説明

ケミカルループ燃焼装置とそれを備えた熱利用システム

【課題】大型化することなく、その酸化反応熱をオンサイトでの産業用ボイラや工業炉で利用できるようにすることで、利便性を大きく向上させたケミカルループ燃焼装置を提供する。
【解決手段】ケミカルループ燃焼装置A1aは、酸化塔1内に、少なくとも金属粒子(M)の酸化物(MO)と接触して、金属粒子(M)の酸化反応により発生する熱を、内部を流れる被加熱流体に伝熱する伝熱管26を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケミカルループ燃焼装置および該ケミカルループ燃焼装置を備えた熱利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属粒子を酸化する酸化反応系と酸化金属粒子を還元する還元反応系との間で金属粒子および酸化金属粒子を循環させることで熱を得るようにしたケミカルループ燃焼法は知られている。ケミカルループ燃焼は、燃料を直接空気と燃焼させる代わりに、燃焼反応を「金属粒子の酸化」と、「酸化金属粒子の還元」という2つに分け、両者を物理的な粒子の循環で結ぶシステムである。燃料と空気は直接接触することがなく、金属を媒体として純酸素のやり取りをしている。
【0003】
ケミカルループ燃焼では、メタンなどの炭化水素燃料は、還元反応系において、あくまで酸化金属の還元剤として働き、また酸化反応系には、酸化剤としての空気と金属粒子だけが供給され、金属粒子の酸化反応によって発熱する。通常、酸化反応で生じる温度は800〜1200℃程度であり、主にNである排ガスは比較的低温であることからサーマルNOxは殆ど生成しない。また、還元反応系では、燃料としての炭化水素と酸化金属から供給される酸素のみが存在し、そのため、排ガス成分はほぼ二酸化炭素と水だけとなる。そのために、排出されたガスを冷却して水を取り除けばほぼ純粋なCOを容易に回収可能となる。
【0004】
上記のような利点があることから、ケミカルループ燃焼を実際に実施するための装置がすでに提案されており、特許文献1あるいは2には、ケミカルループ燃焼方式による発電プラントシステムが記載されている。
【0005】
また、ケミカルループ燃焼方式としては、非特許文献1に記載されるように、酸化塔の内部に還元塔が組み込まれている、いわゆる内部循環方式と、酸化塔と還元塔とが分離しており、両者は酸化した金属粒子の流路と還元した金属粒子の流路とによって接続されている、いわゆる外部循環方式とが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−332161号公報
【特許文献2】特開2000−337168号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】外部循環式:Use of NiO/NiAl2O4 Particles in a 10 kW Chemical-Looping CombustorMarcus Johansson, Tobias Mattisson, and Anders Lyngfelt‡Ind. Eng. Chem. Res. 2006, 45, 5911 5919 内部循環:Experimental results of chemical-looping combustion with NiO/NiAl2O4 particle circulation at 1200 degrees C Ishida M, Yamamoto M, OhbaTENERGY CONVERSION AND MANAGEMENT 2002, 43,9-12,1469-1478
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1あるいは2に記載されるように、現在、ケミカルループ燃焼の実用化に向けての研究は主に発電用に向けて行われており、燃焼装置も外部循環式を採用したCO回収型の大型のものを想定して研究開発がなされているのが現状である。ケミカルループ燃焼装置で生成された熱を、オンサイトでの産業用ボイラや工業炉などで利用する技術はほとんど研究開発がされていない。
【0009】
発電用として用いられるケミカルループ燃焼は、次の理由から大型化する傾向にある。すなわち、ケミカルループ燃焼では、金属の微粒子を安定的に流動化させることが求められ、そのため粒子量および粒径の大きさに応じて、反応塔内での空塔速度をある範囲内(例えば、0.1〜0.4m/s)に制御する必要があるところ、酸化塔から排出される排ガスの取り出す温度を上げようとすると、温度膨張により、温度に応じて気体(排ガス)の実流量が増え、空塔速度が大きくなる。そのために、反応塔(酸化塔)の断面積を大きくして空塔速度を抑える必要がある。一方、ケミカルループ燃焼装置からの排ガスを発電用として用いる場合では、ガスタービンの発電効率を向上させるために、排ガスの取り出し温度を高くすることが要請され、結果として、ケミカルループ燃焼装置は大型化する傾向になっている。
【0010】
大型化する傾向にあるケミカルループ燃焼装置の多数を工場の近辺に、あるいは各工場に設置することは、通常容易でなく、そのために、前記したように、ケミカルループ燃焼装置から出る排ガスが持つ熱をオンサイトでのボイラや工業炉などの熱源として用いることについての研究開発、ひいてはケミカルループ燃焼装置の利便性を向上させることについての研究開発は十分には進んでいない。
【0011】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ケミカルループ燃焼装置を大型化することなく、その酸化反応熱をオンサイトでの産業用ボイラや工業炉で利用できるようにすることで、利便性を大きく向上させたケミカルループ燃焼装置を提供することを課題とする。また、そのケミカルループ燃焼装置を備えた熱利用システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるケミカルループ燃焼装置は、金属粒子が酸化剤と反応して前記金属粒子の酸化物が生成される酸化塔と前記酸化塔で生成された金属粒子の酸化物が還元剤と反応して前記金属粒子に還元される還元塔とを備え、前記金属粒子が酸化と還元を受けながら前記酸化塔と前記還元塔との間を循環するようにされているケミカルループ燃焼装置であって、前記酸化塔内または還元塔内には前記金属粒子またはその酸化物と接触して反応熱を被加熱流体に伝熱する伝熱管が配置されていることを特徴とする(請求項1)。
【0013】
本発明によるケミカルループ燃焼装置では、酸化塔内または還元塔内には伝熱管が配置されており、該伝熱管内を流れる被加熱流体は、金属粒子またはその酸化物と接触して反応熱を吸収して高温の液体となる。例えば伝熱管が酸化塔内に配置されている態様では、伝熱管は、酸化剤(投入空気)と酸化反応することで発熱した金属粒子および発熱した金属粒子によって加熱された空気と直接接触し、その熱を伝熱管内を流れる被加熱流体に伝熱する。すなわち、酸化塔内において、金属粒子の酸化反応で生じた熱は伝熱管内を流れる被加熱流体と熱交換される。そのために、酸化塔から排出される主にNである投入空気(排ガス)の温度が大きく上がることがなく、酸化塔を通過する投入空気の平均温度も低くなる。その結果、空塔速度が抑えられるため、酸化塔の断面積を小さくできる。結果として、ケミカルループ燃焼装置の小型化が可能であり、燃焼量あたりの表面積も抑えることができ、放熱のロスも小さくできる。
【0014】
また、伝熱管が還元塔内に配置されている態様では、酸化塔内での発熱反応により発生した熱を保有した金属粒子が還元塔へ循環して、伝熱管と接触することにより伝熱管内部の被加熱流体を加熱するようになる。
【0015】
ケミカルループ燃焼は、主に金属の酸化反応により発熱するため、通常の燃焼器のように燃焼火炎が存在せず、1500度以上の高温部分が形成されることがない。さらに、本発明では、発熱した金属粒子と伝熱管との間で直に伝熱させて金属粒子および燃焼ガスの温度を急冷している。この2つの効果を同時に行うことにより、本発明のよるケミカルループ燃焼装置では、NOx排出量をほぼゼロにすることができる。
【0016】
さらに、本発明によるケミカルループ燃焼装置は前記のよう小型化が可能であり、伝熱管内を流れる被加熱流体の持つ熱をオンサイトでのボイラや工業炉などの熱源として用いることも可能となる。
【0017】
本発明によるケミカルループ燃焼装置の全体形状は、前記酸化塔の内部に前記還元塔が1つまたは1つ以上組み込まれている、または前記還元塔の内部に前記酸化塔が1つまたは1つ以上組み込まれている、いわゆる内部循環式でもよく(請求項2および請求項3)、酸化塔と還元塔とは分離していて両者は酸化した金属粒子の流路と還元した金属粒子の流路とによって接続されているいわゆる外部循環式でもよい(請求項4)。いずれの形式であっても、その酸化塔内に1本または複数本の伝熱管が配置される。複数本の伝熱管を配置する場合、各伝熱管は距離をおいて配置されていてもよく、壁をなすように密着して配置されていてもよい。いずれの形式においても、還元塔の形式は従来知られた形態の還元塔であってよい。
【0018】
本発明によるケミカルループ燃焼装置の好ましい形態において、酸化塔の上部近傍と下部近傍にはヘッダーが備えられ、伝熱管は上部ヘッダーと下部ヘッダーとに連通するようにして酸化塔内に配置される(請求項5)。上部ヘッダーと下部ヘッダーを配置することにより、熱負荷側(例えば、蒸気利用設備等)とケミカルループ燃焼装置との間での被加熱流体の循環が円滑となり、熱の有効利用が一層確実となる。
【0019】
上部ヘッダーと下部ヘッダーの間に中間ヘッダーを配置して、伝熱管を上部ヘッダーと中間ヘッダーと下部ヘッダーとに連通するようにして酸化塔内に配置するようにしてもよい(請求項6)。中間ヘッダーを設けることにより、粒子と直接伝熱する部分の伝熱管と加熱された気体と伝熱する部分の伝熱管の材質を変える場合に制作しやすい等の利点が得られる。
【0020】
本発明は、さらに、上記したいずれかのケミカルループ燃焼装置とそのケミカルループ燃焼装置に配置した伝熱管を流れる被加熱流体の持つ熱エネルギーを消費する熱負荷部とで構成される熱利用システムも開示する(請求項7)。熱負荷部の具体例としては、蒸気利用設備等が挙げられる(請求項8)。
【0021】
なお、本発明において、酸化剤は、空気に加えて、酸素富化空気、低窒素空気なども用いることができる。還元剤には、天然ガス、LPGガス、製鉄所の副製ガス、水素、石炭なども利用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ケミカルループ燃焼装置を大型化することなく、その酸化反応熱をオンサイトでの産業用ボイラや工業炉で利用できるようにしたケミカルループ燃焼装置が提供される。また、ケミカルループ燃焼装置を備えた熱利用システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態である内部循環式かつ下部供給式の装置の第1の態様を付設する配管系とともに示す図。
【図2】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態である内部循環式かつ下部供給式の装置の第2の態様を付設する配管系とともに示す図。
【図3】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態である内部循環式かつ下部供給式の装置の第3の態様を付設する配管系とともに示す図。
【図4】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態である内部循環式かつ下部供給式の装置の第4の態様を付設する配管系とともに示す図。
【図5】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第2の形態である外部循環式かつ下部供給式の装置を付設する配管系とともに示す図。
【図6】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第3の形態である内部循環式かつ上部供給式の装置を付設する配管系とともに示す図。
【図7】本発明によるケミカルループ燃焼装置の第4の形態である外部循環式かつ上部供給式の装置を付設する配管系とともに示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明によるケミカルループ燃焼装置のいくつかの形態を説明する。
【0025】
〈第1の形態の第1の態様〉
図1は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態における第1の態様の概略断面を付設する配管系とともに示している。第1の形態は、基本的に、内部循環式かつ下部供給式のケミカルループ燃焼装置である。そして、図1に示す第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aは、酸化塔の内部に1個の還元塔が備えられている。以下、その詳細を説明する。
【0026】
ケミカルループ燃焼装置A1aは、鋼板のような耐熱材で作られた円塔形の外塔1を有し、外塔1の上端面はやはり鋼板のような耐熱材で作られた天板2で閉鎖されている。外塔1内には中心軸線を同じにして外塔1よりも小径の円塔体3が取り付けてある。円塔体3の上端は天板2を貫通して外塔1の外部に延出しており、下端は外塔1の下端近傍に達している。なお、以下の説明では、外塔1を酸化塔1と呼び、円塔体3を還元塔3と呼ぶこととする。
【0027】
酸化塔1の下端部には、酸化塔1と同心円をなす円塔状の空気ヘッダー4が取り付けてあり、該空気ヘッダー4の上端は空気ノズル5とされている。空気ヘッダー4はブロワ6に接続しており、流量計7および調圧弁8を通して調圧された空気が空気ヘッダー4に送られて空気ノズル5から酸化塔1内に噴出する。後に説明するように、この空気は酸化剤として機能する。
【0028】
空気ヘッダー4の中央部であって前記した還元塔3の下端部に対向する位置には、上下方向に所定の隙間を保つようにして、塔状をなす燃料ノズル9が配置されている。燃料ノズル9の内径は還元塔3の下端部の内径よりもやや小さい。燃料ノズル9には、遮断弁10、調圧弁11、逆止弁12を通して、例えばメタンである調圧された燃料が送給され、還元塔3の下端開口部に向けて噴出する。後に説明するようにこの燃料は還元剤として機能する。
【0029】
この例において、燃料ノズル9とその外側を包囲する空気ヘッダー4との間には隙間が設けられており、その隙間には塔状のセパレートガスノズル13が配置されている。セパレートガスノズル13には、配管14を通して、例えばNガス、COガス等である酸素が含まれない不活性ガスが供給される。
【0030】
酸化塔1の底部であって前記した空気ヘッダー4の外側を包囲するようにして円塔状の下部ヘッダー15が取り付けられている。下部ヘッダー15の底面は水平面であるが、上面は円錐面16となっていて、円錐面の下端が空気ノズル5とほぼ同一面となっている。下部ヘッダー15の外周面は酸化塔1の内周面に接しており、酸化塔1の壁面に作られた孔17を通して、被加熱流体が流れる第1の流体配管18が下部ヘッダー15の外周面に接続している。
【0031】
酸化塔1の上方には、天板2に接するようにして円塔状の上部ヘッダー19が取り付けてある。上部ヘッダー19の内径と外径は下部ヘッダー15の内径と外径とほぼ同じである。上部ヘッダー19には酸化塔1の天板2に形成した孔20を通して被加熱流体の第2の流体配管21が接続している。この例において、第2の流体配管21はオンサイトでの蒸気利用設備や工業炉などの熱負荷部100に連通している。
【0032】
酸化塔1の内壁に沿うようにして、前記下部ヘッダー15の上部円錐面16から適宜上方位置まで、耐熱瓦や耐熱セラミックファイバーなどの耐熱材からなる適宜厚さの耐熱壁22が形成されており、該耐熱壁22の上端面は円錐壁23とされている。耐熱壁22の前記上端円錐壁23に下端面を沿わせるようにして、全体として斜板形状をなす中間ヘッダー24が取り付けられており、該中間ヘッダー24の内径と外径は下部ヘッダー15と内径と外径とほぼ等しくされている。そして、前記中間ヘッダー24が取り付けられている位置よりもやや上方位置において、前記した還元塔3には、固気分離装置25が取り付けられている。
【0033】
下部ヘッダー15と中間ヘッダー24と上部ヘッダー19の内部空間を相互に連通するようにして、複数本の伝熱管26が酸化塔1の中心軸線と平行に取り付けられている。複数本の伝熱管26は、図では、半径方向に複数列、かつ各例が複数本の伝熱管で構成されるようにして配置されているが、酸化塔1内での伝熱管26の配置は任意であり、後に記載するように、酸化塔1内に収容される金属粒子の流動を妨げないことを条件に適宜配置すればよい。
【0034】
なお、下部ヘッダー15、中間ヘッダー24、上部ヘッダー19は耐熱性に優れた材料で作られ、また特に伝熱管26は耐熱性と熱伝導性に優れた材料・形状で作られる。さらに、後に説明するように、伝熱管26は、下部ヘッダー15と中間ヘッダー24の間に位置する部分と、中間ヘッダー24と上部ヘッダー19の間に位置する部分とを、異なった材料で作ることが望ましい。
【0035】
酸化塔1の上部には排気口27が設けてあり、排気口27からの排ガス(後に記載するように、Nが主であり、Oが少量含まれる)は固気分離装置28を通して外気に排気される。
【0036】
以上の構成は、本発明による内部循環式かつ下部供給式の第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aが作動するために必要な構成であるが、より効率的な運転を行うために、ケミカルループ燃焼装置A1aはさらに次の配管系を備える。
【0037】
前記した排気口27からの排ガスは固気分離装置28を通過した後、さらに熱交換器29を通過する。そして熱交換器29を通過したNガスは図示しない貯蔵タンク内に貯蔵される。必要時に、NとOの混合ガスの一部は、ブロワ30によって昇圧され、遮断弁31と調圧弁32を通って配管14からセパレータガスノズル13に送られる。
【0038】
還元塔3の上部から排出される排ガス(後に記載するようにCOとHO蒸気である)は、外部からの冷却水が循環している気水分離装置33に流入し、蒸気を液化して分離した後、90%以上のCOを含む排ガスとして外部に排出され、図示しない貯蔵タンク内に貯蔵される。必要時に、90%以上のCOを含む排ガスの一部は、ブロワ34によって昇圧され、遮断弁35と調圧弁32を通って配管14からセパレータガスノズル13に送られる。
【0039】
気水分離装置33で生成された水は、遮断弁36、ポンプ37を介して熱交換器29に至り、そこで熱交換した後、必要に応じて、調圧弁38および逆止弁39を通って、燃料ノズル9への燃料供給管路内に水蒸気として供給される。
【0040】
上記のケミカルループ燃焼装置A1aの作動を説明する。事前に、酸化塔1の内部空間に金属粒子Mを充填する。充填量は、金属粒子Mが還元塔3に取り付けた固気分離装置25までは達しない量とする。なお、金属粒子Mは金属のみでなく酸化金属粒子が含まれていてもよい。金属粒子Mの好ましいものとしては、鉄(Fe)または酸化鉄(FeO,Fe,Fe)を例示できる。充填後、図示しないは酸化塔内に配置した予熱バーナあるいは酸化塔1の周壁に取り付けた電気ヒータ等の予熱手段により金属粒子Mを600℃程度まで予熱する。また、下部ヘッダー15と中間ヘッダー24と上部ヘッダー19、すべての伝熱管26、および第1の流体配管18と第2の流体配管21を、例えば水である被加熱溶液で満す。
【0041】
予熱後あるいは予熱の途中から、空気ヘッダー4に酸化剤として機能する所定量の空気(環境温度の空気であってよい)を供給して空気ノズル5から酸化塔1内に噴出させる。また、燃料ノズル9からは還元剤として機能する所定量のメタン等の燃料ガスを還元塔3に向けて噴出させる。さらに、セパレータガスノズル13からN、CO等の不活性ガスを酸化塔1内に向けて噴出させる。なお、運転開始当初は、不活性ガスは外部の不活性ガス源から供給するか、あるいは前回の運転時に系内の貯蔵タンクに貯蔵しておいた不活性ガス源から供給する。
【0042】
空気ノズル5からの噴出空気は酸化塔1内に流入し、燃料ノズル9からの燃料ガスは還元塔3内に流入する。その際に、上記のケミカルループ燃焼装置A1では、空気ノズル5と燃料ノズル9間にセパレートガスノズル13が位置し、そこから不活性ガスが噴出しているので、噴出後の空気と燃料ガスが混合するのを回避できる。
【0043】
酸化塔1では反応温度にまで予熱された金属粒子Mと、供給された空気内の酸素が反応して酸化金属粒子MOが生成される。その際に、金属の酸化反応によって発熱し、金属粒子M、酸化金属粒子MOおよび酸化塔1内を流れる空気は昇温する。しかし、金属の酸化反応によって発熱であり、1500度以上の高温部分が形成されることがなく、前記したようにサーマルNOxは生成されない。なお、金属粒子Mが酸化金属粒子MOを含む場合には、酸化金属粒子MOは前記酸化金属粒子がさらに酸化した形態の酸化金属粒子が該当する。例えば、金属粒子MがFeの場合、酸化金属粒子MOはFe等となる。
【0044】
酸化金属粒子MOおよび残存する場合での金属粒子Mは酸化塔1内を流下して還元塔3内に流入した後、還元塔3内を上昇する。還元塔3内を上昇する過程で、酸化金属粒子MOは燃料ガスによる還元作用を受けて金属粒子Mに戻る。上記のケミカルループ燃焼装置A1では、下部ヘッダー15の上面16は、中央に向けて低位となる円錐面となっているので、酸化塔1の底部から還元塔3への酸化金属粒子MOの移動は円滑に進行する。また、還元塔3内を上昇する固体成分とガス成分は、上昇の過程で固気分離装置25の作用を受けて、固体と気体に分離され、気体はさらに上昇して還元塔3の上部から排気される。固体、すなわち金属粒子Mと残存する場合での酸化金属粒子MOは、酸化塔1内に戻される。
【0045】
酸化塔1内で、金属粒子Mは空気ノズル5からの噴出空気の作用を受けて流動化状態となることから、金属粒子Mあるいはその酸化物MOの一部は当初貯留されていたときよりも上方に舞い上がることが起こり得る。上記のケミカルループ燃焼装置A1では、酸化塔1の下方の内壁面に前記耐熱壁22を形成したことにより、耐熱壁22が形成されている領域の水平断面積よりも、その上の耐熱壁22が形成されていない領域の水平断面積が大きくなっている。そのために、固気分離装置25近傍よりも上位の空間に舞い上がった金属粒子Mあるいはその酸化物MOは、その空塔速度が小さくなって下方に落下しやすくなる。さらに、中間ヘッダー24の上面に落下した金属粒子Mあるいはその酸化物MOは、中間ヘッダー24の上面が円錐面となっているので、その面に沿って確実に下方に落下する。そのために、金属粒子Mの酸化作用を円滑化するとともに、酸化塔1上部の排気口27から金属粒子が排出されるのを抑制することができる。なお、図示しないが、酸化塔1上部の排気口27から排出される金属粒子は固気分離装置28により分離されて、必要時に、酸化塔1内に戻される。
【0046】
一方、酸化塔1内で金属粒子Mが酸化することにより発生した熱は、伝熱管26の壁面を介して伝熱管26内を流れる被加熱流体を伝えられ、被加熱流体を加熱する。すなわち、本発明によるケミカルループ燃焼装置では、酸化反応により発熱した金属粒子Mの熱はガス(投入空気)に伝熱すると同時に、金属粒子M内に位置する伝熱管26にも直接熱交換するために、排ガス温度が大きく上がることがない。そのために、NOxの生成をさらに抑制することができる。また、酸化塔1内のガス(投入空気)の平均温度も低くなり、それにより空塔速度が抑えられるため、酸化塔1の断面積を小さくすることができる。結果として、装置の小型化が可能となり、燃焼量当たりの表面積も抑えることができ、放熱のロスも小さくすることができる。
【0047】
上記のケミカルループ燃焼装置A1aでは、中間ヘッダー24より下位の領域は金属粒子が貯留されている領域であり、その領域では伝熱管26は金属粒子と接触することで多くの摩擦損耗を受ける。一方、中間ヘッダー24より上位の領域は主にガスが存在する領域であり、伝熱管26の摩擦損耗は少ない。そのことから、伝熱管26の材料は、下部ヘッダー15と中間ヘッダー24の間に位置する部分では耐摩耗性に優れた材料とし、中間ヘッダー24と上部ヘッダー19の間に位置する部では比較して耐摩耗性に小さい材料とすることができる。そのように異なった材料を用いることで低コスト化が可能となる。
【0048】
酸化塔1内での熱交換により加熱された被加熱流体は、例えば、上部ヘッダー19から第2流体配管21、熱負荷部100、第1の流体配管18を循環し、下部ヘッダー15に戻ってくる。加熱された被加熱流体の循環は逆回りであってもよい。
【0049】
酸化塔1内での酸化反応に寄与することにより、投入空気は高温の排ガスとなり排気口27から排出される。排ガスは、空気の供給量に応じて、Oを含まない高濃度のNガスか、残存OとNを含むガスとなる。前記したように排ガスは固気分離装置28および熱交換器29を通った後、図示しないN貯蔵タンク塔へ送られて貯蔵されるが、一部のNはブロワ30で昇圧され遮断弁31と調圧弁32を通って配管14からセパレータガスノズル13に送られる。
【0050】
一方、還元塔3からの排ガスは還元反応により生成されたCOとHOからなっており、高温ガスであることからHOは水蒸気となっている。還元塔3からの排ガスは冷却水が循環している気水分離装置33で凝縮されて水と高濃度(90%以上)のCOを含むガスに分離される。得られたCOガスは、必要な場合には適宜の手段でさらに濃縮した後に、そのままあるいは液化COとして貯蔵される。COガスの一部は、必要時に、ブロワ34で昇圧され遮断弁35と調圧弁32を通って配管14からセパレータガスノズル13に送られる。そのために、図1に記される態様のケミカルループ燃焼装置A1aでは、初期の運転時を除き、空気ノズル5から供給される空気と燃料ノズルから供給される燃料ガスとを分離する目的で、セパレートガスノズル13から供給すべき不活性ガス(NまたはCO)を自給することが可能となる。
【0051】
気水分離装置33で生成された水は、酸化塔1からの高温排ガスと熱交換器29において熱交換して水蒸気となり、必要時にその水蒸気は調圧弁38と逆止弁39を通り燃料ガスに混入される。水蒸気の供給を必要とすることにより、Feのような比較的安価な金属粒子材料を用いる場合でも、効率的に還元反応を進行させることが可能となる。また、反応性の遅いメタンなどの炭化水素でも効率的に酸化金属の還元反応を進行させることが可能となる。
【0052】
なお、上記の例では、第1の流体管路18と第2の流体管路21は非連続のものとして説明したが、熱負荷部100の種類や形態によっては、第1の流体管路18と熱負荷部100と第2の流体管路21との間で、連続した循環路を構成するようにしてもよい。いずれの場合にも、第2の流体管路21を流入側とし、第1の流体管路18を流出側として全体の管路系を構成しても、同じ作用効果が得られることは説明を要しない。
【0053】
〈第1の形態の第2の態様〉
図2は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態における第2の態様の概略断面を付設する配管系とともに示している。図2に示す第2の態様のケミカルループ燃焼装置A1bは、酸化塔1の内部に複数個(図示の例では2個)の還元塔3,3が備えられている点と、各還元塔3,3に対応するようにして、酸化塔1の下端部に、空気ヘッダー4、空気ノズル5、燃料ノズル9、およびセパレートガスノズル13等が配置されている点で、図1に示した第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aと構成が相違する。配管系の構成、伝熱管26と下部ヘッダー15、中間ヘッダー24、上部ヘッダー19等に係る構成、およびそれらが奏する作用効果は基本的に第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aの場合と同じであり、同じ符号を付すことで、説明は省略する。
【0054】
図示の例において、2個の還元塔3,3は酸化塔1の軸心線と平行な姿勢で酸化塔1内に配置されており、各還元塔3,3の下端部位置に対応するようにして、酸化塔1の下端部に、空気ヘッダー4、空気ノズル5、燃料ノズル9、およびセパレートガスノズル13等が配置されている。そして、各空気ヘッダー4、4には、ブロワ6からの調圧された空気が供給され、各燃料ノズル9、9には、遮断弁10、調圧弁11、逆止弁12を通して調圧された燃料が送給される。また、各セパレートガスノズル13、13には、配管14を通して酸素が含まれない不活性ガスが供給される。各還元塔3,3の上部から排出される排ガスは、合流した後に、外部からの冷却水が循環している気水分離装置33に流入する。
【0055】
〈第1の形態の第3の態様〉
図3は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態における第3の態様の概略断面を付設する配管系とともに示している。図3に示す第3の態様のケミカルループ燃焼装置A1cは、基本的に内部循環式かつ下部供給式のケミカルループ燃焼装置であるが、酸化塔の内部に還元塔が備えられるのではなく、還元塔と内部に1個の酸化塔が備えられている点で、図1に示した第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aと構成が異なっている。
【0056】
以下、ケミカルループ燃焼装置A1cの構成を、図1に示した第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aと構成が相違する部分を主にして説明する。ケミカルループ燃焼装置A1cは、ケミカルループ燃焼装置A1aと同様の外塔1aを有し、外塔1a内には中心軸線を同じにして円塔体3aが取り付けてある。円塔体3aの上端は天板2を貫通して外塔1aの外部に延出しており、下端は外塔1aの下端近傍に達している。なお、以下の説明では、外塔1aを還元塔1aと呼び、円塔体3aを酸化塔3aと呼ぶ。
【0057】
還元塔1aの下端部の中央には、酸化塔1aと同心円をなす円塔状の空気ヘッダー4が取り付けてあり、該空気ヘッダー4の上端は空気ノズル5とされている。好ましくは空気ノズル5の内径は酸化塔3aの下端部の内径よりもやや小さい。空気ヘッダー4を包囲するようにして塔状をなす燃料ノズル9が配置されており、燃料ノズル9には、遮断弁10、調圧弁11、逆止弁12を通して、調圧された燃料が送給される。空気ヘッダー4とその外側を包囲する燃料ノズル9との間には隙間が設けられており、その隙間には塔状のセパレートガスノズル13が配置されている。セパレートガスノズル13には、酸素が含まれない不活性ガスが供給される。
【0058】
図3に示すように、還元塔1aの内部には、第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aにおける酸化塔1の場合と同様にして、耐熱壁22、下部ヘッダー15、中間ヘッダー24、上部ヘッダー19、および伝熱管26等が取り付けられている。還元塔1aの上部には排気口27が設けてあり、排気口27からの排ガスは、第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aと同様に、外部からの冷却水が循環している気水分離装置33に流入する。また、酸化塔3aからの排ガスは、第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aと同様に、固気分離装置28を通して外気に排気される。
【0059】
ケミカルループ燃焼装置A1c内での金属の酸化還元反応は、外塔1a内で金属の還元反応が進行し、円塔体3a内で金属の酸化反応が進行する点を除き、図1に基づき説明したケミカルループ燃焼装置A1aでの金属の酸化還元反応と基本的に同じである。すなわち、還元塔1aの内部空間内で、酸化金属粒子MOは燃料ノズル9から供給される燃料ガスと還元反応して金属粒子Mとなり酸化塔3a内を流入する。酸化塔3a内を通過する過程で、金属粒子Mは空気ノズル5から供給される空気中の酸素と酸化反応して酸化金属粒子MOに戻される。そして、酸化金属粒子MOは酸化塔3aに取り付けた固気分離装置25を通って還元塔1a内に戻される。
【0060】
ケミカルループ燃焼装置A1cにおいて、配管系の構成、伝熱管26と下部ヘッダー15、中間ヘッダー24、上部ヘッダー19等に係る構成、およびそれらが奏する作用効果は基本的に第1の態様のケミカルループ燃焼装置A1aの場合と同じであり、同じ符号を付すことで、説明は省略する。
【0061】
〈第1の形態の第4の態様〉
図4は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第1の形態における第4の態様の概略断面を付設する配管系とともに示している。図4に示す第4の態様のケミカルループ燃焼装置A1dは、還元塔1aの内部に複数個(図示の例では2個)の酸化塔3a,3aが備えられている点と、各酸化塔3a,3aに対応するようにして、還元塔1aの下端部に、空気ヘッダー4、空気ノズル5、燃料ノズル9、およびセパレートガスノズル13等が配置されている点で、図3に示した第3の態様のケミカルループ燃焼装置A1cと構成が相違する。配管系の構成、伝熱管26と下部ヘッダー15、中間ヘッダー24、上部ヘッダー19等に係る構成、およびそれらが奏する作用効果は基本的に第3の態様のケミカルループ燃焼装置A1cの場合と同じであり、同じ符号を付すことで、説明は省略する。
【0062】
図示の例において、2個の酸化塔3a,3aは還元塔1aの軸心線と平行な姿勢で還元塔1a内に配置されており、各酸化塔3a,3aの下端部位置に対応するようにして、還元塔1aの下端部に、空気ヘッダー4、空気ノズル5、燃料ノズル9、およびセパレートガスノズル13等が配置されている。そして、各空気ヘッダー4、4には、ブロワ6からの調圧された空気が供給され、各燃料ノズル9、9には、遮断弁10、調圧弁11、逆止弁12を通して調圧された燃料が送給される。また、各セパレートガスノズル13、13には、配管14を通して酸素が含まれない不活性ガスが供給される。
【0063】
ケミカルループ燃焼装置A1cの場合と同様、還元塔1aの上部に形成した排気口27からの排ガスは、外部からの冷却水が循環している気水分離装置33に流入する。また、酸化塔3a,3aからの排ガスは、合流した後に固気分離装置28を通して外気に排気される。
【0064】
〈第2の形態〉
図5は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第2の形態の概略断面を付設する配管系とともに示している。第2の形態は、外部循環式かつ下部供給式のケミカルループ燃焼装置である。すなわち、第2の形態のケミカルループ燃焼装置A2は、酸化塔201と還元塔203は分離しており、両者は酸化した金属粒子MOが移動する流路250と還元した金属粒子Mが移動する流路260とによって接続されていることを特徴とする。以下の説明では、第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)におけると実質的に同じ機能を奏する部材には、同じ符号を200番台の符号として付し、具体的な構成が異なる場合を除き、詳細な説明は省略する。
【0065】
ケミカルループ燃焼装置A2は、前記のように酸化塔201と還元塔203は分離しており、両者は断熱手段が施された酸化金属流路250と金属粒子流路260とで接続されている。すなわち、酸化塔201内には、被加熱流体の熱交換に必要な手段である下部ヘッダー215、中間ヘッダー224、上部ヘッダー219、伝熱管226等の手段は存在するが、還元塔に相当する手段は存在しない。そのために、酸化塔201の底部には、空気ノズル205を備えた空気ヘッダー204のみが存在し、第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)における燃料ノズル9とセパレートガスノズル13は存在しない。それにより、酸化塔201の直径をより小さなものとすることができる。
【0066】
また、前記のように、酸化金属粒子MOは酸化金属流路250を通って還元塔203に移動する形式であり、そのために、酸化塔201内に貯留される金属粒子Mの貯留上端位置のやや上方位置に平板状の中間ヘッダー224が備えられ、中間ヘッダー224の中央空間領域には第1の固気分離装置270が配置されている。そして、第1の固気分離装置270の固体排出口側に前記した酸化金属流路250の一方端が接続している。
【0067】
還元塔203は、その上方位置において酸化金属流路250の他方端と接しており、その接続部と天板との間に第2の固気分離装置271を備えている。還元塔203の下方位置には金属粒子流路260の一方端が接続しており、金属粒子流路260の他方端は酸化塔201の下方部分に接続している。酸化金属流路250の途中には粒子溜め251が設けてあり、金属粒子流路260の途中にも粒子溜め262が設けてある。また、還元塔203の底面には燃料ノズル209が取り付けてある。
【0068】
酸化塔201に取り付けた第1の固気分離装置270で固体分(主に酸化金属粒子MO)を分離した後の気体(排ガス)は排気口227から排気されるが、この形態では排ガス中にほとんど固形分が含まれないので、第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)での固気分離装置28を省略することができる。第1の固気分離装置270で分離された固体分(主に酸化金属粒子MO)は酸化金属流路250を通って還元塔203内に流入し、そこを落下する過程で、燃料ノズル209から送給される燃料ガスによる還元作用を受け、還元後の金属粒子Mは金属粒子流路260を通って酸化塔201内に戻される。還元塔203に取り付けた第2の固気分離装置271は固体分(主に還元を受ける前の酸化金属粒子MO)を分離して還元塔203内に戻すとともに、気体(主にCOとHO)を還元塔203から排ガスとして排出する。
【0069】
酸化塔201からの排ガスおよび還元塔203からの排ガスのための配管系は第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)での配管系と同じである。ただし、双方の排ガスから生成されるNOおよびCOである不活性ガスが、セパレートガスノズル13にではなく、前記した粒子溜め251および262にパージガスとして供給される点で相違する。粒子溜め251および262に不活性ガスをパージガスとして供給することにより、酸化金属流路250および金属粒子流路260において、空気(酸化剤)と燃料ガスが混合するのを確実に阻止できるようになり、燃料ガスの直接燃焼を確実に回避できるようになる。なお、2つの粒子溜め251、262、特に酸化金属流路250に設ける粒子溜め251は省略することもできる。省略してもケミカルループ燃焼装置A2の運転は可能である。
【0070】
ケミカルループ燃焼装置A2において、酸化塔201内に酸化反応熱を被加熱流体と熱交換するための手段(下部ヘッダー215、中間ヘッダー224、上部ヘッダー219、伝熱管226等)を設けたことによる達成される作用効果は、第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)におけると同じであり、説明は省略する。また、各管路系での排ガス、空気、燃料ガス等の動きも第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1(A1a〜A1d)の場合と同じであり、説明は省略する。
【0071】
〈第3の形態〉
図6は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第3の形態の概略断面を付設する配管系とともに示している。第3の形態は、内部循環式かつ上部供給式のケミカルループ燃焼装置である。すなわち、第3の形態のケミカルループ燃焼装置A3は、空気(酸化剤)、燃料ガス(還元剤)、セパレートガス(不活性ガス)が酸化塔301および還元塔303の上部から供給される形式である点で、図1に示した第1形態のケミカルループ燃焼装置A1aと相違しており、その点を除き第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1aと同じである。以下の説明では、ケミカルループ燃焼装置A1aにおけると実質的に同じ機能を奏する部材には、同じ符号を300番台の符号として付し、具体的な構成が異なる場合を除き、詳細な説明は省略する。
【0072】
ケミカルループ燃焼装置A3において、酸化塔301、および、被加熱流体の熱交換に必要な手段である下部ヘッダー315、中間ヘッダー324、上部ヘッダー319、伝熱管326等の手段は第1の形態であるケミカルループ燃焼装置A1aと実質的に同じである。ただし、下部ヘッダー315の中央部分は円錐面316である上面に連続する凹状のコーン部材360により閉鎖されている。
【0073】
酸化塔301の中心部には酸化塔301の軸芯方向に延びる還元塔303が取り付けてあり、その上端側は天板302を貫通し、下端側は前記したコーン部材360の近くまで達している。還元塔303の中心部には燃料ガス供給管361が挿入されている。燃料ガス供給管361は還元塔303の下端部の直上位置まで達しており、先端部は燃料ノズル309とされている。還元塔303の内周壁面に沿うようにして所要本数のセパレートガス供給管362が取り付けてあり、その先端は還元塔303の下端まで達していて、先端部はセパレートガスノズル313とされている。
【0074】
還元塔303の径方向外側には、還元塔303とほぼ平行にかつ還元塔303の軸芯線から同心円状に、所要本数の空気供給管363が取り付けてある。空気供給管363の上端側は天板302を貫通しており、下端側は下部ヘッダー315の天面または前記したコーン部材360の近くまで達している。各空気供給管363の下端部は空気ノズル305とされている。
【0075】
燃料ガス供給管361には、遮断弁310、調圧弁311、逆止弁312を通して調圧された燃料ガスが送給され、下端部の燃料ノズル309から還元塔303内に噴出する。空気供給管363には、ブロワ306、流量計307、調圧弁308を通して調圧された空気が供給され、下端部の空気ノズル305から酸化塔301内に噴出する。燃料ガスの一部は、管路364と遮断弁365を通って、必要時に空気供給管363のいずれかまたは全部に供給され、下端部の空気ノズル305から酸化塔301内に噴出する。セパレートガス供給管362には配管314を通して、例えばNガス、COガス等である不活性ガスが供給され、供給された不活性ガスは先端のセパレートガスノズル313から還元塔303の底面(コーン部材360)に向けて噴出する。
【0076】
上記のケミカルループ燃焼装置A3において、酸化塔301内に酸化反応熱を被加熱流体と熱交換するための手段(下部ヘッダー315、中間ヘッダー324、上部ヘッダー319、伝熱管326等)を設けたことにより達成される作用効果は、図1に基づき説明したケミカルループ燃焼装置A1aにおけると同じであり、説明は省略する。ただし、ケミカルループ燃焼装置A3では、酸化塔301内に空気を供給する空気供給管363と還元塔303内に燃料ガスを供給する燃料ガス供給管361およびセパレートガス供給管362とを、酸化塔301の上部から、すなわち酸化塔301の天板302に形成した開口部から落とし込むようにして取り付けるようにしたので、ケミカルループ燃焼装置A3を組み立てるときに、クレーン等でそれらの部材を持ちあげて組み付けることが可能となり、図1に示したケミカルループ燃焼装置A1aと比較して製造が容易となることに加え、稼働後でのメンテナンスもきわめて容易となる。特に、図示されるように共通の取り付け用基板366を用い、そこに前記した空気供給管363と燃料ガス供給管361とセパレートガス供給管362とを取り付けることにより、組立時あるいはメンテナンス時にそれらを一体のものとして取り扱うことが可能となり、作業性が一層向上する。
【0077】
また、上記のケミカルループ燃焼装置A3において、各管路系での排ガス、空気、燃料ガス等の動きもケミカルループ燃焼装置A1aの場合とほぼ同じである。しかし、前記したように、空気供給管363と燃料ガス供給管361とセパレートガス供給管362を酸化塔301の上部から差し込むようにして取り付けたことに起因して、ガスの動きに少しの違いが生じる。
【0078】
すなわち、空気は空気供給管363を通過した後にその下端部の空気ノズル305から酸化塔301内に噴出され、その空気が上昇する過程で金属粒子Mとの間での酸化反応に寄与する。酸化反応をした後の空気すなわちNリッチの空気が、酸化塔301上部の排気口327から排ガスとして排出されるのはケミカルループ燃焼装置A1aの場合とほぼ同じである。また、図示のケミカルループ燃焼装置A3においては、空気供給管363の一部の空気供給管363aに遮断弁365を通して燃料ガスを供給できるようにしており、その空気供給管363aを昇温用バーナ363aとして用いることができる。
【0079】
運転時に、燃料ガスは燃料ガス供給管361の上端から供給されて下端の燃料ノズル309から噴出する。噴出した燃料ガスは還元塔内壁と燃料ガス供給管361との間の空間領域を酸化金属粒子MOとともに上昇する。上昇の過程で燃料ガスは酸化金属粒子MOの還元に寄与し、酸化金属粒子MOを金属粒子Mに還元する。還元された金属粒子Mは還元塔303に取り付けた固気分離装置325により分離されて酸化塔301内に戻される。COと水蒸気で構成される排ガスは、還元塔303の上端から排気される。その後の排ガスの挙動はケミカルループ燃焼装置A1aの場合と同じである。
【0080】
運転時に、セパレートガス供給管362にはその上端部からCOまたはN等の不活性ガスが供給され、セパレートガスノズル313から酸化塔301内に噴出する。噴出する不活性ガスにより、空気ノズル305から噴出する空気と、燃料ガス供給管361の下端の燃料ノズル309から噴出する燃料ガスとが混合するのを回避でき、燃料ガスが直接燃焼するのを阻止できる。このことも、ケミカルループ燃焼装置A1aの場合と同じである。
【0081】
さらに、酸化塔301の底部における還元塔303の下端と対向する部分に、表面が滑らかな円錐面あるいは放物線面であるコーン部材360を取り付けたことで、酸化金属粒子MOあるいは金属粒子Mの移動を円滑化することができ、酸化塔301の底部から還元塔303内に酸化金属粒子MOあるいは金属粒子Mが流入するのを良好にしている。
【0082】
なお、図示しないが、内部循環式かつ上部供給式のケミカルループ燃焼装置である第3の形態のケミカルループ燃焼装置においても、その変形した態様として、酸化塔301内に複数個の還元塔303を配置する態様(図2に示したケミカルループ燃焼装置A1bに相当する態様)、還元塔内に1個の酸化塔を配置する態様(図3に示したケミカルループ燃焼装置A1cに相当する態様)、還元塔内に複数個の酸化塔を配置する態様(図4に示したケミカルループ燃焼装置A1dに相当する態様)とすることもできることは説明を要しない。
【0083】
〈第4の形態〉
図7は、本発明によるケミカルループ燃焼装置の第4の形態の概略断面を付設する配管系とともに示している。第4の形態は、外部循環式かつ上部供給式のケミカルループ燃焼装置である。すなわち、第4の形態のケミカルループ燃焼装置A4は、空気(酸化剤)、燃料ガス(還元剤)、セパレートガス(不活性ガス)が酸化塔401および還元塔403の上部から供給される形式である点で第3の形態であるケミカルループ燃焼装置A3と同じであり、酸化塔401と還元塔403が分離していて、両者は酸化した金属粒子MOが移動する流路450と還元した金属粒子Mが移動する流路460とによって接続されている点で、第3の形態であるケミカルループ燃焼装置A3と相違している。そして、酸化塔401と還元塔403が分離している構成は、図5に示した第2の形態であるケミカルループ燃焼装置A2と実質的に同じである。以下の説明では、第3の形態であるケミカルループ燃焼装置A3におけると実質的に同じ機能を奏する部材には、同じ符号を400番台の符号として付し、具体的な構成が異なる場合を除き、詳細な説明は省略する。
【0084】
ケミカルループ燃焼装置A4は、ケミカルループ燃焼装置A2と同様に、酸化塔401内には、被加熱流体の熱交換に必要な手段である下部ヘッダー415、中間ヘッダー424、上部ヘッダー419、伝熱管426等の手段は存在するが、還元塔に相当する手段は存在しない。そして、下部ヘッダー415の中央部分は円錐面416である上面に連続する凹状のコーン部材460により閉鎖されている。
【0085】
酸化塔401の中央部には、酸化塔401の軸芯方向に延びる所要本数の空気供給管463が挿入されており、その下端部は酸化塔401の底面近傍にまで達している。空気供給管463の下端先端部は空気ノズル405とされている。また、前記のように酸化金属粒子MOは酸化金属流路450を通って還元塔403に移動する形式であり、そのために、酸化塔401内に貯留される金属粒子Mの貯留上端位置のやや上方位置に平板状の中間ヘッダー424が備えられ、中間ヘッダー424の中央空間領域に第1の固気分離装置470が配置されている。そして、第1の固気分離装置470の固体排出口側に前記した酸化金属流路450の一方端が接続している。また、前記した空気供給管463は第1の固気分離装置470内を通過している。
【0086】
還元塔403には、その天面を通過するようにして燃料ガス供給管461が還元塔403の軸芯線方向に平行に挿入されており、その下端部は還元塔403の底面近傍にまで達していて、燃料ノズル409とされている。また、還元塔403は、その上方位置において酸化金属流路450の他方端と接しており、その接続部と天板との間に第2の固気分離装置471を備えている。前記燃料ガス供給管461は第2の固気分離装置471内を通過している。還元塔403の下方位置には金属粒子流路460の一方端が接続しており、金属粒子流路460の他方端は酸化塔401の下方部分に接続している。酸化金属流路450の途中には粒子溜め451が設けてあり、金属粒子流路460の途中にも粒子溜め462が設けてある。
【0087】
上記のケミカルループ燃焼装置A4において、酸化塔401内に酸化反応熱を被加熱流体と熱交換するための手段(下部ヘッダー415、中間ヘッダー424、上部ヘッダー419、伝熱管426等)を設けたことによる達成される作用効果は、図1に基づき説明したケミカルループ燃焼装置A1aにおけると同じであり、また、酸化塔401の上方から空気供給管463を取り付けるようにしたことによる作用効果は、図6に基づき説明したケミカルループ燃焼装置A3におけると同じである。さらに、複数本の空気供給管463の一部の空気供給管463aに遮断弁465を通して燃料ガスを供給できるようにすることにより、その空気供給管463aを昇温用バーナ463aとして用いることができるのも、図6に基づき説明したケミカルループ燃焼装置A3と同様である。
【0088】
ケミカルループ燃焼装置A4において、上方から供給される空気は空気供給管463を通過した後に、その下端部の空気ノズル405から酸化塔401内に噴出され、その空気が上昇する過程で金属粒子Mとの間での酸化反応に寄与する。酸化反応をした後の空気すなわちNリッチの空気は第1の固気分離装置470を通って酸化塔401上部の排気口427から排ガスとして排出されるのはケミカルループ燃焼装置A3の場合とほぼ同じである。
【0089】
第1の固気分離装置470で分離された固体(主に酸化金属粒子MO)は酸化金属流路450を通って還元塔403に移動し、そこで還元作用を受けて金属粒子Mとなり、還元後の金属粒子Mは金属粒子流路460を通って酸化塔401内に戻されること、および、還元塔403に取り付けた第2の固気分離装置471は固体分(主に還元を受ける前の酸化金属粒子MO)を分離して還元塔403内に戻すとともに、気体(主にCOとHO)を還元塔403から排ガスとして排出することは、図5に示した第2のケミカルループ燃焼装置A2と同じであり。ただし、第4のケミカルループ燃焼装置A4では、還元塔403の上方から燃料ガス供給管461を還元塔403内に取り付けるようにしており、還元塔403の組み付けおよびメンテナンスがきわめて容易となる。
【0090】
その他の各管路系での排ガス、空気、燃料ガス等の動きはケミカルループ燃焼装置A2の場合と同じであり説明は省略する。
【0091】
なお、上記したいずれの形態のケミカルループ燃焼装置においても、前記したように、排ガスから高濃度のCOを分離できる。必要な場合には、濃度90%以上で回収したCOを利用用途に応じて例えばPSA法などを用いてさらに濃縮することで、99.999%濃度のCOが得られる。
【0092】
また、本発明によるケミカルループ燃焼装置の運転において、系全体の金属粒子(M)と酸化金属粒子(MO)を常にある比率の範囲に保つために、燃料と酸化剤の瞬間値はもちろんのこと、積算投入量を管理することで、系全体が運転開始時から酸化側に寄ったのか、還元側に寄ったのかを判別してフィードバックをかけることもできる。また、燃料と酸化剤とが適正に金属を介して反応しているかどうかを判断するため、下記に示す「酸素有効利用率」を1.0付近で制御することが推奨される。
【0093】
酸素有効利用率=(外部酸素投入量−系外にでる酸素量)/(燃料の理論酸素量)
さらに、本発明によるケミカルループ燃焼装置において、酸化塔と還元塔の出口付近に圧力計を設置することもできる。そして、還元等からCOを高濃度で取り出したい場合には、還元塔側の圧力が酸化塔の圧力よりやや高くなるように排気ブロアをインバーターで制御する。
【0094】
また、装置内での反応が継続していることを確認するために、酸化塔内に熱電対を2個挿入することもできる。一箇所は固気分離装置より下部の粒子面より下まで挿入し、もう一つは、固気分離装置の上部に設置する。そして、金属粒子内部の温度を還元剤の反応温度(例えば、天然ガスの場合760℃)以上に保つようにする。保てない場合には、燃料ガスの供給を遮断する。
【0095】
さらに、上記したいずれのケミカルループ燃焼装置においても、図示したように、気水分離装置33で生成された水から得られる水蒸気を調圧弁38および逆止弁39を通して燃料ノズル9への燃料供給管路内に供給するようにしたが、装置内で生成される水蒸気およびCOを含むガス(例えば、還元塔3からの排ガス)を還元塔に供給される還元剤を含むガス(燃料ガス)に添加するようにしても、同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0096】
A1…ケミカルループ燃焼装置、
1…酸化塔、
3…還元塔、
4…空気ヘッダー、
5…空気ノズル、
9…燃料ノズル、
13…セパレートガスノズル、
15…下部ヘッダー、
18…第1の流体配管、
19…上部ヘッダー、
21…第2の流体配管、
22…耐熱壁、
24…中間ヘッダー、
25…固気分離装置、
26…伝熱管、
27…酸化塔の上部の排気口、
28…固気分離装置、
29…熱交換器、
33…気水分離装置、
100…熱負荷部、
M…金属粒子、
MO…酸化金属粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子が酸化剤と反応して前記金属粒子の酸化物が生成される酸化塔と前記酸化塔で生成された金属粒子の酸化物が還元剤と反応して前記金属粒子に還元される還元塔とを備え、前記金属粒子が酸化と還元を受けながら前記酸化塔と前記還元塔との間を循環するようにされているケミカルループ燃焼装置であって、
前記ケミカルループ燃焼装置の前記酸化塔内または還元塔内には前記金属粒子またはその酸化物と接触して反応熱を被加熱流体に伝熱する伝熱管が配置されていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載のケミカルループ燃焼装置であって、前記酸化塔の内部に前記還元塔が1つまたは1つ以上組み込まれていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項3】
請求項1に記載のケミカルループ燃焼装置であって、前記還元塔の内部に前記酸化塔が1つまたは1つ以上組み込まれていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項4】
請求項1に記載のケミカルループ燃焼装置であって、前記酸化塔と前記還元塔とは分離しており、両者は酸化した金属粒子の流路と還元した金属粒子の流路とによって接続されていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のケミカルループ燃焼装置であって、前記酸化塔または還元塔の上部近傍と下部近傍にはヘッダーが備えられており、前記伝熱管は前記上部ヘッダーと前記下部ヘッダーとに連通するようにして配置されていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項6】
請求項5に記載のケミカルループ燃焼装置であって、前記酸化塔または還元塔は前記上部近傍と前記下部近傍との間に中間ヘッダーをさらに備えており、前記伝熱管は前記上部ヘッダーと前記中間ヘッダーと前記下部ヘッダーとに連通するようにして配置されていることを特徴とするケミカルループ燃焼装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のケミカルループ燃焼装置と前記ケミカルループ燃焼装置に配置した前記伝熱管を流れる被加熱流体の持つ熱エネルギーを消費する熱負荷部とで構成される熱利用システム。
【請求項8】
請求項7に記載の熱利用システムであって、前記熱負荷部が蒸気利用設備である熱利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−172889(P2012−172889A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34654(P2011−34654)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(391022614)学校法人幾徳学園 (19)