許文献13)。
【0021】
グルコース輸送のin vivo研究にAMGを使用する潜在的な一問題は、AMGが腸漿膜輸送系の基質でないことが示されていることである。例えば、AMGが単離されたニワトリ腸上皮細胞に蓄積することが示されている。上皮細胞への一方向の流れの結果として、AMGの定常状態の勾配が、拡散流出過程によってのみ妨害される集中的過程により正確に表されることが確定された。(非特許文献14)。加えて、カエル、ワライガエル(R.ridibunda)の小腸の血管灌流標本を使用する研究は、管腔から上皮に負荷されるAMGが細胞から血管床にゆっくりとのみ洗い去り、その結果高速の血管灌流ででさえAMGが組織内に蓄積したことを示した(非特許文献15)。AMGの吸収は、雄性Wistarラットからの小腸および結腸組織スリーブ標本(非特許文献16)ならびに雄性Dunkin Hartleyモルモット(Cavia porcellus)からの十二指腸、空腸および回腸の裏返しスリーブ(非特許文献17)で、ex vivoでもまた示されている。該ex vivo実験の性質は、しかしながら、血液、尿若し
くは他組織中のAMGのその後の測定を不可能にした。さらに、AMGが細胞および組織中に蓄積することを示す実験は、AMGは腸漿膜輸送系の基質でないため、AMGが認識できる量で血液若しくは尿に通過しないであろうことを示唆した。
【0022】
中空腸の一区分にカニューレ挿入された雄性ラットを使用して、14C−AMGの吸収を「管腔損失」として、すなわち空腸の一区域で当初循環された量−溶液を15分間循環した後に回収されたものを計算した。これらの実験について、14C−AMGはその後血漿、尿若しくはいかなる組織中でも測定されなかった(非特許文献18)。同様に、14C−AMGの取り込みを、雌性Wistarラットからの空腸のカニューレ挿入された区域の単回通過灌流で測定した。再度、血液若しくは尿中のAMGの後の測定は報告されなかった(非特許文献19)。雄性Wistarラットからの閉鎖された空腸区域を使用してin sisuで行われた実験で、14C−AMGの吸収を、閉鎖された空腸区域への注入後の腸静脈血中の出現速度により決定した(非特許文献20)。別の研究において、吸収に対する食物繊維、管腔内圧および膨満の影響を同一の方法を用いて検討した(非特許文献21;および非特許文献22)。閉鎖された空腸区域に注入される14C−AMGを使用するin situで行われた実験は、AMGがAMGの経口投与後に胃腸(GI)系からのグルコース吸収、腎尿細管からのグルコース再吸収、および/若しくは尿中のグルコース排泄の指標としてin vivoで使用し得たことを示さなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許出願第2008/0234367号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Kanaiら、(1994)J Clin Investig 93:397−404
【非特許文献2】Youら、(1995)J Biol Chem.270(49):29365−71
【非特許文献3】van den Heuvelら、(2002)Hum Genet 111:544−547
【非特許文献4】Caladoら、(2004)Hum Genet 114:314−316
【非特許文献5】PajorとWright(1992)J Biol Chem 267:3557−3560
【非特許文献6】Wright(2001)Am J Physiol 280:F10−F18
【非特許文献7】Ehrenkranzら、(2005)Diabetes Metab Res Rev 21:31−38
【非特許文献8】Uetaら、(2005)Life Sci.76(23):2655−68
【非特許文献9】Katsunoら、(2007)J Pharmacol Exp Ther.320(1):323−30
【非特許文献10】Turkら、(1991)Nature 350:354−356
【非特許文献11】Martinら、(1996)Nat Genet 12:216−220
【非特許文献12】Gatley(2003)J Nucl Med.44(7):1082−6
【非特許文献13】Bormansら、(2003)Journal of Nuclear Medicine、44(7):1075−1081
【非特許文献14】KimmichとRandles(1981)Am J Physiol.241(5):C227−32
【非特許文献15】BoydとParsons(1979)J Physiol.287:371−91
【非特許文献16】Gonzalez Boscら、(1998)Peptides.19(7):1249−53
【非特許文献17】Juanら、(1998)Am J Physiol.275(3 Pt 2):R897−904
【非特許文献18】Debnam Levin(1975)J Physiol.246(1):181−96
【非特許文献19】ElsenhansとSchumann(1989)Biochem Pharmacol.38(20):3423−9
【非特許文献20】Winneら、(1987)Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.335(2):204−15
【非特許文献21】HolzheimerとWinne(1986)Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.334:514−524
【非特許文献22】HolzheimerとWinne(1989)Am J Physiol.256(1 Pt 1):G188−97
【発明の概要】
【0025】
[発明の要約]
本発明を特徴付ける新規性の多様な特徴は、本開示に付されかつその一部を形成する請求の範囲でとりわけ指摘される。本発明、その運用上の利点、およびその使用により達成される特定の目的のより良好な理解のため、本発明の態様が具体的に説明かつ記述されている図面および保護対象(descriptive matter)への言及が有されるはずである。
【0026】
一態様において、本発明は、(a.)予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を動物に投与する段階;(b.)AMG投与後に前記動物からサンプルを得る段階;(c.)前記サンプル中の前記AMGの量を測定する段階を含んでなる、前記動物の胃腸系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄の指標としてのAMGの使用方法を含んでなり;前記サンプル中のAMGの量が前記動物の胃腸系からのグルコース吸収の量若しくは該動物の腎からのグルコース排泄の量と相関する。
【0027】
第二の態様において、本発明は、動物がマウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0028】
第三の態様において、本発明は、サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0029】
第四の態様において、本発明は、(a.)予め決められた量のSGLT阻害剤を第一の動物に投与する段階;(b.)予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を前記第一の動物および第二の動物に投与する段階であって、前記第二の動物は前記SGLT阻害剤を投与されず;(c.)前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;(d.)前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;(e.)前記第一の動物からのサンプル中のAMGの量を前記第二の動物からのサンプル中のAMGの量と比較する段階を含んでなる、動物におけるSGLT阻害剤の効果の確定方法を含んでなり;前記サンプル中の前記AMGの量の差異が前記第一の動物における前記SGLT阻害剤の効果を
示す。
【0030】
第五の態様において、本発明は、SGLT阻害剤がSGLT2阻害剤およびSGLT1阻害剤よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0031】
第六の態様において、本発明は、動物がマウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0032】
第七の態様において、本発明は、サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0033】
第八の態様において、本発明は第一および第二のSGLT阻害剤の効果の差異の比較方法を含んでなり、該方法は、(a.)予め決められた量の前記第一のSGLT阻害剤を第一の動物に投与する段階;(b.)予め決められた量の前記第二のSGLT阻害剤を第二の動物に投与する段階;(c.)予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を前記第一および第二の動物に投与する段階;(d.)前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;(e.)前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;(f.)前記第一の動物からのサンプル中のAMGの量を前記第二の動物からのサンプル中のAMGの量と比較する段階を含んでなり;前記サンプル中のAMGの量の差異が前記第一および第二のSGLT阻害剤の効果の差異を比較するための基礎を提供する。
【0034】
第九の態様において、本発明は、第一および第二のSGLT阻害剤がSGLT2阻害剤およびSGLT1阻害剤よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0035】
第十の態様において、本発明は、動物がマウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0036】
第十一の態様において、本発明は、サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【0037】
第十二の態様において、本発明は、(a.)予め決められた量のAMGの経口用量を、第一の動物、および胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄に関連する疾患のない第二の動物にそれぞれ投与する段階;(b.)前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;(c.)前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;(d.)前記第一の動物からのサンプル中の前記AMGの量を前記第二の動物から得られたサンプル中のAMGの量と比較する段階を含んでなる、動物における前記疾患の診断方法を含んでなり;前記サンプル中のAMGの量の差異が、前記第一の動物が胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄に関連する疾患を有するかどうかを決定するための基礎を提供する。
【0038】
第十三の態様において、本発明は動物がヒトである上述された方法を含んでなる。
【0039】
第十四の態様において、本発明は、サンプルが血漿若しくは尿よりなる群から選択される、上述された方法を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[発明の詳細な記述]
本発明を具体的に説明するために多様な例示的態様を下述する。本明細書に提供される
図および実施例は例示するためであり、そして本発明およびその多様な態様を制限するためでないことが最初に理解されるべきである。簡潔さのため、本節に引用される全部の特許および他の刊行物の開示は引用することによりそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0041】
特定の一態様において、本発明は、α−メチルグルコシド(AMG)の経口投与後の動物の胃腸(GI)系からのグルコース吸収、動物の腎尿細管からのグルコース再吸収および動物の尿中のグルコース排泄の指標としてのAMGの使用方法を含んでなる。指標としてのAMGは、本発明に記述されるところの意図している目的に依存して多数の方法で使用しうる。例えば、AMGはグルコースの吸収、代謝若しくは排泄の欠陥を伴う疾患を診断するのに使用しうる。AMGは、II型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病若しくはNIDDM)、およびインスリン抵抗性症候群(IRS)、メタボリックシンドローム若しくはメタボリックシンドロームXともまた命名されるシンドロームXの処置のための薬物候補をスクリーニングするのにもまた使用しうる。薬物候補の制限しない例は、SGLT2およびSGLT1に対する変動する選択性をもつSGLT阻害剤のような薬理学的剤を包含する。剤の混合物もまた使用しうる。
【0042】
本発明での使用に企図している動物の制限しない例は、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類、ヒト、ならびにラット、マウス、ハムスターおよびモルモットのようなげっ歯類のような哺乳動物を包含する。
【0043】
本発明のAMGは、商業的供給源から得ることができるか、若しくは当業者に公知の合成方法により製造しうる。当業者は、本発明の方法での使用のためのAMGが検出および定量で補助するためにいずれかの適する剤で標識若しくは修飾されうることもまた認識するであろう。例えば、AMGは発色性、蛍光発生性若しくは放射活性の剤で標識しうる。本発明の制限しない一例において、使用されたNMR検出方法のため、AMGはサンプル中のAMGの検出および定量で補助するためのいかなる標識も必要としなかった。
【0044】
多くの異なる技術を使用して本発明のサンプル中の経口投与されたAMGを検出および定量し得る。該技術は、限定されるものでないが、単独若しくは組合せの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)のようなサンプル中の他成分からAMGを分離するいずれかのクロマトグラフィー手段;いずれかの発色性検出手段;いずれかの蛍光発生性検出手段;いずれかの放射活性検出手段;ならびにいずれかの核磁気共鳴(NMR)手段を挙げることができる。本発明の制限しない一例において、経口投与されたAMGをNMR分光計を使用してサンプル中で検出して、NMRスペクトル中で4.80ppmの二重項である未標識若しくは修飾AMGのアノマープロトンを検出する。サンプル中に存在するAMGの量は、0.00ppmの内部参照DSS(2,2−ジメチル−2−シラペンタン−d−スルホン酸ナトリウム塩)との比較により定量する。現在入手可能なNMR装置はおよそ0.2mg/dlのAMG(およそ10μMのAMGである)の検出限界を見込むことができる。MS分析は、しかしながらAMGが十分にイオン化しない場合であってもより高感度である。MSを使用することはμM以下の量のAMGを検出することを可能にするとみられる。当業者は、検出限界のさらなる改良が標識AMGを使用することによってもまたなされ得ることを認識するであろうが、とは言えこうした場合は未標識の指標を使用するという利点が損なわれるであろう。NMRサンプルサイズは使用される装置の型に依存するが、しかし、制限しない一例においてサンプルサイズはおよそ5から500μlまでの範囲にわたることができる。
【0045】
本発明のAMGは好ましくは経口投与する。経口投与の制限しない例は、経口胃管栄養法、固形経口用量を包含するか、若しくは食事の一部としての食物を伴うAMGを包含する。AMGの経口投与法は、担体またはAMGの溶解性若しくは利用性を改良する他の剤
もまた包含しうる。本発明の制限しない一例において、AMGを滅菌水に溶解し、そして約2g/kg(AMG/体重)の用量で胃管栄養法を介して経口投与した。当業者は、用量を検出方法または標識若しくは未標識AMGを使用するかどうかに依存して増大若しくは減少させてよいことを認識するであろう。
【0046】
本明細書で使用されるところの「サンプル(1若しくは複数)」という用語は、最小限度に侵襲的若しくは被侵襲的方法(例えば尿収集、採決、針吸引および最小限度の危険性、不快感若しくは努力を必要とする他の処置)を用いて動物から直接採取し得る血液および他の体液を包含する。サンプルは、血清、血漿、他の体液、若しくは組織ライセート、細胞上清、細胞ライセートなどのような組織もまた包含しうる。本発明で企図しているサンプルの特定の型の制限しない例は、尿、血漿、胃の液体内容物、または胃腸系、腎若しくは尿路の外科的に取り出された部分から調製されたライセートを包含する。好ましい一態様において、尿、血漿、および胃腸系から採取されたサンプルから調製されたライセートを、本発明で記述される用途のため調製する。
【0047】
サンプルは、それらの調達後に、最適な試験結果を得る目的上、タンパク質若しくはポリヌクレオチドのようなある種の成分を可溶化、濃縮若しくは枯渇するための試薬での処理によるようないずれかの方法で操作しうる。
【0048】
本発明によれば、サンプルは1回若しくはAMGの経口投与後一定の間隔で複数回採取しうる。制限しない一例において、サンプルを動物へのAMGの経口投与120若しくは240分後に採取した。動物を殺し、尿および血漿サンプルを収集し、そして胃腸(GI)管全体を取り出しかつ生理的食塩水中に入れた。その後、ライセートをGI管から作成した。アリコートを血漿、尿およびGI管ライセートから採取し、そして全サンプルをアセトニトリルで抽出してタンパク質を沈殿させた。多様なサンプルが大きく異なる量のタンパク質を含有しうるため、タンパク質を除去することが望ましい。
【0049】
また、本発明によれば、経口投与されたAMGは胃腸(GI)系から吸収されるのみならず、しかしまた血漿若しくは尿中に認識できるレベルで出現する。本発明に記述されるとおり、AMGの経口投与は動物におけるAMGの代謝から生じる複雑な事態を引き起こさず、従って多様なサンプル(例えばGI管、血漿および尿)中のAMGの定量が単純化される。これは、グルコース吸収に影響を及ぼす化合物のグルコース排泄に影響を及ぼすもの若しくは双方に影響を及ぼすものからの弁別を見込む。また、未標識AMGを検出および定量するのに使用されるNMR法のため、放射活性同位体はもはや必要とされない。本発明のNMR方法論がなければ、こうした放射活性同位体が、11C標識AMGの静脈内注入後にPET画像化を使用する11C AMG分布の研究で記述された(Bormansら、(2003)Journal of Nuclear Medicine、44(7):1075−1081)とおり必要とされていたであろう。
【0050】
本発明は、SGLT1およびSGLT2に対する変動する効力および選択性をもつSGLT阻害剤が、定量可能に異なる量のAMGがAMG投与後にGI管、血漿、尿若しくは身体中の他の場所で見出されることを引き起こすこともまた示す。さらに、GI管、血漿若しくは尿など中のAMG量は用量依存性であることが示されている。従って、経口投与されたAMGを、GI系からのグルコース吸収、腎尿細管からのグルコース再吸収および尿中のグルコース排泄の指標として使用し得る。
【0051】
さらなる記述を伴わずに、当業者は、先行する記述および以下の具体的に説明する実施例を使用して、本発明を作成かつ利用しそして特許請求される方法を実践し得ると考えられる。以下の作業実施例は、従って本発明の好ましい態様を具体的に指摘し、そして本開示の残部をいずれかの方法で制限すると解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面において、
【図1】GI管(A)、血漿(B)および尿(C)から採取されたサンプル中でベヒクル(0.5%メチルセルロース(メトセル(methocel)))、および0.5%メチルセルロースに懸濁された化合物1若しくは化合物2での多様な処置後に測定されたAMGの量(単位はミリグラム(mg)若しくは1デシリットルあたりミリグラム(mg/dl))を示す。灰色の陰を付けられた棒はベヒクル処置ラットについてであり、黒色棒は0.3mpkの化合物2で処置されたラットについてであり;縦線が付けられた棒は3.0mpkの化合物2で処置されたラットについてであり;横線が付けられた棒は0.3mpkの化合物1で処置されたラットについてであり;そして斜線が付けられた棒は3.0mpkの化合物1で処置されたラットについてである。
【実施例1】
【0053】
細胞に基づくアッセイ
化合物1および化合物2でのSGLT活性の阻害を、ヒトSGLT1若しくはヒトSGLT2のいずれかを安定に発現するCHOK1細胞で評価した。化合物1および化合物2は米国特許出願第2005/0233988号および同第2008/0027122号明細書(それらの開示はそっくりそのまま引用することにより組み込まれる)に記述されている。
【0054】
【化2】

【0055】
ヒトSGLT2若しくはヒトSGLT1を発現するCHOK1細胞を、10%ウシ胎児血清、400μg/mlのジェネチシン、50単位/mlのナトリウムペニシリンG(Gibco−BRL)および50μg/mlのストレプトマイシン硫酸塩を含有するF−12栄養混合物(ハムF−12)中におよそ400,000細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種した。細胞は5%COを含有する加湿雰囲気中37℃で2日間培養物中で維持した。アッセイの日に化合物1および化合物2をDMSOに溶解し、そしてその後アッセイ緩衝液で希釈した。DMSOの最終濃度は0.5%であった。アッセイ緩衝液は137mM NaCl、5mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、50mM Hepesおよび20mMトリス、pH7.4を含有した。アッセイを開始するため、細胞をアッセイ緩衝液で1回洗浄し、そしてその後、化合物1若しくは化合物2を含有する250μlのアッセイ緩衝液と37℃で10分間インキュベートした。輸送反応を50μlの14C−AMG溶液(最終濃度、0.5mMの14C−AMG)の添加により開始した。37℃で30分間インキュベーション後に、取り込みをインキュベーション混合物の吸引により停止し、そして細胞を氷冷PBSで3回洗浄した。細胞をその後0
.3N NaOHで可溶化し、そしてアリコートを液体シンチレーションカウンターによる放射活性の測定のため採取した。非特異的AMG取り込みは、100μMのフロリジン(ナトリウム依存性グルコース共輸送体の特異的阻害剤)の存在下で発生したものと定義した。特異的取り込みを、ブラッドフォードの方法により測定されたタンパク質濃度について正規化した。50%阻害濃度(IC50)値を最小二乗法により用量反応曲線から計算した。細胞に基づくSGLT2およびSGLT1アッセイのIC50値を表1に提示する。
【0056】
【表1】

【実施例2】
【0057】
動物試験
雄性Sprague−Dawley(SD)ラットに、ベヒクルすなわち滅菌水中0.5%メチルセルロース(メトセル(methocel))または0.3若しくは3.0mg/kgのSGLT阻害剤(化合物1および化合物2)の一方のいずれかを経口胃管栄養法により投与した。化合物は0.5%メチルセルロースおよび滅菌水中の懸濁液として投与した。動物に化合物を投与して1時間後にAMGを胃管栄養法を介して経口投与した(2g/kg)。AMGは滅菌水に溶解した。ラットをAMG投与120若しくは240分後に殺した。尿および血漿サンプルを収集し、また、胃腸管全体を取り出しかつ生理的食塩水中に入れた。その後GIライセートを作成した。アリコートを血漿、尿およびGIライセートのサンプルから採取し、そしてアセトニトリルで抽出してタンパク質を沈殿させた。多様な生物流体が大きく異なる量のタンパク質を含有するため、タンパク質を除去することが望ましかった。タンパク質シグナルはAMGの定量をより困難にしていた可能性がある。水性部分を乾燥しそして重水素化水中0.5mlの容量に再懸濁した。重水素化水の使用は、アノマープロトンがNMRスペクトルのはるかにより少なく混み合った領域で共鳴するため、該スペクトル中のアノマープロトンの観察を可能にした。メチル一重項もまたおそらく使用された可能性があるが、しかし他の代謝物シグナルとの重なりを受ける。
【実施例3】
【0058】
in vivoデータ解析
プロトンNMRスペクトルは、プローブ温度を32℃に維持したBruker DMX
600MHz NMR分光計(Bruker Biospin Corporation、マサチューセッツ州ビレリカ)で取得した。軽度に上昇された温度を使用して、溶媒ピーク(サンプル中の残余の水)と定量に使用されたAMGのアノマープロトン(4.80ppmの二重項)の間の化学シフト分離を高めた。溶媒ピークは、パルス前遅延(pre−pulse delay)の間の超低出力照射(約4Hzの場の強さ)、次いでシグナルを取得するための30°のパルスを使用して飽和した。パルス前遅延は3.0sであり、そして取得時間は2.1sであった。掃引幅は32k複合点(complex point)を使用して13ppmであった。フーリエ変換前に、データを0.5Hz指数関数的線拡大(exponential linebroadening)でアポダイズした(apodized)。サンプル中に存在するAMGの量は0.00ppmの内部参照
DSS(2,2−ジメチル−2−シラペンタン−d−スルホン酸ナトリウム塩)に関して決定した。
【0059】
in vivoの結果は、ベヒクル処置ラットにおいてAMGがGI系から吸収されかつGI系、血漿および尿サンプル中で検出され得ることを示した。それぞれ図1A、1Bおよび1C。化合物2(SGLT1のIC50=270nM)で処置されたラットでは、GI系に保持されるAMG含量がより高用量で顕著に増大された(図1A)。化合物1(SGLT1でのIC50=1700nM)での処置はGI系におけるAMGの有意の保持を引き起こさなかった。化合物1および化合物2の双方が血漿中で検出されるAMGの量の用量依存性の減少を示した(図1B)。化合物1について、血漿中で検出されたAMGの量の用量依存性の減少は、SGLT2の強力な阻害(SGLT2のIC50=8.4nM)および尿中で検出されたAMGの量の結果として生じる増大に帰される(図1C)。化合物2について、血漿中のAMGの量の用量依存性の減少は、AMGのGI吸収の減少をもたらすGI系におけるSGLT1に対する阻害効果(SGLT1のIC50=270nM)(図1A)および尿中で検出されたAMGの増大された量をもたらす腎におけるSGLT2の強力な阻害(SGLT2のIC50=1.9nM)(図1C)の双方に帰される。
【0060】
従って、その好ましい一態様に適用されるところの本発明の基礎的な新規特徴が、示されかつ記述および指摘された一方、具体的に説明される装置の形態および詳細ならびにそれらの操作における多様な省略および置換および変更が、本発明の技術思想から離れることなく当業者によりなされうることが理解されるであろう。例えば、同一の結果を達成するために実質的に同一の方法で実質的に同一の機能を実施する要素および/若しくは方法段階の全部の組合せが本発明の範囲内にあることを明らかに意図している。さらに、本発明のいかなる開示された形態若しくは態様とともに示されかつ/若しくは記述される構造および/若しくは要素および/若しくは方法段階が、いずれかの他の開示若しくは記述若しくは示唆される形態若しくは態様に設計の選択の一般的問題として組み込まれうることが認識されるべきである。従って、ここに付属される請求の範囲の範囲により示されるようにのみ制限されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を動物に投与する段階;
b.AMG投与後に前記動物からサンプルを得る段階;
c.前記サンプル中の前記AMGの量を測定する段階
を含んでなり;
前記サンプル中のAMGの量が前記動物の胃腸系からのグルコース吸収の量若しくは該動物の腎からのグルコース排泄の量と相関する、
前記動物の胃腸系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄の指標としてのAMGの使用方法。
【請求項2】
動物が、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
a.予め決められた量のナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)阻害剤を第一の動物に投与する段階;
b.予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を前記第一の動物および第二の動物に投与する段階であって、前記第二の動物は前記SGLT阻害剤を投与されず;
c.前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;
d.前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;
e.前記第一の動物からのサンプル中のAMGの量を前記第二の動物からのサンプル中のAMGの量と比較する段階
を含んでなり;
前記サンプル中の前記AMGの量の差異が前記第一の動物における前記SGLT阻害剤の効果を示す、
動物におけるSGLT阻害剤の効果の確定方法。
【請求項5】
SGLT阻害剤がSGLT2阻害剤およびSGLT1阻害剤よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
動物が、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
a.予め決められた量の第一のナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)阻害剤を第一の動物に投与する段階;
b.予め決められた量の第二のSGLT阻害剤を第二の動物に投与する段階;
c.予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を前記第一および第二の動物に投与する段階;
d.前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;
e.前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;
f.前記第一の動物からのサンプル中のAMGの量を前記第二の動物からのサンプル中のAMGの量と比較する段階
を含んでなり;
前記サンプル中のAMGの量の差異が前記第一および第二のSGLT阻害剤の効果の差異
を比較するための基礎を提供する、
前記第一および前記第二のSGLT阻害剤の効果の差異の比較方法。
【請求項9】
第一および第二のSGLT阻害剤がSGLT2阻害剤およびSGLT1阻害剤よりなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
動物が、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、ヒト以外の霊長類およびヒトよりなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
サンプルが血漿、尿および胃腸管よりなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
a.予め決められた量のα−メチルグルコシド(AMG)の経口用量を第一の動物、および胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄に関連する疾患のない第二の動物にそれぞれ投与する段階;
b.前記第一および第二の動物からサンプルを得る段階;
c.前記サンプル中のAMGの量を測定する段階;
d.前記第一の動物からのサンプル中の前記AMGの量を前記第二の動物から得られたサンプル中のAMGの量と比較する段階
を含んでなり;
前記サンプル中のAMGの量の差異が、前記第一の動物が胃腸(GI)系からのグルコース吸収若しくは腎からのグルコース排泄に関連する疾患を有するかどうかを決定するための基礎を提供する、
動物における前記疾患の診断方法。
【請求項13】
動物がヒトである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルが血漿若しくは尿である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−504769(P2013−504769A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529847(P2012−529847)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/048752
【国際公開番号】WO2011/034846
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】