説明

ゲーム用媒体、およびこのゲーム用媒体を用いて構成されたゲーム機

【課題】ゲームの興趣を高めるのに適したゲーム用媒体、およびこのゲーム用媒体を用いて構成されたゲーム機を提供する。
【解決手段】所定のフィールド3を有するゲーム機に用いられ、フィールド3に供給されてゲームの進行に影響を与えるゲーム用媒体b1であって、上記フィールド3において転動しうる中空状の転動体b11と、この転動体b11の内部に収容され、当該転動体b11の内部において移動自在な移動物体b12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されるアーケード型のゲーム機に用いるのに適したゲーム用媒体、および、このゲーム用媒体を用いてゲームを行うように構成されたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケード型のゲーム機としては、メダルを所定のメダルゲームフィールド内に投入してゲームを行わせるものがある。メダルゲームフィールドは、たとえば、固定プレートと、この固定プレート上において往復動する可動プレートとを備えたプッシャフィールドを含み、可動プレートによって押し出されたメダルが固定プレートの端部から落下するとプレイヤに払い出されるように構成されている。このようなゲーム機においては、メダルを用いて単純にゲームを進行させるだけでなく、たとえば、ゲームの進行状況に応じてプッシャフィールドにボールなどのメダルとは異なるゲーム用媒体を供給するとともに、この供給されたボールの移動によってその後のゲームの進行に影響を与えるように構成し、ゲームの興趣を高めるようにしたものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたゲーム機においては、同文献の図1に表れているように、メダルゲームフィールドには、電子ゲームの実行を液晶画面によって表示する画像表示装置(スロット装置20)と、プッシャフィールドとが設けられている。プッシャフィールドは、固定プレート(下段メダル載置台14)およびこの固定プレート上において往復動する可動プレート(中段メダル載置台13)を有しており、固定プレート上に載っているメダルが可動プレートによって押されて手前側の落下溝に落下すると、当該落下したメダルがプレイヤに払い出されるように構成されている。画像表示装置において展開されるコンピュータ抽選に当選すると、たとえば当選した賞に応じて、1または2以上のボールがプッシャフィールドに向けて投入される。当該ボールは、メダルが押し出されるのにともなって固定プレート上を移動し、当該ボールが落下溝に落下すると、多量のメダル獲得チャンスを有する物理的抽選が開始されるようになっている。
【0004】
プッシャフィールドを有するゲーム機において、固定プレートの端部には、たとえば落下溝へのメダルの落下を抑制するための傾斜部が設けられる。このような傾斜部を有する構成によれば、固定プレートの端部にメダルが積み重なって滞留しやすくなり、プレイヤにとっては、積み重なる複数枚のメダルが一度に落ちるのではないかという期待感が高まる。その一方、プッシャフィールドに供給されたボールを当該フィールドから落下させる場合において、固定プレートの端部に傾斜部を設けると、メダルとともに傾斜部付近まで押し出されたボールは、傾斜部付近に滞留して少し傾いたメダルの上に載った状態となるので、傾斜部において転がって奥方に戻されてしまう。その結果、固定プレートの端部からメダルが落下しても、ボールについてはなかなか落ちずにプッシャフィールド上に留まったままになるという事態が生じ得た。
【0005】
このようなプッシャフィールドからボールが落下しにくい事態を回避するために、固定プレートの端部に傾斜部を設けずにフラットにするという対策がとられる場合がある。固定プレートの端部をフラットにすると、固定プレートの端部においてメダルが滞留することはなく、メダルとともに移動するボールも固定プレートの端部からスムーズに落下する。しかしながら、このように固定プレートの端部においてメダルが滞留しない構成にすると、上記したような複数枚のメダルが一度に落ちるのではないかという期待感を得ることができず、プッシャタイプのメダルゲームの興趣に欠けてしまう。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示されたゲーム機では、固定プレートの端部に傾斜部を設ける一方、固定プレートの端部の中央一部において傾斜部を設けないフラットとされている。そして、プッシャフィールドには、ボールを中央に案内するための案内部材(ボールガイド24)が設けられている。案内部材は、ボールを固定プレートの端部中央(フラットな部位)に導きつつ、固定プレート上のメダルについては、この案内部材の下方を通過可能となっている。このような構成によれば、傾斜部において積み重なる複数枚のメダルを一度に獲得できるのではないかという期待感がそがれることはなく、また、固定プレート上のボールについても滞りなくスムーズに落下させることができる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構成において、プッシャフィールド上に供給されたボールは、案内部材に案内されて同じような移動軌跡をたどって固定プレートの端部から落下することになり、ゲームの興趣に欠ける面があった。また、案内部材を設ける構成では、プッシャフィールド周辺の構造が複雑になり、製作コストの上昇を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3481211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、フィールドに供給されたゲーム用媒体の移動によってゲームの進行に影響を与えるように構成されたゲーム機に関して、ゲームの興趣を高めるのに適したゲーム用媒体、およびこのゲーム用媒体を用いて構成されたゲーム機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0011】
本発明の第1の側面によって提供されるゲーム用媒体は、所定のフィールドを有するゲーム機に用いられ、上記フィールドに供給されてゲームの進行に影響を与えるゲーム用媒体であって、上記フィールド上において転動しうる中空状の転動体と、この転動体の内部に収容され、当該転動体の内部において移動自在な移動物体と、を備えることを特徴としている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記転動体は、中空球体である。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記移動物体は、中実球体である。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記移動物体の重量は、上記転動体の重量よりも大で
【0015】
本発明の第2の側面によって提供されるゲーム機は、本発明の第1の側面によって提供されるゲーム用媒体と、上記ゲーム用媒体が供給されるフィールドと、上記ゲーム用媒体を上記フィールドに供給するための供給機構とを備えることを特徴としている。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記フィールドは、固定プレートおよび当該固定プレート上において往復動する可動プレートを有し、上記固定プレート上に載っている遊戯媒体が上記可動プレートによって押されて上記固定プレートの端部から落下するように構成されたプッシャフィールドを含み、上記プッシャフィールドへ供給された上記ゲーム用媒体が上記固定プレートの端部から落下することによって所定のゲーム効果が生じるように構成されている。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記固定プレートの端部から落下した上記ゲーム用媒体を上記供給機構まで循環移動させるための循環機構を備え、上記循環機構は、上記ゲーム用媒体を高位置から低位置に向かって転動させるための傾斜搬送路を有する。
【0018】
好ましい実施の形態においては、上記遊戯媒体は、メダルである。
【0019】
好ましい実施の形態においては、上記固定プレートの端部には、先端に向かうにつれて上方に変位する傾斜部が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィールドに供給されてゲームの進行に影響を与えるゲーム用媒体は、中空状の転動体の内部に、移動物体が移動自在な状態で収容された構成とされている。これにより、ゲーム用媒体がフィールドに供給される際に、転動体の内部で移動物体が重力の作用で自由に移動するので、ゲーム用媒体全体の重心は、転動体の中心よりも常に下方に位置しつつ、変化している。したがって、ゲーム用媒体がフィールドに供給されるとき、内部の移動物体の動きに影響されてゲーム用媒体自体が不規則な動きをする。その結果、フィールドに供給されるゲーム用媒体の動きを予測するのが困難であるので、当該ゲーム用媒体のフィールド上での動きについてプレイヤの期待度や興奮度が高まり、ゲームの興趣を高めることができる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るゲーム機の一実施形態であるメダルゲーム機の全体外観図である。
【図2】図1に示すメダルゲーム機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すメダルゲーム機のメダルゲームフィールドの構成例を示す概略正面図である。
【図4】図3に示される構成の部分縦断面図である。
【図5】ゲーム用媒体の一例を示す断面図である。
【図6】循環機構の概略構成を模式的に表す図である。
【図7】図3に示される構成の要部拡大断面図である。
【図8】図3に示される構成の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、遊戯媒体としてメダルを用いた、いわゆるメダルゲーム機を例に挙げ、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0024】
図1〜図5は、本発明に係るゲーム機の一実施形態を示している。図1によく表われているように、本実施形態のメダルゲーム機Aは、下部筐体10上に筒状のショーケース11が載設され、かつこのショーケース11上に上部カバー12が設けられた構成を有しており、ショーケース11によって囲まれた空間部には、後述するメダルゲームフィールドMFやセンターユニットCUが設けられている。下部筐体10の外周面部には、複数の操作パネル部13が等間隔で設けられており、それらの操作パネル部13と同数の複数人(たとえば12人)が同時にゲームを行なうことができるようになっている。各操作パネル部13には、後述する抽選ゲーム等に使用される操作ボタン13Aのほか、詳細な図示説明は省略するが、メダルを溜めておくためのメダル留置部、メダル投入口などが設けられている。操作パネル部13の奥方には、メダルゲームフィールドMFから落とされたメダルを払い出すメダル払出口13Bも設けられている。また、各操作パネル部13の左右両側の下部筐体10内部には、メダル投入装置14が設けられている。メダル投入装置14は、ショーケースの外側でプレイヤにより投入されたメダルを、左右において所望の方向に向けてショーケース11内のメダルゲームフィールドMFへと投出するように構成されている。メダルゲームフィールドMFは、複数の操作パネル部13の個々に対応してたとえば計12箇所設けられている。
【0025】
メダルゲーム機Aには、図2に電気的な構成を示すように、後述する画像表示装置2やプッシャフィールド3、クルーン抽選装置6、さらにはセンターユニットCUなどの各部の動作を制御するマイクロコンピュータ7が搭載されている。
【0026】
図3に表れているように、メダルゲームフィールドMFには、液晶ディスプレイなどを用いた電子ゲーム実行用の画像表示装置2と、プッシャフィールド3と、ボール供給機構4とが設けられている。
【0027】
メダル投入装置14は、メダルmを立てたまま後述のプッシャフィールド3の可動プレート31上に転がすためのガイド部材141を備えており、このガイド部材141は、操作パネル部13に設けられたレバー13Cの操作によって横方向に所定角度範囲内で揺動可能とされている。
【0028】
図3および図4に表れているように、プッシャフィールド3は、固定プレート30上に可動プレート31が重ねられ、かつこの可動プレート31が図示しないモータの駆動によって一定のストロークで図4に矢印で示すような往復動を行なうように構成されたものである。
【0029】
図3および図4に表れているように、可動プレート31の端部には、傾斜面311が形成されており、この傾斜面311に複数のチャッカ312が横方向に所定の間隔を隔てて設けられている。各チャッカ312は、たとえば、マイクロスイッチなどを用いて構成されたセンサ312aによってメダルmの通過が検出されるように構成されている。可動プレート31が奥側に後退したときに、この可動プレート31上に載っている複数枚のメダルmどうしが奥方の壁に押されて可動プレート31の手前に向けてうまく押し合うと、可動プレート31の傾斜面311を滑ってその手前側に落下し、固定プレート30上に載る。このとき、メダルmがチャッカ312を通過すると、マイクロコンピュータ7は、画像表示装置2で展開される電子ゲームやチャッカ312を利用した所定のゲームを実行する。詳細は後述するが、当該ゲームの結果に応じて、ボール供給機構4を介して固定プレート30上にボールb1が供給される。
【0030】
図3および図4に表れているように、固定プレート30の端部には、傾斜部301が設けられている。傾斜部301は、固定プレート30の端部の略全域にわたって延びており、先端に向かうにつれて上方に変位する緩やかな傾斜がつけられている。
【0031】
可動プレート31が手前側に前進したときに、固定プレート30上に載っている複数枚のメダルmどうしが固定プレート30の手前に向けてうまく押し合うと、押し出されたメダルmが傾斜部301上を通過し、この傾斜部301の先端縁301aからその手前の落下溝32にメダルmが落下するようになっている。可動プレート31の往復動は、常時繰り返して実行されるように構成されているが、これに代えて、たとえば画像表示装置2において実行されるゲーム結果に対応させて可動プレート31を間欠的に動作させるようにしてもかまわない。落下溝32に落下したメダルmは、メダルmのホッパー装置等を有する周知のメダル払出機構(図示略)を介してメダル払出口13Bを通じて操作パネル部13上のメダル留置部(図示略)に払い出されるようになっている。固定プレート30上には、たとえばゲームの進行状況に応じて、ボールb1が散在している。このボールb1の詳細については後述する。プッシャフィールド3の奥方には、画像表示装置2において実行される電子ゲームやクルーン抽選装置6における抽選ゲームで所定の結果となった場合に固定プレート30ないし可動プレート31上にメダルmを払い出すためのメダル払出口33が設けられている。なお、固定プレート30の両側方には、メダル回収口302が設けられており、このメダル回収口302に入ったメダルmは、所定のメダル貯留部(図示略)に回収される。
【0032】
図3および図6に表れているように、ボール供給機構4は、ボールb1をプッシャフィールド3に供給するためのものであり、リフト部40と、メダルゲームフィールドMFの適所に固定された上部レール41および下部レール42とを備えて構成されている。リフト部40は、ボールb1を上部レール41に送り出すためのものである。詳細な図示説明は省略するが、リフト部40は、たとえば、複数のボールb1を各別に1個ずつ収容可能な収容部を有し、この収容部に収容されたボールb1をリフトアップ可能なベルト式のコンベアを備えて構成されている。本実施形態では、上部レール41および下部レール42は、たとえば棒材を曲げる、あるいは接合することによって形成されたものであり、ボールb1を重力の作用により高位置から低位置まで転動させる通路とされている。下部レール42の先端には、ボールb1を固定プレート30上に落下投入するための孔42aが設けられている。孔42aは、固定プレート30の略中央上方に位置している。
【0033】
ボールb1は、本発明でいうゲーム用媒体の一例であり、図5に表れているように、中空状のボール本体b11の内部に1個の重りb12が収容されたものである。ボール本体b11は、フィールド上を転動可能な転動体の一例であり、本実施形態では、中空球体とされている。重りb12は、ボール本体b11の内部において移動自在であり、中実球体とされている。
【0034】
ボール本体b11は、たとえば、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなり、半球状の2つの部材を突き合わせて行う超音波溶着によって球形に接合される。重りb12は、たとえばガラス玉からなる。ボール本体b11および重りb12のサイズおよび重量の一例を挙げると、ボール本体b11については、外径が40mm、厚さが2mm、重量が10gであり、重りb12については、外径が20mm、重量が12gである。本実施形態では、重りb12の重量がボール本体b11の重量よりも大とされている。なお、重りb12の材質については、ガラス以外にも種々のものを採用することができ、たとえば、鉄球などの金属製としてもよい。重りを鉄球で構成する場合、ガラス玉より比重が大であるので、鉄球のサイズはガラス玉のサイズより小さくすることができる。また、図5に示す場合と異なり、ボール本体b11内に2個以上の重りを収容してもよい。
【0035】
本実施形態のメダルゲーム機Aにおいては、ボール供給機構4によるボールb1の供給は、たとえば、画像表示装置2において実行されるゲームで所定の結果となったときに行われる。このとき、ボールb1は、レール41,42ないし孔42aを通過して、メダルmが敷き詰められた固定プレート30上に落下する。図4から理解されるように、固定プレート30上のボールb1は、固定プレート30上のメダルmが手前に押されるのに伴って手前に移動し、次いで固定プレート30の端部(傾斜部301)を通過して、いずれ落下溝32に落下する。
【0036】
図6に表れているように、落下溝32の下部には、落下したボールb1をボール供給機構4のリフト部40まで循環移動させるための循環機構5が設けられている。また、落下溝32の下部には、ボールb1の通過を検出するための図示しないセンサが設けられている。循環機構5は、ガイドパネル50と、このガイドパネル50の下部に連結された傾斜搬送路51とを備えている。ガイドパネル50は、上端および下端にそれぞれ開口を有し、かつ、下方に向かうにつれて先細り形状とされている。傾斜搬送路51は、たとえば棒材を曲げる、あるいは接合することによって形成されたものであり、ボールb1を高位置から低位置に向かって落下ないし転動させる通路とされている。落下溝32にボールb1が落下すると、当該落下したボールb1は、ガイドパネル50内を通過するとともに上記センサによって落下が検出され、その後、傾斜搬送路51を通過してリフト部40(ボール供給機構4)に到達する。ここで、ボールb1は、リフト部40内の上記収容部に収容された後に順次リフトアップされ、いずれはプッシャフィールド3に向けて供給される。このようにして、ボールb1は循環利用される。
【0037】
本実施形態では、落下溝32に落下したボールb1の数が3個になると、クルーン抽選装置6において抽選ゲームが実行される。図3に表れているように、クルーン抽選装置6は、ボールb2を用いて物理的抽選を行うためのものであり、ボールb2が転動する抽選盤61と、抽選盤61の中央に形成された複数(本実施形態では6個)の入賞孔62とを備えている。本実施形態では、たとえば3個の入賞孔62の各々が、後述のセンターユニットCUおける抽選に進むためのストックとなっており、ストックが3個貯まるとセンターユニットCUでの抽選の権利獲得となる。他の3個の入賞孔62は、メダル払出口33による所定枚数のメダル払い出しや画像表示装置2における電子ゲームのステップアップとなっている。
【0038】
センターユニットCUは、たとえばボールを用いて物理的抽選を行うためのものである。本実施形態においては、センターユニットCUによって実行される抽選ゲームは、たとえば最大数千枚ものメダルmが払い出される大当たり(以下、SJP(スーパージャックポット)という)を獲得するための抽選(SJP抽選)である。SJP抽選に当選すると、図示しないメダル払い出し機構を介してメダルゲームフィールドMF上にメダルmが払い出される。
【0039】
次に、メダルゲーム機Aの作用について説明する。
【0040】
本実施形態のメダルゲーム機Aにおいては、ボール供給機構4を介してプッシャフィールド3に供給されたボールb1が、固定プレート30の傾斜部301を通過して落下溝32に落下(本実施形態では3個のボールb1が落下)したことを契機として、クルーン抽選装置6による抽選ゲームが開始される。このようなことから理解されるように、プッシャフィールド3(メダルゲームフィールドMF)に供給されるボールb1は、ゲームの進行に影響を与えるものであり、このボールb1が固定プレート30の端部から落下することによって所定のゲーム効果が生じる。
【0041】
ボールb1は、中空状のボール本体b11の内部に、重りb12が移動自在な状態で収容された構成とされている。これにより、ボール供給機構4のレール41,42をボールb1が転動する際には、ボール本体b11の内部で重りb12が重力の作用で自由に移動するので、ボールb1全体の重心は、ボール本体b11の中心よりも常に下方に位置しつつ、変化している。したがって、ボールb1は、レール41,42においてスムーズに転動する。そして、図7から理解されるように、ボールb1がレール42の孔42aを通じてプッシャフィールド3上に落下するとき、内部の重りb12の動きに影響されてボールb1自体が不規則な動きをし、たとえば、孔42aの真下から左右ないし前後に転がる場合がある。ここで、ボールb1が落下溝32に近づくように動くと、プレイヤにとって有利になり、ボールb1が落下溝32から遠ざかるように動くと、プレイヤにとって不利になる。このようなことから理解されるように、プッシャフィールド3へ供給されるボールb1の動きを予測するのが困難であるので、当該ボールb1の動きについてプレイヤの期待度や興奮度が高まり、ゲームの興趣を高めることができる。
【0042】
本実施形態のボールb1において、ボール本体b11が中空球体であり、また、重りb12が中実球体であるため、ボール本体b11内での重りb12の動きの自由度が高い。このような構成によれば、プッシャフィールド3上へのボールb1の供給時に、ボールb1全体の動きがより不規則となりやすく、ゲームの興趣を高めるのに適している。
【0043】
また、本実施形態のボールb1においては、ボール本体b1の内部に収容された重りb12の重量がボール本体b11の重量よりも大とされているため、重りb12の動きがボールb1全体の動きに与える影響は、比較的に大きい。したがって、かかる構成によれば、プッシャフィールド3上へのボールb1の供給時に、ボールb1全体の動きがより不規則となりやすく、ゲームの興趣を高めるのに適している。
【0044】
プッシャフィールド3に供給されたボールb1(ゲーム用媒体)は、固定フィールド30上にて停止し、その後、固定プレート30上のメダルmが手前に押されるのに伴って手前に移動し、固定プレート30の端部(傾斜部301)に到達する。図8によく表れているように、傾斜部301においてメダルmが積み重なって滞留している。固定プレート30上に停止したボールb1については、その重心がボール本体b11の中心よりも低い位置にあるので、たとえばボールの重心が当該ボールの中心と一致する場合と比べて、停止した状態で安定している。これにより、ボールb1が傾斜部301に到達した場合、当該ボールb1は、傾斜姿勢をとるメダルmの間に比較的安定した状態で収まっている。したがって、傾斜部301上のボールb1は、傾斜姿勢にあるメダルmの間に収まった状態を維持したまま、固定プレート30の手前(図8における右側)に押し出され、やがて落下溝32に落下する。このようなことから理解されるように、本実施形態によれば、固定プレート30の端部(傾斜部301)にメダルmを滞留した状態としつつ、固定プレート30上で転動しうる球状のボールb1がこの傾斜部301において奥方(図8における左側)に戻されるのを抑制することができる。このような構成によれば、傾斜部301に積み重なる複数枚のメダルmを一度に獲得できるのではないかというプレイヤの期待感が高まり、メダルゲーム機の興趣を高めるうえで好ましい。
【0045】
なお、ゲーム用媒体が傾斜部301において奥方に戻されるのを防止する観点においては、本実施形態とは異なり、たとえばボールの代わりに角柱形状などの転動しないゲーム用媒体をプッシャフィールド上に供給することも考えられるが、転動しないゲーム用媒体を用いた場合には、本実施形態について上記したような、プッシャフィールド上へのボール(ゲーム用媒体)の供給時において当該ゲーム用媒体が予測困難な動きをするということはないので、当該ゲーム用媒体の動きについての効果を享受することができない。
【0046】
また、本実施形態の構成によれば、たとえば特許文献1を参照して上述したようなボール案内用の案内部材を設ける必要はないので、プッシャフィールド3周辺の構造を簡素にするのに適している。
【0047】
本実施形態では、落下溝32に落下したボールb1は、傾斜搬送路51(循環機構5)を通過してボール供給機構4まで循環移動させられる。ボールb1は、中空球状のボール本体b11の内部に移動自在な球状の重りb12が収容された構成であるため、当該ボールb1は、傾斜搬送路51において重力の作用によってスムーズに転動し、ボール供給機構4に到達する。本実施形態とは異なり、たとえば、ゲーム用媒体として角柱形状などの転動しないものを用いる場合において、プッシャフィールド3から落下したゲーム用媒体をボール供給機構まで循環移動させるためには動力源を利用した搬送機構が必要となる。これに対し、本実施形態の構成によれば、ボールb1(ゲーム用媒体)を循環移動させるための傾斜搬送路51(循環機構5)について動力源は不要であるので、メダルゲーム機Aの構造を簡素にするのに適している。
【0048】
なお、本実施形態のように、中空球状のボール本体b11の内部に移動自在な球状の重りb12が収容された構成のボールb1は、ボール本体b11および重りb12のいずもが転動しやすい形状であるため、傾斜搬送路51において重力の作用によってボールb1を転動させるうえで特に適する。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るゲーム用媒体およびゲーム機の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【0050】
上記実施形態においては、ゲーム用媒体として球形のボールを用いた場合を例に挙げて説明したが、ゲーム用媒体の形状はこれに限定されない。ゲーム用媒体は、フィールド上で転動しうるものであればよく、たとえば、多面体形や卵形、円柱形など他の形状を採用してもよい。
【0051】
上記実施形態では、ボール本体11(転動体)の内部に収容される重りb12(移動物体)が1個の場合を例に挙げて説明したが、上述したように、ボール本体b11内に2個以上の重りを収容してもよい。2個以上の重りを収容する場合には、1個の重りを収容する場合に比べて、ボールb1自体の動きがより不規則となりやすく、ゲームの興趣をより高めるのに適する。
【0052】
上記実施形態では、ボール本体b11(転動体)の内部に収容される重りb12(移動物体)として球形のガラス玉を用いた場合を例に挙げたが、移動物体は、転動体の内部で移動自在で転がりやすいものであれば、他の形状を採用することができる。また、移動物体については、たとえば液体や砂などの不定形の材料を用いてもよい。
【0053】
なお、上記実施形態においては、重りb12の重量がボール本体b11の重量よりも大である場合を例に挙げたが、これに限定されない。重りb12(移動物体)の重量は、ボール本体b11(転動体)の重量と同程度あるいは当該重量よりも小であってもよい。
【0054】
ボール本体b11(転動体)については、不透明材料あるいは透明材料のいずれで構成してもよい。透明材料としては、たとえばアクリル樹脂を挙げることができる。転動体を透明材料によって構成する場合、内部の重りb12(移動物体)の動作を視認することができるので、ゲームの興趣を高めることができる。
【0055】
上記実施形態においては、ゲーム用媒体をプッシャフィールド(メダルゲームフィールド)に供給する場合を例に挙げて説明したが、本発明に係るゲーム用媒体は、たとえば物理抽選装置に用いられる抽選用ボールとして用いてもよい。この場合においても、抽選用ボール(ゲーム用媒体)についてフィールド上での動きを予測するのが困難となるため、ゲームの興趣を高めることができる。
【0056】
上記実施形態においては、遊戯媒体としてメダルを用いた、いわゆるメダルゲーム機を例に挙げて説明したが、本発明は、遊戯媒体としてメダル以外の景品(たとえば、お菓子や玩具など)を用いた、いわゆる景品獲得ゲーム機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
A メダルゲーム機
b1 ボール(ゲーム用媒体)
b11 ボール本体(転動体)
b12 重り(移動物体)
m メダル(遊戯媒体)
MF メダルゲームフィールド
2 画像表示装置
3 プッシャフィールド
4 ボール供給機構
5 循環機構
30 固定プレート
301 傾斜部
31 可動プレート
32 落下溝
51 傾斜搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフィールドを有するゲーム機に用いられ、上記フィールドに供給されてゲームの進行に影響を与えるゲーム用媒体であって、
上記フィールド上において転動しうる中空状の転動体と、この転動体の内部に収容され、当該転動体の内部において移動自在な移動物体と、を備えることを特徴とする、ゲーム用媒体。
【請求項2】
上記転動体は、中空球体である、請求項1に記載のゲーム用媒体。
【請求項3】
上記移動物体は、中実球体である、請求項1または2に記載のゲーム用媒体。
【請求項4】
上記移動物体の重量は、上記転動体の重量よりも大である、請求項1ないし3のいずれかに記載のゲーム用媒体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のゲーム用媒体と、上記ゲーム用媒体が供給されるフィールドと、上記ゲーム用媒体を上記フィールドに供給するための供給機構とを備えることを特徴とする、ゲーム機。
【請求項6】
上記フィールドは、固定プレートおよび当該固定プレート上において往復動する可動プレートを有し、上記固定プレート上に載っている遊戯媒体が上記可動プレートによって押されて上記固定プレートの端部から落下するように構成されたプッシャフィールドを含み、
上記プッシャフィールドへ供給された上記ゲーム用媒体が上記固定プレートの端部から落下することによって所定のゲーム効果が生じるように構成されている、請求項5に記載のゲーム機。
【請求項7】
上記固定プレートの端部から落下した上記ゲーム用媒体を上記供給機構まで循環移動させるための循環機構を備え、
上記循環機構は、上記ゲーム用媒体を高位置から低位置に向かって転動させるための傾斜搬送路を有する、請求項6に記載のゲーム機。
【請求項8】
上記遊戯媒体は、メダルである、請求項6または7に記載のゲーム機。
【請求項9】
上記固定プレートの端部には、先端に向かうにつれて上方に変位する傾斜部が設けられている、請求項8に記載のゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205617(P2012−205617A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71482(P2011−71482)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)