説明

ゲーム装置

【課題】 フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の演出を可能とする。
【解決手段】 検出部2100は、マイクロフォン(1080A〜1080D)を備え、そのデジタル信号は、バンドパスフィルタ処理後に、ピーク検出部(2106A、2106B、2106C、2106D、2106E、2106F)に入力される。ピーク検出部は、音響のデジタル信号をFFT演算し、そのピーク周波数を検出する。
ピーク検出部の全ての出力は、プレーヤ特定部(2110)、位置特定部(2112)、打撃強度検出部(2114)に入力されている。
プレーヤ特定部は、各マレットの共鳴周波数を検出して、マレットを使用するプレーヤを特定する。
位置特定部は、マイクロフォンがマレットの共鳴周波数を検出した時刻の時間差を算出し、プレイフィールド上のマレットの位置を特定する。
打撃強度検出部は、各マレットがパックを打撃した音響の音圧レベルから、打撃強度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤが、打撃手段を操作してターゲットを打撃することによって、ターゲットを所定の方向あるいは領域に導くゲーム装置、例えば、エアホッケーゲーム装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームセンターに設置されるエアホッケーゲーム装置は、長方形ボード上で、プレーヤがマレット(打撃手段)によってパック(ターゲット)を打撃し、ボード短辺中央に設けられた相手方ゴールに、パックを打ち込む(ゴールする)ことによってポイントを取得するものであり、ゴールに際して音響、電飾による演出を行っていた。しかし、近年のゲーム装置における、コンピュータ技術を駆使した多様な演出に比較すると、上記演出は単純かつ単調な印象が否めず、プレーヤの遊戯意欲を充分に高めることができなかった。
【0003】
そこで、特許文献1記載のゲーム装置では、ボード上に各プレーヤの領域を割り当て、ボード上に配列したリードスイッチによりマレット位置を検出し、ゴールした側のプレーヤが、割り当て位置でマレットを移動したときに効果音等の演出を行う。
【0004】
しかし、特許文献1のゲーム装置は以下の問題がある。
(1)ボード全面にリードスイッチを配列することは容易でなく、ボード全体に渡って位置検出することはできない。
(2)2プレーヤ対2プレーヤ等、各ゴールを複数プレーヤが狙うゲーム方法において、プレーヤごとのゴールの判定は不可能であり、プレーヤ個別の演出はできない。
【0005】
特許文献2のパック叩き入れゲーム装置は、各マレットがパックを打撃した際に、マレット固有の赤外線コード信号を発することとし、ゴールしたプレーヤを特定する。しかし、特許文献2のゲーム装置は、パック位置やマレット位置の特定は不可能であり、位置情報に基づく演出はできない。
【0006】
【特許文献1】特開2006−223604号公報
【特許文献2】特開平7−313726号公報
【特許文献3】特開2000−35474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の設定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数プレーヤが、打撃手段を操作して、プレイフィールド上で、ターゲットを打撃することによって、ターゲットを所定の方向あるいは領域に導くゲーム装置であって、前記プレイフィールドが形成されたフィールド盤と、前記各プレーヤの打撃手段に設けられ、前記ターゲットを打撃する際の衝撃によって、それぞれ別個の音響を発生する音響発生手段と、前記フィールド盤に対して固定され、前記音響を複数の方向で検出する音響検出手段と、前記音響検出手段によって検出された音響から、該音響を発生した前記打撃手段を特定するプレーヤ特定手段と、前記音響検出手段によって検出された音響から、該音響が発生した位置を特定する位置特定手段とを備える。
【0009】
これによって、フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の設定が可能となる。
【0010】
本発明に係るゲーム装置は、前記プレーヤ特定手段によって特定された打撃手段、および前記位置特定手段によって特定された位置に基づいて演出効果を設定する演出設定手段をさらに備えてもよい。
【0011】
これによって、フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の演出が可能となる。
【0012】
本発明にかかるゲーム装置は、例えば、前記打撃手段はマレットであり、前記ターゲットはパックであり、前記プレイフィールドに設けられたゴール部に前記パックが導かれたときに、最後に前記パックを打撃したマレットを操作するプレーヤがポイントを取得するエアホッケー用のゲーム装置であって、前記パックの滑動性を向上させるように前記パックを浮上させる浮上手段を備える。
【0013】
これによって、フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の設定が可能なエアホッケーゲームを実演し得る。
【0014】
本発明にかかるゲーム装置は、前記音響検出手段によって検出された音響から、前記打撃の強さを検出する打撃強度検出手段を、さらに備えてもよい。
【0015】
これによって、前記強度検出手段によって検出された打撃強度に基づく多様な設定が可能である。
【0016】
本発明にかかるゲーム装置において、前記音響検出手段は、前記位置特定手段によって特定された音響の位置が前記プレイフィールドの外であったときに、該音響をノイズとみなしてもよい。これによって、効果的なノイズ除去が可能である。
【0017】
本発明にかかるゲーム装置において、前記演出設定手段は、前記ターゲットが前記所定の方向あるいは所定の領域に導かれたときに、最後に前記ターゲットを打撃した前記打撃手段の位置によって前記ポイントを設定するものであってもよい。これによって、ポイントを自動設定し得る。
【0018】
本発明にかかるゲーム装置において、前記演出設定手段は、前記強度検出手段によって検出された打撃強度によって演出を設定するものであってもよい。これによって、打撃強度に基づいた設定が可能である。
【0019】
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィールド盤上の位置情報を活用しつつ、プレーヤ個別の設定が可能である。
【0021】
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明に係るゲーム装置の一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明に係るゲーム装置の一実施例を示す斜視図、図2は、図1のゲーム装置におけるゲーム盤を示す平面図、図3は、図1のゲーム装置におけるマイクロフォン位置を示す平面図、図4は、図1のゲーム装置における制御系を示すブロック図、図5は、図4の制御系における検出部を示すブロック図である。
【0024】
図1、図2において、ゲーム装置GMは、プレイフィールド1000が形成されたフィールド盤1010を有し、プレイフィールド1000上では、複数のプレーヤ(図示省略)がマレット(打撃手段)1020、1022、1024、1026を用いてパック(ターゲット)1040を打撃することによって、エアホッケーゲームを実行し得る。
【0025】
ゲーム装置GMには、ビルボード1050、音声出力装置(スピーカ)1054、照明装置(スポットライト)1056、表示装置1058、ミラーボール1060等の演出装置が設けられ、これら演出装置は、図4に示す演出設定部(演出設定手段)2000によって制御される。
【0026】
音声出力装置(スピーカ)1054は、演出設定部2000によって制御されて、パックのゴールその他ゲーム状況に応じて所定の音響を出力する。
【0027】
スポットライト1056やミラーボール1060等の照明装置は、演出設定部2000によって制御されて、パックのゴールその他ゲーム状況に応じて所定の照明効果を実現する。
【0028】
表示装置1058は、パックのゴールによる得点やゲーム残り時間等、プレーヤに必要な情報を表示する。
【0029】
プレイフィールド1000には微小な貫通孔からなる複数の空気噴出孔1110が全面に渡ってほぼ均等に分散して形成され、フィールド盤1010の下側には空気を圧送するブロアと、圧送された空気を各空気噴出孔1110に導く空洞または空気室を形成する空気案内部(図示省略)とを備えた空気供給装置(浮上手段)1100が設けられている。
プレイフィールド1000には、空気供給装置1100から供給された空気が上方に噴出され、パック1040を浮上させることによって、プレイフィールド1000とパック1040およびマレット1020、1022、1024、1026との摩擦を減少し、滑動性を向上させる。
これによって、マレット1020で打撃されたパック1040は滑らかに、かつ高速で、勢いよくプレイフィールド1000上を滑走する。空気供給装置1100によるパック1040滑動性向上については、特許文献1に詳説されている。
【0030】
プレイフィールド1000は長方形であり、フィールド盤1010には、プレイフィールド1000の各短辺中央位置に、ゴール開口1072を有するゴール部1070が設けられている。プレイフィールド1000は、長辺方向に2分され、2組のプレーヤに割り当てられる。例えば、マレット1020、1022を使用するプレーヤの領域、マレット1024、1026を使用するプレーヤの領域とされ、パック1040を打撃して相手方のゴール部1070におけるゴール開口1072にパック1040を打ち込む(導く)ことにより、各プレーヤはポイントを取得する。
【0031】
ゴール開口1072に打ち込まれたパック1040は、プレイフィールド1000下側の通路(図示省略)を通って、パック取出口1074に排出される。
【0032】
プレイフィールド1000には、短辺中央で、各ゴール部1070に接した領域1104(横ハッチングで示す。)、その幅方向両側の領域1102、1102(縦ハッチングで示す。)と、長手方向中央よりで、これら領域1102、1104、1102に接する領域1106(斜ハッチングで示す。)が設けられ、マレット1020〜1026がパック1040を打撃した際に、これら領域に対応した演出を、演出設定部2000によって設定する。
【0033】
図3に示すように、フィールド盤1010には、長方形の4角に、プレイフィールド1000の内側に指向するマイクロフォン1080A、1080B、1080C、1080Dが配置され、後述するマレット1020〜1026の判別、音響強度検出に使用される。さらに、フィールド盤1010の長辺には、フィールド盤1010の外側に向けられて、プレイフィールド1000の外側に指向するマイクロフォン1082A、1082Bが設けられ、ノイズ処理に使用される。マイクロフォン1082A、1082Bはプレイフィールド1000の外側の音響を検出し、マイクロフォン1080A、1080B、1080C、1080Dが検出した音響と同一の音響がマイクロフォン1082A、1082Bでも検出されたときは、その音響はノイズである可能性が高い。マイクロフォン1080A、1080B、1080C、1080D、1082A、1082Bは検出部2100(図4、図5)に含まれ、検出部2100は、マイクロフォン1080A、1080B、1080C、1080Dで検出した音響とマイクロフォン1082A、1082Bで検出した音響は、CPU2002(図4)で比較、評価され、ノイズが検出、除去される。
【0034】
図4に示すように、ゲーム装置GMの制御系において、演出設定部2000、検出部2100および演出装置(スピーカ1054、スポットライト1056、ミラーボール1060、表示装置1058)は制御用バス2020に接続され、さらに制御用バス2020には、パック払出部2040、ゴール検出部2060、コイン投入検出部2080が接続されている。
【0035】
演出設定部2000は、入出力インターフェースを介してゲーム装置全体を制御するCPU2002、および種々のプログラム、データが格納されたROM、RAMからなるシステムメモリ2004によって実現され、プレーヤの操作、ゲーム進行に応じて多様な演出を設定する。
【0036】
コイン投入検出部2080は、プレーヤのコイン投入を検出し、エアホッケーゲーム実行に必要な金額のコインが投入されたときに、所定の信号をCPU2002に送る。
【0037】
ゴール検出部2060は、パック1040がゴール開口1072に打ち込まれたことを検出し、所定の信号をCPU2002に送る。
【0038】
パック払出部2040は、コイン投入検出部2080によってゲーム実行に必要な金額のコイン投入が検出されたときに、パック1040を払い出す。払い出されたパック1040は、先攻プレーヤあるいは先攻チームのパック取出口1074に導かれる。
【0039】
検出部2100は、マイクロフォン1080A〜1080D、マイクロフォン1082A、1082Bと、これらマイクロフォンがそれぞれ接続されたA/Dコンバータ2102A、2102B、2102C、2102D、2102E、2102Fとを備える。A/Dコンバータ2102A、2102B、2102C、2102D、2102E、2102Fは、プレイフィールド1000の内側に指向するマイクロフォン1080A〜1080D、およびプレイフィールド1000の外側に指向するマイクロフォン1082A、1082Bのアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0040】
A/Dコンバータ2102A、2102B、2102C、2102D、2102E、2102Fには、バンドパスフィルタ2104A、2104B、2104C、2104D、2104E、2104Fがそれぞれ接続され、マレット1020〜1026の共鳴周波数(後述する。)に対応した音響を抽出し、マレット1020〜1026がパック1040を打撃した音響以外の音響、すなわちノイズを必要に応じて除去する。
【0041】
バンドパスフィルタ2104A、2104B、2104C、2104D、2104E、2104Fには、ピーク検出部2106A、2106B、2106C、2106D、2106E、2106Fがそれぞれ接続され、音響のデジタル信号をFFT演算し、そのピーク周波数を検出する。音響スペクトルのピーク周波数はS/N比が高く、後述する位置特定(時間差算出)の精度を高めることができる。音響信号の時間差算出に関しては、特許文献3に詳説されている。
【0042】
ピーク検出部2106A〜2106Fの全ての出力は、プレーヤ特定部2110、位置特定部2112、打撃強度検出部2114に入力されている。
【0043】
なお、位置特定部2112、打撃強度検出部2114における処理は、ピーク検出部2106A、2106B、2106C、2106D、2106E、2106Fのピーク周波数抽出前の信号、すなわちバンドパスフィルタ2104A〜2104F出力、あるいは、A/Dコンバータ2102A〜2102F出力であってもよい。ただし、バンドパスフィルタ2104A〜2104F出力を直接使用する場合、ピーク検出部2106A、2106B、2106C、2106D、2106E、2106F出力を使用したときよりも位置特性精度が低下する可能性がある。また、A/Dコンバータ2102A〜2102F出力を直接使用する場合、バンドパスフィルタ2104A〜2104F出力を使用したときよりもノイズ混入の可能性が高くなる。
【0044】
プレーヤ特定部2110は、各マレット1020〜1026の共鳴周波数を検出して、マレット1020〜1026を使用するプレーヤを特定する。
【0045】
位置特定部2112は、マイクロフォン1080A〜1080Dがマレット1020〜1026の共鳴周波数を検出した時刻の時間差を算出し、プレイフィールド1000上のマレット1020〜1026の位置を特定する。
【0046】
打撃強度検出部2114は、各マレット1020〜1026がパック1040を打撃した音響の音圧レベルから、打撃強度を算出する。
【0047】
以下、プレーヤ特定、位置特定、打撃強度検出の処理について説明する。
【0048】
[プレーヤ特定]
図7は、図1のゲーム装置におけるマレットを示す縦断面図、図8は、図1のゲーム装置における異なる音響のマレットを比較して示す縦断面図、図9は、図1のゲーム装置における他のマレットを示す縦断面図である。図13は、音響の重ね合わせの概念を示す図である。
【0049】
図7において、1個のマレット1020を代表的に説明すると、マレット1020にはプレーヤが手で把持、操作するための把持部1020aと、周囲に形成された円筒状の衝突部1020bと、内部に形成された空洞1020Hが設けられている。マレット1020をパック1040に向かって(矢印Vで示す。)滑らせ、衝突部1020bをパック1040に衝突させると、マレット1020は、空洞1020Hの容積に対応した共鳴周波数の音響SSを発する。
【0050】
図8に示すように、マレット1022は、例えば、マレット1020の空洞1020Hよりも小さい空洞1022Hが形成され、異なる共鳴周波数の音響SSが発せられる。
【0051】
音響SSはマイクロフォン1080A〜1080Dに入力され、プレーヤ特定部2110において、その共鳴周波数が検出される。これによって、いずれのマレット1020〜1026によってパック1040が打撃されたかが判別され、マレット1020〜1026に対応したプレーヤが特定される。
【0052】
なお、図9に示すように、マレット1020に複数、例えば2個の異なる容積の空洞1020H1、1020H2を形成すると、パック1040との衝突時に、複数の異なる共鳴周波数の音響を重ね合わせた音響が発生する。例えば、図13における音響W1と、それよりも低い周波数の音響W2とを重ね合わせた音響W3が発生する。
【0053】
このように、複数の特徴的周波数の音響を発することにより、検出し得る特徴が複数となるため、マレット1020〜1026の識別精度を高めることができる。なお、複数の空洞はマレット中央に上下に配列することによって、衝撃力が均等に伝達され、全ての空洞による音響を効果的に発することができる。
【0054】
プレーヤ特定部2110は、以上の音響周波数検出処理によってプレーヤを特定する。これによって、ゴール時のプレーヤの得点を自動加点でき、またプレーヤごとの多様な演出を実行し得る。
【0055】
[位置特定]
図10は、図1のゲーム装置における打撃位置算出方法の概念を示す平面図、図11は、図1のゲーム装置において、打撃位置が2個のマイクロフォンから等距離であったときの距離算出結果を示す平面図、図12は、図1のゲーム装置において、第3のマイクロフォンの距離算出結果を参照して、位置を特定した状況を示す平面図である。
【0056】
図10において、位置Pにおいてマレット(例えば1020)がパック1040を打撃し、4個のマイクロフォン1080A〜1080Dの位置Pからの距離がDa、Db、Dc、Ddであったとすると、音響SSが各マイクロフォン1080A〜1080Dに到達する時間ta、tb、tc、tdは、式(1)〜(4)で表現される。なお、Sは音速である。
ta=Da/S 式(1)
tb=Db/S 式(2)
tc=Dc/S 式(3)
td=Dd/S 式(4)
【0057】
マイクロフォン1080A〜1080Dは同一のピーク周波数を時間差を持って検出し、その時間差は式(5)〜(10)で表現される。
|ta−tb|=|Da−Db|/S 式(5)
|ta−tc|=|Da−Dc|/S 式(6)
|tb−tc|=|Db−Dc|/S 式(7)
|tb−td|=|Db−Dd|/S 式(8)
|tc−td|=|Dc−Dd|/S 式(9)
|td−ta|=|Dd−Da|/S 式(10)
【0058】
図11において、マイクロフォン1080A、1080Bによる検出音響のピーク周波数時間差が0秒のとき、すなわち位置Pが両マイクロフォンから等距離のとき、位置Pはマイクロフォン1080A、1080Bを結ぶ線分LLの中央で、線分LLに直交する直線L上に存在する。
【0059】
また、マイクロフォン1080A、1080Bによる検出音響のピーク周波数時間差が|ta−tb|秒のとき、位置Pは、マイクロフォン1080A、1080Bの位置を焦点とする双曲線C1、C2上に存在する。ここに、ta>tbのとき、マイクロフォン1080B側の双曲線C2上、ta<tbのとき、マイクロフォン1080A側の双曲線C1上に位置Pは存在する。
【0060】
以上によって、位置Pの位置は、直線L、曲線C1または曲線C2の上に特定されるが、さらに第3のマイクロフォン(例えば1080C)の検出結果を採用することによって位置Pの2次元座標を特定し得る。
【0061】
例えば、図11において、位置Pが曲線C1上に存在することが判明し、さらに、図12に示すように、マイクロフォン1080A、1080Cの検出時間差(ta−tc)によって、位置Pが双曲線C3上に存在することが判明したとき、位置Pは曲線C1、C3の交点に存在することが決定される。
【0062】
なお、マイクロフォン1080C、1080Aの検出時間差、さらには、第4のマイクロフォン1080Dと他のマイクロフォンとの検出時間差を採用すれば、位置Pの精度を高めることができる。また、位置Pの3次元座標を特定することも可能である。
【0063】
また、マイクロフォン数を増加することによって位置検出精度を高めることができ、例えば、フィールド盤1010の中央上方に第5のマイクロフォンを配置することにより、効果的に精度を向上し得る。
【0064】
位置特定部2112は、マイクロフォン1080A〜1080D中の3個以上のマイクロフォン、あるいは、これらマイクロフォンとフィールド盤1010の中央上方その他の付加的マイクロフォンによって、検出時間差に基づき、位置Pを特定する。位置Pが自動的に特定されることによって、位置Pに基づいた種々の演出を実行することが可能である。また、位置特定範囲には、プレイフィールド1000全面のみならず、プレイフィールド周辺も含めることができるので、適用範囲が広く、かつノイズ処理を同時に行うことができる。
【0065】
[打撃強度検出]
打撃強度検出部2114は、ピーク検出部2106A〜2106Dで検出されたピーク周波数の音圧を検出し、マレット1020〜1026がパック1040を打撃した強度を検出する。ピーク検出部2106A〜2106Dの音圧は、平均され、あるいは最大値、最小値を除外して平均され、精度向上のための処理が実行される。
【0066】
[演出設定]
演出設定部2000においては、プレーヤ特定部2110、位置特定部2112、打撃強度検出部2114の出力信号に基づいて、以下のような種々の演出を設定し得る。
【0067】
(1)ゴール時打撃位置による演出設定(その1)
図2に示すように、フィールド盤1010におけるゴール時にパック1040を打撃したマレット1020〜1026の位置が、領域1104であったときはポイント3、領域1102、1102であったときはポイント2、領域1106であったときはポイント1とする等、打撃位置の難易度に応じたポイントとする。
【0068】
(2)ゴール時打撃位置による演出設定(その2)
図2に示すように、領域1104およびその長手方向延長上(幅Wの波線領域で示す。)、すなわち、ゴール部1070の正面からパック1040を打ち込んだときは、比較的低いポイント(例えば「1」)とし、その他の領域ではポイント2とする。これによってゴールの難度が高くなり、熟練者にとっても興味深いものとなる。
【0069】
(3)ゴール時打撃位置による演出設定(その3)
ゴール部1070の正面(図2の幅Wの波線領域)等、比較的ゴールし易い領域でパックを打撃したときには、空気供給装置1100から供給される空気の制御によって、パック1040の滑動性を低下させる。これによってゴールの難度が高くなり、熟練者にとっても興味深いものとなる。パック1040の滑動性低下は、例えば、空気供給装置1100による空気供給を間欠的に中断することによって実現し得る。
【0070】
(4)打撃強度による演出設定(その1)
打撃強度が大きい程、照明装置(1056、1060)、音声出力装置1054からの音響、表示装置1058による演出を、より華やかなものとする。
【0071】
(5)打撃強度による演出設定(その2)
打撃強度が大きい程、ゴールによるポイントを低下する。また、所定値以下の低い打撃強度でゴールしたとき、ボーナスポイントを加算する。これによってゴールの難度が高くなり、熟練者にとっても興味深いものとなる。
【0072】
(6)打撃強度による演出設定(その3)
打撃強度が大きい程、(3)と同様の操作によって、パック1040の滑動性を低下させる。これによってゴールの難度が高くなり、熟練者にとっても興味深いものとなる。
【0073】
(7)プレーヤによる演出設定
ゴールしたプレーヤをプレーヤ特定部2110によって特定したとき、そのプレーヤが前回ゴールしたプレーヤと同一であったときは、ポイントを与えない。これによって、2人ずつのチームにおける1人の強いプレーヤのみがゴールし、チームの意義が失われることを防止し得る。本演出設定は図14に基づいて後述する。
【0074】
(8)プレイ状況による演出設定
マレット1020〜1026によってパック1040を打撃した後に、ゴールせず、マレット1020〜1026によるパック打撃が行われたときは、ラリーが開始されたとして、華やかな演出を開始する。その後マレット1020〜1026によるパック打撃が繰り返されるごとに、華やかさを高める。これによって、プレーヤの興奮、充実感を高めることができる。本演出設定は図15に基づいて後述する。
【0075】
[検出部における処理]
次に、検出部2100における処理を、図6のフローチャートによって説明する。
【0076】
ステップS601:まずマイクロフォン1080A〜1080D、1082A、1082Bによる音響検出を行う。
【0077】
ステップS602:ステップS601に続いて、A/Dコンバータ2102A〜2102Fによって、マイクロフォン1080A〜1080D、1082A、1082Bの検出音響信号をデジタル信号に変換する。
【0078】
ステップS603:ステップS602に続いて、バンドパスフィルタ2104A〜2104Fにより、デジタル化された音響信号の所定周波数帯域成分を抽出してノイズ処理し、さらにピーク周波数を抽出する。
【0079】
ステップS604:ステップS603に続いて、CPU2002において、マイクロフォン1080A、1080B、1080C、1080Dが検出した音響と同一の音響がマイクロフォン1082A、1082Bでも検出されたか否かを判断する。同一音響が検出されたときは、その音響はノイズである可能性が高いので、異常検出として処理を終了する。このようなノイズが検出されなかったときはステップS605に進む。
【0080】
ステップS605:ステップS604に続いて、プレーヤ特定部2110において、マイクロフォン1080A〜1080Dによって検出された音響のピーク周波数が、いずれかのマレット1020〜1026の共鳴周波数と実質的に一致するか否か判断する。音響のピーク周波数がいずれかのマレット1020〜1026の共鳴周波数と実質的に一致したときは、ステップS606に進み、いずれのマレット1020〜1026の共鳴周波数とも一致しなかったときは、異常検出として処理を終了する。
【0081】
ステップS606:ステップS605に続いて、音響のピーク周波数に基づいて、音響を発生したマレット1020〜1026を特定する。
【0082】
ステップS607:ステップS606に続いて、位置特定部2112によって、各マイクロフォン1080A〜1080Dへの音響到達時間差を算出する。
【0083】
ステップS608:ステップS607に続いて、位置特定部2112によって、音響発生位置を算出する。
【0084】
ステップS609:ステップS608に続いて、位置特定部2112によって特定された座標がゲームフィールド1000内か否かを判断する。座標がゲームフィールド1000内のときはステップS610に進み、座標がゲームフィールド1000外のときは、異常検出として処理を終了する。
【0085】
ステップS610:ステップS609に続いて、音響強度算出部2114によって音響強度を算出する。その後、正常検出として処理を終了する。
【0086】
以上の検出部2000の処理は、音響信号のA/Dコンバータ出力を直接CPU2002によって処理することも可能であり、その際、図6のステップS601〜S610を実行することになる。
【0087】
なお、ステップS603、S605、S609による3段階のノイズ処理は、必ずしもその全てを実行する必要はなく、また必要に応じてより厳密なノイズ処理を行ってもよい。
【0088】
[プレーヤによる演出設定の処理]
次に、プレーヤによる演出設定の処理を、図14のフローチャートによって説明する。
【0089】
ステップS1401:まずゴール検出部2060によってゴールが検出されたか否か判断する。ゴールが検出されたときはステップS1402に進み、ゴールが検出されなかったときはそのまま処理を終了する。
【0090】
ステップS1402:ステップS1401に続いて、今回ゴールしたマレット(プレーヤ)を登録する。
【0091】
ステップS1403:ステップS1402に続いて、ステップS1401でゴールしたマレット(プレーヤ)が前回ゴールしたプレーヤと同一か否か判断する。プレーヤが同一でないときはステップS1404に進み、同一のときはそのまま処理を終了する。
【0092】
ステップS1404:ステップS1403に続いて、前回プレーヤを今回のプレーヤに書き換える。
【0093】
ステップS1405:ステップS1404に続いて、今回プレーヤにポイントを与える。その後処理を終了する。
【0094】
[プレイ状況による演出設定の処理]
次に、プレー状況によるによる演出設定の処理を、図15のフローチャートによって説明する。
【0095】
ステップS1501:まず検出部2100およびCPU2002によって、マレット1020〜1026によるパック1040の打撃が行われたか否かを判断する。打撃が行われたときはステップS1502に進み、打撃が行われなかったときはそのまま処理を終了する。
【0096】
ステップS1502:ステップS1501に続いて、打撃が行われた回数を打撃数カウンタでカウントアップする。初期状態ではカウント値は「0」であり、1回の打撃ごとに、カウント値は「1」ずつ加算される。打撃数カウンタは、CPU2002によって、システムメモリ2004に変数として設定される。
【0097】
ステップS1503:ステップS1502に続いて、打撃数カウンタのカウント値が「2」以上(打撃が2回目以上)か否かを判断する。カウント値が「2」以上のときはステップS1504に進み、カウント値が「1」のときはステップS1505にジャンプする。
【0098】
ステップS1504:ステップS1503に続いて、打撃数カウンタのカウント値に対応してラリー演出レベルを増加し、ステップS1505に進む。
【0099】
パック1040がゴールされることなく打撃が繰り返されたときは、ラリーが行われており、ゲームの雰囲気はおおいに盛り上がっている可能性が高い。このとき、演出装置による演出をより華やかなものにすることによって雰囲気は一層盛り上がり、プレーヤは大きな満足感を得ることができる。演出の華やかさは、例えばラリー演出レベルというパラメータによってあらかじめ定義される。
【0100】
ステップS1505:ステップS1503またはステップS1504に続いて、打撃を検出したステップS1501から、所定時間が経過したか否かを判断する。打撃が検出された後に所定時間が経過した場合、ラリー継続の可能性は低く、ゲームが中断していることが多い。そこで、所定時間が経過したときは、ステップS1507に進み、所定時間が経過していないときはステップS1506に進む。
【0101】
ステップS1506:ゴール検出部2060がゴールを検出したか否かを判断する。ゴールが検出されたときはステップS1507に進み、ゴールが検出されなかったときはステップS1501に戻る。
ステップS1507:ラリーが終了したと判断し、打撃数カウンタおよびラリー演出レベルをキャンセルし、そのまま処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上の実施例はエアホッケーに関するものであったが、本発明は、プレーヤが、打撃手段を操作してターゲットを打撃することによって、ターゲットを所定の方向あるいは領域に導くゲーム装置、例えば、卓球、3人卓球等、多様なゲーム装置に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係るゲーム装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のゲーム装置におけるフィールド盤を示す平面図である。
【図3】図1のゲーム装置におけるマイクロフォン位置を示す平面図である。
【図4】図1のゲーム装置における制御系を示すブロック図である。
【図5】図4の制御系における検出部を示すブロック図である。
【図6】図5の検出部における処理を示すフローチャートである。
【図7】図1のゲーム装置におけるマレットを示す縦断面図である。
【図8】図1のゲーム装置における異なる音響のマレットを比較して示す縦断面図である。
【図9】図1のゲーム装置における他のマレットを示す縦断面図である。
【図10】図1のゲーム装置における打撃位置算出方法の概念を示す平面図である。
【図11】図1のゲーム装置において、打撃位置が2個のマイクロフォンから等距離であったときの距離算出結果を示す平面図である。
【図12】図1のゲーム装置において、第3のマイクロフォンの距離算出結果を参照して、位置を特定した状況を示す平面図である。
【図13】音響の重ね合わせの概念を示す図である。
【図14】演出設定部におけるプレーヤによる演出設定の処理を示すフローチャートである。
【図15】演出設定部におけるプレイ状況よる演出設定の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
GM ゲーム装置
1000 ゲームフィールド
1010 フィールド盤
1020、1022、1024、1026 マレット(打撃手段)
1040 パック(ターゲット)
1050 ビルボード
1054 音声出力装置(スピーカ)
1056 スポットライト
1058 表示装置
1060 ミラーボール
1070 ゴール部
1072 ゴール開口
1074 パック取出口
1080A、1080B、1080C、1080D マイクロフォン
1082A、1082B マイクロフオン
1100 空気供給装置
1110 空気噴出孔
2000 演出設定部
2002 CPU
2004 システムメモリ
2020 制御用バス
2040 パック払出部
2060 ゴール検出部
2080 コイン投入検出部
2100 検出部
2102A、2102B、2102C、2102D、2102E、2102F A/Dコンバータ
2104A、2104B、2104C、2104D、2104E、2104F バンドパスフィルタ
2106A、2106B、2106C、2106D、2106E、2106F ピーク検出部
2110 プレーヤ特定部
2112 位置特定部
2114 打撃強度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数プレーヤが、打撃手段を操作して、プレイフィールド上で、ターゲットを打撃することによって、ターゲットを所定の方向あるいは領域に導くゲーム装置であって、
前記プレイフィールドが形成されたフィールド盤と、
前記各プレーヤの打撃手段に設けられ、前記ターゲットを打撃する際の衝撃によって、それぞれ別個の音響を発生する音響発生手段と、
前記フィールド盤に対して固定され、前記音響を複数の方向で検出する音響検出手段と、
前記音響検出手段によって検出された音響から、該音響を発生した前記打撃手段を特定するプレーヤ特定手段と、
前記音響検出手段によって検出された音響から、該音響が発生した位置を特定する位置特定手段と、
を備えたゲーム装置。

【請求項2】
前記プレーヤ特定手段によって特定された打撃手段、および前記位置特定手段によって特定された位置に基づいて演出効果を設定する演出設定手段を、
さらに備えた請求項1記載のゲーム装置。

【請求項3】
前記打撃手段はマレットであり、前記ターゲットはパックであり、前記プレイフィールドに設けられたゴール部に前記パックが導かれたときに、最後に前記パックを打撃したマレットを操作するプレーヤがポイントを取得するエアホッケー用のゲーム装置であって、
前記パックの滑動性を向上させるように前記パックを浮上させる浮上手段を、
さらに備えた請求項1または2記載のゲーム装置。

【請求項4】
前記音響検出手段によって検出された音響から、前記打撃の強さを検出する打撃強度検出手段を、
さらに備えた請求項1乃至3のいずれかに記載のゲーム装置。

【請求項5】
前記音響検出手段は、前記位置特定手段によって特定された音響の位置が前記プレイフィールドの外であったときに、該音響をノイズとみなす請求項1乃至4のいずれかに記載のゲーム装置。

【請求項6】
前記演出設定手段は、前記ターゲットが前記所定の方向あるいは所定の領域に導かれたときに、最後に前記ターゲットを打撃した前記打撃手段の位置によって前記ポイントを設定する請求項2乃至5のいずれかに記載のゲーム装置。

【請求項7】
前記演出設定手段は、前記強度検出手段によって検出された打撃強度によって演出を設定する請求項4乃至6のいずれかに記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−201717(P2009−201717A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47172(P2008−47172)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)