ゲーム機
【課題】多数枚のメダルを容易に起立整列させて、メダル投入口への投入に供することが可能なゲーム機を提供する。
【解決手段】 ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてある。
【解決手段】 ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されてメダルゲームを行なうのに供されるゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のゲーム機の一例としては、いわゆるメダル落としゲーム機がある。このゲーム機は、たとえばメダル投入口から投入されたメダルを鉛直状に起立したゲーム盤の上部へと送り出し、このゲーム盤に沿って不可測的にメダルを落下させるようにしている。そして、この落下したメダルが別途設けられたいわゆるメダルプッシャ機構上に供給され、このメダルプッシャ機構上に滞積しているメダルどうしがうまく押し合い、メダルが前記メダルプッシャ機構上から所定位置に落下すると、このメダルが遊戯者に払い出されるようになっている。
【0003】
このようなゲーム機では、複数枚のメダルをメダル投入口に順次投入する必要がある。そこで、従来においては、払い出された複数枚のメダルを留置しておくためのメダル留置部とメダル投入口とを同一のテーブル上に設け、かつこのテーブルには、前記メダル留置部からメダル投入口に向けてメダルを水平な姿勢のまま1枚ずつスライド移動させるための通路を設けたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、次に述べるような問題点があった。
【0005】
第1に、メダル留置部からメダル投入口までメダルを1枚ずつしかスライド移動させることができないために、メダルの投入操作が遊戯者にとって煩わしいものとなっていた。
【0006】
第2に、上記通路上には、メダル投入口にメダルを直ちに投入できるよう予め何枚かのメダルを並べておくことができるものの、それらのメダルはいずれも水平な姿勢で置かれるために、上記通路にはメダルを多数枚置くことはできない。したがって、多数枚のメダルを扱う場合には不便となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−144741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、多数枚のメダルを容易に起立整列させて、メダル投入口への投入に供することが可能なゲーム機を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明により提供されるメダル投入装置は、ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてあることを特徴としている。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るゲーム機の参考例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示すゲーム機の前面カバーを閉じた状態の全体斜視図である。
【図3】図1に示すゲーム機に適用されたメダル投入装置を示す要部斜視図である。
【図4】図3の要部平面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図4のVI−VI断面図である。
【図7】図3のVII−VII断面図である。
【図8】図1に示すゲーム機に組み込まれている制御部およびこれに関連する主要構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示すゲーム機のゲームフィールドを示す要部正面図である。
【図10】図1に示すゲーム機に用いられているメダル送出機構の斜視図である。
【図11】図10に示すメダル送出機構の側面図である。
【図12】(a)は、他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIIa−XIIa断面図であり、(c)は、(a)のXIIb−XIIb断面図である。
【図13】(a)は、さらに他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIIIa−XIIIa断面図であり、(c)は、(a)のXIIIb−XIIIb断面図である。
【図14】(a)は、さらに他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIVa−XIVa断面図であり、(c)は、(a)のXIVb−XIVb断面図である。
【図15】(a)は、本発明に係るゲーム機の実施形態を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXV−XV断面図である。
【図16】本発明の係るゲーム機の他の実施形態を示す要部平面図である。
【図17】本発明に係るゲーム機のさらに他の参考例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の参考例および好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1〜図11は、本発明の参考例を示している。図1によく表われているように、このゲーム機Bは、いわゆるアーケード型であり、筐体1、筐体1の前面部分(手前部分)に設けられた操作テーブル10、この操作テーブル10を含んで構成されたメダル投入装置A、および前面カバー17を具備している。
【0015】
筐体1の内部には、後述のメダル落としゲームを行なうためのゲームフィールドGF、このゲームフィールドGFにメダルMを送り出すためのメダル送出機構30A〜30C、および後述の各種の機器類が設けられている。この筐体1の底部には、複数のキャスタ19や複数の支持脚18が設けられており、この筐体1を移動させるときには複数のキャスタ19を利用できるようになっている。複数の支持脚18は、高さ調整自在であり、筐体1をフロア上の所望位置に固定させる場合には、各支持脚18の下端がフロアに接触するようにその高さ調整を行ない、各キャスタ19をフロアから浮き上がらせる。
【0016】
前面カバー17は、矢印Na方向に回転可能であり、通常時は、図2に示すように筐体1の上部前面部分を覆う姿勢とされてロックされている。これにより、筐体1の外部とゲームフィールドGFとの間は前面カバー17によって仕切られ、遊戯者がゲームフィールドGF内に手などを勝手に差し入れることができないようになっている。前面カバー17は、ゲームフィールドGFを外部から透視できるように少なくともその一部が透明板を用いて形成されている。また、この前面カバー17の上部には、このメダルゲーム機Bによって実行されるゲームの名称などを記載したいわゆるポップ広告部(図示略)が設けられており、その背後には、上記広告部を背後から照明するとともにゲームフィールドGFをその上方から照明するための光源29が設けられている。
【0017】
操作テーブル10は、筐体1の前面部からその手前側に向けて略水平に突出している。図3および図4によく表われているように、この操作テーブル10の上面部には、メダル留置部15、メダル整列溝11、メダル投入口12、および複数の操作スイッチ13が設けられている。筐体1の前面部のうち、この操作テーブル10よりも上方の部分には、メダル払出口16やスピーカSPが設けられている。スピーカSPは、たとえばゲーム効果音を発したり、遊戯者へのスイッチ操作ガイドなどの音声ガイドを行なうのに利用される。メダル留置部15は、メダル払出口16から払い出される複数枚のメダルMを受けて留置しておくための部分であり、平面視矩形状の凹状に窪んでいる。
【0018】
メダル整列溝11は、複数枚のメダルMを起立姿勢で整列させるための部分であり、メダル留置部15よりも手前(遊戯者寄り)に設けられている。これらメダル整列溝11とメダル留置部15とは、適当な距離s1だけ互いに離間して設けられている。メダル整列溝11は、左右方向(筐体1の幅方向)に直線状に延びた上部開口状の凹溝であり、その内壁面は、図5および図6に示すように、メダルMの外周縁の曲率半径よりも大きな曲率半径をもつ半円弧状の曲面110を含んでいる。このメダル整列溝11の幅wは、メダルMの直径よりも大きい寸法とされている。メダル整列溝11の長手方向両端部11aのそれぞれには、図7によく表われているように、側壁111が形成されており、この側壁111の近傍の底部にメダル投入口12が開口形成されている。
【0019】
メダル投入口12は、メダルMを起立させた状態で1枚ずつ入れることができる平面視細長矩形のスリット状である。メダル整列溝11内で起立させて整列された複数枚のメダルMを、メダル整列溝11の側壁111に突き当たるまで移動させると、このメダルMはメダル投入口12内に嵌入して1枚ずつ落下することとなる。メダル投入口12の下方には、このメダル投入口12に投入されたメダルMを受け、かつこのメダルMをメダル送出機構30A,30Bに送るためのガイド部材120が設けられている。メダル整列溝11の左端のメダル投入口12(12a)に投入されたメダルMは、これに対応するメダル送出機構30Aに送られ、また右端のメダル投入口12(12b)に投入されたメダルMは、メダル送出機構30Bに送られるようになっている。ガイド部材120には、投入されたメダルMの通過を検出する投入メダルセンサSaが設けられ、この投入メダルセンサSaによってメダルMが検出されると、その検出信号はマイクロコンピュータなどを用いて構成された制御部6に送信されるように構成されている(図8参照)。
【0020】
複数の操作スイッチ13は、メダル送出機構30A,30Bを駆動させて、このメダル送出機構30A,30BからゲームフィールドGFの後述する所定箇所にメダルMを送り込ませるためのスイッチである。これら複数の操作スイッチ13としては、具体的には、連射スイッチ13a,13bと、単発スイッチ13c,13dとがある。連射スイッチ13a,13bが押圧操作された場合、メダル送出機構30A,30Bは、その押圧操作期間中は、複数枚のメダルMを一定の比較的短い時間間隔で連続して発射させるように動作する。これに対し、単発スイッチ13c,13dが操作されたときには、その操作回数と同数のメダルMがメダル送出機構30A,30Bから発射するようになっている。
【0021】
ゲームフィールドGFには、図9に示すように、ゲーム盤2Aと、このゲーム盤2Aの下部手前側に配されたプッシャゲーム機構2Bとが具備されている。ゲーム盤2Aは、略鉛直状に起立した起立壁20の手前に透明な前面カバー(図示略)が設けられ、かつこの前面カバーと起立壁20との間にメダル落下移動用の空間部が形成された構造を有している。この空間部の上部には、左右一対のメダル進入口21が設けられており、これらのメダル進入口21には、メダル供給用のガイド部材31A,31Bが繋がっている。このガイド部材31A,31Bは、後述するように、メダル送出機構30A,30Bのメダル送出部分と繋がっており、メダル送出機構30A,30Bが駆動すると、ガイド部材31A,31B内のメダルMがメダル進入口21に向けて送られて、上記空間部内に落下投入されるようになっている。
【0022】
ゲーム盤2Aには、複数の揺動部材202、複数本の釘(ピン)203、一対の回転体205、複数のチャッカ204、メダル落下口206、およびたとえば液晶表示器を用いて構成された画像表示装置207が設けられている。このゲーム盤2Aは、上記空間部を落下するメダルMが複数のチャッカ204のいずれかに入ると、これがチャッカセンサSbにより検出され、かつその検出信号が図8に示した制御部6に送信されて入賞とされ、その入賞の種類に応じてメダルMの払い出し動作、画像表示装置207を利用した電子ゲームの開始、あるいは一対の回転体204の姿勢制御などが行なわれるように構成されている。
【0023】
このゲーム盤2Aの構成をより詳細に説明すると、複数の揺動部材202は、メダル進入口21の下方において常時揺動しており、メダル進入口21から下方に落下したメダルMは、この揺動部材202に接触することによって上記空間部内の左右方向に大きく振り分け可能となっている。複数の釘203は、メダルMの落下移動を不規則に行なわせるためのものである。一対の回転板204は、通常時は一定速度で一方向に連続回転しているが、所定の入賞があると、図9に示すような姿勢でその回転が一定時間だけ停止し、それらの左右のチャッカ204(204a)にメダルMが入り易くなるようにガイドしたり、あるいは中央部のチャッカ204(204b)にメダルMが入り易くなるようにガイドする。画像表示装置207を利用して実行される電子ゲームは、たとえば複数のチャッカ204にメダルMが入ることによってその進行状況が変化するようになっており、この電子ゲームにおいて所定の「当たり」があると、メダル落下口206からプッシャゲーム機構2B上へのメダルMの払い出しが行なわれるようになっている。このメダルMの払い出しは、たとえば図1に示したメダル送出機構30Cの駆動により行なわれる。また、これ以外のメダルMの払い出し方式として、このゲーム盤2Aへのメダル投入動作と同様に、メダル送出機構30A,30Bを駆動させて、ガイド31内のメダルMをこのゲーム盤2Aに供給させる方式を採用することもできる。一対のチャッカ204(204a)を通過したメダルMは、その下方のメダル受け部214上に受けられて貯留されるようになっている。このメダル受け部214は、たとえば上記電子ゲームにおいて所定の「当たり」があると、このメダル受け部214上に貯留されている全てのメダルMをプッシャゲーム機構2B上に投入する動作を生じるようになっている。
【0024】
プッシャゲーム機構2Bは、固定台211上に可動台212が重ねられ、かつこの可動台212がモータ(図示略)の駆動によって一定のストロークで往復動を行なうように構成されたものである。可動台212が手前側に前進したときに、固定台211上に載っている複数枚のメダルMどうしが固定台211の手前に向けてうまく押し合うと、この固定材211の先端縁211aからその手前下方にメダルMが落下するようになっている。可動台212の往復動は、常時繰り返して実行されるように構成されているが、これに代えて、たとえばゲーム盤2Aにおいて実行されるゲーム結果に対応させて可動台212を間欠的に動作させるようにしてもかまわない。固定台211から落下したメダルMは、メダル払出口16へと導かれ、最終的には操作テーブル10上のメダル留置部15に払い出されるようになっている。なお、固定台211の両側方には、メダル回収口213が設けられており、このメダル回収口213に入ったメダルMは、メダル送出機構30Cに回収される。
【0025】
メダル送出機構30A,30Bは、図10および図11に示すように比較的多数枚のメダルMを貯めることが可能なホッパ部31、このホッパ部31の底部に設けられ、かつこのホッパ部31のメダルMを1枚ずつガイド部材31A,31Bへ繰り出すように回転するロータ32、ロータ駆動用のモータ33、およびロータ32が回転してガイド部材31A,31BにメダルMが繰り出される毎に信号を出力する送出メダルセンサ(図示省略)を備えて構成されている。ホッパ部31には、メダル投入口12から投入されたメダルMが送り込まれてくる一方、ゲーム機の管理者がメンテナンスなどを行なう際においてもメダルMが適宜補充される。ガイド部材31A,31Bの内部には、常時複数枚のメダルMが互いに接して並んだ状態で収容されている。
【0026】
メダル送出機構30A,30Bにおいては、ロータ32が一定角度だけ回転してホッパ31内の1枚のメダルMがガイド部材31A,31Bに繰り出されると、ガイド部材31A,31B内部のメダルMが押し上げられて、それらの先頭に位置する1枚のメダルMがゲーム盤2Aのメダル進入口21に送り出されるようになっている。連続発射の際には、ロータ32が連続的に回転することにより、ガイド部材31A,31Bからメダル進入口21へのメダルMの送り出し動作が連続して行なわれる。メダル送出機構30Cも、メダルMを送り出すための基本的な構成はメダル送出機構30A,30Bと同様であり、メダル落下口206に所望枚数のメダルMを正確に送り出すことが可能である。ただし、このメダル送出機構30Cのホッパ部31には、メダル回収口213を介して回収されたメダルMが送り込まれてくる。また、その詳細な説明は省略するが、このメダルゲーム機Bにおいては、メダル送出機構30A〜30Cのそれぞれのホッパ部31に貯留されるメダルMの枚数を調整し、メダルMに不足が生じることが回避されるように、それらホッパ部31どうしをメダル搬送機構を用いて接続し、複数のホッパ部31のいずれかのメダル貯留枚数が一定枚数以下になると、他のホッパ部31からそのホッパ部31にメダルMが供給されるようにした構成とすることもできる。
【0027】
次に、メダル投入装置Aおよびゲーム機Bの作用について説明する。
【0028】
遊戯者がメダルゲームを行なうには、メダル投入口12にメダルMを投入する必要がある。このメダル投入を行なうには、まず、遊戯者は、メダル留置部15に貯留されているメダルMを手で掴み上げ、このメダルMをメダル整列溝11に移す。このメダル整列溝11に複数枚のメダルMを移したときには、これら複数枚のメダルMは水平状態に倒れた状態にあるが、遊戯者はこれらを起立させてそれらの厚み方向に重ね合わせるように整列させる。メダル整列溝11は、複数枚のメダルMを起立保持させるのに好適な曲面110を有しているため、上記した多数のメダルMの整列は、簡単に行うことができる。
【0029】
次いで、メダル整列溝11内において起立整列させた複数枚のメダルMを、たとえば左方向に押して移動させていくと、図7に示したように、左端に位置する1枚のメダルMがメダル整列溝11の側面111に突き当たる。そして、この側面111に突き当たった1枚のメダルMは、1枚ずつ、その自重によりメダル投入口12(12a)内に落下することとなり、これによりメダル投入口12へのメダル投入がなされる。上記整列された複数枚のメダルMを左方に押し続けると、さらに次のメダルMがメダル投入口12に投入される。このように、メダル整列溝11内において整列させた複数枚のメダルMを押し続ける操作を行なうだけで、それら複数枚のメダルMが1枚ずつ順番にメダル投入口12に投入されていく。したがって、遊戯者は、多数枚のメダルMの投入操作を、容易かつ迅速に行なうことができる。もちろん、整列された複数枚のメダルMをメダル整列溝11内において右側に押圧した場合には、メダル整列溝11の右端のメダル投入口12(12b)に対してそれらを容易かつ迅速に投入することができる。
【0030】
左右一対のメダル投入口12に投入されたメダルMの枚数は、左右別々にクレジット数として制御部6によりカウントされる。たとえば、左側のメダル投入口12Aに10枚のメダルMを連続投入すると、左側のクレジット数が「10」となる。そして、左側の連射スイッチ13(13a)を押し続けると、左側のメダル送出機構30Aがクレジット数「10」と同じ枚数に達するまでメダルMが送り出され、制御部6は、それ以上はメダルMが送り出されないように制御する。左側の単発スイッチ13(13c)を操作した場合には、その操作回数に対応して左側のメダル送出機構30AがメダルMを単発的に送り出すこととなり、クレジット数はメダルMが1枚送り出されるごとに減算されるが、やはりクレジット数が「0」にならない限りは、メダルMの送り出しを継続して行なうことができる。このようなことから、遊戯者は、多数枚のメダルMを予め投入し、上記クレジット数を多くしておくことにより、その後はゲームに専念することができる。メダル落としゲームにおいては、多数枚のメダルMをゲームフィールドGFに続けて送り込んだ方が有利な場合があるが、このメダル投入装置Aではそのような要望に的確に応えることが可能であり、ゲームの面白さが増すこととなる。右側のメダル投入口12にメダルMを投入した場合にも、上記と同様な原理でメダルMの送り出し動作が行われる。
【0031】
図12〜図14は、本発明の他の参考例を示している。これらの図においては、図1〜図11に示した上記参考例と同一または類似の要素には、上記参考例と同一の符号を付している。
【0032】
図12に示す構成においては、操作テーブル10に、メダル投入口12を備えた一対のメダル整列溝11に加えて、メダル整列用補助溝5が設けられている。このメダル整列用補助溝5は、メダル整列溝11と同様に、複数枚のメダルMを起立させて整列可能な上部開口状の凹溝であり、一対のメダル整列溝11間に挟まれて左右方向に延びている。ただし、このメダル整列用補助溝5は、メダル投入口12を備えていない。
【0033】
本参考例においては、メダル留置部15に留置されている複数枚のメダルMを、メダル整列用補助溝5に投入して起立整列させておき、この起立整列された複数枚のメダルMをその後メダル整列溝11に移すという手順で、メダル投入口12へのメダル投入が可能となる。メダル留置部15のメダルをいきなりメダル整列溝11に移して、このメダル整列溝11内においてメダルMの起立整列を行なう場合には、その整列中に、メダルMが誤ってメダル投入口12に投入される虞れがあるが、本参考例においては、メダル整列用補助溝5を利用してメダルMの起立整列を行なわせることができるために、そのような虞れが防止される。また、メダル整列用補助溝5において起立整列させた複数枚のメダルMは、その状態のままストックしておき、必要に応じてそれらをメダル整列溝11に迅速に移し替えてメダル投入口12に投入することも可能となるので、便利である。さらに、メダル整列用補助溝5は、左右一対のメダル整列溝11に挟まれて設けられているため、メダル整列用補助溝5の長手方向の左端近傍で起立整列させたメダルMについては、左側のメダル整列溝11に即座に移し、また右端近傍で起立整列させたメダルMについては右側のメダル整列溝11に即座に移し替えることが可能である。
【0034】
図13に示す構成においては、複数のメダル整列用補助溝5が、メダル留置部15を挟むようにして設けられている。これら複数のメダル整列用補助溝5は、左右方向に延びており、また左右一対のメダル整列溝11も同方向に延びている。
【0035】
このような構成によれば、複数のメダル整列用補助溝5に多数枚のメダルMを収容させることが可能となり、起立整列されたメダルMを多数枚準備しておくのに好適となる。もちろん、図12に示した参考例の場合と同様に、メダル整列用補助溝5内においてメダルMを起立整列させる際に、メダルMが誤ってメダル投入口12に投入される虞れを無くすことができる。
【0036】
図14に示す構成においては、メダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。具体的には、同図(a),(b)によく表われているように、メダル整列用補助溝5は、左右方向に延びた上部開口状の凹溝として形成されているが、このメダル整列用補助溝5の長手方向に延びる一側縁部50は、メダル留置部15の上面部15aに繋がっている。
【0037】
このような構成によれば、メダル留置部15に留置された複数枚のメダルMをスライド移動させて、メダル整列用補助溝5内に落とし込むことができる。したがって、メダル留置部15内のメダルMを手で掴み上げてメダル整列用補助溝5内に移す必要が無くなり、メダルMをメダル整列用補助溝5を利用して起立整列させる作業がより迅速に行なえることとなる。また、図14に示す構成においては、一対のメダル整列溝11が延びる方向は、上記した各参考例とは異なり、メダルゲーム機の奥行き方向となっているが、メダル整列溝11を一定方向に延びた形態に形成する場合、操作テーブル10のスペースの余裕などを考慮して、メダル整列溝11が延びる方向を適宜決定すればよい。
【0038】
図15は、本発明の実施形態を示している。図15に示す構成においては、2つのメダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。各メダル整列用補助溝5は、メダルゲーム機の奥行き方向に延びた凹溝として形成されており、その底面部51の長手方向の一端部51aはメダル留置部15の上面部15aに繋がっている。そして、底面部51は、その長手方向の他端部51bに進むにしたがってその高さが徐々に低くなるように傾斜している。その余の構成は、上記した各参考例と同様とすることができる。
【0039】
このような構成によれば、やはりメダル留置部15に留置されているメダルMをスライド移動させることによってメダル整列用補助溝5内に移すことができる。また、メダル整列用補助溝5の底面部51は傾斜しているために、メダルMをこのメダル整列用補助溝5の他端部51b寄りに移動させていく過程においてこのメダルMを起立させ易い。したがって、このメダル整列用補助溝5を利用したメダルMの起立整列の作業性が良い。
【0040】
図16は、本発明の他の実施形態を示している。図16に示す構成においては、たとえば6つのメダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。各メダル整列用補助溝5の構成は、図15に示したものと同様であり、隣り合うメダル整列用補助溝5どうしは、仕切壁52を介して仕切られている。その余の構成は、上記した各参考例と同様とすることができる。
【0041】
このような構成によれば、複数のメダル整列用補助溝5に収容し得るメダルMの枚数を多くすることが可能であり、起立整列されたメダルMを多数枚準備しておくのに好適となる。もちろん、図15に示した場合と比較して、メダル留置部15から各メダル整列用補助溝5へのメダルMの移動操作性や各メダル整列用補助溝5内におけるメダルMの起立整列の容易性が損なわれるといったことも無い。
【0042】
図17は、本発明のさらに他の参考例を示している。図17に示す構成においては、操作テーブル10上に、凹皿状のメダル留置部15が設けられておらず、その代わりとして、複数のメダル整列用補助溝5が広い面積にわたって設けられている。
【0043】
このような構成によれば、たとえばメダル払出口から払い出されたメダルMは、直ちに複数のメダル整列用補助溝5内に収容され、またはこれら複数のメダル整列用補助溝5間を仕切る仕切部分上に配されることとなる。したがって、メダル整列用補助溝5内へのメダルMの収容および起立整列を迅速に行なうのに好適となる。また、図16に示した構成と比較すると、複数のメダル整列用補助溝5内に収容し得るメダルMの枚数をさらに多くすることが可能となる。
【0044】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係るメダルゲーム機の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0045】
ゲーム機において実行されるゲームの種類は、メダル落としゲームに限らない。本発明に係るメダルゲーム機は、たとえばスロットマシンとして、あるいはメダルを用いて抽選などを行ない、その抽選の結果入賞などが生じるとメダルとは異なる景品を払い出すといったメダルゲーム機として構成することもできる。もちろん、メダルゲームとメダル以外の媒体(ボールなど)を利用したゲームとを組み合わせたゲーム機として構成することもできる。これに対し、本発明に係るメダル投入装置は、ゲーム機に限らず、メダルの投入を必要とする機器であれば種々の用途に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
B ゲーム機
M メダル
10 操作テーブル(テーブル)
12 メダル投入口
15 メダル留置部
16 メダル払出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されてメダルゲームを行なうのに供されるゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のゲーム機の一例としては、いわゆるメダル落としゲーム機がある。このゲーム機は、たとえばメダル投入口から投入されたメダルを鉛直状に起立したゲーム盤の上部へと送り出し、このゲーム盤に沿って不可測的にメダルを落下させるようにしている。そして、この落下したメダルが別途設けられたいわゆるメダルプッシャ機構上に供給され、このメダルプッシャ機構上に滞積しているメダルどうしがうまく押し合い、メダルが前記メダルプッシャ機構上から所定位置に落下すると、このメダルが遊戯者に払い出されるようになっている。
【0003】
このようなゲーム機では、複数枚のメダルをメダル投入口に順次投入する必要がある。そこで、従来においては、払い出された複数枚のメダルを留置しておくためのメダル留置部とメダル投入口とを同一のテーブル上に設け、かつこのテーブルには、前記メダル留置部からメダル投入口に向けてメダルを水平な姿勢のまま1枚ずつスライド移動させるための通路を設けたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、次に述べるような問題点があった。
【0005】
第1に、メダル留置部からメダル投入口までメダルを1枚ずつしかスライド移動させることができないために、メダルの投入操作が遊戯者にとって煩わしいものとなっていた。
【0006】
第2に、上記通路上には、メダル投入口にメダルを直ちに投入できるよう予め何枚かのメダルを並べておくことができるものの、それらのメダルはいずれも水平な姿勢で置かれるために、上記通路にはメダルを多数枚置くことはできない。したがって、多数枚のメダルを扱う場合には不便となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−144741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、多数枚のメダルを容易に起立整列させて、メダル投入口への投入に供することが可能なゲーム機を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明により提供されるメダル投入装置は、ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてあることを特徴としている。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るゲーム機の参考例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示すゲーム機の前面カバーを閉じた状態の全体斜視図である。
【図3】図1に示すゲーム機に適用されたメダル投入装置を示す要部斜視図である。
【図4】図3の要部平面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図4のVI−VI断面図である。
【図7】図3のVII−VII断面図である。
【図8】図1に示すゲーム機に組み込まれている制御部およびこれに関連する主要構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示すゲーム機のゲームフィールドを示す要部正面図である。
【図10】図1に示すゲーム機に用いられているメダル送出機構の斜視図である。
【図11】図10に示すメダル送出機構の側面図である。
【図12】(a)は、他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIIa−XIIa断面図であり、(c)は、(a)のXIIb−XIIb断面図である。
【図13】(a)は、さらに他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIIIa−XIIIa断面図であり、(c)は、(a)のXIIIb−XIIIb断面図である。
【図14】(a)は、さらに他の参考例を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXIVa−XIVa断面図であり、(c)は、(a)のXIVb−XIVb断面図である。
【図15】(a)は、本発明に係るゲーム機の実施形態を示す要部平面図であり、(b)は、(a)のXV−XV断面図である。
【図16】本発明の係るゲーム機の他の実施形態を示す要部平面図である。
【図17】本発明に係るゲーム機のさらに他の参考例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の参考例および好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1〜図11は、本発明の参考例を示している。図1によく表われているように、このゲーム機Bは、いわゆるアーケード型であり、筐体1、筐体1の前面部分(手前部分)に設けられた操作テーブル10、この操作テーブル10を含んで構成されたメダル投入装置A、および前面カバー17を具備している。
【0015】
筐体1の内部には、後述のメダル落としゲームを行なうためのゲームフィールドGF、このゲームフィールドGFにメダルMを送り出すためのメダル送出機構30A〜30C、および後述の各種の機器類が設けられている。この筐体1の底部には、複数のキャスタ19や複数の支持脚18が設けられており、この筐体1を移動させるときには複数のキャスタ19を利用できるようになっている。複数の支持脚18は、高さ調整自在であり、筐体1をフロア上の所望位置に固定させる場合には、各支持脚18の下端がフロアに接触するようにその高さ調整を行ない、各キャスタ19をフロアから浮き上がらせる。
【0016】
前面カバー17は、矢印Na方向に回転可能であり、通常時は、図2に示すように筐体1の上部前面部分を覆う姿勢とされてロックされている。これにより、筐体1の外部とゲームフィールドGFとの間は前面カバー17によって仕切られ、遊戯者がゲームフィールドGF内に手などを勝手に差し入れることができないようになっている。前面カバー17は、ゲームフィールドGFを外部から透視できるように少なくともその一部が透明板を用いて形成されている。また、この前面カバー17の上部には、このメダルゲーム機Bによって実行されるゲームの名称などを記載したいわゆるポップ広告部(図示略)が設けられており、その背後には、上記広告部を背後から照明するとともにゲームフィールドGFをその上方から照明するための光源29が設けられている。
【0017】
操作テーブル10は、筐体1の前面部からその手前側に向けて略水平に突出している。図3および図4によく表われているように、この操作テーブル10の上面部には、メダル留置部15、メダル整列溝11、メダル投入口12、および複数の操作スイッチ13が設けられている。筐体1の前面部のうち、この操作テーブル10よりも上方の部分には、メダル払出口16やスピーカSPが設けられている。スピーカSPは、たとえばゲーム効果音を発したり、遊戯者へのスイッチ操作ガイドなどの音声ガイドを行なうのに利用される。メダル留置部15は、メダル払出口16から払い出される複数枚のメダルMを受けて留置しておくための部分であり、平面視矩形状の凹状に窪んでいる。
【0018】
メダル整列溝11は、複数枚のメダルMを起立姿勢で整列させるための部分であり、メダル留置部15よりも手前(遊戯者寄り)に設けられている。これらメダル整列溝11とメダル留置部15とは、適当な距離s1だけ互いに離間して設けられている。メダル整列溝11は、左右方向(筐体1の幅方向)に直線状に延びた上部開口状の凹溝であり、その内壁面は、図5および図6に示すように、メダルMの外周縁の曲率半径よりも大きな曲率半径をもつ半円弧状の曲面110を含んでいる。このメダル整列溝11の幅wは、メダルMの直径よりも大きい寸法とされている。メダル整列溝11の長手方向両端部11aのそれぞれには、図7によく表われているように、側壁111が形成されており、この側壁111の近傍の底部にメダル投入口12が開口形成されている。
【0019】
メダル投入口12は、メダルMを起立させた状態で1枚ずつ入れることができる平面視細長矩形のスリット状である。メダル整列溝11内で起立させて整列された複数枚のメダルMを、メダル整列溝11の側壁111に突き当たるまで移動させると、このメダルMはメダル投入口12内に嵌入して1枚ずつ落下することとなる。メダル投入口12の下方には、このメダル投入口12に投入されたメダルMを受け、かつこのメダルMをメダル送出機構30A,30Bに送るためのガイド部材120が設けられている。メダル整列溝11の左端のメダル投入口12(12a)に投入されたメダルMは、これに対応するメダル送出機構30Aに送られ、また右端のメダル投入口12(12b)に投入されたメダルMは、メダル送出機構30Bに送られるようになっている。ガイド部材120には、投入されたメダルMの通過を検出する投入メダルセンサSaが設けられ、この投入メダルセンサSaによってメダルMが検出されると、その検出信号はマイクロコンピュータなどを用いて構成された制御部6に送信されるように構成されている(図8参照)。
【0020】
複数の操作スイッチ13は、メダル送出機構30A,30Bを駆動させて、このメダル送出機構30A,30BからゲームフィールドGFの後述する所定箇所にメダルMを送り込ませるためのスイッチである。これら複数の操作スイッチ13としては、具体的には、連射スイッチ13a,13bと、単発スイッチ13c,13dとがある。連射スイッチ13a,13bが押圧操作された場合、メダル送出機構30A,30Bは、その押圧操作期間中は、複数枚のメダルMを一定の比較的短い時間間隔で連続して発射させるように動作する。これに対し、単発スイッチ13c,13dが操作されたときには、その操作回数と同数のメダルMがメダル送出機構30A,30Bから発射するようになっている。
【0021】
ゲームフィールドGFには、図9に示すように、ゲーム盤2Aと、このゲーム盤2Aの下部手前側に配されたプッシャゲーム機構2Bとが具備されている。ゲーム盤2Aは、略鉛直状に起立した起立壁20の手前に透明な前面カバー(図示略)が設けられ、かつこの前面カバーと起立壁20との間にメダル落下移動用の空間部が形成された構造を有している。この空間部の上部には、左右一対のメダル進入口21が設けられており、これらのメダル進入口21には、メダル供給用のガイド部材31A,31Bが繋がっている。このガイド部材31A,31Bは、後述するように、メダル送出機構30A,30Bのメダル送出部分と繋がっており、メダル送出機構30A,30Bが駆動すると、ガイド部材31A,31B内のメダルMがメダル進入口21に向けて送られて、上記空間部内に落下投入されるようになっている。
【0022】
ゲーム盤2Aには、複数の揺動部材202、複数本の釘(ピン)203、一対の回転体205、複数のチャッカ204、メダル落下口206、およびたとえば液晶表示器を用いて構成された画像表示装置207が設けられている。このゲーム盤2Aは、上記空間部を落下するメダルMが複数のチャッカ204のいずれかに入ると、これがチャッカセンサSbにより検出され、かつその検出信号が図8に示した制御部6に送信されて入賞とされ、その入賞の種類に応じてメダルMの払い出し動作、画像表示装置207を利用した電子ゲームの開始、あるいは一対の回転体204の姿勢制御などが行なわれるように構成されている。
【0023】
このゲーム盤2Aの構成をより詳細に説明すると、複数の揺動部材202は、メダル進入口21の下方において常時揺動しており、メダル進入口21から下方に落下したメダルMは、この揺動部材202に接触することによって上記空間部内の左右方向に大きく振り分け可能となっている。複数の釘203は、メダルMの落下移動を不規則に行なわせるためのものである。一対の回転板204は、通常時は一定速度で一方向に連続回転しているが、所定の入賞があると、図9に示すような姿勢でその回転が一定時間だけ停止し、それらの左右のチャッカ204(204a)にメダルMが入り易くなるようにガイドしたり、あるいは中央部のチャッカ204(204b)にメダルMが入り易くなるようにガイドする。画像表示装置207を利用して実行される電子ゲームは、たとえば複数のチャッカ204にメダルMが入ることによってその進行状況が変化するようになっており、この電子ゲームにおいて所定の「当たり」があると、メダル落下口206からプッシャゲーム機構2B上へのメダルMの払い出しが行なわれるようになっている。このメダルMの払い出しは、たとえば図1に示したメダル送出機構30Cの駆動により行なわれる。また、これ以外のメダルMの払い出し方式として、このゲーム盤2Aへのメダル投入動作と同様に、メダル送出機構30A,30Bを駆動させて、ガイド31内のメダルMをこのゲーム盤2Aに供給させる方式を採用することもできる。一対のチャッカ204(204a)を通過したメダルMは、その下方のメダル受け部214上に受けられて貯留されるようになっている。このメダル受け部214は、たとえば上記電子ゲームにおいて所定の「当たり」があると、このメダル受け部214上に貯留されている全てのメダルMをプッシャゲーム機構2B上に投入する動作を生じるようになっている。
【0024】
プッシャゲーム機構2Bは、固定台211上に可動台212が重ねられ、かつこの可動台212がモータ(図示略)の駆動によって一定のストロークで往復動を行なうように構成されたものである。可動台212が手前側に前進したときに、固定台211上に載っている複数枚のメダルMどうしが固定台211の手前に向けてうまく押し合うと、この固定材211の先端縁211aからその手前下方にメダルMが落下するようになっている。可動台212の往復動は、常時繰り返して実行されるように構成されているが、これに代えて、たとえばゲーム盤2Aにおいて実行されるゲーム結果に対応させて可動台212を間欠的に動作させるようにしてもかまわない。固定台211から落下したメダルMは、メダル払出口16へと導かれ、最終的には操作テーブル10上のメダル留置部15に払い出されるようになっている。なお、固定台211の両側方には、メダル回収口213が設けられており、このメダル回収口213に入ったメダルMは、メダル送出機構30Cに回収される。
【0025】
メダル送出機構30A,30Bは、図10および図11に示すように比較的多数枚のメダルMを貯めることが可能なホッパ部31、このホッパ部31の底部に設けられ、かつこのホッパ部31のメダルMを1枚ずつガイド部材31A,31Bへ繰り出すように回転するロータ32、ロータ駆動用のモータ33、およびロータ32が回転してガイド部材31A,31BにメダルMが繰り出される毎に信号を出力する送出メダルセンサ(図示省略)を備えて構成されている。ホッパ部31には、メダル投入口12から投入されたメダルMが送り込まれてくる一方、ゲーム機の管理者がメンテナンスなどを行なう際においてもメダルMが適宜補充される。ガイド部材31A,31Bの内部には、常時複数枚のメダルMが互いに接して並んだ状態で収容されている。
【0026】
メダル送出機構30A,30Bにおいては、ロータ32が一定角度だけ回転してホッパ31内の1枚のメダルMがガイド部材31A,31Bに繰り出されると、ガイド部材31A,31B内部のメダルMが押し上げられて、それらの先頭に位置する1枚のメダルMがゲーム盤2Aのメダル進入口21に送り出されるようになっている。連続発射の際には、ロータ32が連続的に回転することにより、ガイド部材31A,31Bからメダル進入口21へのメダルMの送り出し動作が連続して行なわれる。メダル送出機構30Cも、メダルMを送り出すための基本的な構成はメダル送出機構30A,30Bと同様であり、メダル落下口206に所望枚数のメダルMを正確に送り出すことが可能である。ただし、このメダル送出機構30Cのホッパ部31には、メダル回収口213を介して回収されたメダルMが送り込まれてくる。また、その詳細な説明は省略するが、このメダルゲーム機Bにおいては、メダル送出機構30A〜30Cのそれぞれのホッパ部31に貯留されるメダルMの枚数を調整し、メダルMに不足が生じることが回避されるように、それらホッパ部31どうしをメダル搬送機構を用いて接続し、複数のホッパ部31のいずれかのメダル貯留枚数が一定枚数以下になると、他のホッパ部31からそのホッパ部31にメダルMが供給されるようにした構成とすることもできる。
【0027】
次に、メダル投入装置Aおよびゲーム機Bの作用について説明する。
【0028】
遊戯者がメダルゲームを行なうには、メダル投入口12にメダルMを投入する必要がある。このメダル投入を行なうには、まず、遊戯者は、メダル留置部15に貯留されているメダルMを手で掴み上げ、このメダルMをメダル整列溝11に移す。このメダル整列溝11に複数枚のメダルMを移したときには、これら複数枚のメダルMは水平状態に倒れた状態にあるが、遊戯者はこれらを起立させてそれらの厚み方向に重ね合わせるように整列させる。メダル整列溝11は、複数枚のメダルMを起立保持させるのに好適な曲面110を有しているため、上記した多数のメダルMの整列は、簡単に行うことができる。
【0029】
次いで、メダル整列溝11内において起立整列させた複数枚のメダルMを、たとえば左方向に押して移動させていくと、図7に示したように、左端に位置する1枚のメダルMがメダル整列溝11の側面111に突き当たる。そして、この側面111に突き当たった1枚のメダルMは、1枚ずつ、その自重によりメダル投入口12(12a)内に落下することとなり、これによりメダル投入口12へのメダル投入がなされる。上記整列された複数枚のメダルMを左方に押し続けると、さらに次のメダルMがメダル投入口12に投入される。このように、メダル整列溝11内において整列させた複数枚のメダルMを押し続ける操作を行なうだけで、それら複数枚のメダルMが1枚ずつ順番にメダル投入口12に投入されていく。したがって、遊戯者は、多数枚のメダルMの投入操作を、容易かつ迅速に行なうことができる。もちろん、整列された複数枚のメダルMをメダル整列溝11内において右側に押圧した場合には、メダル整列溝11の右端のメダル投入口12(12b)に対してそれらを容易かつ迅速に投入することができる。
【0030】
左右一対のメダル投入口12に投入されたメダルMの枚数は、左右別々にクレジット数として制御部6によりカウントされる。たとえば、左側のメダル投入口12Aに10枚のメダルMを連続投入すると、左側のクレジット数が「10」となる。そして、左側の連射スイッチ13(13a)を押し続けると、左側のメダル送出機構30Aがクレジット数「10」と同じ枚数に達するまでメダルMが送り出され、制御部6は、それ以上はメダルMが送り出されないように制御する。左側の単発スイッチ13(13c)を操作した場合には、その操作回数に対応して左側のメダル送出機構30AがメダルMを単発的に送り出すこととなり、クレジット数はメダルMが1枚送り出されるごとに減算されるが、やはりクレジット数が「0」にならない限りは、メダルMの送り出しを継続して行なうことができる。このようなことから、遊戯者は、多数枚のメダルMを予め投入し、上記クレジット数を多くしておくことにより、その後はゲームに専念することができる。メダル落としゲームにおいては、多数枚のメダルMをゲームフィールドGFに続けて送り込んだ方が有利な場合があるが、このメダル投入装置Aではそのような要望に的確に応えることが可能であり、ゲームの面白さが増すこととなる。右側のメダル投入口12にメダルMを投入した場合にも、上記と同様な原理でメダルMの送り出し動作が行われる。
【0031】
図12〜図14は、本発明の他の参考例を示している。これらの図においては、図1〜図11に示した上記参考例と同一または類似の要素には、上記参考例と同一の符号を付している。
【0032】
図12に示す構成においては、操作テーブル10に、メダル投入口12を備えた一対のメダル整列溝11に加えて、メダル整列用補助溝5が設けられている。このメダル整列用補助溝5は、メダル整列溝11と同様に、複数枚のメダルMを起立させて整列可能な上部開口状の凹溝であり、一対のメダル整列溝11間に挟まれて左右方向に延びている。ただし、このメダル整列用補助溝5は、メダル投入口12を備えていない。
【0033】
本参考例においては、メダル留置部15に留置されている複数枚のメダルMを、メダル整列用補助溝5に投入して起立整列させておき、この起立整列された複数枚のメダルMをその後メダル整列溝11に移すという手順で、メダル投入口12へのメダル投入が可能となる。メダル留置部15のメダルをいきなりメダル整列溝11に移して、このメダル整列溝11内においてメダルMの起立整列を行なう場合には、その整列中に、メダルMが誤ってメダル投入口12に投入される虞れがあるが、本参考例においては、メダル整列用補助溝5を利用してメダルMの起立整列を行なわせることができるために、そのような虞れが防止される。また、メダル整列用補助溝5において起立整列させた複数枚のメダルMは、その状態のままストックしておき、必要に応じてそれらをメダル整列溝11に迅速に移し替えてメダル投入口12に投入することも可能となるので、便利である。さらに、メダル整列用補助溝5は、左右一対のメダル整列溝11に挟まれて設けられているため、メダル整列用補助溝5の長手方向の左端近傍で起立整列させたメダルMについては、左側のメダル整列溝11に即座に移し、また右端近傍で起立整列させたメダルMについては右側のメダル整列溝11に即座に移し替えることが可能である。
【0034】
図13に示す構成においては、複数のメダル整列用補助溝5が、メダル留置部15を挟むようにして設けられている。これら複数のメダル整列用補助溝5は、左右方向に延びており、また左右一対のメダル整列溝11も同方向に延びている。
【0035】
このような構成によれば、複数のメダル整列用補助溝5に多数枚のメダルMを収容させることが可能となり、起立整列されたメダルMを多数枚準備しておくのに好適となる。もちろん、図12に示した参考例の場合と同様に、メダル整列用補助溝5内においてメダルMを起立整列させる際に、メダルMが誤ってメダル投入口12に投入される虞れを無くすことができる。
【0036】
図14に示す構成においては、メダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。具体的には、同図(a),(b)によく表われているように、メダル整列用補助溝5は、左右方向に延びた上部開口状の凹溝として形成されているが、このメダル整列用補助溝5の長手方向に延びる一側縁部50は、メダル留置部15の上面部15aに繋がっている。
【0037】
このような構成によれば、メダル留置部15に留置された複数枚のメダルMをスライド移動させて、メダル整列用補助溝5内に落とし込むことができる。したがって、メダル留置部15内のメダルMを手で掴み上げてメダル整列用補助溝5内に移す必要が無くなり、メダルMをメダル整列用補助溝5を利用して起立整列させる作業がより迅速に行なえることとなる。また、図14に示す構成においては、一対のメダル整列溝11が延びる方向は、上記した各参考例とは異なり、メダルゲーム機の奥行き方向となっているが、メダル整列溝11を一定方向に延びた形態に形成する場合、操作テーブル10のスペースの余裕などを考慮して、メダル整列溝11が延びる方向を適宜決定すればよい。
【0038】
図15は、本発明の実施形態を示している。図15に示す構成においては、2つのメダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。各メダル整列用補助溝5は、メダルゲーム機の奥行き方向に延びた凹溝として形成されており、その底面部51の長手方向の一端部51aはメダル留置部15の上面部15aに繋がっている。そして、底面部51は、その長手方向の他端部51bに進むにしたがってその高さが徐々に低くなるように傾斜している。その余の構成は、上記した各参考例と同様とすることができる。
【0039】
このような構成によれば、やはりメダル留置部15に留置されているメダルMをスライド移動させることによってメダル整列用補助溝5内に移すことができる。また、メダル整列用補助溝5の底面部51は傾斜しているために、メダルMをこのメダル整列用補助溝5の他端部51b寄りに移動させていく過程においてこのメダルMを起立させ易い。したがって、このメダル整列用補助溝5を利用したメダルMの起立整列の作業性が良い。
【0040】
図16は、本発明の他の実施形態を示している。図16に示す構成においては、たとえば6つのメダル整列用補助溝5がメダル留置部15に繋がって設けられている。各メダル整列用補助溝5の構成は、図15に示したものと同様であり、隣り合うメダル整列用補助溝5どうしは、仕切壁52を介して仕切られている。その余の構成は、上記した各参考例と同様とすることができる。
【0041】
このような構成によれば、複数のメダル整列用補助溝5に収容し得るメダルMの枚数を多くすることが可能であり、起立整列されたメダルMを多数枚準備しておくのに好適となる。もちろん、図15に示した場合と比較して、メダル留置部15から各メダル整列用補助溝5へのメダルMの移動操作性や各メダル整列用補助溝5内におけるメダルMの起立整列の容易性が損なわれるといったことも無い。
【0042】
図17は、本発明のさらに他の参考例を示している。図17に示す構成においては、操作テーブル10上に、凹皿状のメダル留置部15が設けられておらず、その代わりとして、複数のメダル整列用補助溝5が広い面積にわたって設けられている。
【0043】
このような構成によれば、たとえばメダル払出口から払い出されたメダルMは、直ちに複数のメダル整列用補助溝5内に収容され、またはこれら複数のメダル整列用補助溝5間を仕切る仕切部分上に配されることとなる。したがって、メダル整列用補助溝5内へのメダルMの収容および起立整列を迅速に行なうのに好適となる。また、図16に示した構成と比較すると、複数のメダル整列用補助溝5内に収容し得るメダルMの枚数をさらに多くすることが可能となる。
【0044】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係るメダルゲーム機の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0045】
ゲーム機において実行されるゲームの種類は、メダル落としゲームに限らない。本発明に係るメダルゲーム機は、たとえばスロットマシンとして、あるいはメダルを用いて抽選などを行ない、その抽選の結果入賞などが生じるとメダルとは異なる景品を払い出すといったメダルゲーム機として構成することもできる。もちろん、メダルゲームとメダル以外の媒体(ボールなど)を利用したゲームとを組み合わせたゲーム機として構成することもできる。これに対し、本発明に係るメダル投入装置は、ゲーム機に限らず、メダルの投入を必要とする機器であれば種々の用途に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
B ゲーム機
M メダル
10 操作テーブル(テーブル)
12 メダル投入口
15 メダル留置部
16 メダル払出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、
上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、
上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてあることを特徴とする、ゲーム機。
【請求項1】
ゲーム機の筐体の前面部からその手前側に向けて突出するとともに所定の左右幅を有するテーブルと、メダル投入口と、上記筐体の前面部に設けられたメダル払い出し口と、上記テーブルの上面に設けられ、複数のメダルを載置可能なメダル留置部と、を備えるゲーム機であって、
上記テーブルの上面に設けられ、複数枚のメダルを起立させて整列可能な少なくとも1つのメダル整列用の溝をさらに備え、
上記溝は、その一端が上記メダル留置部に繋がって長手状に延びているとともに、上記メダル留置部から遠ざかるにしたがって低くなるように傾斜する傾斜面としてあることを特徴とする、ゲーム機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−131077(P2011−131077A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77667(P2011−77667)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2010−184575(P2010−184575)の分割
【原出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2010−184575(P2010−184575)の分割
【原出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)
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