説明

ゲル状給水材

【目的】 人手を要することなく植物などに給水を行えるゲル状給水材の開示
【構成】 →3)−β−D−グルコピラノース−(1→4)−β−D−グルクロン酸−(1→4)−β−D−グルコピラノース−(1→4)−α−L−ラムノピラノース−(1→の繰り返し単位からなる多糖類を,0.05質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度で水に溶解させると共に,さらにこの水に対してゲル化促進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度で溶解させてゲル化させたことを特徴とするゲル状給水材。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,散水装置や貯水槽を用いないで鉢植え植物などに給水を行うゲル状給水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在市販されている液体肥料入りのプラスチックボトルには瓶の口を開けて鉢植えの土に差し込み,肥料を徐々に放出するものがあるが,水の補給を目的としたものではない。また,定量の潅水を行う装置には,定量ポンプとパイプ並びにバルブを備えたものや底部に貯水槽を備えたプランター等が市販されている。
【0003】植物に散水する装置としてはスプリンクラーやシャワー等が知られているが,室内に配置された多数の鉢植えに散水する場合には,フロアや床等の濡れを少なくするために,じょうろや噴霧器などが用いられる。なお,底部に貯水層を設けたプランター等も市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来の液体肥料入りのプラスチックボトルの場合には,内容物の液体が水ではないので給水ができないが,給水に用いたとしても,容量も少ないので不十分である。また,定量の潅水を行う装置の場合,一つ一つの鉢植えにシャワーや散水ノズルをセットしたり,これらシャワーや散水ノズルをパイプを介して定量ポンプに接続することは非常に手間がかかる。スプリンクラー等は室内や車内・船内等では使用が難しいし,設備も大がかりであり,家庭内や小さな建物には不向きである。さらに,じょうろや噴霧器などによる散水は,手作業で行える点で手軽であるが,作業者が必要であるので,留守や連休などでの給水ができないという不具合もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は,このような課題に着目してなされたものであり,鉢植え等の給水対象などに放置しておくだけの手軽さであり,数日から1週間程度の間給水を行う手間がかからず,安価で,後処理の不要なゲル状給水材を提供することを目的とする。
【0006】上記目的を達成するために,本発明は,給水材そのものをゲル状に形成することに着眼点があり,このゲル状の給水材の保水性と離水性とのバランスをとって数日から1週間程度の給水能力を得るために,溶質並びに濃度の選択にも研究を行ったものである。
【0007】ゲルの材料として種々の材料を検討した結果,分子の格子間に水分子を水和させて保持できる多糖類を得ることができた。
【0008】この多糖類は,→3)−β−D−グルコピラノース(Glcp)−(1→4)−β−D−グルクロン酸(GlcpA)−(1→4)−β−D−グルコピラノース(Glcp)−(1→4)−α−L−ラムノピラノース(Rhap)−(1→の繰り返し単位を重合した多糖類であり,ジェランガムといわれる多糖類である。
【0009】溶媒である水に対して,このジェランガムを0.05質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度で溶解させ,さらに前記水に対してゲル化促進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度で溶解させ,ゲル化させると,ゲル強度が50〜7000×103dyn/cm2となる。
【0010】このようなジェランガムゲルによれば,重合した分子間に水分子が水和して取り込まれて保水性を維持するが,重力によって徐々に格子間から水分子が流出する。ジェランガム水溶液のジェランガム濃度が低いと,ゲル格子が粗くなって水分子の入り込む隙間が大きくなるため,同時に水和した水分子の流出量も増大するが,崩れ易くなり,水を保持する保水性が減少する。ジェランガム水溶液におけるジェランガムの濃度が高いと,ゲル強度が増大して崩れ難くなるが,水分子の入り込む隙間が小さくなって単位時間・単位質量当たりの離水量が減少する。
【0011】特に,ジェランガム水溶液の濃度を0.1質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度の範囲内に設定すると,保水性と離水性のバランスがよくなり,崩れ難くしかも長時間の離水性が維持される。
【0012】また,ジェランガム水溶液に植物活性剤,土壌改良剤,ゲル強度調整剤等のいずれかを単一にまたは混合して添加すると,添加した物質にともなう効果を得ることができる。
【0013】このように,ジェランガム水溶液の濃度を調整してジェランガムゲルを形成すると,例えば,鉢植え植物などに給水を行う場合,鉢植え植物の土の上にジェランガムゲルを載せておくだけで,ジェランガムゲルから水が徐々に土中に給水されるため,所定期間鉢植え植物へ給水でき,人手を要しない。水が土中に吸収される時間はジェランガム濃度の選択により決定されるため,各種の給水能力時間を有する複数種のジェランガムゲルを土壌上に置くことにより,長期間の給水も可能となる。
【0014】また,給水時間の調整方法として,ジェランガムゲルを入れる容器の底部や周壁下部に一定面積の開口部を設けることが有効である。また,鉢の用土の吸水性が良くない場合や,短時間に多量の水を与えたい場合には,ジェランガムゲルと土の間に不織布を置き,その毛細管現象を利用して水分の放出を加速することもできる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例にかかるゲル状給水材を図面に基づいて説明する。
【0016】本発明の実施例にかかるゲル状給水材は,例えば鉢植え植物やプランターに植えられた植物に給水するものであるが,大きさや硬さ等を調整することにより,鉢植えの植物に限らず,温室やビニールハウス等の植物或いは干ばつ時の露地植えの植物への給水,そのほか鳥或いはペット等の小動物等への給水材としても使用できるものである。
【0017】このゲル状給水材は,重合分子の格子間に水分子を取り込んでゲル化した後に,徐々に水分子が格子間から流出するジェランガムゲルの性質を利用するものであって,ジェランガム水溶液におけるジェランガム濃度が低いと,水分子の入り込む隙間が大きくなるため,同時に水和した水分子の流出量も増大するが,ゲル格子が粗くなって崩れ易くなり,水を保持する保水性が減少する。ジェランガム水溶液におけるジェランガムの濃度が高いと,水分子の入り込む隙間が小さくなって単位時間・単位質量当たりの離水量が減少するが,ゲル強度が増大して崩れ難くなる。
【0018】本発明のゲル状給水材を調製するための多糖類は,図1の構造式に示すように,→3)−β−D−グルコピラノース(Glcp)−(1→4)−β−D−グルクロン酸(GlcpA)−(1→4)−β−D−グルコピラノース(Glcp)−(1→4)−α−L−ラムノピラノース(Rhap)−(1→からなる繰り返し単位を重合した多糖類であって,一般的にはジェランガムといわれる多糖類である。
【0019】このジェランガムゲルは,溶媒である水に対してジェランガムを0.05質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度で溶解させ,さらに溶媒である水に対してゲル化促進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度で溶解させてゲル化させたものであり,ゲル強度は50〜7000×103dyn/cm2である。特に,ジェランガム水溶液におけるジェランガムの濃度を0.1質量パーセント濃度〜0.5質量パーセント濃度に設定すると,保水性と離水性のバランスがよくなり,崩れ難くしかも長時間の離水性が維持される。
【0020】このジェランガムゲルのゲル強度は50×103dyn/cm2〜7000×103dyn/cm2であるが,ジェランガムゲルのゲル強度が50×103dyn/cm2以下であると,形状を維持する能力が弱いために,十分な保水性を維持できない。そのゲル強度が7000×103dyn/cm2以上であると,離水性が不十分になる。分散媒の水には上記ジェランガムのほかに,ゲル化促進剤,ゲル強度調整剤,植物活性剤,土壌改良剤等が分散される。
【0021】ゲル化促進剤にはこの実施例では塩化カルシウムを用いている。この塩化カルシウムの濃度は,カルシウム塩類中のカルシウムイオンのみのジェランガム水溶液に対する相対的な質量パーセント濃度であって,ジェランガム水溶液におけるカルシウムイオンの相対的濃度は0.001質量パーセント濃度ないし0.1質量パーセント濃度である。
【0022】なお,ゲル化促進剤としては,塩化カルシウム以外のハロゲン化カルシウム,燐酸カルシウム,乳酸カルシウムその他のカルシウム塩類でも良いが,マグネシウム,マンガンなどのII価の金属塩,ナトリウム,カリウムなどの1価の金属塩,塩酸,クエン酸,乳酸などの酸も利用できる。この場合,勿論植物への影響を考慮して選択する。
【0023】ゲル強度調整剤としては,キサンタンガム,ローカストビーンガム,多価アルコール,デンプン,セルロース,アルギン酸,カラギーナン,グルコマンナン,寒天,ペクチン,プルラン,キチン,キトサン,グアーガム,アラビアガム,タマリンド種子多糖類,大豆タンパク質,卵白,グルテン,ゼラチン,コラーゲン等の天然高分子化合物の他に合成高分子化合物がある。いずれも離水性を損なわない程度に添加する。試験例としてはカルボキシメチルセルロースを添加して強度を調製することにより200時間程度の離水が可能である。
【0024】植物活性剤として,ぶどう糖,ビタミン類,ホルモン剤等を添加すると,植物の活性状態を維持することができる。
【0025】土壌改良剤として,溶性リン肥,ケイ酸肥,リグノセルロース・フミン酸,ニトロフミン酸等を添加することもできる。
【0026】このジェランガムゲルは,図2の工程表に示すように,まず,所定容量のビーカー等の貯液槽に50°cで容器に充填する際の最終調製濃度が0.2質量パーセント濃度となるようにジェランガムに冷水を加え,90°c〜95°cの温度になるように加熱しながら攪拌し,ジェランガム水溶液を得る。他方,前記と同様の最終調製濃度が0.05質量パーセント濃度となるように塩化カルシウム水溶液を別に調製する。
【0027】次に,この調製した塩化カルシウム水溶液を前述のビーカー内のジェランガム水溶液に加えて攪拌して調製する。ジェランガムゲルと塩化カルシウムとを水に溶かした水溶液を調製したら,このジェランガムと塩化カルシウムの水溶液を混合し,50°c以上で容器に充填し,冷却してゲル化させると,本実施例のジェランガムゲルができる。
【0028】このジェランガムゲルの形状は,偏平な直方体形状,円板状,球状,粒状等が有り得,筒状或いは箱型又は漏斗状の容器に入れて給水開口部以外は開口部を閉じて乾燥を防ぐことも考えられる。また,ジェランガムゲルの外表面側にゲル強度の硬い層を設け,内側にゲル強度の柔らかい層を設けたり,ゲルの強度の異なる層を複数層形成することにより,給水時間を制御することも考えられる。形状を粒状や球状にした場合には,ばらまきが容易であると共にばらまく量の調整が容易である。また,外側層のゲル強度を少し硬くすると,保水性を長い時間維持できるので,給水時間制御が容易であり,ゲル強度の異なるものを複数種類混ぜてばらまくことにより給水時間を制御することも可能である。
【0029】<実験例1>次に,上記実施例のジェランガムゲルの調製方法を実験例1を参照にしつつ説明する。この実験例では,最初にジェランガム水溶液を調製する場合に,1リットルのビーカーにジェランガム1.7gを入れ,約950mlの冷水を加える。冷水を加えたら,90°c〜95°cの温度になるように加熱しながら攪拌し,ジェランガム水溶液を得る。他方,0.5gの塩化カルシウムを50mlの水に溶かして塩化カルシウム水溶液を別に調製する。
【0030】調製した塩化カルシウム水溶液を前述のビーカー内のジェランガム水溶液に加えて攪拌し,さらに蒸発した水相当量の水を加えてジェランガムと塩化カルシウムとを混ぜた水溶液の量を1000gに調整する。ジェランガムゲルと塩化カルシウムの水溶液を1000gに調整したら,このジェランガムと塩化カルシウムの水溶液を攪拌しつつ50°c〜55°cに冷却する。なお,抗菌剤を添加しておくと,後の微生物の発生を抑えられる。これ以上温度が低下すると,容器への充填工程でゲル化するおそれがあるので,最低でも50°c程度に保温しながら所定容量の容器に充填する。
【0031】所定容器への充填後は,冷却してゲル化させると,ゲル状給水材ができあがる。なお,ジェランガムゲルの容量は植物の量,種類,天候,温度等により異なるので,ジェランガムゲルの容量は100ml〜3000ml程度にすると,室内温度で2〜5日程度は水切れを起こさないようにすることができる。
【0032】<実験例2>実験例2では,ジェランガムを0.17質量パーセント濃度,塩化カルシウムを0.05質量パーセント濃度に調整した水溶液を容器に100g調整し,室温まで冷却してゲル化させた。このジェランガムゲルを底部に穴のあいた100mlの直方体の容器に入れ,ベンジャミンの鉢植え(直径10cm,高さ8cm)の土の上においたところ,数日間給水しなくてもベンジャミンが枯れることなく健全な状態を保った。
【0033】<実験例3>実験例3では,ジェランガムを0.2質量パーセント濃度,塩化カルシウムを0.06質量パーセント濃度に調整した水溶液100mlに椰子殻繊維5gを混ぜ,容器に充填して冷却し,ゲル化させた。容器の底に穴を開け,重量30gになるまで水を放出させた後,ジェランガムゲルを容器から取り出し,土の上において適当に砕いたところ,椰子殻繊維のためゼリー状部分が目立たず5日間給水できた。乾燥後は椰子殻繊維が土壌と化した。
【0034】<ジェランガム濃度と短時間内の離水量の関係>ジェランガム濃度と離水量の関係を図3のグラフに基づいて説明する。塩化カルシウムを0.05質量パーセント濃度とし,ジェランガムの質量パーセント濃度を0.17%,0.20%,0.22%,0.25%,0.30%に変えて,直径6cmの円柱型のジェランガムゲル100gをそれぞれ調製した。
【0035】次に,1リットルのビーカーに赤玉土(水分12.7%)700gを加え,ジェランガムゲルをそのまま土の上にそれぞれ置いた。ジェランガムゲルからの離水量は経時的に測定した。離水量はジェランガムゲルの減少重量及び土の増加重量として求めた。
【0036】その結果,ゲル濃度が0.17質量パーセント濃度である場合には,6時間で7割程度の水分を放出した。この試験では赤玉土の上にジェランガムゲルを置いたが,赤玉土,黒土,腐葉土等の土の種類並びに礫・砂の粒径,土に対する割合等により,離水速度が変わることが判明した。
【0037】<ジェランガム濃度と長時間における離水量との関係>さらに,ジェランガムゲルにおけるジェランガム濃度と長時間での離水量との関係を調べた。この試験では,下記の表に示すように,4種類のジェランガムゲルを用い,各々のジェランガムゲルは直径6cmで高さがほぼ3.5cmの円柱型をしており,重量が100gになるように調製した。なお,濃度は質量パーセント濃度を表す。
【0038】


試験にあたっては1リットルのビーカーに赤玉土(水分13.8%)700gを入れ,上記第1〜第4のジェランガムゲルをそのまま土の上に置いた。
【0039】第3のジェランガムゲルについてはそのままおくものとジェランガムゲルを容器にいれたものとがある。この容器は底部に直径1mm程度の穴をそれぞれ4個開けたものと,9個開けたものを用意した。容器に充填したジェランガムゲルを容器のまま土の上に置く場合についても,経時的にジェランガムゲルからの離水量を測定した。離水量はジェランガムゲルの減少重量及び土の増加重量として求めた。
【0040】その結果,図4のグラフに示すように,ジェランガム濃度を0.5%とすることで,ジェランガムゲルの持つ水分の90%を4〜5日かけて放出させることができた。
【0041】また,ジェランガムゲルの濃度を低濃度のままにしておいて,他の高分子物質,今回はカルボキシメチルセルロースナトリウムを0.3%添加することにより,1日で離水が終了してしまう水分を5日くらいかけて放出させることが可能であった。また,ジェランガムゲルをそのまま置くのではなく,容器にいれてその底部の穴の面積により離水速度が制御できることがわかった。
【0042】<土の水分量と離水の関係>さらに,図5に示すグラフに基づいて,ジェランガムゲルの離水量とジェランガムゲルを載せる土の水分量との関係を説明する。
【0043】ジェランガムゲルを載せる土として,水分量8.6%,21%,30.0%,33.0%(重量%)の赤玉土3.2Kg(水分を除く乾燥重量である。水分を含むときの土の全重量はそれぞれ変わる。)を用意した。
【0044】ジェランガムゲルは,0.17質量パーセント濃度のジェランガムと0.05質量パーセント濃度の塩化カルシウムとの水溶液1Kgを,図6に示す円筒形の袋1にいれ,直径12cmの円筒型にゲル化させた。袋1の底部には,矩形の開口部2を4箇所設けた。
【0045】このジェランガムゲルを前述の赤玉土の上に載せ,1日後ジェランガムゲルからの離水量を測定した。土の水分量は温度105°cで4時間乾燥して測定した。その結果,図5のグラフに示すように,土の水分が少ないと,ジェランガムゲルからの離水が多くなっているのがわかる。
【0046】以上の試験によれば,ジェランガムの濃度を0.17%,0.20%とすると図3,図4に示すように,ほぼ24時間くらいで100gのジェランガムゲルのうちほぼ85g前後の水が離水し,ほぼ50時間程度で離水が完了する。また,ジェランガム濃度を0.22%,0.25%,0.30%とすると,6時間以内の離水状況ではほぼ60g以下であり,1日程度の給水には十分有効であることがわかる。ジェランガム濃度を0.5%〜1.0%程度とすると,離水能力を150時間(約6日間)程度持続できるので,輸送等には便利である。
【0047】カルボキシメチルセルロースナトリウムの代わりに他の合成高分子化合物,天然高分子化合物を添加することも考えられる。ジェランガムゲルの充填容器底部に1mm程度の直径を有する小さな穴を開口することでよりいっそう離水時間を長期化させることができる。
【0048】図4からすると,ジェランガム濃度がいずれの場合でも,最初の24時間の離水量の傾きは大きいが,図5に示すように,赤玉土に含まれる水分の量が30%を越えると離水量が急激に減少するので,給水始めにおいては離水速度が速くても,すぐに離水速度が低下して24時間以降の離水量の傾きは少なくなり且つほぼ一定となる。従って,200時間(1週間)程度の長期にわたってほぼ一定の給水を行うことが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明にかかるゲル状給水材によれば,ジェランガム水溶液の濃度を調整してジェランガムゲルを形成すると,例えば,鉢植え植物などに給水を行う場合,鉢植え植物の土の上にジェランガムゲルを載せておくだけで,ジェランガムゲルから水が徐々に土中に給水されるため,所定期間鉢植え植物へ給水でき,人手を要しない。
【0050】また,水が土中に吸収される量及び時間はジェランガムゲルの容量及び濃度の選択により決定されるため,各種の給水能力時間を有する複数種のジェランガムゲルを土壌上に置くことにより,長期間の給水も可能となる。
【0051】さらに,底部や周壁下部に一定面積の開口部を有する容器にジェランガムゲルを入れておくことにより,給水時間を調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理工程図
【図2】ジェランガム分子の重合単位の構造式
【図3】ジェランガム濃度の違いによる短時間における離水量変化を示すグラフ
【図4】ジェランガム濃度の違いによる長時間における離水量変化を示すグラフ
【図5】搭載土壌の水分の比率と離水量との関係を示すグラフ。
【図6】ジェランガムゲルを入れる袋の底面図
【符号の説明】
1 円筒型の袋
2 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】→3)−β−D−グルコピラノース−(1→4)−β−D−グルクロン酸−(1→4)−β−D−グルコピラノース−(1→4)−α−L−ラムノピラノース−(1→の繰り返し単位からなる多糖類を,0.05質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度の範囲で水に溶解させると共に,さらにこの水に対してゲル化促進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度の範囲で溶解させて,ゲル化させたことを特徴とするゲル状給水材。
【請求項2】請求項1のゲル状給水材において,前記ジェランガム水溶液の濃度を0.1質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度の範囲に設定したことを特徴とするゲル状給水材。
【請求項3】請求項1又は請求項2のゲル状給水材において,前記ジェランガム水溶液に植物活性剤,土壌改良剤,ゲル強度調整剤等のいずれかを単一にまたは混合して添加したことを特徴とするゲル状給水材。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図6】
image rotate