説明

ケース内にHME(熱湿度交換器)を装備したフィルタを通るガスの流れにおける、流れに対する危険な抵抗を検出するための装置

【課題】フィルタを通るガス状流体における、流れに対する危険な抵抗を検出および表示する。
【解決手段】フィルタ(102)を通るガス状流体における、流れに対する危険な抵抗を検出および表示するための装置(10)において、本体(11)を備えることと、本体(11)は、弾性膜(MBN)によって2つのチェンバ(CH1、CH2)に分けられ、好適に較正された穴(13)は第1のチェンバ(CH1)を患者端(A)に接続し、第2のチェンバ(CH2)は、代わりに、フィルタ(102)を横切る圧力除去チャネル(14)を用いて人工呼吸器端(B)と連通していることと、フィルタ(102)を横切るガスの流れ(FL)における、流れに対する危険な抵抗を検出および表示するための要素を備え、検出要素は膜(MBN)を備えることと、によって、特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状流体が横切る熱湿度交換器(HME)を好適に装備したフィルタにおける、流れに対する過剰かつ潜在的に危険な抵抗を検出および表示するための装置に関する。
【0002】
本発明の対象を形成する装置は、一般性の損失を暗示することなく、次の説明が明白に言及する、病院の麻酔科および救急・集中治療科における有利であるが非排他的な用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
周知のように、救急科(集中治療室−ICU)では、機械的人工換気を受ける患者は、呼吸回路を経由して換気器具に接続される。
【0004】
患者および/または換気器具を細菌/ウイルス汚染から保護するために、およびHME要素が存在する場合は、患者によって吸い込まれる空気を加熱および加湿するために、単一フィルタ、またはHME要素を備えるフィルタが、患者の口の近くに位置付けられる。
【0005】
システム全体は、吸い込まれるか吐き出されるかにかかわらず、流れ、および回路内に存在する圧力を検出する、換気器具によって制御される。
【0006】
回路内の圧力損失、空気漏れ、または過剰に高い圧力などの問題がある場合、人工呼吸器具は警報信号を発信し、操作者が患者の全身状態およびシステムの状態をすぐに検証するように、操作者に注意を促す。
【0007】
機械的人工換気中に、流れに対する抵抗が患者にとって高すぎると検出された場合も、換気器具は警報信号を発信する。通常、それを越えると警報信号が生成される、流れに対する抵抗の限界は、病院の操作者によって手動で設定される。結果として、病院の操作者側の間違いにより、それを越えると警報信号が生成される、流れに対する抵抗の限界は、過剰に高いレベルに設定される可能性があり、そうすると流れに対する抵抗が患者にとってすでに危機的になった場合のみ、人工呼吸器が警報を発することになる。
【0008】
例えば、特許文献1に示す書類番号US6,035,851(WALLEN)は、人工呼吸器におけるフィルタの状態を監視するための方法および装置を考慮している。2つのフロー検出器および2つの圧力検出器が提供される。演算器は、フィルタへの入口/フィルタへの出口での流れおよび圧力の測定から、2つの細菌フィルタの状態を判定する。フィルタの上流にある点とその下流にある点との間の圧力の低下が、ある事前に設定された限界内にとどまれば、フィルタはなおも良好な状態にあると考えられる。
【特許文献1】米国特許明細書6035851号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、US6,035,851(WALLEN)に記載された方法および装置は、複雑で費用がかかる。
【0010】
結果として、本発明の目的は、ガス状流体が横切る間に、(好適にはHMEを装備した)フィルタにおける、過剰かつ潜在的に危険な流れに対する抵抗を検出および表示するた
めの装置を提供することであり、該装置には上記の欠点がなく、同時に、製造が容易かつ安価である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、好適には熱湿度交換器を装備したフィルタを通るガス状流体における、流れに対する過剰な抵抗を検出および表示するための、ろ過器具に格納される装置を提供し、該フィルタは、該ろ過器具を患者室と人工呼吸器室とに分ける。該装置は、該人工呼吸器室と該患者室との間に存在する圧力の差を検出および表示するように設計されていることを特徴とする。
【0012】
具体的には、本発明は、患者端におけるろ過器具の中央容器の壁に作られる台座に格納される検出装置に関し、該ろ過器具は、フィルタを備える。
該装置は、
窓によって外界に対して閉鎖している本体を備えることと、
本体は、弾性膜によって2つのチェンバに分けられ、本体の端壁は、第1のチェンバを患者室に接続する好適に較正された穴を備え、第2のチェンバは、代わりに、圧力除去チャネルを用いて人工呼吸器室と連通していることと、
フィルタを横切るガスの流れにおける、流れに対する危険な抵抗を検出および表示するための手段を備えること、を特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前述の検出および表示装置を備えるろ過器具に関する。
【0014】
さらに、本発明は、集中治療室(ICU)用の換気システムに関し、ここで、ろ過器具が、そこに、前述の検出および表示装置を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
該装置の実施形態の限定されない例を図解する付属の単一図(その拡大詳細図を伴う)を参照して、本発明を説明する。
【0016】
図中、参照番号10は、本発明の対象を形成する、(好適にはHMEを装備した)ろ過器具100を通るガス状流体における流体に対する危険な抵抗を検出および表示するための装置を、全体として指定する。
【0017】
ろ過装置100は、(好適にはHMEを装備した)フィルタ102がその中間部を占める中央容器101を備える。
【0018】
中央容器は、2つの意図的に成形した部品によって形成される。
【0019】
さらに、中央容器101は、第1の導管103を経由して患者端(A)に接続され、そして少なくとも1つの第2の導管104を用いて人工呼吸器端(B)に接続される。フィルタ102は、中央容器101を2つの部屋、つまり患者室101aおよび人工呼吸器室101bに分離する。
【0020】
図示されるように、水蒸気と混合したガスの流れはフィルタ102を横切り、そこでは吐き出された流れFL1が存在し得る微生物について浄化され、フィルタ102がHMEも備える場合は、該流れFL1はHME自体の内部で、後の吸入のステップ(以降を参照)の間に回復される湿気および熱の粒子を解放する。
【0021】
前述の装置10は、患者端(A)で中央容器101の壁106に作られた台座105に格納されている。
【0022】
また、装置10は、中央容器101の壁106の続きである、好適には透明の窓12によって外界に対して閉鎖している本体11(単一図の拡大詳細図を参照)を備える。
【0023】
本体11は、弾性膜MBNによって、2つのチェンバCH1、CH2に分けられる。
【0024】
本体11の端壁FNDは、第1のチェンバCH1を患者端(A)に接続する、好適に較正された穴13を備える。結果として、チェンバCH1内には、患者端(A)に存在する圧力と事実上同等な圧力を有するガスが存在する。
【0025】
第2のチェンバCH2(弾性膜MBNによって第1のチェンバCH1から密封して分離されている)は、代わりに、フィルタ102を横切る中央容器101の壁の少なくとも部分的内部に作られる、圧力除去チャネル14を用いて、人工呼吸器端(B)と連通している。言い換えれば、第2のチェンバCH2内には(圧力除去チャネル14内にガスが横切るために生じるごくわずかな圧力低下を除いて)、人工呼吸端(B)でのガスに対するものと同じ圧力がある。
【0026】
弾性膜MBNは、成人、小児、および新生児患者用のフィルタ102において発生する場合がある、圧力の変化に即時に反応するなどの弾性によって特徴付けられる。
【0027】
操作の通常の状態では、人工呼吸器端(B)から来て、フィルタ102に進入するガスの吸入した流れFL2は、該フィルタ102を横切り、患者に到達する。後の呼気(流れF1)のステップの間、ガスは再びフィルタ102を横切り、言うまでもなく、HME要素が存在する場合は、HME要素へ湿気および熱をもたらす。
【0028】
何らかの理由でフィルタが部分的でも塞がれる場合は、患者端(A)の圧力が増加し始め、前述のように、ガスが穴13を通って第1のチェンバCH1に進入するため、結果的にこの第1のチェンバCH1内の圧力も増加し始める。第1のチェンバCH1内のガスの圧力は、チェンバCH2内に存在するガスよりもずっと高くなる。この理由により、膜MBNは外側へ屈折し始め、好適には透明である窓12に好適に付着する。
【0029】
図示されない本発明の別の実施形態では、装置10は人工呼吸室101bの壁に位置する。
【0030】
この非常に簡単な方法で、第1チェンバCH1内のガスの圧力が、第2チェンバ(CH2)内に存在する圧力に対して増加すると、徐々に表示されるような方法で作ることが可能で、こうして危険の異なる度合いを示す、中央容器101の外側から目に見える、標識の形をした危険信号を提供することが可能である。
【0031】
結果として、病院の操作者は、一見しただけでフィルタ102の操作の状態を評価することが可能である。事実上、好適には透明な窓12に危険の標識が完全に現れると、患者に何らかの呼吸困難があることを示し、よってフィルタ102を取り替えることが必要である。
【0032】
上記の装置の主な利点は、基本的に、フィルタの機能性の連続監視に関して高い信頼性を実現し、確実にすることが極めて簡単であるという事実にある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ろ過器具を有し、本発明に係る該ろ過器具を通るガス流体における流体に対する危険な抵抗を検出および表示するための装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10・・・装置
14・・・圧力除去チャネル
100・・・ろ過器具
101a・・・患者室
101b・・・人工呼吸室
102・・・フィルタ
105・・・台座
106・・・壁
CH1・・・第一のチェンバ
CH2・・・第二のチェンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過器具(100)に格納される、フィルタ(102)を通るガス状流体における流れに対する過剰な抵抗を検出および表示するための装置(10)であって、
前記フィルタ(102)は、前記ろ過器具(100)を患者室(101a)と人工呼吸器室(101b)とに分け、
前記装置(10)は、前記人工呼吸器室(101b)と前記患者室(101a)との間に存在する圧力の差を検出および表示するように設計されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記人工呼吸器室(101b)と前記患者室(101a)との間に存在する圧力の差の結果として、変形を受ける要素(MBN)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記要素(MBN)は、膜(MBN)であることを特徴とする、請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
危険標識は中央容器(101)の外側から目に見えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記危険標識は、屈折することによって、外側から観察することが可能な窓(12)に付着する膜(MBN)と関連することを特徴とする、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置(10)であって、
前記装置(10)は、患者端(A)において、ろ過器具(100)の中央容器(101)の壁(106)に作られた台座(105)に格納されており、前記ろ過器具(100)は、前記フィルタ(102)を備え、
前記装置(10)は、
窓(12)によって外界に対して閉鎖している本体(11)を備えることと、
前記本体(11)は、弾性膜(MBN)によって2つのチェンバ(CH1、CH2)に分けられ、前記本体の端壁(FND)は、第1のチェンバ(CH1)を前記患者室(101a)に接続する、好適に較正された穴(13)を備え、第2のチェンバ(CH2)は、代わりに、圧力除去チャネル(14)を用いて前記人工呼吸器室(101b)と連通していることと、
前記フィルタ(102)を横切るガスの流れ(FL)における、流れに対する危険な抵抗を検出および表示するための手段を備えることと、
を特徴とする、装置(10)。
【請求項7】
危険標識は、前記中央容器(101)の外側から目に見え、
前記危険標識は、前記第1チェンバ内のガスの圧力が、前記第2チェンバ(CH2)内に存在する圧力に対して増加すると、徐々に表示されるような方法で作られ、よって危険の異なる程度を示す、請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記圧力除去チャネル(14)は、少なくとも部分的に、前記中央容器(101)の壁のうちの少なくとも1つの壁に作られることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記装置(10)は、前記患者室(101a)の壁に位置することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記装置(10)は、前記人工呼吸室(101b)の壁に位置することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置(10)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、ろ過器具(100)。
【請求項12】
請求項11に記載のろ過器具(100)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、集中治療室(ICU)用の換気装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−131633(P2009−131633A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303878(P2008−303878)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)