コイル包装用の端部保護カバーの製造方法
【課題】保護カバー本体に対する折曲げ片の折り曲げ作業を容易に行うことができ、しかもコイル状物の端部における円周の寸法に合わせた定寸の端部保護カバーを、包装すべきコイル状物の数に応じて予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が不要となり、そのような端部保護カバーを連続的に製造することができる、コイル包装用の端部保護カバーの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することを特徴とする。
【解決手段】長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の線材や鉄板等、コイル状に巻回された鋼製品等のコイル状物を包装する際、その包装されたコイル状物の両端部を保護するために使用される端部保護カバーの折り曲げ部分を折り曲げて製造する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の線材や鉄板等、コイル状に巻回された鋼製品等のコイル状物を包装する場合には、コイル状物の端部周面に長尺状の保護カバーを順次折り曲げながら装着し、次に、コイル状物の両側部を側板で覆い、その後、コイル状物の周面を長手方向に帯状のシートで覆い、コイル状物の全体を包装している。
【0003】
しかし、この場合の包装材料であるシート、保護体、側板はいずれも紙製のものであり、梱包したコイルの両端の周端部を覆うシートや保護体に亀裂や破れが発生し、その結果コイルが裸出し、裸出したコイル部分に錆が発生する等の問題が生じていた。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、本件特許出願人は下記特許文献1及び2のような特許出願をし、いずれも特許されるに至った。この特許文献1及び2に係る発明は、鉄板巻回コイルの端部保護カバーに関するもので、当該端部保護カバーは、合成樹脂製の帯状の保護カバー本体と、該保護カバー本体の長手方向の側端縁に沿って一体に並設された複数の折曲げ片とから構成されたものである。
【0005】
そして、鉄板巻回コイルを梱包する際、端部保護カバーの保護カバー本体を鉄板巻回コイルの一端部周面の周方向に沿って巻回し、その後、各折曲げ片を、鉄板巻回コイルの径方向、すなわち保護カバー本体に対して直角の方向に折り曲げ、鉄板巻回コイルの端面を覆い、鉄板巻回コイルの一端部周面及び端面を保護している。
【0006】
しかしながら、このような端部保護カバーは、帯状の保護カバー本体を鉄板巻回コイルの一端部周面の周方向に沿って折り曲げようとすると、長尺の保護カバー本体が合成樹脂製であるため、復元力を持ち、その結果、折り曲げにくく、保護カバー本体の全面を鉄板巻回コイルの一端部周面に一様に当接させるのが困難となっていた。
【0007】
上記特許文献1に係る発明では、このような問題を、保護カバー本体又は折曲げ片に貫通孔を穿設することによって解決し、特許文献2に係る発明では、保護カバー本体と折曲げ片との連結部に切込部を形成することによって解決しているが、端部保護カバー全体の強度維持の観点からは、本来このような貫通孔や切込部は、形成されない方がよいものである。
【0008】
さらに、このような端部保護カバーは、巻回コイルの端部における円周の寸法に合わせた定寸のものを予め準備しなければならず、包装すべき巻回コイルが複数ある場合には、その数に応じた端部保護カバーを予め所定寸法に切断して準備しておく必要があるので、そのような端部保護カバーを製造する作業を合理的に行うことができなかった。また、所定寸法の端部保護カバーを現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が必要であり、そのような作業に手間がかかることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3091736号公報
【特許文献2】特許第3515528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、保護カバー本体に対する折曲げ片の折り曲げ作業を容易に行うことができ、しかもコイル状物の端部における円周の寸法に合わせた定寸の端部保護カバーを、包装すべきコイル状物の数に応じて予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が不要となり、そのような端部保護カバーを連続的に製造することができる、コイル包装用の端部保護カバーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するために、コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法を提供するものである。
【0012】
このような端部保護カバーの製造方法の、長尺で平板状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程は、さらに、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第二押圧工程とを少なくとも含むことができる。
【0013】
また、この長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程では、前記第一押圧工程及び第二押圧工程とは別に、前記第二押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含むことができる。
【0014】
折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段として、たとえば、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧するような手段を採用することができる。
【0015】
保護カバーシートへの折曲片の折り曲げられる形状は、たとえば断面略L字状に形成される。さらに、長尺で平板状の端部保護カバーを所定寸法に切断した後に、切断された端部保護カバーの折曲片を、切断された保護カバーシートに対して折り曲げて、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述のように、コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造する方法であるため、定寸の端部保護カバーが連続的に製造されることとなり、従来のように、所定寸法の端部保護カバーを予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が不要になるという効果がある。
【0017】
また、長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程が、さらに、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、相互に内向きに押圧する第二押圧工程とを少なくとも含む場合には、第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとを押圧した後、さらに第二押圧工程において第一押圧工程よりも強い押圧力で段階的に押圧することとなるので、折り曲げ片を保護カバー本体に対して好適に折り曲げることができるという効果がある。
【0018】
さらに、上記のような第一押圧工程及び第二押圧工程のみならず、第二押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含む場合には、折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度が異なる3段階の押圧力で折曲片と長尺状の保護カバーシートとが押圧されることとなるので、より好適に折り曲げることができるという効果がある。
【0019】
さらに、折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段として、たとえば、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧するような手段を採用した場合には、長尺状で且つ平板状の端部保護カバーを、上記のような凸ローラーと凹ローラーとの間を通過させるだけの作業で、折り曲げ片と保護カバー本体との外側から力を加えて折り曲げるのと同様の作用を生じさせることができる。
【0020】
しかも、このような凸ローラーと凹ローラーからなる折り曲げ用ローラーを用いる場合において、上記のように第一押圧工程、第二押圧工程、第三押圧工程を実施するための、傾斜角度の異なる折り曲げ用ローラーを3対準備する場合であれば、折り曲げ用ローラーの数が極端に多いわけではないので、傾斜角度がそれぞれ異なる3対の折り曲げ用ローラーを装置に具備させたとしても、そのような装置の構造が大型化、複雑化することもなく、またこのような装置のコストが極端に高くなることもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の製造方法で製造される定寸の端部保護カバーの概略正面図。
【図2】長尺状の端部保護カバーを準備する工程を示す概略正面図。
【図3】巻き取られた長尺状の端部保護カバーを引き出す状態を示す概略斜視図。
【図4】長尺状の端部保護カバーの概略平面図。
【図5】本発明の製造方法に用いる装置の概略正面図。
【図6】本発明の製造方法に用いる装置の概略平面図。
【図7】図5のA方向から見た状態の装置の側面図。
【図8】図7の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図9】図5のB方向から見た状態の側面図。
【図10】図9の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図11】図5のC方向から見た状態の側面図。
【図12】図11の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図13】長尺状の端部保護カバーを所定寸法に切断する工程の概略平面図。
【図14】図13のD−D線拡大断面図。
【図15】他実施形態の長尺状の端部保護カバーの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。先ず、本発明のコイル包装用の端部保護カバーの製造方法について説明するに先立ち、対象となるコイル包装用の端部保護カバーについて説明する。
【0023】
本発明の製造方法によって製造される端部保護カバー1は、図1に示すように、合成樹脂製の帯状の保護カバー本体2と、該保護カバー本体2に連設部3を介して合成樹脂にて一体成形された略台形状の複数の折曲片4とによって構成されている。折曲片4が略台形状に形成されているために、複数の折曲片4、・・・間には、略V字状の複数の切欠部5、・・・が形成されている。
【0024】
次に、このような構成からなる端部保護カバー1を製造するために、長尺状の端部保護カバー1aを準備する工程を、図2に従って概略的に説明すると、先ず製造される端部保護カバーの原料となる合成樹脂をホッパー6に投入し、押出機7から押し出して長尺状且つ平板状のシートを成形し、押えロール8へ供給する。押えロール8では、後述する長尺状の保護カバー本体2aと折曲片4との間の連設部3となる位置に溝を形成する。押出成形された長尺状のシートを、押えロール8を通過させた後、冷却水機9へ供給して冷却する。
【0025】
次に、長尺状のシートを引き取り機10へ供給した後、Vカット打ち抜き機11へ供給し、上記略V字状の切欠き部5を形成する。これによって上記複数の折曲片4、・・・が形成されることとなり、図3及び図4に示すように、長尺状の保護カバー本体2aに連設部3を介して複数の折曲片4が形成された長尺且つ平板状の端部保護カバー1aが製造されることとなる。そして、製造された長尺状の端部保護カバー1aは、巻き取り用リール等の巻取具12へ供給されて巻き取られる。
【0026】
このようにして巻き取られた長尺状の端部保護カバー1aから、定寸の端部保護カバー1を製造する方法について次に説明する。
【0027】
先ず、このような定寸の端部保護カバーを製造する装置の構成について説明する。本実施形態の製造装置には、図5及び図6に示すように、3対の折り曲げ用ローラー、すなわち、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15が具備されている。また、これら3対の折り曲げ用ローラーへ端部保護カバー1を供給するための供給用ローラー16が具備されている。
【0028】
3対の折り曲げ用ローラー13、14、15は、上側の凸ローラー13a、14a、15aと、下側の凹ローラー13b、14b、15bとで構成されている。凸ローラー13a、14a、15aの外周面は略V字状に突出して形成されているとともに、凹ローラー13b、14b、15bの外周面は略V字状に凹設されている。そして、前記凸ローラー13a、14a、15aの略V字状に突出した外周面と、前記凹ローラー13b、14b、15bの略V字状に凹設された外周面は、相互に嵌合されうるように、それぞれ略V字状に突出若しくは凹設された先端部の角度がほぼ同じ角度となるように形成されている。
【0029】
そして、突出若しくは凹設された先端部の角度は、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15の順に大きくなっている。このことは、先端部のなす角度が、第3折り曲げ用ローラー15、第2折り曲げ用ローラー14、第1折り曲げ用ローラー13の順に小さく鋭利であることを意味している。先端部の角度が鋭利であるほど、各ローラーの外周面が平坦であると仮想した場合の仮想水平線と、突出若しくは凹設された各ローラーの外周面とのなす角度である外周面傾斜角度は大きくなる。
【0030】
本実施形態においては、図7、図9、図11に示すように、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a若しくは凹ローラー13bの外周面の傾斜線25と仮想水平線26とのなす角度が15度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー13a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー13bの先端部のなす角度は150度となる。また、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a若しくは凹ローラー14bの外周面の傾斜線25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー14a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー14bの先端部のなす角度は116度となる。また、第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー15a若しくは凹ローラー15bの外周面25と仮想水平線26とのなす角度が48度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー15a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー15bの先端部のなす角度は84度となる。
尚、供給用ローラー16の上側のローラー16aと下側のローラー16bの外周面は、平坦に形成されている。
【0031】
さらに、製造装置には、駆動源となるインバータ17も具備されており、このインバータ17と供給用ローラー16にはベルト18が掛け回されている。また、供給用ローラー16と第1折り曲げ用ローラー13間、第1折り曲げ用ローラー13と第2折り曲げ用ローラー14間、第2折り曲げ用ローラー14と第3折り曲げ用ローラー15間にもそれぞれベルト19、20、21が掛け回されている。また、22は架台、23は前記各ローラーを取り付ける取付体で、前記架台22上に立設されている。さらに、24は前記供給用ローラー16へ端部保護カバー1を供給するためのガイド体を示す。
【0032】
次に、このような製造装置を用いて、定寸の端部保護カバー1を製造する方法について説明する。
【0033】
先ず、図2に示す巻取具12に巻き取られていた長尺状の端部保護カバー1aを、図3に示すように巻取具12から引き出し、図5及び図6に示すガイド体24を介して供給用ローラー16へ供給する。供給された長尺且つ平板状の端部保護カバー1aは、供給用ローラー16の上下のローラー16a、16b間を通過するが、供給用ローラー16の上下のローラー16a、16bの外周面は平坦に形成されているので、この段階では、端部保護カバー1は未だ折り曲げられない。
【0034】
そして、長尺状の端部保護カバー1aは、供給用ローラー16を通過した後、第1折り曲げ用ローラー13へ供給され、上下の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過する。このとき、図7に示すように、凸ローラー13a又は凹ローラー13bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー13a、凹ローラー13b間を通過するとき、図8に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して150度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。ただし、長尺状の端部保護カバー1aは合成樹脂で構成されて可撓性を有しているため、折り曲げ力に対する復元力も生じ、この時点で折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して150度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0035】
次に、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過した後、長尺状の端部保護カバー1aは、第2折り曲げ用ローラー14へ供給され、上下の凸ローラー14a及び凹ローラー14間を通過する。このとき、図9に示すように、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a又は凹ローラー14bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー14a、凹ローラー14b間を通過するとき、図10に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して116度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。長尺状の端部保護カバー1aが可撓性を有するので、この時点においても、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2に対して116度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0036】
しかしながら、長尺状の端部保護カバー1aは、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように形成された第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過した後、外周面25と仮想水平線26とのなす角度が32度となるように形成された第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a、凹ローラー14b間を通過するため、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が150度となるような折り曲げ力が最初に作用し、その後に折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が116度となるような折り曲げ力が作用するので、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過するときに比べて、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過するときに、より強い力で折り曲げられるのと同様の作用が生じることとなる。従って、長尺状の端部保護カバー1aは、可撓性を有し、復元力を有するとはいえ、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14bを通過した時点では、ある程度折り曲げられた状態となっている。
【0037】
さらに、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過した後、長尺状の保護カバー1aは、第3折り曲げ用ローラー15へ供給され、上下の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過する。このとき、図11に示すように、第3折り曲げ用ローラーの凸ローラー15a又は凹ローラー15bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が48度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過するとき、図12に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して84度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。長尺状の端部保護カバー1aが可撓性を有するので、この場合においても、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して84度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0038】
しかしながら、長尺状の端部保護カバー1は、上記のように外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように形成された第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13aと凹ローラー13b間を通過した後、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように形成された第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過し、さらに外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が48度となるように形成された第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過するので、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が最初には150度となるような折り曲げ力が作用し、次に116度となるような折り曲げ力が作用し、最後に84度となるような折り曲げ力が作用するので、長尺状の端部保護カバー1aは3段階の異なる角度で、しかも段階を経るごとに鋭利な角度で折り曲げられることとなり、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのそれぞれ外側から徐々に強い力を加えて折り曲げるのと同様の作用が生じることとなる。従って、長尺状の端部保護カバー1aは、可撓性を有し、復元力を有するものであるにもかかわらず、3段階の異なる角度の折り曲げ用ローラー間を通過させることによって、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して好適に折り曲げられることとなる。
【0039】
上述のように、長尺状の端部保護カバー1aを、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー13a、14a、15a及び凹ローラー13b、14b、15bを通過させた後、長尺状の端部保護カバー1aを、図13に示すように、所定の寸法に順次切断する。この所定の寸法とは、包装すべきコイル状物、たとえば金属線や鉄板等を巻回したコイル状物を包材で包装した端部の円周の寸法に対応する寸法である。
【0040】
このように長尺状の端部保護カバー1を所定の寸法に順次切断することによって、所定の寸法の端部保護カバー1が、順次連続的に得られることとなる。切断後の端部保護カバー1の断面形状は、図14に示すように、断面略L字状となる。
【0041】
以上のように、本実施形態においては、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が段階的に異なる3種類の折り曲げ用ローラー13、14、15を用い、しかもそれら3種類の折り曲げ用ローラー13、14、15は、上部の凸ローラー13a、14a、15aの外周面が略V字状に突出し、下部の凹ローラー13b、14b、15bの外周面が略V字状に凹設されたもので、それらの外周面が相互に嵌合されうるように形成された3対のものであるので、長尺状の端部保護カバー1aをこれら3対の折り曲げ用ローラー13、14、15間に順次通過させるだけで、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのそれぞれ外側から徐々に強い力を加えて折り曲げるのと同様の作用が自動的に生じることとなり、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して好適に折り曲げられることとなるのである。
【0042】
また、長尺状の端部保護カバー1aは、長尺状のものであり、これを当初は巻取具12で巻き取り、これを順次引き出して上記のように3対の折り曲げ用ローラー13、14、15を順次通過させた後、切断して所定寸法の端部保護カバー1が順次得られることとなり、所定寸法の端部保護カバー1を予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業を行う必要もないのである。
【0043】
尚、上記実施形態では、長尺で平板状の端部保護カバーを巻き取られた状態から引き出しながら、端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げたが、これに限らず、巻き取られた状態から引き出した後に、端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げることも可能である。
すなわち、巻き取られた長尺状で平板状の端部保護カバーを引き出して移送しながら折り曲げ作業を連続的に行うことが可能であるとともに、端部保護カバーを引き出した後、移送を停止して折り曲げ作業を間欠的に行うことも可能である。
【0044】
要は、連続的、間欠的を問うことなく、長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーが製造されればよいのである。
【0045】
また、上記実施形態では、長尺で平板状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げた後に、折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを所定寸法に切断したが、これとは逆に、端部保護カバーを所定寸法に切断した後に、切断された端部保護カバーの折曲片を保護カバーシートに対して折り曲げることによって、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することも可能である。
【0046】
さらに、上記実施形態では、折り曲げ用ローラーとして、3対の第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15を用いたが、折り曲げ用ローラーの数は該実施形態の3対に限定されるものではなく、たとえば2対であってもよい。ただし、折り曲げ用ローラーの数は多いほど、長尺状の端部保護カバー1aに対してスムーズな折り曲げ力が作用することとなる。
【0047】
一方、折り曲げ用ローラーの対数が多くなるほど、装置の構成も複雑化し、また端部保護カバーの製造作業を行うコストも高くなるので、これらを防止することと、折り曲げ作業を適格且つ円滑に行うこととの双方の観点からは、上記実施形態のように、3対の折り曲げ用ローラーを用いることが望ましい。
【0048】
さらに、折り曲げ後に、熱によって端部保護カバーを硬化させることも可能である。これによって、折曲片が保護カバーシートに対して折り曲げられた状態が維持されることとなる。
【0049】
また、上記実施形態では、端部保護カバーの折曲片4が台形状に形成されていたが、折曲片4の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば図15に示すように略長方形状のものであってもよく、また三角形状であってもよく、その形状は問わない。要は、端部保護カバーを、巻回コイル状物の端部周面に容易に巻回できる形状であればよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、端部保護カバー1の材質として合成樹脂製のものが用いられていたが、端部保護カバー1の材質はこれに限定されず、たとえば厚紙等の紙製のものを用いることも可能である。ただし、端部保護カバー1を合成樹脂で成形している場合には、軽量で、製作加工が容易であることに加え、耐水性および耐衝撃性や耐強度性に優れており、運搬時の振動、落下等の衝撃による端部保護カバー1の亀裂や破れを防止できるという利点がある。
【0051】
尚、本発明では、上記のような折り曲げ用ローラーを用いて長尺状の保護カバー本体2aに対して折曲片4を折り曲げる作業を行ったが、これ以外の手段により保護カバー本体2aに対して折曲片4を折り曲げることも本発明の範囲に含むものである。要は、長尺状の保護カバーシートの長手方向側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺状の端部保護カバーを準備して巻取具に巻き取り、次に、巻き取られた長尺状の端部保護カバーを引き出して、長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が連設された定寸の端部保護カバーが製造されればよいのである。
【符号の説明】
【0052】
1 端部保護カバー
1a 長尺状の端部保護カバー
2 保護カバー本体
2a 長尺状の保護カバー本体
4 折曲片
5 切欠部
12 巻取具
13 第1折り曲げ用ローラー
14 第2折り曲げ用ローラー
15 第3折り曲げ用ローラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の線材や鉄板等、コイル状に巻回された鋼製品等のコイル状物を包装する際、その包装されたコイル状物の両端部を保護するために使用される端部保護カバーの折り曲げ部分を折り曲げて製造する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の線材や鉄板等、コイル状に巻回された鋼製品等のコイル状物を包装する場合には、コイル状物の端部周面に長尺状の保護カバーを順次折り曲げながら装着し、次に、コイル状物の両側部を側板で覆い、その後、コイル状物の周面を長手方向に帯状のシートで覆い、コイル状物の全体を包装している。
【0003】
しかし、この場合の包装材料であるシート、保護体、側板はいずれも紙製のものであり、梱包したコイルの両端の周端部を覆うシートや保護体に亀裂や破れが発生し、その結果コイルが裸出し、裸出したコイル部分に錆が発生する等の問題が生じていた。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、本件特許出願人は下記特許文献1及び2のような特許出願をし、いずれも特許されるに至った。この特許文献1及び2に係る発明は、鉄板巻回コイルの端部保護カバーに関するもので、当該端部保護カバーは、合成樹脂製の帯状の保護カバー本体と、該保護カバー本体の長手方向の側端縁に沿って一体に並設された複数の折曲げ片とから構成されたものである。
【0005】
そして、鉄板巻回コイルを梱包する際、端部保護カバーの保護カバー本体を鉄板巻回コイルの一端部周面の周方向に沿って巻回し、その後、各折曲げ片を、鉄板巻回コイルの径方向、すなわち保護カバー本体に対して直角の方向に折り曲げ、鉄板巻回コイルの端面を覆い、鉄板巻回コイルの一端部周面及び端面を保護している。
【0006】
しかしながら、このような端部保護カバーは、帯状の保護カバー本体を鉄板巻回コイルの一端部周面の周方向に沿って折り曲げようとすると、長尺の保護カバー本体が合成樹脂製であるため、復元力を持ち、その結果、折り曲げにくく、保護カバー本体の全面を鉄板巻回コイルの一端部周面に一様に当接させるのが困難となっていた。
【0007】
上記特許文献1に係る発明では、このような問題を、保護カバー本体又は折曲げ片に貫通孔を穿設することによって解決し、特許文献2に係る発明では、保護カバー本体と折曲げ片との連結部に切込部を形成することによって解決しているが、端部保護カバー全体の強度維持の観点からは、本来このような貫通孔や切込部は、形成されない方がよいものである。
【0008】
さらに、このような端部保護カバーは、巻回コイルの端部における円周の寸法に合わせた定寸のものを予め準備しなければならず、包装すべき巻回コイルが複数ある場合には、その数に応じた端部保護カバーを予め所定寸法に切断して準備しておく必要があるので、そのような端部保護カバーを製造する作業を合理的に行うことができなかった。また、所定寸法の端部保護カバーを現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が必要であり、そのような作業に手間がかかることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3091736号公報
【特許文献2】特許第3515528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、保護カバー本体に対する折曲げ片の折り曲げ作業を容易に行うことができ、しかもコイル状物の端部における円周の寸法に合わせた定寸の端部保護カバーを、包装すべきコイル状物の数に応じて予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が不要となり、そのような端部保護カバーを連続的に製造することができる、コイル包装用の端部保護カバーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するために、コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法を提供するものである。
【0012】
このような端部保護カバーの製造方法の、長尺で平板状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程は、さらに、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第二押圧工程とを少なくとも含むことができる。
【0013】
また、この長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程では、前記第一押圧工程及び第二押圧工程とは別に、前記第二押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとを相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含むことができる。
【0014】
折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段として、たとえば、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧するような手段を採用することができる。
【0015】
保護カバーシートへの折曲片の折り曲げられる形状は、たとえば断面略L字状に形成される。さらに、長尺で平板状の端部保護カバーを所定寸法に切断した後に、切断された端部保護カバーの折曲片を、切断された保護カバーシートに対して折り曲げて、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述のように、コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシートの長手方向一側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造する方法であるため、定寸の端部保護カバーが連続的に製造されることとなり、従来のように、所定寸法の端部保護カバーを予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業が不要になるという効果がある。
【0017】
また、長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げる工程が、さらに、該折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、相互に内向きに押圧する第二押圧工程とを少なくとも含む場合には、第一押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとを押圧した後、さらに第二押圧工程において第一押圧工程よりも強い押圧力で段階的に押圧することとなるので、折り曲げ片を保護カバー本体に対して好適に折り曲げることができるという効果がある。
【0018】
さらに、上記のような第一押圧工程及び第二押圧工程のみならず、第二押圧工程において折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度よりも小さい角度をなすように、相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含む場合には、折曲片と長尺状の保護カバーシートとがなす角度が異なる3段階の押圧力で折曲片と長尺状の保護カバーシートとが押圧されることとなるので、より好適に折り曲げることができるという効果がある。
【0019】
さらに、折曲片と長尺状の保護カバーシートとが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段として、たとえば、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧するような手段を採用した場合には、長尺状で且つ平板状の端部保護カバーを、上記のような凸ローラーと凹ローラーとの間を通過させるだけの作業で、折り曲げ片と保護カバー本体との外側から力を加えて折り曲げるのと同様の作用を生じさせることができる。
【0020】
しかも、このような凸ローラーと凹ローラーからなる折り曲げ用ローラーを用いる場合において、上記のように第一押圧工程、第二押圧工程、第三押圧工程を実施するための、傾斜角度の異なる折り曲げ用ローラーを3対準備する場合であれば、折り曲げ用ローラーの数が極端に多いわけではないので、傾斜角度がそれぞれ異なる3対の折り曲げ用ローラーを装置に具備させたとしても、そのような装置の構造が大型化、複雑化することもなく、またこのような装置のコストが極端に高くなることもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の製造方法で製造される定寸の端部保護カバーの概略正面図。
【図2】長尺状の端部保護カバーを準備する工程を示す概略正面図。
【図3】巻き取られた長尺状の端部保護カバーを引き出す状態を示す概略斜視図。
【図4】長尺状の端部保護カバーの概略平面図。
【図5】本発明の製造方法に用いる装置の概略正面図。
【図6】本発明の製造方法に用いる装置の概略平面図。
【図7】図5のA方向から見た状態の装置の側面図。
【図8】図7の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図9】図5のB方向から見た状態の側面図。
【図10】図9の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図11】図5のC方向から見た状態の側面図。
【図12】図11の折り曲げ用ローラーを通過させた長尺状の端部保護カバーが折り曲げられる状態を示す斜視図。
【図13】長尺状の端部保護カバーを所定寸法に切断する工程の概略平面図。
【図14】図13のD−D線拡大断面図。
【図15】他実施形態の長尺状の端部保護カバーの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。先ず、本発明のコイル包装用の端部保護カバーの製造方法について説明するに先立ち、対象となるコイル包装用の端部保護カバーについて説明する。
【0023】
本発明の製造方法によって製造される端部保護カバー1は、図1に示すように、合成樹脂製の帯状の保護カバー本体2と、該保護カバー本体2に連設部3を介して合成樹脂にて一体成形された略台形状の複数の折曲片4とによって構成されている。折曲片4が略台形状に形成されているために、複数の折曲片4、・・・間には、略V字状の複数の切欠部5、・・・が形成されている。
【0024】
次に、このような構成からなる端部保護カバー1を製造するために、長尺状の端部保護カバー1aを準備する工程を、図2に従って概略的に説明すると、先ず製造される端部保護カバーの原料となる合成樹脂をホッパー6に投入し、押出機7から押し出して長尺状且つ平板状のシートを成形し、押えロール8へ供給する。押えロール8では、後述する長尺状の保護カバー本体2aと折曲片4との間の連設部3となる位置に溝を形成する。押出成形された長尺状のシートを、押えロール8を通過させた後、冷却水機9へ供給して冷却する。
【0025】
次に、長尺状のシートを引き取り機10へ供給した後、Vカット打ち抜き機11へ供給し、上記略V字状の切欠き部5を形成する。これによって上記複数の折曲片4、・・・が形成されることとなり、図3及び図4に示すように、長尺状の保護カバー本体2aに連設部3を介して複数の折曲片4が形成された長尺且つ平板状の端部保護カバー1aが製造されることとなる。そして、製造された長尺状の端部保護カバー1aは、巻き取り用リール等の巻取具12へ供給されて巻き取られる。
【0026】
このようにして巻き取られた長尺状の端部保護カバー1aから、定寸の端部保護カバー1を製造する方法について次に説明する。
【0027】
先ず、このような定寸の端部保護カバーを製造する装置の構成について説明する。本実施形態の製造装置には、図5及び図6に示すように、3対の折り曲げ用ローラー、すなわち、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15が具備されている。また、これら3対の折り曲げ用ローラーへ端部保護カバー1を供給するための供給用ローラー16が具備されている。
【0028】
3対の折り曲げ用ローラー13、14、15は、上側の凸ローラー13a、14a、15aと、下側の凹ローラー13b、14b、15bとで構成されている。凸ローラー13a、14a、15aの外周面は略V字状に突出して形成されているとともに、凹ローラー13b、14b、15bの外周面は略V字状に凹設されている。そして、前記凸ローラー13a、14a、15aの略V字状に突出した外周面と、前記凹ローラー13b、14b、15bの略V字状に凹設された外周面は、相互に嵌合されうるように、それぞれ略V字状に突出若しくは凹設された先端部の角度がほぼ同じ角度となるように形成されている。
【0029】
そして、突出若しくは凹設された先端部の角度は、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15の順に大きくなっている。このことは、先端部のなす角度が、第3折り曲げ用ローラー15、第2折り曲げ用ローラー14、第1折り曲げ用ローラー13の順に小さく鋭利であることを意味している。先端部の角度が鋭利であるほど、各ローラーの外周面が平坦であると仮想した場合の仮想水平線と、突出若しくは凹設された各ローラーの外周面とのなす角度である外周面傾斜角度は大きくなる。
【0030】
本実施形態においては、図7、図9、図11に示すように、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a若しくは凹ローラー13bの外周面の傾斜線25と仮想水平線26とのなす角度が15度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー13a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー13bの先端部のなす角度は150度となる。また、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a若しくは凹ローラー14bの外周面の傾斜線25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー14a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー14bの先端部のなす角度は116度となる。また、第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー15a若しくは凹ローラー15bの外周面25と仮想水平線26とのなす角度が48度となるように外周面が形成されており、従って、該略V字状に突出された凸ローラー15a若しくは略V字状に凹設された凹ローラー15bの先端部のなす角度は84度となる。
尚、供給用ローラー16の上側のローラー16aと下側のローラー16bの外周面は、平坦に形成されている。
【0031】
さらに、製造装置には、駆動源となるインバータ17も具備されており、このインバータ17と供給用ローラー16にはベルト18が掛け回されている。また、供給用ローラー16と第1折り曲げ用ローラー13間、第1折り曲げ用ローラー13と第2折り曲げ用ローラー14間、第2折り曲げ用ローラー14と第3折り曲げ用ローラー15間にもそれぞれベルト19、20、21が掛け回されている。また、22は架台、23は前記各ローラーを取り付ける取付体で、前記架台22上に立設されている。さらに、24は前記供給用ローラー16へ端部保護カバー1を供給するためのガイド体を示す。
【0032】
次に、このような製造装置を用いて、定寸の端部保護カバー1を製造する方法について説明する。
【0033】
先ず、図2に示す巻取具12に巻き取られていた長尺状の端部保護カバー1aを、図3に示すように巻取具12から引き出し、図5及び図6に示すガイド体24を介して供給用ローラー16へ供給する。供給された長尺且つ平板状の端部保護カバー1aは、供給用ローラー16の上下のローラー16a、16b間を通過するが、供給用ローラー16の上下のローラー16a、16bの外周面は平坦に形成されているので、この段階では、端部保護カバー1は未だ折り曲げられない。
【0034】
そして、長尺状の端部保護カバー1aは、供給用ローラー16を通過した後、第1折り曲げ用ローラー13へ供給され、上下の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過する。このとき、図7に示すように、凸ローラー13a又は凹ローラー13bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー13a、凹ローラー13b間を通過するとき、図8に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して150度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。ただし、長尺状の端部保護カバー1aは合成樹脂で構成されて可撓性を有しているため、折り曲げ力に対する復元力も生じ、この時点で折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して150度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0035】
次に、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過した後、長尺状の端部保護カバー1aは、第2折り曲げ用ローラー14へ供給され、上下の凸ローラー14a及び凹ローラー14間を通過する。このとき、図9に示すように、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a又は凹ローラー14bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー14a、凹ローラー14b間を通過するとき、図10に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して116度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。長尺状の端部保護カバー1aが可撓性を有するので、この時点においても、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2に対して116度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0036】
しかしながら、長尺状の端部保護カバー1aは、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように形成された第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過した後、外周面25と仮想水平線26とのなす角度が32度となるように形成された第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a、凹ローラー14b間を通過するため、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が150度となるような折り曲げ力が最初に作用し、その後に折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が116度となるような折り曲げ力が作用するので、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13a及び凹ローラー13b間を通過するときに比べて、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過するときに、より強い力で折り曲げられるのと同様の作用が生じることとなる。従って、長尺状の端部保護カバー1aは、可撓性を有し、復元力を有するとはいえ、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14bを通過した時点では、ある程度折り曲げられた状態となっている。
【0037】
さらに、第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過した後、長尺状の保護カバー1aは、第3折り曲げ用ローラー15へ供給され、上下の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過する。このとき、図11に示すように、第3折り曲げ用ローラーの凸ローラー15a又は凹ローラー15bの外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が48度となるように外周面が形成されているので、長尺状の端部保護カバー1aが上下の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過するとき、図12に示すように、長尺状の端部保護カバー1aの折曲片4が、長尺状の保護カバー本体2aに対して84度の角度をなすように折り曲げようとする力が作用する。長尺状の端部保護カバー1aが可撓性を有するので、この場合においても、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して84度の角度で折り曲げられた状態が維持されるわけではない。
【0038】
しかしながら、長尺状の端部保護カバー1は、上記のように外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が15度となるように形成された第1折り曲げ用ローラー13の凸ローラー13aと凹ローラー13b間を通過した後、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が32度となるように形成された第2折り曲げ用ローラー14の凸ローラー14a及び凹ローラー14b間を通過し、さらに外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が48度となるように形成された第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー15a及び凹ローラー15b間を通過するので、長尺状の端部保護カバー1aに対しては、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのなす角度が最初には150度となるような折り曲げ力が作用し、次に116度となるような折り曲げ力が作用し、最後に84度となるような折り曲げ力が作用するので、長尺状の端部保護カバー1aは3段階の異なる角度で、しかも段階を経るごとに鋭利な角度で折り曲げられることとなり、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのそれぞれ外側から徐々に強い力を加えて折り曲げるのと同様の作用が生じることとなる。従って、長尺状の端部保護カバー1aは、可撓性を有し、復元力を有するものであるにもかかわらず、3段階の異なる角度の折り曲げ用ローラー間を通過させることによって、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して好適に折り曲げられることとなる。
【0039】
上述のように、長尺状の端部保護カバー1aを、第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、第3折り曲げ用ローラー15の凸ローラー13a、14a、15a及び凹ローラー13b、14b、15bを通過させた後、長尺状の端部保護カバー1aを、図13に示すように、所定の寸法に順次切断する。この所定の寸法とは、包装すべきコイル状物、たとえば金属線や鉄板等を巻回したコイル状物を包材で包装した端部の円周の寸法に対応する寸法である。
【0040】
このように長尺状の端部保護カバー1を所定の寸法に順次切断することによって、所定の寸法の端部保護カバー1が、順次連続的に得られることとなる。切断後の端部保護カバー1の断面形状は、図14に示すように、断面略L字状となる。
【0041】
以上のように、本実施形態においては、外周面25と仮想水平線26とのなす外周面傾斜角度が段階的に異なる3種類の折り曲げ用ローラー13、14、15を用い、しかもそれら3種類の折り曲げ用ローラー13、14、15は、上部の凸ローラー13a、14a、15aの外周面が略V字状に突出し、下部の凹ローラー13b、14b、15bの外周面が略V字状に凹設されたもので、それらの外周面が相互に嵌合されうるように形成された3対のものであるので、長尺状の端部保護カバー1aをこれら3対の折り曲げ用ローラー13、14、15間に順次通過させるだけで、折曲片4と長尺状の保護カバー本体2aとのそれぞれ外側から徐々に強い力を加えて折り曲げるのと同様の作用が自動的に生じることとなり、折曲片4が長尺状の保護カバー本体2aに対して好適に折り曲げられることとなるのである。
【0042】
また、長尺状の端部保護カバー1aは、長尺状のものであり、これを当初は巻取具12で巻き取り、これを順次引き出して上記のように3対の折り曲げ用ローラー13、14、15を順次通過させた後、切断して所定寸法の端部保護カバー1が順次得られることとなり、所定寸法の端部保護カバー1を予め準備し、現場で1枚ずつ多段に積載して運送、保管するような作業を行う必要もないのである。
【0043】
尚、上記実施形態では、長尺で平板状の端部保護カバーを巻き取られた状態から引き出しながら、端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げたが、これに限らず、巻き取られた状態から引き出した後に、端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げることも可能である。
すなわち、巻き取られた長尺状で平板状の端部保護カバーを引き出して移送しながら折り曲げ作業を連続的に行うことが可能であるとともに、端部保護カバーを引き出した後、移送を停止して折り曲げ作業を間欠的に行うことも可能である。
【0044】
要は、連続的、間欠的を問うことなく、長尺で平板状の端部保護カバーを、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーが製造されればよいのである。
【0045】
また、上記実施形態では、長尺で平板状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げた後に、折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを所定寸法に切断したが、これとは逆に、端部保護カバーを所定寸法に切断した後に、切断された端部保護カバーの折曲片を保護カバーシートに対して折り曲げることによって、保護カバー本体に折曲片が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバーを製造することも可能である。
【0046】
さらに、上記実施形態では、折り曲げ用ローラーとして、3対の第1折り曲げ用ローラー13、第2折り曲げ用ローラー14、及び第3折り曲げ用ローラー15を用いたが、折り曲げ用ローラーの数は該実施形態の3対に限定されるものではなく、たとえば2対であってもよい。ただし、折り曲げ用ローラーの数は多いほど、長尺状の端部保護カバー1aに対してスムーズな折り曲げ力が作用することとなる。
【0047】
一方、折り曲げ用ローラーの対数が多くなるほど、装置の構成も複雑化し、また端部保護カバーの製造作業を行うコストも高くなるので、これらを防止することと、折り曲げ作業を適格且つ円滑に行うこととの双方の観点からは、上記実施形態のように、3対の折り曲げ用ローラーを用いることが望ましい。
【0048】
さらに、折り曲げ後に、熱によって端部保護カバーを硬化させることも可能である。これによって、折曲片が保護カバーシートに対して折り曲げられた状態が維持されることとなる。
【0049】
また、上記実施形態では、端部保護カバーの折曲片4が台形状に形成されていたが、折曲片4の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば図15に示すように略長方形状のものであってもよく、また三角形状であってもよく、その形状は問わない。要は、端部保護カバーを、巻回コイル状物の端部周面に容易に巻回できる形状であればよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、端部保護カバー1の材質として合成樹脂製のものが用いられていたが、端部保護カバー1の材質はこれに限定されず、たとえば厚紙等の紙製のものを用いることも可能である。ただし、端部保護カバー1を合成樹脂で成形している場合には、軽量で、製作加工が容易であることに加え、耐水性および耐衝撃性や耐強度性に優れており、運搬時の振動、落下等の衝撃による端部保護カバー1の亀裂や破れを防止できるという利点がある。
【0051】
尚、本発明では、上記のような折り曲げ用ローラーを用いて長尺状の保護カバー本体2aに対して折曲片4を折り曲げる作業を行ったが、これ以外の手段により保護カバー本体2aに対して折曲片4を折り曲げることも本発明の範囲に含むものである。要は、長尺状の保護カバーシートの長手方向側縁に、切欠部を隔てて多数の折曲片が連設された長尺状の端部保護カバーを準備して巻取具に巻き取り、次に、巻き取られた長尺状の端部保護カバーを引き出して、長尺状の端部保護カバーの折曲片を長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げ、その後、折曲片が長尺状の保護カバーシートに対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバーを、所定寸法に切断して、保護カバー本体に折曲片が連設された定寸の端部保護カバーが製造されればよいのである。
【符号の説明】
【0052】
1 端部保護カバー
1a 長尺状の端部保護カバー
2 保護カバー本体
2a 長尺状の保護カバー本体
4 折曲片
5 切欠部
12 巻取具
13 第1折り曲げ用ローラー
14 第2折り曲げ用ローラー
15 第3折り曲げ用ローラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシート(2a)の長手方向一側縁に、切欠部(5)を隔てて多数の折曲片(4)が連設された長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げ、その後、折曲片(4)が長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバー(1a)を、所定寸法に切断して、保護カバー本体(2)に折曲片(4)が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバー(1)を製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法。
【請求項2】
長尺で平板状の端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げる工程は、さらに、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とが所定の角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第二押圧工程を少なくとも含む請求項1記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項3】
第二押圧工程において折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含む請求項2記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項4】
折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段が、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧する手段である請求項2又は3記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項5】
保護カバーシート(2a)への折曲片(4)の折り曲げられた形状が、断面略L字状である請求項1乃至4のいずれかに記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項6】
コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシート(2a)の長手方向一側縁に、切欠部(5)を隔てて多数の折曲片(4)が連設された長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を、巻き取られた状態から引き出し、前記長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を所定寸法に切断し、その後、切断された端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を、切断された保護カバーシート(2a)に対して折り曲げて、保護カバー本体(2)に折曲片(4)が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバー(1)を製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法。
【請求項1】
コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシート(2a)の長手方向一側縁に、切欠部(5)を隔てて多数の折曲片(4)が連設された長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を、巻き取られた状態から引き出し、前記端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げ、その後、折曲片(4)が長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げられた長尺状の端部保護カバー(1a)を、所定寸法に切断して、保護カバー本体(2)に折曲片(4)が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバー(1)を製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法。
【請求項2】
長尺で平板状の端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を長尺状の保護カバーシート(2a)に対して折り曲げる工程は、さらに、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とが所定の角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第一押圧工程と、該第一押圧工程において折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第二押圧工程を少なくとも含む請求項1記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項3】
第二押圧工程において折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とがなす角度よりも小さい角度をなすように、該折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とを相互に内向きに押圧する第三押圧工程をさらに含む請求項2記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項4】
折曲片(4)と長尺状の保護カバーシート(2a)とが所定の角度をなすように、相互に内向きに押圧する手段が、外周面が略V字状に突出して形成された凸ローラーと、該凸ローラーの外周面と嵌合しうるように外周面が略V字状に凹設されて前記凸ローラーに対面するように配置された凹ローラーとの間を通過させることによって押圧する手段である請求項2又は3記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項5】
保護カバーシート(2a)への折曲片(4)の折り曲げられた形状が、断面略L字状である請求項1乃至4のいずれかに記載の端部保護カバーの製造方法。
【請求項6】
コイル状に巻回されたコイル状物を包材で包装するに際して、包装されるコイル状物の端部を保護するために使用される端部保護カバーの製造方法であって、長尺状の保護カバーシート(2a)の長手方向一側縁に、切欠部(5)を隔てて多数の折曲片(4)が連設された長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を、巻き取られた状態から引き出し、前記長尺で平板状の端部保護カバー(1a)を所定寸法に切断し、その後、切断された端部保護カバー(1a)の折曲片(4)を、切断された保護カバーシート(2a)に対して折り曲げて、保護カバー本体(2)に折曲片(4)が折り曲げ連設された定寸の端部保護カバー(1)を製造することを特徴とする端部保護カバーの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−247859(P2010−247859A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98929(P2009−98929)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000243157)堀富商工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000243157)堀富商工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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