説明

ゲーム装置

【課題】 プレーヤーの操作の結果、成功したか失敗したかが視覚的に識別しやすく、反射神経を競うことを望むプレーヤーや技量の向上を目指すプレーヤーにとって興趣の高いゲーム装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るゲーム装置1は、上下に延びる落下体経路31と、落下体経路31に沿って落下する落下体32と、落下体経路31の隣に設けられ、落下体32を制動する制動手段42とを備え、制動手段42は、プレーヤーが制動指示ボタン62を押下すると経路31に向けて延伸するブレーキ片44を有し、延伸したブレーキ片44と落下体32とが当接した場合に、落下体32が停止し、ゲームは成功となりプレーヤーに賞品が払い出されるよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に延びる経路に沿って落下する落下物をプレーヤーの操作により停止させるゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム装置として、上下に延びる経路に沿いつつプレーヤーの手の甲に向けてハンマーが落下し、プレーヤーが手を引くとハンマーが停止し、停止した位置に応じて得点が決まるようなゲーム装置が知られている(特許文献1参照)。このゲーム装置によると、プレーヤーは、自分の手の上にハンマーが落下してくるスリルを味わいながら、ぎりぎりまで我慢することにより高得点を獲得できるゲームを楽しむことができる。
【0003】
しかし、特許文献1に係るゲーム装置は、プレーヤーが手を引いた時にハンマーが任意の位置で停止するため、成功したのか失敗したのかが視覚的に識別しにくいという問題があった。また、我慢するほど高得点が獲得できるため、反射神経を競うことを望むプレーヤーや技量の向上を目指すプレーヤーにとっては興趣が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−52236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、プレーヤーの操作の結果、成功したか失敗したかが視覚的に識別しやすく、さらに反射神経を競うことを望むプレーヤーや技量の向上を目指すプレーヤーにとって興趣の高いゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、上下に延びる経路と、前記経路に沿って落下する落下体と、前記経路の隣に設けられ、前記落下体を制動する制動手段とを備え、前記制動手段は、プレーヤーの操作により前記経路に向けて延伸するブレーキ片を有し、延伸した前記ブレーキ片と前記落下体とが当接した場合に、前記落下体が停止することを特徴とするゲーム装置である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、プレーヤーがタイミング良く操作すれば落下体が停止するが、タイミングが悪ければそのまま落下するため、成功したか失敗したかが視覚的に識別しやすいゲーム装置を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記落下体が前記制動手段により停止した場合に、プレーヤーに賞品が払い出されることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、プレーヤーの操作のタイミングに起因するゲームの成否に応じて賞品が提供され、興趣の高いゲーム装置を提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記経路と前記落下体と前記制動手段との組を複数組備え、一の組の前記落下体が前記一の組の前記制動手段により停止すると、他の組の前記落下体の落下が開始することを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、ゲームが複数のステージから成り、一つステージに成功すると次のステージに進むことができるという報酬を得ることができ、技量向上の意欲を惹起するゲーム装置を提供することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、一の組の前記落下体が前記一の組の前記制動手段により停止した場合に払い出される賞品と、他の組の前記落下体が前記他の組の前記制動手段により停止した場合に払い出される賞品とが異なることを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、成功したステージのパターンに応じて払い出される賞品を変えることによって、技量向上の意欲を惹起するゲーム装置を提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記制動手段の隣に設けられ、賞品が載置される賞品載置台をさらに備え、前記制動手段は、前記落下体が前記制動手段により停止した場合に、前記賞品に向けて延伸する棒状の賞品押出部材をさらに有し、前記賞品載置台から落下した前記賞品がプレーヤーに払い出されることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ゲームに成功した場合に賞品が払い出される過程を見ることができ、視覚的に興趣の高いゲーム装置を提供することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記制動手段が、プレーヤーの操作により、前記経路に平行に上下に移動することを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置である。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、賞品と賞品押出部材との位置関係により賞品が払い出されるか否かが決定されるため、ブレーキ片を延伸させるタイミングのみならず制動手段の位置の調整についての高い技量が求められるような、さらに興趣の高いゲーム装置を提供することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記賞品載置台が前記経路と平行に上下に複数設けられていることを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置である。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、プレーヤーは取得したい賞品を選択することができ、また、賞品が載置されている位置に応じて難易度が異なるような、興趣の高いゲーム装置を提供することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、プレーヤーの操作の後、前記落下体の落下が開始することを特徴とする請求項5〜7に記載のゲーム装置である。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、ゲームの結果がプレーヤー自身の操作に依存する度合いが高まり、技量向上への意欲が高まるゲーム装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プレーヤーがタイミング良く操作すれば落下体が停止するが、タイミングが悪ければそのまま落下するため、成功したか失敗したかが視覚的に識別しやすいゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るゲーム装置を示す正面図および右側面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るゲーム装置における制動手段および落下体を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るゲーム装置を示す正面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るゲーム装置を示す正面図および右側面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係るゲーム装置において、落下物が制動手段により停止して、賞品押出部材が賞品を押して賞品載置台から落下させるまでの動作を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係るゲーム装置における制動手段の別の実施例を示す拡大正面図および拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係るゲーム装置について、図1,2に基づき説明する。図1(a)は第一の実施形態に係るゲーム装置の正面図であり、図1(b)は右側面図である。また、図2は第一の実施形態に係るゲーム装置の主要部分を示す拡大斜視図である。
【0026】
符号1で示すゲーム装置1は、上下に延びる経路に沿って落下する落下物をプレーヤーの操作により停止させるゲーム装置であり、落下物の停止に成功した場合に賞品が払い出されるアーケード型のゲーム装置である。ゲーム装置1は、内部に遊戯空間Fが設けられた筐体2を備えており、遊戯空間Fは背面板21、底面板22、上面板23ならびに前面および左右側面に配置された透明板24により区画されている。プレーヤーは透明板24を介して遊戯空間F内を視認できるよう構成されている。
【0027】
遊戯空間F内には、上下に延びる落下体経路31が設けられており、落下体経路31は背面板21から離隔して上下に延びる棒状に構成されている。落下体経路31には落下体32が摺動可能に嵌め込まれており、落下体32が落下体経路31に案内されて落下するよう構成されている。なお、この時落下体32は自由落下するが、落下体32および落下体経路31の材質を適宜変更することによって摩擦を与えて落下速度を調整したり、また落下体32に適宜カウンターウェイトを付加して落下速度を低下させることもできる。落下体32は、上面板23に接する位置から底面板22に接する位置まで落下体経路31に沿って落下する。背面板21の奥には図示しない落下体引揚手段が設けられており、落下体引揚手段は、底面板22まで落下した落下体32を再び上面板23の近傍まで引き揚げる。落下体引揚手段には、モーターとベルトやチェーンとの組み合わせのような、公知の手段が適宜用いられる。
【0028】
落下経路31の隣には、背面板21に当接するように制動手段42が設けられている。なお、本実施形態においては、背面板21から突出するレール状で上下に延びる制動手段経路41が、落下経路31と平行に設けられており、制動手段42は制動手段経路41に嵌め込まれている。そして背面板21の奥には図示しない制動手段駆動手段が設けられており、制動手段42を制動手段経路41に沿って上下に駆動するよう構成されている。制動手段駆動手段には、モーターとベルトやチェーンとの組み合わせのような、公知の手段が適宜用いられる。
【0029】
制動手段42は、支持体43とブレーキ片44から構成されている。支持体43は、制動手段経路41に沿って移動するよう嵌合している。ブレーキ片44は支持体43によって支持され、支持体43の側面43aから落下体経路31に向かってブレーキ片44が延伸するよう設けられている。延伸したブレーキ片44が落下体32の側面33に当接した場合、落下体32は摩擦力を受けて停止する(図2参照)。落下体32が制動手段42により停止したことを検知すると、その後の処理に移行するが、このとき、ブレーキ片44と落下体32の側面33との間の圧力や、またブレーキ片44と落下体32の側面33との間の通電などを利用して、落下体32が制動手段42により停止したこと検知することができる。このように検知することによって、例えばブレーキ片44が延伸した後、その上に落下体32が落ちてブレーキ片44の上に乗ったような場合、「落下体32が制動手段42により停止した」とは検知されない。以下の説明では、「落下体32が制動手段42により停止する」とは、延伸したブレーキ片44が落下体32の側面33に当接したことにより落下体32が停止することを指すものとする。
【0030】
筐体2の前面には、払い出された賞品をプレーヤーが取り出すための賞品取出口51と、ゲームを開始するためにコインまたはメダルを投入するコイン投入口71とが設けられている。払い出される賞品の種類は限定されないが、メダル、ぬいぐるみ、アクセサリー等が好適に選択される。
【0031】
また、筐体2の前面には、操作ボタンが設けられており、本実施形態では、落下指示ボタン61および制動指示ボタン62の二つが設けられている。プレーヤーが落下指示ボタン61を押下した後、落下体経路31の上部に位置していた落下体32の落下が開始する。なおこのとき、落下指示ボタン62が押下された瞬間に、または押下されてから所定の時間もしくはランダムな時間経過後に、落下体32の落下が開始するよう構成することが可能である。そして、プレーヤーが制動指示ボタン62を押下すると、制動手段42のブレーキ片44が延伸する。
【0032】
次に本実施形態に係るゲーム装置1を使用したゲームの手順について説明する。コイン投入口71からコインまたはメダルが投入されると、ゲームが開始する。なおゲームの開始前またはゲーム開始直後に、落下体32は上面板23の近傍まで引き揚げられた状態となっている。そして、落下指示ボタン61がプレーヤーに押下されるのを待機する状態になる。そして、プレーヤーは自分の好きなタイミングで落下指示ボタン61を押下することができる。なお、この間、落下指示ボタン61が点灯もしくは点滅するよう構成することによって、プレーヤーに押下を促すよう構成することもできる。
【0033】
プレーヤーが落下指示ボタン61を押下した後、落下体32は落下を開始する。そして落下体32が制動手段42の傍を通過するタイミングを狙って、プレーヤーが制動指示ボタン62を押下する。制動指示ボタン62が押下されると、制動手段42のブレーキ片44が落下経路31に向けて延伸する。
【0034】
落下体32が制動手段42の傍を通過するタイミングと制動指示ボタン62の押下のタイミングとが合致し、ブレーキ片44が落下体32の側面33に当接した場合、落下体32は摩擦力により停止し、ゲームは成功となる。そして落下体32が制動手段42により停止したことを検知し、賞品が賞品取出口51に払い出され、ゲームは終了となる。一方、ブレーキ片44が落下体32の側面33に当接しなかった場合、すなわち落下体32が制動手段42により停止しなかった場合、ゲームは失敗となり、賞品は払い出されることなく、そのままゲームは終了となる。
【0035】
このように、本実施形態に係るゲーム装置1によって、プレーヤーによる操作の結果、ゲームに成功したか失敗したかが視覚的に識別しやすく、また反射神経を競うことを望むプレーヤーや技量の向上を目指すプレーヤーにとって、興趣の高いゲームを提供することができる。
【0036】
なお、本実施形態の説明では制動手段42の位置が制動手段経路41上において固定されている例について説明したが、制動手段42が制動手段経路41上を動く形態とすることも可能である。このとき、ゲーム装置1がランダムに制動手段42の位置を設定する、すなわちゲームの難易度がランダムに決まるよう構成することも可能であるし、またプレーヤーが制動手段42の位置を操作して、好みの難易度を選択するよう構成することも可能である。
【0037】
また、本実施形態に係るゲーム装置1は、プレーヤー自身が落下体32が落下するタイミングを落下指示ボタン61により指定できるため、技量が向上すれば賞品を獲得できるという期待が高まり、繰り返しプレーしようとする意欲を惹起する。しかし、落下指示ボタン61が押下されてから実際に落下体32が落下するまでの時間がランダムになるようにして、ゲームに意外性を持たせて興趣を高め、またゲームの難易度を上げるよう構成することも可能である。
【0038】
また、制動手段42にサルのイラストを付すとともに、落下体32にバナナをのイラストを付すと、あたかも木から落ちるバナナをサルがキャッチするテーマのゲームを提供することができ、より一層興趣の高いゲーム装置1が構成される。このように、制動手段42および落下体32に種々のイラストを付したり、また制動手段42および落下体32自体の形状を変えることにより、ゲームに様々なテーマを与えることができる。
【0039】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態に係るゲーム装置について、図3,4に基づき説明する。図3は、本発明の第二の実施形態に係るゲーム装置の正面図であり、図4は、その動作を示すフローチャートである。なお、以下においては、第一の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0040】
第二の実施形態に係るゲーム装置1は、第一の実施形態と同様に、上下に延びる落下体経路に沿って落下する落下物をプレーヤーの操作により停止させるゲーム装置であるが、第一の実施形態との相違点は、落下体と落下体経路と制動手段との組が、三組設けられていることである。
【0041】
遊戯空間F内に設けられた上下に延びる落下体経路31a,31b,31cに、落下体32a,32b,32cがそれぞれ摺動可能に嵌め込まれており、また落下体経路31a,31b,31cの隣には、制動手段42a,42b,42cがそれぞれ設けられている。また、第一の実施形態と同様にプレーヤーの操作により、落下体32の落下が開始し、制動手段42のブレーキ片44が延伸するよう構成されている。
【0042】
筐体2の前面には、プレーヤーが操作するための操作ボタンが、落下体および制動手段に対応して設けられており、落下指示ボタン61a,61b,61cは、それぞれ落下体32a,32b,32cの落下開始を指示し、制動指示ボタン62a,62b,62cは、それぞれ制動手段42a,42b,42cのブレーキ片44の延伸を指示する。
【0043】
次に本実施形態に係るゲーム装置1を使用したゲームの手順について、図3および図4に基づいて説明する。コイン投入口71からコインまたはメダルが投入されると、ゲームが開始する(S1)。このゲーム装置1を使用したゲームは、第一ステージ,第二ステージおよび第三ステージから構成される。第一ステージが開始するまでに、落下体32a,32b,32cは上面板23の近傍まで引き揚げられた状態となる。
【0044】
ゲーム開始後、まず第一ステージが始まり(S2)、落下指示ボタン61aがプレーヤーに押下されるのを待機する状態になる。そして、プレーヤーは自分の好きなタイミングで落下指示ボタン61aを押下することができる。なお、この間他の落下指示ボタン61b,61cは、押下されても反応しない。
【0045】
プレーヤーが落下指示ボタン61aを押下した後、落下体32aが落下を開始する。そして落下体32aが制動手段42aの傍を通りすぎるタイミングを狙って、プレーヤーが制動指示ボタン62aを押下する。制動指示ボタン62aが押下されると、制動手段42aのブレーキ片44が落下経路31aに向けて延伸する。
【0046】
落下体32aが制動手段42aの傍を通過するタイミングと制動指示ボタン62aの押下のタイミングとが合致し、ブレーキ片44が落下体32aの側面33に当接した場合、落下体32aは摩擦力により停止する。そして、ゲームの第一ステージは成功となるとともに(S3,yes)、ゲームの第二ステージ(S4)に進行することができる。
【0047】
一方、ブレーキ片44が落下体32aの側面33に当接しなかった場合、すなわち落下体32aが制動手段42aにより停止しなかった場合、第一ステージは失敗となり(S3,no)、賞品は払い出されることなく、また第二ステージに進行することもなく、そのままゲームは終了となる(S10)。
【0048】
第二ステージも、第一ステージと同様に、プレーヤーが落下指示ボタン61bを押下して落下体32bを落下させた後、プレーヤーが制動指示ボタン62bをタイミング良く押下して、落下体32bを停止させることを目的とする。落下体32bが制動手段42bにより停止した場合、第二ステージは成功となり(S5,yes)、ゲームの第三ステージに進行する(S6)。一方、落下体32bが制動手段42bにより停止しなかった場合、第二ステージは失敗となるが(S5,no)、第一ステージに成功した報酬として賞品が払い出された後(S11)、ゲームは終了する(S12)。
【0049】
第三ステージも、第二ステージと同様に、プレーヤーが落下指示ボタン61cを押下して落下体32cを落下させた後、プレーヤーが制動指示ボタン62cをタイミング良く押下して、落下体32cを停止させることを目的とする。落下体32cが制動手段42cにより停止した場合、第三ステージは成功となり(S7,yes)、第一ステージから第三ステージまで成功した報酬として賞品が払い出され(S8)、ゲームが終了する(S9)。一方、落下体32cが制動手段42cにより停止しなかった場合、第三ステージは失敗となるが(S7,no)、第一ステージおよび第二ステージに成功した報酬として賞品が払い出された後(S13)、ゲームは終了する(S14)。
【0050】
ここで、第二ステージを失敗した後に払い出される賞品(S11)と、第三ステージを失敗した後に払い出される賞品(S13)と、第三ステージを成功した後に払い出される賞品(S8)とを、それぞれ異なるよう構成すると、プレーヤーが再度ゲームを行う意欲および技量を向上させる意欲を惹起することができ、好適である。
【0051】
ここで図3に示されたゲーム装置1の状態について説明する。制動手段42aのブレーキ片44が落下体32aに当接して停止しており、第一ステージに成功しているが、制動手段42bのブレーキ片44は延伸しているものの落下体32bは底面板22まで到達しており、すなわち第二ステージで失敗し、第三ステージに進むことなくそのままゲームが終了した状態であることがわかる。
【0052】
なお、図4に示すフローチャートでは、いずれのステージでもゲーム終了直前に賞品を払い出すよう構成されているが、各ステージについて成功した直後にその都度賞品を払い出すよう構成することも可能である。また、第一の実施形態と同様に、制動手段42が制動手段経路41上を動く形態とすることも勿論可能である。
【0053】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態に係るゲーム装置について、図5〜7に基づき説明する。図5(a)は第三の実施形態に係るゲーム装置の正面図であり、図5(b)は右側面図である。図6は、第三の実施形態に係るゲーム装置において、プレーヤーが落下物の停止に成功して賞品を獲得するまでの動作を説明するための説明図である。図7は、第三の実施形態に係るゲーム装置における制動装置の別の実施例を示す拡大正面図および拡大右側面図である。
【0054】
第三の実施形態に係るゲーム装置1は、第一の実施形態と同様に、上下に延びる落下体経路31に沿って落下する落下物32をプレーヤーの操作により停止させるゲーム装置であるが、第一の実施形態との相違点は、制動手段42に賞品押出手段45が設けられており、賞品Pを賞品載置台53から落下させてプレーヤーに払い出すことである。
【0055】
制動手段42は、制動手段経路41に沿って図示しない制動手段駆動手段により上下に動くよう構成されており、制動手段42および制動手段経路41の隣には、複数の賞品載置台53,・・・,53が、上下に並んで設けられている。賞品載置台53は背面板21から水平に突出する板状に構成されており、その上にはプレーヤーに払い出される賞品P,・・・,Pが、それぞれ載置されている。賞品Pの種類は特に限定されないが、ぬいぐるみやアクセサリー等を中に収容した透明なカプセルとすると、プレーヤーがゲームを行う意欲が高まり好適である。
【0056】
制動手段42は、支持体43とブレーキ片44とを有するとともに、賞品押出部材45をさらに有する。賞品押出部材45は、ブレーキ片44と同様に支持体43に支持され、支持体43の側面43bから賞品載置台53が並ぶ方向に向かって延伸するよう設けられている。賞品押出部材45が延伸して賞品Pに当接すると、そのまま賞品Pを押して賞品載置台53から落とす。このとき賞品押出部材45は、賞品Pを賞品載置台53から落とすのに十分なストロークで延伸するよう構成されている。
【0057】
なお、賞品押出部材45は、後述のように、プレーヤーの直接の操作により延伸するのではなく、ブレーキ片44が落下体32に当接したことにより落下体32が停止した場合に初めて延伸するよう構成されている。
【0058】
底面板22には開口54が設けられており、賞品移送路52が開口54と賞品取出口51とを連通している。すなわち、賞品載置台53から落下した賞品Pは開口54に入り、賞品移送路52を通り賞品払出口51に移送され、プレーヤーに払い出される。
【0059】
筐体2の前面には、プレーヤーが操作するための操作ボタンが設けられており、本実施形態では、第一の実施形態と同様の落下指示ボタン61および制動指示ボタン62とともに、制動手段42を制動手段経路41に沿って移動させる位置操作ボタン63が設けられている。本実施形態の落下指示ボタン61、制動指示ボタン62を押下したときの動作は、第一の実施形態と同様である。一方、本実施形態での位置操作ボタン63は、一つのボタンで構成されており、すなわち、位置操作ボタン63を押下している間制動手段41が上昇し、押下をやめると上昇が止まるよう構成されている。なお、一つの位置操作ボタン63に代えて、上昇を指示するボタンと下降を指示するボタンとからなる一対のボタンとすることも可能であるし、またジョイスティック等のレバーとすることも可能である。
【0060】
次に本実施形態に係るゲーム装置1を使用したゲームの手順について、図7に基づき説明する。コイン投入口71からコインまたはメダルが投入されると、ゲームが開始する。なおゲームの開始前またはゲーム開始直後に、落下体32は上面板23の近傍まで引き揚げられた状態となっている。
【0061】
次に、プレーヤーが制動手段42を所望の上下方向位置に移動させる。すなわち、まず位置操作ボタン62をプレーヤーが押下し、プレーヤーが位置操作ボタン62を押下している間、制動手段42が上昇し、プレーヤーの所望の位置で位置操作ボタン62から手を離すと制動手段42は停止する。すなわち、プレーヤーは、上下に並んでいる賞品Pのうち、獲得したい賞品Pに隣接する位置に制動手段42が停止するよう、位置操作ボタン62を操作することになる(図7(a)参照)。
【0062】
制動手段42が停止して位置が確定した後、落下指示ボタン61がプレーヤーに押下されるのを待機する状態になる。そして、プレーヤーは自分の好きなタイミングで落下指示ボタン61を押下することができる。
【0063】
プレーヤーが落下指示ボタン61を押下した後、落下体32は落下を開始する。そして落下体32が制動手段42の傍を通過するタイミングを狙って、プレーヤーが制動指示ボタン62を押下する。制動指示ボタン62が押下されると、制動手段42のブレーキ片44が落下経路31に向けて延伸する。
【0064】
落下体32が制動手段42の傍を通過するタイミングと制動指示ボタン62の押下のタイミングとが合致し、ブレーキ片44が落下体32の側面33に当接した場合、落下体32は摩擦力により停止し、落下体32が制動手段42により停止したことを検知する(図7(b)参照)。
【0065】
すると、制動手段42から賞品押出部材45が賞品載置台53が並ぶ方向に向かって延伸する(図7(c)参照)。
【0066】
そして、賞品載置台53から賞品Pが落ちると(図7(d)参照)、開口54から賞品移送路52を経由して賞品取出口51に移送され、プレーヤーに賞品Pが払い出されて、ゲームは終了となる。
【0067】
一方、制動手段42の上下方向の位置が適切でなく賞品押出部材45と賞品Pとが接触しない場合、あるいは賞品押出部材45と賞品Pとがしっかり接触しないまま賞品押出部材45が延伸するなどして賞品Pが賞品載置台53から落下しない場合、賞品Pは払い出されることなく、ゲームが終了する。
【0068】
また、ブレーキ片44が落下体32の側面33に当接しなかった場合、すなわち落下体32が制動手段42により停止しなかった場合は、その時点でゲームは失敗となり、賞品押出部材45は延伸せず、そのため賞品も払い出されることなく、そのままゲームは終了となる。
【0069】
すなわち本実施形態に係るゲーム装置1では、落下体32を制動手段42により停止させることに成功し、かつ制動手段42の位置が賞品Pの位置に対して適切であったときに初めて賞品が払い出されるため、プレーヤーに高度な技量が求められ、さらにプレーヤーの目の前で賞品が払い出される過程が見えるため、ゲームの興趣はより高まる。その一方で、技量が向上すれば賞品を獲得できるという期待が高まり、繰り返しプレーしようとする意欲を惹起する。
【0070】
なお、落下体32を制動手段42で停止させる難易度は、プレーヤーが設定した制動手段42の上下方向の位置に応じて異なる。したがって、賞品載置台53の上下方向の位置に応じて異なる価値の賞品Pを載置すること、具体的には、難易度の高い位置に載置される賞品Pほど高価なものにすることよって、ゲームの興趣を高めることができる。またさらに、高価な賞品Pほど、賞品載置台53から落下し難い形状に設定することによって、ゲームの興趣を高めることができる。
【0071】
なお、図5に示される賞品押出部材45は、断面が円形の棒状であり、その細い先端で賞品Pを突くよう構成されている。このように構成した場合、賞品Pの中心から離れた位置を賞品押出部材45の先端が押すと、賞品載置台53上で賞品Pの位置がずれるだけに留まる場合がある。するとプレーヤーは「惜しい」と感じるため、再びプレーする意欲を惹起することができる。これに対して、図7に示す他の実施例では、賞品押出部材45の先端に矩形板状の端板45aが設けられている。このように構成することによって、賞品押出部材45が延伸すると、端板45aの面全体で賞品Pを押し込むことができるため、賞品載置台53上で賞品Pの位置がずれるだけに留まることがなく、より確実かつ容易に賞品Pを落とすことが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 ゲーム装置
2 筐体
21 背面板
22 底面板
23 上面板
24 透明板
31 落下体経路(経路)
32 落下体
32a 側面
41 制動手段経路
42 制動手段
43 支持体
43a 側面
43b 側面
44 ブレーキ片
45 賞品押出部材
45a 端板
51 賞品取出口
52 賞品移送路
53 賞品載置台
54 開口
61 落下指示ボタン
62 制動指示ボタン
63 位置操作ボタン
71 コイン投入口
F 遊戯空間
P 賞品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる経路と、
前記経路に沿って落下する落下体と、
前記経路の隣に設けられ、前記落下体を制動する制動手段とを備え、
前記制動手段は、プレーヤーの操作により前記経路に向けて延伸するブレーキ片を有し、
延伸した前記ブレーキ片と前記落下体とが当接した場合に、前記落下体が停止する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記落下体が前記制動手段により停止した場合に、プレーヤーに賞品が払い出される
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記経路と前記落下体と前記制動手段との組を複数組備え、
一の組の前記落下体が前記一の組の前記制動手段により停止すると、他の組の前記落下体の落下が開始する
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
一の組の前記落下体が前記一の組の前記制動手段により停止した場合に払い出される賞品と、他の組の前記落下体が前記他の組の前記制動手段により停止した場合に払い出される賞品とが異なる
ことを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記制動手段の隣に設けられ、賞品が載置される賞品載置台をさらに備え、
前記制動手段は、前記落下体が前記制動手段により停止した場合に、前記賞品に向けて延伸する棒状の賞品押出部材をさらに有し、
前記賞品載置台から落下した前記賞品がプレーヤーに払い出される
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記制動手段が、プレーヤーの操作により、前記経路に平行に上下に移動する
ことを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記賞品載置台が前記経路と平行に上下に複数設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
プレーヤーの操作の後、前記落下体の落下が開始する
ことを特徴とする請求項5〜7に記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−34882(P2012−34882A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178390(P2010−178390)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(594162515)阪和興業株式会社 (7)