説明

ゲーム装置

【課題】ゴール内の小さなエリアを狙って打ち返すなどの高度の技量を必要とせず、誰もが、実際のボールを用いたスポーツゲームを楽しむことができると共に、ゴールの難易度を任意に調整することが可能なゲーム装置を提供する
【解決手段】プレイヤに向けてボールを射出口から打出すボール射出手段と、標的へ向けてプレイヤが放ったボールを検知するボール検知手段と、ボール射出手段によるボールの打出し動作を制御するゲーム制御手段とを備え、更に、ゲーム制御手段は、ボール射出手段によってボールが打出されてからボール検知手段によってボールが検知されるまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時し、ゴール待機中の間、経過時間の長さに基づいて、プレイヤが放ったボールの打込みの成功率を変動させ、その成功率を判定要素として、ボールを放ったプレイヤに対して得点を付与するか否かを判定するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが、ボール状の飛翔体(以下、ホッケーに用いられるパック等の球状でない飛翔体を含めて「ボール」と呼ぶ)を打込む標的を備えたゲーム装置に関し、特に、プレイヤ側にボールを打出す機構を備え、サッカーやハンドボール、ホッケーなどの球技を模したスポーツゲーム用の装置として好適なゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが実際にボールを蹴ってゴールシュートの練習などを行うことができるサッカーゲーム装置若しくはサッカー遊技施設としては、PK(Penalty Kick)を念頭にして、所定位置に置いたボールを蹴るものが多い(例えば特許文献1を参照)。また、プレイヤに向けて複数種類の弾道でボールを打出すものもあるが(例えば特許文献2を参照)、従来のサッカーゲーム装置では、実際のサッカーのゴールエリアと比較してゴールエリアの大きさが小さく、また、ゴールエリアが固定されている(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−254185号公報
【特許文献2】登録実用新案第3010679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなサッカーゲーム装置等においては、一人でゴールシュートの練習などを行うことができる。また、特許文献2に開示されているように、電光掲示得点表示装置やゲーム残余時間表示灯を備えた構成とすることで、単に遊技練習施設としての利用だけでなく、ゲーム性を有する遊戯施設としての利用も可能である。
【0005】
しかしながら、従来のサッカー遊技施設やサッカーゲーム装置においては、ゴールエリアが固定されており、プレイヤはゴールエリアを常に見ている状態で、シュート等を行うことになる。そのため、サッカーの試合の臨場感や現実感が損なわれてしまい、遊戯者の満足度を充分に満たすことできないと考えられる。また、ゴールエリアが小さいため、様々なボールに対してうまくゴールに入れることは難しい場合もある。
【0006】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、様々な軌道で打出されるボールに対して、キーパー等を避けながらゴール内の小さなエリアを狙って打ち返すなどの高度の技量を必要とせず、誰もが、実際のボールを用いたスポーツゲームを楽しむことができると共に、ゴールの難易度を任意に調整することが可能なサッカーゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プレイヤがボールを打込む標的を備えたゲーム装置に関するものであり、プレイヤに向けてボールを射出口から打出すボール射出手段と、前記標的へ向けてプレイヤが放ったボールを検知するボール検知手段と、前記ボール射出手段によるボールの打出し動作を制御するゲーム制御手段とを備え、更に、前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段によってボールが打出されてから前記ボール検知手段によってボールが検知されるまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時し、前記ゴール待機中の間、前記経過時間の長さに基づいて、前記プレイヤが放ったボールの打込みの成功率を変動させ、その成功率を判定要素として、前記ボールを放ったプレイヤに対して得点を付与するか否かを判定することによって達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、前記標的は、ゴールの画像を投影表示したスクリーンであること、前記ボール検知手段は、前記標的とプレイヤとの間に設けられた枠体に配置され、前記枠体内を通過するボールを検知する複数の光センサで構成されていること、前記ボール射出手段の射出口は前記標的の脇に設けられ、前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段によってボールが打出されてから所定時間内における検知を無効とすることによって、前記ボール検知手段での前記射出口側から打出されたボールの検知とプレイヤが放ったボールの検知とを識別すること、前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段に対してボールの打出しを指令する際に、前記射出口からボールが打出されるタイミングを前記スクリーン上の映像によってプレイヤに示すこと、によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0009】
さらに、本発明の上記目的は、前記ゲーム制御手段は、プレイヤの方向にボールが飛来するシーンを含む所定のシーンが複数設定されているシナリオのデータに基づき、前記シナリオに沿った各シーンの映像を前記スクリーン上に展開すると共に、前記ボールが飛来するシーンの映像に合わせて前記射出口からボールが打出されるように前記打出し動作を制御すること、前記ゲーム制御手段は、前記ボールが飛来するシーンの映像に合わせて前記射出口からボールが打出されるタイミングの前に、前記ボールが飛来するシーンの映像から前記ゴールの画像を投影した映像へと切替えること、前記ゲーム制御手段は、前記ボール検知手段の検知情報に基づいてボールの位置を検出し、該位置に対応する前記スクリーン上にシュートされるボールの映像を表示するとともに、プレイヤに対して得点を付与するか否かを判定した結果に基づいて打込み成功または失敗のいずれかを表す映像を前記スクリーンに表示すること、によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0010】
さらに、本発明の上記目的は、前記ゲーム制御手段は、前記経過時間に基づいて前記標的のエリア内で得点不能エリアを増加させ、前記得点不能エリア内に打込まれたボールは、前記得点の付与の対象外として処理すること、前記ゲーム制御手段は、前記得点不能エリアに対応する前記スクリーン上に、ゴールを守るディフェンダーを表す映像を表示すること、前記ゲーム制御手段は、前記標的に対する打込み成功率と前記経過時間との対応関係を示すデータが設定されているテーブルを参照して、前記プレイヤが放ったボールの打込みの成功率を決定すること、前記ゲーム制御手段は、前記プレイヤが属するチームの選手及び相手チームの選手を表わす仮想の選手がゲーム空間上で得点を競う試合の進行を制御すると共に、前記試合の実行中に付与した得点に応じて、前記打込み成功率を変動させることによって、前記試合における前記相手チームの得点と前記プレイヤが属するチームの得点とが競り合うように制御すること、前記プレイヤとは異なる第2のプレイヤによって操作される操作手段を更に備え、前記操作手段からの入力を有効とするモードの場合、前記ゲーム制御手段は、前記第2のプレイヤによる前記操作手段の操作に応じた動作を行うゴールキーパーを表す映像を表示すること、によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0011】
さらに、本発明の上記目的は、前記ボール射出手段は、前記ゲーム制御手段からの指令に応じて前記射出口の開閉動作が制御可能な開閉機構を備えており、前記ゲーム制御手段は、前記射出口からボールが打出されるタイミングで前記射出口を開口すると共に、前記射出口からボールが打出されたタイミングで前記射出口を閉じるように、前記射出口の開閉動作を制御すること、複数の前記射出口と、前記射出口のそれぞれから打出されるボールの初速及び方向が互いに異なるよう設定された複数の前記ボール射出手段とを備え、前記ゲーム制御手段は、複数の前記射出口から1つを選択して打出しを行うこと、によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボールが打出されてからプレイヤがボールを打返すのに要した時間に基づいて、標的に対するボールの打込みの成功率を変動させ、例えば打返す時間が早ければシュート成功率を高くするというように、ボールを打返すまでの経過時間に応じて得点を付与するようにしている。そのため、様々な軌道で打出されるボールに対して、標的を守るキーパー等を避けながらゴール内の小さなエリア(例えばゴールの枠ぎりぎりのエリア)を狙って打ち返すなどの高度の技量を必要とせず、誰もが、サッカーやハンドボール、ホッケー等の球技を模したスポーツゲームを楽しむことが可能となる。また、標的の大きさを変えたりせずに難易度を調整することができるので、ゲーム中の得点経過に応じて難易度を上げて(シュートの成功率を下げて)、プレイヤを飽きさせないようにすることが可能となる。さらに、ゴールの画像を投影表示したスクリーンを標的とする構成とすることで、実際のサッカー等におけるゴールエリアのような大きな標的を、安価な構成で表わすことができると共に、そのスクリーン上に試合の映像を展開させたりすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1から図4は、本発明に係るサッカーゲーム装置の全体構成を概略的に示す模式図であり、図1は側面図、図2は平面図、図3は正面図、図4は外観斜視図である。
【0015】
先ず、図1を参照して本発明に係るゲーム装置の概要を説明する。
【0016】
本発明におけるサッカーゲーム装置は、サッカー競技場の競技エリアを模擬した遊戯空間部18Aの閉空間内において、プレイヤ(遊戯者)P1が実際のボール1を用いて、サッカー競技を模擬したゲームをプレイすることができるゲーム装置であり、例えば図1中のボールの弾道C1,C2に示すように、プレイヤP1に向けて打出されたボール1をプレイヤP1が足や頭で受けて、標的部11Aの標的11a(本例ではサッカーゴール)に打込む形態のゲーム装置である。ボール1は、実際のサッカーボールを用いても良いが、本例では、バスケットボール程度の柔軟性を有するボールを用いている。
【0017】
図1において、サッカーゲーム装置10(以下、「ゲーム装置」と略称する)は、サッカーゴールなどの標的11aを表わす標的部11Aと、プレイヤP1に向けて、異なる弾道でボール1を打出すことが可能な射出部12Aと、プレイヤP1と標的部11Aとの間に設けられ、プレイヤP1が放ったボール1が標的11aに打込まれたことを検出するためのボール検知部13Aと、射出部12Aからのボール1の打出制御やプレイヤP1による標的への打込みの成否(成功,失敗)の判定処理などを行う制御部14Aとを備えている。
【0018】
好ましい実施の形態では、標的部11Aは、標的11aとしてサッカーゴールの画像を投影表示したスクリーンで構成される。以下、標的部11Aをスクリーン11Aとした場合を例として説明する。
【0019】
スクリーン11Aには、制御部14Aの制御の下に、標的11aの画像やサッカーの得点を示す画像が表示される他に、図5に示すような、相手チームや自分のチームの選手が競技している映像Gなど、シナリオに沿った試合の映像(現実世界でのサッカーの試合を模した映像)が展開される。自分のチームの選手(プレイヤ以外の選手、又はプレイヤキャラクタを含む選手)と相手チームの選手は、制御部14AのCPUによって制御される仮想の選手である。本実施の形態では、仮想3次元空間内で擬似的に生成されたサッカー競技場において、3次元ポリゴンモデルで表現したプレイヤを含む各選手が競技する様子を仮想カメラから捉え、その映像をスクリーン11A上に表示するようにしている。その際の3次元の座標系から2次元の座標系へ変換してスクリーン11A上に表示する技術は、公知の技術であるため、画像処理に係る詳細な説明は省略する。
【0020】
上記のような仮想のサッカーゲームにおける試合は、各種のシーンが複数設定されているシナリオデータに基づいて進行する。そして、プレイヤの方向にボールが飛来するシーンとなった場合は、スクリーン11A上の映像によって、ボール1が打出されるタイミングがプレイヤに示される。それと同時に、制御部14Aでは、図1中の射出部12Aからボール1を打出す制御を行う。本実施の形態では、図3に示すように、スクリーン11Aの両脇にボールの射出口12a1,12a2が設けられおり、スクリーン11A上の映像に合わせて、左右の何れかの射出口12a(12a1,12a2)からボール1が打出される。本例では、プレイヤから見て左側の射出口12a1は、図1中の弾道C1で打出し、右側の射出口12a1は、図1中の弾道C2で打出すというように、プレイヤに対して異なる方向から異なる角度の弾道C2で打出すようにしている。
【0021】
制御部14Aでは、図1中の射出部12Aからボール1が打出された時間を基点として、標的11aにボールが打込まれたことを検出するまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時し、その経過時間に基づいて、標的11aに対する打込み成功率(以下「ゴール成功率」とする)を決定し、そのゴール成功率に応じて、プレイヤP1に得点を付与するか否かを判定する。そして、その判定結果に応じた映像をスクリーン11A上に表示する。
【0022】
例えば、プレイヤの方向にボールが飛来するシーンにおいて、制御部14Aは、射出部12Aから打出されたボール1をプレイヤが瞬時にシュートするとゴール成功率が高くなり、それとは逆に、プレイヤがボール1を蹴るのに時間がかかっていると、ゴールエリア内の得点不能エリアを増加させて、ゴール成功率が低くなるように制御する。その際、制御部14Aでは、スクリーン11A上に、サッカーゴール内の得点不能エリアを示すディフェンダー(ゴールを守る防御用オブジェクトの映像)を出現させる。
【0023】
そして、制御部14Aは、上記のように、プレイヤがボールを打ち返すまでの経過時間に応じて決定したゴール成功率を判定要素として、ゴールの枠内にボールを放ったプレイヤに対して得点を付与するか否かを判定した後、打込み成功または失敗のいずれかを表す映像をスクリーン11A上に表示する。例えば、得点が付与されたか否かを示すゴールキーパーの動き(ゴールの枠内に飛んできたボールのキャッチ等に失敗若しくは成功した様子)や、ゴールの枠外に飛んでいくボールの様子をスクリーン11A上に表示する。
【0024】
また、制御部14Aでは、プレイヤが属するチームの選手及び相手チームの選手を表わす仮想の選手がゲーム空間上で得点を競う試合の進行を制御し、その試合の展開をスクリーン11Aに表示するようにしている。このようなスクリーン11A上に展開されるサッカーの試合において、制御部14Aは、プレイヤがボールを蹴って得た得点を自分のチームの得点として加算する。また、シナリオに沿って相手チームのシュートシーンを提示し、そこでゴール成功の判定をした場合に相手チームの得点を加算する。その際、制御部14Aでは、試合の進行状況に応じてゴール成功率を可変する。例えば、得点に大差がつくとプレイヤの熱中度が下がってしまうため、得点差に応じてゴール成功率を変動させることによって、相手チームの得点と自分のチームの得点とが競り合うように制御する。なお、得点と前述の経過時間の他に、試合全体の経過時間もゴール成功率の変動要素とするようにしても良い。
【0025】
ここで、2人でプレイする形態について説明する。
【0026】
サッカーゲームのプレイ形態としては、1人プレイと2人以上でのプレイがある。プレイヤの方向にボールが飛来するシーンにおいては、前述のように、相手チームのゴールキーパーやディフェンダーを表わす映像がスクリーン11Aに表示される。1人プレイの時は、ゴールキーパーは、得点を付与するか否かの判定結果を示すものであり、ゴール成功率は、ゴールキーパーを示すオブジェクトの動きには左右されない。そして、ゴール成功率は前述のように、プレイヤがボールを打ち返すまでの経過時間や得点差によって決定される。一方、操作部16Aからの入力を有効するモード(2人以上でのプレイモード)の時は、図1中に示すように、例えばもう一人のプレイヤP2が、操作部16Aに設けられている「十字キー」や「ジャンプボタン」を用いて、スクリーン11A上に表示されているゴールキーパーの動きを手動で操作し、標的11aとしてのサッカーゴールにボール1が打込まれるのを防ぐようにする。このように、操作部16Aからの入力を有効とするモードの場合は、制御部14Aは、操作部16Aからの操作情報を基に、プレイヤP2の操作に応じてゴールキーパーが動作する画像を生成し、ゴールキーパーが移動したり、ジャンプしたりする様子を表す映像をスクリーン11A上に表示する。その場合、1人プレイの時とは異なり、ゴールキーパーの動作がゴール成功率の決定要素となる。
【0027】
このようなサッカーゲームに係る処理の詳細については後述するものとし、以下に、本発明に係るゲーム装置の主要な構成について説明する。
【0028】
図6は、ゲーム装置10の構成を概略的に示すブロック図であり、同図を参照して各部の構成を説明する。図6において、ゲーム装置10は、前述のスクリーン11A(標的部)、射出部12A、ボール検知部13A、制御部14A、操作部16A、及び遊戯空間部18Aの他に、標的の画像や試合の画像をスクリーン11Aに投影表示する図1中のプロジェクタ15a及びカバー体15b等から構成される投影部15Aと、図3に示すように例えばスクリーン11Aの両脇上部に配置され、ゲーム中の効果音等を出力するための音響出力部17Aと、制御部14Aからの指令により動作し、プレイヤが標的部11Aに打込んだボールを回収して射出部12Aで再使用するためのボール回収機構部19Aとを備えている。
【0029】
標的部となるスクリーン11Aは、投影手段15としてのプロジェクタ15aから投影された映像を表示するための映像表示媒体として機能すると共に、プレイヤが打込んだボールの衝突エネルギーを吸収してボールの跳ね返りを防止する衝撃緩衝媒体として機能する。
【0030】
本実施の形態では、スクリーン11Aは、表示面が150インチの大きさを有する矩形状のスクリーンであり、図3に示すように、スクリーン11Aの上端部が支持されて、天井枠体部18dから吊下げた状態で設置されている。
【0031】
射出部12Aは、ボール射出手段12として2つの射出装置を備えている。それぞれの射出装置は、プレイヤに向けてボールが打出される射出口12aと、蓋体や駆動モータ等から成り、制御部14Aからの指令に応じて射出口12aの開閉動作が制御可能な射出口開閉機構12bと、制御部14Aからの指令に応じてボールを打出す射出機構12cとを備えている。
【0032】
ボール射出手段12は、プレイヤに向けてボールを打出すタイミングで射出口12aを開口し、射出口12aからボールが打出されたタイミングで射出口12aを閉じるように、制御部14Aからの指令によって駆動制御される。これは、ボールが射出口12aから内部にボールが入ってボール射出機構を破壊したり、子供が内部を除いたりするのを回避するための対策である。
【0033】
ボール射出機構12cのボール載置部は、ボールよりも大きな曲率を有する形状で形成され、ボールの底部を不安定な状態で保持するように構成されている。それにより、垂直方向の射出角度や水平面上での射出方向が固定せずに、ボールがプレイヤに対して多様な弾道で打出されるようにしている。
【0034】
ボール検知部13Aは、ボール検知手段13として、矩形状の枠体から成るセンサ・ハウジング13aと、投光センサと受光センサとを対向配置して成る光学センサ13bとを備えており、ボールの通過により光線が遮られるのを検知することによって、プレイヤが放ったボールが矩形状の枠内を通過するのを検出する構成としている。図7は、ボール検知手段13のセンサ配置構成を示しており、各投受光センサは、標的となるサッカーゴールの枠より大きな枠体からなるセンサ・ハウジング13aに収容されている。図7の例では、センサ・ハウジング13aを形成する枠体の上側と左側に、受光センサ13b2と投光センサ13b1とを対向して配置する構成とすることにより、スクリーン11A上に表示される標的としてのサッカーゴールの領域を覆う大きさの光学式エリアセンサを形成している。本例では、隣り合う受光センサ13b2の受光信号の干渉を防止するため、投光センサ13b1と受光センサ13b2とを交互に配置した構成としている。
【0035】
このような枠状の光学式エリアセンサから成るボール検知部13Aは、プレイヤ側から見てスクリーン11Aの1m程手前に設置されている。検出領域としては、スクリーン11A上に表示されるサッカーゴールの領域を包含する領域を有している。各センサの投受光軸によって形成される分割領域は、縦及び横の距離が少なくともサッカーボールの直径よりも短くなるのが好ましい。本実施の形態では、検出領域を126分割した構成としている。
【0036】
制御部14Aは、コンピュータ14a及びコンピュータにより実行されるプログラム14b等から構成されるゲーム制御手段14を備えている。詳しくは、ゲーム制御手段14は、CPUや情報記憶媒体,基本ソフトウェア等から成るコンピュータ14a、サッカーゲームに係る情報処理をコンピュータに実行させるためのゲーム処理プログラム14b、ゲームの実行に係る各種のデータ、及び画像処理プロセッサ等から構成される。ゲーム制御手段14では、ゲーム制御手段14では、ボール検知部13Aの各受光センサ13b2からの検出データに基づいて、スクリーン上に表示されるサッカーゴールの領域におけるボールの通過位置を検出すると共に、各受光センサ13b2からの検出データ及び検出したタイミングに基づいて、シュートの成否を判定するようにしている。なお、ゲーム制御手段14における詳細な処理については、機能ブロック図とフローチャートを用いて後述する。
【0037】
投影部15Aは、直方体状の遊戯空間を形成する枠体の天井枠体部から吊り下げた状態で固定され、スクリーン上に画像を投影表示するプロジェクタ15a、及びプロジェクタ15aの下面を含む表面領域を離間して覆う形で天井枠体部に固設されるカバー体15b等から構成される。プロジェクタ15aは、本実施の形態ではフロント投影型のDLP(Digital Light Processing)プロジェクタであり、1280×1024ピクセルの画面解像度を有するSXGA(Super Extended Graphics Array)のプロジェクタ(画面の縦横比率=4:3)を用いている。カバー体15bは、プロジェクタ15aと非接触で水平方向にスライド可能なスライド機構を備えており、天井枠体部に固設された状態でスライドできるようになっている。また、カバー体15bは、弾性部材で形成されており、プロジェクタの落下防止部材として機能すると共に、プレイヤがオーバーヘッドキック等によりプロジェクタに当たった際の怪我防止部材として機能するようにしている。
【0038】
操作部16Aは、図1に示すように、遊戯空間部18Aの外部に設けられており、操作情報を入力するための操作手段16として、ゲームの開始を指示する「スタートボタン」,2人プレイ用の「十字キー」と「ジャンプボタン」,「非常停止ボタン」等を備えている。
【0039】
音響出力部17Aは、音響出力手段17としてのスピーカやサウンドプロセッサ等から構成され、審判のホイッスル音や試合開始後の効果音等を出力するために使用される。
【0040】
遊戯空間部18Aは、プレイヤの移動が可能な平面の遊戯エリア18を有する遊戯空間であり、透明パネル等で仕切られて直方体状に形成されている。遊戯エリア18は、図2に示すように、サッカー競技場の競技エリアを模擬したエリアとなっており、床面18aには、予め分割されて分割エリア毎に所定形状で形成された人工芝18cが粘着され、遊戯エリアの全域に敷設されている。また、ペナルティエリア等の部分は、「緑色の芝状部材」18c2と「白線のマーカを示す白色の線状部材」18c1とを組み合わせて成形されたものが敷設される構成となっている。このような部材を組み合わせた人工芝18cで構成することによって、芝状部材の上に白線のマーカを描いたものと比較して、マーカが薄れて消失することがなく、耐久性の優れた遊戯エリア18を提供することができる。
【0041】
また、本例では、スクリーン面に対して垂直方向の直線で分割される縦長のエリアに、濃い緑色の人工芝と薄い緑色の人工芝とを交互に配置して敷設する形態とすることで、プレイヤに遠近感を持たせるようにしている。また、遊戯空間を形成する枠体には、前述のように、プロジェクタ15aやスクリーン11Aを固設するための天井枠体部18dが設けられている。
【0042】
さらに、遊戯エリア18は、図1の例のように、床面18aの下方に枠状構造体18bを設け、弾性を持たせた枠状構造とすることによって、安全対策を施している。このような構造とすることで、遊戯エリア18において、例えばプレイヤがオーバーヘッドキックを行って着地した時にも衝撃が吸収され、怪我を回避することができる。
【0043】
また、遊戯エリア18は、標的部(スクリーン)11Aの前の遊戯禁止区域(例えばボール検知部13Aとスクリーン11Aとの間の区域)となる床面上にプレイヤが存在するか否かを検知するプレイヤ検知手段18e(例えばマットスイッチ)を備え、そのプレイヤ検知手段18eによりプレイヤの存在が検知された場合に、停止手段18fによって、ボール射出手段12によるボールの打出し動作を停止させるようにしている。また、遊戯エリア18にプレイヤが入るドア部に開閉検知センサを備え、プレイヤがゲームを開始した後に、ドアの開口を検知した場合は、停止手段18fによって、ボールの打出し動作を停止させるようにしている。これらの停止手段18fによる停止処理は、制御部14Aのゲーム制御手段14(若しくは射出部12Aのボール射出手段12)により実行される。
【0044】
ボール回収機構部19Aは、ボール回収手段19として、図1に示すように、スクリーン11Aの前側に設けられてスクリーン11A側に傾斜制御可能な傾動床面19aと、その傾動床面のスクリーン側端部に連設され、図3中に示すように、スクリーン正面から見てVの字状に傾斜制御可能なガイド部材19b1を有し、且つ傾動床面19aから転動して上記Vの字状の部分に直線状に回収されたボール1aをガイド部材19b1の傾動を制御して射出口12a(12a1、12a2)の下方に整列状態で導くガイド機構19bと、射出口12aの下方の位置からボールを上昇させてボール射出手段12のボール載置部に載置する図1中のボール搬送機構19cとを備えている。本実施の形態では、射出口12aは、スクリーンの両脇に設けられているため、ボール搬送機構19cは、ガイド部材19b1の傾動制御によって、左右の射出口12a1、12a2に振り分ける形態としている。
【0045】
ゲーム装置10は、図6に例示した各部11A〜19Aの他に、投入口から投入されたコイン(硬貨若しくはメダル)の識別や計数処理等を行うコイン識別装置等から成るコイン処理部などを備えている。
【0046】
次に、ゲーム制御手段14の構成について説明する。
【0047】
図8は、本発明に係るゲーム制御手段14が有する主要な情報処理手段を示す機能ブロック図である。なお、ゲーム制御手段14が有する各手段(機能)は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成やハードウェア構成を限定するものではない。
【0048】
ゲーム進行制御手段140は、各種のシーンが複数設定されているシナリオデータに基づいて、サッカーゲームの進行を制御する手段である。シナリオデータとしては、図9(A)及び(B)に示すように、1試合毎に内容の異なるシナリオデータSD(1),(2)が複数用意され、予めデータベース化されて記憶媒体に格納されている。各シナリオデータSD(n)は、図9(A),(B)に例示するように、入場シーン、キックOFFのシーン、前半戦及び後半戦において味方がボールを保有しているシーンとその時間帯、及び、前半戦及び後半戦において敵がボールを保有しているシーンとその時間帯を示すデータから構成され、シーン番号に対応させて時系列に記憶媒体に記憶されている。ゲーム制御手段14では、例えばゲームの開始時に、シナリオデータSD(n)群の中からランダムに1つのシナリオデータを選択し、シナリオデータに基づいて仮想のサッカーゲームの映像をスクリーン11A上に展開させる。そして、プレイヤの方向にボールが飛来するシーンとなった場合は、左右の何れかの射出口12aをシナリオに基づいて選択し、スクリーン11A上の映像によって、ボール1が打出されるタイミングをプレイヤに示すと共に、ボール射出制御手段141に対して、該当の射出口12aからボールを打出すように指令する。そして、射出口12aからボールが打出されるタイミングの前に、スクリーン上の映像を、ボールが飛来するシーンの映像からサッカーゴールの画像を投影した映像へと切替える。なお、ゲーム全体の流れについてはフローチャートを示して後述する。
【0049】
ボール射出制御手段141は、ゲーム進行制御手段140からの指令を受けて、ボール射出手段12に対してボールの打出し指令を送出し、該当の射出口12aからボールを打出させる。
【0050】
通過ボール検出手段142は、ボール検知手段13の検知情報に基づき、スクリーン11Aの前方に設けられた枠体の枠内を通過するボールを検出すると共に、ボール検知手段13の検知情報及び、図10に示すようなゴールエリアの分割情報(ボール検知手段13の分割エリアに対応するA1〜N9の分割情報)に基づき、スクリーン11A上に打込まれるボールの位置を推定し、ゴール外か、ゴールポスト又はバーか、ゴール内かを判定する。図10において、符号A1で示すエリアはゴール外、符号A2で示すエリアはゴールポスト及びバー、符号A3で示すエリアはゴール内を示している。なお、通過ボール検出手段142は、ボール射出手段12によってボールが打出されてから所定時間内における検知を無効とすることによって、ボール検知手段12での射出口側から打出されたボールの検知とプレイヤが放ったボールの検知とを識別するようにしている。
【0051】
経過時間計時手段143は、ボール射出手段12によってボールが打出された時間(指令した時間+打出すまでの遅延時間)を基点として、ボール検知手段13によってボールが検知されるまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時し、メモリに一時的に記憶する。
【0052】
打込成功率変動手段144は、経過時間計時手段143によって計時した経過時間の長さに基づいて、ゴール待機中の間、プレイヤが放ったボールのゴール成功率を変動させる。また、ゲームの実行中に付与した得点に応じて、ゴール成功率を変動させる。この変動処理は、標的に対するゴール成功率と経過時間との対応関係を示すデータが設定されているテーブル(以下「ゴール成功率判定テーブル」と呼ぶ)を参照して行う。図11は、ゴール成功率判定テーブルTBの一例を示しており、そのテーブルTBには、ボール射出手段12によってボールが打出された時間からの経過時間(秒数)毎のゴール成功率(本例では10%毎のゴール成功率)を示す情報が、プレイヤから見た点差(±の点数)に対応させて格納されている。また、相手シュートの決定率を示す情報が点差対応させて格納されている。打込成功率変動手段144では、このテーブルを参照して、経過時間と得点差を判定要素として、プレイヤがゴール内にシュートしたボールのゴール成功率を決定し、決定したゴール成功率に基づいて得点を付与するか否かを判定する。その際、ゴール外,ゴールポスト及びバーのエリアに打込まれたボールは、得点の付与の対象外として処理すると共に、得点不能エリア内に打込まれたボールは、得点の付与の対象外(本例ではゴール成功率=0%)として処理する。このように、打込成功率変動手段144では、ゴール内に打込まれたと判定した場合は、経過時間と得点差に応じてゴール成功率を決定し、決定したゴール成功率に基づいて得点を付与するか否かを判定する。
【0053】
例えば、図11中に示すように、得点差が0点の場合、経過時間が1〜2秒の場合は、ゴール成功率=100%となり、ゴール枠内に打込まれたボールは全てシュート成功と判定し、得点を付与する。また、得点差が0点で経過時間3〜8秒の場合は、1秒経過する毎にゴール成功率を10%低下させ、そのゴール成功率に応じて得点を付与するか否かを判定する。また、図11中に示すように、得点差が−3点の場合、例えば経過時間が1〜5秒の場合は、ゴール成功率=100%とし、ゴール枠内に打込まれたボールは全てシュート成功と判定して、得点を付与する。一方、相手チームは、プレイヤのチームが+3点の場合は、シュート成功率=100%、プレイヤのチームが−3点の場合は、シュート成功率=0%というように、シュート成功を変動させる。このように、打込成功率変動手段144では、図11に示すようなゴール成功率判定テーブルTBを参照して、プレイヤに対しては、経過時間や得点差に応じて、ディフェンダーの数(得点不能エリアの大きさ)を制御してゴール成功率を変化させる。それと共に、相手チームに対しては、得点差に応じてシュート成功率(ゴール成功率)を変化させることによって、相手チームの得点とプレイヤが属するチームの得点とが競り合うように制御する。なお、図11中の「DF1 IN」「DF2 IN」「DF3 IN」の情報は、サッカーゴールの前に出現させるディフェンダーの数を示しており、次の得点不能エリア変動手段145で用いる情報である。
【0054】
得点不能エリア変動手段145は、経過時間計時手段143によって計時した経過時間の長さに基づいて、標的のエリア内(本例ではサッカーゴールのゴールエリア内)で得点不能エリアを増加させる。本例では、打込成功率変動手段144が決定したゴール成功率の情報(経過時間、又は経過時間と得点差を要素とした情報)に基づいて、得点不能エリアを増加させる。例えば、図11に例示したゴール成功率判定テーブルにおいて、図11中の「DF1 IN」「DF2 IN」「DF3 IN」の情報に基づいて、得点不能エリアを増加させる。この得点不能エリアにボールが打込まれたと通過ボール検出手段142が判定した場合は、打込成功率変動手段144では、ゴール成功率=0%と決定し、得点を付与しないことになる。
【0055】
標的防御オブジェクト制御手段146は、得点不能エリア変動手段145によって設定された得点不能エリアの増加に応じて、標的の前に出現させるディフェンダーの数を増加させると共に、得点不能エリアに対応するスクリーン11A上のエリアに、ディフェンダーを表す映像を表示する。その際のディフェンダーの出現位置は、例えば、シナリオデータに設定されている各シーンに応じて決定される。また、通過ボール検出手段142によって検出したボールの位置情報に基づいて、スクリーン11A上に表示する画像データを処理して、ボールの検出位置に対応するスクリーン11A上のボールの位置にゴールキーパーの映像を移動させると共に、打込成功率変動手段144でのゴール成功率に基づく得点付与の判定結果に応じて、ゴールキーパーのオブジェクトの動作を制御する。例えば、得点を付与しないという判定結果であれば、ゴールキーパーがボールをキャッチする等の映像を表示し、得点を付与するという判定結果であれば、ゴールキーパーがボールを取れない映像を表示する処理を行う。
【0056】
図12は、標的防御オブジェクト制御手段146が、標的防御オブジェクトの動作を制御するための制御テーブルである。この制御テーブルには、図9に例示したゴールエリアの分割情報に対応させて、標的防御オブジェクトの動作と位置を示す識別番号が設定されている。例えば、キーパキャッチの動作は、図12中の「識別番号13,14,15,20,21,22,27,28,29,」の9箇所であり、ボールの検出位置に対応する位置にキーパーを移動させて、キーパーがボールをキャッチしようとする映像をスクリーン上に表示する。その際、キーパーがボールのキャッチ等に成功するか否かは、得点を付与するか否かの判定結果によって決定される。すなわち、キーパーの動作は標的防御オブジェクト制御手段146が制御するが、1人プレイモード(操作部16Aからの入力を無効とするモード)では、前述のように、ゴールキーパーは、得点を付与するか否かの判定結果を示すものであり、得点を付与すると判定した場合に、ゴールキーパーが防御に成功した映像を表示する。一方、得点不能エリアに対応させてディフェンダーを出現させた場合、そのディフェンダーの動作は、図12の制御テーブルを参照して制御する。例えば、図12中の「識別番号13,15」がヘディングでクリア、図12中の「識別番号20,22」がボディーでクリア、図12中の「識別番号27,30」が足でクリアというように、得点不能エリアの場所等に応じた映像をスクリーン上に表示する。
【0057】
また、標的防御オブジェクト制御手段146では、操作部16Aからの入力を有効とするモードの場合、第2のプレイヤP2による操作手段16の操作に応じて、スクリーン上に表示されるゴールキーパーの動作を変化させる。例えば、ジャンプボタンが押下された場合は、ゴールキーパーをジャンプさせる動作をさせる。そのときの方向は、「十字キー」で指示された方向である。また、「十字キー」だけが押下された場合は、指示された方向にゴールキーパーを移動させる。この場合、得点付与手段としての打込成功率変動手段144では、例えば、スクリーンに表示するゴールキーパーの画像の座標情報に基づいて、特定されるゴールキーパーの領域を得点困難なエリアと見なして処理する。例えば、そのキーパーの領域内にボールが打込まれたと判定した場合は、前述のゴール成功率を低下させ(例えば、ゴール成功率=テーブル内のゴール成功率−「80%」とし)、そのゴール成功率に基づいて、得点を付与するか否かを判定する。
【0058】
ボール回収制御手段147は、例えば通過ボール検出手段142によってボールの打込みを検出したタイミングでボール回収手段19を作動し、プレイヤによって放たれたボールを回収させる。
【0059】
上述のような構成において、ゲーム装置の動作例(ゲーム全体の処理の流れ)を、図13のフローチャートをの流れに沿って説明する。なお、上述した各手段141〜147における具体的な処理の説明は簡略化若しくは省略し、ここでは、ゲーム制御手段14における全体のゲームの進行処理について説明する。
【0060】
ゲーム装置10は、ゲームの開始指示がされるまでは、サッカーゲームのタイトルやゲーム内容のわかるダイジェストを示すアドバタイズ画面をスクリーン11A上に表示し、待機する。プレイヤが操作部16Aの「スタートボタン」を押下してゲームの開始(ここでは「1人プレイ」のゲームとする)を指示すると、ゲーム制御手段14は、シナリオデータSD(n)群の中からランダムに1つのシナリオデータを選択し、そのデータを当該ゲームに用いるシナリオデータとして決定する(ステップS1)。
【0061】
続いて、ゲームの開始を演出する。例えば、選手入場シーンとして、それぞれのチームのロゴをスクリーン11A上に表示すると共に、控え室から選手がグランドに出てくる様子を示す映像を選手入場シーンとして表示する。その後、ゲーム開始のシーンとして、センターサークル内で審判のホイッスルを待っている様子を示す映像を表示し、審判のホイッスル(音)と共に、試合が開始されるシーンを表示する(ステップS2)。
【0062】
以降、ゲーム制御手段14は、ステップS1で決定したシナリオデータに沿って、仮想のサッカーゲームの試合を示す映像をスクリーン11A上に展開させる。
【0063】
ゲーム制御手段14は、シナリオデータを参照して、現在のシナリオが、相手のゴールシーンか自分のゴールシーンか、それともゲームオーバのシーンか判定し(ステップS3)、相手のゴールシーンであれば、ゴール成功率判定テーブルを参照して、相手のゴール成功率を求め(ステップS4)、そのゴール成功率に基づいてゴール成功か否かを判定する。例えば、得点差が大きいと、得点差が少なくなるようにゴール成功率を変動して、その成功率を判定要素として、ゴール成功か失敗かを決定する(ステップS5)。
【0064】
ゲーム制御手段14は、ステップS5においてゴール成功と判定したのであれば、ゴールに成功したシーンをスクリーン11A上に表示し(ステップS6)、ゴール失敗と判定したのであれば、シュートに失敗したシーンをスクリーン11A上に表示した後(ステップS7)、ステップS3に戻ってシナリオに沿ってゲームを進行させる。
【0065】
ステップS3において、自分のゴールシーンであれば、味方選手がセンターリングを上げてくるシーンを複数シーンの中から選択し、センターリングの様子を示す映像をスクリーン11A上に表示する。ここで表示するセンターリングの演出シーンは、プレイヤに対してセンターリングするシーンであり、例えば次のようなシーンがスクリーン11A上に表示される。なお、括弧内の「左」「右」はプレイヤから見て「左側」「右側」を示している。
(PS1)左コーナーキックからの高めのパス(左)
(PS2)右コーナーキックからの低めのパス(右)
(PS3)左コーナーキックからファーに流れて右からのヘディングによる折返し(右)
(PS4)右コーナーキックからファーに流れて左からのヘディングによる折返し(左)
(PS5)左からの高めのセンターリング(左)
(PS6)右からの低めのサンターリング(右)
(PS7)左からのセンターリング相手ディフェンダーに当たってこぼれた球(左)
(PS8)右からのセンターリング相手ディフェンダーに当たってこぼれた球(右)
(PS9)左からのセンターリングが右に流れて折り返しのセンターリング(右)
(PS10)右からのセンターリングが左に流れて折り返しのセンターリング(左)
(PS11)左からのセットプレイ(左)
(PS12)右からのセットプレイ(右側)
(PS13)味方のミドルシュートがゴールバーにあたり跳ね返ってきたボール(左)
(PS14)味方のミドルシュートがゴールバーにあたり跳ね返ってきたボール(右)
ゲーム制御手段14は、上記のような、センターリングのシーンをスクリーン11A上に表示し(ステップS8)、その映像に合わせて、ボールを打出す射出口(左右何れかの射出口)を決定し、該当の射出口からボールを打出すように、ボール射出手段12に対してボールの打出し指令を送出する。ゲーム制御手段14は、このボール打出し制御を行うと共に、ボール射出手段12によってボールが打出されてから、ボール検知手段13によってボールが検知されるまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時する処理を行う。この処理は、ボール検知手段13からの検出情報に基づいて、プレイヤがボールを放ったボールを検出するまで実行する(ステップS9)。そして、その処理と並行して、スクリーン上の映像を、プレイヤに向けてボールがセンターリングされるシーンの映像からサッカーゴールの画像を投影した映像(シュート画面)へと切替える(ステップS10)。
【0066】
そして、ステップS9において、プレイヤが放ったボールを検出するまでの間に経過時間が所定の値に達すると、標的のエリア内(本例ではサッカーゴールのゴールエリア内)に得点不能エリアを設定するか否かを決定する。そして、得点不能エリアを設定する場合は、ゲーム制御手段14は、経過時間に応じて得点不能エリアの増加させ、得点不能エリアに対応するスクリーン11A上の当該位置に、得点不能エリアの大きさに対応する人数のディフェンダーを出現させる。例えば、図11のゴール成功率判定テーブルTBにおいて、プレイヤの得点が「+1点」で、経過秒数が7〜8秒の場合は、2人のディフェンダーが乱入するシーンの映像を表示する処理を実行する。
【0067】
この処理と並行して、ゲーム制御手段14は、ボール検知手段13からの検出情報に基づいて、プレイヤが放ったボールを検出すると共に、その時点の経過時間をメモリから読み出し(ステップ11)、図10に例示したゴールエリアの分割情報に基づいて、スクリーン11A上に打ち込まれるボールのゴールエリア内での位置を検出し(ステップ12)、ゴール内か否かを判定すると共に、ゴール成功率判定テーブルTBを参照して、経過時間(及び得点差)に応じたゴール成功率を決定する(ステップ13)。
【0068】
そして、ゲーム制御手段14は、そのゴール成功率に基づいてゴール成功か否かを判定し(ステップ14)、ゴール成功と判定したのであれば、シュートが入ったシーンをスクリーン11A上に表示すると共に、歓声等の効果音を出力する(ステップS15)。それと同時に自分のチームの得点を加算した後、ステップS3に戻ってシナリオに沿ってゲームを進行させる。
【0069】
一方、ステップS14においてゴール失敗と判定したのであれば、ゲーム制御手段14は、シュートに失敗したシーンをスクリーン11A上に表示すると共に、該当の効果音を出力する。シュートに失敗したシーンとしては、ゴールエリア内でのボール位置の検出情報、ディフェンダーやキーパーの位置情報、及びゴール成功率の情報のいずれかを組み合わせた情報に基づいて、例えば、キーパーがっちりキャッチするシーン、キーパーがパンチングでセーブするシーン、ゴールポストに当たってはじかれるシーン、ゴールバーに当たるシーン、ディフェンダーに当たって防がれるシーン、ディフェンダーにボールを捕られるシーンを表示する(ステップS16)。そして、ステップS3に戻ってシナリオに沿ってゲームを進行させる。
【0070】
そして、ステップS3において、前半戦と後半戦の試合が終了し、ゲームオーバとなったと判定したのであれば、ゲーム制御手段14は、試合終了シーンとして、例えば、勝ちの場合は、勝って選手達が抱き合っているシーンを表示し、負けの場合は、負けて選手達が、うな垂れているシーンなどを表示して(ステップS17)、当該ゲームの処理を終了する。
【0071】
なお、上述した実施の形態においては、サッカーを模したサッカーゲーム装置を例として説明したが、サッカーゲーム装置に限るものではない。例えば、ハンドボールやホッケー(フィールドホッケーやアイスホッケー)など、標的にボールを打込む球技を模したスポーツゲーム用の装置として好適に適用することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態について具体的な例を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0073】
例えば、ボールの射出口は、スクリーンの両脇にそれぞれ1つずつ設けた場合を例として説明したが、それぞれ複数設けるようにしても良い。また、1つの射出口からの打出し角度と方向、又はそのいずれかを外部からの指令で制御可能な射出機構を備えても良い。また、プレイヤの位置を検出する人体検出センサを備え、その検出情報に基づいて、ボールを打出す射出口の選択、あるいは打出し角度と方向を可変制御することで、プレイヤの方向に向けてボールを打出したり、プレイヤの位置からずれた場所に向けてボールを打出したりする形態としても良い。また、その際、スクリーン上に表示するゴールエリアは、正面から見たゴールエリアではなく、プレイヤの視線方向から見たゴールエリアを表示する形態としても良い。
【0074】
また、投影手段としてのプロジェクタは、フロント投影型のプロジェクタを用いた場合を例として説明したが、リア投影型のプロジェクタを用い、スクリーンの後方から投影する形態としても良い。但し、その場合は、粘弾性部材から成る衝突エネルギー吸収体を用いると、鮮明な映像を投影表示することが困難なため、衝突エネルギー吸収手段として、スクリーンの前側を覆うネットなどを設ける必要があるため、フロント投影型のプロジェクタの方が好ましい。
【0075】
また、標的は、ゴールエリアを例として説明したが、自分のチームの選手を示す映像を標的としてスクリーン上に表示し、プレイヤがその選手に対してパスする態様を追加し、経過時間に応じてパスの成功率を決定する形態としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係るゲーム装置の全体構成の一例を概略的に示す側面図である。
【図2】図1のゲーム装置の平面図である。
【図3】図1のゲーム装置の正面図である。
【図4】図1のゲーム装置の外観構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るゲーム装置が表示するゲーム映像の一例を示す模式図である。
【図6】本発明に係るゲーム装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】本発明に係るボール検知手段のセンサ配置構成の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係るゲーム制御手段の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図9】本発明に係るシナリオデータを説明するための図である。
【図10】本発明に係るゴールエリアの分割情報を説明するための図である。
【図11】本発明に係るゴール成功率判定テーブルの一例を示す図である。
【図12】本発明に係る標的防御オブジェクトの制御テーブルの一例を示す図である。
【図13】本発明に係るサッカーゲーム装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
P1 第1プレイヤ
P2 第2プレイヤ
1 ボール
10 サッカーゲーム装置
11A 標的部(スクリーン)
11a 標的
12A 射出部
12 ボール射出手段
12a 射出口
12b 射出口開閉機構
12c 射出機構
13A ボール検知部
13 ボール検知手段
13a センサ・ハウジング
13b 光学センサ
13b1 投光センサ
13b2 受光センサ
14A 制御部
14 ゲーム制御手段
14a コンピュータ
14b プログラム
15A 投影部
15 投影手段
15a プロジェクタ
15b カバー体
16A 操作部
16 操作手段
17A 音響出力部
17 音響出力手段
18A 遊戯空間部
18 遊戯エリア
18a 床面
18b 枠状構造体
18c 人工芝
18c1 線状白色部材
18c2 緑色芝状部材
18d 天井枠体部
18e プレイヤ検知手段
18f 停止手段
19A ボール回収機構部
19 ボール回収手段
19a 傾動床面
19b ガイド機構
19c ボール搬送機構
140 ゲーム進行制御手段
141 ボール射出制御手段
142 通過ボール検出手段
143 経過時間計時手段
144 打込成功率変動手段
145 得点不能エリア変動手段
146 標的防御オブジェクト制御手段
147 ボール回収制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤがボールを打込む標的を備えたゲーム装置において、
プレイヤに向けてボールを射出口から打出すボール射出手段と、前記標的へ向けてプレイヤが放ったボールを検知するボール検知手段と、前記ボール射出手段によるボールの打出し動作を制御するゲーム制御手段とを備え、更に、前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段によってボールが打出されてから前記ボール検知手段によってボールが検知されるまでの時間をゴール待機中の経過時間として計時し、前記ゴール待機中の間、前記経過時間の長さに基づいて、前記プレイヤが放ったボールの打込みの成功率を変動させ、その成功率を判定要素として、前記ボールを放ったプレイヤに対して得点を付与するか否かを判定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記標的は、ゴールの画像を投影表示したスクリーンであることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記ボール検知手段は、前記標的とプレイヤとの間に設けられた枠体に配置され、前記枠体内を通過するボールを検知する複数の光センサで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記ボール射出手段の射出口は前記標的の脇に設けられ、前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段によってボールが打出されてから所定時間内における検知を無効とすることによって、前記ボール検知手段での前記射出口側から打出されたボールの検知とプレイヤが放ったボールの検知とを識別することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記ゲーム制御手段は、前記ボール射出手段に対してボールの打出しを指令する際に、前記射出口からボールが打出されるタイミングを前記スクリーン上の映像によってプレイヤに示すことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム制御手段は、プレイヤの方向にボールが飛来するシーンを含む所定のシーンが複数設定されているシナリオのデータに基づき、前記シナリオに沿った各シーンの映像を前記スクリーン上に展開すると共に、前記ボールが飛来するシーンの映像に合わせて前記射出口からボールが打出されるように前記打出し動作を制御することを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記ゲーム制御手段は、前記ボールが飛来するシーンの映像に合わせて前記射出口からボールが打出されるタイミングの前に、前記ボールが飛来するシーンの映像から前記ゴールの画像を投影した映像へと切替えることを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記ゲーム制御手段は、前記ボール検知手段の検知情報に基づいてボールの位置を検出し、該位置に対応する前記スクリーン上にシュートされるボールの映像を表示するとともに、プレイヤに対して得点を付与するか否かを判定した結果に基づいて打込み成功または失敗のいずれかを表す映像を前記スクリーンに表示することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記ゲーム制御手段は、前記経過時間に基づいて前記標的のエリア内で得点不能エリアを増加させ、前記得点不能エリア内に打込まれたボールは、前記得点の付与の対象外として処理することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記ゲーム制御手段は、前記得点不能エリアに対応する前記スクリーン上に、ゴールを守るディフェンダーを表す映像を表示することを特徴とする請求項9に記載のゲーム装置。
【請求項11】
前記ゲーム制御手段は、前記標的に対する打込み成功率と前記経過時間との対応関係を示すデータが設定されているテーブルを参照して、前記プレイヤが放ったボールの打込みの成功率を決定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のゲーム装置
【請求項12】
前記ゲーム制御手段は、前記プレイヤが属するチームの選手及び相手チームの選手を表わす仮想の選手がゲーム空間上で得点を競う試合の進行を制御すると共に、前記試合の実行中に付与した得点に応じて、前記打込み成功率を変動させることによって、前記試合における前記相手チームの得点と前記プレイヤが属するチームの得点とが競り合うように制御することを特徴とする請求項11に記載のゲーム装置。
【請求項13】
前記プレイヤとは異なる第2のプレイヤによって操作される操作手段を更に備え、前記操作手段からの入力を有効とするモードの場合、前記ゲーム制御手段は、前記第2のプレイヤによる前記操作手段の操作に応じた動作を行うゴールキーパーを表す映像を表示することを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項14】
前記ボール射出手段は、前記ゲーム制御手段からの指令に応じて前記射出口の開閉動作が制御可能な開閉機構を備えており、前記ゲーム制御手段は、前記射出口からボールが打出されるタイミングで前記射出口を開口すると共に、前記射出口からボールが打出されたタイミングで前記射出口を閉じるように、前記射出口の開閉動作を制御することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項15】
複数の前記射出口と、前記射出口のそれぞれから打出されるボールの初速及び方向が互いに異なるよう設定された複数の前記ボール射出手段とを備え、前記ゲーム制御手段は、複数の前記射出口から1つを選択して打出しを行うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のゲーム装置。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−237679(P2008−237679A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84368(P2007−84368)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)