説明

ケーブル用コネクタ

【課題】 ケーブルと接続した際、高周波特性が悪化することがなく、安定するケーブル用コネクタを提供する。
【解決手段】 同軸ケーブル用コネクタ1のスリーブ(グラウンド用コンタクト)5は、外径5aと内径5bを有する。また、スリーブには、開口部5cが形成されている。同軸ケーブルの外部導体14の端部が開口部に挿入されるので、同軸ケーブルをスリーブにひっかからずにスムーズに挿入することができる。開口部が存在するため、スリーブの内径と外部導体の間に形成される隙間Cを、小さく構成することができる。したがって、同軸ケーブルの外部導体がスリーブの中で広がらないので、高周波特性は安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブル等(一例としてCATVケーブル)と接続するケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸ケーブル用コネクタについて図5を参照して説明する。なお、このコネクタの基礎的概略は、本発明の図1〜図3及びそれらの説明とほぼ同様である。
【0003】
スリーブ25は、外径25aと内径25bを有する。スリーブ25の内径25bと同軸ケーブルの外部導体14の間には、隙間Eが存在する。また、同軸ケーブルの誘電体13と外部導体14の間には、隙間Fが存在する。隙間Fは、インピーダンスの変化の要因となる。
【0004】
なお、同軸ケーブル用コネクタは、本出願前に頒布された諸刊行物に記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】実開平5−48263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、同軸ケーブル11を端末処理した際、図1(A)における線A−Aによる断面図、すなわち、図1(B)に示されるように、外部導体14の端部が捲かれるので、同軸ケーブル11をスリーブ5にひっかからずにスムーズに挿入するためには、図5(C)に示されるように、スリーブ25の内径25bを大きくせざるを得ない。この結果、同軸ケーブル11と同軸ケーブル用コネクタ1を接続した際、高周波特性が悪化する。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来の同軸ケーブル用コネクタの欠点を改良し、ケーブルと接続した際、高周波特性が悪化することがなく、安定するケーブル用コネクタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0009】
1.ケーブルと接続するコネクタにおいて、前記ケーブルは、中心導体と、前記中心導体を被覆する誘電体と、外部導体とを有し、前記コネクタは、前記中心導体と接続する第1コンタクトと、前記外部導体と接続する第2コンタクトとを有し、前記外部導体は、前記誘電体上に金属箔を巻きつけることにより構成され、前記第2コンタクトは、前記外部導体が挿入されるスリーブを有し、前記金属箔の端部が挿入される開口部が前記スリーブに形成されているケーブル用コネクタ。
【0010】
2.前記外部導体は編組線を更に有し、前記コネクタは固定部材を更に有し、前記金属箔は前記スリーブの内部に配置され、前記編組線は前記スリーブの外部に配置され、前記編組線は前記スリーブと前記固定部材とにより挟持される前記1記載のケーブル用コネクタ。
【発明の効果】
【0011】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0012】
1.内径が小さいスリーブに、誘電体上に金属箔を巻きつけることにより構成される外部導体が挿入されるので、金属箔はスリーブ中で広がらない。したがって、高周波特性が安定する。
【0013】
2.金属箔の端部がスリーブに形成されている開口部に挿入されるので、ケーブルをケーブル用コネクタに挿入し易い。
【0014】
3.ケーブルをケーブル用コネクタに挿入する際、金属箔が切れ難く、また、金属箔にしわが発生し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施例のケーブル用コネクタについて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1の同軸ケーブル用コネクタについて図1〜図4を参照して説明する。
【0017】
まず、同軸ケーブル11について図1を参照して説明する。同軸ケーブル11は、その中心から順に、中心導体12(信号用)と、誘電体13と、金属(銅、アルミニウム等)箔製の外部導体14(グラウンド用)と、編組線製の外部導体15(グラウンド用)と、外被16とから構成される。
【0018】
次に、同軸ケーブル用コネクタ1について図2を参照して説明する。同軸ケーブル用コネクタ1のコネクタ2に中心導体(信号用コンタクト)3が配置されている。また、シェル(グラウンド用コンタクト)6にキャップ部4が取り付けられている。更に、シェル6にスリーブ(グラウンド用コンタクトの一部)5が、中心導体3に対して直交する方向に取り付けられている。
【0019】
続いて、同軸ケーブル11と同軸ケーブル用コネクタ1の結線について図3を参照して説明する。同軸ケーブル11をスリーブ5に挿入し、同軸ケーブル11の中心導体12と同軸ケーブル用コネクタ1の中心導体3を半田付け等により結線する。また、固定部材17を用いて同軸ケーブル11をスリーブ5に圧着等により結線する。同軸ケーブル11の外部導体14は、スリーブ5内に区間Dで挿入される。
【0020】
更に、同軸ケーブル11の外部導体14と同軸ケーブル用コネクタ1のスリーブ5の関係について図4を参照して説明する。
【0021】
同軸ケーブル用コネクタ1のスリーブ(グラウンド用コンタクト)5は、外径5aと内径5bを有する。また、スリーブ5には、開口部5cが形成されている。同軸ケーブル11の外部導体14の端部が開口部5cに挿入されるので、同軸ケーブル11をスリーブ5にひっかからずにスムーズに挿入することができる。開口部5cが存在するため、スリーブ5の内径5bと同軸ケーブル11の外部導体14の間に形成される隙間Cを、小さく構成することができる。
【0022】
したがって、同軸ケーブル11の外部導体14がスリーブ5の中で広がらないので、高周波特性は安定する。
【0023】
なお、同軸ケーブル11の中心導体(信号用)12は、同軸ケーブル用コネクタ1の中心導体(信号用コンタクト)3と接続する。
【0024】
本実施例1においては、スリーブ5は、グラウンド用コンタクトの一部を構成する部材である。
【0025】
また、スリーブ5の開口部5cは、スリット又は小窓等の形状から構成されるように設計変更することができる。
【0026】
更に、同軸ケーブル11の金属箔製の外部導体14はスリーブ5の内部に配置され、編組線製の外部導体15はスリーブ5の外部に配置され、外部導体15はスリーブ5と固定部材17とにより挟持される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1の同軸ケーブル用コネクタと接続する同軸ケーブルの諸図であり、(A)は長さ方向の断面図、(B)は(A)における線A−Aによる断面図、(C)は(A)における線B−Bによる断面図を、それぞれ示す。
【図2】同コネクタにおける開口部、中心導体、キャップ部及びスリーブの断面図(ただし、一部は側面図)と、同ケーブルの断面図であり、同コネクタと同ケーブルの接続前の状態を示す。
【図3】図2における同コネクタと同ケーブルの接続後の断面図である。
【図4】同スリーブと同ケーブルの諸図であり、(A)は同スリーブの正面図、(B)は同スリーブの一端面図、(C)は同スリーブに同ケーブルが挿入された状態の断面図を、それぞれ示す。
【図5】従来の同軸ケーブル用コネクタにおけるスリーブと同軸ケーブルの諸図であり、(A)は同スリーブの正面図、(B)は同スリーブの一端面図、(C)は同スリーブに同ケーブルが挿入された状態の断面図を、それぞれ示す。
【符号の説明】
【0028】
1 同軸ケーブル用コネクタ
2 コネクタ部
3 中心導体(信号用コンタクト、第1コンタクト)
4 キャップ部
5 スリーブ(グラウンド用コンタクトの一部)
5a 外径
5b 内径
5c 開口部
6 シェル(グラウンド用コンタクト、第2コンタクト)
11 同軸ケーブル
12 中心導体
13 誘電体
14 外部導体(金属箔製)
15 外部導体(編組線製)
16 外被
17 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと接続するコネクタにおいて、
前記ケーブルは、中心導体と、前記中心導体を被覆する誘電体と、外部導体とを有し、
前記コネクタは、前記中心導体と接続する第1コンタクトと、前記外部導体と接続する第2コンタクトとを有し、
前記外部導体は、前記誘電体上に金属箔を巻きつけることにより構成され、
前記第2コンタクトは、前記外部導体が挿入されるスリーブを有し、
前記金属箔の端部が挿入される開口部が前記スリーブに形成されていることを特徴とするケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記外部導体は編組線を更に有し、前記コネクタは固定部材を更に有し、前記金属箔は前記スリーブの内部に配置され、前記編組線は前記スリーブの外部に配置され、前記編組線は前記スリーブと前記固定部材とにより挟持されることを特徴とする請求項1記載のケーブル用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−252930(P2006−252930A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67398(P2005−67398)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)