説明

ゲッターによる多結晶グループIIIの金属窒化物および作製方法

【課題】ゲッターが付加された窒素含有ガスと共にグループIII金属を加熱することにより、ゲッターが付加された多結晶グループIII金属窒化物を形成する。
【解決手段】
ゲッターが付加された多結晶窒化物中の残留酸素のうち大部分は、ゲッターによって化学結合する。ゲッターが付加された多結晶グループIII金属窒化物は、バルクグループIII窒化物結晶の熱アンモニア成長のための原材料として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本発明の譲受人に譲渡された仮特許出願第61/122332号(出願日:2008年12月12日)に対する優先権を主張する。本明細書中、同出願を参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主に結晶成長のための材料の処理に関する。より詳細には、本発明は、ンモノ塩基性またはアンモノ酸性技術によるガリウム含有窒化物結晶の結晶成長のための原材料としての使用に適した結晶質窒化物材料を提供するが、他にもあり得る。他の実施形態において、本発明は、多結晶窒化物材料の合成に適した方法を提供するが、他の結晶および材料も処理可能であることが認識される。このような結晶および材料を非限定的に挙げると、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaNおよびAlInGaN、バルク基板またはパターン化基板の製造のための他の材料がある。このようなバルク基板またはパターン化基板は、多様な用途(例えば、光電子デバイス、レーザー、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検知器、集積回路およびトランジスタなどのデバイス)のために、用いることができる。
【0003】
窒化ガリウム含有結晶質材料は、従来の光電子デバイス(例えば、青色発光ダイオードおよびレーザー)の製造において、基板として機能する。このような光電子デバイスは、蒸着窒化物層からの組成において異なるサファイア基板または炭化ケイ素基板上において製造されることが多い。従来の有機金属気相成長法(MOCVD)方法では、GaN蒸着は、アンモニアおよび有機金属化合物から気相において行われる。従来において達成された成長速度の場合、可能ではあるものの、GaN材料のバルク層を得ることが困難な原因となっている。さらに、転位密度も高く、そのため、光電子デバイス性能が劣化する。
【0004】
熱アンモニア合成による窒化物結晶成長が提案されている。熱アンモニア結晶成長方法は、以下の文献によって記載されているように、測定可能であることが期待されている(Dwilinskiら[J.Crystal Growth310,3911(2008年)]、Ehrentrautら[J.Crystal Growth305、204(2007年)]、D’Evelynら[J.Crystal Growth300,11(2007年)]、およびWangら[Crystal Growth&Design6、1227(2006年)]。熱アンモニア方法の場合、多結晶窒化物原材料が必要となることが多く、この多結晶窒化物原材料を種晶上に再結晶化させる。熱アンモニア法によって成長されたGaN結晶について現在も続いている課題として高レベルの不純物があり、そのため、結晶に着色(例えば、帯黄色、帯緑色、帯灰色、または帯茶色)が生じる。残留不純物が有る場合、このような基板上に製造された発光ダイオード中の光吸収の原因となり得、効率に悪影響が出る場合があり、また、電気伝導度の劣化および/または結晶内の応力発生の原因にもなり得る。このような不純物の源の1つとして、多結晶窒化物原材料がある。
【0005】
例えば、比較的より低コストである気相法であるハイドライド気相成長によって成長された窒化ガリウム結晶の場合、光透過性が極めて高いことが分かっており、波長が約385ナノメートル〜約620ナノメートルであるときの光吸収係数は2cm−1である[Oshimaら、J.Appl.Phys.98、103509(2005年)]。しかし、熱アンモニア法によって成長された窒化ガリウム結晶のうち最も透明度の高いものの場合、帯黄色を呈しており、また、波長が約465ナノメートル〜約700ナノメートルであるときの光吸収係数が5cm−1を下回ることが分かっている[D’Evelynら、J.Crystal Growth300,11(2007年)および米国特許第7,078,731号]。
【0006】
多結晶窒化物材料の合成方法がいくつか提案されており(Callahanら、[MRS InternetJ.Nitride Semicond.Res.4、10(1999年);米国特許第6,406,540号])、NHClの加熱によって形成さいれた蒸気中でガリウム金属を加熱する工程を含む化学気相反応プロセスが提案されている。関連する方法が、Wangら[J.Crystal Growth286、50(2006年)]およびParkら[米国特許出願第2007/0142204号、第2007/0151509号および第2007/0141819号]によって議論されている。ここで、同文献全てを参考のため援用する。主に観察される不純物は酸素であり、酸素レベルは約16〜約160(ppm(100万分の1))の範囲において異なる。上述の酸素の化学形態は特定されていなかった。別のTsujiによって開示されている方法では、アンモニアのみが加熱され、その結果、酸素含有量が0.07wt%を下回るGaN粉末が得られる[米国特許出願第2008/0193363号]。ここで、同文献全体を参考のため援用する。さらに別のSpencerらによって開示されている方法では、Ga金属を湿潤剤(例えば、Bi)と接触させ、アンモニアのみを加熱し、その結果酸素含有量が650ppmよりも低いGaN粉末を得ている、[米国特許第7,381、391号]。ここで、同文献全体を参考のため援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
"
このような背景化において必要とされているのは、バルク窒化ガリウム結晶の結晶成長に適しておりかつバルク結晶中の不純物に寄与しない、多結晶窒化物材料の低コストな製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、結晶成長のための材料の処理に関連する技術が提供される。より詳細には、本発明は、アンモノ塩基性技術またはアンモノ酸性技術による、ガリウム含有窒化物結晶の結晶成長のための原材料に適した結晶質窒化物材料を提供するが、他のものもあり得る。他の実施形態において、本発明は、多結晶窒化物材料の合成に適した方法を提供するが、他の結晶および材料も処理可能であることが認識される。このような結晶および材料を非限定的に挙げると、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaNならびにバルク基板またはパターン化基板の製造のための他の材料がある。このようなバルク基板またはパターン化基板は、多様な用途(例えば、光電子デバイス、レーザー、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検知器、集積回路およびトランジスタ、ならびに他のデバイス)に用いることができる。
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、材料のための組成を提供する。上述の組成は、複数の粒子を有する、多結晶グループIIIの金属窒化物材料を含む。好適には、上述の複数の粒子は、柱状構造により、特徴付けられる。特定の実施形態において、上述の粒子のうち1つ以上の平均粒子サイズは、約10ナノメートル〜約1ミリメートルである。上述の組成のグループIII金属窒化物中のグループIII金属の原子分率は、約0.49〜約0.55の範囲である。1つ以上の実施形態において、上述のグループIII金属窒化物中の金属は、少なくともアルミニウム、インジウムまたはガリウムから選択される。上述の組成はまた、上述のグループIII金属窒化物材料中の酸素含有量も有する。上述のグループIII金属窒化物材料中の酸素含有量は、グループIII金属酸化物またはグループIII金属窒化物内の置換型不純物として提供され、約10ppm(100万分の1)未満である。
【0010】
別の特定の実施形態において、本発明は、結晶質材料を形成する方法を提供する。上述の方法は、少なくとも1つの坩堝の中にグループIII金属を入れる工程を含む。好適には、上述のグループIII金属は、少なくともアルミニウム、ガリウム、およびインジウムから選択された少なくとも1つの金属を含む。上述の方法は、上述のグループIII金属に対して少なくとも100ppmのレベルにおいてゲッターを提供する工程を含む。特定の実施形態において、上述のゲッターは、少なくともアルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタル、およびタングステンから選択される。上述の方法はまた、上述のグループIII金属を上述の坩堝中に入れ、上述のゲッターをチャンバ内に入れる工程を含む。上述の方法では、窒素含有材料を上述のチャンバ内に移動させ、上述のチャンバを所定温度まで加熱する。上述の方法は、上述のチャンバを所定圧力まで加圧する工程と、上述のチャンバ内において上述の窒素含有材料を上述のグループIII金属と共に処理する工程とを含む。1つ以上の実施形態において、上述の方法は、少なくとも上述のグループIII金属を含む坩堝内に、多結晶グループIII金属窒化物を形成する。
【0011】
さらに別の特定の実施形態において、本発明は、グループIII金属窒化物を含有する基板を形成する別の方法を提供する。上述の方法は、グループIII金属をソース材料として提供する工程を含む。上述のグループIII金属は、少なくともアルミニウム、ガリウム、およびインジウムから選択された少なくとも1つの金属を含む。上述の方法は、上述のグループIII金属ソース材料に対して少なくとも100ppmのレベルにおいてゲッターを提供する工程と、上述のグループIII金属ソース材料および上述のゲッターをチャンバ内に入れる工程とを含む。上述の方法はまた、窒素含有材料を上述のチャンバ内に移動させ、上述のチャンバを所定温度まで加熱する工程も含む。好適な実施形態において、上述の方法は、上述のチャンバを所定圧力まで加圧する工程と、上述のチャンバ内において上述の窒素含有材料を上述のグループIII金属ソース材料と共に処理する工程とを含む。1つ以上の実施形態において、上述の方法は、結晶質グループIII金属窒化物を形成する。上述の結晶質グループIII金属窒化物は、ウルツ鉱型構造により、特徴付けられる。上述のウルツ鉱型構造は、立方エンティティが実質的に全く無く、約385ナノメートル〜約750ナノメートルの波長において、光吸収係数が約2cm−1以下である。
【0012】
さらに、本発明は、窒化ガリウム含有結晶を提供する。上述の結晶は、結晶質基板部材を有する。上述の結晶質基板部材は、約5ミリメートルを超える長さを有し、実質的に他の結晶構造が全く無い点によって特徴付けられる実質的にウルツ鉱型の構造を有する。好適な実施形態において、その他の構造は、上述の実質的にウルツ鉱型構造の体積に対して約1%未満の体積を有する。上述の結晶はまた、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、FおよびClのうち少なくとも1つの不純物濃度が1015cm−1よりも高く、波長が約385ナノメートル〜約750ナノメートルであるときの光吸収係数が約2cm−1である。
【発明の効果】
【0013】
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本発明を用いれば、既存の技術よりも多くの恩恵が得られる。詳細には、本発明により、高品質の窒化ガリウム含有結晶成長のための出発材料として機能する結晶を高いコスト効果を以て製造することが可能となる。特定の実施形態において、本方法および装置は、製造が比較的単純かつコスト効果の高いコンポーネント(例えば、セラミック管および鋼管)と共に、動作することができる。また、特定の実施形態では、高品質の窒化ガリウム出発材料の製造のための1つ以上の化学物質の処理に適したゲッター材料を利用する。実施形態に応じて、本装置および方法は、当業者により、従来の材料および/または方法を用いて製造することができる。好適な実施形態において、最終結晶構造は、実質的に透明であり、かすみおよび他の望ましくない特徴が無い。実施形態に応じて、これらの恩恵のうち1つ以上が達成され得る。上記および他の恩恵は、本明細書およびより詳細には下記において、記載され得る。
【0014】
本発明は、公知の処理技術において、上記および他の効果を達成できる。さらに、本明細書の後半部分および添付図面を参照すれば、本発明の本質および利点が理解され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1、図2および図3は、本発明の実施形態によるリアクターを示す模式図である。
【0016】
図4は、本発明の実施形態による合成方法の簡単なフロー図である。
【0017】
図5は、本発明の実施形態による利用方法の簡単なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によれば、結晶成長のための材料の処理に関連する技術が提供される。より詳細には、本発明は、アンモノ塩基性技術またはアンモノ酸性技術によるガリウム含有窒化物結晶の結晶成長のための原材料としての利用に適した結晶質窒化物材料を提供するが、他のものもあり得る。他の実施形態において、本発明は、多結晶窒化物材料の合成に適した方法を提供するが、他の結晶および材料も処理可能であることが認識される。このような結晶および材料を非限定的に挙げると、バルク基板またはパターン化基板の製造のための、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaNおよびAlInGaNおよび他のものがある。このようなバルク基板またはパターン化基板は、多様な用途(例えば、光電子デバイス、レーザー、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検知器、集積回路、およびトランジスタ、ならびに他のデバイス)に用いることができる。
【0019】
本発明は、結晶質組成に関連し得る実施形態を含む。本発明は、結晶質組成を作製するための装置に関連し得る実施形態をも含む。本発明は、さらに、上述の結晶質組成を作製および/または利用する方法に関連し得る実施形態を含むものである。
【0020】
本明細書中内において、本明細書および特許請求の範囲内において用いられる表現は、いかなる定量的な表現の変更にも適用されるべきである。このような定量的な表現の変更は、関連する基本的機能を変化させることなく、許容範囲内において変化し得るものも含まれる。そのため、「約」などの用語にとって変更された値は、指定された値そのもに限定されない場合がある。少なくとも1つの場合において、「約」という用語によって示される分散は、測定技術の精度を参考にして決定され得る。同様に、「〜が無い」という用語も、「;」という用語と組み合わされて用いられる場合があり、他に明記無き限り改変された用語を含まず、かつ、非実質的な数またはごく少量も含まれ得るものとする。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、多結晶金属窒化物の組成が提供される。上述の多結晶金属窒化物は複数の粒子を有し得、これらの粒子は柱状構造を有し得る。いくつかの実施形態において、多くの粒子が相互に形成して、多結晶プレートを形成し得る。他の実施形態において、少数の粒子が相互に結合して、多結晶粉末を形成し得る。
【0022】
上述の粒子について、この粒子は、1つ以上の性質によって特徴付けられ得る。これらの性質は、粒子寸法を含み得る。他の性質は、単位体積毎の平均数の粒子、粒子間曲げ強さまたは上述の粒子の相互の傾斜角を含み得る。
【0023】
上述の粒子寸法は、平均粒子サイズまたは平均粒子直径のいずれかを指し得る。上述の粒子は柱状構造を有し得、この場合の粒子は主軸を有し、上述の平均粒子サイズは、上述の主軸に沿った粒子の平均長さを指す。上述の主軸に対して垂直方向に1つ以上の短軸であり得、各粒子の平均直径は、上述の短軸に基づいて決定され得る。上述の粒子それぞれの平均直径を合計して、平均値をとり、上述の平均粒子直径を得ることができる。本明細書中用いられる平均とは、上述の平均値を指し得る。
【0024】
上述の多結晶金属窒化物の平均粒子サイズは、約10ナノメートルよりも高い範囲内にあり得る。一実施形態において、上述の平均粒子サイズは約0.01マイクロメートル〜約1ミリメートルの範囲内にあり得るが、他のいくつかの実施形態において、上述の粒子サイズは、約0.01マイクロメートル〜約30マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約50マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約100マイクロメートル、約100マイクロメートル〜約500マイクロメートル、約500マイクロメートル〜約1ミリメートル、または約1ミリメートルよりも高い範囲内にあり得る。上述の平均粒子直径は、約10マイクロメートルよりも高い場合がある。一実施形態において、上述の平均粒子直径は、約10マイクロメートル〜約20マイクロメートル、約20マイクロメートル〜約30マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約50マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約100マイクロメートル、約100マイクロメートル〜約500マイクロメートル、約500マイクロメートル〜約1ミリメートル、または約1ミリメートルよりも高い範囲にあり得る。
【0025】
上述の結晶質組成の単位体積毎の粒子の平均数は、粒子平均または粒度を示し得る。上述の組成の単位体積毎の平均粒子数は、約100個/立方センチメートルよりも多い。一実施形態において、単位体積毎の平均粒子数は、約100個/立方センチメートル〜約1000個/立方センチメートル、約1000/立方センチメートル〜約10,000/立方センチメートル、約10,000/立方センチメートル〜約10/立方センチメートル、または約10/立方センチメートルよりも高い範囲にあり得る。
【0026】
上述の粒子は、相互に所定の角度で配向され得る。上述の配向を傾斜角と呼ぶ場合があり、約1度よりも高い場合がある。一実施形態において、上述の粒子配向はたは傾斜角は、約1度〜約3度、約3度〜約5度、約5度〜約10度、約10度〜約15度、約15度〜約30度、または約30度よりも高い範囲にあり得る。
【0027】
本発明の実施形態に従って製造された1つ以上の結晶質製品に固有または特定の性質を挙げると、曲げ強さ、密度、耐湿性、および孔隙率などがある。上述の性質は、対応するASTM標準試験を用いて測定することができる。ASTM標準試験の例を挙げると、ASTMC1499がある。
【0028】
1つ以上の結晶を含む膜の粒子間曲げ強さは、約20メガパスカル(MPa)よりも高い場合がある。一実施形態において、上述の粒子間曲げ強さは、約20メガパスカル〜約50メガパスカル、約50メガパスカル〜約60メガパスカル、約60メガパスカル〜約70メガパスカル、約70メガパスカル〜約75メガパスカル、約75メガパスカル〜約80メガパスカル、約80メガパスカル〜約90メガパスカル、または約90メガパスカルよりも高い範囲にあり得る。上述の曲げ強さは、粒子間界面および/または粒子間強度における粒子間関係を示し得る。
【0029】
結晶質製品の見掛け密度は、約1グラム/立方センチメートル(g/cc)よりも高い場合がある。一実施形態において、上述の密度は、約1グラム/立方センチメートル〜約1.5グラム/立方センチメートル、約1.5グラム/立方センチメートル〜約2グラム/立方センチメートル、約2グラム/立方センチメートル〜約2.5グラム/立方センチメートル、約2.5グラム/立方センチメートル〜約3グラム/立方センチメートル、または約3グラム/立方センチメートルよりも高い範囲にあり得る。上述の結晶質組成密度は、例えば、上述の孔隙率またはその欠如、上述の結晶充填配置などの関数であり得る。
【0030】
上述の結晶質製品は、アルミニウム窒化物であり得、かつ、標準試験条件における見掛け密度が約3.26グラム/立方センチメートル未満であり得る。一実施形態において、上述のアルミニウム窒化物結晶質製品の見掛け密度は、約3.26グラム/立方センチメートル〜約2.93グラム/立方センチメートル、約2.93グラム/立方センチメートル〜約2.88グラム/立方センチメートル、約2.88グラム/立方センチメートル〜約2.5グラム/立方センチメートル、約2.5グラム/立方センチメートル〜約1.96グラム/立方センチメートル、または約1.96グラム/立方センチメートル未満の範囲であり得る。
【0031】
上述の結晶質製品は、窒化ガリウムであり得、かつ、標準試験条件における見掛け密度が約6.1グラム/立方センチメートルであり得る。一実施形態において、上述の窒化ガリウム結晶質製品の見掛け密度は、約6.1グラム/立方センチメートル〜約5.49グラム/立方センチメートル、約5.49グラム/立方センチメートル〜約4.88グラム/立方センチメートル、約4.88グラム/立方センチメートル〜約4.27グラム/立方センチメートル、約4.27グラム/立方センチメートル〜約4グラム/立方センチメートル、または約4グラム/立方センチメートル未満の範囲であり得る。
【0032】
上述の多結晶組成の孔隙率は、約30体積パーセント未満の範囲であり得る。一実施形態において、上述の孔隙率は、約30パーセント〜約10パーセント、約10パーセント〜約5パーセント、約5パーセント〜約1パーセント、約1パーセント〜約0.1パーセント、または約0.1体積パーセント未満の範囲であり得る。
【0033】
上述の金属窒化物の金属は、グループIII金属を含み得る。適切な金属を挙げると、アルミニウム、ガリウムまたはインジウムのうち1つ以上のものがある。「1つ以上」とは、上述の金属窒化物中の金属の組み合わせを意味し、組成(例えば、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、アルミニウムインジウム窒化物(AlInN)、アルミニウムインジウム窒化ガリウム(AlInGaN)など)を含み得る。
【0034】
上述の金属または上述の金属窒化物中の金属の割合は、上述の金属窒化物中に過剰な金属が無いように、選択するとよい。一実施形態において、上述の金属の原子分率は、約49パーセントよりも高くすることができる。別の実施形態において、上述の原子分率は、約49パーセント〜約50パーセント、約50パーセント〜約51パーセント、約51パーセント〜約53パーセント、約53パーセント〜約55パーセント、または約55パーセントよりも高い範囲であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、上述のグループIIIの金属窒化物は粉末を含む。上述の粉末の粒子サイズは、約0.1ミクロン〜約100ミクロンであり得る。いくつかの粉末粒子は、単結晶を含み得る。いくつかの粉末粒子は、少なくとも2つの粒子を含み得る。他の実施形態において、上述のグループIII金属窒化物は、粗粒子を含む。上述の粗粒子の粒子サイズは、約100ミクロン〜約10ミリメートルであり得る。いくつかの粗粒子は、単結晶を含み得る。いくつかの粗粒子は、少なくとも2つの粒子を含み得る。
【0036】
上述の金属窒化物組成は、1つ以上の不純物を含み得る。本明細書中用いられまた当該分野において一般的に用いられるように、「不純物」という用語は、上述の多結晶金属窒化物の主要組成を構成しているグループIIIの金属窒化物と区別される化学種を指す。化学的性質、原子構造、意図および効果について、いくつかの種類の不純物が区別され得る。不純物は一般的には、窒素、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムと区別される元素(例えば、酸素、炭素、ハロゲン、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および主要ブロック元素)を含む。上述の不純物は、複数の形態において異なる原子構造と共に存在し得る。いくつかの場合において、上述の不純物は、上述のグループIII金属窒化物の結晶格子内の孤立原子またはイオンとして(例えば、置換型不純物または格子間不純物として)存在し得る。他の場合において、上述の不純物は、別個の相内に存在し得る(例えば、個々のグループIIIの金属窒化物粒子内または上述のグループIIIの金属窒化物の粒子境界内の内包物として存在し得る)。上述の不純物は、上述のグループIIIの金属窒化物の性質を何らかの様態で向上させるために意図的に付加される場合もあるし、あるいは意図的にではなく付加される場合もある。最後に、上述の不純物は、上述のグループIIIの金属窒化物の電気的性質、結晶学的性質、化学的性質または機械的性質に対して顕著な効果を持つ場合もあるし、持たない場合もある。
【0037】
本明細書中用いられまた当該分野において一般的に用いられるように、「ドーパント」という用語は、上述のグループIII金属窒化物内に原子的に分散する(例えば、置換型不純物または格子間不純物として分散する)不純物を指し、典型的には意図的に付加される。ドーパントおよびドーパント前駆体(他に明記無き限り、「ドーパント」と総称する)について、処理時において上記組成にこのようなドーパントのうち1つ以上を付加することにより、上述のグループIII金属の窒化物組成の電気的性質を制御することができる。上述のドーパントは、磁気的性質および/または発光性も上述のグループIII金属の窒化物組成に付与することができる。適切なドーパントを挙げると、pブロック元素、遷移金属元素および希土類元素のうち1つ以上がある。適切なpブロック元素を挙げると、例えば、1つ以上ofケイ素、ゲルマニウム、マグネシウム、またはスズがある。他の適切なドーパントを挙げると、遷移グループ元素のうち1つ以上がある。適切な遷移グループ元素を挙げると、例えば、亜鉛、鉄またはコバルトのうち1つ以上がある。適切なドーパントにより、n型材料、p型材料または半絶縁性材料を得ることができる。いくつかの実施形態において、酸素が意図的にまたは非意図的に付加された場合、ドーパントとしても機能する。
【0038】
上述の多結晶組成中の適切なドーパント濃度レベルは、約1010原子/立方センチメートルよりも高くすることができる。一実施形態において、上述のドーパント濃度は、約1010原子/立方センチメートル〜約1015原子/立方センチメートル、約1015原子/立方センチメートル〜約1016原子/立方センチメートル、約1016原子/立方センチメートル〜約1017原子/立方センチメートル、約1017原子/立方センチメートル〜約1018原子/立方センチメートル、約1018原子/立方センチメートル〜約1021原子/立方センチメートル、または約1021原子/立方センチメートルよりも高い範囲であり得る。
【0039】
本明細書中用いられる「ゲッター」という用語は、意図的に付加され、かつ、望ましくない不純物(例えば、酸素)に対する化学親和力が組成の主要金属成分(例えば、ガリウム)よりもより高い不純物を指す。ゲッターは、内包物の形態で(例えば、金属窒化物、金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属オキシハライド、または金属オキシ窒化物として)上述の多結晶グループIII金属窒化物内において存在させることができる。適切なゲッターの例を挙げると、アルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタル、およびタングステン、およびその窒化物およびハロゲン化物がある。いくつかの実施形態において、上述のゲッター不純物は、ゲッターとしてもドーパントとしても機能することができる(例えば、マグネシウム)。他の場合において、上述のゲッター不純物原子は、ガリウムよりもより大きな原子直径または共有結合直径を有し、上述のグループIII金属窒化物の電気的性質を顕著に変化させる位の十分なレベルのドーパントとして存在せず、そのため、お主にまたは独占的にゲッターとして機能する。ゲッターは、上述の多結晶グループIII金属窒化物中において、100ppmよりも高いレベル、約100ppm〜約200ppmのレベル、約200ppm〜約500ppmのレベル、約500ppm〜約0.1%のレベル、約0.1%〜約0.2%のレベル、約0.2%〜約0.5%のレベル、約0.5%〜約2%のレベル、約2%〜約10%のレベル、または10%よりも高いレベルにおいて、存在し得る。ppm(100万分の1)および「%」は、他に明記無き限り、「重量」を意味する。
【0040】
他の場合において、上述の多結晶グループIII金属窒化物中において不純物が意図されておらず、かつ/または、望ましくない内包物であり、例えば処理および取り扱いに起因して発生する場合がある。他の意図されない不純物が、原材料中の汚染物質から発生し得る。いくつかの意図されない不純物は、原材料の選択により深く関連する場合がある。いくつかの実施形態において、意図されない不純物として、置換型不純物またはドーパントとして存在する酸素が上述の多結晶グループIII金属窒化物中に所望のレベルよりも高いレベルで存在する場合がある。他の実施形態において、意図されない不純物は、グループIII酸化物内包物として存在する酸素(例えば、Ga、Al、および/またはIn)を含む。意図されない酸素不純物の発生源としては、金属原材料中の残留酸素、合成プロセスにおいて用いられるガス状原材料中に不純物として存在する水分またはO、合成プロセス時におけるリアクターコンポーネントのガス放出から発生する水分、またはリアクター中の空気漏れがある。一実施形態において、窒化ガリウム内にGaまたは置換型不純物として存在する酸素含有量は、約10ppm(100万分の1)未満であり得る。別の実施形態において、窒化ガリウム内にGaまたは置換型不純物として存在する酸素含有量は、約10ppm(100万分の1)〜約3ppm(100万分の1)、約3ppm(100万分の1)〜約1ppm(100万分の1)、約1ppm(100万分の1)〜約0.3ppm(100万分の1)、約0.3ppm(100万分の1)〜約0.1ppm(100万分の1)、または約0.1ppm(100万分の1)未満の範囲であり得る。
【0041】
ここで、本発明の実施形態を含む装置を参照して、上述の装置は、サブシステム(例えば、ハウジング、1つ以上の供給源、および制御システム)を含み得る。
【0042】
上述のハウジングは、1つ以上の壁部、コンポーネントなどを含み得る。上述のハウジングの壁部は、金属、耐熱材料または金属酸化物で構成され得る。一実施形態において、上述のハウジングの壁部は、石英ガラス、アルミナ、炭素または窒化ホウ素のうち少なくとも1つを含む。一実施形態において、上述のハウジングは、内側壁部と、上述の内側壁部から空間を空けて配置された外側壁部とを有し得る。上述の内側壁部の内面は、チャンバとして規定し得るものである。
【0043】
上述のハウジングの壁部は、処理条件および所望の最終用途に基づいて、構成(例えば、形状付けまたはサイズ決め)され得る。上述の構成は、サイズおよびコンポーネント数、およびチャンバ内のコンポーネント間の相互配置によって異なり得る。上述のチャンバは、事前規定された体積を有し得る。一実施形態において、上述のハウジングは、外側直径が約5センチメートル〜約1メートルであり長さが約20センチメートル〜約10メートルである円筒状であり得る。上述のハウジングは、水平方向または垂直方向に伸長し得る。上述の伸長の配向は、1つ以上の処理パラメータに影響を与え得る。例えば、以下にさらに説明するように、水平方向の配置の場合、反応物質の流れがこれらの坩堝上を順次流れるように、一連の坩堝を直列配置することができる。このような配置において、上述の反応物質流れの濃度および組成は、上述の一連の坩堝のうち第1の坩堝と、上述の一連の坩堝のうち最後の坩堝とにおいて相対的に異なり得る。もちろん、このような問題は、構成の変更(例えば、坩堝の再配置、反応物質流れの方向の変更、反応物質流れ用の複数の入口など)によって対処することができる。
【0044】
上述の内側壁部の内面上において、上述のチャンバの周囲に沿ってライナーが配置され得る。適切なライナー材料は、グラファイトまたは金属を含み得る。上述のライナーおよび他の内面は、望ましくない汚染物質のソースになり得ない。上述のライナーにより、上述の内側壁部の内面上への材料蒸着が回避または低減され得る。上述のライナーにより、ゲッター金属のハロゲン化物による上述のハウジングの壁部のエッチングが回避または低減され得る。このような材料蒸着回避が無い場合、清浄プロセスまたはライナー交換時において上述のライナーが除去され得、上述の蒸着材料が上述の内側壁部から剥がれる場合がある。
【0045】
上述の内側壁部は上述の外側壁部と同心でありかつ上述の外側壁部から空間を空けて配置可能であるため、上述の空間により、上述の内側壁部と上述の外側壁部との間の経路を規定し、環境制御流体をこの経路内に流すことができる。循環させるための適切な環境制御流体は、不活性ガスを含み得る。環境制御流体は、ガス、液体または超臨界流体を含み得る。環境制御入口が、上述の外側壁部を通じて上述の空間内へと延び得る。弁により、上述の環境制御流体が上述の入口を通じて上述の経路内に入って上述の内側壁部と外側壁部との間で循環する事態を遮断することができる。一実施形態において、上述の入口は、循環システムの一部であり得、上述の環境制御流体を加熱かつ/または冷却し得、これにより、上述の流体に対する原動力が得られる。上述の循環システムは、上述の制御システムと連結し、かつ/または、上述の制御システムに応答し得る。フランジ(例えば、真空システム用途のもの)により、上述の入口に対する漏れ止め接続を得ることができる。
【0046】
上述のハウジングの適切なコンポーネントは、例えば、1つ以上の入口(例えば、原材料入口およびドーパント入口)、出口、フィルター、加熱要素、低温壁、圧力応答構造、坩堝およびセンサーを含み得る。上述のコンポーネントのうちいくつかは、上述の壁部のうち1つ以上に連結され得、いくつかは、上述のハウジングが他の場合に密閉されている間も、上述のチャンバと連結するように上述の壁部を通じて延び得る。上述の入口および上述の出口は、弁をさらに含み得る。
【0047】
上述の入口および上述の出口は、半導体製造に適した材料(例えば、電解研磨されたステンレス鋼材料)から構成され得る。上述の入口、および/または、上述の出口は、各壁部に溶接してもよいし、あるいは、1つ以上の金属間シールにより上述の壁部に固定してもよい。任意選択的に、上述の入口および/または出口は、清浄器を含み得る。一実施形態において、上述の清浄器は、ゲッター材料(例えば、汚染物質と反応して各窒化物、酸化物および炭化物を形成することで、最終生成物中の汚染可能性を低減することが可能なジルコニウム合金)を含む。一実施形態において、上述の清浄器は、上述のチャンバの入り口における入口内に配置され得る。大量のアンモニアを用いた反応における汚染についての主要な懸念として、アンモニアの吸湿性に起因する水の存在があり得る。アンモニアタンクから引き出されたアンモニアの汚染は、アンモニアタンクが空になるにつれそしてアンモニアが70パーセントになると、指数関数的に増加し得、上述のタンクが交換され得る。あるいは、使用場所用清浄器を上述の入口において用いてもよい。使用場所用清浄器を用いることで、アンモニア中の汚染の制御を支援することができ、これによりアンモニア消失が低減できる。任意選択的に、低グレードのアンモニアを上述の使用場所用清浄器と共に用いることで、必要なグレードの約99.9999パーセントを得ることができる。
【0048】
上述の入口および出口の形状または構造は、上述の入口および出口の内部を通過する流体の流れに影響を与え、かつ上述の流れを制御するように、変更することができる。例えば、上述の入口/出口の内面に旋条を付与することができる。このように旋条を施すことにより、端部を流れるガスを回転させ、より良好に混合することが可能になる。一実施形態において、反応物質が事前混合された後に反応ゾーンまたは高温ゾーンに到達するように、これらの入口を相互連結することができる。上述の入口および出口はそれぞれ、アパチャを規定する内面を有し得る。このアパチャを通じて、上述のチャンバ内外からの材料の出入りが可能となる。弁アパチャは、全開から全閉へ調節可能であり、これにより、上述の入口および上述の出口を流れる流体の制御が可能となる。
【0049】
上述の入口は、上述の坩堝(単数または複数)の上流にある窒素含有ガスおよびハロゲン化物含有ガスの混合を促進するように構成され得、これにより、上述のチャンバの容積内における均一な処理条件が促進される。上述の入口のうち1つ以上は、混合を促進するために、バッフル、アパチャ、フリットなどのうち1つ以上を含み得る。上述のアパチャ、フリットおよびバッフルは、上述のチャンバ内のガス流れを制御するように上述の高温ゾーンまたは坩堝の近隣において上述のチャンバ内に配置され得、これにより、固体ハロゲン化アンモニウムの形成を回避または最小化することができる。上述のアパチャ、フリットおよびバッフルは、最も近隣の坩堝の上流において約2cm〜約100cmの距離を空けて配置することができ、これにより、混合を完了させた後に、上述の坩堝の内容物との反応を開始させることができる。アパチャおよびバッフルの存在により、ガス速度をより高速にすることができ、これにより混合が促進され、ガス逆流が抑制され、固体ハロゲン化アンモニウムの形成が回避または最小化される。
【0050】
1つ以上の坩堝が、上述のチャンバ内に配置され得る。一実施形態において、上述のチャンバ内の坩堝の数は、約6つである。上述のチャンバの構成に応じて、上述の坩堝を上述のチャンバ内において水平方向、および/または、垂直方向に配置することができる。坩堝の形状、および、サイズは、金属窒化物の最終用途、原材料の種類および処理条件に基づいて、事前決定することができる。多結晶組成をスパッタリングターゲットとして有用とするために、坩堝のサイズを、上述のスパッタリングターゲットの必要なサイズよりも相対的に大きくすることができる。過剰な多結晶組成を、例えばエッチングまたは切断を通じて除去することができ、これにより、スパッタリングターゲット製品が形成される。このような除去により、坩堝材料との接触に起因する表面汚染を無くすことができる。
【0051】
坩堝は、構造的完全性、および、化学的不活性を維持しつつ、結晶質組成の形成に必要な温度を超える温度に耐えることができる。このような温度は、約200℃よりも高いか、約200℃〜約1200℃の範囲であるか、または約1200℃よりも高くすることができる。そのため、耐熱材料を坩堝内での使用に適したものにすることができる。一実施形態において、上述の坩堝は、耐熱組成(酸化物、窒化物またはオキシ窒化物を含む)を含み得る。上述の坩堝は、グラファイト、モリブデン、タングステンまたはレニウムのうち1つ以上からか、または、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素またはジルコニウムの酸化物、窒化物、またはオキシ窒化物のうち1つ以上から、形成され得る。好適な実施形態において、上述の坩堝は、非酸化物材料(例えば、窒化ホウ素、炭化ケイ素、タンタル炭化物)または炭素材料(例えば、グラファイト)から形成される。一実施形態において、取り外し可能なグラファイトライナーを上述の坩堝内に配置することで、上述の多結晶組成の除去を容易化することが可能になる。いくつかの実施形態において、ホイルまたはライナーの形態のゲッターが上述の坩堝に付加される。1つの特定の実施形態において、上述のゲッターホイルまたはライナーは、ジルコニウム、ハフニウム、およびタンタルのうち少なくとも1つから選択される。別の実施形態において、上述の坩堝組成は、少なくとも1つのゲッターを含む。
【0052】
アルミニウム、ガリウムおよびインジウムのうち少なくとも1つを含む一定量のグループIII金属が、少なくとも1つの坩堝内に配置され得る。上述のグループIII金属は、固体形態または液体形態で付加され得る。アルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタルおよびタングステンのうち少なくとも1つを含むゲッターが、上述のグループIII金属と共に上述の少なくとも1つの坩堝内に配置され得る。上述のゲッターの付加レベルは、上述のグループIII金属に対して、100ppmよりも高いか、300ppmよりも高いか、0.1%よりも高いか、0.3%よりも高いか、1%よりも高いか、3%よりも高いか、または10%重量よりも高い。上述のゲッターは、粉末、粗粒子、ワイヤまたはホイルの形態で付加され得る。上述のゲッターは、金属、窒化物、ハロゲン化物、またはその化合物の混合物の形態で付加され得る。上述のゲッターは、酸素を含み得る。
【0053】
一実施形態において、少なくとも1つの湿潤剤も上述の坩堝内に付加され得、上述のグループIII金属と接触し得る。本明細書中用いられる「湿潤剤」とは、通常においては非混和性である液体混合物間の混合または反応を2つの成分間の界面において促進する元素または化合物を指す。湿潤剤は、二元液体金属混合物の界面湿潤を促進しかつ容易に反応してグループIII元素との共有結合を形成しないものであれば、任意の金属でよい。任意の適切、かつ、効果的な湿潤剤化合物を用いることができる。適切な湿潤剤を挙げると、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)がある。他の適切な湿潤剤を挙げると、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、およびポロニウム(Po)がある。反応混合物は、2つ以上の湿潤剤の混合物を任意の比率で含んでもよい。反応混合物は、湿潤剤化合物(例えば、上述の湿潤剤金属を含む有機金属化合物または上述の湿潤剤金属を含む無機化合物)を含み得る。適切な湿潤剤化合物を挙げると、例えば、ハロゲン化物、酸化物、水酸化物および硝酸エステルがある。多くの適切カツ効果的な湿潤剤および湿潤剤化合物が、例えば、Aldrich Handbook of Fine Chemicals(2003年〜2004年(Milwaukee、Wis.))中に開示されている。本明細書中用いられるように、ビスマス、ゲルマニウム、スズおよび鉛は、referto元素金属、これらの金属を含む合金、これらの金属を含む化合物、およびその混合物を指す。上述のグループIII金属および上述の湿潤剤は、約1:1〜約500:1のモル比において存在し得る。詳細には、上述のグループIII元素および上述の湿潤剤は、約2:1、約5:1、約20:1、約100:1、または約200:1のモル比において存在し得る。
【0054】
適切なセンサーは、圧力センサー、温度センサーおよびガス組成センサーのうち1つ以上を含み得る。センサーは、上述のチャンバ内に配置され得、上述のチャンバ内のプロセスパラメータを制御システムに通信し得る。
【0055】
適切な供給源は、エネルギー源、窒素含有ガス源、搬送ガス源、ハロゲン化物含有ガス源、原材料源(リザーバとも呼ぶ)、環境制御流体源などのうち1つ以上を含み得る。
【0056】
エネルギー源は、上述のハウジングの近隣に配置され得、エネルギー(例えば、熱エネルギー、プラズマエネルギー、または電離エネルギー)を上述の壁部を通じて上述のチャンバに供給することができる。上述のエネルギー源は、上述した加熱要素に加えてまたは上述した加熱要素の代わりに設けることができる。一実施形態において、上述のエネルギー源は、外側方向に延びて、上述のハウジングの外側壁部表面に対向し得る。上述のエネルギー源は、上述のチャンバにエネルギーを提供し得る。
【0057】
上述のエネルギー源は、マイクロ波エネルギー源、熱エネルギー源、プラズマ源またはレーザー源であり得る。一実施形態において、熱エネルギーは、ヒーターによって提供され得る。適切なヒーターを挙げると、モリブデンヒーター、スプリット炉ヒーター、3ゾーン型スプリット炉、または誘導加熱器のうち1つ以上がある。
【0058】
センサーは、上述のチャンバ内に配置され得る。上述のセンサーは、上述のチャンバ内の高温および圧力上昇または圧力低下に耐えることができ、かつ、化学的に無害である。上述のセンサーは、上述の坩堝に隣接して設けかつ/または上述の入口に設けられ得る。上述のセンサーは、処理条件(例えば、チャンバ内の温度、圧力、ガス組成および濃度)を監視し得る。
【0059】
窒素含有ガス源は、第1の入口を通じて上述のチャンバと連結し得る。上述の窒素含有ガス源は、上述の窒素含有ガスの浄化、および/または、乾燥を行うためのフィルター、清浄器または乾燥器のうち1つ以上を含み得る。一実施形態において、上述の窒素含有ガスは、上述の源において生成され得る。上述の清浄器は、上述の窒素含有ガスの清浄レベルを、半導体グレードの清浄標準まで、または、半導体グレードの清浄標準を超えて維持し得る。適切な窒素含有ガスは、アンモニア、二原子窒素などを含み得る。炭素の存在が問題ではない場合、窒素含有有機物を用いてもよい。
【0060】
関連付けられた弁のアパチャを制御することにより、上述の窒素含有ガスの上述のチャンバ内への流量を制御することが可能になる。他に明記無き限り、流量とは体積流量を指す。処理条件、サンプルサイズなどにより、当該ガスの適切な流量を決定することができる。窒素含有ガスの流量は、約10(標準)立方センチメートル/分よりも高い場合がある。一実施形態において、窒素含有ガスの流量は、約10立方センチメートル/分〜約100立方センチメートル/分、約100立方センチメートル/分〜約200立方センチメートル/分、約200立方センチメートル/分〜約500立方センチメートル/分、約500立方センチメートル/分〜約1200立方センチメートル/分、約1200立方センチメートル/分〜約2000立方センチメートル/分、約2000立方センチメートル/分〜約3000立方センチメートル/分、約3000立方センチメートル/分〜約4000立方センチメートル/分、約4000立方センチメートル/分〜約5000立方センチメートル/分、または約5000立方センチメートル/分よりも高い範囲であり得る。いくつかの実施形態において、上述のグループIII金属の体積1.5倍よりも高くなるように、窒素含有ガスの流れを体積/秒の単位において選択する。いくつかの実施形態において、窒素含有ガスの流れの供給は、上述のグループIII金属表面上において少なくとも0.1センチメートル/秒のガス流速で行われ、その際の反応温度は少なくとも700℃であり、1,200℃以下である。
【0061】
上述の搬送ガス源は、入口を通じて上述のチャンバと連結してもよいし、あるいは、窒素含有ガスと共に第1の入口を共有してもよい。窒素含有ガスを搬送ガスと事前混合しておくことで、窒素含有ガスを所定のレベルまで希釈することができる。窒素含有ガスは、不活性であり得る搬送ガスによって希釈することができるため、上述のチャンバ内の第1の入口に隣接して特定のハロゲン化物固体が形成される可能性を低減することができる。適切な搬送ガスは、アルゴン、ヘリウムまたは他の不活性ガスのうち1つ以上を含み得る。一実施形態において、第1の入口から出てきた窒素含有ガスの流れに搬送ガスの流れが衝突するように、搬送ガス入口が配置される。一実施形態において、多結晶組成中の内包物のためのドーパントを搬送ガス中に混入させてもよい。
【0062】
ハロゲン化物含有ガス源は、第2の入口を通じて上述のチャンバと連結し得る。窒素含有ガス源と同様に、ハロゲン化物含有ガス源は、フィルター、清浄器、乾燥器などのうち1つ以上を含み得、これにより、ハロゲン化物含有ガスが当該源において清浄および/または乾燥される。ハロゲン化物含有ガスは、当該源において生成され得る。適切なハロゲン化物含有ガスは、塩化水素などを含み得る。いくつかの実施形態において、ハロゲン化物含有ガスは、プロセスから省略される。
【0063】
関連付けられた弁のアパチャを制御することにより、チャンバ内へのハロゲン化物含有ガスの流量を制御することが可能となる。処理条件、サンプルサイズなどにより、当該ガスの適切な流量を決定することができる。ハロゲン化物含有ガスの流量は、約10(標準)立方センチメートル/分よりも高くすることができる。一実施形態において、ハロゲン化物含有ガスの流量は、約10立方センチメートル/分〜約50立方センチメートル/分、約50立方センチメートル/分〜約100立方センチメートル/分、約100立方センチメートル/分〜約250立方センチメートル/分、約250立方センチメートル/分〜約500立方センチメートル/分、約500立方センチメートル/分〜約600立方センチメートル/分、約600立方センチメートル/分〜約750立方センチメートル/分、約750立方センチメートル/分〜約1000立方センチメートル/分、約1000立方センチメートル/分〜約1200立方センチメートル/分、または約1200立方センチメートル/分よりも高い範囲であり得る。
【0064】
ハロゲン化物含有ガスは、ハロゲン化物含有ガス源から第2の入口を通じてチャンバ内に流入し得る。窒素含有ガスの場合と同様に、ハロゲン化物含有ガスを搬送ガスと事前混合することで、ハロゲン化物含有ガスを所定のレベルまで希釈することができる。ハロゲン化物含有ガスを不活性搬送ガスによって希釈することにより、チャンバに隣接する第2の入口において特定のハロゲン化物固体が形成される可能性を低減することができる。このような形成があると、内部を通過する流れが低減または遮断される可能性が出てくる。任意選択的に、第2の入口から出てきたかまたは上述のチャンバに入ってきたハロゲン化物含有ガスの流れに搬送ガスの流れが衝突するように、搬送ガス入口が配置され得る。一実施形態において、多結晶組成中の内包物のためのドーパントを搬送ガス中に混入させてもよい。
【0065】
ハロゲン化物含有ガスおよび窒素含有ガスは、多結晶組成の性質を決定するような様態で、チャンバ内に導入され得る。このような態様を挙げると、各コンポーネント流体(ガス、液体、または超臨界流体)の最高流量レートにおける同時導入がある。他の適切な導入を挙げると、上述の成分のうち1つ以上へのパルス付加、1つ以上の成分の濃度および/または流量の変更、またはスタガード導入(例えば、搬送ガスによるチャンバのパージ)がある。
【0066】
ハロゲン化物含有ガスおよび窒素含有ガス入口は、チャンバ内の高温ゾーン内に出口端部が配置されるように、配置され得る。一実施形態において、1つ以上の入口がチャンバの一領域内に配置され、これにより、使用時における上述の入口の温度は、1気圧において約341℃よりも高いか、約341℃〜約370℃の範囲であるか、または約370℃よりも高くなる。
【0067】
窒素含有ガスの流量のハロゲン化物含有ガスの流量に対する比は、反応を最適化するように、調節することができる。一実施形態において、窒素含有ガスの流量のハロゲン化物含有ガスの流量に対する比は、約30:1〜約15:1、約15:1〜約1:1、約1:1〜約1:10,または約1:10〜約1:15の範囲であり得る。
【0068】
原材料源は、原材料入口を通じてチャンバ内の坩堝と連結し得る。その他のソースとして、原材料源は、1つ以上のフィルター、乾燥器および/または清浄器を含み得る。特に原材料源について、上述の供給された材料を清浄した場合、最終的な多結晶組成の性質に対して、大きく偏った影響または効果が出る場合がある。原材料は、雰囲気接触に関連する汚染を最小化、または、回避するために使用直前に生成して、不活性環境中に保存しておくことができる。例えば、吸湿性材料または酸化物を容易に形成する材料が用いられる場合、原材料が水分または酸素と接触しないように、当該原材料を処理、および/または、保存することができる。さらに、原材料は処理時において溶融させ、チャンバ内に流入させることが可能であるため、一実施形態において、バッチプロセスに対して利用可能であり得る連続プロセスにおいて、異なる材料が用いられ得る。このような差異のうち少なくともいくつかについて、本明細書中に開示する。
【0069】
適切な原材料は、ガリウム、インジウム、またはアルミニウムのうち1つ以上を含み得る。一実施形態において、原材料の清浄度は、99.9999パーセント以上である。別の実施形態において、上述の清浄度は、約99.99999パーセントよりも高い場合がある。原材料は、ガス、液体溶液、懸濁液またはスラリー、または溶融液体であり得る。還元性雰囲気下(例えば、水素を含むものまたは真空下)において加熱することにより、金属中の残留酸素をさらに低減することができる。
【0070】
一実施形態における動作時において、製造に必要な全ての材料をチャンバ中に密封することができるが、別の実施形態において、多様な材料をプロセス時に付加することができる。例えば、原材料の流れは、原材料入口を通じて、出口端部から出し、そしれチャンバ内の坩堝へと入れることができる。坩堝が複数ある場合、複数の原材料入口または複数の出口端部を有する1つの入口を、個々の坩堝内へ原材料を流入させるために用いることができる。一実施形態において、原材料入口は、直線運動フィードスルー構造上に取り付けられ得る。このようなフィードスルー構造により、原材料入口の出口端部を坩堝から坩堝へと並行移動させることが可能になる。
【0071】
原材料入口への、そして原材料入口を通じた原材料の流れ、および流量は、弁によって制御することができる。弁は、制御システムからの制御信号に応答し得る。原材料の流量は、用途特有のパラメータに基づいて決定可能であるが、適切な流量は、約0.1キログラム/時間よりも高くすることができる。一実施形態において、流量は、約0.1キログラム/時間〜約1キログラム/時間、約1キログラム/時間〜約5キログラム/時間、または約5キログラム/時間よりも高い範囲であり得る。
【0072】
ドーパント入口は、ドーパントを含むリザーバおよびチャンバと連結し得る。リザーバを構成する材料は、半導体グレード標準に適合する材料で構成され得る。リザーバは、ドーパントを浄化/乾燥するように設けられ得る。一実施形態において、リザーバは、ライナーを有し得る。ライナーにより、リザーバ材料の腐食またはリザーバによるドーパントの汚染可能性の低減が可能になる。
【0073】
ドーパント源は、別個に設けてもよいし、あるいは、処理時に付加される他の材料のうち1つ以上と共に配置してもよい。ドーパント源が別個に付加された場合、ドーパントは、ドーパント入口の端部から出て行くことにより、坩堝内に直接流れ得る。上述したように、ドーパントは、例えば、原材料、搬送ガス、ハロゲン化物含有ガスまたは窒素含有ガスとの事前混合により、導入され得る。ドーパントを計測することにより、多結晶組成中のドーパント濃度レベルを制御することができる。同様に、多結晶組成中へのドーパントの配置は、例えば、パルス付加、循環、またはドーパント付加のタイミング選択により、実施可能である。
【0074】
適切なドーパントは、ドーパント前駆体を含み得る。例えば、ケイ素は、SiClとして導入可能である。炭素が所望のドーパントである場合、炭素は、炭化水素(例えば、メタン、塩化メチレン、または四塩化炭素)として導入され得る。適切なドーパントは、ハロゲン化物または水素化物を含み得る。炭素が所望のドーパント、または取るに足らない汚染物質である場合において、金属は、有機金属化合物として導入され得る。例えば、マグネシウムはMg(Cといて、亜鉛はZn(CHとして、鉄はFe(Cとして導入され得る。ドーパント前駆体の流量は、約10(標準)立方センチメートル/分よりも高くすることができる。一実施形態において、ドーパント前駆体の流量は、約10立方センチメートル/分〜約100立方センチメートル/分、約100立方センチメートル/分〜約500立方センチメートル/分、約500立方センチメートル/分〜約750立方センチメートル/分、約750立方センチメートル/分〜約1200立方センチメートル/分、または約1200立方センチメートル/分よりも高い範囲であり得る。あるいは、ドーパントを元素形態として(例えば、原材料との合金として)付加してもよい。他の適切なドーパントは、Si、O、Ge、Be、Mg、Zn、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Sn、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Dy、Er、Tm、Yb、またはHfのうち1つ以上を含み得る。
【0075】
出口および対応する弁は、チャンバ内部の材料の放出を制御し得る。放出された材料は、雰囲気に放出してもよいし、あるいは、例えば材料のリサイクルのために捕捉してもよい。放出された材料は、出口に取り付けられた適切なセンサーにより、組成、および/または、温度について監視することができる。このセンサーは、制御システムに対して、情報を信号によって伝達し得る。チャンバ内の1方向における材料流れを制御することにより汚染低減が可能であるため、出口側における壁部内の出口構造により、多結晶組成をチャンバから除去することができる。
【0076】
出口は、排出システムに連結され得る。排出システムは、チャンバ内において大気圧に対して低ベース圧力、または、圧力差を形成することが可能である。適切なベース圧力は、約10−7ミリバールよりも低くすることができる。一実施形態において、ベース圧力は、約10−7ミリバール〜約10−5ミリバールの範囲、または約10−5ミリバールよりも高い範囲であり得る。一実施形態において、圧力差は、約50Torr〜約1Torr、約1Torr〜約10−3Torr、約10−3Torr〜約10−5Torr、または約10−5Torr未満の範囲であり得る。排出は、事前清浄に用いてもよいし、あるいは、処理時に用いてもよい。
【0077】
出口は、維持可能な温度まで加熱され得る。この温度は、処理時に形成され得るハロゲン化アンモニウムの蒸気圧力がプロセス圧力(例えば、1バール)を超える温度よりも高い。リアクター圧力におけるハロゲン化アンモニウムの昇華点を超える温度を維持することにより、ハロゲン化アンモニウムをトラップ内に流すか、形成を回避するか、または形成された場合において出口近隣において凝固するのを回避することができる。
【0078】
制御システムは、コントローラと、上述のコントローラと通信するプロセッサと、上述のコントローラと、センサー、弁、ソース、監視および評価機材などとの間の通信を可能にする有線、または、無線通信システムとを含み得る。
【0079】
チャンバ内のセンサーは、チャンバ内の条件(例えば、温度、圧力、および/またはガス濃度および組成)を感知し、コントローラに対して情報を信号伝達する。流量モニターは、コントローラに対し、対応する入口、または、出口を通過する流量に関する情報を信号伝達する。コントローラは、(プロセッサを介して)受信された情報に応答し、上述の情報および事前規定された命令パラメータに応答してデバイスを制御する。例えば、コントローラは、エネルギー源に信号伝達して、熱エネルギーをチャンバに提供する。コントローラは、多結晶組成合成時において、1つ以上弁に信号伝達して開口、閉口、または所定の流れレベルまで開口させる。コントローラは、本発明の実施形態に従って多結晶組成を成長させる方法を実行するように、プログラムされる。
【0080】
その結果得られた多結晶組成は、グループIIIの金属窒化物である。上述の金属窒化物をドープして、nドープ組成またはpドープ組成のうち1つ以上を得ることができる。上述の金属窒化物は、金属材料、半導体材料、半絶縁性材料または絶縁性材料であり得る。さらに、これらの組成はそれぞれ、磁気材料または発光材料であり得る。
【0081】
以下、装置の作動および多様なコンポーネントの機能について、図示の実施形態を参照して説明する。図面を参照して、図中、本発明の実施形態が詳細に記載されているが、本発明はこれに限定されない。
【0082】
実施形態による装置100を図1に示す。装置100は、金属窒化物材料の作製に用いることができ、壁部104を有するハウジング102を含み得る。壁部104は、チャンバ108を規定する内面106を有し得る。エネルギー源110は、壁部104に隣接して配置され得る。第1の入口112、および、第2の入口114は、壁部104を通じて延びる。入口112、および、114は、アパチャを規定する。このアパチャを通じて、チャンバ108から材料が出入りすることが可能となる。出口118は、壁部104を通じてチャンバ108へと延び得る。坩堝120は、チャンバ108内に配置され得る。ライナー(図示せず)は、壁部104の内面106を整列させ得る。
【0083】
エネルギー源110は、熱エネルギー源(例えば、セラミックヒーター)である。入口112および114ならびに出口118は、半導体グレードの製造に適した電解研磨されたステンレス鋼である。特定の実施形態において、坩堝120は、窒化ホウ素を含み得、不活性ライナーは、グラファイトを含み得る。
【0084】
動作時において、グループIIIの金属原材料、および、ゲッターが坩堝120内に注入され得、坩堝はチャンバ内に事前ロードされ得る。1つ以上のドーパントが、原材料と共に上述の坩堝内に配置され得る。ロード後、坩堝120は、密閉機構(図示せず)により密閉される。
【0085】
窒素含有ガスは、第1の入口112を通じてチャンバ108内に流れる。窒素含有ガスは、アンモニアを含み、事前希釈のための搬送ガスを含み得る。ハロゲン化物含有ガスは、第2の入口114を通じてチャンバ108内へと流れる。ハロゲン化物含有ガスは、塩化水素を含み得る。ハロゲン化物含有ガスは、搬送ガスと共に事前希釈される。未反応ガス、および/または、他の不要な材料を、出口118を通じてチャンバ108から除去することができる。入口112、および、114を通じて、出口118からガスを流すことによりチャンバ108をパージした後、結晶質組成形成を行うことができる。任意選択的に、流出物を監視することで、流出ガスの不純物レベルを検出することができる。この不純物レベルから、十分なパージが達成された時を知ることができる。
【0086】
エネルギー源110が活性化される。エネルギー源110が活性化されると、チャンバ108内の温度が、事前規定された温度上昇率において事前規定レベルまで上昇する。チャンバ108内の坩堝120に隣接する領域が、高温ゾーンまたは反応ゾーン(図示せず)を規定し得る。
【0087】
既に坩堝120内にある原材料は、ハロゲン化物含有ガスの存在下において窒素含有ガスと接触して反応し、所定温度において、反応により上述の金属の窒化物(すなわち、多結晶組成)を形成する。
【0088】
理論に縛られる必要はなく、上述のグループIII金属は、水素ハロゲン化物と反応して、揮発性のグループIIIの金属ハロゲン化物を形成すると考えてもよい。その後、グループIIIの金属ハロゲン化物は、窒素含有ガス(例えば、アンモニア)と反応して、多結晶グループIII金属窒化物を形成する。典型的な処理条件下において、グループIII金属のうち大部分は反応して多結晶グループIIIの金属窒化物を形成することができ、上述のグループIII金属のごく一部のみが、グループIIIの金属ハロゲン化物として上述の坩堝から遠隔位置に搬送され得る。典型的な反応条件下において、ゲッターの一部、大部分または全てが液体グループIII金属中に溶解され得る。上記において開示されたゲッターのうち多くが、500〜1000℃を超える温度において、液体アルミニウム、ガリウム、またはインジウム中において広範囲に混和性である。耐熱金属Zr、Hf、およびTaも、ガリウム中において約1〜2%を超えるレベルにおいて1000℃で溶解可能である。溶解した金属は、溶融グループIII金属内において、良好に混合され得る。溶解したゲッター金属は、溶融グループIII金属中の溶解酸素と反応することで、ゲッター金属の酸化物を形成し得る。グループIII金属と同様に、ゲッター金属は、ハロゲン化物および/または窒化物を形成し得る。約500〜1000℃の温度において、ゲッター金属ハロゲン化物は、比較的揮発性であり、ゲッター金属窒化物、酸化物およびオキシ窒化物は概して不揮発性である。いくつかのゲッター(例えば、アルカリ土類金属およびイットリウム)の場合、ハロゲン化物が主に形成され得、ゲッター金属のうち大部分は、坩堝から遠隔位置へと搬送され得る。しかし、このような反応および搬送プロセスにおいて、ゲッター金属は、上述のグループIII金属および気相中の酸素源(OおよびHOを含む)からの酸素と効率的に結合するかまたは上述の酸素を除去する。他のゲッター(例えば、CrおよびTa)の場合、窒化物が主に形成され、ゲッター金属のうち大部分は、多結晶グループIII窒化物内の窒化物、オキシ窒化物、および酸化物内包物として坩堝内に残留し得る。このような反応および搬送プロセスにおいて、上述のゲッター金属は、上述のグループIII金属および気相中の酸素源からの酸素と効率的に結合するかまたは上述の酸素を除去する
【0089】
いくつかの実施形態(反応のための水素ハロゲン化物の付加を伴わないものを含む)において、ゲッターの大部分、または全てを、多結晶グループIII窒化物組成内に組み込むことができる。
【0090】
多結晶組成の形成後、ハウジング102を出口側において開口させることができる。出口側において開口させることで、出口118に隣接するチャンバ側への開口に起因して、チャンバ108へと導入された汚染物質全てを局所化することが可能になる。出口118に隣接する箇所に汚染物質を局所化することで、上述の汚染物質がパージによってチャンバ108から移動する距離を低減することができ、また、汚染物質があらゆる成長結晶または結晶質組成成長表面(例えば、坩堝120の内面)と接触する可能性が低い領域に上述の汚染物質の経路を限定することができる。加えて、入口側のハウジングを開かないことにより、その後の動作時における、入口近隣における漏洩の可能性も低減することができる。よって、このような構成により、生成された結晶が汚染物質によって汚染される可能性を低減することができる。
【0091】
実施形態による装置200を図2に示す。装置200は、ハウジング202と、ハウジング202に隣接するエネルギー源204とを含み得る。ハウジング202は、内側壁部206と、外側壁部208とを含み得る。入口209は、外側壁部208を通じて延び得るが、内側壁部206の手前において停止し得る。外側壁部208は、外側に対向する表面を持ち得る。内側壁部206の内側に対向する表面または内面212により、チャンバ214が規定され得る。
【0092】
内側壁部206は、外側壁部208内に外側壁部208から空間を空けて、配置される。壁部206と壁部208との間の空間を用いて、環境制御流体を循環させることができる。上述の環境制御流体は、この目的のために構成され、入口209を通じて上述の空間内に入ることができる。外側壁部208は金属から形成され得、内側壁部206は石英から形成される。エネルギー源204は、外側壁部208に隣接する。
【0093】
第1の入口216、第2の入口218、原材料入口224、ドーパント入口232および出口226は、内側壁部206および外側壁部208を通じて延び得る。複数の弁215、220、223および233が、フィードチューブ内において1本のチューブ毎に配置され得る。このフィードチューブは、源から対応する入口216、218、224および232へと延びる。個々のフィードチューブについては、参照符号を付与していない。出口226は、弁227を持ち得る。弁227により、出口226内の流体の通過または遮断が可能となる。
【0094】
第1の入口216は、窒素含有ガス源217と連結し得、窒素含有ガスをチャンバ214内へと流し得る。窒素含有ガスは、アンモニアを含み得る。窒素含有ガスは、搬送ガスによって希釈され得る。搬送ガスはアルゴンでもよく、窒素含有ガスの流れと別個に制御することが可能である。第2の入口218は、ハロゲン化物含有ガス源219と連結できる。第2の入口218により、ハロゲン化物含有ガスがハロゲン化物含有ガス源219から、チャンバ214内へと流れることが可能になる。弁220により、ハロゲン化物含有ガス源219から、第2の入口218を通じた、チャンバ214内への、ハロゲン化物含有ガスの流入を制御することが可能になる。ハロゲン化物含有ガスは、塩化水素を含み得る。この塩化水素は、搬送ガスによって希釈しておくことができる。原材料入口224は、原材料リザーバ222と連結し得る。原材料入口224の出口端部は、入口224から出てきた原材料が坩堝230内へと流れるように、配置され得る。弁223により、リザーバ222から原材料入口224を通じてチャンバ214内へと流れる原材料の流れの制御が可能になる。原材料は、溶融ガリウムを含み得る。
【0095】
ドーパント源(図示せず)は、ドーパント入口232を通じてチャンバ214と連結し得る。弁233は、ドーパント源からチャンバ214内へのドーパントの流れを開口または遮断するように、オン/オフ切り換えすることができる。図示の実施形態において、ドーパントはケイ素を含む。ケイ素は、SiCl.sub.4の形態であり得る。
【0096】
出口226により、過剰な材料をチャンバ214から出て行かせることができる。弁227は開口または閉口することができ、閉口することにより、さらなる材料がチャンバ214内に流れ込み、温度が上昇するにつれ、背圧が蓄積し得る。
【0097】
複数の坩堝230が、チャンバ214内に設けられ得る。坩堝230は、相互に水平方向に配置され得る。センサー236および237は、チャンバ214内の圧力および温度、または他のプロセスパラメータを監視するように、設けられる。
【0098】
本明細書中上記において開示されるように、環境制御流体は、入口209を通じて、壁部間の空間内に流入可能である。入口209は、循環システム(図示せず)と連結して、上述の空間内の流体を上述の壁部間に循環させることができる。入口209は、上述の壁部間の空間の循環を調節または最適化するための弁211を含み得る。真空システムのためのフランジ210を用いて、漏れ止め接続を形成することができる。流体循環システムは、流体の加熱または冷却を行うように、設けられ得る。この配置構成を通じて、チャンバ214をその内容物と共に冷却または加熱することができる。
【0099】
制御システムは、コントローラ234を含み得る。コントローラ234は、通信線によって示されるような多様なコンポーネントと通信できる。これらの線を通じて、コントローラ234は、情報(例えば、信号)をセンサー236、および237から受信し得る。コントローラ234は、弁215、220、223、227および233のうち、1つ以上に対して信号伝達し得る。これらの弁は、開口または閉口により応答できる。弁211は、コントローラ234と通信し、これを通じて、コントローラ234は、循環システムからの環境制御流体の流れを制御することができる。このようにして、コントローラ234は、全般的な反応条件を課しおよび制御することができる。
【0100】
動作前に、チャンバ214を排気することができる。コントローラ234は、弁227および真空ポンプ(図示せず)を起動して、チャンバ214を排気することができる。チャンバ214は、不活性搬送ガスによって洗い流すことができる。エネルギー源204が起動されると、揮発性汚染物質全てを加熱して揮発させることができる。その後の排出およびパージにより、汚染物質をチャンバ214から除去することができる。
【0101】
動作時において、コントローラは、弁223を起動して、リザーバ222から原材料入口224を通じ、坩堝230への原材料の流れを開始することができる。対応する弁233の開口に応答して、ドーパントをドーパント入口232を通じて上述の坩堝内に流すことができる。コントローラは、対応する弁の開口または閉口の程度を調節することにより、材料の流量を調節することができる。コントローラ234は、センサー236、および237と連結し得る。コントローラ234が、エネルギー源204を起動し、かつ/または、出口弁227を調節することにより、チャンバ内の温度および圧力を所定のレベルまで上昇させることができる。
【0102】
所望の温度および圧力が達成された後、窒素含有ガスを第1の入口216を通じてチャンバ214内に導入することができる。あるいは、加熱サイクルの開始時に、窒素含有ガスをチャンバに導入してもよい。ハロゲン化物含有ガスは、第2の入口218を通じて流すことができる。コントローラは、各弁215および220を制御することより、これらのガスの流量を調節することができる。
【0103】
ドーパントを含む原材料は、ハロゲン化物含有ガスの存在下において、窒素含有ガスと反応し得る。上述の原材料が反応して金属窒化物を形成するまで、反応が進行する。図示の実施形態において、ケイ素ドープされた窒化ガリウムが形成され得る。
【0104】
図3は、装置400の模式図であり、実施形態による入口を詳細に示す。装置400は、ハウジング402を含み得る。ハウジング402は、壁部404を有する。図示のように、壁部404は、内面406と、外側方向に対向する表面408とを持ち得る。壁部404は、軸409から空間を空けてラジアル方向に配置される。エネルギー源410は、外側表面408に隣接して配置される。壁部404の内面406により、チャンバ412が規定される。
【0105】
装置400は、入口416および418をさらに含み得る。入口416は、一実施形態において、単一の壁付き管であり得、壁部404を通じてチャンバ412内へと延びる。入口416は、壁部404の内面406から空間を空けた様態で、壁部404の内面406内に配置される。入口416の出口端部により、アパチャ422が規定される。バッフル424は、アパチャ422と隣接している。入口416と、壁部404の内面406との間の空間により、入口418が規定され得る。さらに、アパチャまたは開口部426が、入口418内に設けられ得る。坩堝430が、チャンバ412内に設けられ得る。
【0106】
ハロゲン化物含有ガスが、ソース(図示せず)から入口416を通じてチャンバ412内へと導入され得、窒素含有ガスが、ソース(図示せず)から入口418を通じてチャンバ412内へと導入され得る。入口416および418は、上述の入口を通じてチャンバ412内へと流入したガスが適切に混合されるのを入口416内に設けられたバッフル424によって支援できるように、構成され得る。
【0107】
装置400は、図示しないコンポーネント(例えば、制御システム)をさらに含み得る。この制御システムは、全体的反応を制御し得るコントローラと、チャンバにおいて出入りする材料の流れの調節、および/または、制御を行う弁と、原材料、および/または、ドーパントをチャンバ内に導入するための入口と、チャンバへ流入させるべき原材料、および/または、ドーパントの供給源であるソースと、チャンバ内の温度、圧力および組成を監視するセンサーなどを含む。装置の作動については、上記の実施形態を参照すれば説明できる。
【0108】
図4は、本発明の実施形態に従って多結晶グループIIIの金属窒化物を作製する方法を示すフローチャートである。この方法は、グループIII金属、および、ゲッターを坩堝中に入れる工程により、開始する。次に、上述のグループIII金属、および、上述のゲッターを内包する坩堝をチャンバ、または、リアクター内にロードし、チャンバを密閉する。その後、チャンバに対して排気、パージおよび他の場合に汚染除去を行い、微量不純物を除去する。チャンバに対する排気、パージおよび他の場合の汚染除去は、上述のグループIII金属および上述のゲッターを内部にロードする前に、行うことができる。上述のチャンバの環境を所定のレベルに調節する。上述のチャンバの温度は、約800℃〜約1300℃の間で維持され得、上述のチャンバ内の圧力は、大気周囲よりも高い場合がある。
【0109】
ドーパントが、上述のチャンバ内に導入される。このドーパントは、ドーパント前駆体として導入される。このドーパント前駆体は、ドーパント源から上述のチャンバ内に流入させることができる。
【0110】
約30分間よりも長い期間にわたって、上述のチャンバ内の温度を約800℃〜約1300℃まで上昇させ、約1メートルよりも少なくとも1次元だけ高いレベルまで圧力を上昇させることができる。次に、窒素含有ガス(例えば、アンモニア)を上述のチャンバ内に導入することができる。このガスは、窒素含有ガス源から入口を通じて、上述のチャンバ内へと流入させることができる。上述の窒素含有ガスの流量は、約250(標準)立方センチメートル/分よりも高くすることができる。
【0111】
ハロゲン化物含有ガスが、上述のチャンバ内に導入され得る。任意選択的に、上記工程の順序を入れ替えることが可能である。上述のハロゲン化物含有ガスの流量は、約25立方センチメートル/分よりも高くすることができる。上述の窒素含有ガスの流量の上述のハロゲン化物含有ガスの流量に対する比は、約10:1であり得る。
【0112】
グループIII金属は、上述のハロゲン化物の存在下において上述の窒素含有ガスと反応して、多結晶グループIIIの金属窒化物を形成し得る。上述のハロゲン化物により、上述の金属と上述の窒素含有ガスとの間の反応が、所定の様態において影響を受ける。ゲッターが酸素と反応して、ゲッター金属酸化物、オキシ窒化物またはオキシハライドを形成し、さらに上述の窒素含有ガスと反応してゲッター金属窒化物を形成し、上述の水素ハロゲン化物と反応してゲッター金属ハロゲン化物を形成する。
【0113】
蒸気輸送、および/または、ウィッキング効果を通じて、反応が進行し得る。金属窒化物のクラストが、上述の坩堝内の溶融金属上に形成され得る。このクラストは、若干多孔質であり得る。金属は蒸気輸送され得るか、または、液体である場合、孔部を通じて上述のクラストの上部においてウィッキングされ、上述の窒素含有ガスと反応する。この反応により、さらなる金属窒化物が堆積し、上述のクラストが増加し得る。この反応は、実質的に全ての金属が反応を終えるまで、進行する。さらなる金属が、リザーバからチャンバ内へと流入され得る。
【0114】
チャンバは冷却することができる(一例として、図5を参照)。過剰な窒素含有ガス、および、水素ハロゲン化物が反応ゾーンから流出し、ハロゲン化アンモニウムが、チャンバのうちより低温の領域上において凝結し得る。一実施形態において、上述の出口は、ハロゲン化アンモニウムの下流捕捉を促進するように、高温にて保持することができ、あるいは、低温壁部を設けることでハロゲン化アンモニウムの凝結を促進してもよい。チャンバは出口側上において開口可能であり、これにより、入口側における漏洩を最小化する。多結晶グループIIIの金属窒化物は、出口側を通じて除去することがでいkる。
【0115】
任意選択的に、形成された多結晶グループIIIの金属窒化物をさらに処理してもよい。一実施形態において、多結晶グループIII金属窒化物の少なくとも1つの表面に対して、スクレーピング、研磨または掘り起こしのうち1つ以上が行われ得る。この表面に対し、さらに空気中または乾燥酸素中のでの酸化を行い、過塩素酸中でさらに沸騰させることができる。この後処理から発生した残留汚染は、洗浄、超音波処理、またはこれら両方により、除去することができる。洗浄および超音波処理は、例えば、有機溶媒、酸、基剤、酸化剤(例えば、過酸化水素)などの中で行うことができる。多結晶グループIIIの金属窒化物は、不活性雰囲気、窒化雰囲気または還元性雰囲気内においてアニールすることができる。アニーリングは、高純度アンモニア中において約800℃〜約1200℃の温度で約30分間〜約200時間にわたって行うこともできる。
【0116】
結晶質組成成長のためのソース材料としての用途のために、他の処理が行われ得る。ソース材料としての用途のために、多結晶グループIIIの金属窒化物を微粒子状に微粉化することができる。これらの粒子の平均直径は、約0.3ミリメートル〜約10ミリメートルの範囲であり得る。微粉化は、例えば、圧縮破砕、顎粉砕、ワイヤソー、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、レーザー切断、または低温破砕を通じて、行うことができる。微粉化後の清浄作業により、微粉化作業において偶発的に発生した金属、未反応金属、および望ましくない金属酸化物を除去することができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、多結晶グループIIIの金属窒化物は、少なくとも1つのグループIIIの金属窒化物単結晶の熱アンモニア成長のためのソース材料として用いられる。米国特許第6,656,615号、第7,125,453号、よび第7,078,731号ならびに米国特許出願第12/133,365号に記載のように、多結晶グループIIIの金属窒化物をオートクレーブ、または、カプセル中に配置する。同文献それぞれ全体を参考のため援用する。アンモニアおよび鉱化剤(例えば、アルカリ金属、アミド、窒化物またはアジド、アルカリ土類金属、アミド、窒化物またはアジド、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、グループIII金属フッ化物、グループIII金属塩化物、または、グループIII金属、アンモニア、HFおよびHCl間の反応生成物のうち少なくとも1つ)も、上述のオートクレーブまたはカプセル内に配置される。
【0118】
いくつかの実施形態において、ゲッターも、上述のオートクレーブ、または、カプセル内に配置される。付加されるゲッターは、多結晶グループIIIの窒化物中に存在し得るゲッター組成に加えて、提供され得る。この付加されるゲッターは、アルカリ土類金属c、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、W、希土類金属、およびその窒化物、ハロゲン化物、オキシ窒化物、オキシハライド、アミド、イミドおよびアジドのうち少なくとも1つを含み得る。1つの特定の実施形態において、上述のゲッターのうち少なくとも一部が金属の形態で付加され、上述の鉱化剤のうち少なくとも一部がアジドとして付加され、その際、上述のゲッター金属とアンモニアとの反応によって生成された水素と、上述のアジドの分解によって生成された窒素との間の比が、米国特許出願第61/086,799号に記載のようにおよそ3:1となるようにする。ここで、同文献全体を参考のため援用する。付加されるゲッターは、上述の鉱化剤または他の原材料中に存在する意図されない不純物(例えば、酸素)の除去において有用であり得る。1組の実施形態において、上述の鉱化剤は、アルカリ金属を含み、上述のゲッターは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc.Y、希土類金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、またはWの窒化物、イミド、またはアミドを含み得る。別の組の実施形態において、上述の鉱化剤はClを含み、上述のゲッターは、Sc、Cr、Zr、Nb、Hf、TaまたはWの窒化物、塩化物、オキシ窒化物または酸塩化物を含む。さらに別の組の実施形態において、上述の鉱化剤はFを含み、上述のゲッターは、Cr、Zr、Nb、Hf、TaまたはWの窒化物、フッ化物、オキシ窒化物または酸化フッ化物を含む。
【0119】
これらの原材料全てを、上述のオートクレーブまたはカプセルに付加した後、上述のオートクレーブまたはカプセルを密閉する。
【0120】
カプセルを用いた場合、その後、このカプセルを適切な高圧力装置内に配置する。一実施形態において、米国特許第第7,335,262号中に記載のように、上述の高圧力装置は、オートクレーブを含む。ここで、同文献全体を参考のため援用する。別の実施形態において、米国特許第7,125,453号および米国特許出願第2006/0177362A1号および米国シリアル番号第12/133,364号に記載のように、上述の高圧力装置は、内部加熱された高圧力装置である。ここで、これらの文献全体を参考のため援用する。その後、多結晶グループIIIの金属窒化物を、約400℃を超える温度および約0.2ギガパスカル(GPa)を超える圧力において、超臨界アンモニア中において処理する。この処理時において、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物のうち少なくとも一部をエッチアウェイし、少なくとも1つのグループIIIの窒化物結晶上にウルツ鉱型構造と共に再結晶化させる。いくつかの実施形態において、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物の超臨界アンモニア中での処理を、約500℃よりも高い温度、約550℃よりも高い温度、約600℃よりも高い温度、約650℃よりも高い温度、約700℃よりも高い温度、または約750℃よりも高い温度において行う。いくつかの実施形態において、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物の超臨界アンモニア中での処理を、約0.3GPaよりも高い圧力、約0.4GPaよりも高い圧力、約0.5GPaよりも高い圧力、約0.6GPaよりも高い圧力、約0.7GPaよりも高い圧力、または約0.8GPaよりも高い圧力において行う。
【0121】
上述の多結晶グループIIIの金属窒化物がエッチされるにつれ、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物中の残留ゲッターが、徐々に溶液中に放出される。溶液中に入ると、上述のゲッターは反応して、ゲッター金属窒化物、アミドまたはハロゲン化物を形成し得る。ゲッターも、酸素と化学結合し得る。このゲッターにより、超臨界アンモニア溶液中の残留酸素を除去することができ、これにより、グループIIIの窒化物単結晶の成長をより向上した清浄と共に行うことが可能となる。
【0122】
いくつかの実施形態において、上述の付加されたゲッターに対してアニーリング、および/または、粗大化を行った後、グループIIIの金属窒化物の実質的な熱アンモニア成長を行う。いくつかの実施形態において、上述のゲッターは、微粉末として付加してもよいし、あるいは、アンモニアを鉱化剤と共に加熱しているときに微粉末を形成することもでき、後者の場合、結晶成長環境全体において望ましくない対流が粉末に対して発生し得、かつ/または、上述の粉末が内包物として結晶質グループIIIの金属窒化物内に取り込まれ得る。ゲッターは、顕著なグループIIIの金属窒化物結晶成長が発生する温度よりも低い温度(例えば、約200℃〜約500℃)において約10分間〜約48時間にわたって保持することにより、強固にすることができる。
【0123】
熱アンモニア法によって成長された結晶質グループIIIの金属窒化物は、ウルツ鉱型構造によって特徴付けられ得る。このウルツ鉱型構造は、実質的に立方エンティティが全く無く、波長が約385ナノメートル〜約750ナノメートルであるときの光吸収係数が、約2cm−1以下である。熱アンモニア法によって成長された窒化ガリウム結晶は、結晶質基板部材を含み得る。この結晶質基板部材の長さは約5ミリメートルよりも長く、この結晶質基板部材はウルツ鉱型構造を有し、かつ、実質的に他の結晶構造が無く、その他の構造は、上述の実質的にウルツ鉱型構造に対して約0.1体積%未満であり、不純物濃度は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、FおよびClのうち少なくとも1つの1014cm−1未満、1015cm−1未満、または1016cm−1未満であり、また、波長が約385ナノメートル〜約750ナノメートルであるときの光吸収係数は約2cm−1以下である。熱アンモニア法によって成長された窒化ガリウム結晶は半絶縁性であり得、その抵抗は10Ω−cmよりも高い。熱アンモニア法によって成長された窒化ガリウム結晶はn型半導体であり得、キャリア濃度nは約1016cm−3〜1020cm−3であり、キャリア移動度ηは、センチメートル二乗/ボルト秒の単位において、ηの基数10に対する対数は、約−0.018557n+1.0671n−20.599n+135.49よりも高い。熱アンモニア法によって成長された窒化ガリウム結晶はp型半導体であり得、キャリア濃度nは約1016cm−3〜1020cm−3であり得、キャリア移動度ηは、センチメートル二乗/ボルト秒の単位において、ηの基数10に対する対数は、約−0.6546n+12.809よりも高い。
【0124】
適切な期間にわたって成長させることにより、上述の熱アンモニア法によって成長された結晶質グループIIIの金属窒化物は、約1ミリメートルを超える厚さと、約20ミリメートルを超える長さまたは直径とを有し得る。好適な実施形態において、上述の長さは、約50ミリメートルよりも長いか、または、約100ミリメートルよりも長い。上述の結晶質グループIII窒化物は、結晶学的曲率半径が100メートルよりも大きく、1000メートルよりも大きく、または容易に測定可能な値よりも大きい(あるいは無限)により、特徴付けられ得る。成長後、上述の熱アンモニア法によって成長された結晶質グループIIIの金属窒化物を当該分野において公知の方法によってスライスし、研磨し、そして化学機械的に研磨することができ、これにより、1つ以上のウェーハ、または、結晶質基板部材を形成することができる。好適な実施形態において、少なくとも1つのウェーハまたは結晶質基板部材の二乗平均平方根の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡法によって少なくとも約10マイクロメートル×10マイクロメートルの領域を測定した場合に、約1ナノメートル未満である。
【0125】
別の実施形態において、米国特許第7,063,741号および米国特許出願2006/0037529号に記載のように、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物は、少なくとも1つのグループIIIの金属窒化物単結晶のフラックス成長のためのソース材料として用いられる。同文献それぞれ全体をここに参考のため援用する。上述の多結晶グループIIIの金属窒化物および少なくとも1つのフラックスを坩堝内に入れ、炉内に入れる。炉を加熱し、多結晶グループIIIの金属窒化物を約400℃よりも高い温度および約1気圧よりも高い圧力において溶融フラックス中において処理する。この処理時に、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物のうち、少なくとも一部をエッチアウェイし、少なくとも1つのグループIIIの窒化物結晶上に再結晶化させる。上述の多結晶グループIIIの金属窒化物がエッチされるにつれ、上述の多結晶グループIIIの金属窒化物中の残留ゲッターが溶液中に徐々に放出される。溶液中に入ると、上述のゲッターは反応して、ゲッター金属窒化物、アミドまたはハロゲン化物を形成し得る。上述のゲッターはまた、酸素に化学結合し得る。ゲッターにより上述の溶融フラックス中の残留酸素を除去することができ、これにより、グループIIIの窒化物単結晶の成長が向上した清浄と共に可能になる。
【0126】
上記において特定の実施形態について詳しく説明したが、多様な変更、別の構造および均等物を用いることが可能である。そのため、上記の記載および例示は、本発明の範囲を限定するものとしてとられるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子を有する多結晶グループIIIの金属窒化物材料と、
前記複数の粒子は、柱状構造によって特徴付けられ、
多結晶グループIIIの金属窒化物材料と、
前記粒子のうち1つ以上の平均粒子サイズは、約10ナノメートル〜約1ミリメートルの範囲であり、
前記グループIIIの金属窒化物中のグループIII金属の原子分率は、約0.49〜約0.55の範囲であり、
前記グループIIIの金属窒化物中の前記金属は、少なくともアルミニウム、インジウムまたはガリウムから選択され、
グループIIIの金属酸化物として、または置換型不純物として、グループIIIの金属窒化物内に提供された、前記グループIII金属窒化物材料の酸素含有量は、約10ppm(100万分の1)である、を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記グループIII金属は、ガリウムを含み、前記グループIII金属窒化物は、窒化ガリウムを含み、前記グループIII金属酸化物は、Gaを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多結晶グループIIIの窒化物の体積割合における孔隙率は約0.1パーセント〜約30パーセントであり、見掛け密度が、前記金属窒化物に対応する理論密度値の約70パーセント〜約99.8パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約200ppm(100万分の1)よりも高いレベルにおいて、ゲッターをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ゲッターは金属を含むことを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ゲッターは、アルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタル、およびタングステンのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記ゲッターは、約0.1%よりも高いレベルにおいて存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記ゲッターは金属を含むことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ゲッターは、アルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタル、およびタングステンのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
窒化ガリウム内にGaとしてまたは置換型不純物として存在する前記酸素含有量は、約3ppm(100万分の1)未満であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
窒化ガリウム内にGaとしてまたは置換型不純物として存在する前記酸素含有量は、約1ppm(100万分の1)未満であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記複数の粒子は、約100/立方センチメートル〜約10,000/立方センチメートルの平均粒子数によって特徴付けられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
体積割合における前記金属窒化物の孔隙率は、約0.1パーセント〜約10パーセントの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
体積割合における前記金属窒化物の孔隙率は、約10パーセント〜約30パーセントの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
約1ミリメートルよりも高い平均粒子直径をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
約1ミリメートル〜約10マイクロメートルの範囲の平均粒子直径をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
約1.0マイクロメートルよりも大きな平均粒子直径をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記多結晶金属窒化物の見掛け密度は、前記理論値の約85パーセント〜約95パーセントであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記金属窒化物中の前記金属の原子分率は、約0.50〜約0.51であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
n型材料、p型材料または半絶縁性材料のうち1つ以上を生成することが可能な1つ以上のドーパントをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
約1021原子/立方センチメートルよりも高いドーパント濃度をさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ドーパント濃度は、約1021原子/立方センチメートル〜約1016原子/立方センチメートルの範囲であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記多結晶金属窒化物の粒子間曲げ強さは、約20メガパスカルよりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記多結晶金属窒化物の粒子間曲げ強さは、約20メガパスカル〜約90メガパスカルの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記多結晶金属窒化物の粒子間曲げ強さは、約90メガパスカルよりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの坩堝の中にグループIII金属を入れる方法であって、
前記グループIIIの金属は、少なくともアルミニウム、ガリウム、およびインジウムから選択された少なくとも1つの金属を含み、
前記グループIIIの金属に対して、少なくとも100ppmのレベルにおいてゲッターを提供し、
前記ゲッターは、少なくともアルカリ土類金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、希土類金属、ハフニウム、タンタル、およびタングステンから選択され、
前記グループIIIの金属を前記坩堝中に入れ、前記ゲッターをチャンバ内に入れる工程と、
窒素含有材料を前記チャンバ内に移送する工程と、
前記チャンバを所定温度まで加熱する工程と、前記チャンバを所定圧力まで加圧する工程と、
前記チャンバ内において前記窒素含有材料を前記グループIIIの金属と共に処理する工程と、
前記グループIIIの金属を含む、前記少なくとも前記坩堝中において多結晶グループIII金属窒化物を形成する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記ゲッターは、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、およびタンタルから選択された少なくとも1つ以上の材料を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ゲッターは、前記グループIIIの金属と共に前記坩堝に設けられることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ゲッターは、前記グループIII金属に対して300ppm(100万分の1)よりも高いレベルにあることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ゲッターは、前記グループIII金属に対して約0.1%よりも高いレベルにあることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ゲッターは、前記グループIII金属に対して約1%よりも高いレベルにあることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ドーパントまたはドーパント前駆体を供給する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記窒素含有材料と混合するように、水素ハロゲン化物を前記チャンバに移送する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記グループIIIの金属を1つ以上の湿潤剤と接触させる工程をさらに含み、前記湿潤剤は、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、テルル、ポロニウムまたはその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記チャンバを冷却する工程と、
前記チャンバから前記多結晶グループIIIの窒化物を除去する工程と、
前記多結晶グループIII窒化物をアンモニアおよび鉱化剤と共にオートクレーブまたはカプセルに入れる工程と、
前記多結晶グループIIIの窒化物を、超臨界アンモニア中において400℃よりも高い温度、および0.2GPaよりも高い圧力において処理する工程と、をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。"
【請求項36】
前記鉱化剤は、少なくとも1つのアルカリ金属およびアルカリ土類金属のいずれかであることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc.Y、希土類金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWのうちの、少なくとも1つを含む、ゲッターを提供する工程を有することを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記鉱化剤は、塩化物およびフッ化物のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
Sc、Cr、Zr、Nb、Hf、TaまたはWのうち少なくとも1つを含むゲッターを提供する工程を有することを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記チャンバを冷却する工程と、
前記チャンバから前記多結晶グループIIIの窒化物を除去する工程と、
前記多結晶グループIIIの窒化物を、フラックスと共に炉に入れる工程と、
前記多結晶グループIIIの窒化物を、溶融フラックス中において400℃よりも高い温度、および1気圧よりも高い圧力において処理する工程と、をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
グループIIIの金属窒化物を含有する基板を形成する方法において、グループIIIの金属をソース材料として提供する工程と、
前記グループIII金属は、少なくともアルミニウム、ガリウム、およびインジウムから選択された少なくとも1つの金属を含む工程と、
前記グループIIIの金属ソース材料に対して少なくとも100ppmのレベルにおいてゲッターを提供する工程と、
前記グループIIIの金属ソース材料、および前記ゲッターをチャンバ内に入れる工程と、
窒素含有材料を前記チャンバ内に移送する工程と、
前記チャンバを所定温度まで加熱する工程と、
前記チャンバを所定圧力まで加圧する工程と、
前記チャンバ内において前記窒素含有材料を前記グループIIIの金属ソース材料と共に処理する工程とを有し、
ウルツ鉱型構造によって特徴付けられる結晶質グループIII金属窒化物を形成する工程で、前記ウルツ鉱型構造は、実質的に立方的に存在せずに、波長が約385ナノメートル〜約750ナノメートルであるときに光吸収係数が約2cm−1以下であるを含むことを特徴とするグループIIIの金属窒化物を含有する基板を形成する方法。
【請求項42】
窒化ガリウム含有結晶であって、約5ミリメートルよりも長い長さの結晶質基板部材と、実質的に他の結晶構造が無い実質的なウルツ鉱型構造であって、前記他の構造は、前記実質的にウルツ鉱型構造の体積に対して約1体積%未満であるウルツ鉱型構造と、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、FおよびClのうち、少なくとも1つの約1015cm−1よりも高い不純物濃度と、波長が約385ナノメートル〜約750ナノメートルであるときに約2cm−1以下である光吸収係数であることを特徴とする窒化ガリウム含有結晶。
【請求項43】
前記他の構造は、約0.5体積%未満であることを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項44】
前記他の構造は、約0.1体積%未満であることを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項45】
前記結晶質基板部材はn型半導体であり、約1016cm−3〜1020cm−3のキャリア濃度n、およびセンチメートル二乗/ボルト秒の単位のキャリア移動度ηによって特徴付けられ、これにより、ηの基数10に対する対数は、約−0.018557n+1.0671n−20.599n+135.49よりも高いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項46】
前記結晶質基板部材はp型半導体であり、約1016cm−3〜1020cm−3のキャリア濃度n、およびセンチメートル二乗/ボルト秒の単位のキャリア移動度ηによって特徴付けられ、これにより、ηの基数10に対する対数は、約−0.6546n+12.809よりも高いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項47】
前記結晶質基板部材は半絶縁性であり、抵抗が10Ω−cmよりも高いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項48】
Li、Na、K、Rb、およびCsのうち少なくとも1つの1015cm−1よりも高い不純物濃度と、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、希土類元素、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWのうち、少なくとも1つの1014cm−1よりも高い不純物濃度とによって特徴付けられる、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項49】
FおよびClのうち少なくとも1つの1015cm−1よりも高い不純物濃度と、Sc、Cr、Zr、Nb、Hf、TaまたはWのうち少なくとも1つの1014cm−1よりも高い不純物濃度とによって特徴付けられる、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項50】
前記他の結晶構造は立方構造を含むことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項51】
前記結晶質基板部材は窒化ガリウムを含むことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項52】
前記結晶質基板部材は、ガリウム種および窒素種を含むことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項53】
前記基板部材の厚さは約1ミリメートルよりも大きいことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項54】
前記長さは、約20ミリメートルよりも長いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項55】
前記長さは、約50ミリメートルよりも長いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項56】
前記長さは、約100ミリメートルよりも長いことを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項57】
前記結晶質基板部材は、100メートルよりも大きな結晶学的曲率半径によって特徴付けられる、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項58】
前記結晶質基板部材は、1000メートルよりも大きな結晶学的曲率半径によって特徴付けられる、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項59】
前記結晶質基板部材は、無限の結晶学的曲率半径によって特徴付けられる、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項60】
前記結晶質基板部材は、二乗平均平方根の表面粗さが1ナノメートル以下であることを特徴とする、請求項42に記載の窒化ガリウム結晶。


【公表番号】特表2012−512119(P2012−512119A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540937(P2011−540937)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/067745
【国際公開番号】WO2010/068916
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511026706)ソラア インコーポレーテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】SORAA INC.
【住所又は居所原語表記】United States of America,California 93117,Goleta,485 Pine Avenue