説明

コインシュート

【課題】 2部品で、安価にかつ作業性よく製作することのできるコインシュートを提供する。
【解決手段】 前面金属板部52に各側面金属板部54〜58を連設し、各側面金属板部54〜58を谷折り線V1 ,V3 、山折り線M1 〜M3 で折り曲げて前面金属板部51、後面金属板部52に当接する端面にかしめ片54t,56t,57t,58tを設け、かしめ片54t,56t,57t,58tに対応する前面金属板部51、後面金属板部52の部分にかしめ片54t,56t,57t,58tを挿入する挿入孔54h,56h,57h,58hを設け、かしめ片54t,56t,57t,58tを対応する挿入孔54h,56h,57h,58hへ挿入してかしめる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、スロットマシンなどの遊技機に使用するコインシュートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4はスロットマシンにおけるコインシュートを示す斜視図である。
図4において、1は図示を省略した本体の前面に蝶番で水平方向へ開閉可能に取り付けられた前面枠、3は前面枠1の前面下端に取り付けられたコイン受け皿、4はコイン選別器を示し、このコイン選別器4は、前面枠1に設けられたコイン投入口へ投入したコインが適正なコインであるか、否かを選別するものであり、適正なコインを出口4aから図示を省略したコイン払い出し機のホッパへ排出し、不適正なコインを下端の出口4bから後述するコインシュート5へ排出するものである。
【0003】
5は角筒状のコインシュートを示し、上面の入口5aにコイン選別器4の出口4bから供給されるコインを後述するコイン排出シュート6へ下面の出口5bから排出するものである。
6は前面枠1の後面下端に取り付けられたコイン排出シュートを示し、天板部に下端が取り付けられたコインシュート5の出口5bから入口6aに供給されたコイン、コイン払い出し機から入口6bに供給されたコインをコイン受け皿3へ出口6cから排出するものである。
【0004】
図5は従来のコインシュートを構成する各部品を示す分解斜視図、図6は図5に示した各部品を組み立ててコインシュートとした斜視図であり、図4と同一または相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
図5または図6において、51は前面金属板部を示し、左側から見てくの字状に緩く折れ曲がっており、1つの部品Aである。
【0005】
52は前面金属板部51と同一形状をした平板状の後面金属板部、53は後面金属板部52の下端に連設された取付金属板部を示し、取付金属板部53に取付孔53aが設けられ、後面金属板部52および取付金属板部53で1つの部品Bを構成している。
54は左傾斜側面金属板部、55は左傾斜側面金属板部54の上端に連設された左垂直側面金属板部を示し、左傾斜側面金属板部54の前後に溶接片54a,54b,54cが連設され、左傾斜側面金属板部54および左垂直側面金属板部55で1つの部品Cを構成している。
【0006】
56は第1右垂直側面金属板部、57は第1右垂直側面金属板部56の上端に連設された右水平側面金属板部、58は右水平側面金属板部57の上端に連設された第2右垂直側面金属板部を示し、第1右垂直側面金属板部56の前後に溶接片56a,56bが連設され、右水平側面金属板部57の前後に溶接片57a,57bが連設され、第2右垂直側面金属板部58の前後に溶接片58a,58bが連設され、第1右垂直側面金属板部56、右水平側面金属板部57および第2右垂直側面金属板部58で1つの部品Dを構成している。
Sはスポット溶接部分を示す。
【0007】
次に、コインシュートの組立などについて説明する。
まず、金属板から各部品A〜Dを構成する板材を打ち抜いた後、孔開け加工、曲げ加工を施すことにより、各部品A〜Dとする。
そして、各溶接片54a,54b,56a,57aおよび58aを前面金属板部51に図示を省略したスポット溶接部分Sでスポット溶接するとともに、各溶接片54c,56b,57bおよび58bを後面金属板部52にスポット溶接部分Sでスポット溶接することにより、上面に入口5aが形成され、下面に出口5bが形成された図6に示すコインシュート5を製作することができる。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
従来のコインシュートは、4つの部品A〜Dで構成されているため、4つの部品A〜Dを製作するコストが嵩み、組み付け工数も多くなり、また、スポット溶接するための治具が複数必要になるので、高価になる。
そして、スポット溶接の器具を狭い部分に挿入して溶接しなければならないので、作業性よく製作することができなかった。
【0009】
また、事前に亜鉛メッキを施した亜鉛メッキ鋼板にスポット溶接を施すと、スポット溶接部分Sが焼け焦げて黒ずんで見栄えが悪くなり、スポット溶接部分Sが錆び易くなるので、スポット溶接のあとにメッキ工程を配置することにより、スポット溶接による黒ずみをなくすとともに、錆にくくしているが、メッキ工程の配置が制約される。
【0010】
この考案は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、2部品で、安価にかつ作業性よく製作することのできるコインシュートを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この考案は、前面金属板部、後面金属板部および各側面金属板部で、上面に入口を、下面に出口を有する陽に構成され、入口に供給されたコインを出口から排出する角筒状のコインシュートにおいて、各側面金属板部を前面金属板部または後面金属板部に連設するとともに、折り曲げて後面金属板部または前面金属板部に当接する端面にかしめ片を設け、このかしめ片に対応する後面金属板部または前面金属板部の部分にかしめ片を挿入する挿入孔を設け、各かしめ片を対応する挿入孔へ挿入してかしめるものである。
【0012】
【考案の実施の形態】
以下、この考案の実施形態を図に基づいて説明する。
図1はこの考案の一実施形態であるコインシュートを構成する板材の平面図、図2は図1に示した板材に曲げ加工などを施して部品とした斜視図、図3は図2に示した部品を組み立ててコインシュートとした斜視図であり、図4〜図6と同一または相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0013】
図1において、Pは部品Xを製作する板材を示し、部品Xは前面金属板部51に相当するものであり、周縁に挿入孔54h,56h,57h,58hが所定数ずつ設けられている。
Qは部品Yを製作する板材を示し、部品Yは後面金属板部52、取付金属板部53、各側面金属板部54〜58に相当し、後面金属板材52に取付金属板部53、各側面金属板部54〜58を連設したものである。
【0014】
そして、前面金属板部51に設けた挿入孔57h,58hに対応する後面金属板部52の周縁に、挿入孔57h,58hが設けられている。
また、前面金属板部51に当接する左傾斜側面金属板部54の端面の、前面金属板部51に設けた挿入孔54hに対応する部分に、かしめ片54tが設けられている。
【0015】
さらに、前面金属板部51に当接する第1右垂直側面金属板部56の端面の、前面金属板部51に設けた挿入孔56hに対応する部分に、かしめ片56tが設けられている。
そして、第1右垂直側面金属板部56に連設された右水平側面金属板部57の、端前面金属板部51に当接する端面、後面金属板部52に当接する端面の、前面金属板部51および後面金属板部52に設けた挿入孔57hに対応する部分に、かしめ片57tが設けられている。
【0016】
また、右水平側面金属板部57に連設された第2右垂直側面金属板部58の、前面金属板部51に当接する端面、後面金属板部52に当接する端面の、前面金属板部51および後面金属板部52に設けた挿入孔58hに対応する部分に、かしめ片58tが設けられている。
1 、V2 、V3 は谷折り線、M1 、M2 、M3 、M4 は山折り線を示し、谷折り線V1 〜V3 および山折り線M1 〜M4 は、図1の表側を基準にしたものである。
【0017】
次に、コインシュートの組立などについて説明する。
まず、金属板から各板材P,Qを打ち抜いた後、各板材P,Qに孔開け加工を施して取付孔53a、各挿入孔54h,56h,57hおよび58hを設ける。
そして、板材Pを谷折り線V1 でくの字状に折り曲げることにより、板材Pは前面金属板部51になる。
【0018】
また、板材Qの第2垂直側面金属板部58を谷折り線V3 で略直角に谷折りし、右水平側面金属板部57を山折り線M4 で略直角に山折りした後、第1垂直側面金属板部56を山折り線M3 で略直角に山折りすると、右水平側面金属板部57のかしめ片57tが後面金属板部52の挿入孔57hへ入るとともに、第2垂直側面金属板部58のかしめ片58tも後面金属板部52の挿入孔58hへ入る。
【0019】
このように谷折り線V3 で第2垂直側面金属板部58を谷折りするときに取付金属板部53を谷折り線V2 で略直角に谷折りし、右水平側面金属板部57を山折り線M4 で山折りするときに左垂直側面金属板部55を山折り線M2 で山折りし、第1垂直側面金属板部56を山折り線M3 で山折りするときに左傾斜側面金属板部54をM1 で略直角に山折りすると、図2に示す部品X,Yになる。
【0020】
そして、部品Yの前面金属板部51に当接する端面に設けたかしめ片54t,56t,57t,58tを前面金属板部51の挿入孔54h,56h,57h,58hへ挿入した後、かしめ片54t,56t,57t,58tを一括してかしめ治具でかしめることにより、図3に示すコインシュート5を製作することができる。
【0021】
上述したように、この考案の一実施形態によれば、2つの部品X,Yを製作する板材P,Qは打ち抜き加工および孔開け加工で製作でき、2つの板材P,Qを曲げ加工することで2つの部品X,Yが製作でき、この2つの部品を組み付けて各かしめ片54t,56t,57t,58tをかしめることでコインシュート5が製作できるので、2部品X,Yで、安価に製作することができる。
【0022】
そして、打ち抜き加工、孔開け加工、曲げ加工、かしめ加工でコインシュート5が製作できるので、コインシュート5を作業よく製作することができる。
さらに、かしめで組み付けることができ、メッキに損傷をほとんど与えないので、見栄えを損ねることがなく、メッキ工程はかしめ加工の前後でもよくなる。
なお、かしめ治具は1つ製作すればよいので、製作コストを上昇させることはない。
【0023】
上記した実施形態において、左垂直側面金属板部55にかしめ片を設けなかったが、左垂直側面金属板部55にかしめ片を設け、前面金属板部51および/または後面金属板部52のかしめ片に対応する部分に挿入孔を設けてもよい。
また、後面金属板部52に各側面金属板部54〜58を連設させたが、各側面金属板部54〜58を前金属板部51に連設したり、位置関係を考慮して各側面金属板部54〜58を前金属板部51と後面金属板部52とに振り分けても、同様にコインシュート5を製作することができる。
【0024】
【考案の効果】
以上のように、この考案によれば、2つの部品を製作する板材は打ち抜き加工および孔開け加工で製作でき、2つの板材を曲げ加工することで2つの部品が製作でき、この2つの部品を組み付けて各かしめ片をかしめることでコインシュートが製作できるので、2部品で、安価に製作することができる。
そして、打ち抜き加工、孔開け加工、曲げ加工、かしめ加工でコインシュートが製作できるので、コインシュートを作業性よく製作することができる。
さらに、かしめで組み付けることができ、メッキに損傷をほとんど与えないので、見栄えを損ねることがなく、メッキ工程はかしめ加工の前後でもよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施形態であるコインシュートを構成する板材の平面図である。
【図2】図1に示した板材に曲げ加工などを施して部品とした斜視図である。
【図3】図2に示した部品を組み立ててコインシュートとした斜視図である。
【図4】スロットマシンにおけるコインシュートを示す斜視図である。
【図5】従来のコインシュートを構成する各部品を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示した各部品を組み立ててコインシュートとした斜視図である。
【符号の説明】
5 コインシュート
P,Q 板材
X,Y 部品
1 〜V3 谷折り線
1 〜M4 山折り線
51 前面金属板部
52 後面金属板部
53 取付金属板部
54 左傾斜側面金属板部
54h 挿入孔
54t かしめ片
55 左垂直側面金属板部
56 第1右垂直側面金属板部
56h 挿入孔
56t かしめ片
57 右水平側面金属板部
57h 挿入孔
57t かしめ片
58 第2右垂直側面金属板部
58h 挿入孔
58t かしめ片

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前面金属板部、後面金属板部および各側面金属板部で、上面に入口を、下面に出口を有するように構成され、前記入口に供給されたコインを前記出口から排出する角筒状のコインシュートにおいて、前記各側面金属板部を前記前面金属板部または前記後面金属板部に連設するとともに、折り曲げて前記後面金属板部または前記前面金属板部に当接する端面にかしめ片を設け、このかしめ片に対応する前記後面金属板部または前記前面金属板部の部分に前記かしめ片を挿入する挿入孔を設け、前記各かしめ片を対応する前記挿入孔へ挿入してかしめる、ことを特徴とするコインシュート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3033349号
【登録日】平成8年(1996)10月30日
【発行日】平成9年(1997)1月21日
【考案の名称】コインシュート
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−6539
【出願日】平成8年(1996)7月9日
【出願人】(393010086)株式会社北斗 (10)