説明

ゲーム装置

【課題】プレーヤの遊戯意欲を向上させるような新たな演出の実現。
【解決手段】遊戯装置1では、表示面が平面視六角形を形成するように配置された6台の上モニタ17に対するマルチスクリーン表示制御がなされ、各上モニタ17の表示面が連続するとして見立てた環状の表示面に所定のキャラクタが周回表示される。また、6台の上モニタ17により形成される平面視六角形状の中央にJP機構が設けられる。そして、JP獲得時には、該当するステーションSTの上モニタ17が、表示面を手前側(外側)に向けた立位姿勢から、手前上方側に移動するとともに表示面を下方に向けた横臥姿勢に変位された後、その奥方に配置されているJP機構によるJP用のメダルMの供給が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N台のステーション部が放射状に配設されたゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アーケード用のゲーム装置の一種であり、いわゆる大型筐体と呼ばれるゲーム装置として、プッシャー型のメダルゲーム装置が知られている。このプッシャー型のメダルゲーム装置では、筐体の周囲にプレーヤがゲームプレイを行うための複数のステーション部(サテライト)が設けられており、各ステーション部は、メダルを載置する固定テーブル(メダルフィールド)と、この固定テーブル上を往復スライド移動するプッシャーテーブルとを備え、プッシャーテーブルに押されて固定テーブルから開口部に落下したメダルを払い出すように構成されている。また、このようなメダルゲーム装置では、メダルがチャッカーを通過するといった所定条件を満たすと抽選が行われ、抽選結果に応じて多量のメダルがゲームフィールドに供給されるといった、いわゆる「ジャックポット(JP)システム」が搭載されていることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−27952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アーケード用のゲーム装置では、多くのプレーヤを引き付け、遊戯意欲を向上させるべく様々な演出が行われるが、これらの演出もある程度の時間が経つと見慣れたものとなり、遊戯意欲の向上といった当初の目的が達成されなくなる。このため、遊戯意欲を高めるための目新しい演出が常に要求されている。また、従来のアーケード用のゲーム装置では、各ステーション部において複数のプレーヤが同時にプレイ可能に構成されているが、各ステーション部において個々に独立してゲームプレイが行われるものであり、ゲーム装置全体としての一体感に乏しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレーヤの遊戯意欲を向上させるような新たな演出、特に各ステーション部が一体化したかのような演出の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
N台(N≧3)のステーション部(例えば、図1,2のステーションST)が放射状に配設されたゲーム装置(例えば、図1,2の遊戯装置1)であって、
プレーヤが視認可能なゲーム装置の内部空間に、各表示装置の表示面がM角柱形状(M≧N≧3)の側面をなすように平面視M角形状に配置されたM台の表示装置(例えば、図1,2の上モニタ17)と、
前記各表示装置の表示面が形成する前記M角柱形状の側面を一体的な全周表示面とみなして、前記M台の表示装置を用いたマルチスクリーン表示制御を行うマルチスクリーン表示制御手段(例えば、図16の全体マルチスクリーン制御部130;図17のステップS1)と、
を備えたゲーム装置である。
【0007】
この第1の発明によれば、N台のステーション部が放射状に配設されたゲーム装置において、表示装置の表示面がM角柱形状の側面をなすようにM台の表示装置が配置され、各表示装置の表示面が形成するM角柱形状の側面を一体的な全周表示面とみなして、M台の表示装置を用いたマルチスクリーン制御が行われる。すなわち、筐体内部に配置されたM台の表示装置を、一つの大きな環状のディスプレイに見立てた表示が行われる。つまり、ゲーム装置の周囲のどの方向からでも、また遠目からでも、この表示装置の表示が見えるため、周囲のプレーヤを惹きつける、いわゆる「アイキャッチ」として有効である。また、M台の表示装置の表示面を一体的な全周表示面と見立てた表示を行うことで、複数のステーション部それぞれにおいて独立してゲームプレイが行われるゲーム装置に一体感を与えることが可能となる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のゲーム装置であって、
前記マルチスクリーン表示制御手段は、前記全周表示面に所定のキャラクタ(例えば、図7のキャラクタC)が周回移動する表示制御を行うゲーム装置である。
【0009】
この第2の発明によれば、全周表示面に所定のキャラクタが周回移動する表示制御が行われる。これにより、動きのある演出が可能となるとともに、ゲーム装置に更なる一体感を与えることが可能となる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明のゲーム装置であって、
前記M台の表示装置には、前記N台のステーション部それぞれに当該ステーション部でのプレイ位置に表示面を向けて配設されたN台の表示装置が少なくとも含まれるゲーム装置である。
【0011】
この第3の発明によれば、M台の表示装置には、N台のステーション部それぞれに当該ステーション部でのプレイ位置に表示面を向けて配設されたN台の表示装置が少なくとも含まれる。従って、表示装置への表示は、プレイしていないゲーム装置周囲の観客のみならず、各ステーション部でプレイ中のプレーヤに対しても有効な演出となる。
【0012】
第4の発明は、第1発明のゲーム装置であって、
前記M台の表示装置には、前記N台のステーション部それぞれに当該ステーション部でのプレイ位置に表示面を向けて配設されたN台の表示装置が少なくとも含まれ、
前記N台のステーション部それぞれにおけるゲーム進行状況が所定状況に達したステーション部を検出する検出手段を更に備え、
前記マルチスクリーン表示制御手段は、前記全周表示面に所定のキャラクタが周回移動する表示制御を行うとともに、前記検出手段の検出に応じて当該検出されたステーション部に対応する表示装置に前記キャラクタが周回移動した際に、前記キャラクタが所定動作を行う表示制御を実行する、
ゲーム装置である。
【0013】
この第4の発明によれば、全周表示面に周回移動する所定のキャラクタが表示されるとともに、N台のステーション部それぞれにおけるゲーム進行状況が所定状況に達したステーション部が検出され、検出されたステーション部に対応する表示装置にキャラクタが周回移動した際に、当該キャラクタが所定動作を行うように表示される。つまり、ステーション部におけるゲーム進行状況が所定状況に達すると、対応する表示装置には、周回移動してきたキャラクタが所定動作を行うように表示される。これにより、ステーション部におけるゲーム進行状況に連動した表示が対応する表示装置においてなされ、ゲームをより盛り上げるような演出が実現される。
【0014】
第5の発明は、第3又は第4の発明のゲーム装置であって、
前記平面視M角形状の中央部に配置された所定動作を行う可動部(例えば、図5,6のメダル供給装置32)と、
前記N台の表示装置それぞれを、当該表示装置の表示面を当該ステーション部のプレイ位置に向けた立位姿勢と、当該表示装置の表示面を下方又は上方に向けた横臥姿勢とに変位させるN台の表示装置移動駆動部(例えば、図5の上モニタ駆動機構20)と、
を備えたゲーム装置である。
【0015】
この第5の発明によれば、ゲーム装置には、M台の表示装置の表示面により形成される平面視M角形状の中央部に所定動作を行う可動部が配置されており、N台の表示装置それぞれは、表示面を当該ステーション部のプレイ位置に向けた立位姿勢と、下方又は上方に向けた横臥姿勢とに変位可能である。つまり、ステーション部でプレイ中のプレーヤにとっては、表示装置が立位姿勢の状態では、その奥に配置されている可動部が表示装置に隠されて一部又は全部が見えないが、表示装置が横臥姿勢に変位すると、隠されて見えなかった可動部が見えるようになる。
【0016】
第6の発明は、第5の発明のゲーム装置であって、
前記N台の表示装置それぞれは、天井部に一端部が軸支された所定の可動アーム部(例えば、図5のモニタアーム21)の他端部によって、前記立位姿勢と前記横臥姿勢とを変位可能に吊り下げられており、
前記表示装置移動駆動部は、前記可動アーム部を駆動することで、前記表示装置を変位させる、
ゲーム装置である。
【0017】
この第6の発明によれば、N台の表示装置それぞれは、天井部に一端部が軸支された所定の可動アーム部の他端部によって立位姿勢と横臥姿勢とを変位可能に吊下げられている。
【0018】
第7の発明は、第5又は第6の発明のゲーム装置であって、
前記可動部は、前記平面視M角形状の中央部に配置された周方向に回転駆動する回転機構(例えば、図5,6の台座31)によって回転可能に設けられているとともに、前記ステーション部のプレイ位置に向けた前記所定動作が可能であり、
前記N台のステーション部のうち、択一的にステーション部を選択する選択部(例えば、図16の抽選部141)と、
前記表示装置移動駆動部に、前記選択部により選択されたステーション部に対応する表示装置を前記横臥姿勢に変位させるとともに、前記回転機構を制御して前記可動部を前記選択されたステーション部に対向させて後、前記可動部に前記所定動作を行わせる制御を行う制御部(例えば、図16の抽選部141)と、
を備えたゲーム装置である。
【0019】
この第7の発明によれば、可動部は、平面視M角形状の中央部に配置された回転機構によって回転可能に設けられているとともに、ステーション部のプレイ位置に向けた所定動作が可能である。そして、N台のステーション部のうち、択一的に選択されたステーション部に対応する表示装置が横臥姿勢に変位されるとともに、可動部が当該ステーション部に対向するように回転された後、所定動作が行われる。すなわち、択一的に選択されたステーション部においては、横臥姿勢に変位された表示装置の奥方に、当該ステーション部に向いた可動部が所定動作を行う様子を見ることができる。
【0020】
第8の発明は、第5又は第6の発明のゲーム装置であって、
前記可動部は、前記N台のステーション部それぞれのプレイ位置に向けた前記所定動作が可能なN台の可動部でなり、
前記N台のステーション部のうち、択一的にステーション部を選択する選択部と、
前記表示装置移動駆動部に、前記選択部により選択されたステーション部に対応する表示装置を前記横臥姿勢に変位させるとともに、前記選択されたステーション部に対応する可動部に前記所定動作を行わせる制御を行う制御部と、
を備えたゲーム装置である。
【0021】
この第8の発明によれば、N台のステーション部それぞれのプレイ位置に向けた所定動作が可能なN台の可動部が備えられ、N台のステーション部のうち、択一的に選択されたステーション部に対応する表示装置が横臥姿勢に変位されるとともに、当該ステーション部に対応する可動部による所定動作が行われる。すなわち、択一的に選択されたステーション部においては、横臥姿勢に変位された表示装置の奥方に、当該ステーション部に向いた可動部が所定動作を行う様子を見ることができる。
【0022】
第9の発明は、第7又は第8の発明のゲーム装置であって、
前記ステーション部それぞれは、
メダル落下口(例えば、図3のメダル落下口14)と、
多数のメダルを載置するメダル載置面を有するメダル載置部(例えば、図3の固定テーブル11)と、
前記メダル落下口に向けて前記メダル載置面に沿った往復運動を行い、前記メダル載置面上の載置物を押すプッシャー部(例えば、図3のプッシャーテーブル12)と、
を備え、
前記可動部は、前記メダル落下口、前記メダル載置面及び前記プッシャー部の上面のうちの少なくとも1つに向けて所定量のメダルを供給する動作を行う、
ゲーム装置である。
【0023】
この第9の発明によれば、いわゆるプッシャー型のメダルゲーム装置が実現される。
【0024】
第10の発明は、第3〜第9の何れかの発明のゲーム装置であって、
前記ステーション部それぞれは、当該ステーション部のプレーヤ向けに、前記表示装置とは別の表示装置(例えば、図3の下モニタ18)を備え、
前記表示装置の表示面と当該表示装置が配設されたステーション部に対応する表示装置の表示面とを連続する表示面とみなしてマルチスクリーン表示制御を行うステーション個別マルチスクリーン表示制御手段(例えば、図16のSTマルチスクリーン制御部142)を備えたゲーム装置である。
【0025】
この第10の発明によれば、ステーション部それぞれには、当該ステーション部のプレーヤ向けに表示装置とは別の表示装置が備えられ、表示装置の表示面と当該表示装置が配設されたステーション部に対応する表示装置の表示面とを連続する表示面とみなしたマルチスクリーン表示制御が行われる。つまり、各ステーション部において、対応する表示装置と表示装置とに対するマルチスクリーン表示制御が行われる。これにより、表示装置と表示装置とが連動した表示が実現され、ゲームをより盛り上げるような演出が可能となる。
【0026】
第11の発明は、第10の発明のゲーム装置であって、
前記ステーション個別マルチスクリーン表示制御手段のマルチスクリーン表示制御による前記表示装置への表示画像を、前記マルチスクリーン表示制御手段のマルチスクリーン表示制御による当該表示装置への表示画像上に重畳して合成することで、当該表示装置に表示する画像を生成する表示装置表示画像生成手段(例えば、図16の上モニタ表示制御部143;図17のステップS17)を備えたゲーム装置である。
【0027】
この第11の発明によれば、表示装置と表示装置との間でのマルチスクリーン表示制御による当該表示装置への表示画像を、M台の表示装置に対するマルチスクリーン制御による当該表示装置への表示画像上に重畳して合成されることで、当該表示装置に表示する画像が生成される。つまり、表示装置に表示される画像は、対応するステーション部の表示装置と間でのマルチスクリーン表示制御による画像が前面側に、当該表示装置を含むM台の表示装置に対するマルチスクリーン表示制御による画像が背面側に配置された画像となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ゲーム装置の外観正面図。
【図2】ゲーム装置の水平断面図。
【図3】ステーションの要部拡大斜視図。
【図4】ステーションの正面図。
【図5】ステーションの垂直断面図。
【図6】(a)JP機構の正面図、(b)JP機構の側面図。
【図7】全体マルチスクリーン制御の説明図。
【図8】JP枚数報知画面の表示例。
【図9】ルーレット画面の表示例。
【図10】STマルチスクリーン表示制御の説明図。
【図11】STマルチスクリーン表示制御の説明図(図10の続き)。
【図12】STマルチスクリーン表示制御の説明図(図11の続き)。
【図13】上モニタに対する表示制御の説明図。
【図14】JP機構の動作説明図。
【図15】JP機構の動作説明図(図14の続き)。
【図16】遊戯装置の機能構成図。
【図17】ステーション制御処理のフローチャート。
【図18】遊戯装置の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態は、本発明をプッシャー型のメダルゲーム装置に適用した場合の実施形態である。
【0030】
[外観]
図1は、本実施形態における遊戯装置1の一例を示す外観正面図である。図2は、図1のA−A´矢視断面図である。図1、図2によれば、遊戯装置1は、プレーヤが内部を視認可能なように透明なアクリル板で形成された透明カバー50で囲まれた遊戯空間GSを形成し、この遊戯空間GS内に、前端がメダル落下口14の上方に達して延設された固定テーブル11と、固定テーブル11上を往復移動されるプッシャーテーブル12とを備えた、いわゆる「プッシャー型」と呼ばれるメダルゲーム装置である。
【0031】
また、遊戯装置1は平面視略六角形の形状をなしており、略六角形の各辺で2人のプレーヤのゲームプレイが可能な6つのステーションSTが備えられている。すなわち、6つのステーションSTが放射状に配置された構成となっており、12人のプレーヤが各ステーションSTにおいて同時にプレイを楽しむことができる。
【0032】
ここで、以下の説明における方向を次のように定める。すなわち、上下左右方向を図1における上下左右の方向とし、奥行き方向は、各ステーションSTから遊戯装置1の中心に向かって前後(手前/奥)の方向とする。つまり、各ステーションSTでプレイするプレーヤの視点に立った上下左右及び前後の方向とする。
【0033】
また、遊戯装置1は、遊戯装置1を統合的に制御する制御ユニット40を筐体内部に備えている。制御ユニット40には、CPU等の演算装置と、ICメモリ等の記憶装置とが搭載されている。演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムやデータを読み出して実行することで遊戯装置1を統括制御し、ジャックポット(以下、「JP」という)抽選やJP獲得による遊戯空間GSへのメダルMの供給、モニタへの表示制御といった各種処理を行う。
【0034】
図3は、1台のステーションSTの要部拡大斜視図である。図4は、ステーションSTの正面図であり、図5は、図4のB−B´矢視断面図である。但し、簡明化のため、断面部分のハッチングを一部省略している。図3〜図5によれば、各ステーションSTには、固定テーブル11と、プッシャーテーブル12と、チャッカー13と、メダル落下口14と、メダル落下口14に連通したメダル払出口15と、二つのメダル投入器16と、LCDやPDP等のフラットパネルディスプレイ(FPD)で構成された上モニタ17及び下モニタ18と、スロープ19と、上モニタ17の駆動機構20とが設けられている。
【0035】
固定テーブル11は、前端がメダル落下口14の上方に達するように延出して配設されており、この固定テーブル11上に多数のメダルMが載置される。プッシャーテーブル12は、固定テーブル11の上面に沿って前後方向に往復スライド移動可能に配置されており、公知の往復機構(不図示)によって前後方向に周期的に往復移動される。プッシャーテーブル12が固定テーブル11上を往復スライド運動すると、プッシャーテーブル12の前面に押されて固定テーブル11上に載置されているメダルMが移動する。固定テーブル11上に載置されているメダルMの密度が高いと、メダルMが玉突き状態となって固定テーブル11の前端部からメダルMがメダル落下口14に落下し、メダル払出口15から遊戯装置1外部にメダルMが払い出される。一方、固定テーブル11上に載置されているメダルMの密度が低いと、固定テーブル11上の隙間を埋めるようにメダルMが移動することとなる。
【0036】
また、固定テーブル11の前端にはチャッカー13が設けられている。チャッカー13は、メダルMの通過を検知するための通過センサを有しており、メダルMの通過を検知すると、検知信号が制御ユニット40に出力される。このチャッカー13の検知をトリガとして、JP抽選が開始される。
【0037】
メダル投入器16は、メダルMを立てた状態で挿入可能な上向きに開口した溝を形成しており、透明カバー50に形成された挿通孔16aに挿通されて所定角度範囲だけ左右方向に首振り自在に支持されている。また、このメダル投入器16は、後端部が筐体外部(遊戯者側)にあり、先端部が固定テーブル11の上方に位置するように配置されている。したがって、メダル投入器16に挿入されたメダルMは、溝を転動して遊戯空間GS内に投入され、固定テーブル11の上面に落下する。
【0038】
スロープ19は、下端位置が固定テーブル11の奥方左右それぞれに位置し、上端位置が下モニタ18の左右側方の上端位置に位置する奥方から手前側に向けて傾斜した一対の傾斜面をなし、この傾斜面上を滑走するメダルMを固定テーブル11上までガイドし落下させる。
【0039】
下モニタ18は、遊戯空間GSの奥方に、表示面を手前側であってやや上方に向けて配置されている。上モニタ17は、下モニタ18の上方に、表示面を手前側に向けて略垂直に配置されている。
【0040】
上モニタ駆動機構20は、上モニタ17を天井部から吊下げるためのZ字形状のモニタアーム21を備えて構成され、上モニタ17の位置を変位させる。モニタアーム21は、一端が上モニタ17の背面に固定され、他端が公知の往復機構(不図示)によって前後方向に往復移動可能に設けられている。すなわち、上モニタ17は、下モニタ18の上方に位置して表示面が略垂直な「立位姿勢」と、モニタアーム21の他端が奥方向にスライド移動されてモニタアーム21が回転することで、手前上方に移動するとともに表示面が下方を向いた「横臥姿勢」との間を変位することができる。なお、この上モニタ駆動機構20の気候は、上モニタ17を立位姿勢と横臥姿勢との間を変位可能であれば他の機構でも良く、例えば横臥姿勢において上モニタ17の表示面を上方に向けて変位させることにしても良い。
【0041】
各ステーションSTの6つの上モニタ17は、その表示面が平面視六角形を形成するように配置されている。そして、この六角形の内部の位置に、JPを獲得したステーションSTにJP用のメダルMを供給するためのJP機構30が備えられている。このJP機構30は、6つの上モニタ17により形成される六角形の内部に配置されているため、全ての上モニタ17が立位姿勢となっている状態では、上モニタ17に隠れて大部分が見えない状態となっている。
【0042】
図6(a)は、JP機構30の正面図であり、同図(b)は側面図である。同図によれば、JP機構30は、遊戯装置1の略中心を軸中心として回転される台座31と、台座31の上面に設置されたメダル供給装置32と、メダル補充装置33と、メダル補充路34と備えて構成される。
【0043】
メダル供給装置32は、JP用のメダルMが貯留されたメダルボックス32aと、メダルボックス32aを一端部で支持するボックスアーム32bとを有して構成されている。そして、このメダル供給装置32は、ボックスアーム32bが他端部を軸中心として回転することで、メダルボックス32aの位置を変更可能となっている。すなわち、ボックスアーム32bがほぼ起立し、メダルボックス32aが装置中央上方に位置する「起立姿勢」と、ボックスアーム32bが手前側(プレーヤ側)に傾斜している「傾斜姿勢」とを変位することができるとともに、かかる姿勢間の任意の位置でボックスアーム32bの回転を止めることもできる。なお、メダルボックス32aは、起立姿勢において上方が開口したショベル形状を有している。また、前端部に左右中央位置には凸部が設けられている結果、傾斜姿勢となった場合に、メダルボックス32a内に貯留されていたメダルMが、この凸部を避けるようにして左右の滑落部32a1,32a2から落下する。このとき、左右の滑落部32a1,32a2は、それぞれ2つのスロープ19の上端部の上方に位置する。このため、滑落部32a1,32a2から落下されたメダルMは、スロープ19上を滑走して固定テーブル11又はプッシャーテーブル12上に供給されることとなる。
【0044】
メダル補充装置33は、予備のメダルMを内部に貯留し、メダル補充路34を通じてメダルボックス32aにメダルMを補充する。メダル補充路34は、メダル補充装置33からメダルMを搬送する搬送機構であり、一端が起立姿勢にあるメダルボックス32aの上方に位置して配置されている。すなわち、メダル補充装置33によるメダルMの補充は、メダル供給装置32が起立姿勢にある場合に行われる。
【0045】
遊戯装置1では、各ステーションSTに設けられている6枚の上モニタ17が、複数の表示面が連続した1つの表示面であるとみなして表示制御する、いわゆる「マルチスクリーン表示制御」が行われる。6つの上モニタ17は、表示面を外側に向けて平面視六角形の各辺をなすように配置されているため、各表示面が連続した環状の表示面とみなされてマルチスクリーン表示制御(以下、「全体マルチスクリーン表示制御」という)される。
【0046】
図7は、全体マルチスクリーン表示制御の概要を説明するための図である。同図に示すように、全体マルチスクリーン表示制御では、6つの表示面を連続する一つの環状の表示面とみなした画像(以下、「全体マルチスクリーン画像」という)が生成され、この画像を6等分した各画像(以下、「個別マルチスクリーン画像」という)が、各上モニタ17に表示される。本実施形態では、全体マルチスクリーン画像として、キャラクタCが環状の表示面を周回移動する画像が生成される。同図では、キャラクタCとして「くじら」が海中を泳ぐ全体マルチスクリーン画像が生成される。なお、同図では、全体マルチスクリーン画像を長方形状の画像として示しているが、実際にはその左右端部が連続した環状の画像である。
【0047】
また、6つの上モニタ17のうち、例えば所定時間間隔(例えば、30秒)でランダムに選択された何れか1つの上モニタ17に、「JP枚数報知画面」が一定時間(例えば、5秒)の間表示される。JP枚数報知画面は、メダル供給装置32のメダルボックス32aに貯留されているメダルMの枚数、すなわち、JP獲得時に供給されるJP用のメダルMの枚数を、プレーヤやゲーム装置1の周囲の観客に報知するための画面である。
【0048】
図8は、JP枚数報知画面の表示例を示す図である。同図では、6つの上モニタ17のうち、左から4番目の上モニタ17にJP枚数報知画面が表示されている。また、JP枚数報知画面は、全体マルチスクリーン表示制御された画面に上書き表示(重畳表示)される。すなわち、上モニタ17には、全体マルチスクリーン表示制御によって移動表示されるキャラクタCが、このJP枚数報知画面の背後を移動するように表示される。
【0049】
また、各ステーションSTにおいて、下モニタ18と上モニタ17とがマルチスクリーン表示制御により連動表示される。すなわち、下モニタ18の表示画面と上モニタ17の表示画面とが縦方向に連続する1つの表示面とみなされて、マルチスクリーン表示制御(以下、「STマルチスクリーン表示制御」という。そして、このSTマルチスクリーン表示制御による画面を「ST連動画面」という)が行われる。
【0050】
図9は、通常時の下モニタ18及び上モニタ17の表示画面の一例を示す図である。同図によれば、通常時、下モニタ18には「ルーレット画面」が表示され、上モニタ17にはマルチスクリーン画面が表示されている。つまり、互いに独立した画面として表示されている。ここで、ルーレット画面はJP抽選を行うための画面である。JP抽選時にはルーレットが回転表示され、停止した3つの出目が揃うとJP獲得となる。
【0051】
図10〜図12は、STマルチスクリーン表示制御を説明するための図である。先ず、図10に示すように、上モニタ17及び上モニタ28それぞれに、画面下方から発生して水中を上昇する「泡」が表示される。次いで、図11に示すように、「泡」によって下モニタ18のルーレット画面が上方に押し上げられ、上モニタ17の下方から現れるように表示される。そして、最終的には、図12に示すように、下モニタ18には「泡」のみが表示されるととともに、上モニタ17に移動したルーレット画面が表示される。
【0052】
なお、ルーレット画面及び「泡」は、全体マルチスクリーン表示制御された画像(個別マルチスクリーン画像)に上書き表示(重畳表示)される。つまり、全体マルチスクリーン表示制御により移動表示されるキャラクタCの手前側に、STマルチスクリーン表示制御によるST連動画面が重畳表示されることでルーレット画面及び「泡」が上方に向けて移動するように表示される。なお、上モニタ17におけるSTマルチスクリーン表示制御は、JP枚数報知画面の表示に優先される。
【0053】
図13は、上モニタ17の表示制御を説明するための図である。同図に示すように、上モニタ17の表示画像は、全体マルチスクリーン表示制御により生成されたマルチスクリーン画像に、JP枚数報知画面を表示するためのJP枚数表示画像と、STマルチスクリーン表示制御により生成されたST連動画像とを順に重畳することで生成される。
【0054】
図14、図15は、JP機構30によるJP獲得時のメダル供給動作を説明するための図である。初期状態では、図5に示したように、上モニタ17は立位姿勢、メダル供給装置32は起立姿勢となっている。そして、あるステーションSTにおいてJPが獲得されると、図14に示すように、当該ステーションSTにおいてモニタアーム21の他端が奥側にスライド移動されて上モニタ17が横臥姿勢に変位して上方に移動される。また、台座31が回転されてメダル供給装置32の正面が当該ステーションSTを向くように配置される。つまり、当該ステーションSTのプレーヤにとっては、上モニタ17により隠されていたメダル供給装置32が、下モニタ18の奥方に正面を向いた状態で見えるようになる。次いで、図15に示すように、ボックスアーム32bが手前側に傾斜されてメダル供給装置32が傾斜姿勢に変位される。この結果、メダルボックス32aに貯留されているメダルMが下方に落下し、スロープ19上を滑り落ちて、固定テーブル11又はプッシャーテーブル12上に落下する。
【0055】
続いて、ボックスアーム32bが奥方に回転されてメダル供給装置32が起立姿勢に復帰する。その後、モニタアーム21の他端が手前側にスライド移動されて上モニタ17が下方に移動して立位姿勢に復帰する。つまり、図5に示した初期状態に復帰する。なお、メダルMの供給が行われることでメダルボックス32aが空となるが、この場合には、メダル補充装置33によって所定量のメダルMを、再度、メダルボックス32aに補充すれば良い。また、上モニタ17の姿勢及び位置を変化させることでメダル供給装置32が出現するかのような演出を行うが、上モニタ17の上方に移動させて横臥姿勢に変位させることで、傾斜姿勢となったメダル供給装置32との緩衝を避ける目的もある。勿論、メダル供給装置32が傾斜姿勢となっても上モニタ17とは緩衝しない配置構成とした遊戯装置を実現することも可能である。
【0056】
[構成]
図16は、遊戯装置1の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、遊戯装置1は、中央制御部100と、JP機構30と、6つのステーションST(第1〜第6ステーションST1〜ST6)とを備えて構成される。各ステーションSTは、チャッカー13と、上モニタ17と、下モニタ18と、上モニタ駆動機構20とを有している。
【0057】
中央制御部100は、制御ユニット40により実現され、JP機構制御部110と、JP枚数報知制御部120と、全体マルチスクリーン制御部130と、第1〜第6ステーションST1〜ST6それぞれを制御する第1〜第6ステーション制御部140−1〜140−6と、記憶部180とを有する。なお、6つのステーションST(第1〜第6ステーションST1〜ST6)は何れも同一構成であるとともに、これらを制御する第1〜第6ステーション制御部140−1〜140−6の何れも同一構成である。このため、同図では、第1ステーションST1及びこれを制御する第1ステーション制御部140−1についてのみ、詳細な構成を示している。
【0058】
JP機構制御部110は、ステーション制御部140の制御に従って、JP機構30を駆動制御してJPが獲得されたステーションSTに対するJP用のメダルMの供給を行わせる。具体的には、メダル供給装置32の正面がJPを獲得したステーションSTの方向を向くように、台座31を回転させる。なお、このときには、上モニタ駆動機構20によって上モニタ17が立位姿勢から横臥姿勢に変位される。次いで、ボックスアーム32bを手前側に回転させて、メダル供給装置32を起立姿勢から傾斜姿勢に変位させる。そして、所定時間(具体的には、メダルボックス32a内の全てのメダルMの落下に要する時間)が経過すると、ボックスアーム32bを奥方向に回転させて、メダル供給装置32を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させる。なお、複数のステーションSTにおいてほぼ同時にJPが獲得された場合には、例えば先着順で、ステーションSTに対するJP用のメダルMの供給を行わせる。
【0059】
JP枚数報知制御部120は、各ステーションSTの上モニタ17におけるJP枚数報知画面の表示を制御する。具体的には、各ステーションSTの上モニタ17のうち、JP枚数報知画面を表示させる1つの上モニタ17を所定時間間隔(例えば、30秒)でランダムに決定する。また、貯留されているメダルMの枚数を表示したJP枚数報知画像を生成する。ここで、メダルボックス32aに貯留されているメダルMの枚数は、JP枚数データ182として記憶部180に記憶されている。そして、決定した上モニタ17に、所定時間(例えば、5秒)の間、生成したJP枚数報知画像を表示させる。
【0060】
全体マルチスクリーン制御部130は、各ステーションSTの上モニタ17に対する全体マルチスクリーン制御を行う。具体的には、図7を参照して説明したように、各ステーションSTの各上モニタ17の表示面を連続する環状の表示面とみなして、「くじら」といったキャラクタCが周回移動する画像(動画)を生成する。そして、生成した画像を6等分した各画像を、上モニタ17それぞれの個別マルチスクリーン画像として当該各上モニタ17に表示させる。
【0061】
ステーション制御部140は、抽選部141と、STマルチスクリーン制御部142と、上モニタ表示制御部143と、下モニタ表示制御部144とを有し、対応するステーションSTにおけるゲームプレイを制御する。
【0062】
抽選部141は、JP抽選を制御する。具体的には、チャッカー13からメダルMの検知信号が入力されると、JPを獲得させるか否かを、例えば確率的に決定する。また、当該ステーションSTにおけるSTマルチスクリーン表示制御を行うか否かを、例えば確率的に決定する。そして、STマルチスクリーン表示制御を行うと決定した場合には、STマルチスクリーン制御部142に、上モニタ17及び下モニタ18それぞれに表示させるST連動画像を生成させ、当該上モニタ17及び下モニタ18それぞれに表示させる。その後、決定したJP抽選結果となるように、上モニタ17或いは下モニタ18に表示されたルーレット画面におけるルーレットを回転表示させる。そして、JP抽選結果をJP獲得と決定した場合には、上モニタ駆動機構20に上モニタ17を立位姿勢から横臥姿勢に変位させるとともに、JP機構制御部110にJP機構30を駆動させて当該ステーションSTへのJP用のメダルMの供給を行わせる。
【0063】
STマルチスクリーン制御部142は、当該ステーションSTの上モニタ17及び下モニタ18に対するSTマルチスクリーン表示制御を行う。具体的には、抽選部141によりSTマルチスクリーン表示制御を行うと決定されると、上モニタ17及び下モニタ18それぞれに表示させるST連動画像を生成する。詳細には、図10〜図12を参照して説明したように、上モニタ17及び下モニタ18の表示面を縦方向に連続する表示面とみなして、下方から「泡」が発生し上昇するとともに、この「泡」によってルーレット画面が上方に移動される画像を生成する。そして、生成した画像を上下に二等分した各画像を、上モニタ17及び下モニタ18それぞれのST連動画像として、当該上モニタ17及び下モニタ18それぞれに表示させる。
【0064】
上モニタ表示制御部143は、上モニタ17の表示を制御する。具体的には、図13を参照して説明したように、JP枚数報知制御部120によってJP枚数報知画面を表示すると決定された場合には、当該JP枚数報知制御部120によって生成されたJP枚数報知画像を、全体マルチスクリーン制御部130により生成された個別マルチスクリーン画像に重畳する。次いで、STマルチスクリーン表示制御が行われる場合には、STマルチスクリーン制御部142により生成されたST連動画像を、更に、個別マルチスクリーン画像に重畳する。そして、全ての画像が重畳された画像を上モニタ17に表示させる。
【0065】
下モニタ表示制御部144は、下モニタ18の表示を制御する。具体的には、例えば図9に示したように、下モニタ18にルーレット画面を表示させる。また、STマルチスクリーン表示制御が行われる場合には、STマルチスクリーン制御部142により生成されたST連動画像を下モニタ18に表示させる。更に、JP抽選時であってSTマルチスクリーン表示制御が行われない場合には、抽選部141の制御に従って、下モニタ18に表示させたルーレット画面におけるルーレットの回転表示を制御する。
【0066】
記憶部180は、中央制御部100が遊戯装置1を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムやデータ等を記憶するとともに、中央制御部100の作業領域として用いられ、各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶される。本実施形態では、記憶部180は、プログラムとして、ステーション制御部140が実行するステーション制御プログラム181を記憶しているとともに、データとして、JP枚数データ182を記憶している。
【0067】
[処理の流れ]
図17は、ステーション制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、各ステーション制御部140が独立して実行する処理であり、ステーション制御プログラム181に従って実行される。
【0068】
同図によれば、先ず、上モニタ表示制御部143が、上モニタ17に、全体マルチスクリーン制御部130によって生成された個別マルチスクリーン画像を表示させる(ステップS1)。また、下モニタ表示制御部144が、下モニタ18にルーレット画面を表示させる(ステップS3)。次いで、JP枚数報知制御部120が、当該ステーションSTにおいてJP枚数報知画面を表示するか否かを決定し、表示すると決定したならば(ステップS5:YES)、上モニタ表示制御部143が、上モニタ17に、JP枚数報知制御部120によって生成されたJP枚数報知画像を表示(上書き表示)させる(ステップS7)。
【0069】
続いて、抽選部141が、チャッカー13によってメダルMの通過が検知されたか否かを判断し、検知されたならば(ステップS9:YES)、JPの獲得とするか否かを決定するJP抽選を行う(ステップS11)。また、STマルチスクリーン制御部142が、STマルチスクリーン表示制御を行うか否かを決定する(ステップS13)。
【0070】
マルチスクリーン表示制御を行うと決定したならば(ステップS15:YES)、STマルチスクリーン制御部142は、上モニタ17及び下モニタ18それぞれに表示させるST連動画像を生成し、生成したST連動画像を、上モニタ表示制御部143が上モニタ17に表示(上書き)させるとともに、下モニタ表示制御部144が下モニタ18に表示させる(ステップS17)。次いで、上モニタ表示制御部143が、抽選部141によるJP抽選結果に従って、上モニタ17のルーレットの回転表示を行う(ステップS19)。
【0071】
一方、STマルチスクリーン表示制御を行わないと決定したならば(ステップS15:NO)、下モニタ表示制御部144が、抽選部141によるJP抽選結果に従って、下モニタ18のルーレット画面のルーレットの回転表示を行う(ステップS21)。
【0072】
続いて、抽選部141により決定されたJP抽選結果が「JP獲得ならば(ステップS23:YES)、上モニタ表示制御部143が、上モニタ17に所定のJP獲得画面を表示させるとともに、下モニタ表示制御部144が、下モニタ18に所定のJP獲得画面を表示させる(ステップS25)。また、抽選部141が、上モニタ駆動機構20を駆動制御して上モニタ17を立位姿勢から横臥姿勢に変位させる(ステップS27)。次いで、JP機構制御部110にJP機構30を駆動制御させて、メダル供給装置32の正面が当該ステーションSTを向くように台座31を回転させるとともに、メダル供給装置32を起立姿勢から傾斜姿勢に変位させて、メダルボックス32aに貯留されているメダルMを当該ステーションSTに供給させる(ステップS29)。その後、メダル供給装置32を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させ(ステップS31)、また、上モニタ17を横臥姿勢から立位姿勢に復帰させる(ステップS33)。
【0073】
一方、抽選部141によって決定されたJP抽選結果が「JP失敗」ならば(ステップS23:NO)、上モニタ表示制御部143が、上モニタ17に所定のJP失敗画面を表示させるとともに、下モニタ表示制御部144が、下モニタ18に所定のJP失敗画面を表示させる(ステップS35)。以上の処理を行うと、ステップS5に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0074】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、遊戯装置1では、表示面が平面視六角形を形成するように配置された6台の上モニタ17に対するマルチスクリーン表示制御(全体マルチスクリーン表示制御)がなされ、各上モニタ17の表示面が連続するとして見立てた環状の表示面に、「くじら」といったキャラクタCが周回表示される。つまり、遊戯装置1の周囲のどの方向からでも、また遠目からでも、この上モニタ17の表示が見えるため、周囲のプレーヤを惹きつける、いわゆる「アイキャッチ」として有効である。また、6台の上モニタ17の表示面を一体的な表示面と見立てた表示を行うことで、6つのステーションSTそれぞれにおいて独立してゲームプレイが行われる遊戯装置1に一体感を与えることが可能となる。
【0075】
また、6台の上モニタ17により形成される平面視六角形状の中央にJP機構30が設けられる。そして、JP獲得時には、該当するステーションSTの上モニタ17が、表示面を手前側(外側)に向けた立位姿勢から、手前側に移動するとともに表示面を下方に向けた横臥姿勢に変位された後、その奥方に配置されているメダル供給装置32によるJP用のメダルMの供給が行われる。JP獲得時には、上モニタ17が横臥姿勢に変位するとともに、この上モニタ17の変位によって通常時には上モニタ17によって隠れて見えなかったメダル供給装置32が見えるようになり、このメダル供給装置32によってJP用のメダルMが供給されるといった、プレーヤに驚きを与えるJP獲得時の新たな演出が実現される。
【0076】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0077】
(A)ステーションSTの数
例えば、上述の実施形態では、遊戯装置1は6つのステーションSTを備えて構成されることにしたが、これに限らず、これ以外の数のステーションSTを備えて構成されることにしても良い。
【0078】
(B)ステーションSTの数Nと上モニタ17の台数Mとの関係
また、上述の実施形態では、各ステーションSTに1つの上モニタ17を備える構成、すなわち、ステーションSTの台数Nと上モニタ17の台数Mとが等しい(N=M)としたが、これを、上モニタ17の台数Mがステーションの台数Nより多い(M>N)としても良い。
【0079】
図18は、この場合の遊戯装置1Aの一例であり、遊戯装置1Aの平面透視図を示している。同図によれば、遊戯装置1Aは、6つのステーションSTを備えて構成され、6つのステーションSTそれぞれに対応する6台の上モニタ17それぞれの間に、更に、表示面を外側に向けた6枚の上モニタ17aが配置されている。つまり、合計12台のモニタを備え、これらの表示面によって平面視十二角形状が形成されている。
【0080】
(C)JP機構30
また、上述の実施形態では、JP機構30は、遊戯装置1の略中心を軸中心として回転可能な台座31の上に、1台のメダル供給装置32が配置されて構成されることにしたが、これを、各ステーションST用の複数のメダル供給装置32を備える構成としても良い。そして、各ステーションSTにおけるJP獲得時のJP用のメダルMの供給は、当該ステーションSTに対応するメダル供給装置32により行われる。つまり、複数のステーションSTにおいて、同時にJP用のメダルの供給が可能である。
【0081】
(D)可動部
また、上述の実施形態では、平面視六角形状の中央に配置される可動部の一例としてメダル供給装置32を説明したが、これ以外の機構、例えば、ランプやスピーカ、所定の駆動部等を備えて所定の演出動作を行う演出機構を可動部としても良い。
【0082】
(E)筐全体マルチスクリーン表示制御
また、上述の実施形態では、全体マルチスクリーン表示制御の例として「くじら」のキャラクタCが周回移動する様子を表示制御することとして説明したが、次のように応用することとしてもよい。すなわち、各ステーションSTのゲームの進行状況が所定状況に至ったか否かを判定し、所定状況に至ったことを検出した場合に、その所定状況に至ったステーションSTの上モニタ17に周回移動して来たキャラクタを、当該上モニタ17の位置で所定動作を行うように表示制御する。例えば、各ステーションSTの抽選処理において、JP獲得になる可能性を示唆する「リーチ」状態の表示制御をするか否か、及び、「リーチ」状態の表示制御をする場合にJP獲得にするか否か、を抽選する。そして、「リーチ」状態を表示制御することとなったことを所定状況として、上述したキャラクタの所定動作の表示制御を実行する。所定動作としては、例えば「くじら」のキャラクタであれば、周回移動を一時中断して当該ステーションSTの上モニタ17の位置で自転するかのような動作を表示制御させたり、周回方向を変更するように体の方向を入れ替える表示制御を実行する。また、キャラクタとして人間を模したキャラクタを表示制御して、当該ステーションSTの上モニタ17において派手な動作を行うなどの動作を表示制御することとしてもよい。
【0083】
(F)ゲーム装置
また、上述の実施形態では、「プッシャー型のメダルゲーム装置」を例に挙げて説明したが、プレーヤがゲームプレイを行うための複数のステーションが放射状に配置されて構成されるゲーム装置であれば、何れにも本発明を適用可能である。例えば、メダルではなく景品を払い出すプッシャー型のゲーム装置としても良い。
【符号の説明】
【0084】
1 遊戯装置
ST ステーション
11 固定テーブル、12 プッシャーテーブル
17 上モニタ、18 下モニタ
20 上モニタ駆動機構、21 モニタアーム
30 JP機構
31 台座
32 メダル供給装置、32a メダルボックス、32b ボックスアーム
40 制御ユニット
100 中央制御部
110 JP機構制御部、120 JP枚数報知制御部
130 全体マルチスクリーン制御部
140 ステーション制御部
141 抽選部、142 STマルチスクリーン制御部
143 上モニタ表示制御部、144 下モニタ表示制御部
180 記憶部
181 ステーション制御プログラム、182 JP枚数データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に配設されたN台(N≧3)のステーション部それぞれにおいてゲームプレイが可能に構成されたゲーム装置であって、
前記ステーション部それぞれに配置されたN台の下方表示装置と、
前記下方表示装置それぞれの上方に配置されたN台の上方表示装置を少なくとも含み、表示面がM角柱形状(M≧N≧3)の側面をなすように平面視M角形状に配置されたM台の上方表示装置と、
前記各上方表示装置の表示面が形成する前記M角柱形状の側面を一体的な全周表示面とみなしてマルチスクリーン表示制御を行い、当該全周表示面に所定のキャラクタが周回移動する表示制御を行う周回移動表示制御手段と、
前記下方表示装置の表示面と当該下方表示装置の上方に位置する上方表示装置の表示面とを上下に連続する表示面とみなして縦方向のマルチスクリーン表示制御を行い、当該下方表示装置の表示面から当該上方表示装置の表示面に向けて所定の表示体が上昇移動する表示制御を行う上昇移動表示制御手段と、
各ステーション部の下方表示装置の上方に位置する上方表示装置への表示画像を生成する上方画像生成手段であって、一のステーション部において前記上昇移動表示制御手段による上昇移動の表示制御がなされた場合に、当該一のステーション部の当該上方表示装置への表示画像を、前記周回移動表示制御手段による前記キャラクタの周回移動の画像上に当該上昇移動される前記表示体の画像を合成して生成する上方表示装置表示画像生成手段と、
を備えたゲーム装置。
【請求項2】
前記N台のステーション部それぞれにおけるゲーム進行状況が所定状況に達したステーション部を検出する検出手段を更に備え、
前記周回移動表示制御手段は、前記検出手段の検出に応じて当該検出されたステーション部に対応する上方表示装置に前記キャラクタが周回移動した際に、前記キャラクタが所定動作を行う表示制御を実行する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記平面視M角形状の中央部に配置された所定動作を行う可動部と、
前記N台の上方表示装置それぞれを、当該上方表示装置の表示面を当該ステーション部のプレイ位置に向けた第1姿勢と、当該上方表示装置の表示面を下方又は上方に向けた第2姿勢とに変位させるN台の上方表示装置移動駆動部と、
を備えた請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記可動部は、前記平面視M角形状の中央部に配置された周方向に回転駆動する回転機構によって回転可能に設けられているとともに、前記ステーション部のプレイ位置に向けた前記所定動作が可能であり、
前記N台のステーション部のうち、択一的にステーション部を選択する選択部と、
前記上方表示装置移動駆動部に、前記選択部により選択されたステーション部に対応する上方表示装置を前記第2姿勢に変位させるとともに、前記回転機構を制御して前記可動部を前記選択されたステーション部に対向させて後、前記可動部に前記所定動作を行わせる制御を行う制御部と、
を備えた請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記N台のステーション部それぞれのプレイ位置に向けた前記所定動作が可能なN台の可動部でなり、
前記N台のステーション部のうち、択一的にステーション部を選択する選択部と、
前記上方表示装置移動駆動部に、前記選択部により選択されたステーション部に対応する上方表示装置を前記第2姿勢に変位させるとともに、前記選択されたステーション部に対応する可動部に前記所定動作を行わせる制御を行う制御部と、
を備えた請求項3に記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−13812(P2013−13812A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234601(P2012−234601)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2007−237275(P2007−237275)の分割
【原出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年8月26日 株式会社 アミューズメント産業出版発行の「月刊アミューズメント産業 第428号(平成19年9月号)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年8月28日 インターネットアドレス「http://www.bandainamcogames.co.jp/」「http://www.bandainamcogames.co.jp/press/release/」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年8月30日 株式会社 アミューズメント・ジャーナル発行の「月刊アミューズメント・ジャーナル9月号 第7巻第9号通巻077号」に発表
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)