説明

ケトンアミドの調製

【課題】CCR5レセプターのアンタゴニストを作製する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、CCR5レセプターのアンタゴニストの調製のための有用な中間体である(従って、HIVウイルスに感染した哺乳動物の処置のために有用である)、ケトンアミドを調製するための新規なプロセスを開示する。本発明は、特に、1−(2,4−ジメチルピリミジン−5−カルボニル)−4−ピペリドン、1−[(2,4−ジメチル−3−ピリジニル)カルボニル]−4−ピペリドンおよび関連の化合物を合成するための新規なプロセスを開示する。本発明の顕著な特徴は、有機相および緩衝塩スラリーを有する3相反応媒体の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本特許出願は、HIVウイルスに感染した哺乳動物の処置のために有用であるCCR5レセプターのアンタゴニストの調製のための有用な中間体であるケトンアミドを調製するための、新規なプロセスを開示する。本出願は、1−(2,4−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル)−4−ピペリドン、1−[(2,4−ジメチル−3−ピリジニル)カルボニル]−4−ピペリドンおよび関連の化合物を合成するための新規なプロセスを包含する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4(全てSchering−Plough Corporationに対する)は、AIDSおよび関連のHIV感染の処置のために有用な、CCR5レセプターのいくつかの新規なアンタゴニストを開示する。詳細な参照は、以下の式Iおよび式IIの化合物に対してなされる:
【0003】
【化12】

(特許文献1および特許文献2において開示される)
【0004】
【化13】

(特許文献3および特許文献4において開示される)。
【0005】
CCR−5レセプターはまた、関節炎、慢性関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、乾癬、ぜん息およびアレルギーのような炎症性疾患において細胞移動を媒介することが報告されており、そしてこのようなレセプターのインヒビターは、このような疾患の処置および他の炎症性疾患もしくは炎症性状態(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症、固形器官移植拒絶および移植片対宿主病)の処置において有用であることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,602,885号明細書
【特許文献2】米国特許第6,387,930号明細書
【特許文献3】米国特許第6,689,765号明細書
【特許文献4】米国特許第6,391,865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CCR5レセプターのアンタゴニストの重要性の観点から、このようなアンタゴニストを作製する新しい、新規な方法は、常に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明に従い、酸塩化物から以下の式5’のケトンアミドを調製するためのプロセスが、提供される:
【0009】
【化14】

ここで、Rは、アルキル部分、アリール部分、シクロアルキル部分、ヘテロアリール部分およびヘテロシクリル部分より選択される置換基であるが、ただし、Rは、第1アミンもしくは第2アミンを含まないという条件である。このアルキル部分、アリール部分、シクロアルキル部分、ヘテロアリール部分およびヘテロシクリル部分は、必要に応じて置換され得るが、ただし、この置換基は、第1アミンもしくは第2アミンを含まないという条件である。
【0010】
本発明の手順の顕著な特徴は、酸塩化物が水に対して反応性であるので、酸塩化物を試薬として使用する場合には水性反応媒体は使用され得ないが、本発明のプロセスは、重い塩を含む水性の相と別個の有機相とを有する多相反応/試薬媒体を使用して、酸塩化物を加水分解することなくこの反応を高い収率で進行させることである。いかなる理論に縛られることも意図しないが、酸塩化物は、例えばアセトニトリル(濃縮された水性塩相とは別個の相であり続ける)の中に溶解すると考えられる。この濃縮された水性塩相が、リン酸塩緩衝系を含む場合、このプロセスに関連して特に有用である。
【0011】
リン酸緩衝液の存在は、高度に水溶性の生成物であるケトンアミド(5’)の水相中での可溶性を低下させ、このことは、多くのさらなる精製工程を回避しながら、最終生成物であるケトンアミドの効率的な分離をもたらす。
【0012】
この緩衝液はまた、pHを制御することによって、所望されない副生成物(例えば、以下の化合物6)を減少させる。
【0013】
すなわち、この新規なプロセスは、ケトンアミドを調製するためのプロセスであり、このケトンアミドは、いくつかの化合物の調製のための有用な中間体である。特に重要なことは、CCR5レセプターのアンタゴニスト(上記の式Iおよび式II)の調製のためのこれらの使用である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の式5’:
【化1】

のケトンアミドを調製するためのプロセスであって、
該式中、Rは、アルキル置換基、アリール置換基、シクロアルキル置換基、ヘテロアリール置換基およびヘテロシクリル置換基より選択される置換基であるが、ただしここで、該Rは、第1アミンもしくは第2アミンを含まないという条件であり、該プロセスは、以下の工程:
(i)以下の式1:
【化2】

のカルボン酸を、該カルボン酸におけるヒドロキシ基を塩素原子と置換するための塩素化試薬と反応させる工程であって、該工程は、触媒および非プロトン溶媒を用いて、以下の式2:
【化3】

の酸塩化物の溶液を生成する、工程;
(ii)濃縮された水性塩相および適切な非プロトン溶媒を含む有機相ならびに以下の式3:
【化4】

の化合物を有する多相反応媒体を別個に調製し、そして該酸塩化物の該溶液を反応媒体に添加して、以下の式5’:
【化5】

のケトンアミドを得る工程、
を包含する、プロセス。
(項目2)
が、以下:
【化6】

である、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
が、以下:
【化7】

である、項目1に記載のプロセス。
(項目4)
工程(i)における前記塩素化試薬は、塩化オキサリル、塩化チオニルもしくは塩化ホスホリルである、項目1に記載のプロセス。
(項目5)
前記塩素化試薬は、塩化オキサリルである、項目4に記載のプロセス。
(項目6)
前記塩素化試薬は、塩化チオニルである、項目4に記載のプロセス。
(項目7)
工程(i)における前記触媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)である、項目1に記載のプロセス。
(項目8)
工程(i)における前記非プロトン溶媒および工程(ii)における前記非プロトン溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、C−C12エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグリム、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、C−Cエステルおよび前記塩素化試薬からなる群より別個に選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目9)
前記非プロトン溶媒は、工程(i)および工程(ii)の両方においてアセトニトリルである、項目8に記載のプロセス。
(項目10)
工程(i)における前記反応の温度は、−20℃〜60℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目11)
前記反応の前記温度は、−10℃〜20℃の範囲である、項目10に記載のプロセス。
(項目12)
前記反応の前記温度は、−5℃〜5℃の範囲である、項目11に記載のプロセス。
(項目13)
前記多相反応媒体は、水性塩スラリーおよび非プロトン溶媒を含む三相反応系である、項目1に記載のプロセス。
(項目14)
前記濃縮された水性塩相は、KPOおよびKHPOを有する緩衝系を含む、項目1に記載のプロセス。
(項目15)
前記KPOおよびKHPOは、2.5:0.5〜0.5:2.5の範囲の比で存在する、項目14に記載のプロセス。
(項目16)
前記KPOおよびKHPOは、1:2の比で存在する、項目15に記載のプロセス。
(項目17)
工程(ii)における前記緩衝系は、7.5〜9.5の範囲内のpHを維持する、項目14に記載のプロセス。
(項目18)
前記緩衝系は、8.0〜9.0の範囲内のpHを維持する、項目14に記載のプロセス。
(項目19)
工程(ii)における前記反応の温度は、−15℃〜60℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目20)
前記反応の温度は、−10℃〜20℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目21)
前記反応の温度は、−5℃〜10℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目22)
式2’の酸塩化物の溶液からの式5の化合物の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、式2’の該酸塩化物の溶液を式3の化合物を含む多相反応媒体に添加する工程を包含し、該反応媒体は、濃縮された水性塩相および適切な非プロトン溶媒を含有する有機相を含み、該工程は、以下の等式:
【化8】

に従って式5の該化合物を生成し、該式中、Arは、
【化9】

である、プロセス。
(項目23)
前記非プロトン溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、C−C12エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグリム、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、C−Cエステルおよび前記塩素化試薬からなる群より選択される、項目22に記載のプロセス。
(項目24)
前記非プロトン溶媒は、アセトニトリルである、項目22に記載のプロセス。
(項目25)
前記多相反応媒体は、水性塩スラリーおよび非プロトン溶媒を含む三相反応系である、項目22に記載のプロセス。
(項目26)
式5の前記化合物は、以下の式:
【化10】

の化合物へさらに変換される、項目22に記載のプロセス。
(項目27)
式5の前記化合物は、以下の式:
【化11】

の化合物へさらに変換される、項目22に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
そうでないことが言及されない限り、専門用語は、以下の例示的な定義において示されるような通常の意味を与えられる。化学名称、一般名称および化学構造は、同じ構造を示すために相互交換可能に使用され得る。これらの定義は、そうでないことが示されない限り、用語がそれ自体のみで使用されるかまたは他の用語と組み合わせて使用されるかにかかわらず適用される。
【0015】
「アルキル」は、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、そして代表的に、鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む。適切なアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子(例えば、鎖中に1〜6個の炭素原子)を含み、そして分枝状アルキルおよび低級アルキルの両方を含む。分枝状アルキルは、メチル、エチルもしくはプロピルのような1種以上の低級アルキル基が、直鎖状アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。アルキル基は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって置換され得、そしてヘテロ原子を含み得る。
【0016】
「アリール」(時々、「Ar」と略される)は、約6〜約14個の炭素原子(好ましくは約6〜約10個の炭素原子)を含む、芳香族単環式環系もしくは芳香族多環式環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、1つ以上の環系置換基で置換され得、この置換基は、同一であっても異なっていてもよい。適切なアリール基の非限定の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0017】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは約5〜約10個の炭素原子)を含む、非芳香族単環式環系もしくは非芳香族多環式環系を意味する。適切なシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の環系置換基で置換され得、この置換基は同一であっても異なっていてもよい。適切な単環式シクロアルキルの非限定の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定の例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0018】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の炭素原子(好ましくは約5〜約10個の炭素原子)を含む、芳香族単環式環系もしくは芳香族多環式環系を意味し、ここで、1つ以上の環原子は、炭素以外の元素(例えば、単独でまたは組み合わせで、窒素、酸素もしくは硫黄)である。適切なヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、1つ以上の環系置換基で置換され得、この置換基は同一であっても異なっていてもよい。適切なヘテロアリールのの非限定の例としては、ピリジニルおよびピリミジニルが挙げられる。
【0019】
「ヘテロシクリル」(もしくはヘテロシクロアルキル)は、約3〜約10個の炭素原子(適切には約5〜約10個の炭素原子)を含む、非芳香族単環式環系もしくは非芳香族多環式環系を意味し、ここで、この環系の1つ以上の原子は、炭素以外の元素(例えば、単独でまたは組み合わせで、窒素、酸素もしくは硫黄)である。これらの環はまた、必要に応じて置換される。
【0020】
上記のアルキル部分、アリール部分、シクロアルキル部分、ヘテロアリール部分およびヘテロシクリル部分のための適切な置換基は、同一であっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、ケトン、−C(O)O−アルキルなどからなる群より独立して選択される。
【0021】
「濃縮された」水性塩とは、対応する塩の飽和溶液に対して少なくとも約50%の塩を含む塩/水溶液を意味する。水性塩スラリーは、飽和水性成分および固体塩相を有する。
【0022】
本発明の第1の局面において、以下の式5’のケトンアミドを調製するためのプロセスが提供される:
【0023】
【化15】

ここで、Rは、アルキル置換基、アリール置換基、シクロアルキル置換基、ヘテロアリール置換基およびヘテロシクリル置換基より選択される置換基であるが、ただし、Rは、第1アミンもしくは第2アミンを含まないという条件であり、このプロセスは、以下の工程を包含する:(i)以下の式1:
【0024】
【化16】

のカルボン酸を、このカルボン酸におけるヒドロキシ基を塩素原子と置換するための塩素化試薬(すなわち、カルボン酸から酸塩化物を形成する試薬)と反応させる工程であって、該工程は、触媒および非プロトン溶媒を用いて、以下の式2:
【0025】
【化17】

の酸塩化物の溶液を生成する、工程;
(ii)濃縮された水性塩相および適切な非プロトン溶媒を含む有機相を有する多相反応媒体であって、この媒体はまた、
以下の式3:
【0026】
【化18】

の化合物を有するように提供されている媒体を別個に調製し、そして上記酸塩化物の溶液を反応媒体に添加して、以下の式5’:
【0027】
【化19】

のケトンアミドを得る工程。
【0028】
1つの実施形態において、Rは、
【0029】
【化20】

であり、そして別の実施形態において、Rは、
【0030】
【化21】

である。
【0031】
工程(i)における塩素化試薬は、塩化オキサリル、塩化チオニルもしくは塩化ホスホリルであり得、一方、工程(i)における触媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)である。工程(i)および工程(ii)における非プロトン溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロ−ベンゼン、C−C12エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグリム、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、C−Cエステルおよび上記の塩素化試薬ならびにこれらの適切な混合物からなる群より、別個にかつ独立して選択される。工程(i)における反応の温度は、一般に、−20℃〜60℃の範囲内であり、好ましくは、−10℃〜20℃の範囲内であり、より好ましくは、−5℃〜5℃の範囲内である。
【0032】
上記の多相反応媒体は、3相反応系であり、本発明の特に有利な適用において、水性塩スラリーおよび非プロトン溶媒を含む。別の実施形態は、上記濃縮された水性塩相がKPOおよびKHPOを有する緩衝系を含む(例えば、KPOおよびKHPOが、2.5:0.5〜0.5:2.5の範囲の比で存在するか、またはこのKPOおよびKHPOが、1:2の比で存在する)実施形態である。工程(ii)における緩衝系は、pHを7.5〜9.5の範囲内に維持し得るか、またはこのpHを、8.0〜9.0の範囲内に維持し得る。
【0033】
工程(ii)における上記反応の温度は、一般に、ほとんどの場合−15℃〜60℃の範囲に及び、例えば−10℃〜20℃もしくは−5℃〜10℃の範囲に及ぶ。
【0034】
本発明の別の局面は、式2’の酸塩化物の溶液からの式5の化合物の調製のためのプロセスであり、このプロセスは、式2’の酸塩化物の溶液を、式3の化合物を含む多相反応媒体(この反応媒体は、濃縮された水性塩相および適切な非プロトン溶媒を含む有機相を含む)に添加して、以下の等式に従って式5の化合物を生成する工程を包含する:
【0035】
【化22】

ここで、Arは、
【0036】
【化23】

である。
【0037】
酸塩化物は通常は水反応性であり、したがって水性反応媒体は、酸塩化物を試薬として使用する場合には使用され得ないが、酸塩化物を加水分解することなく、重い塩を含む水相を有する多相反応/試薬媒体を使用することが可能であるという知見に、本発明は部分的に属する。
【0038】
本発明に従って使用されるリン酸緩衝液は、反応を通じて8〜9の一定のpHを維持し、このことは、副生成物(6)の形成を減少する。このリン酸緩衝液は、その良好な水溶性に起因して、ケトンアミンの可溶性を低減し、それによって、多数の有機的抽出を排除して単離の効率を改善する。これらの改善は、高純度の最終生成物を生成する非常に効率的なプロセスをもたらす。
【0039】
本発明のプロセスは、以下のスキームにおいて図式的に記載される:
【0040】
【化24】

ここで、
【0041】
【化25】

である。
【0042】
式5の化合物は、所望される場合、式Iおよび式IIのCCR5アンタゴニスト化合物へさらに変換され得る。
【0043】
以下の非限定の実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【実施例】
【0044】
そうでないことが言及されない限り、以下の略称は、以下の実施例および表1において言及される意味を有する:
CDCl=ジュウテロクロロホルム
CHCN=アセトニトリル
DMF=ジメチルホルムアミド
g=グラム
HPO=リン酸水素カリウム
PO=リン酸カリウム
mL=ミリリットル
MS=質量スペクトル
NMR=核磁気共鳴分光法
(実施例1:1−(2,4−ジメチルピリミジン−5−カルボニル)−4−ピペリドン−化合物IVの調製:)
【0045】
【化26】

90.0gの4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸(I)および触媒量のジメチルホルムアミド(0.45mL)のCHCN(630mL)中の懸濁溶液に、−5℃〜5℃で、塩化オキサリル(78.8g)をゆっくりと添加した。次いで、この反応を、0℃で2時間経過させた。
【0046】
別個のフラスコに、水(270mL)中のKPO(136.1g)、KHPO(205.9g)とCHCN(540mL)との不均一な混合物を、0℃で、99.8gの4−ピペリドン塩酸塩一水和物(III)の水(135mL)中溶液に加えた。この反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。
【0047】
4,6−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸塩化物(II)溶液を、緩衝化ピペリドン溶液にゆっくりと移し、そして反応温度を、10℃未満に維持した。添加後、この反応混合物を、10℃で4時間撹拌した。一旦反応が完了してから、チャコール(18.0g)を加えて、色を低下させた。この反応混合物を濾過して固体の残渣を除去し、次いで下層である水層を、上層であるCHCN層から分離した。CHCN溶液を除去し、そして蒸留によって酢酸エチル(1350mL)と置換した。酢酸エチル溶液を、水(180mL)中KHPO(90.0g)の水溶液で洗浄した。この酢酸エチル溶液を、約270mLまで濃縮し、次いで、ヘプタン(630mL)を添加して、生成物の沈殿を起こした。固体生成物を濾過し、そして真空オーブン中で、55℃の温度で16時間乾燥させ、黄色っぽい固体(114.7g)を得た。
【0048】
【化27】

(実施例2:1−[(2,4−ジメチル−3−ピリジニル)カルボニル]−4−ピペリドン−化合物VIIの調製:)
【0049】
【化28】

200gの2,4−ジメチルピリジニル−3−カルボン酸(V)および触媒量のジメチルホルムアミド(1.0mL)のCHCN(1000mL)中の懸濁溶液に、塩化オキサリル(142.6g)をゆっくりと20℃で添加した。この反応物を、20℃で2時間経過させた。
【0050】
別個の三つ首ジャケットつきフラスコに、KPO(680g)、180gの4−ピペリドン(piperodone)塩酸塩一水和物(III)を入れ、次いで、CHCN(1400mL)および水(600mL)を入れた。この反応混合物を、22℃で2時間撹拌し、次いで、2,4−ジメチルピリジニル−3−カルボン酸塩化物(VI)をゆっくりと加え、そしてバッチ温度を30℃未満に維持した。この反応混合物を、23℃で2時間撹拌し、反応を完了させた。固体残渣を有する下層である水層を、除去した。上層である有機層を、乾燥するまで濃縮し、油性生成物(262.8g)を得た。このオイルを、2日間静置して固体化させた。この生成物は、1/1の遊離ケトンと水和物との混合物である。
【0051】
【化29】

実施例は、本明細書中で式IVおよび式VIIの化合物の調製として記載されているが、本開示の、材料、方法および反応条件のいずれに対しても、多くの改変、変形および変更が行われ得ることは、当業者に明らかである。このような改変、変形および変更の全ては、本発明の精神および範囲の内であることが、意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2011−102328(P2011−102328A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−31434(P2011−31434)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【分割の表示】特願2007−550444(P2007−550444)の分割
【原出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】