ケーブル
【課題】 内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルを提供する。
【解決手段】 同軸ケーブル1は、内部導体10と、内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20と、絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30とを備える。絶縁部材20は、内部導体10の外周に巻かれる少なくとも1本の樹脂糸22と、樹脂糸22よりも低融点でなり、樹脂糸22を被覆する樹脂層25とを備える。この樹脂糸22と、樹脂層25との少なくとも密着する部分は融着されている。
【解決手段】 同軸ケーブル1は、内部導体10と、内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20と、絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30とを備える。絶縁部材20は、内部導体10の外周に巻かれる少なくとも1本の樹脂糸22と、樹脂糸22よりも低融点でなり、樹脂糸22を被覆する樹脂層25とを備える。この樹脂糸22と、樹脂層25との少なくとも密着する部分は融着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関し、特に内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルとして、内部導体と外部導体との間に絶縁性の樹脂糸を配置する同軸ケーブルが知られている。この同軸ケーブルは、一般に電子機器に用いられ、信号や電力を伝送する目的で使用されている。このような伝送ケーブルにおいては、内部導体と外部導体との間における誘電率が低いことが好ましい。そこで、内部導体と外部導体との間における誘電率を低くするために、内部導体と外部導体との間に空隙を設けることが行われている。
【0003】
下記特許文献1には、このような同軸ケーブルが記載されている。下記特許文献1に記載の同軸ケーブルは、内部導体と、内部導体を被覆する絶縁層と、絶縁層の外周面上に螺旋状に巻回される複数の樹脂糸と、巻回された複数の樹脂糸の外側に配置される外部導体と、外部導体の外側を被覆するジャケットとを備えている。そして、このケーブルにおいては、樹脂糸を内部導体と外部導体との間に配置することで、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、樹脂糸と絶縁層との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間における誘電率が下がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−90753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の同軸ケーブルにおいては、単に、樹脂糸が螺旋状に巻回されているだけであるため、同軸ケーブルが捻られたり、曲げられたりして変形すると、部分的に樹脂糸が緩む場合がある。このように樹脂糸が緩んだ場所においては、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、樹脂糸と絶縁層との間の空隙が大きくなる場合があり、空隙が大きくなった場所においては、誘電率が低くなる。従って、このような同軸ケーブルにおいては、捻れや曲げにより変形している場所と、変形していない場所とにおいて、インピーダンスが異なり、インピーダンス不整合によるノイズ発生の原因となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブルは、内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周面を被覆する外部導体とを備えるケーブルであって、前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる少なくとも1本の絶縁性の樹脂糸と、前記樹脂糸よりも低融点でなり、前記樹脂糸を被覆する樹脂層とを備え、前記樹脂層と前記樹脂糸との少なくとも密着する部分が融着されることを特徴とするものである。
【0008】
このようなケーブルによれば、内部導体の外周に対して、少なくとも1本の絶縁性の樹脂糸が巻かれているため、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。そして、樹脂糸は、その樹脂糸よりも低融点でなる樹脂層で被覆され、その樹脂層と樹脂糸とが密着する部分が融着されているため、樹脂糸同士の相対的な位置の変動が抑制され、同軸ケーブルの変形に伴う空隙の変形が緩和される。したがって、内部導体と外部導体との間における誘電率の変動が抑制され、ケーブルのインピーダンス不整合が抑制できる。
【0009】
また、前記樹脂糸は、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれ、前記内部導体を被覆するように前記内部導体に巻かれる樹脂編組とされることが好ましい。
【0010】
このようなケーブルによれば、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれているため、例えば、1本の樹脂糸を一方向へ螺旋状に巻く場合に比べて、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間の隙間が増す。したがって、内部導体と外部導体との間の誘電率をより一段と低くすることができる。また、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれているので、樹脂糸同士相対的な位置の変動の抑制が増し、内部導体と外部導体との間における誘電率の変動がより一段と抑制される。
【0011】
また、前記樹脂糸は、複数の樹脂製の線材から成る撚り線であることが好ましい。
【0012】
このようなケーブルによれば、樹脂糸を構成する樹脂製の線材間に空隙が生じるため、この空隙によりさらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0013】
或いは、前記樹脂糸は、樹脂製の中空糸であることが好ましい。
【0014】
このようなケーブルによれば、樹脂糸が樹脂製の中空糸であるため、さらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0015】
或いは、前記樹脂糸は、多孔質体であることが好ましい。
【0016】
このようなケーブルによれば、樹脂糸中の多数の孔により、さらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0017】
また、前記樹脂糸の少なくとも一部が前記内部導体に融着されていることが好ましい。
【0018】
このような同軸ケーブルによれば、樹脂糸が内部導体に融着されているため、同軸ケーブルの捻れや曲げにより、内部導体と絶縁部材とがずれることを抑制することができると共に、樹脂糸同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができ、ケーブルのインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0019】
また、前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる樹脂糸と、前記内部導体との間において、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁層を更に有することが好ましい。
【0020】
このような同軸ケーブルによれば、内部導体が絶縁層により被覆されているため、外部導体と内部導体とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図2】図1に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図4】図3に示す樹脂テープのテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図7】図6に示す金属テープのテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図10】図9に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係るケーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るケーブルの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図であり、図2は、図1に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【0025】
図1、図2に示すように、本実施形態におけるケーブルは、同軸ケーブルである。同軸ケーブル1は、中心導体としての内部導体10と、内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20と、絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30と、外部導体30を被覆するジャケット40とを備える。
【0026】
内部導体10は、複数の導電性線材の撚り線から成る。なお、内部導体10の材料としては、導体であれば特に制限されないが、例えば、銅やニッケルやアルミ等が挙げられる。
【0027】
内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20は、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれた樹脂編組21と、その樹脂編組21を被覆する樹脂層25とから構成されている。
【0028】
樹脂編組21は、複数本の樹脂糸22を編みこんで成る。具体的には、数本の樹脂糸22が一組とされ、横並びに並べられて樹脂糸組23とされる。そして、この樹脂糸組23が複数組編みこまれることで、樹脂糸22が編みこまれた樹脂編組21とされる。そして、このように樹脂糸22が編みこまれることにより、樹脂糸22同士の間、及び、内部導体10と樹脂糸22との間に空隙24が形成されている。
【0029】
また、この樹脂編組21を構成するそれぞれの樹脂糸22は、糸状に形成された1本の樹脂から構成されても良いが、複数の樹脂製の線材が撚られた撚り線から構成されることが好ましい。この場合、線材間に空隙が生じるため、この空隙によりさらに空隙率を高くすることができる。このように樹脂糸22が複数の樹脂製の線材から構成される場合、各線材が同じ太さとされ、樹脂糸22の1本当たりの線材の数が、7本、19本とされることが、中心に1本の線材を配置して、その周りに無駄な隙間を無くして他の線材を配置することができ、空隙率を安定させることができる観点から好ましい。
【0030】
或いは、それぞれの樹脂糸22が、樹脂製の中空糸から構成されても、やはり好ましい。この場合、それぞれの樹脂糸22の空洞により、空隙率を高くすることができる。このように樹脂糸22が中空糸である場合、それぞれの樹脂糸22の内径の大きさは、中空糸の肉厚の厚さ以上にならないことが、中空糸の潰れを防止する観点から好ましい。
【0031】
また或いは、それぞれの樹脂糸22は、多孔質体の樹脂から構成されてもやはり好ましい。この場合、それぞれの樹脂糸22中の多数の孔により、空隙率を高くすることができる。このような孔の大きさは、樹脂糸22の直径の30%以下であることが、樹脂糸22の潰れや伸びを防止できる観点から好ましい。
【0032】
このような樹脂糸22の直径は、特に制限されるものではないが、例えば、同軸ケーブル1がAWG(American Wire Gauge)24〜AWG50に適合する場合には、0.25mm〜0.015mmであることが好ましい。また、樹脂編組21のそれぞれの樹脂糸組23における樹脂糸22の数は、それぞれ3本〜5本であることが、樹脂糸組23の巻き付けのピッチを短くできる観点から好ましい。さらに、樹脂編組21を構成する各樹脂糸組23の数は、8組、12組、16組、24組とされることが、樹脂糸組23をバランス良く巻きつけることができるため好ましい。
【0033】
また、それぞれの樹脂糸22は、内部導体10に融着されていることが、同軸ケーブル1が、捻じられたり曲げられたりして変形する場合に、内部導体10と樹脂編組21とがずれることを防止する観点から好ましい。このように樹脂糸22を内部導体10に融着させる方法は、まず、樹脂編組21が内部導体10の外周面上に設けられている状態において、内部導体10に電流を流すことにより、内部導体10を抵抗により加熱する。そして、この内部導体10の熱により、樹脂糸22の内部導体10側の表面を溶融して、その後、冷却することにより、樹脂糸22が内部導体10に融着される。
【0034】
なお、それぞれの樹脂糸22の材料としては、絶縁性の樹脂であれば特に制限がないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂が挙げられ、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンプロピレン共重合体系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は、これらの混合物などが挙げられ、ナイロンとしては、ナイロン66やナイロン6が挙げられ、フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等が挙げられる。なお、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロンにおいては、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粒子や、リン系難燃剤が混合されることが、難燃性を向上させる観点から好ましい。
【0035】
樹脂層25は、筒状でなり、樹脂編組21の外周面上に配置され、少なくとも樹脂編組21と向き合う部分が融着されている。この樹脂層25の融点は、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22よりもよりも低い融点とされる。この様な樹脂層25の材料としては特に制限されるものではないが、例えば、樹脂糸22と同様のものを挙げることができる。
【0036】
このように樹脂編組21と樹脂層25を融着させる方法は、まず、押出成形によって、樹脂編組21の外周面上に樹脂層25を形成しながら、樹脂編組21を加熱する。この加熱温度は、上述したように、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22の融点よりも低く、その樹脂糸22よりも低融点となる樹脂層25の融点を超える温度とされる。したがって、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22は融けることなく残る一方、その樹脂糸22を被覆する樹脂層25は軟化し始め、樹脂糸22と樹脂層25とが密着する部分が融合する。その後、冷却することで融合部分が固定される。
【0037】
この様な樹脂編組21及び樹脂層25から成る絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30は、金属編組等から構成されている。外部導体30を構成する金属編組は、例えば、直径が0.1mm以下の多数の導電性の線材が編みこまれたものである。このような金属編組の材料としては、例えば、銅やニッケルやアルミが挙げられる。なお、金属編組を構成する線材同士の隙間が金属により埋められていることが、同軸ケーブル1の端部において、外部導体30を露出させる際に、線材がバラバラにならないため好ましい。このような金属編組の線材同士の隙間を埋める金属としては、例えば、スズ、はんだ等が挙げられる。
【0038】
また、ジャケット40は、熱可塑性樹脂により形成されている。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態における同軸ケーブル1によれば、内部導体10と外部導体30との間の絶縁部材20が樹脂編組21により構成される。この樹脂編組21は、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれている構成であるため、互いに隣り合う樹脂糸22同士の間や、内部導体10と樹脂糸22との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体10と外部導体30との間の誘電率を低くすることができる。
【0040】
また樹脂編組21は、その樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22よりも低融点である樹脂層25によって被覆される。そして、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも樹脂層25と密着する部分が融着されているため、樹脂糸22同士相対的な位置の変動が抑制され、同軸ケーブル1の変形に伴う空隙24の変形が緩和される。したがって、内部導体10と外部導体30との間における誘電率の変動が抑制され、同軸ケーブル1のインピーダンス不整合が抑制できる。
【0041】
さらに、上述のように、樹脂糸22が、複数の樹脂製の線材が撚られた撚り線から構成されたり、樹脂製の中空糸から構成されたり、多孔質体の樹脂から構成される場合には、内部導体と外部導体との間の空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率を更に低くすることができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図3は、本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0043】
図3に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル2は、第1実施形態における樹脂層25に代えて、樹脂テープ26を備えている。この樹脂テープ26は、フィルム状でなり、樹脂編組21の外周面上を螺旋状に巻かれている。
【0044】
ただし、内部導体10の長手方向に沿って縦添えに巻かれていても良い。なお、樹脂テープ26が螺旋状に巻かれた場合、同軸ケーブル2の曲げに起因する樹脂テープ26の開裂を抑制する観点から好ましく、縦添えされて巻かれた場合、製造時に樹脂テープ26を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0045】
図4は、図3に示す樹脂テープ26のテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。樹脂テープ26は、樹脂フィルム26rと、その樹脂フィルム26r及び樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層26aとを重ね合わせた2層構造とされる。そして、樹脂テープ26は、樹脂編組21の外表面に熱融着性層26aを向けて樹脂編組21に巻かれ、その樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着される。これにより樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル2の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0046】
このように熱融着性層26aと樹脂編組21との密着部分とを付着させる方法は、まず、熱融着性層26aが樹脂編組21の外表面に向く状態でその樹脂編組21上に樹脂テープ26を巻いた後、加熱する。この加熱温度は、樹脂フィルム26r及び樹脂糸22の融点よりも低く、熱融着性層26aの融点を超える温度とされる。したがって、樹脂フィルム26r及び樹脂糸22は融けることなく残る一方、熱融着性層26aは軟化し始めて、熱融着性層26aと樹脂糸22との少なくとも密着部分が融合する。その後、樹脂テープ26を冷却することで融合部分が固定される。
【0047】
この様な樹脂フィルム26rの材料としては特に制限されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。また、熱融着性層26aの材料としては、樹脂糸22よりも低融点である限りにおいて、特に限定されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。
【0048】
本実施形態の同軸ケーブル2によれば、樹脂フィルム26rと、その樹脂フィルム26r及び樹脂編組21を構成する樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層26aとの2層構造とされる樹脂テープ26によって樹脂編組21が被覆されている。そして、樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着されているため、樹脂編組21を構成する樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル2の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図5は、本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0050】
図5に示すように、同軸ケーブル3は、絶縁部材20が、樹脂編組21と内部導体10との間において、内部導体10の外周面を被覆する絶縁層27を有する点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。
【0051】
絶縁層27は、絶縁性の樹脂から構成されている。この様な絶縁層27の材料としては特に制限されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。
【0052】
本実施形態の同軸ケーブル3によれば、内部導体10が絶縁層27により被覆されているため、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0053】
なお、第2実施形態における同軸ケーブル2の樹脂編組21と内部導体10との間に、絶縁層27を設けるようにしても良い。このようにしても、同軸ケーブル3と同様に、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0054】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図6は、本発明の第4実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル4では、第1実施形態の樹脂層25が省略され、外部導体30が金属テープ31から構成されている点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。この金属テープ31は、樹脂編組21の外周面上を螺旋状に巻かれていても良く、内部導体10の長手方向に沿って縦添えにされて巻かれていても良い。そして、金属テープ31が螺旋状に巻かれることが、同軸ケーブル3が曲げられる場合に、巻かれた金属テープ31が開くことが抑制される観点から好ましく、縦添えされて巻かれることが、製造時に金属テープ31を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0056】
図7は、図6に示す金属テープ31のテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。外部導体30を構成する金属テープ31は、樹脂フィルム31rの一方の面上に金属層31mが積層されており、樹脂フィルム31rの他方の面上に、樹脂フィルム31r及び樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層31aが積層されている。そして、金属テープ31は、樹脂編組21側に熱融着性層31aが向けられて巻かれ、その樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層31aと密着する部分が融着される。これにより樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル4の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0057】
このように熱融着性層31aと樹脂編組21の少なくとも一部とを付着させる方法は、まず、熱融着性層31aが樹脂編組21の外表面に向く状態でその樹脂編組21上に金属テープ31を巻いた後、加熱する。この加熱温度は、樹脂フィルム31rと樹脂糸22の融点よりも低く、これらよりも低融点となる熱融着性層31aの融点を超える温度とされる。したがって、樹脂フィルム31r及び樹脂糸22は融けることなく残る一方、熱融着性層31aは軟化し始めて、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層31aと密着する部分が融合する。その後、金属テープ31を冷却することで融合部分が固定される。
【0058】
この金属テープの厚さは、特に制限されるものではないが、0.1mm以下であることが、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。また、樹脂フィルム31rは、絶縁性の樹脂から構成されており、金属層31mの材料としては、銅やアルミやニッケル等を挙げることができ、金属層31mは、樹脂フィルム31rの一方の面上に蒸着により積層されても良く、貼り合せにより積層されても良い。
【0059】
また、以下の材料は特に限定されるわけではないが、樹脂フィルム31rの材料としては、第2実施形態の樹脂フィルム26rと同様の樹脂を挙げることができ、金属層31mの材料としては、内部導体10の材料と同様の金属を挙げることができ、熱融着性層31aの材料としては、第2実施形態の熱融着性層26aと同様の材料を挙げることができる。
【0060】
本実施形態の同軸ケーブル4によれば、熱融着性層31aが樹脂編組21の少なくとも一部と樹脂フィルム31rとを接着することにより、樹脂糸22同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができる。従って、同軸ケーブル4のインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、金属テープ31を金属層31mと熱融着性層31aで構成して、樹脂フィルム31rを省略しても良い。この場合、金属層31mは、金属の箔から構成れば良い。また、第2実施形態の同軸ケーブル2における樹脂テープ26を省略するとともに、第2実施形態の同軸ケーブル2における外部導体30を金属テープ31から構成するようにしても良い。
【0062】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図8は、本発明の第5実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0063】
図8に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル5は、1本の樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれている点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。
【0064】
本実施形態の同軸ケーブル5によれば、樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれているため、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、1本の樹脂糸22が螺旋状に巻かれたが、数本の樹脂糸22を組として横並びに並べた1組又は複数組の樹脂糸組が螺旋状に巻かれていても良い。樹脂糸22が螺旋状に巻かれた場合、同軸ケーブルが曲げられることによって、螺旋状に巻かれた隣り合う樹脂糸22同士が開いてしまうといったことが抑制される観点から好ましい。
【0066】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図9、図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図9は、本発明の第6実施形態に係るケーブルを示す図であり、図10は、図9に示すケーブルの長さ方向に垂直な方向における断面の構造を示す図である。
【0067】
図9、図10に示すように、本実施形態におけるケーブルは、2芯平行型の伝送ケーブルである。伝送ケーブル101は、互いに平行に配される一組の内部導体10、10と、それぞれの内部導体10の外周面を被覆する一組の絶縁部材20、20と、一組の絶縁部材20、20の外周面を覆う外部導体30と、外部導体30の外周面を被覆するジャケット40とを備えている。
【0068】
本実施形態においては、それぞれの絶縁部材20は、それぞれの内部導体10の外周面を被覆しているが、外部導体30は、一組の絶縁部材20、20を一纏めにして覆っている。
【0069】
またこの樹脂編組21は、樹脂層25によって樹脂編組21が被覆される。そして、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも樹脂層25と密着する部分が融着されている。また、樹脂糸22と樹脂層25とが融着している部分によって、樹脂糸22同士相対的な位置の変動が抑制され、伝送ケーブル101の変形に伴う空隙24の変形が緩和される。したがって、内部導体10と外部導体30との間における誘電率の変動が抑制され、伝送ケーブル101のインピーダンス不整合が抑制できる。
【0070】
本実施形態の伝送ケーブル101においても、それぞれの絶縁部材20が、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれている樹脂編組21と、その樹脂編組21を被覆する樹脂層25とから成る。したがって、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22により空隙24ができ、内部導体10と外部導体30との間の誘電率を低くすることができる。
【0071】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図11を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図11は、本発明の第7実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0072】
図11に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル102は、それぞれの絶縁部材20が、樹脂編組21と外部導体30との間において、樹脂編組21の外周面を被覆する絶縁性の樹脂テープ26を有する点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0073】
樹脂テープ26は、第2実施形態の同軸ケーブル2における樹脂テープ26と同様の構成とされ、第2実施形態と同様に、樹脂編組21の外周面上に巻かれている。また、第2実施形態と同様に、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着される。
【0074】
本実施形態の伝送ケーブル102によれば、第2実施形態の同軸ケーブル2と同様に、樹脂編組21を構成する樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、伝送ケーブル102の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0075】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図12を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図12は、本発明の第8実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0076】
図12に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル103は、それぞれの絶縁部材20が、樹脂編組21と内部導体10との間において、内部導体10の外周面を被覆する絶縁層27を有する点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0077】
絶縁層27は、第2実施形態の同軸ケーブル2の絶縁層27と同様の構成とされる。
【0078】
本実施形態の伝送ケーブル103によれば、内部導体10が絶縁層27により被覆されているため、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0079】
なお、第7実施形態における伝送ケーブル102の樹脂編組21と内部導体10との間に、絶縁層27を設けるようにしても良い。このようにしても、伝送ケーブル103と同様に、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0080】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図13を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図13は、本発明の第9実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0081】
図13に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル104では、第6実施形態の樹脂層25が省略され、外部導体30が金属テープ31から構成されている点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。この金属テープ31は、第4実施形態の同軸ケーブル4における金属テープ31と同様の構成とされ、一組の絶縁部材20、20を覆うようにして、螺旋状に巻かれている。このように金属テープ31が巻かれることにより、伝送ケーブル104が曲げられる場合に、金属テープ31が開くことが抑制されるため好ましい。
【0082】
本実施形態の伝送ケーブル104によれば、金属テープ31の熱融着性層31aにより樹脂糸22同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができ、伝送ケーブル104のインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態においても、第3実施形態と同様にして、金属テープ31を金属層31mと熱融着性層31aで構成して、樹脂フィルム31rを省略しても良い。また、第7実施形態の伝送ケーブル102における樹脂テープ26を省略するとともに、外部導体30を金属テープ31から構成するようにしても良い。
【0084】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について図14を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図14は、本発明の第10実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0085】
図14に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル105は、それぞれの内部導体10の外周面に対して、1本の樹脂糸22が、一方向へ螺旋状に巻かれている点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0086】
本実施形態の伝送ケーブル105によれば、樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれているため、第6実施形態の伝送ケーブル101と同様に、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、1本の樹脂糸22が螺旋状に巻かれたが、数本の樹脂糸22を組として横並びに並べた1組又は複数組の樹脂糸組が螺旋状に巻かれていても良い。また図示はしないが、1本、1組又は複数組の樹脂糸22が、内部導体10の長手方向に沿って、内部導体10の外周面に対して縦添えに巻かれていても良い。樹脂糸22が螺旋状に巻かれた場合、伝送ケーブルが曲げられることによって、螺旋状に巻かれた隣り合う樹脂糸22同士が開いてしまうといったことが抑制される観点から好ましい。また樹脂糸22が縦添えされて巻かれた場合、製造時に樹脂糸22を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0088】
以上、本発明について、第1〜第10実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
例えば、第1〜第10実施形態において、内部導体10は、複数の導電性線材の撚り線から成るとしたが、導電性の単線から構成されても良い。
【0090】
また第6〜第10実施形態において、全ての絶縁部材20が樹脂編組21を有している必要はなく、少なくとも1つの絶縁部材20が樹脂編組21を有している構成としても良い。
【0091】
また、第6実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが樹脂層25を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が、樹脂層25を有する構成であっても良い。同様に、第7実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが樹脂テープ26を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が樹脂テープ26を有する構成であっても良い。同様に、第8実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが絶縁層27を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が絶縁層27を有する構成であっても良い
【0092】
また、第6〜第10実施形態においては、2芯平行伝送ケーブルを例に説明したが、本発明はこれに限らず、それぞれの絶縁部材20で被覆された内部導体10が、対撚りにされる対撚りケーブルであっても良い。
【0093】
また、第6〜第10実施形態においては、伝送ケーブルとして、2芯伝送ケーブルを例に説明したが、本発明はこれに限らず、内部導体10を3本以上備え、それぞれの内部導体10の外周面を絶縁部材20で被覆する多芯の伝送ケーブルであっても良い。
【0094】
また、上述の伝送ケーブルが複数本束ねられ、束ねられた複数本の伝送ケーブルの外周を覆うシールドと、このシールドの外周面を被覆する外部ジャケットとを備える多芯伝送ケーブルとしても良い。この場合においても、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、ケーブルの捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができる同軸ケーブルが提供される。
【符号の説明】
【0096】
1〜5・・・同軸ケーブル(ケーブル)
101〜105・・・伝送ケーブル(ケーブル)
10・・・内部導体
20・・・絶縁部材
21・・・樹脂編組
22・・・樹脂糸
23・・・樹脂糸組
24・・・空隙
25・・・樹脂層
26・・・樹脂テープ
26a・・・熱融着性層
26r・・・樹脂フィルム
27・・・絶縁層
30・・・外部導体
31・・・金属テープ
31a・・・熱融着性層
31m・・・金属層
31r・・・樹脂フィルム
40・・・ジャケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関し、特に内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルとして、内部導体と外部導体との間に絶縁性の樹脂糸を配置する同軸ケーブルが知られている。この同軸ケーブルは、一般に電子機器に用いられ、信号や電力を伝送する目的で使用されている。このような伝送ケーブルにおいては、内部導体と外部導体との間における誘電率が低いことが好ましい。そこで、内部導体と外部導体との間における誘電率を低くするために、内部導体と外部導体との間に空隙を設けることが行われている。
【0003】
下記特許文献1には、このような同軸ケーブルが記載されている。下記特許文献1に記載の同軸ケーブルは、内部導体と、内部導体を被覆する絶縁層と、絶縁層の外周面上に螺旋状に巻回される複数の樹脂糸と、巻回された複数の樹脂糸の外側に配置される外部導体と、外部導体の外側を被覆するジャケットとを備えている。そして、このケーブルにおいては、樹脂糸を内部導体と外部導体との間に配置することで、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、樹脂糸と絶縁層との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間における誘電率が下がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−90753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の同軸ケーブルにおいては、単に、樹脂糸が螺旋状に巻回されているだけであるため、同軸ケーブルが捻られたり、曲げられたりして変形すると、部分的に樹脂糸が緩む場合がある。このように樹脂糸が緩んだ場所においては、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、樹脂糸と絶縁層との間の空隙が大きくなる場合があり、空隙が大きくなった場所においては、誘電率が低くなる。従って、このような同軸ケーブルにおいては、捻れや曲げにより変形している場所と、変形していない場所とにおいて、インピーダンスが異なり、インピーダンス不整合によるノイズ発生の原因となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブルは、内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周面を被覆する外部導体とを備えるケーブルであって、前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる少なくとも1本の絶縁性の樹脂糸と、前記樹脂糸よりも低融点でなり、前記樹脂糸を被覆する樹脂層とを備え、前記樹脂層と前記樹脂糸との少なくとも密着する部分が融着されることを特徴とするものである。
【0008】
このようなケーブルによれば、内部導体の外周に対して、少なくとも1本の絶縁性の樹脂糸が巻かれているため、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。そして、樹脂糸は、その樹脂糸よりも低融点でなる樹脂層で被覆され、その樹脂層と樹脂糸とが密着する部分が融着されているため、樹脂糸同士の相対的な位置の変動が抑制され、同軸ケーブルの変形に伴う空隙の変形が緩和される。したがって、内部導体と外部導体との間における誘電率の変動が抑制され、ケーブルのインピーダンス不整合が抑制できる。
【0009】
また、前記樹脂糸は、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれ、前記内部導体を被覆するように前記内部導体に巻かれる樹脂編組とされることが好ましい。
【0010】
このようなケーブルによれば、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれているため、例えば、1本の樹脂糸を一方向へ螺旋状に巻く場合に比べて、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間の隙間が増す。したがって、内部導体と外部導体との間の誘電率をより一段と低くすることができる。また、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれているので、樹脂糸同士相対的な位置の変動の抑制が増し、内部導体と外部導体との間における誘電率の変動がより一段と抑制される。
【0011】
また、前記樹脂糸は、複数の樹脂製の線材から成る撚り線であることが好ましい。
【0012】
このようなケーブルによれば、樹脂糸を構成する樹脂製の線材間に空隙が生じるため、この空隙によりさらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0013】
或いは、前記樹脂糸は、樹脂製の中空糸であることが好ましい。
【0014】
このようなケーブルによれば、樹脂糸が樹脂製の中空糸であるため、さらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0015】
或いは、前記樹脂糸は、多孔質体であることが好ましい。
【0016】
このようなケーブルによれば、樹脂糸中の多数の孔により、さらに空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率をさらに低くすることができる。
【0017】
また、前記樹脂糸の少なくとも一部が前記内部導体に融着されていることが好ましい。
【0018】
このような同軸ケーブルによれば、樹脂糸が内部導体に融着されているため、同軸ケーブルの捻れや曲げにより、内部導体と絶縁部材とがずれることを抑制することができると共に、樹脂糸同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができ、ケーブルのインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0019】
また、前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる樹脂糸と、前記内部導体との間において、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁層を更に有することが好ましい。
【0020】
このような同軸ケーブルによれば、内部導体が絶縁層により被覆されているため、外部導体と内部導体とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができるケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図2】図1に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図4】図3に示す樹脂テープのテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図7】図6に示す金属テープのテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図10】図9に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係るケーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るケーブルの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図であり、図2は、図1に示すケーブルの長さ方向に対して垂直となる断面の構造を示す図である。
【0025】
図1、図2に示すように、本実施形態におけるケーブルは、同軸ケーブルである。同軸ケーブル1は、中心導体としての内部導体10と、内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20と、絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30と、外部導体30を被覆するジャケット40とを備える。
【0026】
内部導体10は、複数の導電性線材の撚り線から成る。なお、内部導体10の材料としては、導体であれば特に制限されないが、例えば、銅やニッケルやアルミ等が挙げられる。
【0027】
内部導体10の外周面を被覆する絶縁部材20は、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれた樹脂編組21と、その樹脂編組21を被覆する樹脂層25とから構成されている。
【0028】
樹脂編組21は、複数本の樹脂糸22を編みこんで成る。具体的には、数本の樹脂糸22が一組とされ、横並びに並べられて樹脂糸組23とされる。そして、この樹脂糸組23が複数組編みこまれることで、樹脂糸22が編みこまれた樹脂編組21とされる。そして、このように樹脂糸22が編みこまれることにより、樹脂糸22同士の間、及び、内部導体10と樹脂糸22との間に空隙24が形成されている。
【0029】
また、この樹脂編組21を構成するそれぞれの樹脂糸22は、糸状に形成された1本の樹脂から構成されても良いが、複数の樹脂製の線材が撚られた撚り線から構成されることが好ましい。この場合、線材間に空隙が生じるため、この空隙によりさらに空隙率を高くすることができる。このように樹脂糸22が複数の樹脂製の線材から構成される場合、各線材が同じ太さとされ、樹脂糸22の1本当たりの線材の数が、7本、19本とされることが、中心に1本の線材を配置して、その周りに無駄な隙間を無くして他の線材を配置することができ、空隙率を安定させることができる観点から好ましい。
【0030】
或いは、それぞれの樹脂糸22が、樹脂製の中空糸から構成されても、やはり好ましい。この場合、それぞれの樹脂糸22の空洞により、空隙率を高くすることができる。このように樹脂糸22が中空糸である場合、それぞれの樹脂糸22の内径の大きさは、中空糸の肉厚の厚さ以上にならないことが、中空糸の潰れを防止する観点から好ましい。
【0031】
また或いは、それぞれの樹脂糸22は、多孔質体の樹脂から構成されてもやはり好ましい。この場合、それぞれの樹脂糸22中の多数の孔により、空隙率を高くすることができる。このような孔の大きさは、樹脂糸22の直径の30%以下であることが、樹脂糸22の潰れや伸びを防止できる観点から好ましい。
【0032】
このような樹脂糸22の直径は、特に制限されるものではないが、例えば、同軸ケーブル1がAWG(American Wire Gauge)24〜AWG50に適合する場合には、0.25mm〜0.015mmであることが好ましい。また、樹脂編組21のそれぞれの樹脂糸組23における樹脂糸22の数は、それぞれ3本〜5本であることが、樹脂糸組23の巻き付けのピッチを短くできる観点から好ましい。さらに、樹脂編組21を構成する各樹脂糸組23の数は、8組、12組、16組、24組とされることが、樹脂糸組23をバランス良く巻きつけることができるため好ましい。
【0033】
また、それぞれの樹脂糸22は、内部導体10に融着されていることが、同軸ケーブル1が、捻じられたり曲げられたりして変形する場合に、内部導体10と樹脂編組21とがずれることを防止する観点から好ましい。このように樹脂糸22を内部導体10に融着させる方法は、まず、樹脂編組21が内部導体10の外周面上に設けられている状態において、内部導体10に電流を流すことにより、内部導体10を抵抗により加熱する。そして、この内部導体10の熱により、樹脂糸22の内部導体10側の表面を溶融して、その後、冷却することにより、樹脂糸22が内部導体10に融着される。
【0034】
なお、それぞれの樹脂糸22の材料としては、絶縁性の樹脂であれば特に制限がないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂が挙げられ、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンプロピレン共重合体系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は、これらの混合物などが挙げられ、ナイロンとしては、ナイロン66やナイロン6が挙げられ、フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等が挙げられる。なお、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロンにおいては、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粒子や、リン系難燃剤が混合されることが、難燃性を向上させる観点から好ましい。
【0035】
樹脂層25は、筒状でなり、樹脂編組21の外周面上に配置され、少なくとも樹脂編組21と向き合う部分が融着されている。この樹脂層25の融点は、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22よりもよりも低い融点とされる。この様な樹脂層25の材料としては特に制限されるものではないが、例えば、樹脂糸22と同様のものを挙げることができる。
【0036】
このように樹脂編組21と樹脂層25を融着させる方法は、まず、押出成形によって、樹脂編組21の外周面上に樹脂層25を形成しながら、樹脂編組21を加熱する。この加熱温度は、上述したように、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22の融点よりも低く、その樹脂糸22よりも低融点となる樹脂層25の融点を超える温度とされる。したがって、樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22は融けることなく残る一方、その樹脂糸22を被覆する樹脂層25は軟化し始め、樹脂糸22と樹脂層25とが密着する部分が融合する。その後、冷却することで融合部分が固定される。
【0037】
この様な樹脂編組21及び樹脂層25から成る絶縁部材20の外周面を被覆する外部導体30は、金属編組等から構成されている。外部導体30を構成する金属編組は、例えば、直径が0.1mm以下の多数の導電性の線材が編みこまれたものである。このような金属編組の材料としては、例えば、銅やニッケルやアルミが挙げられる。なお、金属編組を構成する線材同士の隙間が金属により埋められていることが、同軸ケーブル1の端部において、外部導体30を露出させる際に、線材がバラバラにならないため好ましい。このような金属編組の線材同士の隙間を埋める金属としては、例えば、スズ、はんだ等が挙げられる。
【0038】
また、ジャケット40は、熱可塑性樹脂により形成されている。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態における同軸ケーブル1によれば、内部導体10と外部導体30との間の絶縁部材20が樹脂編組21により構成される。この樹脂編組21は、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれている構成であるため、互いに隣り合う樹脂糸22同士の間や、内部導体10と樹脂糸22との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体10と外部導体30との間の誘電率を低くすることができる。
【0040】
また樹脂編組21は、その樹脂編組21として編み込まれる樹脂糸22よりも低融点である樹脂層25によって被覆される。そして、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも樹脂層25と密着する部分が融着されているため、樹脂糸22同士相対的な位置の変動が抑制され、同軸ケーブル1の変形に伴う空隙24の変形が緩和される。したがって、内部導体10と外部導体30との間における誘電率の変動が抑制され、同軸ケーブル1のインピーダンス不整合が抑制できる。
【0041】
さらに、上述のように、樹脂糸22が、複数の樹脂製の線材が撚られた撚り線から構成されたり、樹脂製の中空糸から構成されたり、多孔質体の樹脂から構成される場合には、内部導体と外部導体との間の空隙率を高くすることができ、内部導体と外部導体との間の誘電率を更に低くすることができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図3は、本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0043】
図3に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル2は、第1実施形態における樹脂層25に代えて、樹脂テープ26を備えている。この樹脂テープ26は、フィルム状でなり、樹脂編組21の外周面上を螺旋状に巻かれている。
【0044】
ただし、内部導体10の長手方向に沿って縦添えに巻かれていても良い。なお、樹脂テープ26が螺旋状に巻かれた場合、同軸ケーブル2の曲げに起因する樹脂テープ26の開裂を抑制する観点から好ましく、縦添えされて巻かれた場合、製造時に樹脂テープ26を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0045】
図4は、図3に示す樹脂テープ26のテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。樹脂テープ26は、樹脂フィルム26rと、その樹脂フィルム26r及び樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層26aとを重ね合わせた2層構造とされる。そして、樹脂テープ26は、樹脂編組21の外表面に熱融着性層26aを向けて樹脂編組21に巻かれ、その樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着される。これにより樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル2の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0046】
このように熱融着性層26aと樹脂編組21との密着部分とを付着させる方法は、まず、熱融着性層26aが樹脂編組21の外表面に向く状態でその樹脂編組21上に樹脂テープ26を巻いた後、加熱する。この加熱温度は、樹脂フィルム26r及び樹脂糸22の融点よりも低く、熱融着性層26aの融点を超える温度とされる。したがって、樹脂フィルム26r及び樹脂糸22は融けることなく残る一方、熱融着性層26aは軟化し始めて、熱融着性層26aと樹脂糸22との少なくとも密着部分が融合する。その後、樹脂テープ26を冷却することで融合部分が固定される。
【0047】
この様な樹脂フィルム26rの材料としては特に制限されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。また、熱融着性層26aの材料としては、樹脂糸22よりも低融点である限りにおいて、特に限定されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。
【0048】
本実施形態の同軸ケーブル2によれば、樹脂フィルム26rと、その樹脂フィルム26r及び樹脂編組21を構成する樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層26aとの2層構造とされる樹脂テープ26によって樹脂編組21が被覆されている。そして、樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着されているため、樹脂編組21を構成する樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル2の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図5は、本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0050】
図5に示すように、同軸ケーブル3は、絶縁部材20が、樹脂編組21と内部導体10との間において、内部導体10の外周面を被覆する絶縁層27を有する点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。
【0051】
絶縁層27は、絶縁性の樹脂から構成されている。この様な絶縁層27の材料としては特に制限されるものではないが、樹脂糸22の材料と同様の材料を挙げることができる。
【0052】
本実施形態の同軸ケーブル3によれば、内部導体10が絶縁層27により被覆されているため、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0053】
なお、第2実施形態における同軸ケーブル2の樹脂編組21と内部導体10との間に、絶縁層27を設けるようにしても良い。このようにしても、同軸ケーブル3と同様に、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0054】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図6は、本発明の第4実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル4では、第1実施形態の樹脂層25が省略され、外部導体30が金属テープ31から構成されている点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。この金属テープ31は、樹脂編組21の外周面上を螺旋状に巻かれていても良く、内部導体10の長手方向に沿って縦添えにされて巻かれていても良い。そして、金属テープ31が螺旋状に巻かれることが、同軸ケーブル3が曲げられる場合に、巻かれた金属テープ31が開くことが抑制される観点から好ましく、縦添えされて巻かれることが、製造時に金属テープ31を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0056】
図7は、図6に示す金属テープ31のテープ面に対して垂直となる断面の構造を示す図である。外部導体30を構成する金属テープ31は、樹脂フィルム31rの一方の面上に金属層31mが積層されており、樹脂フィルム31rの他方の面上に、樹脂フィルム31r及び樹脂糸22よりも低融点となる熱融着性層31aが積層されている。そして、金属テープ31は、樹脂編組21側に熱融着性層31aが向けられて巻かれ、その樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層31aと密着する部分が融着される。これにより樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、同軸ケーブル4の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0057】
このように熱融着性層31aと樹脂編組21の少なくとも一部とを付着させる方法は、まず、熱融着性層31aが樹脂編組21の外表面に向く状態でその樹脂編組21上に金属テープ31を巻いた後、加熱する。この加熱温度は、樹脂フィルム31rと樹脂糸22の融点よりも低く、これらよりも低融点となる熱融着性層31aの融点を超える温度とされる。したがって、樹脂フィルム31r及び樹脂糸22は融けることなく残る一方、熱融着性層31aは軟化し始めて、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層31aと密着する部分が融合する。その後、金属テープ31を冷却することで融合部分が固定される。
【0058】
この金属テープの厚さは、特に制限されるものではないが、0.1mm以下であることが、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。また、樹脂フィルム31rは、絶縁性の樹脂から構成されており、金属層31mの材料としては、銅やアルミやニッケル等を挙げることができ、金属層31mは、樹脂フィルム31rの一方の面上に蒸着により積層されても良く、貼り合せにより積層されても良い。
【0059】
また、以下の材料は特に限定されるわけではないが、樹脂フィルム31rの材料としては、第2実施形態の樹脂フィルム26rと同様の樹脂を挙げることができ、金属層31mの材料としては、内部導体10の材料と同様の金属を挙げることができ、熱融着性層31aの材料としては、第2実施形態の熱融着性層26aと同様の材料を挙げることができる。
【0060】
本実施形態の同軸ケーブル4によれば、熱融着性層31aが樹脂編組21の少なくとも一部と樹脂フィルム31rとを接着することにより、樹脂糸22同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができる。従って、同軸ケーブル4のインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、金属テープ31を金属層31mと熱融着性層31aで構成して、樹脂フィルム31rを省略しても良い。この場合、金属層31mは、金属の箔から構成れば良い。また、第2実施形態の同軸ケーブル2における樹脂テープ26を省略するとともに、第2実施形態の同軸ケーブル2における外部導体30を金属テープ31から構成するようにしても良い。
【0062】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図8は、本発明の第5実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0063】
図8に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル5は、1本の樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれている点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。
【0064】
本実施形態の同軸ケーブル5によれば、樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれているため、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、1本の樹脂糸22が螺旋状に巻かれたが、数本の樹脂糸22を組として横並びに並べた1組又は複数組の樹脂糸組が螺旋状に巻かれていても良い。樹脂糸22が螺旋状に巻かれた場合、同軸ケーブルが曲げられることによって、螺旋状に巻かれた隣り合う樹脂糸22同士が開いてしまうといったことが抑制される観点から好ましい。
【0066】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図9、図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図9は、本発明の第6実施形態に係るケーブルを示す図であり、図10は、図9に示すケーブルの長さ方向に垂直な方向における断面の構造を示す図である。
【0067】
図9、図10に示すように、本実施形態におけるケーブルは、2芯平行型の伝送ケーブルである。伝送ケーブル101は、互いに平行に配される一組の内部導体10、10と、それぞれの内部導体10の外周面を被覆する一組の絶縁部材20、20と、一組の絶縁部材20、20の外周面を覆う外部導体30と、外部導体30の外周面を被覆するジャケット40とを備えている。
【0068】
本実施形態においては、それぞれの絶縁部材20は、それぞれの内部導体10の外周面を被覆しているが、外部導体30は、一組の絶縁部材20、20を一纏めにして覆っている。
【0069】
またこの樹脂編組21は、樹脂層25によって樹脂編組21が被覆される。そして、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも樹脂層25と密着する部分が融着されている。また、樹脂糸22と樹脂層25とが融着している部分によって、樹脂糸22同士相対的な位置の変動が抑制され、伝送ケーブル101の変形に伴う空隙24の変形が緩和される。したがって、内部導体10と外部導体30との間における誘電率の変動が抑制され、伝送ケーブル101のインピーダンス不整合が抑制できる。
【0070】
本実施形態の伝送ケーブル101においても、それぞれの絶縁部材20が、複数の絶縁性の樹脂糸22が編みこまれている樹脂編組21と、その樹脂編組21を被覆する樹脂層25とから成る。したがって、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22により空隙24ができ、内部導体10と外部導体30との間の誘電率を低くすることができる。
【0071】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図11を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図11は、本発明の第7実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0072】
図11に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル102は、それぞれの絶縁部材20が、樹脂編組21と外部導体30との間において、樹脂編組21の外周面を被覆する絶縁性の樹脂テープ26を有する点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0073】
樹脂テープ26は、第2実施形態の同軸ケーブル2における樹脂テープ26と同様の構成とされ、第2実施形態と同様に、樹脂編組21の外周面上に巻かれている。また、第2実施形態と同様に、樹脂編組21として編みこまれる樹脂糸22のうち、少なくとも熱融着性層26aと密着する部分が融着される。
【0074】
本実施形態の伝送ケーブル102によれば、第2実施形態の同軸ケーブル2と同様に、樹脂編組21を構成する樹脂糸22同士相対的な位置の変動の抑制が増し、伝送ケーブル102の変形に伴う空隙24の変形がより一段と緩和される。
【0075】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図12を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図12は、本発明の第8実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0076】
図12に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル103は、それぞれの絶縁部材20が、樹脂編組21と内部導体10との間において、内部導体10の外周面を被覆する絶縁層27を有する点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0077】
絶縁層27は、第2実施形態の同軸ケーブル2の絶縁層27と同様の構成とされる。
【0078】
本実施形態の伝送ケーブル103によれば、内部導体10が絶縁層27により被覆されているため、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0079】
なお、第7実施形態における伝送ケーブル102の樹脂編組21と内部導体10との間に、絶縁層27を設けるようにしても良い。このようにしても、伝送ケーブル103と同様に、外部導体30と内部導体10とが短絡することをより効果的に防止することができる。
【0080】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図13を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図13は、本発明の第9実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0081】
図13に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル104では、第6実施形態の樹脂層25が省略され、外部導体30が金属テープ31から構成されている点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。この金属テープ31は、第4実施形態の同軸ケーブル4における金属テープ31と同様の構成とされ、一組の絶縁部材20、20を覆うようにして、螺旋状に巻かれている。このように金属テープ31が巻かれることにより、伝送ケーブル104が曲げられる場合に、金属テープ31が開くことが抑制されるため好ましい。
【0082】
本実施形態の伝送ケーブル104によれば、金属テープ31の熱融着性層31aにより樹脂糸22同士の相対的な位置の変動をより効果的に抑制することができ、伝送ケーブル104のインピーダンス不整合をより効果的に抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態においても、第3実施形態と同様にして、金属テープ31を金属層31mと熱融着性層31aで構成して、樹脂フィルム31rを省略しても良い。また、第7実施形態の伝送ケーブル102における樹脂テープ26を省略するとともに、外部導体30を金属テープ31から構成するようにしても良い。
【0084】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について図14を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図14は、本発明の第10実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0085】
図14に示すように、本実施形態のケーブルも第6実施形態と同様にして伝送ケーブルである。伝送ケーブル105は、それぞれの内部導体10の外周面に対して、1本の樹脂糸22が、一方向へ螺旋状に巻かれている点において、第6実施形態の伝送ケーブル101と異なる。
【0086】
本実施形態の伝送ケーブル105によれば、樹脂糸22が、内部導体10の外周面に対して一方向へ螺旋状に巻かれているため、第6実施形態の伝送ケーブル101と同様に、互いに隣り合う樹脂糸同士の間や、内部導体と樹脂糸との間に空隙ができ、この空隙により、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くすることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、1本の樹脂糸22が螺旋状に巻かれたが、数本の樹脂糸22を組として横並びに並べた1組又は複数組の樹脂糸組が螺旋状に巻かれていても良い。また図示はしないが、1本、1組又は複数組の樹脂糸22が、内部導体10の長手方向に沿って、内部導体10の外周面に対して縦添えに巻かれていても良い。樹脂糸22が螺旋状に巻かれた場合、伝送ケーブルが曲げられることによって、螺旋状に巻かれた隣り合う樹脂糸22同士が開いてしまうといったことが抑制される観点から好ましい。また樹脂糸22が縦添えされて巻かれた場合、製造時に樹脂糸22を巻き易く、また、細い同軸ケーブルに対応できる観点から好ましい。
【0088】
以上、本発明について、第1〜第10実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
例えば、第1〜第10実施形態において、内部導体10は、複数の導電性線材の撚り線から成るとしたが、導電性の単線から構成されても良い。
【0090】
また第6〜第10実施形態において、全ての絶縁部材20が樹脂編組21を有している必要はなく、少なくとも1つの絶縁部材20が樹脂編組21を有している構成としても良い。
【0091】
また、第6実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが樹脂層25を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が、樹脂層25を有する構成であっても良い。同様に、第7実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが樹脂テープ26を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が樹脂テープ26を有する構成であっても良い。同様に、第8実施形態において、一組の絶縁部材20、20のそれぞれが絶縁層27を有するものとしたが、少なくとも1つの絶縁部材20が絶縁層27を有する構成であっても良い
【0092】
また、第6〜第10実施形態においては、2芯平行伝送ケーブルを例に説明したが、本発明はこれに限らず、それぞれの絶縁部材20で被覆された内部導体10が、対撚りにされる対撚りケーブルであっても良い。
【0093】
また、第6〜第10実施形態においては、伝送ケーブルとして、2芯伝送ケーブルを例に説明したが、本発明はこれに限らず、内部導体10を3本以上備え、それぞれの内部導体10の外周面を絶縁部材20で被覆する多芯の伝送ケーブルであっても良い。
【0094】
また、上述の伝送ケーブルが複数本束ねられ、束ねられた複数本の伝送ケーブルの外周を覆うシールドと、このシールドの外周面を被覆する外部ジャケットとを備える多芯伝送ケーブルとしても良い。この場合においても、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、内部導体と外部導体との間の誘電率を低くしつつ、ケーブルの捻れや曲げによるインピーダンス不整合を抑制することができる同軸ケーブルが提供される。
【符号の説明】
【0096】
1〜5・・・同軸ケーブル(ケーブル)
101〜105・・・伝送ケーブル(ケーブル)
10・・・内部導体
20・・・絶縁部材
21・・・樹脂編組
22・・・樹脂糸
23・・・樹脂糸組
24・・・空隙
25・・・樹脂層
26・・・樹脂テープ
26a・・・熱融着性層
26r・・・樹脂フィルム
27・・・絶縁層
30・・・外部導体
31・・・金属テープ
31a・・・熱融着性層
31m・・・金属層
31r・・・樹脂フィルム
40・・・ジャケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周面を被覆する外部導体とを備えるケーブルであって、
前記絶縁部材は、
前記内部導体の外周に巻かれる少なくとも1本の樹脂糸と、
前記樹脂糸よりも低融点でなり、前記樹脂糸を被覆する樹脂層と
を備え、
前記樹脂層と前記樹脂糸との少なくとも密着する部分が融着される
ことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記樹脂糸は、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれ、前記内部導体を被覆するように前記内部導体に巻かれる樹脂編組とされる
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記樹脂糸は、複数の樹脂製の線材から成る撚り線である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記樹脂糸は、樹脂製の中空糸である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項5】
前記樹脂糸は、多孔質体である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の伝送ケーブル。
【請求項6】
前記樹脂糸の少なくとも一部が前記内部導体に融着されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる樹脂糸と、前記内部導体との間において、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁層を更に有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項1】
内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周面を被覆する外部導体とを備えるケーブルであって、
前記絶縁部材は、
前記内部導体の外周に巻かれる少なくとも1本の樹脂糸と、
前記樹脂糸よりも低融点でなり、前記樹脂糸を被覆する樹脂層と
を備え、
前記樹脂層と前記樹脂糸との少なくとも密着する部分が融着される
ことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記樹脂糸は、少なくとも2本の樹脂糸が交互に編みこまれ、前記内部導体を被覆するように前記内部導体に巻かれる樹脂編組とされる
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記樹脂糸は、複数の樹脂製の線材から成る撚り線である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記樹脂糸は、樹脂製の中空糸である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項5】
前記樹脂糸は、多孔質体である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の伝送ケーブル。
【請求項6】
前記樹脂糸の少なくとも一部が前記内部導体に融着されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記絶縁部材は、前記内部導体の外周に巻かれる樹脂糸と、前記内部導体との間において、前記内部導体の外周面を被覆する絶縁層を更に有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−216415(P2012−216415A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80835(P2011−80835)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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