ゲートセンサ
【目的】 ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時することができるゲートセンサを提供すること
【構成】 ゲートまたはゲートの近くに磁界源11を配置する。磁界源11による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサ14、この磁気方位センサ14が所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマ15およびこのタイマ15により計時された時刻を記録する記録器16を被測定体13に配置する。
【構成】 ゲートまたはゲートの近くに磁界源11を配置する。磁界源11による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサ14、この磁気方位センサ14が所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマ15およびこのタイマ15により計時された時刻を記録する記録器16を被測定体13に配置する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陸上競技や競馬、競輪などに利用されるゲートセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】陸上競技や競馬などでは、人間や馬など(被測定体)がゲートを通過する時刻を個々に計時する必要がある。
【0003】ところで、例えば100m競争のように被測定体の通過位置が決まっている場合には、それぞれのコース上のゲート位置に光遮断式の光学センサなどを配置することで個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができるが、長距離走や競馬のようにオープンコースの場合には、個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができない。
【0004】そこで、かかる場合には、ドップラー法を用いることが考えられる。
【0005】これは、図11に示すように、各被測定体1に固有の周波数を発信する発信器(図示せず)を持たせ、ゲート2の端にこれを受信する受信器3を配置する。そして、被測定体1と受信器3の相対位置の変化速度により受信周波数が変化すること受信器3により検出し、被測定体1がゲート2を通過する時刻を計時するものである。
【0006】つまり、被測定体1と受信器3の相対距離lの変化率Δlは、T1 からT0 において減少し、T0 のとき“0”、T0 からT2 において増加する。これらの場合の受信周波数は、発信器が発信する周波数をf0 とすると、T1 からT0 のときf0 +αでT0 に近づくに従いf0 に近づき、T0 のときf0 、T0 からT2のときf0 −αとなる。よって、発信器が発信する周波数f0 を検出することで、ゲート2の通過を認識することができる。
【0007】しかしながら、発信器が発信する周波数f0 は温度変化により変動するため、またT0 付近ではf0 ±αのαの値が極めて小さくなるため、受信器3により検出される周波数f0 にある程度幅を持たせる必要がある。このため、図12に示すように、このf0 の幅によるいわゆる不感域■が被測定体1のゲート2通過位置が受信器3より離れる程拡がる。つまり、測定精度がゲート2通過位置に応じて変動する。このことは、図中■に示すように被測定体1の移動速度が遅くなる程顕著となり、例えば移動速度が時速30Km以下では測定不能となる。
【0008】具体的には、図13に示すように、被測定体1の移動速度をV、受信器との相対速度Vs 、被測定体1の移動方向と受信器との角度をψ°とすると、Vs =V cosψ°ここで、被測定体1の移動速度Vを60Km/h、測定限界速度を30Km/hとすると、ゲートと認識される点と受信器との角度ψは、ψ= cos-130/60=60°また、被測定体1の移動速度Vを40Km/hでは、ψ= cos-140/60=41.4°したがって、誤差ではすまされない値となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来では、長距離走や競馬のようにオープンコースの場合には、個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができないという問題があった。そこで、ドップラー法を用いることが考えられるが、精度が悪いという問題がある。
【0010】本発明は、このような事情に基づきなされたもので、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時することができるゲートセンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のゲートセンサは、上述した目的を達成するために、(a)ゲートまたはゲートの近くに配置された磁界源と、(b)被測定体に配置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器とを具備する。
【0012】
【作用】予め磁気方位センサが検出する所定の位置をゲートを通過する位置に合致させておく。したがって、磁気方位センサが所定の位置を検出すると、検出した時刻がゲートを通過した時刻となる。よって、かかる時刻をタイマにより計時し、記録器に記録すれば、被測定体のゲート通過時刻を計時することができる。
【0013】そして、これら磁気方位センサ、タイマおよび記録器からなる1セットを各被測定体に持たせれば、被測定体の個々のゲート通過時刻を計時することができる。 また、磁気方位センサを用いていることから、ゲート通過時刻を正確に計時することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0015】図1は本発明の一実施例に係るゲートセンサの構成を示している。
【0016】同図において、11はゲート12の近くの地中に埋設されたに磁界源を示している。この磁界源11は、電磁石や永久磁石のいずれであってもよく、また単極(N極、S極を問わず。)や2極のいずれであってもよいが、後述する磁気方位センサの通過点において、磁気方位センサが磁界源が発生する磁界を地磁気の影響を含めても検出可能なだけの磁界を発生できる磁束密度を必要とする。
【0017】また、被測定体13には、磁気方位センサ14、タイマ15および記録器16が配置されている。
【0018】磁気方位センサ14は、磁界源11による影響を受けた磁界の方向を検出する。タイマ15は、磁気方位センサ14が所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時する。記録器16は、タイマ15により計時された時刻を記録する。
【0019】ここで、磁界源11による影響を受ける磁界の方向は、例えば図2に示すように、磁界源11による磁界Aと地磁気による磁界Bとを合成した磁界Cによるものとなる。ただし、図3に示すように、地磁気の方向が紙面と垂直の場合には、磁界源11による影響を受ける磁界の方向は、磁界源11による磁界Aだけによるものとなる。
【0020】磁気方位センサ14は、この合成磁界C(地磁気の方向が紙面と垂直の場合にはA)の方向を検出する。
【0021】したがって、例えば図2に示したように、ゲート12上で合成磁界Cが90°真上の方向となる場合には、磁気方位センサ14がその方向を示したときの時刻をタイマ15により計時し、この時刻を記録器16に記録すれば、被測定体13がゲート12上を通過した時刻を記録できる。
【0022】そして、これら磁気方位センサ14、タイマ15および記録器16からなる1セットを各被測定体13に持たせれば、被測定体13の個々のゲート通過時刻を記録することができる。
【0023】次に、本発明の他の実施例を説明する。
【0024】図4〜図7に示すように、磁界源11となる磁石の方向または磁石の組み合わせによって磁気方位センサ14が各位置で示す方向は異なるものとなる。なお、ここでは、地磁気による影響は無視している。
【0025】ここで、図8に示すように、磁気方位センサ14が示す方向a〜dを決めると、磁気方位センサ14により、図4ではd→a→b、図5ではb→c→d、図6ではc→d→a、図7ではa→b→cの順にそれぞれ示されることになる。
【0026】そこで、磁気方位センサ14が各方向を示したときの時刻をタイマ15により計時し、これらの時刻を記録器16に記録すれば、例えば各被測定体13の移動速度を計測することができる。
【0027】なお、磁界源11は、図9に示すようにコース上を横切るように点在させたり、図10に示すようにコース上を横切るように長尺なものであってもよい。
【0028】また、磁界源11は、コースの上に配置してもよい。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、磁界源をゲートまたはゲートの近くに配置するとともに、各被測定体に配置した磁気方位センサが所定の方向を示した時刻を記録することでゲート通過時刻を計時しているので、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時することができるゲート通過時刻を正確に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るゲートセンサの構成を示す図である。
【図2】図1に示す磁界源による影響を受ける磁界の方向を示す図である。
【図3】図1に示す磁界源による影響を受ける磁界の方向を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図11】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【図12】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【図13】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】
11…磁界源、13…被測定体、14…磁気方位センサ、15…タイマ、16…記録器。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陸上競技や競馬、競輪などに利用されるゲートセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】陸上競技や競馬などでは、人間や馬など(被測定体)がゲートを通過する時刻を個々に計時する必要がある。
【0003】ところで、例えば100m競争のように被測定体の通過位置が決まっている場合には、それぞれのコース上のゲート位置に光遮断式の光学センサなどを配置することで個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができるが、長距離走や競馬のようにオープンコースの場合には、個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができない。
【0004】そこで、かかる場合には、ドップラー法を用いることが考えられる。
【0005】これは、図11に示すように、各被測定体1に固有の周波数を発信する発信器(図示せず)を持たせ、ゲート2の端にこれを受信する受信器3を配置する。そして、被測定体1と受信器3の相対位置の変化速度により受信周波数が変化すること受信器3により検出し、被測定体1がゲート2を通過する時刻を計時するものである。
【0006】つまり、被測定体1と受信器3の相対距離lの変化率Δlは、T1 からT0 において減少し、T0 のとき“0”、T0 からT2 において増加する。これらの場合の受信周波数は、発信器が発信する周波数をf0 とすると、T1 からT0 のときf0 +αでT0 に近づくに従いf0 に近づき、T0 のときf0 、T0 からT2のときf0 −αとなる。よって、発信器が発信する周波数f0 を検出することで、ゲート2の通過を認識することができる。
【0007】しかしながら、発信器が発信する周波数f0 は温度変化により変動するため、またT0 付近ではf0 ±αのαの値が極めて小さくなるため、受信器3により検出される周波数f0 にある程度幅を持たせる必要がある。このため、図12に示すように、このf0 の幅によるいわゆる不感域
【0008】具体的には、図13に示すように、被測定体1の移動速度をV、受信器との相対速度Vs 、被測定体1の移動方向と受信器との角度をψ°とすると、Vs =V cosψ°ここで、被測定体1の移動速度Vを60Km/h、測定限界速度を30Km/hとすると、ゲートと認識される点と受信器との角度ψは、ψ= cos-130/60=60°また、被測定体1の移動速度Vを40Km/hでは、ψ= cos-140/60=41.4°したがって、誤差ではすまされない値となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来では、長距離走や競馬のようにオープンコースの場合には、個々の被測定体のゲート通過時刻を計時することができないという問題があった。そこで、ドップラー法を用いることが考えられるが、精度が悪いという問題がある。
【0010】本発明は、このような事情に基づきなされたもので、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時することができるゲートセンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のゲートセンサは、上述した目的を達成するために、(a)ゲートまたはゲートの近くに配置された磁界源と、(b)被測定体に配置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器とを具備する。
【0012】
【作用】予め磁気方位センサが検出する所定の位置をゲートを通過する位置に合致させておく。したがって、磁気方位センサが所定の位置を検出すると、検出した時刻がゲートを通過した時刻となる。よって、かかる時刻をタイマにより計時し、記録器に記録すれば、被測定体のゲート通過時刻を計時することができる。
【0013】そして、これら磁気方位センサ、タイマおよび記録器からなる1セットを各被測定体に持たせれば、被測定体の個々のゲート通過時刻を計時することができる。 また、磁気方位センサを用いていることから、ゲート通過時刻を正確に計時することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0015】図1は本発明の一実施例に係るゲートセンサの構成を示している。
【0016】同図において、11はゲート12の近くの地中に埋設されたに磁界源を示している。この磁界源11は、電磁石や永久磁石のいずれであってもよく、また単極(N極、S極を問わず。)や2極のいずれであってもよいが、後述する磁気方位センサの通過点において、磁気方位センサが磁界源が発生する磁界を地磁気の影響を含めても検出可能なだけの磁界を発生できる磁束密度を必要とする。
【0017】また、被測定体13には、磁気方位センサ14、タイマ15および記録器16が配置されている。
【0018】磁気方位センサ14は、磁界源11による影響を受けた磁界の方向を検出する。タイマ15は、磁気方位センサ14が所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時する。記録器16は、タイマ15により計時された時刻を記録する。
【0019】ここで、磁界源11による影響を受ける磁界の方向は、例えば図2に示すように、磁界源11による磁界Aと地磁気による磁界Bとを合成した磁界Cによるものとなる。ただし、図3に示すように、地磁気の方向が紙面と垂直の場合には、磁界源11による影響を受ける磁界の方向は、磁界源11による磁界Aだけによるものとなる。
【0020】磁気方位センサ14は、この合成磁界C(地磁気の方向が紙面と垂直の場合にはA)の方向を検出する。
【0021】したがって、例えば図2に示したように、ゲート12上で合成磁界Cが90°真上の方向となる場合には、磁気方位センサ14がその方向を示したときの時刻をタイマ15により計時し、この時刻を記録器16に記録すれば、被測定体13がゲート12上を通過した時刻を記録できる。
【0022】そして、これら磁気方位センサ14、タイマ15および記録器16からなる1セットを各被測定体13に持たせれば、被測定体13の個々のゲート通過時刻を記録することができる。
【0023】次に、本発明の他の実施例を説明する。
【0024】図4〜図7に示すように、磁界源11となる磁石の方向または磁石の組み合わせによって磁気方位センサ14が各位置で示す方向は異なるものとなる。なお、ここでは、地磁気による影響は無視している。
【0025】ここで、図8に示すように、磁気方位センサ14が示す方向a〜dを決めると、磁気方位センサ14により、図4ではd→a→b、図5ではb→c→d、図6ではc→d→a、図7ではa→b→cの順にそれぞれ示されることになる。
【0026】そこで、磁気方位センサ14が各方向を示したときの時刻をタイマ15により計時し、これらの時刻を記録器16に記録すれば、例えば各被測定体13の移動速度を計測することができる。
【0027】なお、磁界源11は、図9に示すようにコース上を横切るように点在させたり、図10に示すようにコース上を横切るように長尺なものであってもよい。
【0028】また、磁界源11は、コースの上に配置してもよい。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、磁界源をゲートまたはゲートの近くに配置するとともに、各被測定体に配置した磁気方位センサが所定の方向を示した時刻を記録することでゲート通過時刻を計時しているので、ゲート上の任意の位置を通過する複数の被測定体の個々のゲート通過時刻を正確に計時することができるゲート通過時刻を正確に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るゲートセンサの構成を示す図である。
【図2】図1に示す磁界源による影響を受ける磁界の方向を示す図である。
【図3】図1に示す磁界源による影響を受ける磁界の方向を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図11】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【図12】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【図13】ドップラー法による従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】
11…磁界源、13…被測定体、14…磁気方位センサ、15…タイマ、16…記録器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ゲートまたはゲートの近くに配置された磁界源と、(b)被測定体に配置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器とを具備することを特徴とするゲートセンサ。
【請求項1】 (a)ゲートまたはゲートの近くに配置された磁界源と、(b)被測定体に配置された、前記磁界源による影響を受けた磁界の方向を検出する磁気方位センサと、この磁気方位センサが所定の方向を検出したとき検出した時刻を計時するタイマと、このタイマにより計時された時刻を記録する記録器とを具備することを特徴とするゲートセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開平5−258141
【公開日】平成5年(1993)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−51751
【出願日】平成4年(1992)3月10日
【出願人】(592059448)原田電子工業株式会社 (20)
【公開日】平成5年(1993)10月8日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)3月10日
【出願人】(592059448)原田電子工業株式会社 (20)
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