説明

ゲノムベースのダイエットデザイン

【課題】ゲノム情報に基づいた栄養プログラム及び健康プログラムに応じた動物用フードの提供。
【解決手段】動物が属しているゲノムベースの品種クラスターを識別することによって、そして品種クラスター中の動物の栄養必要量に少なくともある程度は適合した栄養処方を有する動物用フードを選択することによって、動物のための栄養を供給する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年8月30日付け出願の米国仮特許出願第60/605,573号の優先権を主張す
る。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般には動物の栄養に関し、詳細には、動物のゲノムに基づいて動物用フードを設計・製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間は、狩り、牧畜、防護、および交わり等の目的で、特定の動物種と絶えず相互に作用し合っている。このような動物の例がイヌやネコである。特にイヌは、イヌが人間との関連で果たす特定の役割に対して重要である特徴を発揮させるために、人間によって飼われている。数千年にわたって、種々のドッグモルホロジー(dog morphology)が存在しており、品種改良により、これらの異なったモルホロジーを示す品種間においてある程度の生殖的隔離がなされてきた。この生殖的隔離は、品種改良基準(breeding standards)にしたがったクラブでの品種改良の出現によって、19世紀半ばから正式に承認されている〔品種改良基準は、全米畜犬クラブ(AKC)、ヨーロッパ畜犬クラブ、および日本畜犬クラブ等の
団体において文書にてきちんと解説されている〕。“品種バリア(breed barrier)”規定
の発布により、イヌの母畜と父畜が当該品種の登録メンバーである場合にのみ、当該イヌを承認品種に登録することができる。この規定により、各品種のイヌの間の比較的閉ざされた遺伝学的プール(genetic pool)が確かなものとなった。
【0004】
動物の栄養必要量は数世紀にわたって知られており、ここ数百年において、動物用フード(特に、イヌ科とネコ科の動物用のフード)を製造して、雑貨店、食料店、および鳥獣店を含めた小売店に流通させるという大きな産業が成長した。この産業は、異なった動物の属性と表現型に対するフードを区別している。このような属性もしくは表現型は、動物の大きさ、動物年齢、または身体状態を含んでおり、場合によっては、1種以上の特定の品
種または表現型で規定される品種タイプ(AKC認可の品種グループを含む)のためのフード
が提唱または市販されている。
【0005】
イヌ科動物品種7グループのそれぞれに対して適合しているとされている種々のフード
レシピが、Shield & Bennettによる米国特許第6,156,355号に提唱されている。特定の品
種グループ(AKC品種グループに正確に対応しているようである)のイヌ用の“特殊な成分
が加えてある”とされているペットフード配合物が、http://www.naturesrecipe.com/pages/dogproducts/breedからアクセス可能な一連のホームページに記載されている。イヌ科動物用配合物の設計はさらに、特定の表現型差(たとえば、より小型の品種と比較したと
きの大型品種の成長速度)に基づいて提唱されている。たとえば、Lepineらによる米国特
許第5,851,573号を参照。大型品種のイヌ科動物におけるより成長速度はより大きいので
、速やかな筋肉成長と骨発達との間のアンバランスによって身体的形態の異常を引き起こすことがある。
【0006】
フードは、個別の動物の表現型特性に基づいて、個々のコンパニオンアニマルに対して特異的に配合することができる、ということが提唱されている。たとえば、Abeneらによ
る米国特許第6,669,975号を参照。
【0007】
コンパニオンアニマルの正常な栄養は、ペットケアの最も重要な態様の1つである。動
物オーナーの多くは、飼っている動物が、よくバランスされた正常なダイエットを摂取しているかどうかを決定する上で困難を感じている。人々は、自分自身の個人的な栄養に関してはかなり認識しているけれども、ダイエット要件についての知識は比較的少ない。
【0008】
ゲノムプロジェクトからの知見に基づいた健康と医学の最近の技術革新により、遺伝的性質は、健康プログラムと栄養プログラムを決定する上でのより重要な成分となりつつある。ゲノム情報に基づいて動物用フードを配合することを含めた栄養プログラムと健康プログラムを設計するための新たな方法は、当業界に有用な進歩をもたらすであろう。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、(a)動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;および(b)前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある程度は
適合した栄養処方を有する動物用フードを選択すること;を含む、動物のための栄養を供
給する方法を提供する。このような方法は、生物活性ダイエタリー成分(bioactive dietary components)を栄養処方と調和した量と割合にてもたらす、フードを製造するための配合用成分を必要に応じてさらに含む。
【0010】
本発明はさらに、動物用の栄養処方を設計するためのコンピュータ援用システムを提供する。このシステムは、1つ以上のユーザーインターフェース可能なメディアに基づいて
、(a)複数の品種クラスターをそれぞれの品種クラスターのゲノム関連属性に関係付ける
第1のデータセット;および(b)前記第1のデータセットを利用しつつ、(i)動物の1つ以上のゲノム関連属性に関する入力データを処理して、動物を割り当てることができる品種クラスターを規定することができ、そして(ii)品種クラスターの栄養必要量に適した栄養処方を設計することができる、第1のアルゴリズム;を含む。
【0011】
本発明はさらに、(a)動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;(b)前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある程度は
適合した栄養処方を選択すること;および(c)生物活性ダイエタリー成分を、栄養処方によって指示されている量と割合にて含んだフードを動物に与えること;を含む、動物の健康
を促進するための方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、(a)動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;(b)前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある程度は
適合した栄養処方を選択すること;および(c)栄養処方に基づいて動物用のダイエットを処方すること;を含む、動物用の健康ダイエットを処方するための方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、動物種のためのフード組成物のマトリックスを構築するための方法を提供する。この方法は、(a)動物種内の複数の遺伝子型を識別すること;(b)ゲノム解析に
基づいて遺伝子型をクラスターに分類すること;(c)各クラスターと健康のための栄養必要量とを関連づけること;および(d)各クラスターに対する栄養必要量を満足させるフード成分のブレンドを選択して、フード組成物のマトリックスを構築すること;を含む。種々の
実施態様においては、このような方法はさらに、動物種内の年齢グループを規定することをさらに含む。このような実施態様にしたがって構築されるマトリックスは、複数のディメンジョンを有していて、そのうちの1つが年齢グループに対応している。たとえば、フ
ード組成物のこのようなマトリックスは、フード組成物が各品種クラスター内のそれぞれの年齢グループに対して供給されるよう、品種クラスターの栄養必要量に対応した第1の
ディメンジョンと、年齢グループの栄養必要量に対応した第2のディメンジョンを有して
よい。
【0014】
本発明はさらに、本明細書に記載の方法によって製造される動物用フードを提供する。
【0015】
本発明はさらに、本明細書に記載の方法によって製造されるフード、フードサプリメント、および必要に応じて、フードサプリメントをフードに加えること、そしてこうして得られる補給フードを動物に与えること、に関する情報および/または手順を伝達する手段
を含んだキットを提供する。
【0016】
本発明の応用範囲のさらなるエリアは、下記の詳細な説明から明らかとなろう。
【0017】
図1は、動物種のためのフード組成物のマトリックスを構築することに対する、品種ク
ラスター、動物年齢、および栄養必要量の関係を示しているフローチャートである。
【0018】
この図面は、本発明の特定の実施態様の一般的な特徴を示ように意図されており、任意の実施態様の特性を正確に表わしているわけではない。
【0019】
下記の説明は、事実上、単なる例示的な説明であり、本発明、その応用、またはその使用を限定することは決して意図していない。
【0020】
本発明は、動物のための栄養物を提供し、そしてさらに詳細には、少なくともある程度は動物のゲノムに基づいたフードを設計する方法を提供する。本明細書で言う“動物”とは、1種以上の動物を包含しているものとする。本明細書で使用している“設計(design)
”または“設計すること(designing)”という用語は広い意味で使用されており、選択項
目の事前セットからのフードの選択、および/または、栄養処方もしくは栄養レシピの形
でのフードの創製を含んでよい。
【0021】
本発明は、動物の遺伝子型に基づいて動物の栄養・健康ケアを増進させる新たなアプローチを提供する。遺伝子型固有のフード(たとえば品種固有のフード)を提供しようという従来の努力とは異なり、本発明の方法は、より包括的なゲノムプロフィールと厳密な統計分析とを併用して、クラスター内での、およびクラスター間のより顕著な遺伝的多様性内での、栄養学的に適切な遺伝子類似度を示す品種クラスターを規定する。このようにして規定された品種クラスターを、本明細書では“ゲノムベースの”品種クラスターと記載する。理論で拘束されるつもりはないが、このような品種クラスターのメンバーは一般に、共通系統発生論(すなわち、単一の祖先母集団から由来している)を有している、と考えられる。文脈が違った意味を要求する場合を除いて、本明細書で言う“品種クラスター”という用語は、遺伝子型以外の基準にしたがって分類された品種のクラスターとは対照的に、ゲノムベースの品種クラスターを意味している。したがって、表現型基準に基づいた動物品種の従来の分類〔たとえば、イヌ科動物品種を7つのグループ(運動好きのグループ、猟犬グループ、作業犬グループ、テリアグループ、愛玩用小型犬グループ、猟犬の資質に欠ける愛玩犬グループ、および牧畜犬グループ)に分けるAKC分類〕は、本明細書に記載の“品種クラスター”の定義に適合しない。
【0022】
種々の実施態様において、本発明は、動物用フードを処方するための方法を提供する。1つの方法は、動物種の複数の品種の遺伝子型を特定し、次いで品種を一団にすること、
各クラスターに対する表現型情報を分析すること、および表現型情報に基づいて各クラスター用のフードを処方すること、を含む。このような動物用フードは、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、ブタ、ウシ属動物、および他の全てのコンパニオンアニマル種もしくは家畜種等の、種々の動物に対して製造することができる。種々の実施態様において、表現型情報は、品種クラスターの疾患有病率を含む。他の実施態様においては、表現型情報は、品種クラスターに特徴的な体格を含む。種々の実施態様において、本発明の方法は、ある程度は動物の年齢もしくは年齢グループに基づいてフードを処方することを含む。このような年齢グループとしては、たとえばイヌ科動物の場合には、子犬年齢グループ、
成犬年齢グループ、高齢犬年齢グループ、および老犬年齢グループがある。種々の実施態様においては、本発明の方法はさらに、動物において現れる疾患に対処する(たとえば、
予防および/または処置によって)ためのフードを処方することも含む。
【0023】
本明細書で使用している“ダイエット”という用語は、動物が摂取するフードや飲み物を意味しており、オーナーによって与えられる毎日の定量を含む。毎日の定量は、動物のための十分な栄養をもたらす任意の適切なフード組成物を含んでよい。たとえば、典型的なイヌ科動物用フード組成物は、乾燥物基準にて、約10重量%〜約30重量%の脂肪、約22重量%〜約44重量%のタンパク質、および約10重量%の全食物繊維を含有してよい。他の例と
して、典型的なネコ科動物用フード組成物は、乾燥物基準にて、約10重量%〜約30重量%の脂肪、および約30重量%〜約45重量%のタンパク質を含有してよい。しかしながら、本明細書に記載の方法によって選択または製造されるフードは、これらの栄養素または他の栄養素特定の範囲もしくはパーセントに限定されない。栄養素とは、生命および/または健康
をサポートするのに役立つ任意のダイエタリー成分である。表1は、動物の健康に対して
重要な役割を有する栄養素の例を示している。
【表1】

【0024】
種々の動物種(特に、人間以外の動物)のためのフード組成物を、本発明の方法によって選択もしくは製造することができる。種々の実施態様において、動物は、脊椎動物(たと
えば、魚類、鳥類、爬虫類、または哺乳類)であってよい。哺乳類のうちでは、たとえば
、動物は食肉目〔イヌ科動物種とネコ科動物種を含む(これらに限定されない)〕のメンバーであってよい。
【0025】
種々の実施態様においては、本明細書に記載のように選択、配合、もしくは製造されるフード組成物は、家畜(たとえば、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、およびヤギ等の動物種)、実験動物(たとえば、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、アレチネズミ、ウサギ、ケ
ナガイタチ、およびチンチラ等)、鳥類種(たとえば、カナリヤやオウム等の飼いならされた鳥、ならびにニワトリ、カモ、ガチョウ、およびシチメンチョウ等の商業用家禽)を含
めた、飼いならされた動物の栄養摂取において有用である。
【0026】
1つの実施態様においては、動物はコンパニオンアニマルである。本明細書で言う“コ
ンパニオンアニマル”は、オーナーまたは世話する人によってペットとして保持される任意の種の動物、あるいはイヌ〔ケイニス・ファミリアリス(Canis familiaris)〕およびネコ〔フェリス・ドメスティカス(Felis domesticus)〕を含めたペットとして広く飼いならされている種々の種の任意の動物である(動物が、交わりに対して唯一もしくは部分的に
保持されようと、そうでなかろうと)。したがって、本明細書で言う“コンパニオンアニ
マル”は、ペットとしてのイヌやネコだけでなく、作業犬や齧歯類防除のために飼われて
いるファームキャット(farm cats)を含む。
【0027】
本明細書で言う“オーナー”とは、動物の世話をする責任がある人、そして特に、動物に餌を与える責任がある人であり、必ずしも、動物の法律上の所有権を意味しているわけではなく、したがってたとえば、動物の“持ち主”であっても、“世話する人”であっても、または“保護者”であってよい。オーナーは、このような責任を共有する一人以上の人(たとえば、家族の一員、またはこのような責任が委託もしくは委任される人)であってよい。本発明の方法にしたがって製造されるフード組成物のエンドユーザーは、たとえば、上記のようなコンパニオンアニマルのオーナーである。
【0028】
一般には、本発明は、程度の差はあるが生殖的に互いに隔離されるようになった部分母集団(たとえば、亜種や亜品種)を有する任意の動物種(地理的隔離のような自然の原因に
よろうが、繁殖の形での人間の介入によろうが)に対して有用となりうる。生殖的隔離は
、亜種や品種間において遺伝的変異を引き起こす傾向がある。本明細書で言う“品種クラスター”は、動物部分母集団のクラスター(これらのクラスターが、人間の指示による繁
殖によって生成されたものであろうとなかろうと)を含むものと理解すべきである。1つの実施態様においては、動物のための栄養物を供給する方法は、動物が属する品種クラスターを識別すること、当該品種クラスターに特徴的な健康のための1セットの栄養必要量を
確実に求めること、およびそれらの栄養必要量に少なくともある程度は適合した栄養処方を有する動物用フードを選択すること、を含む。フードは、前もってセットされたオプションのリストから選択することもできるし、あるいはこれとは別に、動物に応じて個別に調整することもできる。
【0029】
このような方法はさらに、生物活性ダイエタリー成分(BDC)を少なくともある程度は確
認栄養必要量に適合した栄養処方と調和する量と割合にてもたらす成分、を配合することによってフードを調製することを含む。このフード調製工程は、フード選択工程の前でも、フード選択工程と同時でも、あるいはフード選択工程の後でも行うことができる。たとえば、複数の品種クラスターに対してある範囲のフードをあらかじめ製造することができ、また特定の動物が属する品種クラスターが識別されたら、あらかじめ製造されたフードの1種以上をそれにしたがって選択することができる。これとは別に、栄養処方によって
規定されるフードを選択することができ(少なくともある程度は、動物に対して識別され
た品種クラスターに基づいて)、引き続き該栄養処方にしたがって調製することができる

【0030】
本明細書で言う動物の“健康(wellness)”は、動物の身体的健康、精神的健康、および社会的健康の全ての態様を含み、病気に罹患していないということに限定されない。健康属性としては、疾患もしくは生理障害の状態、寄生虫のわき状態、毛と皮膚の状態、感覚の鋭さ、気質・行動属性、および認知機能などがあるが、これらに限定されない。したがって、健康のための栄養必要量は、生命の維持に必要とされる基本的栄養素の十分な量を単に供給することによっては満足させることができず、動物に与えたときに健康の1つ以
上の態様を促進する、種々の栄養素とBDCとのバランスのとれた量を供給することによっ
て満足させることができる。
【0031】
本明細書で使用している“生物活性ダイエタリー成分”または“BDC”は、動物のダイ
エット中に適切なレベルで組み込んだときに、動物の健康を促進する物質である。BDCは
、一般的に栄養素として考えられている物質だけでなく、生命にとって必ずしも必須ではない物質も含む。BDCは、そのほとんどが特定の食物中に自然発生するような化学物質を
含むが、多くの場合、微生物学的プロセス(たとえば発酵)または合成プロセスによって製造することができる。特定の生物学的物質(特に植物性物質)もBDCであると見なすことが
できる。これらの多くにおいて、生物活性の化学物質が確認されている。生物活性成分が
既知である場合でも、他の未知の生物活性成分が存在することがあり、これらが生物学的物質の生物活性効果に寄与することがある。
【0032】
健康の栄養促進は、動物における少なくとも1つの症状を、たとえば予防、軽減、もし
くは解消することによって、動物の健康の態様を高めることを含んでよい。このような症状は、該品種クラスターが罹りやすい症状であってよく、また動物中に存在していてもよい。このような症状は無症候性であってもよい。2つ以上の症状の一群を、同時に予防、
軽減、もしくは解消することができる。本発明の方法による健康の栄養促進に医学的介入が伴ってもよい。たとえば、本発明の方法にしたがって選択されるフードを、少なくとも1つの症状を予防、軽減、もしくは解消するための薬物と併せて使用すべく造り上げるこ
とができる。
【0033】
健康の栄養促進は、素質的もしくは行動的な問題を軽減または解消することを含む。健康の栄養促進はさらに、病気や障害が存在しないときでも、動物の寿命おけるストレスの多い段階〔たとえば、子猫や子犬の成長時;妊娠時や乳汁分泌時;手術(たとえば不妊手術)の前後;および長距離輸送の前後と長距離輸送時〕での改良された栄養管理を含む。健康
の栄養促進はさらに、動物の子における健康のあらゆる態様を向上させる(たとえば、妊
娠している雌動物に食物を与えるときの子宮栄養によって)ことを含む。
【0034】
健康に反する状態は、既存の病気や生理学的障害(精神的障害、行動的障害、および素
質的障害を含む)だけでなく、このような病気もしくは障害に対する罹りやすさ又は影響
の受けやすさも含む。外面的に明らかな病気や障害だけでなく、無症候も同様に包含される。
【0035】
動物の健康促進は、動物の近くで生活しているヒトに対する迷惑行為を減少させることをさらに含むものとして理解すべきである。このような迷惑行為の例としては、多すぎる抜け毛、排泄物(糞、腸内ガス、および尿を含む)の臭い、およびアレルゲン性などがあるがこれらに限定されない。
【0036】
特定の品種クラスターの動物の健康に対する栄養必要量は、該品種クラスターに特徴的な1つ以上の表現型特性に少なくともある程度は基づくことができる。このような表現型
特性は、大きさ、被毛のタイプ、または活動レベル等の身体的属性;訓練可能性等の認知
属性;および/または、1つ以上の疾患(たとえば、心臓血管疾患、肥満症、糖尿病、皮膚炎、眼疾患、腎疾患、甲状腺疾患、関節炎、または加齢による変性疾患)の有病率もしくは
素因;を含んでよい。品種クラスターに特徴的な表現型特性は、少なくともある程度は公
開されているデータから、さもなければ品種クラスター内の個々の品種の表現型特性に基づいて導き出すことができる。
【0037】
イヌ科動物の品種を含めた多くの動物の品種は、人的活動、身体的表現型、および歴史的文献における役割に基づいて伝統的に分類されている。イヌは、とりわけ多様な表現型特性を示す。本明細書で使用している“表現型”とは、有機体の遺伝子型と有機体が存在する環境との相互作用によって決定される、有機体の1つ以上の観察可能な機能的もしく
は構造的特性を意味している。“遺伝子型”とは、1つ以上の観察可能な特性に対する有
機体の遺伝子構成を意味しており、1つ以上の特定の遺伝子座において存在する対立遺伝
子に対応している。遺伝子型は、染色体上に担われている遺伝情報と染色体外に担われている遺伝情報を含む。“ゲノム”とは一般には、有機体の全ての遺伝物質を意味しているが、本明細書で使用している“ゲノム”は、全体の遺伝子構成、あるいは、有機体間もしくは有機体の母集団間の遺伝的な類似性と差異の程度を決定する目的に対して十分に分析しやすい、その任意のフラクションを表わしている。
【0038】
本発明の方法は、他のファクターとは関係のない遺伝的差異に基づいた品種(たとえば
イヌ科動物品種)の分類を使用して、フード配合物だけでなく、クラスター内の品種間の
遺伝的な類似性に基づいて確立される、品種クラスターのための完璧な健康プログラムと栄養プログラムを設計することができる。幾つかの実施態様においては、この分類は、従来の品種分類のサブセットをサポートしている。幾つかの実施態様においては、遺伝的差異に基づいた分類により、これまで認識されていない品種間の関係が明らかになる。本発明の種々の実施態様においては、品種間の遺伝的関係の正確な理解により、モルホロジー、行動、活動、身体組成、老化、および罹病性に関する複雑な遺伝的根拠のための基礎が築かれる。
【0039】
現在、世界中において400品種を超えるイヌが報告されており、このうち約152品種がAKCによって公認されている。純血品種内では350を超える遺伝病が報告されており、これらの多くは、特定の品種、品種タイプ、もしくは遺伝的素質に限定されている。Patterson et al.,J.Am.Vet.Med.Assoc.193(9):1131-1144(1998)。ヒトの場合と似たこれら疾患の多く、および特定の品種もしくは品種グループへの限定は、特定のモルホロジーを生じさせるために使用される強引な繁殖計画の結果であると考えられる。混合品種の動物を、本発明の目的に適うよう、品種クラスターに割り当てることができる(たとえば、血統や品種
天性に関する知見を介して)。
【0040】
動物種もしくは動物母集団の系統発生分析が知られている。ゲノム、コンパラティブ、アソシエーション法(genomic,comparative,association method)、ラジエーション・ハイブリッド法(radiation hybrid method)、および/または、マイクロサテライト・マッピング法、統計的分析、クラスタリング法、疾患検査(disease investigation)、マーカー・
デターミネーション(marker determination)、マイクロサテライト・タイピング、デンス・マーカー・セット(dense marker sets)、ツー・ゲノムシーケンス(two genomic sequences)、単一ヌクレオチド多型(SNP)、連鎖不均衡(LD)、あるいはこのような分析に対して
当業界に公知の類似の方法のいずれかを使用して、本発明の実施によりゲノムベースの品種クラスターを識別することができる。このような分析の例が「Parker et al.,Science 304:1160-1164(21 May 2004)」に記載されている。
【0041】
この例では、遺伝的関係を調べるのに、85家庭犬品種の分子マーカーを使用した。品種間の差異が、遺伝的差異の約30%を占めた。85品種のマイクロサテライト・タイピングを
、系統発生分析および最新の遺伝子クラスタリングと組み合わせることで、関連したグループの品種を規定することが可能となった。この例においては、純血種犬における配列変化の量を評価するために、60品種を示す120匹の犬における19,867塩基対の不連続なゲノ
ム配列を並べ直した。さらに、約0.4%〜約48%の範囲のわずかな対立遺伝子頻度によって75のSNPを識別した(14のSNPは品種に特異的であった)。全ての犬を単一の母集団として見
なすと、観察されたヌクレオチド異型接合性は8×10-4であり、ヒト母集団に対して見ら
れるものと実質的に同じであった。
【0042】
品種内および品種間の遺伝的差異をさらに特徴づけるために、85品種を示す414純血種
犬における96マイクロサテライト遺伝子座の遺伝子型を特定した。品種バリアが存在するので、同じ品種からの犬は、異なった品種からの犬より遺伝学的に類似している、ということが予測された。この予測を調べるために、品種メンバーシップに帰することができる個々の犬の間の遺伝的差異の割合を概算した。マイクロサテライト・データに対するモレキュラー・バリアンス(molecular variance)の分析により、品種間の差異は、全遺伝的差異の27%以上を占めることがわかった。同様に、SNPデータから算出される品種間の平均遺伝距離はFST=0.33である。これらの観察結果は、多くはない犬品種を分析して得た従来の報告とは矛盾せず(品種バリアが品種間に強い遺伝的隔離を引き起こす、という予測が確
認された)、またヒト母集団間で見られるはるかに少ない遺伝的差異(一般には5〜10%の範
囲)とは好対照である。Parker et al.(2004),citing Koskinen,Animal Genetics 34:297-301(2003);Irion et al.,Journal of Heredity 94:81-87(2003)。犬の品種間の差異は、
家畜母集団に対して報告されている範囲のハイエンド(high end)となっている。Parker et al.(2004),citing MacHugh et al.,Animal Genetics 29:333-340(1998);Laval et al.,Genet.Sel.Evil.32:187-203(2000)。
【0043】
犬の品種間の遺伝的差異が強いということは、個々の犬の遺伝子型から品種メンバーシップを決定できるということを示している。この例では、対立遺伝子頻度に基づいて遺伝学的に異なる部分母集団またはクラスターを識別するために、マイクロサテライト・データに関してベイジアンモデルベースのクラスタリングアルゴリズムが使用されている。母集団間の差異成分が少なく、“プライベートな”対立遺伝子が希薄であるにもかかわらず、多座遺伝子型の分析により、個体のサンプリング場所についての情報に頼ることなく、遺伝系統の推定が可能となる。大ざっぱに言うと、特有の対立遺伝子頻度を有する下位集団を識別する、モデルベースのクラスタリングアルゴリズムがParkerら(2004)によって利用された。この手順は、STRUCTUREというコンピュータプログラムにおいて実行され、個
体をKクラスターに据える(Kは、あらかじめ選定されているが、アルゴリズムの独立した
実行全体に対して変えることができる)。Rosenberg et al.,Science 298:2381-2385(2002)。前提は、K母集団が存在していて(Kは未知数であってもよい)、母集団のそれぞれが、
各遺伝子座における一組の対立遺伝子頻度によって特徴づけられている、というモデルである。サンプル中の個体は、確率的に母集団に割り当てられるか、あるいは遺伝子型が混ざり合っていることがわかった場合は、2つ以上の母集団に一緒に割り当てられる。この
モデルは、特定の突然変異プロセスを仮定しておらず、密接にリンクしないという条件で、一般的に使用されている遺伝子マーカーのほとんどに利用することができる。Pritchard et al.,Genetics 155:945-959(2000)。個体は、複数のクラスターにメンバーシップを
有することができ、このときメンバーシップ係数(membership coefficients)は、クラス
ター全体にわたって合計すると1になる。このアルゴリズムは、対立遺伝子頻度のパター
ンに基づいて、遺伝学的に異なる部分母集団を識別するよう試みている。Parkerら(2004)は、20〜22品種のオーバーラッピング・サブセットに同時にSTRUCTUREを適用し、ほとん
どの品種が、当該品種からの全ての犬だけからなる異なったクラスターを形成することを観察した。この実証的クラスタリング分析の結果から4つのクラスターが示され、Parker
ら(2004)はこれらを、古風品種(antiquity breeds)、屈強品種(muscular breed)、牧畜品種(herding breeds)、および狩猟品種(hunting breeds)と呼んだ。
【0044】
本明細書では、表現型にしたがって規定される品種グループ(たとえばAKC品種グループ)との混乱を避けるために、ゲノムベースのクラスターに関してParkerら(2004)によって
選択された名称と類似の名称を有してもよいこれらの幾つかのクラスターを、それぞれクラスターI、II、III、およびIVとして識別する。特に、クラスターIIIは、AKC分類による牧畜グループとは同一の広がりをもたない、ということが指摘されている。クラスターIIIの4品種(ベルジアン・シープドッグ、ベルジアンタービュレン、コリー、およびシェッ
トランド・シープドッグ)は、実際にはAKC牧畜品種に含まれるが、他の4品種(アイリッシュ・ウルフハウンド、グレーハウンド、ボルゾイ、およびセントバーナード)は他のAKCグループに分類される。同様にクラスターIとIIは、幾つかのAKCグループを交差する品種を含む。他方、クラスターIVは、AKCの運動好きグループに密接に対応するようである。
【0045】
遺伝子型の統計的分析は当業界によく知られており、本発明の実施に際してはベイジアンモデルに限定されず、遺伝子型のデータを分析するのに、どのようなクラスタリングアルゴリズムおよび/またはソフトウェアを使用してもよい。種々の実施態様において、ゲ
ノムデータを分析するのに使用されるクラスタリングアルゴリズムとしては、階層的クラスタリング(Eisen et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.45:14863-14868(1998));自己組織化マップ(Tamayo et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.96:2907-2912(1999));k-平均クラスタリング(Tavazo
ie et al.,Nature Genetics 22:281-285(1999));サポートベクトルマシン(Brown et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.97:262-267(2000));クラスターの数を求めるのに画像表示を使用(Eisen et al.(1998);Tamayo et al.(1999));1回に1つの実験を除外し、次いで除外された実
験を使用して、異なったクラスタリングアルゴリズムの性能を比較するクラスタリングデータセット(Yeung et al.,Bioinfomatics 17:977-987(2001));クラスター内分散と基準となるゼロ分散とを比較することによって、クラスターの数を推定するギャップ・スタティスティクス(Tibshirani et al.,Journal of the Royal Statistical Society 63:411-423(2001));ある基準を最適化するために選定された2つのグループをアルゴリズムの各段階
においてマージする、という階層的凝集型クラスタリング;グループ内二乗和(Ward,Journal of the American Statistical Association 58:234-244(1963))またはグループ間の最短間隔(単一リンク法の根底にある)を総計の基準として使用するというアルゴリズム;あ
る基準のさらなる向上が認められなくなるまで、データポイントをあるグループから他のグループに移す、という反復リロケーション(iterative relocation)〔反復パーティショニング(iterative partitioning)とも呼ばれる〕(二乗和基準を有する反復リロケーショ
ンは、k-平均クラスタリングとして参照されることもある);およびグラフによる理論的アプローチ;などがある。
【0046】
種々の実施態様においては、クラスター分析は、確立モデルに基づくこともできる。確立モデルに基づいたクラスタリングアルゴリズムは、発見的アルゴリズムに原理的に代わるものである。特に、モデルベースのアプローチは、確立分布(たとえば多変量正規分布)の基礎となっている有限混合モデルによってデータが生成される、ということを仮定している。特定の例によれば、ガウス混合モデルが、多くのアプリケーションに対して強力なツールであることが示されている〔たとえば、Banfield & Raftery,Biometrics 49:803-821(1993);Celeux & Govaert,Journal of the Pattern Recognition Society 28:781-793(1993)〕;クラスターの数を決定し、適切なクラスタリング法を選択するという問題は、統計モデルの選択の問題として分析することができる〔Dasgupta & Raftery,Journal of the American Statistical Association 93:294-302(1998);Fraley & Raftery,Journal of Classification 16:297-306(1998)〕;幾つかの有限混合モデルが提唱されており、クラスタリングの文脈で検討されている〔Wolfe,Multivariate Behavioral Research 5:329-350(1970);Edwards & Cavalli-Sforza,Biometrics 21:362-371(1965);Day,Biometrika 56:463-474(1969);Scott & Symons,Biometrics 27:387-397(1971);Binder,Biometrika 65:31-38(1978)〕;クラスタリング法を利用する際に生じる実際的な問題に対し、理にかなった統計的アプローチ採用することができる(Fraley & Raftery,The Computer Journal 41:578-588(1998));および正規混合モデルによるバンドクラスター分析(a normal mixture model
band cluster analysis)を利用することができる(Pan et al.,Genome Biology 3:9.1-9.8(2002))。
【0047】
有限混合モデルにおいては、各成分の確立分布がクラスターに対応してよい。クラスターの数を決定し、適切なクラスタリング法を選択するという問題は、統計モデル選択問題として作り直すことができ、成分の数および/または成分の分布が異なるモデルを比較す
ることができる。アウトライアーは、範囲外のデータに対する異なった分布を示す1つ以
上の成分を加えることによって処理する。幾つかの実施態様においては、方法は、モデルベースのクラスタリング(たとえば、Fraley & Raftery,Journal of the American Statistical Association,97:611-631(2002);およびYeung et al.,Bioinformatics 17:309-318(2001)に記載)によるクラスタリングを含む。
【0048】
種々の実施態様においては、方法は、オリジナルの実験観察結果を定量的且つ定性的に示す色もしくは他のしるしを使用して各データポイントを表示することによって、クラスタリング法を一次データのグラフ表示と組み合わせる。最終的に得られるものは、ユーザーに対し、統計的な有機化とグラフ表示によってデータをありのままの直感的に理解でき
る仕方で吸収および探究することを可能にする、複雑なゲノムデータの表示である。シーケンス比較において、このような方法は、比較しようとしているシーケンスの進化史を推測するのに使用することができ、またデータの特性についての仮定をほとんど必要としないという点だけでなく、種々の程度の類似性、および密接に関連した遺伝子のグループ間のより離れた関係を表示することができるという点で有用である。オリジナルデータの表形式化において、類似の表現パターンを有する遺伝子もしまは遺伝子グループが隣接するよう遺伝子を配列するのに、コンピューテッド・ツリー(computed tree)を使用すること
ができる。次いで配列された表を、遺伝子間の関係を示すようツリーを示すことでグラフ的に表示することができる。
【0049】
種々の実施態様においては、方法は、複数の場所の遺伝子型データを使用して母集団構造を推測するためのモデルベースのクラスタリング法を含む。このような方法の例が、Pritchard et al.(2000);Falush et al.,Genetics 164:1567-1587(2003);Rosenberg et al.,(2002);およびPritchard et al.,American Journal of Human Genetics 67:170-181(2000);に記載されている。マイクロサテライト・マーカーを使用して品種識別と遺伝的差異
を分析する他の例〔Koskinen(2003)とIrion(2003)によって報告されている〕も使用する
ことができる。
【0050】
本発明の種々の実施態様においては、分析(たとえば上記のような分析)にしたがって識別されるゲノムベースの品種クラスターは、健康を促進させるための(たとえば、各クラ
スターに関連した疾患状態を予防もしくは治療するための)特定の栄養必要量を有する。
したがって、たとえばイヌ科動物間では、クラスターI、II、III、およびIVは、それぞれのクラスター内の品種に対して共通ではあるが、クラスター間では異なる栄養必要量を有してよい。これらの栄養必要量に基づいて、予防もしくは治療しようとする特定の疾患の発生を含めた、それぞれのクラスターの生活様式、体格、活動レベル、および他の表現型特性に適応した特定のフードを開発することができる。
【0051】
所定のクラスター内において示されている各品種を、品種に共通した表現型特性(たと
えば、イヌ科動物品種の場合には、AKC特性に基づいた体の大きさ、被毛の抜け毛状態、
訓練可能性、および活動レベル)に関して評価することができる。表2に示すように、たとえば1〜3の数字(活動レベルの場合は4)を割り当てることによって、それぞれの特性にラ
ンキングを与えることができ、そしてこれらのランキングをクラスター内の品種全体にわたって平均して、各表現型特性に対する平均ランキングを求めることができる。4つのイ
ヌ科動物品種クラスターのそれぞれに対してAKC品種特性をまとめたデータの例が表3〜6
に示されている。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0052】
本発明の種々の実施態様においては、クラスターを疾患有病率に関して評価して、いずれか1つのクラスター内に特定の疾患がより大きな有病率を有しているかどうかを調べる
ことができる。このような試験に適用できるデータサマリー(data summaries)は、臨床疾病調査(たとえば、全米の獣医科大学で行われた臨床疾病調査)から収集することができる。疾患有病率に関するいかなるデータセットも、公開されていようといまいと、使用することができる。
【0053】
ある実施態様においては、クラスター内の各品種を、皮膚炎、関節炎、肥満症、眼疾患、心臓疾患、腎臓疾患、および甲状腺機能低下症に関して評価する。当業者にとっては言うまでもないことであるが、これは、疾患や遺伝病の包括的なリストではなく、疾患、遺伝病、および癌のタイプなどのいかなるリストも、本発明において使用することができる。たとえば、糖尿病、特定のタイプの癌、肝疾患、胃腸疾患、および他の多くの疾患等の疾患や遺伝病は、本発明の例には含まれていないが、評価に含めることができる。本発明の例においては、疾患有病率は、特定の品種が高い疾患罹患率を有するかどうかを決定するための、報告されている臨床例の数によって求められる。たとえば、あるクラスター内の品種の50%以上が特定の疾患タイプに対して高い罹患率を有する場合は、当該疾患タイ
プを、遺伝子クラスターの特徴であると見なすことができる。表7〜10は、4つのイヌ化動物品種クラスターのそれぞれにおいて頻繁に診断された疾患がまとめてある。
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0054】
疫学、毒物学、腫瘍学、公衆衛生科学、リスク・アセスメント、および医学等においては、疾患有病率、疾患罹患率、疾患頻度、または疾患傾向を調べる他の方法が知られており、このようないかなる方法も使用することができる。種々の実施態様においては、疾患有病率は、オッズ比または相対危険度を使用して決定される。他の実施態様においては、疾患有病率を求める際に交絡因子および/または環境因子を考慮に入れる。幾つかの実施
態様においては、各クラスターを動物の年齢に基づいてグループに分け(たとえば年齢グ
ループ)、疾患有病率、疾患罹患率、疾患頻度、または疾患傾向を、各年齢グループに対
して評価することができる。イヌ科動物に対する年齢グループは、子犬、成犬、および高齢犬であっても、あるいは子犬、成犬、老犬、高齢犬、および老犬であってもよい。ネコ科動物や他の動物種に対しては、対応する年齢グループを設定することができる。
【0055】
表11に示すデータには、当該品種クラスターに広くみられる疾病を予防もしくは治療す
ることを含めて、健康を保持するための栄養必要量を満たすよう適合させた特定のフードを開発するのに使用することができる、4つのイヌ科動物品種クラスターの特性が要約さ
れている。
【表11】

【0056】
4つのイヌ科動物品種クラスターに対する、表現型による疾患特性と一般的な疾患特性
、それぞれの特性に関する重要な栄養素、および各品種クラスターに対して設計されていて、重要な栄養素を含有しているフードに関連した利点の概要を12〜15に示す。下記の表において、EPAはエイコサペンタエン酸であり;DHAはドコサヘキサエン酸であり;Mnはマンガンであり;Znは亜鉛であり;n6:n3比は、ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸との比である。
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【0057】
上記の例に示されているように、ゲノム分析により、疾患(たとえば関節炎)に罹りやすい品種クラスターが識別される。この例においては、関節炎を予防および/または治療す
るのに役立つよう、EPAが所望の量にて配合物に加えられるようにフードを配合すること
ができる。理論で拘束されるつもりはないが、EPAは、特定の分解酵素を作るDNA(すなわ
ちmRNA)からのシグナルを切ると考えられる。たとえば、プロテオグリカンの分解におい
ては、EPAは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とアグレカナーゼ(プロテオグリカ
ンを分解し、関節炎に関与すると思われる酵素である)に対するmRNAシグナルを切る。
【0058】
同様に、特定の品種クラスターが罹りやすい他の疾患を予防および/または治療するの
に役立つよう、あるいは当該品種クラスターの他の表現型特性に対処できるよう、他の生物活性ダイエタリー成分をフード配合物に加えることができる。たとえば、下記の表16〜19に組成が示されており、栄養素、ミネラル、健康を高めるための処理剤、ビタミン、脂肪酸、および4つのイヌ科動物品種クラスターのそれぞれに対するフードを配合するため
の他の成分の組成がまとめてある。各組成における成分は、同等の成分で置き換えることができ、製造時における成分のコストおよび/または入手しやすさに基づいて選択するこ
とができる。必要とされる栄養分を供給しつつ、できるだけ低コストの成分を含有するフードが設計できるようにデータを入力することができるソフトウェアプログラムが存在し、このような仕方で成分を置き換えることは、ペットフード業界では一般的である。
【0059】
動物の健康を促進するための本発明の方法は、(a)動物が属する、ゲノムベースの品種
クラスターを識別すること;(b)前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある程度は適合した栄養処方を選択すること;および(c)BDCを栄養処方
によって指示された量と割合にて含んだフードを動物に与えること;を含んでよい。たと
えば、上記のクラスターI、II、III、またはIVに割り当てられるイヌ科動物の場合、本発明の方法は、それぞれ表12、13、14、または15において記載されている健康上の利点の少なくとも1つをもたらすことに関する。幾つかの実施態様においては、このような方法は
、上記の健康利点の少なくとも2つ、または少なくとも3つをもたらすことに関する。
【0060】
1つの実施態様においては、フードを選択するための方法はさらに、動物がもつ1つ以上の固有の動物誌学的属性を識別することを含む。この実施態様においては、選択されるフードは、固有の動物誌学的属性を考慮して改良された栄養処方を有する。
【0061】
本明細書で使用している“動物誌学的属性”とは、定量的であろうと定性的であろうと、動物に関して収集することができるあらゆる情報を表わしている。動物誌学的情報の供給源は、たとえば、質問に対する回答として捕捉されている飼い主の知識ベース、獣医の記録(健康もしくは疾患に関する過去と現在の状態を示す記録を含む)、当該動物の血統書(存在する場合)、およびサンプル取得時のバイオメトリクス(身長や体重等)などを含んでよい。動物誌学的属性としては、たとえば、年齢、性別、大きさ、体重、被毛のタイプ、血統、出産歴、獣医にかかった病歴、食欲、環境に関連した属性、および当該動物の明らかな遺伝性疾患と遺伝性障害などがある。
【0062】
動物誌学的属性は、遺伝子型に関する1つ以上の属性を含んでよい。このような属性の
例としては、動物の品種(血統の明らかな品種であろうと、AKC等の団体によって登録されている品種であろうと、あるいは他の品種であろうと);既知であれば血統;混血の動物の
場合は、親の品種、および可能であればより古い世代の祖先の品種を含めた、動物の品種ヘリテージ(breed heritage);性別;被毛のタイプ(たとえば、長い毛、短い毛、堅い毛、
巻き毛、滑らかな毛)と色;および明らかな遺伝性疾患と遺伝性障害;などがあるが、これ
らに限定されない。
【0063】
動物誌学的属性は、生理学的な状態に関する1つ以上の属性を含んでよい。このような
属性の例としては、年齢(年代順の年齢、および確定可能であれば生理学的な年齢);体重;外形寸法〔たとえば、肩の高さ(height at shoulder)、足の長さ、および背部の長さ(length of back)等〕;獣医にかかった病歴;出産歴(去勢、一緒に生まれた子の数とサイズな
どを含めて);現在の健康状態もしくは疾患状態および最近の変化〔診断された疾患もしく
は障害、および何らかの徴候(診断がなされていようと、そうでなかろうと)を含めて〕;
ノミを含めた寄生虫の存在;食欲と最近の変化;身体的な活動レベル;知的な鋭敏さ;行動の異常性;および性質(たとえば、臆病、攻撃的、従順、神経質);などがあるが、これらに限定されない。
【0064】
動物誌学的属性はさらに、動物が生活している環境の様相に関する。このような様相としては、気候、季節、地理的な居場所、および住処などがあるが、これらに限定されない。たとえば、動物が、温暖な気候または乾燥した気候において生活しているのか、あるいは乾燥した気候または湿潤した気候において生活しているのか;現在が、春、夏、秋、ま
たは冬のいずれであるか;動物が、屋内と屋外のどちらで飼われているのか;動物が、家の中にいるのか、板囲いの犬小屋にいるのか、作業の場所にいるのか(たとえば、番犬や警
察犬など)、または他の居住環境にいるのか;動物が単独で飼われているのか、他の動物と一緒に飼われているのか;動物が郊外で生活しているのか、農村地域で生活しているのか;居住の郵便番号、国、および/または地方;ならびに、動物の生息環境が汚染物質(たとえ
ばタバコの煙)によって影響を受けているのか、どの程度影響を受けているのか;などを知ることが重要である場合がある。
【0065】
動物の品種クラスターと固有の動物誌学的属性は、飼い主からもたらされる入力データから識別することができる。このような入力データは、ユーザー・インターフェース(た
とえば、コンピュータ、タッチスクリーン・ビデオ端末、プッシュホン、または音声起動システムを含んでよい)を介して飼い主が入力できる。
【0066】
他の実施態様においては、フードを選択する方法はさらに、動物の1つ以上の固有の健
康属性を識別することを含む。この実施態様においては、選択されるフードは、固有の健康属性を考慮に入れて改良された栄養処方を有する。上記した健康属性のいずれかを含むことができる。健康属性は、飼い主および/または獣医師からもたらされる入力データか
ら識別することができる。このような入力データは、動物から得られる体液サンプルまたは組織サンプルからの診断データを含んでよい。
【0067】
本発明において有用な体液サンプルまたは組織サンプルは、診断目的の分析に対して扱いやすい任意のサンプルであってよい。サンプリングできる体液としては、排泄物(糞と
尿)、血液、唾液、および羊水などがある。組織サンプルは、たとえば、バイオプシーに
よって、外科切除(たとえば、他の目的で行われている外科手術時において)によって、チーク・スワブ(cheek swab)によって、あるいは数本の毛を引き抜くことによって得ることができる。
【0068】
動物を適切な品種クラスターに割り当てるのに役立つよう、ゲノム分析に対して、必要に応じて組織サンプルまたは体液サンプルを使用することができる。これは、動物が未知品種もしくは混血品種であるか、あるいはジェネティック・ヘリテージ(genetic heritage)である場合に特に有用となる。この場合、サンプルは、たとえばPCR法による増幅を必
要としてもしなくてもよい量にて、DNAまたはRNAを供給できなければならない。
【0069】
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、動物を品種クラスターに割り当てるのに特に有用とな
りうる。幾つかのSNPは品種特異的である。本明細書で使用している“品種特異的SNP”とは、異なった品種間を識別するのに使用できるか、あるいは品種遺伝形質(breed inheritance)を、単独にて、または他のSNPと組み合わせて決定するのに使用できるSNPを意味し
ている。このような品種特異的SNPは、1つの品種に対してユニークであってよい。これとは別に、品種特異的SNPは複数の品種に存在してもよいが、その存在と1つ以上の他の品種特異的SNPとを組み合わせることで、動物の品種遺伝形質を決定するのに使用することが
できる。本発明の1つの実施態様においては、ある品種の実質的に全ての犬において存在
し、他の品種の実質的に全ての犬には存在しないSNPを使用する。SNPの品種特異性は一般に、特定の品種に代表的であるサンプル母集団にて評価する。このようなサンプル母集団は一般に、純血種の動物だけからなる。サンプル母集団は一般に、1品種当たり少なくと
も約4匹(たとえば、少なくとも約20匹、少なくとも約100匹、少なくとも約400匹、少なくとも約1000匹、または少なくとも約10,000匹)の動物を含む。
【0070】
イヌ科動物の場合、品種特異的SNPは一般に、品種のサンプル母集団の少なくとも約70%にて、少なくとも約80%にて、または少なくとも約90%にて存在し、少なくとも約95%にて
存在するのが好ましく、少なくとも約99%にて存在するのがさらに好ましい。品種特異的SNPは一般に、他の品種のサンプル母集団の実質的に全ての犬において存在しない。たとえば、品種特異的SNPは、他の品種のサンプル母集団の約30%以下にて、約20%以下にて、ま
たは約10%以下にて存在してよく、約5%以下にて存在するのが好ましく、約1%以下にて存
在するのがさらに好ましい。種々の実施態様においては、SNPは、ある品種のサンプル母
集団の少なくとも約95%にて存在し、他の全ての品種の犬のサンプル母集団の約5%以下に
て存在する。幾つかの実施態様においては、品種特異的SNPは品種に対してユニークであ
る。すなわち、当該品種に代表的なサンプル母集団の100%にて存在し、他の全ての品種に代表的なサンプル母集団には全く存在しない。
【0071】
本発明のさらなる実施態様においては、品種特異的SNPを使用して、品種パネルにおけ
るある品種をパネルにおける他の品種から識別することができる。このような実施態様においては、SNPは、パネル中の品種の1つに対して特異的である。他の実施態様においては、1つより多い品種においてSNPを見出すことができる。品種クラスター内の2つ以上の品
種に対して特異的であるSNPを使用して、品種クラスター中のそれら特定の品種を他の品
種から識別することができる。
【0072】
幾つかの実施態様においては、動物の品種は、単一のSNPによってではなく、動物のゲ
ノム中に存在するSNPの組み合わせによって規定される。したがって、このような実施態
様においては、ある動物の品種遺伝形質を、2つ以上のSNP位置において存在するヌクレオチドの組み合わせから識別することができる。したがって、これらの位置において見られるヌクレオチドの組み合わせに基づいた規則もしくは一組の規則によって、各品種を規定することができる。幾つかのケースでは、品種を規定するために、複数のSNP位置のそれ
ぞれにおけるヌクレオチドを特定する1つ以上の規則を設ける必要がある場合がある。イ
ヌ科動物の場合には、イヌ科動物の品種遺伝形質を識別するために、一般には少なくとも2つの異なったSNP位置をタイプする。タイピングは一般に、任意のSNP位置に存在するヌ
クレオチドを決定することを含む。
【0073】
本明細書における“品種遺伝形質”という用語は、動物の品種血統(breed ancestry)、すなわち動物のゲノムの一因になっている1つ以上の品種を表わすのに使用されている。
したがって純血種の犬の場合、一般には品種遺伝形質が犬の品種に相当する。したがって1つの実施態様においては、犬のゲノムにおける1つ以上のSNP位置のそれぞれにおいて存
在するヌクレオチドを使用して、犬の品種遺伝形質を決定することができる。異種交配動物もしくは異系交配動物の場合、“品種遺伝形質”という用語は、動物の血統において示されている複数の品種に関係することがある。“品種遺伝形質”を使用して、異系交配動物の血統における各品種の比率もしくは相対的寄与率を示すことができる。
【0074】
幾つかの実施態様においては、品種遺伝形質に関して試験される犬は、異種交配犬であっても、あるいは異系交配犬であってもよい。異種交配犬は、異なった品種の2匹の純血種犬の子である。異系交配犬(雑種の混血種犬すなわち雑種犬としても知られている)は、血統が不明であるか、あるいは2世代以上にわたる3つ以上の品種の組み合わせの結果である。異系交配動物の品種遺伝形質に寄与する品種は、1つの品種クラスター内からであっ
ても、あるいは異なった品種クラスターからであってもよい。
【0075】
幾つかの実施態様においては、異種交配犬または異系交配犬に対し、犬において示されている1つ以上の品種を識別すべく、その品種遺伝形質を、組織サンプルもしくは体液サ
ンプルから得られる遺伝物質に基づいて分析することができる。次いで必要に応じて、犬の血統に対する各品種の寄与率に関して測定を行うことができる。犬の祖先の実質的に全てが、単一のクラスターにおける品種から由来している場合は、その犬を当該クラスターに割り当てることができる。しかしながら、犬の祖先品種(ancestral breed)が2つ以上のクラスター中に入る場合は、犬をクラスターに割り当てるのに、さらなる分析が必要とされることがある。幾つかの実施態様においては、異種交配犬または異系交配犬が属する品種クラスターを、統計的分析法を使用して決定することができる。全体的なイヌ科動物母集団中に豊富に示されている特定の異種交配犬を、品種クラスターの特定のメンバーとして加えることができる。1つの実施態様においては、SNPを、品種クラスターを決定するためのベースとして使用することができる。他の実施態様においては、連鎖不均衡を、品種クラスターを決定するためのベースとして使用することができる(たとえば、「Sutter et
al.,Genomic Research 14:2388-2396(2004)」に記載のように)。
【0076】
品種特異的SNPの配列は、たとえばコンピュータ・データベース中に電子フォーマット
にて保存することができる。したがって本発明は、品種特異的SNPに関係するゲノム情報
を含んだデータベースを提供する。データベースはさらに、SNPについての情報(たとえば、SNPと品種との関連のレベルや、品種中のSNPの頻度)を含んでよい。種々の実施態様に
おいては、データベースはさらに、品種特異的SNPのそれぞれを特定の品種クラスターに
割り当てる。本明細書に記載のデータベースは、動物を品種クラスターに割り当てるのに使用することができる。このような決定は、電子的な手段によって(たとえば、コンピュ
ータ・システムを使用することによって)行うことができる。一般には、決定は、動物か
らの遺伝子データをコンピュータ・システムに入力すること;遺伝子データと、品種特異
的SNPに関する情報を含んだデータベースとを比較すること;および、1つ以上の品種特異
的SNP位置のそれぞれに存在するヌクレオチドに基づいて、動物の品種遺伝形質を識別し
、動物を品種クラスターに割り当てること;によって行う。犬の場合、この方法は、当該
犬において存在する品種特異的SNPに関するデータをコンピュータ・システムに入力する
こと;これらのデータと、異なった品種および/または品種クラスターにおける品種特異的SNPに関する情報を含んだデータベースとを比較すること;および、この比較に基づいて、犬を品種クラスターに割り当てること;を含む。
【0077】
動物用フードを製造するための本発明の方法は、動物が属する品種クラスターを識別すること、および前述したように、当該品種クラスターに特徴的な、健康を保持するための一組の栄養必要量を確立すること、を含む。この方法は、栄養必要量に少なくともある程度は適合した栄養処方を選択すること、およびBDCをもたらす成分を、栄養処方によって
指示される量と割合にて配合してフードを得ること、を含む。
【0078】
栄養処方は、タンパク質、炭水化物、脂質と繊維、ならびに、動物が属する品種クラスターと関連して健康を保持するための特定の栄養必要量を満足させるのに必要とされるBDC、などの基本的栄養素を含んだ、実質的に完全なフード配合物の形態をとることができ
る。これとは別に、栄養処方は、ベースフードに加えたときに健康を保持するための栄養必要量に適合する量と割合にてBDCを供給するサプリメント配合物の形態をとることがで
きる。
【0079】
化学物質であるBDCの例としては、アミノ酸;単糖質;複合糖質;中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT);トリアシルグリセリド(TAG);α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)
、およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含めたn-3(ω-3)脂肪酸;リノール酸、γ-リノレン酸
(GLA)、およびアラキドン酸を含めたn-6(ω-6)脂肪酸;レシチン等のコリン供給源;ビタミンAとその前駆体(たとえば、β-カロテン等のカロチノイド)を含めた脂溶性ビタミン、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)やビタミンD3(コレカルシフェロール)等のビタミンD
供給源、トコフェロール類(たとえばα-トコフェロール)やトコトリエノール類等のビタ
ミンE供給源、およびビタミンK1(フィロキノン)やビタミンK2(メナジオン)等のビタミンK供給源;リボフラビン、ナイアシン(ニコチンアミドとニコチン酸を含む)、ピリドキシン
、パントテン酸、葉酸、ビオチン、およびコバラミン等のビタミンB、ならびにビタミンC(アスコルビン酸)を含めた水溶性ビタミン;上記したビタミンの幾つか(特に、ビタミンE
とビタミンC)を含んだ酸化防止剤;カテキン、ケルセチン、およびテアフラビン等のバイ
オフラボノイド;ユビキノン等のキノン類;リコピンやリコキサンチン等のカロテノイド;
レスベラトロール;α-リポ酸;L-カルニチン;D-リモネン;グルコサミン;S-アデノシルメチオニン;ならびにキトサン;などがあるが、これらに限定されない。
【0080】
BDCの上記リスト中へのアミノ酸の組み込みに関して、ほとんど全てのフードがタンパ
ク質(一般には、全ての必須アミノ酸を供給する)を含有する、という点に留意しなければならない。しかしながら、フード中のタンパク質含量は、必ずしも、必須アミノ酸を、特定の動物に対する健康に最適な比率にて供給するような量である必要はなく、したがって、1種以上のアミノ酸を補給すること、あるいはこのようなアミノ酸を多量に含有するタ
ンパク質供給源を補給することが望ましい場合がある。
【0081】
フードのBDCであって、フードの炭水化物フラクションの成分であってもなくてもよい
単糖質や複合糖質の場合、およびフードのBDCであって、フードの脂質フラクションであ
ってもなくてもよい、n-3脂肪酸とn-6脂肪酸を含めた特定の脂肪酸の場合も同様の考え方が適用できる。
【0082】
BDCとして有用となりうる植物性薬品(botanicals)の例としては、バルバドスアロエ、
ドンクアイ、エキナセア、オオマツヨイグサ、亜麻の種、ニンニク、ショウガ、イチョウ、朝鮮人参、緑茶、大豆、ウコン、カモジグサ、およびイエルバ・マテなどがあるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の方法によって製造されるフードは、栄養学的に実質的に完璧であるし、あるいはベースフードと併用もしくは混合して与えるべく造られたサプリメントを構成することもできる。製造されるフードがサプリメントである場合、本発明の方法はさらに、該サプリメントとベースフードとを配合してから包装することを含む。これとは別に、サプリメントは、動物に与える時点でベースフードに添加するよう、動物の飼い主に供給してもよい。
【0084】
BDCを供給する成分はアルゴリズムによって選択することができる。栄養処方に基づい
てフード組成物を配合するためのアルゴリズムは、当業界においてよく知られている。このようなアルゴリズムは、種々の成分の分析結果を有するデータセットにアクセスし、所望の栄養処方を有するフード組成物中の、こうした成分の量を算出するよう設定されたデータを利用する。
【0085】
アルゴリズムが利用するデータセットは、必要に応じて、種々の成分に対するコストデータをさらに含み、アルゴリズムは、コストを含むようにしたルーチンを、成分を選択する上での基準として組み込む。これにより、所望する栄養処方の供給と整合した最も低いコストにて有利な総コストでフードを製造することが可能となる。必要であれば、他の基準を組み込むことができる。たとえば、成分が“有機(organic)”であるか、そうでない
かを識別することができ、したがって、“有機”フード物品が要求される場合は、“有機”成分だけが選択される。“有機”成分の例としては、米国食品医薬品局(FDA)によって
規定されている要件(7CFR Sec.205.101,Secs.205.202-207,Secs.205.236-239,Sec.205.101,およびSecs.205.270-272に記載)および7CFRパート205の他の全ての適用可能な要件にしたがって製造および取り扱われる全ての農産物がある。
【0086】
1つの実施態様においては、フード組成物は、本発明の実施によって得られる栄養処方
に最も良く適合または整合するよう、ある範囲のあらかじめ存在するオプション(たとえ
ば、現行のフード製品ライン)から選択することができる。たとえば、算出されたフード
組成物または栄養処方と、市販製品のフード組成物または栄養処方とを比較し、当該組成物または配合物に最もよく整合する製品を選択するアルゴリズムを使用することができる。
【0087】
他の実施態様においては、上記のアルゴリズムから導き出される組成物にしたがってフードが製造される。このような製造はオフラインであってよい。すなわち、コンピュータ援用システムによって制御されなくてもよいし、ある程度または全面的にコンピュータ援用システムの制御下にあってもよいし、および/または、栄養処方を生成し、そして上記
のようなフード用の組成物を算出するコンピュータ援用システムの拡張によって駆動されてもよい。
【0088】
このようにして製造される製品は、完全なフードであっても、あるいはベースフードに加えるか又はベースフードと混合すべく造られたサプリメントであってもよい。製品は、液体であっても、半固体であっても、あるいは固体であってもよく、固体の場合は、モイストフード(たとえば、レトルト式のモイストペットフード)であっても、セミモイストフードであっても、あるいはドライフード(たとえばキブル)であってもよい。サプリメントは、たとえば、ベースフードに添えるためのグレイビーとして、あるいはベースキブル用のコーティングとして使用すべく設計することができる。
【0089】
規定された組成物を有するフード製品を製造するための適切なコンピュータ制御装置が当業界において知られている。たとえば、米国特許第6,493,641号に実質的に記載の装置
を使用することができる。
【0090】
フードは、本発明の方法にしたがっていったん製造されると、必要に応じて適切な容器中に包装される。たとえば、モイストフードは、缶、広口瓶、または密閉式の小袋中に包装することができ、ドライフードは、袋、箱、またはバッグ・イン・ボックス中に包装することができる。この工程は、必要であれば、コンピュータ援用システムの制御下で行うこともできる。
【0091】
本明細書において意図されているコンピュータ援用システムはさらに、政府規制や商習慣によって必要とされる任意の又は全ての情報を有する、フード製品用のラベルや添付文書を印刷するのに利用することができる。たとえば、ラベルや添付文書は、成分および/
または保証付き分析結果のリストを含んでよい。
【0092】
包装やラベリングを含めたフードの製造は、従来の製造場所(たとえば工場)において行うことができる。これとは別に、フードの製造がエンドユーザーにとってより近くで〔たとえば、卸業者や小売業者の施設内での販売場所(ペットフード店など)において〕行われるよう調整するのも好都合である。1つの実施態様においては、フード組成物が販売場所
にて調製され、そしてたとえば、電話あるいはインターネットによりアクセスされるウェブサイトを介して、エンドユーザーによって指示される注文にしたがってエンドユーザーに配送される。
【0093】
1つの実施態様においては、獣医師または食事療法士からの、栄養処方を記載している
処方を受け取り次第、小売業者または配合業者がフード組成物を製造することができる。処方は、フードの少なくとも一部の支払いに対して有効化されたクーポン、あるいはフードの購入時に割引もしくは割戻しの権利をクーポンの持参者に与えること、を必要に応じて含む。
【0094】
本発明はさらに、品種クラスターによって規定される特定の遺伝子型の動物のためのフード組成物を提供する。本発明のフード組成物は、イヌ科動物の場合には、クラスターI
、II、III、およびIVのイヌ科動物用のフードを含む。幾つかの実施態様においては、フ
ード組成物は、2つ以上のAKC品種グループからの品種を含んだ品種クラスターのイヌ科動物用フード組成物である。
【0095】
クラスターIのイヌ科動物の場合、栄養学的に実質的に完璧な規定食として適している
フードはたとえば、乾燥物質の重量を基準として、約28%のタンパク質、約18%の脂肪、約51%の炭水化物(繊維を含む)、約0.2%のEPA、約1.5%のメチオニン、および約100ppmのマンガンを含み、ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸との重量比が約6:1である栄養処方を有する。この
ようなフードの1つの例を表16に示す。
【表16】

【0096】
クラスターIIのイヌ科動物の場合、栄養学的に実質的に完璧な規定食として適しているフードはたとえば、乾燥物質の重量を基準として、約28.5%のタンパク質、約16.5%の脂肪、約53%の炭水化物(繊維を含む)、約0.2%未満のEPA、約1.5%のメチオニン、約100ppmのマンガン、および約300ppmのカルニチンを含んだ栄養処方を有する。このようなフードの1
つの例を表17に示す。
【表17】

【0097】
クラスターIIIのイヌ科動物の場合、栄養学的に実質的に完璧な規定食として適してい
るフードはたとえば、乾燥物質の重量を基準として、約30%のタンパク質、約26%の脂肪、約40%の炭水化物(繊維を含む)、約0.14%のDHA、約4.8%のリノール酸、および約300ppmの
カルニチンを含んだ栄養処方を有する。このようなフードの1つの例を表18に示す。
【表18】

【0098】
クラスターIVのイヌ科動物の場合、栄養学的に実質的に完璧な規定食として適しているフードはたとえば、乾燥物質の重量を基準として、約28.5%のタンパク質、約16.5%の脂肪、約53%の炭水化物(繊維を含む)、約0.14%のDHA、約4.8%のリノール酸、約0.875%のメチ
オニン、約300ppmのカルニチン、および約100ppmのマンガンを含んだ栄養処方を有する。
このようなフードの1つの例を表19に示す。
【表19】

【0099】
年齢は、ヒトや動物の栄養物摂取および健康における1つのファクターである。幾つか
の実施態様においては、クラスターを動物の年齢に基づいて分け(年齢グループ)、それぞれの年齢グループに対して、疾患の有病率、疾病の発生、または疾病性向の決定を行うことができる。動物の“暦年齢”は、誕生してから経過した実際の時間(たとえば、年数も
しくは月数)である。動物の“生理学的年齢”は、該動物と同様の、年齢に関連した生理
学的状態(運動性、知力、および歯の損耗など)を示す類似品種の動物の平均暦年齢の概算である。
【0100】
フードを配合することが本発明の唯一の機能ではない。種々の実施態様においては、品種クラスターと各クラスターに対する表現型の情報を、動物用の医薬組成物を設計する際に;動物の健康プログラムを設計する際に;推奨すべきサプリメントの種類と量だけでなく、サプリメントが動物の規定食中に必要であるかどうかを決定するためのプログラムにおいて;動物のための治療計画(たとえば、クラスターにおいて流行している慢性症状の発現を防ぐための運動プログラムを含んだ計画)を設計する際に;あるいは、疾患もしくは遺伝的障害を治療および/または予防する上で重要なBDCを含んだフードを配合するために使用することができる。
【0101】
疾患もしくは遺伝的障害を治療および/または予防するためのBDCを含有するフードの配合は、幾つかの実施態様においては処方にしたがって実施することができる。
【0102】
種々の実施態様においては、フードは、動物の遺伝的素質の発揮を最適化するように配合される。
【0103】
本発明の種々の実施態様は、遺伝子型を軸の1つとして含んだ栄養処方マトリックスの
作成を含む。遺伝子型軸に垂直な軸は、年齢もしくは年齢グループであってもよいし、あるいは他の実施態様においては、疾患の有病率もしくは身体的特性であってもよい。当業
者には言うまでもないことであるが、垂直軸は、異なった表現型、年齢、疾患、成分要件(たとえば、有機、低刺激性、ビタミン高含量、およびコストポイントなど)、および他の特性などの無限集合(an infinite set)のいずれか1つ以上を表わしてよい。
【0104】
ある動物種のための処方マトリックスを構築する方法の1つの例を図1に示す。品種をゲノムベースの品種クラスターに分類するのにクラスタリングアルゴリズムを使用する。次いでクラスターを、栄養必要量によって、ならびに疾患性向とそれによる疾患の予防および/または治療のための必要量によって特徴づける。この例の方法においては、動物種の
年齢グループをさらに、栄養必要量、ならびに疾患の予防および/または治療のための必
要量によって特徴づける。品種クラスターと年齢によって影響される栄養必要量ならびに疾患を予防および/または治療するための必要量により、このような栄養必要量ならびに
疾患を予防および/または治療するための必要量を満足させるBDCを得るためにフード処方中に組み込むべき成分が決まる。成分を選択する上での任意の追加基準がコストである。このようにして、品種クラスターを第1のディメンジョンとして、そして年齢を第2のディメンジョンとして有するフード処方のマトリックスが作成される。図1は、フード処方に
よって占有される各セルを示している。しかしながら、マトリックスの全てのセルが占有されなければならないというわけではないこと、また所定のセルが1つより多いフード処
方を有してよいことは言うまでもない。幾つかの実施態様においては、任意のセルを占有するフード処方は、配合業者または飼い主によってベースフードに加えることができるサプリメント用の処方であってよい。マトリックスを作成するのに使用される情報(クラス
ター、年齢グループ、疾患性向、予防と治療、栄養必要量、BDC、および成分などを含め
た情報)を1つ以上のデータベース中に保存することができ、アルゴリズムにより、処方マトリックスを作成する際に、こうしたデータベースから情報を引き出すことができる。
【0105】
関連した実施態様においては、承認された品種をもたない動物種のためのフード組成物のマトリックスを構築する方法が提供される。この方法は、動物種内の複数の遺伝子型を識別すること、ゲノム分析に基づいて、遺伝子型をクラスターに分類すること、健康のための栄養必要量と各クラスターとを関連づけること、各クラスターに対するこれらの栄養必要量を満足させるフード成分のブレンドを選択して、フード組成物のマトリックスを構築すること、を含む。他の実施態様の場合と同様に、マトリックス中のフード組成物は、必要に応じて、配合業者または飼い主によってベースフードに加えることができるサプリメント組成物であってもよい。
【0106】
1つの実施態様においては、フード組成物の数がクラスターの数に対応する。たとえば
、イヌ科動物の品種が4つの品種クラスター(たとえば、クラスターI、II、III、およびIV)に分類される場合、これらクラスターのそれぞれに対して1つのフードが存在してよい。
【0107】
他の実施態様においては、マトリックスが少なくとも2つのディメンジョンを有し、そ
のうちの1つが品種クラスターに対応する。第2のディメンジョンが動物の年齢に対応してよく、したがってこの方法はさらに、動物種内の年齢グループを規定することを含む。それぞれのクラスター内の各年齢グループの栄養必要量に適合したフード組成物を含んだ二次元のフードマトリックスを生成させることができる。
【0108】
さらに他の実施態様においては、マトリックスは2つより多いディメンジョンを有する
。たとえば、第1のディメンジョンが品種クラスターに、第2のディメンジョンが年齢もしくは年齢グループに、そして第3のディメンジョンが特定の健全状態もしくは健康状態(たとえば身体状態)に対応してよい。
【0109】
他の実施態様の場合と同様に、コストを含めた基準に基づいてフード成分を選択することができ、これによりフード組成物のマトリックスを有利な総コストにて構築することが
できる。
【0110】
本発明の方法によって製造されるフード組成物は、それ自体が本発明のさらなる実施態様である。
【0111】
1つの実施態様においては、所定の動物種のためのペットフード処方を作成する方法は
、該動物種の遺伝子型をクラスターにグループ分けすること;複数の年齢グループを規定
すること;クラスターに対応する第1のディメンジョンと、年齢グループに対応する第2の
ディメンジョンとを有するマトリックスを規定すること;およびマトリックスをスパンす
るフード処方を作成すること;を含む。
【0112】
他の実施態様においては、所定の動物種のためのペットフード処方を作成する方法は、該動物種の遺伝子型をクラスターにグループ分けすること;およびクラスターのそれぞれ
に対する1つ以上のフード処方を作成すること;を含む。
【0113】
さらに他の実施態様においては、所定の動物種のためのペットフード処方のマトリックスを作成する方法は、動物種の複数の遺伝子型を識別すること;複数の遺伝子型と複数の
フード処方要件とを関連づけること;それぞれが少なくとも1つの関連した成分特性を有する複数のフード成分を識別すること;処方要件と成分特性との間の関係を明確にすること;およびフード処方マトリックスが、各遺伝子型の栄養必要量に適合した成分の処方を含むよう、明確にされた関係を使用して複数の遺伝子型に対するフード処方マトリックスを構築すること;を含む。
【0114】
本発明はさらに、消費者通信装置(consumer communication apparatus)を提供する。このような装置は、飼い主の動物(たとえばイヌ科動物)がどの遺伝子型のクラスターに属するかを飼い主が理解するのに役立つ。このような装置は、マーケティング業界においてよく知られている種々の販売促進用ディスプレイのいずれか1つ以上を含んでよい。種々の
実施態様においては、消費者通信装置は、販売場所または他の場所において飼い主が、たとえば品種や年齢を含めた情報を、たとえばタッチスクリーンで入力できるコンピュータ・キオスク(a computer kiosk)を含み、そして特定の実施態様においては、他の情報を入力する必要がある。入力情報に基づいて、コンピュータが適切なフード処方を識別し、1
つだけの処方が適切である場合は、該動物に対する適正なフード処方が識別される。種々の実施態様においては、コンピュータ・キオスクが、よくある質問を回答と共に提供する。他の実施態様においては、コンピュータ・キオスクが、フード処方の開発に伴うサイエンスに基づいた個別指導もしくは手引書を提供する。種々の実施態様においては、新製品および/または新技術を市場に出すのにコンピュータ・キオスクを利用することができる
。他の実施態様においては、消費者からの調査情報を収集するのにコンピュータ・キオスクを利用することができる。
【0115】
幾つかの実施態様においては、キオスクは、インターネットでホームページまたはホームページ群を掲載する。他の実施態様においては、飼い主が情報を入力し、および/また
は、コンピュータによりホームペードを介して情報を受け取る。このような実施態様においては、コンピュータ上のホームページが、上記キオスクと類似の仕方で1つ以上の機能
を果たしてよい。さらに他の実施態様においては、飼い主が記入済みフォーマットの質問表に応え、次いでその質問表の回答内容を、特定の動物のための最も適切なフード処方を決定するシステムに入力する。さらに他の実施態様においては、飼い主が質問に口頭で応え、このような口頭による応答を医療専門家が電子的または文書形式にて記録し、このような応答を、特定の動物のための最も適切なフード処方を決定するシステムに入力する。幾つかの実施態様においては、口頭による応答をコンピュータによって電子的に記録し、このような応答を電子的に変換し、そしてシステムを介して配置して、特定の動物のため
の適切なフード処方を決定する。上記装置のいずれかを使用してよい種々の実施態様においては、飼い主は、自分の動物がどの品種に属しているのかがわからず、したがって該動物がどの品種クラスターに適合するのかを簡単には決定することができない。このような実施態様においては、上記装置および/または上記方法のいずれかを使用する質問表を使
用することができる。このような質問表においては、該動物に特徴的な表現型に関係した一連の質問に飼い主が応え、質問に対する応答を、該動物に対して最も良く適合する品種クラスターを決定するためのシステムに入力する。このような実施態様においては、こうした品種クラスターの決定を、動物のための最も適切なフード処方を決定するシステムに入力することができる。
【0116】
他の実施態様においては、販売促進用ディスプレイは、自動種部品店やデパートの自動車部品売り場において見られるものと類似であってよい。このような販売促進用ディスプレイは一般に、ヘッドライト、バッテリー、ブレーキライト、車内灯、ワイパー、および他の普通に購入される自動車メンテナンス用物品に対して使用されている。本発明の場合においては、販売促進用ディスプレイ物品が、動物に対する適切な処方を識別するのに役立つフリップチャートを含んでよい。他の実施態様においては、販売促進用ディスプレイが、動物の品種と年齢を尋ねる小型のマイクロプロセッサ(自動車部品売り場において普
通に見られる)を含んでよく、次いでマイクロプロセッサが、該動物に対する適切な処方
を出力する。他の実施態様においては、販売促進用ディスプレイが、遺伝子型クラスターに基づいた処方の科学的特徴の幾つかを含むチャートとディスプレイを含んでよい。種々の実施態様においては、フードが設計されているか又はフードが適切である特定の遺伝子型クラスターを示している説明図を、フード包装(たとえば袋)上に組み込むことができる。このような説明図は、適切なクラスターの識別が、袋または他の包装上で容易に見出せるように、チャート、コンピュータ、マイクロプロセッサ、および正方形もしくは円形のフリップチャートなどにおいて表示することができる。他の実施態様においては、識別用に種々のカラーを使用することができる。他の実施態様においては、異なった年齢グループに対して設計されているか又は適切であるフードを識別するのに、説明図またはカラーを使用することができる。種々の実施態様においては、フードが設計されているか又は適切である特定の遺伝子型クラスターに含まれる品種のリストが、袋または他の包装に付いている。種々の実施態様においては、体重に基づいて餌を与えるための説明書が、袋または他の包装に付いている。
【0117】
上記実施態様のいずれかにおいては、消費者通信装置が、フードに対する少なくとも一部の支払いに使用すべく有効化されているか、あるいはフードを購入すると、割引もしくは割戻しをクーポンの持参人に付与するクーポンを必要に応じて発行する。
【0118】
他の実施態様においては、本発明の方法は、栄養処方を示すコードを読み取り可能な媒体(たとえば、印刷されたバーコード、印刷された数字コード、カード、メモリー、ディ
スクもしくはチップ、および必要に応じて動物の体内に埋め込むべく造られたチップ等の、コンピュータで読み取り可能な媒体)にダウンロードすることをさらに含む。
【0119】
この実施態様によれば、飼い主が、販売促進ターミナルにおいて、特定の動物に対してあらかじめ選択されている栄養処方を示すコードを入力することができる(たとえば、カ
ードを機械に通すか、あるいはこのようなコードを含んでいるチップをスキャンすることによって)。コンピュータ援用ミキシング装置(たとえば、販売場所に設置されているミキシング・ベンディング装置)により、このようにコード化された栄養処方に基づいてフー
ド組成物が調製され、これが飼い主に配送される。カードやチップは必要に応じて、フードに対する自動支払いを可能にするコードをさらに含んでよい。
【0120】
動物に対する栄養処方を設計するためのコンピュータ援用システムは、本発明のさらな
る実施態様である。このシステムは、1つ以上のユーザーインターフェース可能なメディ
アに基づいて、(a)複数の品種クラスターをそれぞれの品種クラスターのゲノム関連属性
に関係付けるデータセット(ここでは第1のデータセットと呼ぶ);および(b)アルゴリズム(ここでは第1のアルゴリズムと呼ぶ);を含む。このアルゴリズムは、第1のデータセットを利用しつつ、(i)動物の1つ以上のゲノム関連属性に関する入力データを処理して、動物を割り当てることができる品種クラスターを規定することができ、そして(ii)品種クラスターの栄養必要量に適した栄養処方を設計することができる。
【0121】
第1のデータセットをポピュレートしていて、入力データを構成しているゲノム関連属
性は、品種、品種遺伝形質、および遺伝子マーカーのうちの1つ以上を含んでよい。動物
の品種が既知であって混血品種ではなく、そして第1のデータセットが各品種クラスター
に対する品種のリストを含んでいれば、第1のアルゴリズムにより、その品種から動物の
品種クラスターを容易に識別することができ、このとき他の情報は不要である。同様に、混血品種の動物の場合、品種遺伝形質が既知であれば、アルゴリズムにより、品種遺伝形質の入力データに基づいて最もよく適合する品種クラスターを導き出すことができる。これとは別に、あるいはこれに加えて、入力データは、品種クラスターを個別的もしくは集合的に示している1つ以上の遺伝子マーカーを含んでよい。このような遺伝子マーカー(たとえばSNP)は、動物から得られる体液サンプルもしくは組織サンプルを分析することによって得ることができる。
【0122】
1つの実施態様においては、システムは、(c)各品種クラスターに特徴的な表現型特性を記録している第2のデータセット;および(d)(i)固有の動物誌学的属性によって修飾される表現型特性に及ぼす、そして必要に応じて、(ii)個々の動物の固有の健康特性に及ぼす、BDC影響に関する第3のデータセット;をさらに含む。この実施態様によれば、第1のアルゴリズムはさらに、前記第2と第3のデータセットを利用しつつ、動物の1つ以上の動物誌学
的属性に関する、および必要に応じて動物の1つ以上の健康特性に関する入力データを処
理して栄養処方を導き出すことができる。この栄養処方は、品種クラスターの栄養必要量に対して適切であるだけでなく、動物誌学的属性(たとえば年齢)および必要に応じて固有の健康特性(たとえばそのときの疾患状態)を考慮に入れることによって、動物の健康をさらに促進する。
【0123】
このシステムは、必要に応じてユーザーインターフェースをさらに含む。第1、第2、および第3のデータセットは、1つのデータベース中に常駐していても、複数の別個のデータベース中に常駐していてもよい。第3のデータセットにおける修飾因子として作用する動
物誌学的属性は、上記した属性のいずれを含んでもよい。第1のアルゴリズムは、必要に
応じて、動物から得られる体液サンプルもしくは組織サンプルからの診断データを含んだ入力データを処理することができる。
【0124】
このシステムは、必要であれば、(e)フード成分中のBDCの含有量、および必要に応じてフード成分のコストに関する第4のデータセット;および(f)前記第4のデータセットからフード成分を選択して、第1のアルゴリズムによって導き出される栄養処方を有するフード
組成物を規定することができる第2のアルゴリズム;をさらに含んでよい。この第2のアル
ゴリズムは、必要に応じて成分のコストを考慮に入れて、有利な総コストを有するフード組成物を規定する。このシステムは、第2のアルゴリズムによって規定されるフード組成
物を製造できるコンピュータ制御のミキシングシステムをさらに含んでよい。
【0125】
本明細書に記載のコンピュータ援用システムは、定量のフード組成物を適切な容器中に配置することができるパッケージングシステム;および/または、フード組成物が製造された動物の品種クラスターと必要に応じて他の属性とを規定していて、フード組成物の栄養処方および/または成分に関する情報を提供している出力データ、を有するラベルインサ
ートやパッケージインサートを印刷することができるラベリングシステム;をさらに含ん
でよい。
【0126】
本発明のキットは、本明細書に記載の方法によって製造されるフード;フードサプリメ
ント;ならびに必要に応じて、フードサプリメントをベースフードに加えること、および
こうして得られる補給フードを動物に与えること、に関する情報および/または手順を伝
達する手段;を含む。この伝達手段は、たとえば、ラベルインサートやパッケージインサ
ートの形態をとることができる。これとは別に、あるいはこれに加えて、伝達手段は、パンフレット、広告、コンピュータで読み取り可能なデジタルメディアもしくは光メディア(たとえば、ディスクやCD)、録音テープやCDによるオーディオ・プレゼンテーション、ビデオテープやDVDによるビジュアル・プレゼンテーション、および/またはウェブサイト上の1つ以上のページ、を含んでよい。
【0127】
このような伝達手段は、それ自体が本発明のさらなる実施態様である。
【0128】
本明細書に記載の実施例と他の実施態様は代表的なものであり、本発明の装置、システム、組成物、材料、および方法の全範囲を説明する上で限定することは意図していない。同等の変形、改良形、特定の実施態様におけるバリエーション、装置、システム、組成物、物質、および方法が、本発明の範囲内において、実質的に同等の結果をもたらす形で可能である。このような変形、改良形、またはバリエーションを、本発明の要旨からの逸脱と見なすべきではない。
【0129】
本明細書に挙げた全ての特許、特許出願、および出版物を参照することで、本発明と共に使用することが可能な前記文書に記載のコンパウンドと方法を、説明・開示する目的に対して法律によって許容される程度に本明細書に含める。しかしながらここでは、従来発明によるこうした開示に先行する権利が本発明には与えられていない、ということを容認しているとして解釈すべきものは何もない。“含む(comprise)”、“含む(comprises)”
、および“含むこと(comprising)”という用語は、排他的にではなく包含的に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】動物種のためのフード組成物のマトリックスを構築することに対する、品種クラスター、動物年齢、および栄養必要量の関係を示しているフローチャートである。この図面は、本発明の特定の実施態様の一般的な特徴を示ように意図されており、任意の実施態様の特性を正確に表わしているわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;および
(b) 前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある
程度は適合した栄養処方を有する動物用フードを選択すること;
を含む、動物のための栄養を供給する方法。
【請求項2】
動物・品種クラスターがイヌ科の動物またはネコ科の動物である、請求項1に記載の方
法。
【請求項3】
栄養必要量が、大きさ、被毛のタイプ、訓練可能性、活動レベル、疾患の有病率、および疾病素因からなる群から選択される、品種クラスターに特有の1つ以上の表現型特性に
少なくともある程度は基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
品種クラスターが、ベイジアンモデルベースのクラスタリング、階層的クラスタリング、自己組織化マップ、k-平均クラスタリング、画像表示、ギャップ・スタティスティクス、1回に1つの実験を除外するクラスタリングデータセット、反復リロケーション、ガウス混合モデル、統計的モデル選択問題クラスタリング法、有限混合モデル、正規混合モデル、およびクラスタリング法とグラフ表示とを組み合わせた方法からなる群から選択される少なくとも1つの方法を使用して、複数の品種における対立遺伝子頻度を分析することに
よって規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
動物がイヌ科の動物であって、品種クラスターが、クラタターI、クラスターII、クラ
スターIII、およびクラスターIVからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
動物年齢、性別、大きさ、体重、被毛のタイプ、血統、出産歴、獣医病歴、食欲、環境に関連した属性、および明らかな遺伝性の異状と疾患からなる群から選択される、動物が有する1つ以上の固有の動物誌学的属性を識別することをさらに含み、選択される動物用
フードが、固有の動物誌学的属性を考慮するよう改良された栄養処方を有する、請求項1
に記載の方法。
【請求項7】
動物の品種クラスターと固有の動物誌学的属性が、動物のオーナーによってもたらされる入力データから識別される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
入力データが、コンピュータ、タッチスクリーンのビデオ端子、プッシュホン、および/または音声起動システムを含んだユーザーインターフェースを介してオーナーによって
入力される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
病状、寄生虫繁殖の状態、体毛と皮膚の状態、感覚の鋭敏さ、素質的属性と行動的属性、および認知機能からなる群から選択される、動物が有する1つ以上の固有の健康特性を
識別することをさらに含み、選択される動物用フードが、固有の健康特性を考慮するよう改良された栄養処方を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
動物の固有の健康特性が、動物のオーナーおよび/または獣医師によってもたらされる
入力データから識別される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
入力データが、動物から得られる体液サンプルもしくは組織サンプルからの診断データを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
選択される動物用フードが、動物における少なくとも1つの症状を予防、軽減、もしく
は解消することによって、素質的問題と行動的問題を軽減もしくは解消することによって、動物の子孫における健康面を増進させることによって、および/または動物の近くで生
活しているヒトに対する迷惑行為減少させることによって動物の健康を促進する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
動物用フードを調製するために、生物活性ダイエタリー成分を、栄養処方と整合性がとれた量と割合にてもたらす配合成分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
動物用フードが、ベースフードと併せて、もしくはベースフードと混合して供給すべく造られたサプリメントを構成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
動物用フードが、製造現場において、販売場所において、または配送現場において調製され、動物のオーナーに配達される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
動物用フードが小売店によって供給されるか、あるいは栄養処方を示す獣医師または栄養士からの処方を受け取り次第、配合機によって調製される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記処方が、動物用フードに対する少なくとも一部の支払いに使用すべく有効化されているか、あるいは動物用フードを購入すると、割引もしくは割戻しをクーポンの持参人に付与するクーポンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法によって調製される動物用フード。
【請求項19】
動物が、クラスターI、II、III、およびIVのいずれかのイヌ科動物である、請求項18に記載の動物用フード。
【請求項20】
(a) 動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;
(b) 前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある
程度は適合した栄養処方を選択すること;および
(c) 生物活性ダイエタリー成分を、栄養処方によって指示されている量と割合にて含
んだフードを動物に与えること;
を含む、動物の健康を促進するための方法。
【請求項21】
1つ以上のユーザーインターフェース可能なメディアに基づいて、
(a) 複数の品種クラスターをそれぞれの品種クラスターのゲノム関連属性に関係付け
る第1のデータセット;および
(b) 前記第1のデータセットを利用しつつ、(i)動物の1つ以上のゲノム関連属性に関する入力データを処理して、動物を割り当てることができる品種クラスターを規定することができ、そして(ii)品種クラスターの栄養必要量に適した栄養処方を設計することができる、第1のアルゴリズム;
を含んだコンピュータ援用システム。
【請求項22】
入力データが、品種クラスターを個別的もしくは集団的に示す1つ以上の遺伝子マーカ
ーを含み、前記1つ以上の遺伝子マーカーが、動物から得られる体液サンプルもしくは組
織サンプルの分析によって誘導される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
(c) 各品種クラスターに特徴的な表現型特性を記録している第2のデータセット;およ

(d) (i)固有の動物誌学的属性によって修飾される表現型特性に及ぼす、そして必要に応じて、(ii)個々の動物の固有の健康特性に及ぼす、生物活性ダイエタリー成分の影響に
関する第3のデータセット;
をさらに含み、このとき第1のアルゴリズムがさらに、前記第2と第3のデータセットを利
用しつつ、動物の1つ以上の動物誌学的属性、および必要に応じて動物の1つ以上の健康特性に関する入力データを処理して、品種クラスターの栄養必要量に適した栄養処方を導き出すことができ、そして動物の健康を促進することができる、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
第3のデータセットにおける変更子として作用する動物誌学的属性が、動物年齢、性別
、大きさ、体重、被毛のタイプ、血統、出産歴、獣医病歴、食欲、環境に関連した属性、および明らかな遺伝性の異状と疾患からなる群から選択される1つ以上の属性を含む、請
求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第1のアルゴリズムが、動物から得られる体液サンプルもしくは組織サンプルからの健
康診断データを含む入力データを処理できる、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
(e) フード成分中の生物活性ダイエタリー成分の含有量、および必要に応じてフード
成分のコストに関する第4のデータセット;および
(f) 前記第4のデータセットからフード成分を選択して、第1のアルゴリズムによって
導き出される栄養処方を有するフード組成物を規定することができる第2のアルゴリズム;をさらに含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
第2のアルゴリズムが、有利な総原価を有するフード組成物を規定するよう、成分のコ
ストを考慮に入れる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
(i)第2のアルゴリズムによって規定されるフード組成物を製造することができる、コンピュータ制御のミキシングシステム;必要に応じて(ii)定量のフード組成物を適切な容器
中に配置することができるパッケージングシステム;および(iii)フード組成物が製造された動物の品種クラスターと必要に応じて他の属性とを規定していて、フード組成物の栄養処方および/または成分に関する情報を提供している出力データ、を有するラベルインサ
ートもしくはパッケージインサートを印刷することができるラベリングシステム;をさら
に含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
(a) 動物が属する、ゲノムベースの品種クラスターを識別すること;
(b) 前記品種クラスターの動物を健康に維持するための栄養必要量に少なくともある
程度は適合した栄養処方を選択すること;および
(c) 栄養処方に基づいて動物用のダイエットを処方すること;
を含む、動物用の健康ダイエットを処方するための方法。
【請求項30】
(a) 動物種内の複数の遺伝子型を識別すること;
(b) ゲノム解析に基づいて遺伝子型をクラスターに分類すること;
(c) 各クラスターと健康のための栄養必要量とを関連づけること;および
(d) 各クラスターに対する栄養必要量を満足させるフード成分のブレンドを選択して
、フード組成物のマトリックスを構築すること;
を含む、動物種用のフード組成物のマトリックスを構築するための方法。
【請求項31】
動物種内の年齢グループを規定することをさらに含み、このときマトリックスが複数のディメンジョンを有していて、そのうちの1つが年齢グループに対応している、請求項30
に記載の方法。
【請求項32】
請求項13に記載の方法によって製造されるフードとフードサプリメントとを含むキット

【請求項33】
フードサプリメントをフードに加えること、およびこうして得られる補助フードを動物に与えること、に関する情報および/または手順を伝達する手段をさらに含む、請求項32
に記載のキット。
【請求項34】
請求項13に記載の方法によって製造されたフードとフードサプリメントの混合および投与に関する情報もしくは手順を伝達するための、前記情報もしくは前記手順を組み込んだ文書、デジタルストレージメディア、光ストレージメディア、オーディオプレゼンテーション、または画像表示を含む手段。
【請求項35】
表示ウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、パッケージインサート、広告、および画像表示からなる群から選択される、請求項34に記載の手段。

【図1】
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【公開番号】特開2013−78321(P2013−78321A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249282(P2012−249282)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2007−530202(P2007−530202)の分割
【原出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】