説明

ゲーム機及びそのコンピュータプログラム

【課題】相手プレイヤの操作に代えてCPU制御によっても違和感のないゲームプレイが可能なゲーム機を提供する。
【解決手段】ネットワーク5を介して接続された複数のゲーム機2のうちの一のゲーム機2でプレイヤが操作する自己のキャラクタに関する操作情報と、他のゲーム機2で他のプレイヤが操作する他のキャラクタに関する操作情報と、を相互に取得して各ゲーム機2間で通信ゲームを進行させるゲーム機2であって、自己のキャラクタの行動情報31と、その行動をしたときのゲーム状況に基づく行動条件Cと、を対応付けて蓄積し、行動条件Cごとに行動情報31を集計した基本データD2を生成し、他のキャラクタに関する基本データD2を取得し、各ゲーム機2間の回線が遮断された場合には、取得した基本データD2を参照して、判別した行動条件Cに対応する行動情報31に基づいて他のキャラクタの行動を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して相互に接続された複数のゲーム機間でプレイヤ同士によるゲーム中に回線が切断された場合に、相手プレイヤによる操作をコンピュータ制御に置き換えるゲーム機等に関する。
【背景技術】
【0002】
相手プレイヤとの通信対戦ゲームが途中で終了した場合に、相手プレイヤの操作をCPU制御に置き換えることで、相手プレイヤとの対戦を続行できるゲームシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−90025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多様な操作が可能なゲームの場合、相手プレイヤの操作がCPU制御に置き換わると操作の特徴が異なって違和感が生じることがある。
【0005】
そこで、本発明は相手プレイヤの操作に代えてCPU制御によっても違和感のないゲームプレイが可能なゲーム機及びそのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機は、通信回線(5)を介して接続された複数の端末(2)のうちの一の端末でプレイヤが操作する自己のキャラクタに関する操作情報と、他の端末で他のプレイヤが操作する他のキャラクタに関する操作情報と、を相互に取得して前記一の端末と前記他の端末との間で通信ゲームを進行させるゲームシステム(1)に適用され、前記複数の端末の一つとして機能することが可能なゲーム機(2)であって、プレイヤの操作に基づいて行動した前記自己のキャラクタの行動情報(31)と、その行動をしたときのゲーム状況に基づく行動条件(C)と、を対応付けて蓄積し、前記行動条件ごとに前記行動情報を集計した基本データ(D2)を生成する基本データ生成手段(10)と、前記他のキャラクタに関する基本データを取得する基本データ取得手段(10)と、前記一の端末として機能する自機と前記他の端末として機能する他機との間で、通信回線が遮断されたか否かを判別する回線遮断判別手段(10)と、前記回線遮断判別手段にて通信回線が遮断されたと判別されたときに、取得した前記他のキャラクタの基本データを参照して、前記他のキャラクタの行動を決定する行動決定手段(10)と、を備え、前記行動決定手段には、通信回線が遮断された以降、前記他のキャラクタの行動条件を判別する行動判別手段(10)が設けられ、前記行動決定手段は、前記行動判別手段にて判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて前記他のキャラクタの行動を決定することにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明のゲーム機によれば、各端末においてプレイヤが他のプレイヤとの間で通信ゲームをすると、ゲーム状況に応じた行動条件にその状況で操作した自己のキャラクタの行動情報が対応付けられて蓄積される。行動条件ごとに行動情報は集計され基本データが生成される。他のプレイヤとの間で操作情報のやりとりをしてゲームが進行するが、他のプレイヤとの間の通信回線が切断されると、他のキャラクタの行動を他のプレイヤに代わってコンピュータ制御する。このとき、他のキャラクタの行動は、基本データを参照し、判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて決定される。基本データには、自己のキャラクタの行動が蓄積されているのでプレイヤの操作傾向が反映され、回線切断時に基本データに基づいてキャラクタを制御すれば、相手プレイヤの操作に代えてCPU制御によっても違和感のないゲームプレイが可能となる。
【0008】
本発明のゲーム機の一形態において、前記複数の端末のそれぞれは、前記基本データとそのプレイヤとを対応付けて管理するデータ管理手段(20)を有するサーバ(3)と通信回線を介して相互に接続され、前記基本データ生成手段で生成された基本データをそのプレイヤと対応付けて前記サーバへ送信する基本データ送信手段(10)をさらに備え、前記基本データ取得手段は、前記サーバから前記他のキャラクタに関する基本データを取得してもよい。この形態によれば、基本データはプレイヤごとに対応付けられてサーバで管理されるので、基本データを一元管理することができる。不特定多数がプレイする端末であってもプレイヤの特定をし、基本データの送受信が可能となる。
【0009】
基本データ送信手段が設けられた形態において、前記基本データ送信手段は、プレイヤによる通信ゲームのプレイの終了時に前記基本データを前記サーバへ送信してもよい。この形態によれば、プレイヤのプレイ中は、そのプレイ中の行動情報を行動条件に対応付けて集計し、基本データを生成し、プレイ終了時に生成した基本データをサーバへ送信することで、効率的に基本データを送信できる。
【0010】
本発明のゲーム機の一形態において、前記基本データ取得手段は、通信ゲームが開始される前に前記他のキャラクタに関する基本データを取得してもよい。この形態によれば、通信ゲームが開始される前の準備設定期間中に基本データを取得しておくことで、ゲーム進行中に回線が切断されたとしても他のキャラクタの行動を基本データに基づいて制御できる。
【0011】
本発明のゲーム機の一形態において、前記行動条件には、前記基本データを生成すべきプレイヤに対するゲーム相手となる相手プレイヤが操作する相手キャラクタの行動が複数設定され、前記基本データ生成手段は、前記相手キャラクタの行動ごとに割り当てられた行動条件のうちの一つを前記行動情報と対応付けて蓄積した基本データを生成してもよい。この形態によれば、ゲーム相手となる相手プレイヤの操作する相手キャラクタの行動に応じて、自己のキャラクタの行動が変わってくるので、相手キャラクタの行動ごとに対応付けた行動条件を複数用意し、これにより行動条件を判別することでプレイヤの操作傾向を詳細にデータ化することができ、CPU制御によるキャラクタの行動制御に反映することができる。
【0012】
本発明のゲーム機の一形態において、前記行動条件には、前記基本データを生成すべきプレイヤの操作するキャラクタの位置情報が設定され、前記基本データ生成手段は、前記位置情報ごとに割り当てられた行動条件を前記行動情報と対応付けて蓄積した基本データを生成してもよい。この形態によれば、プレイヤの操作するキャラクタの位置情報に行動情報が対応付けられる。位置情報ごとにキャラクタの操作に特徴が出る場合に、ゲームにプレイヤの操作傾向を反映させることができ、CPU制御によるキャラクタの行動制御に反映することができる。
【0013】
本発明のゲーム機の一形態において、前記基本データは、プレイヤの各操作に基づいて選択された前記自己のキャラクタの行動の回数を前記行動条件ごとに集計し、前記各操作に対応する前記自己のキャラクタの各行動の頻度を算出することで生成されてもよい。この形態によれば、行動情報は、同じ行動条件でプレイしたときの自己のキャラクタの行動の回数を集計するので、行動条件ごとにプレイヤの操作傾向が表れた行動情報を得ることができる。
【0014】
本発明のゲーム機の一形態において、前記他のプレイヤとの間でプレイされる通信ゲームが対戦ゲームであり、前記行動情報には、前記他のプレイヤへの攻撃行動に関する項目と、前記他のプレイヤからの攻撃に対する回避行動に関する項目と、が含まれていてもよい。この形態によれば、対戦ゲームであれば、ゲーム状況によってとり得る操作が都度変更されるので、プレイヤの攻撃に関する操作や回避に関する操作を行動情報として蓄積することでプレイヤの操作傾向に沿ったキャラクタの制御ができる。なお、攻撃行動に関する項目及び回避行動に関する項目以外の項目が含まれていてもよい。
【0015】
本発明のコンピュータプログラムは、、通信回線(5)を介して接続された複数の端末(2)のうちの一の端末でプレイヤが操作する自己のキャラクタに関する操作情報と、他の端末で他のプレイヤが操作する他のキャラクタに関する操作情報と、を相互に取得して前記一の端末と前記他の端末との間で通信ゲームを進行させるゲームシステム(1)に適用され、前記複数の端末の一つとして機能することが可能なゲーム機(2)のコンピュータを、プレイヤの操作に基づいて行動した前記自己のキャラクタの行動情報(31)と、その行動をしたときのゲーム状況に基づく行動条件(C)と、を対応付けて蓄積し、前記行動条件ごとに前記行動情報を集計した基本データ(D2)を生成する基本データ生成手段(10)、前記他のキャラクタに関する基本データを取得する基本データ取得手段(10)、前記一の端末として機能する自機と前記他の端末として機能する他機との間で、通信回線が遮断されたか否かを判別する回線遮断判別手段(10)、及び、前記回線遮断判別手段にて通信回線が遮断されたと判別されたときに、取得した前記他のキャラクタの基本データを参照して、前記他のキャラクタの行動を決定する行動決定手段(10)、として機能させ、前記行動決定手段には、通信回線が遮断された以降、前記他のキャラクタの行動条件を判別する行動判別手段(10)が設けられ、前記行動決定手段が、前記行動判別手段にて判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて前記他のキャラクタの行動を決定する、として機能させるように構成されたものである。本発明のプログラムをゲーム機のコンピュータにて実行することにより、そのゲーム機を本発明のゲーム機として機能させることができる。
【0016】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、各端末においてプレイヤが他のプレイヤとの間で通信ゲームをすると、ゲーム状況に応じた行動条件にその状況で操作した自己のキャラクタの行動情報が対応付けられて蓄積される。行動条件ごとに行動情報は集計され基本データが生成される。他のプレイヤとの間で操作情報のやりとりをしてゲームが進行するが、他のプレイヤとの間の通信回線が切断されると、他のキャラクタの行動を他のプレイヤに代わってコンピュータ制御する。このとき、他のキャラクタの行動は、基本データを参照し、判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて決定される。基本データには、自己のキャラクタの行動が蓄積されているのでプレイヤの操作傾向が反映され、回線切断時に基本データに基づいてキャラクタを制御すれば、相手プレイヤの操作に代えてCPU制御によっても違和感のないゲームプレイが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機が適用されるゲームシステムの全体構成を示す図。
【図2】ゲームシステムのブロック図。
【図3】制御ユニットが実行する基本データ生成処理ルーチンを示すフローチャート。
【図4】行動情報の原データの一例を示す表。
【図5】行動条件の種類を示したテーブルの一例を示す表。
【図6】基本データの一例を示す表。
【図7】制御ユニットが実行する基本データ送信処理ルーチンを示すフローチャート。
【図8】制御ユニットが実行する行動決定処理ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一形態に係るゲーム機が適用されるゲームシステムの全体構成を図1に示す。ゲームシステム1は、複数の端末としての複数のゲーム機2と、サーバとしてのセンターサーバ3とがルータ4を介して通信回線としてのネットワーク5にそれぞれ接続されている。ネットワーク5は、好適にはインターネットである。各ゲーム機2は、ゲームの対価としてプレイ料金を徴収する商用のゲーム機として構成されている。ゲーム機2は、店舗6等の商業施設に適当な台数ずつ設置される。ゲーム機2とルータ4との間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機2がセンターサーバ3と通信可能に接続されてもよい。
【0020】
センターサーバ3は、ゲームシステム1の運営者によって設置され、ネットワーク5を介した各種のサービスをゲーム機2又はそのゲーム機2のユーザであるプレイヤに提供する。一例として、センターサーバ3は、ゲーム機2を介したゲームプログラムあるいはデータの更新サービス、ゲーム機2のプレイヤをそのID(以下、プレイヤIDと呼ぶことがある。)及びパスワードによって認証し、そのプレイヤのプレイ履歴、セーブデータ等を含んだプレイデータをセンターサーバ3上に保管するサービス等を提供する。なお、図1では一台のセンターサーバ3が図示されているが、複数のセンターサーバ3を設置し、それらの間でネットワークサービスに必要な処理を分担させてもよい。ゲーム機2及びセンターサーバ3には、ネットワーク5上でそれぞれを識別するためのユニークなアドレスが付されており、ゲーム機2同士あるいはゲーム機2とセンターサーバ3との間の通信では、そのアドレスを利用して通信相手が特定される。
【0021】
図2に上述したゲームシステム1のブロック図を示す。ゲーム機2は、制御ユニット10を備えている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット10は、外部記憶装置11、ゲームの入力装置12、モニタ(一例として液晶ディスプレイ装置)13、及びスピーカユニット14が接続されている。外部記憶装置11は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を含む記憶装置である。入力装置12は、プレイヤの操作を受け付ける複数の操作部(不図示)を含み、それらの操作部の操作に対応した信号を制御ユニット10に出力する。入力装置12は、一例として拳銃等の武器を模したガン型のコントローラである。入力装置12を操作するプレイヤは、モニタ13の画面に適宜に表示される標的にコントローラの銃口を向け、トリガを引くことでその標的を銃撃することができる。なお、銃口の向きを検出するセンサ等は周知技術を利用してよい。
【0022】
制御ユニット10は、外部記憶装置11に記録されたゲーム機用プログラム15を読み取って実行することにより、制御ユニット10の内部には論理的装置としてのゲーム実行部16、基本データ生成部17、及びデータ送受信部18が設けられる。ゲーム実行部16はゲーム機用プログラム15に従ってゲーム機2でゲームを実行し、その進行を管理する。基本データ生成部17は、ゲーム機2で実行されるゲームの進行に応じて基本データ31を生成する。データ送受信部18は、生成された基本データ31のセンターサーバ3への送信、及びセンターサーバ3に相手プレイヤの基本データ31の取得要求及び受信を行う。センターサーバ3は、制御ユニット20と外部記憶装置21とを備える。制御ユニット20も制御ユニット10と同様のコンピュータユニットである。制御ユニット20は、外部記憶装置21に記録されたサーバ用プログラム22を読み取って実行することにより、制御ユニット20内には論理的装置としての基本データ管理部23が設けられる。基本データ管理部23は、各ゲーム機2から送信される基本データ31をプレイヤIDと対応付けて管理し、また、各ゲーム機2からの要求に応じて基本データ31をゲーム機2へ送信する。
【0023】
ゲーム機2で実行されるゲームとして、ネットワーク5を介した他のゲーム機2との間での通信対戦ゲームがあげられる。ゲーム実行部16は、通信対戦ゲームの一例として、プレイヤが操作対象として設定された自己のキャラクタを操作して仮想的なゲーム空間を探索し、所定のミッションを遂行できるか否かを競うアクションタイプのゲームを実行する。プレイヤはガン型コントローラである入力装置12を操作し、対戦相手となる他のプレイヤが操作する他のキャラクタと戦い、成績を競う。
【0024】
図3のフローチャートを参照して制御ユニット10が実行する基本データ生成処理を説明する。この処理は、ゲーム進行中におけるプレイヤが操作する自己のキャラクタの行動に関し、行動情報を取得し、プレイごとに集計して基本データを生成するものである。制御ユニット10はまずステップS1でプレイヤが自己のキャラクタを操作したか否かを判断する。自己のキャラクタを操作している場合、制御ユニット10は、次のステップS2に進んで操作した自己のキャラクタの行動情報の原データを取得する。図4に行動情報の原データD1の一例を示す。原データD1を取得する範囲としては、ミッションごと、シーンごと等、所定の区切りを設けて取得すればよい。行動情報の原データD1として、攻撃系では使用する武器や攻撃回数、攻撃までの時間等のデータを取得し、回避系では相手からの攻撃に対して、ローリングする回数やしゃがむ回数、後退する回数等のデータを取得し、移動系では索敵する回数、移動する方向として幹線を選択する回数、裏道を選択する回数等のデータを取得する。取得するデータとしてプレイヤの操作可能な自己のキャラクタの行動を適宜取得すればよい。なお、行動情報の原データD1は、行動情報に含まれる概念である。
【0025】
次のステップS3で制御ユニット10は、ステップS2で取得した行動情報の原データD1における行動条件を取得する。行動条件として、対戦相手となる他のプレイヤの操作する他のキャラクタの行動が設定される。図5は行動条件Cの種類を示したテーブルT1の一例である。テーブルT1には、他のキャラクタの行動、例えば、マシンガンによる攻撃やライフルによる攻撃、ローリング等の他のキャラクタの予想される行動が条件ごとに設定されている。テーブルT1を参照して、行動情報を取得したときの他のキャラクタの行動として妥当な行動条件C1〜Cnのいずれかひとつが指定され、取得される。行動条件Cは、他のキャラクタの行動ごとに指定してもよく、その範囲でステップS2の原データD1を取得してもよい。
【0026】
次のステップS4で制御ユニット10は、ステップS2で取得した原データD1及びステップS3で取得した行動条件を対応付けるとともに、行動条件ごとに原データD1を集計し、行動情報31を生成する。集計された原データD1は行動情報31となり、行動情報31と行動条件Cとが対応付けられて、基本データD2が生成される。図6に基本データD2の一例を示す。基本データD2は、行動条件Cごとに集計され、行動情報の原データD1で取得した各項目の頻度、つまりその行動が行われる割合や平均が算出される。これにより、行動条件Cごとにプレイヤがよく使う武器や、攻撃までの時間、よく行う行動等が特徴づけられる。基本データD2は、原データD1が取得されるごとに集計され、更新される。そして、ステップS4の後、あるいはステップS1でプレイヤが自己のキャラクタを操作していないときは、制御ユニット10は今回の処理を終了する。
【0027】
上述の処理においては、プレイヤが自己のキャラクタを操作すると(ステップS1)、操作される自己のキャラクタの行動情報の原データD1を取得(ステップS2)するとともに、そのときの行動条件Cも取得する(ステップS3)。取得した原データD1を行動条件Cごとに集計して行動情報31とし、その行動条件Cと対応付けて基本データD2を生成する(ステップS4)。基本データD2を生成することで、プレイヤの操作する自己のキャラクタの特徴がデータ化され、各プレイヤの癖や操作傾向を把握することができる。なお、制御ユニット10の基本データ生成部17が実行するステップS2〜ステップS4の処理が基本データ生成手段として機能する。
【0028】
次に図7のフローチャートを参照して制御ユニット10が実行する基本データ送信処理を説明する。この処理は、上述の基本データ生成処理で生成された基本データD2をセンターサーバ3へ送信するための処理である。まず制御ユニット10は、ステップS11でプレイヤの操作によるプレイが終了したか否かを判断する。プレイの終了タイミングとして、プレイ料金の徴収によりプレイ可能な期間が終了したときや、ステージクリア時等、適宜設定してよい。終了した場合、制御ユニット10は、次のステップS12に進んでプレイヤIDと対応付けられた基本データD2をセンターサーバ3に送信する。基本データD2は、上述の基本データ生成処理で生成されたものである。センターサーバ3に送信された基本データD2は、基本データ管理部23でプレイヤIDごとに管理される。すでに管理されている基本データD2に対し、送信されてきた新たな基本データD2を集計し、最新の基本データD2として管理する。この場合に制御ユニット20の基本データ管理部23で実行される処理がデータ管理手段として機能する。なお、基本データD2の管理方法は適宜変更してもよく、例えば、ゲームプレイ時にプレイヤの基本データD2をサーバ3から取得し、ゲーム機2側で基本データD2を集計し、最新の基本データD2をサーバ3へ送信するようにしてもよい。ステップS12の後、制御ユニット10は、今回の処理を終了する。
【0029】
上述の処理によれば、プレイヤのプレイ終了後(ステップS11)、生成した基本データD2をセンターサーバ3に送信し(ステップS12)、センターサーバ3にてプレイヤIDごとに基本データD2を管理する。制御ユニット10のデータ送受信部18がステップS12を実行することにより、基本データ送信手段として機能する。
【0030】
次に図8のフローチャートを参照して制御ユニット10が実行する行動決定処理を説明する。この処理は、他のプレイヤの操作するゲーム機2との間でネットワーク5の回線が切断された場合に、ゲーム相手となる他のプレイヤの基本データD2をもとに他のプレイヤの操作する他のキャラクタの行動を決定するものである。この処理が実行されるにあたって予めゲーム機2の制御ユニット10は、センターサーバ3で管理されている他のプレイヤの基本データD2を含むプレイヤ情報を要求し、受信する。ゲーム開始される前も含むゲーム開始時、つまりプレイヤがプレイ料金を支払い、対戦相手となる他のプレイヤが決定した時点で受信する他のプレイヤのプレイヤ情報に基本データD2が含まれている。この場合に制御ユニット10のデータ送受信部18はデータ受信手段として機能する。
【0031】
行動決定処理において、制御ユニット10は、まずステップS21で他のプレイヤの操作するゲーム機2との間で通信回線が切断されたか否かを判別する。良好に通信が維持されている場合には、制御ユニット10は今回の処理を終了する。一方、他のプレイヤの操作するゲーム機2との間で、通信回線が遮断された場合には、制御ユニット10はステップS22に進み、他のキャラクタについて行動条件を判別する。この場合において、行動を決定すべきキャラクタは対戦相手のキャラクタなので、その相手となる他のプレイヤの操作する他のキャラクタはプレイヤの操作する自己のキャラクタであり、その自己のキャラクタに関する行動条件を判別する。例えば、自己のキャラクタがマシンガンで攻撃している場合には、テーブルT1を参照して、行動条件C1が判別される。続くステップS23で制御ユニット10は、行動情報31を取得する。ステップS22にて行動条件C1が判別されているので、行動条件C1と対応付けられた行動情報31を取得する。そしてステップS24で制御ユニット10は行動情報31に基づいて相手プレイヤの行動を決定する。行動情報31には、相手プレイヤが選択する行動の傾向が特徴づけられているので、例えば、武器の選択時には使用武器の頻度に応じて選択したり、攻撃時には敵を見つけてから打つまでの時間を相手プレイヤの平均的な時間にあわせたり、攻撃の命中率を相手プレイヤの平均命中率にあわせたりすることができる。行動情報31で特定される割合や平均に応じて相手キャラクタの行動を制御すればよい。ステップS24の後、制御ユニット10は今回の処理を終了する。
【0032】
上述の処理によれば、ネットワーク回線が切断される(ステップS21)と、他のプレイヤからの操作が不能となった他のキャラクタの行動を決定する。制御ユニット10は、対象となる他のキャラクタの対戦相手となる自己のキャラクタの行動条件を判別し(ステップS22)、行動条件に対応付けられた行動情報31を取得する(ステップS23)。その行動情報31に基づいて相手キャラクタの行動を決定する(ステップS24)。キャラクタの操作はプレイヤごとの個性が表れやすく、各自の操作特性を基本データD2としてデータ化することで、CPU制御となってもプレイヤに操作されているキャラクタの行動の傾向に沿った行動を制御対象となるキャラクタにさせることができる。よって、相手プレイヤの操作に代えてCPU制御によっても違和感のないゲームプレイが可能となる。制御ユニット10のゲーム実行部16が、ステップS21を実行することにより回線遮断判別手段として、ステップS22を実行することにより条件判別手段として、ステップS24を実行することにより行動決定手段としてそれぞれ機能する。
【0033】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、制御ユニット10が行動決定処理を実行することにより対戦相手となる他のキャラクタの行動を制御したがこれに限られない。例えば、他のプレイヤの操作する他のキャラクタが味方であってもよい。このような協力プレイをする場合であっても、基本データD2の生成時には、味方として行動する自己のキャラクタの行動情報の原データD1を相手キャラクタの行動条件と対応付けて取得し、集計して基本データD2を生成する。行動条件については、すでに説明した攻撃等の他に、かばう、援護等、協力プレイ特有の行動を設定してもよい。行動決定処理においても、上述した形態と同様に行動条件を判別し、対応する行動情報31に基づいて制御すべきキャラクタの行動を決定すればよい。行動情報31は、上述した形態の他にも、ゲーム機2で実行される各種の通信ゲームに応じて、プレイヤの選択可能な操作を適宜項目とし設定してよい。
【0034】
行動条件については他のキャラクタの行動で判別するとして説明したがこれに限られず、例えば、コンピュータ制御対象となるキャラクタの位置情報に基づいてもよい。基本データD2の生成時には、自己のキャラクタの行動情報の原データD1を取得するとともに、自己のキャラクタの位置する位置情報を行動条件として対応付けて、基本データD2を生成する。そして、行動決定処理においては、この基本データD2をもとに制御対象となるキャラクタの行動が制御される。位置情報は、ゲームプレイをするステージや予め区切られたエリアを含む概念であり、ステージや予め区切られたエリアごとに行動条件を設定してもよい。ゲーム進行上キャラクタが特殊な動きをするような場所があれば位置情報を行動条件として設定し、その他の場所では上述した形態のキャラクタの行動をもとにした行動条件を設定するようにして、併用させてもよい。これにより、位置情報ごとに自己のキャラクタの操作に特徴が出る場合に、ゲームにプレイヤの操作傾向を反映させることができ、CPU制御によるキャラクタの行動制御に反映することができる。また、操作可能な自己のキャラクタが複数いる場合には、そのキャラクタごとに基本データD2を生成してもよい。また、3人以上の複数のプレイヤと対戦あるいは協力プレイをする場合には、そのプレイ状況に応じて一番関わりのあるキャラクタとの関係で行動条件を判別すればよい。
【0035】
上述の形態では、生成した基本データD2をプレイヤのゲームプレイ終了後にセンターサーバ3へ送信するとして説明したが、これに限られない。ゲーム進行に応じ適宜のタイミングで送信してもよい。また、センターサーバ3にて基本データD2を管理する形態で説明したが、これに限られない。例えば、ゲーム機2同士で通信するようなゲームシステムにおいては、自己の基本データD2を自機の外部記憶装置15内で管理し、ゲーム開始時にゲーム相手の基本データD2と交換するようにしてもよい。ゲーム開始前を含むゲーム開始時に相手プレイヤの基本データD2を受信することができれば、送信側の機器は、相手のゲーム機2であっても、センターサーバ3であってもよい。ゲーム機2が携帯型ゲーム機のような場合には、単独でゲームプレイするときに他のプレイヤの基本データD2を有していれば、他のプレイヤが操作するように制御された他のキャラクタとゲームプレイが可能となる。基本データD2の管理は、センターサーバ3の他に、プレイヤのIDカードや各種メモリーカード等に保存してもよく、この場合でもゲーム開始時に相手側のゲーム機2へ送信するようにすればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ゲームシステム
2 ゲーム機(端末)
3 センターサーバ(サーバ)
5 ネットワーク
10 制御ユニット
16 ゲーム実行部(回線遮断判別手段、条件判別手段、行動決定手段)
17 基本データ生成部(基本データ生成手段)
18 データ送受信部(基本データ送信手段、基本データ取得手段)
22 基本データ管理部(データ管理手段)
C 行動条件
D1 原データ
D2 基本データ
31 行動情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して接続された複数の端末のうちの一の端末でプレイヤが操作する自己のキャラクタに関する操作情報と、他の端末で他のプレイヤが操作する他のキャラクタに関する操作情報と、を相互に取得して前記一の端末と前記他の端末との間で通信ゲームを進行させるゲームシステムに適用され、前記複数の端末の一つとして機能することが可能なゲーム機であって、
プレイヤの操作に基づいて行動した前記自己のキャラクタの行動情報と、その行動をしたときのゲーム状況に基づく行動条件と、を対応付けて蓄積し、前記行動条件ごとに前記行動情報を集計した基本データを生成する基本データ生成手段と、
前記他のキャラクタに関する基本データを取得する基本データ取得手段と、
前記一の端末として機能する自機と前記他の端末として機能する他機との間で、通信回線が遮断されたか否かを判別する回線遮断判別手段と、
前記回線遮断判別手段にて通信回線が遮断されたと判別されたときに、取得した前記他のキャラクタの基本データを参照して、前記他のキャラクタの行動を決定する行動決定手段と、を備え、
前記行動決定手段には、通信回線が遮断された以降、前記他のキャラクタの行動条件を判別する行動判別手段が設けられ、前記行動決定手段は、前記行動判別手段にて判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて前記他のキャラクタの行動を決定する、ゲーム機。
【請求項2】
前記複数の端末のそれぞれは、前記基本データとそのプレイヤとを対応付けて管理するデータ管理手段を有するサーバと通信回線を介して相互に接続され、
前記基本データ生成手段で生成された基本データをそのプレイヤと対応付けて前記サーバへ送信する基本データ送信手段をさらに備え、
前記基本データ取得手段は、前記サーバから前記他のキャラクタに関する基本データを取得する請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記基本データ送信手段は、プレイヤによる通信ゲームのプレイの終了時に前記基本データを前記サーバへ送信する請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記基本データ取得手段は、通信ゲームが開始される前に前記他のキャラクタに関する基本データを取得する請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記行動条件には、前記基本データを生成すべきプレイヤに対するゲーム相手となる相手プレイヤが操作する相手キャラクタの行動が複数設定され、前記基本データ生成手段は、前記相手キャラクタの行動ごとに割り当てられた行動条件のうちの一つを前記行動情報と対応付けて蓄積した基本データを生成する請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記行動条件には、前記基本データを生成すべきプレイヤの操作するキャラクタの位置情報が設定され、前記基本データ生成手段は、前記位置情報ごとに割り当てられた行動条件を前記行動情報と対応付けて蓄積した基本データを生成する請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記基本データは、プレイヤの各操作に基づいて選択された前記自己のキャラクタの行動の回数を前記行動条件ごとに集計し、前記各操作に対応する前記自己のキャラクタの各行動の頻度を算出することで生成される請求項1〜6のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記他のプレイヤとの間でプレイされる通信ゲームが対戦ゲームであり、前記行動情報には、前記他のプレイヤへの攻撃行動に関する項目と、前記他のプレイヤからの攻撃に対する回避行動に関する項目と、が含まれている請求項1〜7のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
通信回線を介して接続された複数の端末のうちの一の端末でプレイヤが操作する自己のキャラクタに関する操作情報と、他の端末で他のプレイヤが操作する他のキャラクタに関する操作情報と、を相互に取得して前記一の端末と前記他の端末との間で通信ゲームを進行させるゲームシステムに適用され、前記複数の端末の一つとして機能することが可能なゲーム機のコンピュータを、
プレイヤの操作に基づいて行動した前記自己のキャラクタの行動情報と、その行動をしたときのゲーム状況に基づく行動条件と、を対応付けて蓄積し、前記行動条件ごとに前記行動情報を集計した基本データを生成する基本データ生成手段、前記他のキャラクタに関する基本データを取得する基本データ取得手段、前記一の端末として機能する自機と前記他の端末として機能する他機との間で、通信回線が遮断されたか否かを判別する回線遮断判別手段、及び、前記回線遮断判別手段にて通信回線が遮断されたと判別されたときに、取得した前記他のキャラクタの基本データを参照して、前記他のキャラクタの行動を決定する行動決定手段、として機能させ、
前記行動決定手段には、通信回線が遮断された以降、前記他のキャラクタの行動条件を判別する行動判別手段が設けられ、前記行動決定手段が、前記行動判別手段にて判別された行動条件に対応する行動情報に基づいて前記他のキャラクタの行動を決定する、として機能させるように構成されたコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213491(P2012−213491A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80504(P2011−80504)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】