説明

ゲームの移動体移動装置及びゲーム機

【課題】視認しやすく面白い態様で移動体を移動することができ、また、ボールの移動に応じたプレイ内容の変化をプレイヤにわかりやすく伝えることができるゲームの移動体移動装置及びゲーム機を提供する。
【解決手段】ボール移動装置20は、ボールBを移動方向に移動させる移動路25aをそれぞれ部分的に形成する部分移動路27a−1〜27a−5を有し、部分移動路27a−1〜27a−5の向き27b−1〜27b−5が、ボールBの移動方向Aに交差してボールBが衝突可能な方向を向いた直立状態と、部分移動路27a−1〜27a−5の部分移動方向27b−1〜27b−5が移動方向Aに略平行な方向を向いた倒れた状態との間で回転移動可能な複数の移動路形成板27−1〜27−5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を移動するゲームの移動体移動装置及びゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メダルプッシャゲーム機等には、プレイ進行に応じてボールを出現させてプレイフィールド内を移動させ、大当たり等の抽選に用いるものがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のボールの移動装置は、ボールが進行していく態様が視認しにくく、また単純であった。
さらに、特許文献1のように、ボールを半球状の容器内で周回させて抽選する場合には、ボールが停止するまで抽選結果がわからず、ボール移動に応じてプレイ内容が変化する態様が、プレイヤに伝わりにくかった。
【特許文献1】特開2002−210221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、視認しやすく面白い態様で移動体を移動することができ、また、ボールの移動に応じたプレイ内容の変化をプレイヤにわかりやすく伝えることができるゲームの移動体移動装置及びゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0005】
請求項1の発明は、ゲームで用いられる移動体(B)を所定の移動方向(A)に移動させるゲームの移動体移動装置であって、前記移動体を前記移動方向に移動させる移動路(25a)をそれぞれ部分的に形成する部分移動路(27a−1〜27a−5)を有し、前記部分移動路の向き(27b−1〜27b−5)が前記移動方向に交差して前記移動体が衝突可能な方向を向いた第1状態と、前記部分移動路の向きが前記移動方向に略平行な方向を向いた第2状態との間で回転移動可能な複数の部分移動路形成部(27−1〜27−5)を備え、前記部分移動路形成部は、前記第1状態にあるときに前記移動体が衝突することにより前記第2状態へと回転移動し、前記第2状態に回転移動した状態で、次に配置された部分移動路形成部に前記移動体を導くように配列されていること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲームの移動体移動装置において、前記部分移動路形成部(27−1〜27−5)は、前記第1状態で前記部分移動路(27a−1〜27a−5)の向き(27b−1〜27b−5)が略鉛直方向であり、前記移動方向(A)に直交しかつ水平方向の軸(27Y−1〜27Y−5)回りに回転し、前記第2状態に回転移動すること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲームの移動体移動装置において、前記部分移動路形成部(27−1〜27−5)を、前記第2状態から前記第1状態の方向に付勢する付勢部(29)を備えること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載のゲームの移動体移動装置において、前記付勢部の付勢力を変更する付勢力変更部(64)を備えること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置において、前記移動体(B)が前記移動路(25a)に進入する速度を変更する進入速度変更部(73等)を備えること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置において、前記移動路(25a)の傾斜を変更して、前記移動体(B)の前記移動方向(A)の向き(27b−1〜27b−5)を変更する傾斜変更部を備えること、を特徴とするゲームの移動体移動装置である。
【0007】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置(20)と、前記移動体移動装置の移動路(25a)うち移動体(B)が到達できた位置に応じて、プレイ内容を変更するプレイ内容変更部(61)と、を備えるゲーム機である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置(20)と、前記移動体移動装置から移動体(B)が出るときの速度に応じて、プレイ内容を変更するプレイ内容変更部(61)と、を備えるゲーム機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、移動体が衝突することにより第1状態から第2状態へと回転移動し、次に配置された部分移動路形成部に移動体を導くように、部分移動路形成部が配置されているので、移動体が部分移動路形成部に次々に衝突して部分移動路形成部が次々に回転移動するといった、新しくかつ面白い態様で移動体を移動することができる。また、移動体が部分移動路形成部を回転させながら移動するので、視認しやすい態様で移動体を移動することができる。
(2)本発明は、部分移動路形成部の向きが第1状態で略鉛直方向であり水平方向の軸回りに回転移動するので、移動体が部分移動路形成部に衝突することにより、部分移動路形成部が直立した状態から次々に倒れてように面白く演出することができる。
【0009】
(3)本発明は、部分移動路形成部を第2状態から第1状態の方向に付勢するので、第2状態に回転移動した部分移動路形成部を、自動的に第1状態へと戻すことができる。
(4)本発明は、付勢部の付勢力を変更するので、移動体が部分移動路形成部に衝突したときの移動速度の減少度合いを調整して、移動体がこの移動体移動装置のうちどの位置まで到達できるかや、この移動体移動装置から出るときの移動体の速度を変更することができる。
【0010】
(5)本発明は、移動体が移動路に進入する速度を変更するので、上記(4)と同様に、移動体の到達位置や、移動体の速度を変更することができる。
(6)本発明は、移動体の移動方向の傾き変更するので、上記(4)と同様に、移動体の到達位置や、移動体の速度を変更することができる。
【0011】
(7)本発明は、移動体移動装置の移動路うち移動体が到達できた位置や、移動体移動装置から移動体が出るときの速度に応じてプレイ内容を変更するので、ボールの移動に応じたプレイ内容の変化をプレイヤにわかりやすく伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、視認しやすく面白い態様で移動体を移動することができ、また、ボールの移動に応じたプレイ内容の変化をプレイヤにわかりやすく伝えることができるゲームの移動体移動装置及びゲーム機を提供するという目的を、ボールを移動方向に移動させる移動路をそれぞれ部分的に形成する部分移動路を有し、部分移動路の向きが、ボールの移動方向に交差してボールが衝突可能な方向を向いた直立状態と、部分移動路の向きが移動方向に略平行な方向を向いた倒れた状態との間で回転移動可能な複数の移動路形成板を備えることによって実現した。
【0013】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本実施形態のゲーム機1の全体を示す正面図である。
図1に示すように、ゲーム機1は、その外径が2m程度の大型の装置であり、例えば、ゲームセンタ等に設置される。ゲーム機1は、平面形状が、例えば六角形であり、複数のプレイヤが独立してゲーム可能な複数のステーションSTを備えている。以下、主に、ステーションST1について説明するが、他のステーションについても同様な構造である。なお、ステーションST1の左右方向を矢印X方向、奥行方向を矢印Y方向、鉛直方向を矢印Z方向として、以下説明する。左右方向及び奥行方向は、水平面内において互いに直交する方向である。
ゲーム機1は、メダル投入装置7を利用してプレイフィールド2へとメダル3を投入し、所定の条件を満足した場合に、大量のメダル3を外部に払い出すメダルプッシャ式のメダルゲーム機である。
【0014】
ゲーム機1は、プレイフィールド2と、ケース4と、ウィンド5と、操作パネル6と、メダル投入装置7と、メダル払い出し口8とを備えている。
プレイフィールド2は、プレイヤがメダル3を投入して、実際にゲームが行われる領域であり、予めメダル3が載置されたプッシャ台11等が設けられている。
ケース4は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンド5は、ゲーム機1の外部とプレイフィールド2とを仕切るための部材であり、プレイフィールド2を外部から視認できるように、例えば、透明なアクリル、ガラス等により形成される。
【0015】
操作パネル6は、メダル投入装置7等を配置するためのパネルであり、プレイヤが操作しやすいように、ケース4の正面に設けられている。
メダル投入装置7は、プレイヤが挿入したメダル3を、プレイフィールド2に投入するための装置である。メダル投入装置7は、左右方向(矢印X方向)に6つに配列されており、プレイヤが、プッシャ台11の状態を確認しながら、タイミングを図ってメダル3を投入できるようになっている。
メダル払い出し口8は、プレイヤが獲得したメダル3を払い出すための払い出し口であり、プレイヤがメダル3を取り出しやすいように、ケース4の正面に設けられている。
【0016】
次に、ゲーム機1のステーションST1の構成について詳しく説明する。
図2は、本実施形態のステーションST1,ST2を示す斜視図である。
図3は、本実施形態のボール転がり部25を示す斜視図である。
図4は、本実施形態のボール転がり部25の構成を説明する正面図(図2に示す矢印Y2方向から見た図)である。
図2に示すように、ステーションST1は、ステーションST2と左右対称に配置されている。ステーションST1は、プッシャ台11と、メダル入賞口12と、モニタ13(表示部)と、ボール移動装置20と、ボール入賞口31,32,33と、メダル放出口34等とを備えている。
【0017】
プッシャ台11は、プレイフィールド2内の内部メダル3を、メダル入賞口12の方向に押し出すための装置である。プッシャ台11は、往復テーブル11Aと、固定テーブル11Bとを備えている。
往復テーブル11Aは、プッシャ台駆動モータ71(後述する)によって、固定テーブル11B上を奥行方向(矢印Y方向)に往復移動するように構成されている。
固定テーブル11Bは、プレイフィールド2内に固定されている。
往復テーブル11A及び固定テーブル11B上には、通常、複数のメダル3が予め載置されている。これらのメダル3は、メダル投入装置7(図1参照)から投入されたメダル3が往復テーブル11A又は固定テーブル11Bに落下すると、往復テーブル11Aの往復移動により、奥行方向前側(矢印Y1方向)に向けて徐々に押し出され、固定テーブル11Bの奥行方向前側から落下する。
【0018】
メダル入賞口12は、固定テーブル11Bの奥行方向前側に配置されている。固定テーブル11Bから落下したメダル3がメダル入賞口12に入賞した場合には、後述するように制御部60が入賞処理を行なう。
モニタ13は、LCD(液晶表示装置)等の表示装置であり、メダル入賞時に3桁の数字のスロットによる抽選画面や、プレイ内容の説明画面等を表示する。
【0019】
ボール移動装置20は、ゲームで用いられるボールB(移動体)を所定の移動方向に移動させる装置である。ボール移動装置20は、ボール上昇管21と、ボール投入口22と、らせん型上昇装置23と、ボール転がり部25とを備えている。
ボール上昇管21は、鉛直方向に直立するように、プレイフィールド2に配置された中空の管である。ボール上昇管21は、その内部をボールBが上昇し、上昇したボールBをボール転がり部25へと投入する。ボール上昇管21は、アクリル等の透明な材料により形成され、上昇するボールBが視認できるようになっている。ボール上昇管21には、ボール転がり部25へと投入するボール投入口22が設けられている。
らせん型上昇装置23は、ボール上昇管21内部に配置されたらせん状の部材である。らせん型上昇装置23は、上昇装置駆動モータ73(後述する)により回転駆動されることによって、ボール上昇管21内でボールBを鉛直方向に上昇させることができる。
【0020】
ボール転がり部25は、ボール投入口22から投入されたボールBを、斜め下側の方向である移動方向Aに転がしながら移動させる装置である。
図3、図4に示すように、ボール転がり部25は、基部26と、5つの移動路形成板27(27−1〜27−5;部分移動路形成部)と、各移動路形成板27に設けられたボール進行センサ28(28−1〜28−5)及びバネ29(29−1〜29−5;付勢部)と、バネ支持板30とを備えている。
【0021】
基部26は、ボール転がり部25の筐体である。
移動路形成板27は、その片方の表面によって、ボールBを移動方向に移動させる移動路25aをそれぞれ部分的に形成する板状の部材である。なお、移動路形成板27が、ボールBを移動させる部分移動路27a(27a−1〜27a−5)の方向を、部分移動方向27b(27b−1〜27b−5)として図3、図4に図示する。移動路形成板27は、直立状態(第1状態)と倒れた状態(第2状態)との間で回転移動可能に、基部26に支持されている。移動路形成板27は、移動方向に直交しかつ水平方向の軸27Y(27Y−1〜27Y−5)回りに回転し、直立状態から倒れた状態に回転移動する。
【0022】
直立状態において、移動路形成板27は、部分移動路27aが鉛直面に平行に配置され、部分移動方向27bと移動方向Aとが交差して、移動方向Aに移動しているボールBが衝突可能な状態になる。
一方、倒れた状態において、移動路形成板27は、ボールBが衝突した部分移動路27aが移動方向Aに平行になるまで傾く位置に配置され、部分移動方向27bと移動方向Aとが平行になり、ボールBが部分移動路27aを転がり落ちることが可能な状態になる。
【0023】
図3に示すように、移動路形成板27は、移動方向Aに沿って一列に配列され、直立状態にあるときに部分移動路27aにボールBが衝突すると、ボールBの運動量の作用により倒れた状態へと回転移動する。移動路形成板27は、倒れた状態に回転移動した状態で、次に配置された移動路形成板27にボールBを導くことができる。
例えば、図3(a)に示すように、移動路形成板27−1は、直立状態にあるときに部分移動路27a−1にボールBが衝突すると、図3(b)、図3(c)に示すように、倒れた状態へと、軸27Y−1を中心として回転移動する。そして、図3(c)に示すように、移動路形成板27−1は、倒れた状態に回転移動した状態で、次に配置された移動路形成板27−2にボールBを導く。
【0024】
このように、ボール移動装置20は、ボールBが移動路形成板27に次々に衝突して移動路形成板27が次々に回転移動して倒れていくといった、新しくかつ的面白い態様でボールBを移動することができる。また、ボール移動装置20は、ボールBが移動路形成板27を回転し倒しながら移動するので、視認しやすい態様でボールBを移動することができる。
【0025】
図4に示すように、ボール進行センサ28(28−1〜28−5)は、各移動路形成板27が倒れた状態であることを検出するためのリミットセンサ等である(図4では、ボール進行センサ28−4,28−5は、図示を省略する)。各ボール進行センサ28−1〜28−5は、各移動路形成板27−1〜27−5が倒れた状態のときにそれぞれONになるように設置され、検出信号を制御部60に出力する。
【0026】
バネ29は、移動路形成板27を付勢するねじりコイルバネである。バネ29に挿通された案内棒29aは、基部26に固定されている。バネ29は、一方の腕29bの端部29cがバネ支持板30に支持され、もう一方の腕29dが移動路形成板27を倒れた状態から直立状態の方向に付勢するようになっている。
このように、ボール転がり部25は、移動路形成板27が付勢されているので、ボールBが通過した後に、移動路形成板27を倒れた状態から直立状態へと自動的に戻すことできる。
【0027】
バネ支持板30は、バネ29の腕29bの端部29cを支持するための板状の部材である。バネ支持板30は、後述する付勢力変更アクチュエータ72によって鉛直方向に駆動される。
このため、ボール移動装置20は、バネ29の付勢力を変更して移動路形成板27の倒れやすさを変更し、ボールBが移動路形成板27に衝突したときの移動速度の減少度合いを調整することができる。これにより、後述するように、ボール移動装置20は、ボールBがボール移動装置20のうちどの位置まで到達できるかや、ボール移動装置20から飛び出るときのボールの速度を変更することができる。
【0028】
図2に示すように、ボール入賞口31,32,33は、ボール転がり部25から飛び出してきたボールBを、入賞させるための入賞口である。
ボール入賞口31は、入り口が狭く、またボール転がり部25の出口から離れた高い位置に設置されているため、最も入賞確率が低い。ボール入賞口31にボールBが入賞した場合には、メダル3が大量(例えば100枚程度)放出される。
ボール入賞口32は、ボールBの移動方向つまり放出方向に沿って、上部が開放した管状に設置されており、ボール入賞口31の次に入賞確率が低い。ボール入賞口32にボールBが入賞した場合には、メダル3がボール入賞口31の放出量の半分程度(例えば50枚程度)放出される。
ボール入賞口33は、ボール入賞口31,32に入賞できなかったボールBが入賞できるように、ボール入賞口31,32よりも下側に、上部が開口した容器状に配置されている。ボール入賞口33にボールBが入賞した場合には、メダル3が少量(例えば10枚程度)放出される。
【0029】
次に、ゲーム機1のブロック図について説明する。
図5は、本実施形態のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、メダル入賞センサ41と、ボール入賞センサ42−1〜42−3と、記憶部50と、制御部60と、プッシャ台駆動モータ71と、付勢力変更アクチュエータ72と、上昇装置駆動モータ73等とを備えている。
【0030】
メダル入賞センサ41は、メダル入賞口12に入賞したメダル3を検出する光学センサ等である。メダル入賞センサ41は、メダル入賞口12に入賞したメダル3を検出すると、検出信号を制御部60に出力する。
ボール入賞センサ42−1〜42−3は、ボール入賞口31〜33に入賞したボールBを、それぞれ検出するための光学センサ等である。ボール入賞センサ42−1〜42−3は、ボール入賞口31〜33に入賞したボールBを検出すると、検出信号を制御部60に出力する。
記憶部50は、ゲーム機1の動作に必要なゲームプログラム51や情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
【0031】
制御部60は、ゲーム機1を統括的に制御するための制御部であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部60は、ゲーム進行制御部61と、プッシャ台制御部62と、スロット抽選制御部63と、付勢力制御部64(付勢力変更部)と、進入速度制御部65(進入速度変更部)と、必要に応じてこれら各制御部の間で情報を伝達するバス(図示せず)とを備えている。制御部60は、記憶部50に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0032】
ゲーム進行制御部61は、ゲームの進行を統括的に制御するための制御部であり、例えば、ボールBが入賞した場合にプッシャ台11にメダル3を放出したりする。
プッシャ台制御部62は、プッシャ台駆動モータ71を制御してプッシャ台11の往復テーブル11Aを、往復移動させる制御である。
スロット抽選制御部63は、メダル3の入賞に応じてスロットによる抽選画面を、モニタ13に表示する制御部である。
付勢力制御部64は、付勢力変更アクチュエータ72を制御して、バネ支持板30を鉛直方向に駆動し、バネ29の付勢力を変更する制御部である。
進入速度制御部65は、上昇装置駆動モータ73を制御して、らせん型上昇装置23を回転駆動し、ボールBをボール上昇管21内で鉛直方向に上昇させる制御部である。進入速度制御部65は、スロット抽選制御部63の抽選結果に応じてらせん型上昇装置23の回転速度を変更し、ボールBが移動路25aに進入する進入速度を変更する。
【0033】
プッシャ台駆動モータ71は、プッシャ台11の往復テーブル11Aを往復移動するDCモータ等である。
付勢力変更アクチュエータ72は、バネ支持板30を鉛直方向に駆動するソレノイド等のアクチュータである。
上昇装置駆動モータ73は、らせん型上昇装置23を回転駆動するDCモータ等である。
【0034】
次に、ゲーム機1の動作について説明する。
図2に示すように、プレイヤによってメダル投入装置7(図1参照)からプッシャ台11にメダル3が投入され、固定テーブル11Bに載置されていたメダル3が、押し出され落下しメダル入賞口12に入賞するとメダル入賞センサ41が制御部60に信号が出力する。スロット抽選制御部63は、モニタ13に表示された3桁のスロットを回転表示する。ゲーム進行制御部61は、スロット抽選制御部63による抽選の結果、奇数の数字が揃った場合には(例えば「777」)、大当たりと判定し、偶数の数字が揃った場合には(例えば「222」)、小当たりと判定し、その他の数字が揃った場合には、ハズレと判定する。ゲーム進行制御部61は、大当たり及び小当たりの場合には、ボール投入の処理を行い、ハズレの場合には、ボール投入の処理を行わない。
【0035】
以下説明するように、大当たり及び小当たりの場合には、付勢力制御部64は、バネ29の付勢力を変更し、また、進入速度制御部65は、ボールBの投入速度を変更する。
大当たりの場合には、付勢力制御部64は、バネ支持板30が最も鉛直方向下側になるように、付勢力変更アクチュエータ72を制御する(図3参照)。この場合、バネ29の付勢力は、最も小さくなり、移動路形成板27が倒れやすく設定される。
また、進入速度制御部65は、らせん型上昇装置23を高速駆動する、この場合、ボールBが移動路25aに進入する速度は、高速になるように設定される。
制御部60によるこのような制御により、ボールBが移動路形成板27に衝突した場合に、移動路形成板27は、直立した状態から倒れた状態に回転移動しやすいように設定される。
【0036】
小当たりの場合には、付勢力制御部64は、バネ支持板30が最も鉛直方向上側になるように、付勢力変更アクチュエータ72を制御する。この場合、バネ29の付勢力は、最も大きくなり、移動路形成板27が大当たりの場合よりも倒れにくく設定される。
また、進入速度制御部65は、らせん型上昇装置23を低速駆動する。この場合、ボールBが移動路25aに進入する速度は、大当たりの場合よりも低速になるように設定される。
制御部60によるこのような制御により、ボールBが移動路形成板27に衝突した場合に、移動路形成板27は、直立した状態から倒れた状態に、大当たりの場合よりも回転移動しにくくなるように設定される。
【0037】
ボールBがボール投入口22から移動路25aに投入されると、前述したように、ボールBが移動路形成板27に衝突して倒しながら、移動方向Aに転がって進んでいく。
このとき、大当たりの設定の場合には、移動路形成板27が倒れやすく設定されているので、ボールBは、最後に配置された移動路形成板27−5に到達できる確率が高くなり、また、移動路25aから飛び出す速度も速くなる。
一方、小当たりの設定の場合には、大当たりの設定の場合よりも移動路形成板27が倒れにくく設定されているので、ボールBは、移動路25aの途中までしか到達できなくなる確率が高くなり、また、最後に配置された移動路形成板27に到達できたとしても、移動路25aから飛び出す速度が大当たりの設定の場合よりも低速になる確率が高くなる。
ボールBが飛び出す速度が高速である程、ボールBの飛距離が長くなり、ボール入賞口31に入賞できる確率が高くなる。
【0038】
ボールBが、移動路25a内に配置された移動路形成板27−1〜27−5のうち、どの移動路形成板27に到達できたかは、ボール進行センサ28−1〜28−5の出力信号に基づいて、ゲーム進行制御部61が判定する。
ゲーム進行制御部61は、移動路形成板27が1つ倒れる毎に、メダル貯留部(図示せず)を駆動して、メダル放出口34からプッシャ台11にメダル3を5枚放出する。ボールBは、移動路形成板27を回転し倒しながら移動するので視認しやすく、プレイヤにとっては、倒れた移動路形成板27が多い程メダル3が放出される態様、つまりボールBが進行するに従ってゲームの内容が変化してく態様が一目瞭然である。
【0039】
このように、ボール移動装置20は、進入速度制御部65によってボールBの進入速度が変更され、また、付勢力制御部64によってバネ29が移動路形成板27を付勢する付勢力が変更される。これにより、ボール移動装置20は、移動路25a内でのボールBの進行速度や到達位置を変更することができる。
なお、ボールBが、移動路25a内の途中の移動路形成板27−1〜27−5に到達して停止してしまった場合には、そのボールBは、図示しない回収装置により、ゲーム機1の内部に回収される。
【0040】
図2に示すように、移動路25aから飛び出したボールBが入賞すると、ボール入賞センサ42−1〜42−3が、制御部60が検出信号を制御部60に信号が出力し、ゲーム進行制御部61がメダル3の放出処理をする。ゲーム進行制御部61は、メダル貯留部(図示せず)を駆動して、メダル放出口からプッシャ台11にメダル3を放出する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のゲーム機1は、ボール移動装置20の移動路25a内でボールBが到達できた位置や、ボール移動装置20からボールBが飛び出すときの速度に応じてプレイ内容を変更することにより、プレイ内容の変化をプレイヤにわかりやすく伝えることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0043】
(変形形態)
本実施形態において、ボールの到達位置を変更するために、バネの付勢力、ボールの進入速度を変更する例を示したが、これに限定されない。例えば、移動路の傾斜を変更して、ボールBの移動方向の向きを変更する傾斜変更部を設けて、ボールに働く重力によって、ボールの到達位置等を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態のゲーム機の全体を示す正面図である。
【図2】本実施形態のステーションを示す斜視図である。
【図3】本実施形態のボール転がり部を示す斜視図である。
【図4】本実施形態のボール転がり部の構成を説明する正面図である。
【図5】本実施形態のゲーム機のブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ゲーム機
20 ボール移動装置
21 ボール上昇管
22 ボール投入口
23 らせん型上昇装置
25 ボール転がり部
25a 移動路
27,27−1〜27−5 移動路形成板
27b,27b−1〜27b−5 部分移動方向
28,28−1〜28−5 ボール進行センサ
29,29−1〜29−5 バネ
30 バネ支持板
31,32,33 ボール入賞口
34 メダル放出口
41 メダル入賞センサ
42−1〜42−3 ボール入賞センサ
50 記憶部
60 制御部
61 ゲーム進行制御部
64 付勢力制御部
65 進入速度制御部
72 付勢力変更アクチュエータ
73 上昇装置駆動モータ
B ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームで用いられる移動体を所定の移動方向に移動させるゲームの移動体移動装置であって、
前記移動体を前記移動方向に移動させる移動路をそれぞれ部分的に形成する部分移動路を有し、前記部分移動路の向きが前記移動方向に交差して前記移動体が衝突可能な方向を向いた第1状態と、前記部分移動路の向きが前記移動方向に略平行な方向を向いた第2状態との間で回転移動可能な複数の部分移動路形成部を備え、
前記部分移動路形成部は、前記第1状態にあるときに前記移動体が衝突することにより前記第2状態へと回転移動し、前記第2状態に回転移動した状態で、次に配置された部分移動路形成部に前記移動体を導くように配列されていること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームの移動体移動装置において、
前記部分移動路形成部は、前記第1状態で前記部分移動路の向きが略鉛直方向であり、前記移動方向に直交しかつ水平方向の軸回りに回転し、前記第2状態に回転移動すること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲームの移動体移動装置において、
前記部分移動路形成部を、前記第2状態から前記第1状態の方向に付勢する付勢部を備えること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のゲームの移動体移動装置において、
前記付勢部の付勢力を変更する付勢力変更部を備えること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置において、
前記移動体が前記移動路に進入する速度を変更する進入速度変更部を備えること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置において、
前記移動路の傾斜を変更して、前記移動体の前記移動方向の向きを変更する傾斜変更部を備えること、
を特徴とするゲームの移動体移動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置と、
前記移動体移動装置の移動路うち移動体が到達できた位置に応じて、プレイ内容を変更するプレイ内容変更部と、
を備えるゲーム機。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームの移動体移動装置と、
前記移動体移動装置から移動体が出るときの速度に応じて、プレイ内容を変更するプレイ内容変更部と、
を備えるゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−213543(P2009−213543A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57654(P2008−57654)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)