説明

ケトンの立体選択的水素化

本発明の方法は、化学式Iのケトンを還元するステップを含む方法であって:
化学式IIの実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性の水素化剤によってなされ:


式中のR−Rおよびmは、本明細書中で定義されるとおりである、方法に関する。本発明の方法は、CCR2モジュレータおよびCCR2モジュレータの前躯体の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR2アンタゴニストのための中間生成物として特に有用な、ケトンの立体選択的な水素化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCR2は、単球および他のいくつかの血中白血球の細胞表面に発現されるケモカイン受容体である。CCR2は、単球走化性たんぱく質MCP−1、および炎症や感染の部位で生産される他のCCケモカインに結合する。MCP−1/CCR2の相互作用による炎症部位への単球の動員は、リウマチ性関節炎、アテローム性動脈硬化、多発性硬化症、閉塞性細気管支炎症候群、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、腎疾患、歯槽骨炎、腎炎、肝硬変、鬱血性心不全、ウイルス性髄膜炎、脳梗塞、神経障害、川崎病、アルツハイマー病、卒中、急性神経損傷、HIV感染症、エイズ、自己免疫疾患、がん、敗血症、網膜症、炎症性大腸疾患、移植性動脈硬化、特発性肺繊維症、乾癬、HIV関連認知症、狼瘡、エリテマトーデス、肝炎、膵炎、クローン病、子宮内膜症、メタボリックシンドローム、および糖尿病を含む多数の炎症性疾患を含む多くの病気の発症に関係している。
【0003】
当技術分野において、CCR2アンタゴニストとして説明されている多くの化合物が、二つのピペリジニル基を連結するキラルヒドロキシエチレン基を含む。たとえば、(特許文献1)は、次の1S鏡像異性体フラグメントを含むCCR2モジュレータを開示している。
【化1】

【0004】
これらのキラル分子を調製する新たな手段を発見することは望ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0318990号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学式Iのケトンを還元するステップを含む方法であって:
【化2】

【0007】
化学式IIの実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性の水素化剤によってなされ:
【化3】

【0008】
式中のRはHまたはOHであり;
はH、アミン保護基、
【化4】

【0009】
であり;
各Rは、独立して、ハロ、メチル、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルであり;
はHであり、Rはフェニル−(R、インドリル−(R、1−H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル−(R、ベンズイミダゾリル−(R、ベンゾオキサゾリル−(R、またはピラゾリルであるか;
または、RおよびRは、これらが結合される炭素原子と共に、スピロインドリニル基、スピロインダニル基、スピロインデニル基、またはスピロジヒドロベンゾオキサゾリル基を形成し、それぞれは任意に、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、(R−フェノキシ−、(R−ベンジルオキシ−、C(O)N(R、およびCOOHからなる群から選択される三つまでの置換基によって置換され;
各Rは、独立して、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、フェニル、C(O)N(R、またはCOOHであり;
およびRはそれぞれ独立して、H、C〜C−アルキル、フェニル−(R、ヘテロアリール−(R、CON(R、CN、COOH、COOCH、COOCHCHであるか、または、RおよびRは、これらが結合する炭素原子と共に、縮合ベンゾ基を形成し;
各Rは、独立して、ハロ、アミノ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、−NHSOCH、NHC(O)CH、C〜C−ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、C(O)N(R10、(R10−フェノキシ−、(R10−ベンジルオキシ、またはCOOHであり;
各Rは、独立して、HまたはC〜C−アルキルであるか、または、これらが結合する窒素原子と共に、C〜C−ヘテロシクロアルキル基を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはSOCHであり;
Yは、OまたはSであり;
Xは、NH、N−CH、O、またはSであり;
Zは、−NH−または、
【化5】

【0010】
であり;
mは、0、1、または2であり;
各nは、独立して、0、1、2、または3であり;
各pは、独立して、0、1、2、または3である、方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の方法は、ケトンを、CCR2モジュレータまたはCCR2モジュレータの前躯体として有用な、実質的にエナンチオピュアなキラル化合物に転換する手段を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、化学式Iのケトンを還元するステップを含む方法であって:
【化6】

【0013】
化学式IIの実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性の水素化剤によってなされ:
【化7】

【0014】
式中のR−Rおよびmは既に定義されたとおりである、方法に関する。
【0015】
他の態様においては、エナンチオ選択性の水素化試薬は、ビスホスフィノ−ルテニウムまたはビスホスフィノ−ジアミン−ルテニウム錯体である。
【0016】
他の態様においては、エナンチオ選択性の水素化試薬は、
【化8】

【0017】
からなる群から選択される。
【0018】
他の態様においては、Rは、BOC基またはCBz基である。
【0019】
他の態様においては、Rは、
【化9】

【0020】
である。
【0021】
他の態様においては、Rは、
【化10】

【0022】
であり;
式中の各Rは、独立して、F、Cl、Br、CF、CH、ベンジルオキシ、またはOCHであり;
nは、0、1、または2である。
【0023】
他の態様においては、Rは、
【化11】

【0024】
である。
【0025】
他の態様においては、Rは、
【化12】

【0026】
であり;
式中の各Rは、独立して、FまたはClである。
【0027】
他の態様においては、RはHであり、Rはフェニル−(R、インドール−3−イル−(R、1−H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル−(R、ベンズイミダゾール−2−イル−(R、ベンゾオキサゾール−2−イル−(R、またはピラゾール−3−イルであり;
各Rは、独立して、アミノ、−NHSOCH、−NHC(O)CH、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、シアノ、モルホリノ、フルオロ、またはクロロであり;
pは、0、1、または2である。
【0028】
他の態様においては、RおよびRは、これらが結合する炭素原子と共に、任意に置換される一つのスピロインドリニル基、スピロインダニル基、スピロインデニル基、またはスピロジヒドロベンゾオキサゾリル基を形成する。
【0029】
他の態様においては、RおよびRは、これらが結合される炭素原子と共に、CH、F、Cl、およびCNからなる群から選択される二つまでの置換基で任意に置換される、一つの任意置換スピロインドリニル基を形成する。
【0030】
他の態様において、本発明は、次式のケトンを還元するステップを含む方法であって:
【化13】

【0031】
次式を有する実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性のルテニウムホスフィン水素化剤によってなされ:
【化14】

【0032】
式中のRは、CbzまたはBOCである方法である。
【0033】
他の態様において、ルテニウムホスフィン水素化剤は、
【化15】

【0034】
であり;
還元化合物は次式を有するか:
【化16】

【0035】
またはそのジトシラート塩である。
【0036】
他の態様において、還元化合物またはそのジトシラート塩は、(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−(4−ピペリジニル)エタノールを形成するために、プロトン酸と更に反応させる。
【0037】
他の態様において、(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−(4−ピペリジニル)エタノールは、上述の条件下で、(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−{1−[(2E)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−プロペノイル]−4−ピペリジニル}エタノールを形成するために、ペンタフルオロフェニル(2E)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−プロペノエートと反応させる。
【0038】
「エナンチオ選択性の水素化剤」という用語は、実質的にエナンチオピュアな、より正確に言えば、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のエナンチオピュアな生成物の生産を可能にする水素化プロセスにおいて用いられる試薬を表している。エナンチオ選択性の水素化剤の例としては、ビスホスフィノ−ジアミン−ルテニウム錯体AおよびB並びにビスホスフィノ−ルテニウム錯体Cがあり:
【化17】

【0039】
触媒Aは、ジクロロ[(R)−(+)−2,2’,6,6’−テトラメトキシ−4,4’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3,3’−ビピリジン][(1R,2R)−(+)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)であり、
触媒Bは、ジクロロ[(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル][(1R,2R)−(+)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)であり、
触媒Cは、ジクロロ[(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル]ルテニウム(II)である。
【0040】
「アミン保護基」という用語は、アミンと結合されることで生じうる競争反応からアミンを保護する基を表している。適切なアミン保護基の例は、カルボベンジルオキシ(CBz)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、p−メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、および3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)を含む。CBzおよびBOCは特に適している。
【0041】
記号:
【化18】

【0042】
は、化合物の実質的にエナンチオピュアな形態(S体またはR体のいずれか)を表すために用いられる。
【0043】
本明細書で用いられる「C〜C−アルキル」は、特定数の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状の炭化水素鎖を表している。例として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、イソプロピル、t−ブチル、および1,1−ジメチルプロピルが含まれる。
【0044】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、またはブロモを表している。
【0045】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」は、N、S、およびOから選択される一または複数のヘテロ原子を含む5または6員芳香族基を表している。ヘテロアリール基の例として、ピリジニル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、およびピリミジニル基が含まれる。
【0046】
およびRは、以下に示されるように、これらが結合する炭素原子と共に、縮合ベンゾ基を形成しうる:
【化19】

【0047】
〜C−ヘテロシクロアルキルの代表的な例は、ピペリジニル基、ピペラジニル基、N−メチルピペラジニル基、モルホリノ基、およびピロリジニル基を含む。各Rは、これらが結合する窒素原子と共に、そのような基を形成しうる。
【0048】
次のスキームは、例証のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0049】
スキーム1:
【化20】

【0050】
スキーム1に例証されるように、Cbzのようなアミン保護基を含む化学式Iの化合物は、a)単一ステップで、エナンチオ選択性の水素化がなされるか、またはb)選択性の水素化が起こる前に、(HClのようなプロトン酸によって)脱保護され、R1aZ(ここで、R1aとはアミン保護基またはHを除いたRのサブセットであり;Zは適切な脱離基である)と結合されるか、のいずれかでありうる。
【0051】
スキーム2
【化21】

【0052】
次の例は例証のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0053】
フェニルメチル4−[(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−ヒドロキシエチル]−1−ピペリジンカルボキシラートの調製。
【化22】

【0054】
A. フェニルメチル4−{[ジメチル(オキシド)−l−スルファニリデン]アセチル}−1−ピペリジンカルボキシラートの調製。
【化23】

【0055】
トリメチルスルホキソニウムヨージド(3.75g、17.0mmol、2.0当量)およびカリウムtert−ブトキシド(2.22g、18.8mmol、2.2当量)を、30mLのTHFに溶解させ、還流のために3時間加熱した。得られた懸濁液を、0℃に冷却し、そこに、15mLのTHF中のフェニルメチル4−(クロロカルボニル)−1−ピペリジンカルボキシラート(2.4g、8.5mmol、1当量)を、滴加した。その混合物を、0℃から室温で3時間半撹拌した。CHCl(40mL)と水(60mL)を、その後添加した。有機層を分離し、濃縮して、5mLの還流EtOAcに再度溶解させた。ヘキサン(10mL)を添加し、得られた懸濁液を、一晩室温に冷却した。生成物を濾過によって回収し、真空で乾燥させた:2.15g,6.37 mmol、75%。ES−MS: m/z: 338(M+H).H NMR δ ppm(CDCl,300.13MHz): 7.26−7.33(m,5H),5.09(s,2H),4.37(s,1H),4.17(br,2H),3.35(m,6H),2.78(m,2H),2.19(tt,J=11.6,3.6Hz,1H),1.77(d,J=12.4Hz,2H),1.52(ddd,J=24.4,12.2,3.6 Hz,2H).13C NMR δ ppm(CDCl,75.48MHz):191.9,155.0,136.7,128.3,127.7,127.6,68.3,66.8,46.3,43.7,42.0,28.7。
【0056】
B. フェニルメチル4−[(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)アセチル]−1−ピペリジンカルボキシラートの調製。
【化24】

【0057】
THF(60mL)中のフェニルメチル4−{[ジメチル(オキシド)−l−スルファニリデン]アセチル}−1−ピペリジンカルボキシラート(6.30g、18.7mmol)の懸濁液に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、4.90mL、19.6mmol、1.05当量)を添加した。混合物を、還流のために6時間加熱し、その後室温に冷却し、その後NaHCO(6.40g、76.2mmol、4.1当量)と6−クロロ−1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン](3.50g、15.7mmol、0.84mmol)を添加した。混合物を、還流のために20時間加熱し、室温に冷却し、EtOAc(45mL)と水(45mL)を添加し、有機層を分離して、NaHCO(飽和水溶液、45mL)で洗浄し、濃縮した。残渣を、EtOAc(30mL)中に再び溶解させ、還流しながらEtOH(6mL)/EtOAc(30mL)中のTsOH水和物(6.67g)の溶液にゆっくりと添加した。混合物を一晩室温に冷却した。生成物(フェニルメチル4−[(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)アセチル]−1−ピペリジンカルボキシラートのビストシラート)を濾過によって回収し、真空で乾燥させた:7.52g、9.1mmol、58%。ES−MS: m/z: 482(M+H).H NMR δ ppm(DMSO−d6,300.13MHz):9.74(br,1H),7.71(br,3H),7.52(d,J=8.0Hz,4H),7.29−7.40(m,5H),7.13(d,J=7.9Hz,4H),7.01−7.17(m,3H),5.08(s,2H),4.53(br,2H),3.98(m,2H),3.65(s,2H),3.41(d,J=9.9Hz,2H),3.21(m,2H),2.88(br,2H),2.71(tm,J=11.2Hz,1H),2.29(s,6H),2.19(m,2H),1.84(d,J=13.6Hz,4H),1.36(m,2H)。
【0058】
C. フェニルメチル4−[(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−ヒドロキシエチル]−1−ピペリジンカルボキシラートの調製。
【化25】

【0059】
CHCl(10mL)中のフェニルメチル4−[(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)アセチル]−1−ピペリジンカルボキシラートビストシレート(672mg、0.813mmol)の懸濁液に、NaOH水溶液(1N、10mL)を添加した。有機層を、別のNaOH(1N、10mL)によって洗浄して、分離し、濃縮した。残渣を、KOtBu(18.5mg、0.165mmol、0.2当量)と共に、EtOH(6mL)中に再び溶解させ、16.0mgの触媒A(0.017mmol、0.02当量)に添加した。混合物を、20時間、水素化し(150psi、35℃)、その後、混合物をCHCl(15mL)で希釈し、NaHCO(飽和水溶液、15mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、2mLのEtOAc中に再び溶解させ、還流しながらEtOH(0.4mL)/EtOAc(2mL)中のTsOH水和物(369.8mg)に添加した。混合物を還流しながら2時間加熱し、その後一晩室温に冷却した。生成物のビストシレートを、濾過によって単離し、真空で乾燥させた:492mg、0.594mmol、73%、97.3%ee。ES−MS: m/z: 484(M+H).H NMR δ ppm(DMSO−d6,300.13MHz):9.08(br,1H),7.50(d,J=8.0Hz,4H),7.29−7.40(m,5H),7.12(d,J=8.0Hz,4H),7.01(d,J=7.9Hz,1H),6.83−6.90(m,2H),5.07(s,2H),4.04(m,2H),3.73(m,1H),3.03−3.57(m,8H),2.75(br,2H),2.28(s,6H),2.19(m,1H),1.98(m,1H),1.80(m,3H),1.51(m,2H),1.17(m,2H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式のケトンを還元するステップを含む方法であって:
【化1】

次式を有する実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性の水素化剤によってなされ:
【化2】

式中のRはHまたはOHであり;
はH、アミン保護基、
【化3】

であり;
各Rは、独立して、ハロ、メチル、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルであり;
はHであり、Rはフェニル−(R、インドリル−(R、1−H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル−(R、ベンズイミダゾリル−(R、ベンゾオキサゾリル−(R、またはピラゾリルであるか;
または、RおよびRは、これらが結合する炭素原子と共に、スピロインドリニル基、スピロインダニル基、スピロインデニル基、またはスピロジヒドロベンゾオキサゾリル基を形成し、それぞれ任意に、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、(R−フェノキシ−、(R−ベンジルオキシ−、C(O)N(R、およびCOOHからなる群から選択される三つまでの置換基によって置換され;
各Rは、独立して、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、フェニル、C(O)N(R、またはCOOHであり;
およびRはそれぞれ独立して、H、C〜C−アルキル、フェニル−(R、ヘテロアリール−(R、CON(R、CN、COOH、COOCH、COOCHCHであるか、または、RおよびRは、これらが結合する炭素原子と共に、縮合ベンゾ基を形成し;
各Rは、独立して、ハロ、アミノ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、−NHSOCH、NHC(O)CH、C〜C−ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、SOCH、C(O)N(R10、(R10−フェノキシ−、(R10−ベンジルオキシ、またはCOOHであり;
各Rは、独立して、HまたはC〜C−アルキルであるか、または、これらが結合する窒素原子と共に、C〜C−ヘテロシクロアルキル基を形成し;
各R10は、独立して、ハロ、CN、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはSOCHであり;
Yは、OまたはSであり;
Xは、NH、N−CH、O、またはSであり;
Zは、−NH−または、
【化4】

であり;
mは、0、1、または2であり;
各nは、独立して、0、1、2、または3であり;
各pは、独立して、0、1、2、または3である、方法。
【請求項2】
エナンチオ選択性の水素化試薬は、ビスホスフィノ−ルテニウムまたはビスホスフィノ−ジアミン−ルテニウム錯体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エナンチオ選択性の水素化試薬は、
【化5】

からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
は、BOC基またはCbz基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
は、
【化6】

である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
は、
【化7】

であり;
各Rは、独立して、F、Cl、Br、CF、CH、ベンジルオキシ、またはOCHであり;
nは、0、1、または2である、
請求項1、2、3、および5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
は、
【化8】

である、
請求項1、2、3、5、および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
は、
【化9】

であり;
各Rは、独立して、FまたはClである、
請求項1、2、3、5、6、および7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
はHであり、Rはフェニル−(R、インドール−3−イル−(R、1−H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル−(R、ベンズイミダゾール−2−イル−(R、ベンゾオキサゾール−2−イル−(R、またはピラゾール−3−イルであり、
各Rは、独立して、アミノ、−NHSOCH、−NHC(O)CH、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、シアノ、モルホリノ、フルオロ、またはクロロであり、
pは0、1、または2である、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
およびRは、これらが結合する炭素原子と共に、任意に置換される一つのスピロインドリニル基、スピロインダニル基、スピロインデニル基、またはスピロジヒドロベンゾオキサゾリル基を形成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
およびRは、これらが結合する炭素原子と共に、CH、F、Cl、およびCNからなる群から選択される二つまでの置換基で任意に置換される、任意に置換される一つのスピロインドリニル基を形成する、請求項1〜8および10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
次式のケトンを還元することを含む方法であって:
【化10】

次式を有する実質的にエナンチオピュアなアルコールを形成するため、エナンチオ選択性のルテニウムホスフィン水素化剤によってなされ:
【化11】

式中のRは、CbzまたはBOCである、方法。
【請求項13】
ルテニウムホスフィン水素化剤は、
【化12】

であり;
還元化合物は次式を有するか:
【化13】

またはそのジトシラート塩である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
還元化合物、またはそのジトシラート塩を、(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−(4−ピペリジニル)エタノールを形成するために、プロトン酸と更に反応させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−(4−ピペリジニル)エタノールを、前記の条件下で、(1S)−2−(6−クロロ−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−1−{1−[(2E)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−プロペノイル]−4−ピペリジニル}エタノールを形成するために、ペンタフルオロフェニル(2E)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−プロペノエートと反応させる、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2012−518653(P2012−518653A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551289(P2011−551289)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025020
【国際公開番号】WO2010/099098
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】