説明

ケース付消しゴム

【課題】装飾性を有したケース付消しゴム1を得る。
【解決手段】ケース4が、前方に開口部を有した透明樹脂から成るケース本体2と、消しゴム5を挟持する二つの挟持片31と当該挟持片31を後方で連接する連接部32とを有する挟持体3とを備え、挟持片31の外側面にケース本体2の内面と当接する当接縁部311を設けると共に当接縁部311の内側に装飾用凹部312を設け、装飾用凹部312に装飾用シール6aを貼り付け、消しゴム5を挟持体3の挟持片31で挟持した上で挟持体3をケース本体2に挿着することで、ケース本体2の外方より装飾用シール6aを透過して視認できるようする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消しゴムの一部をケースから露出させて使用できるようにしたケース付消しゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケース付消しゴムは、例えば実開昭51−7046号公報に記載されているように、ケースと挟持部材とで構成したものは、消しゴムがすり減ってきた際に、消しゴムを繰り出し易く、また消しゴムが小さくなっても使用し易いなど、紙製のケースで覆っただけの消しゴムに比べて利便性がある。しかしながら従来のケースおよび挟持部材の役割は、消しゴムをケース内部に保持して汚れを防止したり、持ち易くするという機能性を向上させる構造でしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51−7046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装飾性を有したケース付消しゴムを得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
「1.消しゴムの一部をケースから露出させて使用できるようにしたケース付消しゴムであって、ケースが、前方に開口部を有した透明樹脂から成るケース本体と、消しゴムを挟持する二つの挟持片と当該挟持片を後方で連接する連接部とを有する挟持体とを備え、前記挟持片の外側面に前記ケース本体の内面と当接する当接縁部を設けると共に当該当接縁部の内側に装飾用凹部を設け、前記装飾用凹部に装飾用シールを貼り付け、前記消しゴムを前記挟持体の挟持片で挟持した上で当該挟持体を前記ケース本体に挿着することで、前記ケース本体の外方より前記装飾用シールを透過して視認できるようにしたことを特徴とするケース付消しゴム。
2.前記挟持片の前方内面に前後方向に等間隔で並ぶ複数の突起部を設け、前記消しゴムを前記挟持片で挟持させ前記挟持体を前記ケース本体に挿着することで、前記挟持片の突起部で前記消しゴムの外面を圧接し、前記消しゴムの外面に前記突起部と鏡像形状である陥没部を形成することを特徴とした1項に記載のケース付消しゴム。
3.前記挟持体の挟持片の外側面に設けた装飾用凹部の表面に微細な凹凸部を設けたことを特徴とする1項または2項に記載のケース付消しゴム。」である。
【0006】
本発明では、ケース本体を透明樹脂で形成することが好ましく、ケース本体を不透明な材質で形成する場合には、ケース本体における挟持体の装飾用凹部の位置に窓部を形成して内部が視認できるようにする必要がある。また、挟持体の装飾用凹部は、その深さを深く形成すれば、厚みのあるシールや、複数のシールを重ねて使用することができるものとなる。また、挟持片の前方内面に複数の突起部を前後方向に等間隔で設けることで、消しゴムの外面に複数の陥没部を等間隔に形成することができ、ケースからの突出量が少なくなった消しゴムを再び挟持体で挟持させる際に、陥没部を目印にして突出量が調整できるものとなる。突起部の形状は一般的な山形状以外にも、丸形状や三角形状あるいはハート形状や星形状など装飾性を有する形態とすることで、突起部により形成される陥没部の形状にも装飾性が得られる。尚、微細な凹凸部は、シボ加工や梨地加工で形成したり、あるいは装飾用凹部に装飾用シールを貼った状態でシールの表面がケース本体の内面に当接しない程度の高さとなる複数の小突起を設けて形成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のケース付消しゴムは、前述したような構造なので、装飾性を得ることができると共に、挟持体の当接縁部がケース本体の内面に当接する構成なので、挟持体をケース本体から着脱する際に、挟持体に貼り付けた装飾用シールが擦れて剥がれてしまうことを防止し、また装飾用シールがケース本体にて覆われているため、装飾用シールが汚れて見栄えを悪くしてしまうことを防止できる。さらに挟持体の挟持片の前方内面に複数の突起部を前後方向に等間隔で設けることで、消しゴムの外面に等間隔の陥没部を形成することが可能となり、陥没部を利用して、消しゴムの突出量を調整できるようになり、また突起部を装飾性を有する形態に形成することで、陥没部の形状にも装飾性を与えることができる。またさらに、挟持体に設けた装飾用凹部の表面に微細な凹凸部を設けることにより、装飾用凹部に貼り付けた装飾用シールを糊残りなく剥がし易くなり、一度貼って剥がした装飾用シールも再度貼り付けることが可能となることから、装飾用凹部に装飾用シールを微調整しながら貼り付けることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例のケース付消しゴムの斜視図である。
【図2】図2は、本実施例のケース付消しゴムの平面図である。
【図3】図3は、図2の縦断面図である。
【図4】図4は、ケース付消しゴムを組立てる状態を示す図である。
【図5】図5は、挟持体に装飾用シールを貼り付ける状態を示す図である。
【図6】図6は、挟持体に装飾用シールを貼り付けた状態を示す図である。
【図7】図7は、消しゴムを挟持し直す際の要部を示す平面図である。
【図8】図8は、図7の縦断面図である。
【図9】図9は、他の形態における挟持体の斜視図である。
【図10】図10は、図9の挟持体を用いたケース付消しゴムにおいて、消しゴムを挟持し直す際の要部を示す平面図である。
【図11】図11は、図10の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明におけるケース付消しゴムの実施例について説明を行う。尚、説明を分かり易くするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ番号を付してある。本実施例の説明においてはケース本体の開口部側を前方と表現し、反対側を後方と表現する。
【0010】
図1は本実施例のケース付消しゴムの斜視図、図2は平面図、図3は図2の縦断面図である。図4はケース付消しゴムを組立てる状態を示す図である。本実施例のケース付消しゴム1は、透明樹脂で形成したケース本体2の内部に挟持体3を装着してケース4を形成し、ケース4に消しゴム5を装着し、ケース本体2を透過して挟持体3に貼り付けた装飾用シール6a,6bが視認できる構造としてある。
【0011】
ケース本体2は前方に開口部2aを有する矩形形状であり、挟持体3は二つの挟持片31の後方を連接部32にて連接したコの字形状であり、挟持体3の角部に薄肉部33を設けて挟持片31が連接部32に対して回動できるようにしてある。また、挟持片31の前方外面には膨出部34を形成して、ケース本体2に形成した切欠部2bに嵌めている。消しゴム5は、挟持体3に形成した二つの挟持片31で挟持してあり、挟持片31前方内面に前後方向に等間隔で形成した6つの山形状の突起部31a,31b,31c,31d,31e,31fに圧接され、ケース4に対して前後動しない構造になっている(図3参照)。
【0012】
図5は挟持体に装飾用シールを貼り付ける状態で、二つの挟持片31と連接部2とが一直線になるよう薄肉部33で挟持体3を開いて装飾用シール6a,6bの貼り付けを行っている。本実施例の挟持片31の外側面には、ケース本体2の内面に当接させる当接縁部311を突設させており、当接縁部311の内側に、四角く凹ませた装飾用凹部312を形成して、装飾用シール6a,6bを貼れるようにしてある。図示はしないが装飾用凹部31bの表面にはシボ加工を施してあり、装飾用シール6a,6bを糊残りなく剥がし易いようにしてある。図6は、挟持体3に装飾用シール6a,6bを貼り付けた状態を示す図であるが、本実施例では装飾用凹部312を、装飾用シール6a,6bの厚みの2倍以上の深さで形成してあり、図3に示すように、ケース本体2に挟持体3を挿着した状態で、装飾用シール6a,6bの表面がケース本体2の内面に接することなく、したがってケース本体2から挟持体3を着脱する際に、装飾用シール6a,6bが擦れて剥がれてしまうことを防止でき、また既に貼られたシールの上に、もう一枚同じ厚さのシールを貼り付けることも可能である。
【0013】
次に、使用して消耗した消しゴムを挟持し直す際について、図7と図8を用いて説明を行う。図7,図8に示すように、ケース本体2から挟持体3を引き出すことで、消しゴム5に対する挟持体3の挟持力を開放して、消しゴム5を前方へずらすことができる。図8に示すように、消しゴム5の外面には、消しゴム5を挟持していた挟持片31の突起部に対応する陥没部31a’,31b’,31c’,31d’,31e’,31f’が形成され、本実施例では、挟持片31の突起部31a,31b,31c,31d,31e,31fを前後方向に2mm間隔で形成していることから、図8に示すように、消しゴム5の陥没部31d’の位置に挟持片31の突起部31aを合わせることで、ケース4から消しゴム5を正確に6mm繰り出すことが可能となる。
【0014】
図9は他の形態における挟持体の斜視図で、図10は図9の挟持体を用いたケース付消しゴムにおいて、消しゴムを挟持し直す際の要部を示す平面図であり、図11は図10の縦断面図である。図9で示すように、他の形態における挟持体3の挟持片31には、丸形状の突起部31g、三角形状の突起部31h、四角形状の突起部31iを3個ずつ横に並べて形成してある。他の点は先の実施例と同様であるため説明を省略する。図10,図11に示すように、消しゴム5を前方へずらした際には、消しゴム5の外面には、消しゴム5を挟持していた挟持片31の丸形状の突起部31gに対応した丸形状の陥没部31g’、三角形状の突起部31hに対応した三角形状の陥没部31h’、四角形状の突起部31iに対応する四角形状の陥没部31i’が模様として形成される(図11参照)。本実施例では、挟持片31の突起部31g、三角形状の突起部31h、四角形状の突起部31iを前後方向に3mm間隔で形成していることから、図11に示すように、消しゴム5の31i’の位置に挟持片31の突起部31gを合わせることで、ケース4から消しゴム5を正確に6mm繰り出すことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のケース付消しゴムは、可愛らしい模様や絵などの装飾用シールと組み合わせることで子供に好まれるファンシーグッズとして適したものとなり、また会社名やマークなどの装飾用シールと組み合わせることでノベルティグッズとして適したものとなる。
【符号の説明】
【0016】
1…ケース付消しゴム、
2…ケース本体、2a…開口部、2b…切欠部、
3…挟持体、
31…挟持片、311…当接縁部、312…装飾用凹部、
31a,31b,31c,31d,31e,31f…山形形状の突起部、
32…連接部、33…薄肉部、34…膨出部、
4…ケース、
5…消しゴム、6a,6b…装飾用シール、
31a’,31b’,31c’,31d’,31e’,31f’…陥没部、
31g…丸形状の突起部、31h…三角形状の突起部、
31i…四角形状の突起部、
31g’…丸形状の陥没部、31h’…三角形状の陥没部、
31i’…四角形状の陥没部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消しゴムの一部をケースから露出させて使用できるようにしたケース付消しゴムであって、ケースが、前方に開口部を有した透明樹脂から成るケース本体と、消しゴムを挟持する二つの挟持片と当該挟持片を後方で連接する連接部とを有する挟持体とを備え、前記挟持片の外側面に前記ケース本体の内面と当接する当接縁部を設けると共に当該当接縁部の内側に装飾用凹部を設け、前記装飾用凹部に装飾用シールを貼り付け、前記消しゴムを前記挟持体の挟持片で挟持した上で当該挟持体を前記ケース本体に挿着することで、前記ケース本体の外方より前記装飾用シールを透過して視認できるようにしたことを特徴とするケース付消しゴム。
【請求項2】
前記挟持片の前方内面に前後方向に等間隔で並ぶ複数の突起部を設け、前記消しゴムを前記挟持片で挟持させ前記挟持体を前記ケース本体に挿着することで、前記挟持片の突起部で前記消しゴムの外面を圧接し、前記消しゴムの外面に前記突起部と鏡像形状である陥没部を形成することを特徴とした請求項1に記載のケース付消しゴム。
【請求項3】
前記挟持体の挟持片の外側面に設けた装飾用凹部の表面に微細な凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のケース付消しゴム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−95089(P2013−95089A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241145(P2011−241145)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)