説明

コインホッパ

【課題】コインホッパにおいて、静電気による光電センサの破損を防止し、光電センサの破損を防止できるコインホッパを安価に提供することである。
【解決手段】コイン保留ボウルの底孔で通孔付き回転ディスクによってコインを一枚ずつ区分けし、回転ディスクの下方の樹脂製のスライドベース上をスライドさせ、回転ディスクの側方に配置した第1ガイド及び第1ガイドに弾性的に接離可能に設けた第2ガイドによって構成した出口開口に送り込み、第2ガイドと第1ガイドとによって弾き出し、第2ガイドのコインによる移動に関連して移動する作用片242の移動をスライドベースと電気的絶縁関係にある非導電性部材に取り付けた電気的センサにより検知することでコインの弾き出しを検知するコインホッパにおいて、電気的センサに対する作用片の進行方向前位側に非導電性部材に取り付けられた導電体250を電気的センサに対し所定の隙間を空けて配置したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ガイドと、弾性的に付勢力を与えられた可動ガイドとによってコインを挟んで一つずつ弾き出し、当該可動ガイドの移動を検知して払い出されたコインのカウントのための信号を出力する検知センサを備えたコインホッパに関する。
さらには、前記可動ガイドの移動に連動する作用片によって前記検知センサがコインをカウントするための信号を一つ出力するようにしたコインホッパに関する。
さらに詳細には、前記コインがスライドすることによって樹脂製スライドベースに帯電した静電気が前記可動ガイドに連動する検知センサのための作用片から前記検知センサに放電することによる前記検知センサの故障を防止できるコインホッパ関する。
本明細書において、コインとは、通貨としてのコインの他、ゲーム用のトークン等をも含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、多数の硬貨を収容する保留タンクと、該保留タンクに保留されていた硬貨が導入される硬貨導入口が複数設けられ、導入された硬貨を回転しながら外周側に押し出す円盤状の払出しロータと、該払出しロータの下側に配設され、前記硬貨導入口に導入された硬貨を上面で受けるプラスチック製のベースと、前記払出しロータから押し出された硬貨を払出し口の方向へ案内する金属製の案内部材と、前記払出し口から排出される硬貨を検出するカウントセンサとを有する払出し部と、前記保留タンク及び払出し部を支持する金属性の基台とを具えた硬貨払出し装置であって、前記案内部材を電気的に接地させたことを特徴とするコインホッパが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術として、合成樹脂製ベース部材上にコイン状部材の収容部を設け、複数の分離孔を形成して前記ベース部材上に配置した合成樹脂製送出ロータの回転によって、前記収容部のコイン状部材を1枚ずつ送出部へ送出すると共に、前記送出部には送出されるコイン状部材の通過を検出する検出部を備えたコイン状部材送出装置において、前記送出部の通路幅を画定するため、対面する固定側壁のうち、少なくとも前記検出部近傍に位置する一方の固定側壁が静電気を逃がす導電部材で形成されたことを特徴とするコインホッパが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来技術として、円周上に複数のコイン用の開口が形成された回転板と、この回転板を駆動する駆動モータと、この駆動モータに電力を供給するコネクタと、コインを1枚づつ払い出す払出部とを備えた払出ユニットと、この払出ユニット上に設置され、コインを蓄積するバケットとを有し、前記バケットの内面に第1アースプレートを設け、前記払出部に第2アースプレートを設けたことを特徴とするコインホッパが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3738159号(段落番号0006〜0021 図1〜3)
【特許文献2】特開2007−206865(段落番号0007〜0044 図1―13)
【特許文献3】特開2005−316895(段落番号0006〜0036 図1―10)
【0006】
第1の従来技術においては、硬貨に帯電している静電気を金属製の案内部材、及び止めネジを介して基台に接地するようにしたので、硬貨に帯電している静電気を除去する。
換言すれば、硬貨を払い出す直前に金属製案内部材と接触させて硬貨から除電することにより、カウントセンサとの間のスパークの発生を確実に防止し、もってカウントセンサの破損を防止している。
近年、組み立て作業負担の軽減及びコスト低減の観点から基台をも樹脂化する傾向にある。
基台は、機械的強度に優れ、かつ低コストが要求されるため、非導電性のABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)が用いられることが多い。
ABS樹脂製基台を用いた場合、第1の従来技術を利用できない問題がある。
また、硬貨の払い出しのカウントセンサとして、硬貨を弾き出す際に移動される可動案内体の移動と連動する作用片をカウントセンサによって検知する方式を採用している場合(例えば、特開2006-323530参照)、第1の従来技術は採用できない。
カウントセンサは、硬貨によって移動される作用片を検知することにより、間接的に硬貨の通過を検知するため、例え硬貨の静電気が除去された場合であっても、硬貨が樹脂製ベース上をスライドすることにより当該ベースが帯電し、結果として作用片が帯電している場合、作用片がカウントセンサに近づいたときに当該帯電している静電気がカウントセンサとの間で瞬間的に放電し、当該カウントセンサを破損するからである。
これを解決するため、作用片をアースし、静電気を除電することが考えられる。
しかし、作用片は移動するので耐久性等を考慮した場合、そのアース構造は複雑になり、俄に採用し難い。
【0007】
第2の従来技術においては、送出部の通路幅を画定する対面する固定側壁のうち、少なくとも検出部近傍に位置する一方の固定側壁が静電気を逃がす導電部材で形成されている。
これにより、送出ロータの回転によって送出部へ送出されるコイン状部材が静電気を帯びている場合、送出部の通路において、しかも検出部近傍に位置する一方の固定側壁によって、静電気を逃がすことができる。
したがって、簡単な構成でもって検出部が静電気の影響を受けることがなく、正規の検出動作が達成できる。
また、送出部の通路幅を形成する双方の固定側壁を、静電気を逃がす導電部材で形成することにより、送出ロータから送出されるコイン状部材が、送出部の通路幅内で移動しても、必ず静電気を逃がすことができるため、検出部において安定した正規の検出動作が達成できる利点がある。
第2の従来技術においては、コ字型のカウントセンサの底部に金属プレート製導電部材を配置し、通過するコインに帯電している静電気をこの導電部材に放電させてカウントセンサの放電による破損を防止している。
しかし、コインは当該導電部材よりも先にカウントセンサの本体部に近接する場合がある・
この場合、帯電しているコインとカウントセンサとの間で放電され、カウントセンサ等が破損される問題がある。
このため、第2の従来技術においては、カウントセンサの投受光部を導電性合成樹脂ホルダ内に収納し、投受光部に放電時に高電圧が印可されないようにしている。
このように投受光部を導電性合成樹脂ホルダ内に収納した場合、カウントセンサは高価になり、俄に採用し難い。
【0008】
第3の従来技術においては、使用時に最も静電気が発生する部分であるコインの払出部、及びバケットの内面にアースプレートを設けたことにより、全体として静電気を効果的に除去することが可能なコインホッパが得られる利点がある。
しかし、この第3の従来技術においても、第1及び第2の従来技術同様、硬貨によって移動される作用片を検知することにより、間接的に硬貨の通過を検知するカウントセンサを採用する場合、静電気による悪影響を防止できない問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、コイン保留ボウル、コインのスライドベース及びフレームが非導電性樹脂にて製造され、可動ガイドの移動を作用片の移動に連動させ、当該作用片を光電センサにより検知するようにしたコインンホッパにおいて、静電気による当該光電センサの破損を防止することである。
本発明の第2の目的は、当該光電センサの破損を防止できるコインホッパを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明にかかるコインホッパは以下のように構成される。
コイン保留ボウルの底孔に配置された通孔付き回転ディスクによってコインを一枚ずつ区分けして、前記回転ディスクの下方に配置された樹脂製のスライドベース上をスライドさせ、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイドによって構成した出口開口に送り込んだ後、弾き出し位置まで移動された前記第2ガイドと第1ガイドとによって弾き出し、前記第2ガイドの前記コインによる移動に関連して移動する作用片の移動を前記ベースと電気的絶縁関係にある非導電性部材に取り付けられた電気的センサにより検知することにより前記コインの弾き出しを検知するコイン検知装置を備えたコインホッパにおいて、 前記電気的センサに対する前記作用片の進行方向前位側に前記非導電性部材に取り付けられた導電体を前記電気的センサに対し所定の隙間を空けて配置したことを特徴とするコインホッパである。
【0011】
本発明において、前記電気的センサは前記導電体に取付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記電気的センサは、光電センサであって、棒状の投光部と受光部が平行に配置された門形をしており、前記導電体は、前記光学センサと重ね合わさるよう門形に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかるコインホッパにおいて、樹脂製の保留ボウル内にバラ積みされたコインは、樹脂製の回転ディスクの回転によって通孔内に落下し、当該回転ディスクの裏面に形成された押動部によって樹脂製のスライドベース上をスライドされ、金属製の第1ガイド及び第2ガイドによって構成される出口開口へ移動される。
出口開口に達したコインは、回転ディスクの押動部によって押進されることにより第2ガイドを弾き出し位置へ移動させる。
これにより、当該コインは、直径部が第1ガイドと第2ガイドとの間を通過した直後に第2ガイドに付加されている弾発力によって出口通路に弾き出される。
非導電性である樹脂製スライドベースとの摺動により、静電気が導電体である金属性コインに帯電する。
コインに帯電した静電気は金属製の第2ガイドを介して作用片まで帯電する。
例え、作用片が非導電性の樹脂製であっても帯電する。
これは、作用片等の表面に付着した金属粉等の塵埃及びオイル等によって導電性を帯びているためであると推測される。
作用片が光電センサに進行する前に導電性の導電体が位置しているので、作用片の帯電電圧が放電電圧に達している場合、導電体との間で放電した後、光電センサに進行する。
したがって、作用片は光電センサに達するときには放電電圧を超えて帯電していないので、光電センサと作用片との間で放電することがなく、光電センサは破損されることがない。
【0014】
本発明において、光電センサは導電体に固定されている。
換言すれば、導電体は、光電センサのブラケットを兼ねているのでコストを低減することができる利点がある。
【0015】
本発明において、導電体は光電センサと大凡同様の形状である。
進行する作用片に対し、光電センサは導電体の陰に隠れている。
換言すれば、作用片が何らかの原因で変形し、光電センサにぶつかる場合であっても、最初に導電体に衝突するので光電センサが破損することがない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の最良の形態は、コイン保留ボウルの底孔に配置された通孔付き回転ディスクによってコインを一枚ずつ区分けして、前記回転ディスクの下方に配置された樹脂製のスライドベース上をスライドさせ、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイドによって構成した出口開口に送り込んだ後、弾き出し位置まで移動された前記第2ガイドと第1ガイドとによって弾き出し、前記第2ガイドの前記コインによる移動に関連して移動する作用片の移動を電気的絶縁関係にある非導電性部材よりなる前記スライドベースに取り付けられた電気的センサにより検知することにより前記コインの弾き出しを検知するコイン検知装置を備えたコインホッパにおいて、前記電気的センサに対する前記作用片の進行方向前位側に前記非導電性部材に取付られた導電体を前記電気的センサに対し所定の隙間を空けて配置し、前記電気的センサは、前記導電体に取付けられ、前記光学的センサは、棒状の投光部と受光部が平行に配置された門形をしており、前記導電体は前記電気的センサと重ね合わさるよう門形に形成されていることを特徴とするコインホッパである。
【実施例】
【0017】
まず、コインホッパ100の概要が図1を参照して説明される。
コインホッパ100は、バラ積み状態で保留された円板形のコイン102を一つずつ払い出す機能を有する。
コインホッパ100は、少なくともフレーム104、スライドベース106、保留ボウル108、回転ディスク110、コイン102の周方向案内装置112、弾出装置114、出口通路116、コイン検知装置118、出口通路画定装置122を含んでいる。
【0018】
まずフレーム104が図1を参照して説明される。
フレーム104はスライドベース106及び保留ボウル108を支持する機能を有し、ABS樹脂等の非導電性樹脂にて射出成型された矩形の筒状をしている。
フレーム104は、下端のベース124、及びベース124に一体化され上向きに延びる矩形筒形のサポート部126を含んでいる。
サポート部126の中空部には、制御基板や回転ディスク110の駆動のための電気モータ等が配置され、頭部は斜めに形成されている。
サポート部126の下端面も樹脂にて成形され、アース用の金属製バネ片130がフレーム104の下端面に樹脂用スクリュウ131によってネジ止めされている。
バネ片130は先端が下向き半円状に形成され、一端は自由端であり、基端部はネジ止めされているため、そのバネ性により内蔵される機器の筐体の金属性底板133によって図7に鎖線示するように僅かにたわめられ、確実に圧接する。
結果として、バネ片130は当該底板133を介して接地される。
スクリュウ131は、後述のアース線262の一端のアース端子262Aをバネ片130に圧接している。
【0019】
次にスライドベース106が図2〜図4を参照して説明される。
スライドベース106は、保留ボウル108、回転ディスク110、周方向案内装置112、弾出装置114、及びコイン検知装置118を所定の位置に保持する機能、及び、回転ディスク110によって移動されるコイン102を案内する機能を有する。
スライドベース106は、ABS樹脂等の非導電性の樹脂により成型され、全体として矩形の厚板状を呈し、サポート部126の頂部に固定されている。
換言すれば、スライドベース106は、所定の角度で傾斜している。
【0020】
スライドベース106は上面128の中央に位置する有底かつ円形鍋形のガイド穴132、上下端部に形成した保留ボウル108の第1取付部134A、134B及び第2取付部136A、136B、ガイド穴132の周面の一部を開口した出口開口138、裏面側にコイン検知装置118の第3取付部140及び周方向案内装置112の第4取付部142(図6参照)を含んでいる。
ガイド穴132の底面144は、大凡平面であり、中央に、回転ディスク110を取り付ける回転軸146が貫通する軸孔148が形成されている。
ガイド穴132の周壁150は、C形であって、コイン102の厚みよりも僅かに厚い鉄製ガイドリング148の内周面及び後述の鉄製ガイド体196の第1側面208によって構成される。
底面144は、本実施例ではガイド孔132に嵌め込んだスライドプレート258の上面によって構成されるが、スライドベース106と一体に樹脂成形することもできる。
回転ディスク110によって押動されるコイン102は、その下面がガイド穴132の底面144上を滑りつつ、かつ、その周面がガイド穴132の周面である周壁150に案内されつつ移動する。
出口開口138に臨んで後述の弾出装置114が配置されている。
この構成により、スライドプレート258等をバネ片130を介してアースすることにより、原則、コイン102は除電される。
しかし、帯電したコイン102が保留ボウル108に供給された場合、保留ボウル108は非導電性樹脂により成形されているので、コイン102がオイルを含んだ塵埃等により覆われている等の特殊事情が重合した場合、コインが電気的に浮いている状態が継続し、結果としてコイン102が帯電していることがある。
【0021】
次に、保留ボウル108が図1を参照して説明される。
保留ボウル108は、コイン102をバラ済み状態に貯留する機能を有し、ABS樹脂等の非導電性樹脂により成形されている。
保留ボウル108の下端部152は、ガイド穴132とほぼ同一径の円筒状であって、スライドベース106に対し直交方向に延びている。
換言すれば、下端部152は斜め上方に向かって伸びており、その上端部154は四角形状に拡大し、その上端はコイン102を投入するための上部開口156になっている。
下端部152の円筒内の底孔158に回転ディスク110の上部が配置されている。
保留ボウル108の上端部154と下端部152は傾斜壁によって接続され、その上に乗ったコイン102は、重力によって自然滑落し、下方の回転ディスク110上に落下する。
第1取付部134A、134B及び第2取付部136A、136Bに保留ボウル108の下部に形成した係止部(図示せず)を係止することにより、保留ボウル108を簡単操作でスライドベース106に取付け、取外しできるようにしてある。
したがって、この状態ではサポート部126、スライドベース106及び保留ボウル108とは接触しているが、非導電性樹脂で成形されているため電気的には接地されていない。
【0022】
次に回転ディスク110が図2及び図5を参照して説明される。
回転ディスク110は、保留ボウル108にバラ積み状態に保留されるコイン102を一つずつ区分けし、弾出装置114に搬送する機能を有する。
回転ディスク110は、ABS樹脂などの非導電性樹脂により円盤形に成型され、電気モータ162(図6参照)によって減速機164を介して回転駆動される。
回転ディスク110には、回転軸線Cを中心とする所定半径の円上であって等間隔に円形の通孔164が形成され、通孔164の上面側は下向き錐形の導入部166が形成されている。
通孔164は、使用が想定される最大コイン102の直径よりも僅かに大きいほぼ円形に形成されている。
また、中央部には円錐形であって、かつ、回転軸146を取付けると共にコイン102の攪拌のための中央凸部172が形成されている。
回転ディスク110は、その下部がガイド穴132内にその周面が周壁150に対しコイン102の厚みよりも狭い間隔で、また、その上部は保留ボウル108の下端部152の底孔158内に僅かな隙間を空けて配置されている。
【0023】
回転ディスク110の裏面160である通孔164を区画するリブ170の下面には、コイン102を押し出すための第1押動部174及び第2押動部176が通孔164のそれぞれに相対して下向きに突出形成されている。
第1押動部174及び第2押動部176の第1押動面174A、及び第2押動面176A(図5参照)は、回転ディスク110の中心部から伸びるインボリュート曲線上に位置している。
第1押動部174と第2押動部176との間には、後述の周方向案内装置112を構成する第1規制体112A通過のための第1溝178A及び、第2規制体112B通過のための第2溝178Bが形成されている。
【0024】
回転ディスク110が回転した場合、その上に載っているコイン102は通孔164、中央凸部172等によって攪拌され、姿勢が変化させられて通孔164に落下する。
落下したコイン102の下面はガイド穴132の底面144に、外周は周壁150によって案内される。
そして、回転ディスク110の回転によって第1押出面174A及び第2押出面176Aによって押動されて回転ディスク110と共に連れ回りされる。
このとき、コイン102の周面は周壁150に案内されるが、周壁150に対する接触圧は殆どが遠心力に基づくものであるので大きな接触圧ではない。
連れ回り過程において、周方向案内装置112の第1規制体112A、及び第2規制体112Bによって連れ回りを阻止されたコイン102は、回転ディスク110の周方向へ案内され、最終的に第2押出面176Aによって、出口開口138へ押し込まれる。
【0025】
次に周方向案内装置112が図4を参照して説明される。
周方向案内装置112は、第1押動部174、第2押動部176によって押動されるコイン102を、回転ディスク110の周方向に案内し、出口開口138に誘導する機能を有する。

具体的には、スライドベース106を下側から上側に貫通し、回転ディスク110の裏面160に向かって伸びる円柱ピン状の第1規制体112A及び第2規制体112Bが配置されている。
換言すれば、第1規制体112A及び第2規制体112Bはコイン102の移動経路182に突出している。
【0026】
第1規制体112A及び第2規制体112Bは、スライドベース106の裏面の第4取付部142に一端を固定された板バネ184A、184B(図6参照)に固定されている。
これにより、第1押動部174、第2押動部176によって押動されるコイン102は第1規制体112A及び第2規制体112Bによって回転ディスク110による連れ回りを阻止され、出口開口138側へ案内される。
なお、第1規制体112A又は第2規制体112Bの一方のみ、若しくは第1規制体112A及び第2規制体112Bを用いずともコイン102が出口開口138に自ずと移動する場合、それらを配置する必要はない。
【0027】
換言すれば、回転ディスク110の直径が大きく、第1押動部174及び第2押動部176によってコイン102を回転ディスク110の周方向へ誘導できる場合、第1規制体112A及び第2規制体112Bを配置する必要は無い。
第1規制体112A及び第2規制体112Bがコイン102から所定の横方向の力を受けた場合、板バネ184A、184Bが弾性変形して第1規制体112A及び第2規制体112Bは底面144の下方に向かって移動可能であり、コイン102がそれを乗り越えて移動可能になり、回転ディスク110と共に移動できる。
【0028】
次に出口開口138が図3及び図4を参照して説明される。
出口開口138は、周方向案内装置112の側方のガイド穴132の周壁150が所定長にわたって切除された矩形の開口である。
実施例においては、第1ガイド188及び第2ガイド192によってコイン102の出口が画定されるので、これらの間が出口開口138である。
出口開口138の長さ(ガイド穴132の周方向の長さ)は、コイン102が通過するに十分な長さである。
換言すれば、出口開口138はコイン102の直径よりも横方向の長さが僅かに大きく形成されている。
【0029】
次に弾出装置114を図4及び図6を参照して説明する。
弾出装置114は、回転ディスク110によって一枚ずつ区分けされて送り出されるコイン102をひとつずつ弾き出す機能を有する。
弾出装置114は、第1ガイド188、第2ガイド192及び付勢手段194を含んでいる。
【0030】
まず第1ガイド188が図4を参照して説明される。
第1ガイド188は、コイン102が弾き出される際、出口開口138の一側を固定的に画定する機能を有する。
さらに、本実施例においては、コイン102としてコイン102又は大径コイン102Lの何れが使用される場合であっても、第2ガイド192の移動量が同一になるようにする機能を有する。
本実施例における第1ガイド188は、へら状の板金製ガイド体196の左右角部を弧状に形成した第1角部198A又は第2角部198Bが選択的に案内位置に配置されることによって構成される。
ガイド体196は他端部202及びその側方の側部凸部204が半円形に形成され、スライドベース106の側壁205に形成された弧状凹部206に側部凸部204が嵌り、かつ、他端部202がガイドリング148の一端の凹状規制部206に接した状態において、コイン102に適した第1位置P1に位置するよう設定されている。
【0031】
この状態において、直線状の第1側面208はガイド穴132の一部を構成する。
図4において鎖線で示すように、ガイド体196を表裏反転した場合、第1側面208の反対側の第2側面212がガイド穴132の一部を構成する。
このとき、第1側面208はスライドベース106の端部に立設する垂立壁210に、及び他端部202がガイドリング148の凹部214に係合することにより位置決めされる。
第2側面212は、第1側面208よりも湾曲しており、ガイド穴132の中心(回転軸204
の中心)からの距離が大きく設定されている。
換言すれば、大径コイン102Lが第1規制体112A、第2規制体112Bによって出口開口138へ案内され、かつ、第2ガイド192がコイン102が弾き出される場合と同一の移動量になるよう設定されている。
【0032】
次に第2ガイド192が図4を参照して説明される。
第2ガイド192は移動可能に設けられ、第1ガイド188との間でコイン102を挟んで弾き出す機能を有する。
第2ガイド192は、本実施例では支軸216に回転自在に支持された金属製のローラ218である。
第2ガイド192は、回転ディスク110及び第1ガイド188の側方に配置され、出口開口138の一側壁を構成している。
【0033】
金属製の支軸216は、スライドベース106の裏面に下向きに固定された金属製の固定軸222にピボット運動可能に取り付けられた樹脂製の揺動レバー224の一端部に固定され、スライドベース106の弧状長孔226を通って出口開口138に隣接し、かつ第1ガイド188に対し所定距離離れた出口通路116に位置している。
スライドベース106の下面に突出するピン228と揺動レバー224から下方に突出する支軸216との間に掛止めした付勢手段194、具体的にはスプリング232が掛止され、ローラ218が第1ガイド188に近づくよう図4において反時計方向(図6において時計方向)に付勢されている。
【0034】
付勢手段194は、第2ガイド192を第1ガイド188に弾性的に近づける機能を有している。
通常、揺動レバー224は一体に形成された被係止部234が、スライドベース106の裏面に形成された表面が弾性的に形成された係止部236によって係止されることにより、第1ガイド188に対しコイン102の直径よりも小さい間隔で停止された待機位置SPにおいて静止している。
係止部236は、例えばスライドベース106の裏面に突出するピン237に外装したゴムリング238である。
係止部236を弾性体により構成することにより、揺動レバー224のバウンドを抑制し、コイン検知装置118が誤検知することを防止できる。
【0035】
コイン102の直径部が第1ガイド188と第2ガイド192との間に進行した場合(コイン102の中心を通る直線と第1ガイド188と第2ガイド192との接触点が当該直線上にのった状態)、図4に鎖線示するように第2ガイド192が弾出位置DPに移動された後、スプリング232の弾発力でコイン102を出口通路116へ弾き出す。
なお、第2ガイド192は揺動レバー224によってピボット運動を行うが、直線運動により第1ガイド188に対し接近、離隔するよう変更することができる。
また、付勢手段194は、スプリングの他、電磁アクチュエータ、空気アクチュエータ等同様の機能を有する装置に変更することができる。
【0036】
次にコイン検知装置118が図4及び図6を参照して説明される。
コイン検知装置118は、コイン102による第2ガイド192の移動を直接的又は間接的に検知して検知信号DSを出力する機能を有する。
実施例のコイン検知装置118は、第2ガイド192、第2ガイド192を支持する揺動レバー224、揺動レバー224と一体的に移動する作用片242及び作用片242の電気的センサ244を含んでいる。
【0037】
作用片242は、揺動レバー224と一体に樹脂成形された非導電体であり、第2ガイド192よりも支軸216から遠い位置に形成され、固定軸222を中心とする円弧状に所定の長さで延在する被検知部246である。
作用片242は揺動レバー224と共に樹脂製であるので、固定軸222が金属製であっても、またコイン102が帯電している場合、金属製のローラ218及び支軸216であったとしても、基本的には帯電することはない。
しかし、何らかの原因で放電電圧を超えるまで帯電することがある。
電気的センサ244は、被検知部246を検知した場合、「H」又は「L」の電気的な検知信号DSを出力する機能を有する。
実施例の電気的センサ244は、電気的センサであり、実施例では透過形の光電センサ248であり、透孔248Pから投光される投射光が遮断された場合、「L}、投射光を受光した場合、「H」の検知信号DSを出力する。
【0038】
次に光電センサ248が図9を参照して説明される。
光電センサ248は、断面矩形棒状の投光用梁248A及び受光用梁248Bが所定の間隔で平行に支柱248Cに固定され、全体的には投光用梁248A、受光用梁248B及び支柱248Cによって門形に形成されている。
光電センサ248は、投光用梁248Aに形成した透孔248Pからの投射光が対面する受光用梁248Bに配置された受光部に入光するよう設定されている。
支柱248Cと一体的に板状の取付プレート248Dが投光用梁248A及び受光用梁248Bに対して大凡直角に形成されている。
光電センサ248は、スライドベース106の裏面に位置する取付ブラケット252に固定されている。
【0039】
実施例において光電センサ248はサポート部126で囲われたスライドベース106の下方に位置するので、外部から不正にアクセスすることは極めて困難である。
コイン102によって第2ガイド192が弾出位置DPへ移動され、図4において鎖線で示すように被検知部246が透孔248Pに相対する場合、透孔248Pから受光部への投射光を遮断する。
この遮断によって、光電センサ248の出力は「H」から「L」になる。
第2ガイド192が弾出位置DPから待機位置SPへ移動する場合、移動途上において被検知部246が透孔248Pから外れるので、光電センサ248の出力は「L」から「H」になる。
光電センサ248の出力が「L」から「H」に変化したときに検知信号DSを出力する。
この検知信号DSをカウントすることにより、払い出したコイン102の数を知ることができる。
したがって、電気的センサ244は、同様の機能を有する他のセンサ方式、例えば反射式光電センサ、金属センサ等他の電気的センサに変更することができる。
【0040】
次に取付ブラケット252が説明される。
本実施例において、取付ブラケット252は本発明に係る導電体250及び光電センサ248の取付部を兼ねている。
まず導電体250が図6及び図8〜11を参照して説明される。
導電体250は、弾出装置114によって弾き出されるコイン102によって作用片242が移動する過程において、電気的センサ244よりも先に作用片242に接近し、作用片242が放電電圧を超えて帯電している場合、作用片242から放電させ、もって、電気的センサ244に近接する以前に作用片242を除電する機能を有する。
本実施例において、導電体250は第2ガイド192の待機位置SPに対応して位置する作用片242の待機位置SP2において作用片242に近接配置された取付ブラケット252である。
取付ブラケット252はスライドプレート258と一体に切り出された後、下方へ折り曲げられ、底面144の構成部分に対し直角をなしている。
取付ブラケット252は、平板状の取付部252Mと保護部252Pとを有し、それらは直角をなすよう折り曲げられ、上向きに見た場合、L形に形成されている。
本実施例において、導電体250は保護部252Pである。
【0041】
取付部252Mには、縦長矩形の光電センサ248の取付孔252H及びその側方に取付ねじ孔252Sが形成されている。
保護部252Pは、光電センサ248と同形に第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2を有する。
換言すれば、第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2は所定の間隔で平行に配置され、それらの一端部はステー252P3により連結され、横向きの門形に形成され、第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2との間には作用片242が通過する横向きの通過溝252Gが形成されている。
光電センサ248は、投光用梁248A及び受光用梁248Bを取付孔252Hを貫通させて後、スクリュウ253を取付プレート248Dに穿孔した貫通孔を貫通させて取付部252Mの取付孔252Sにねじ込むことにより固定されている。
光電センサ248が取付部252Mに固定された状態において、投光用梁248A及び受光用梁248Bは、それぞれ第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2の陰になるよう配置される。
陰になるとは、作用片242側から視た場合、投光用梁248Aが第2横梁部252P2の、受光用梁248Bが第1横梁部252P1の陰に隠れて実質的に見えないことである。
通過溝252Gの幅、換言すれば、第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2の間隔は可及的に小さいことが望まれる。
作用片242と導電体250との間の放電電圧を可及的に低くするためである。
しかし、部品、組み立て精度並びに作用片242の揺動中の振動等を考慮すると、作用片242が導電体250及び光電センサ248に接触しないよう、通過溝252Gの幅は5ミリ程度が現実的である。
これにより、作用片242の厚みを1ミリに設定した場合、2ミリの間隔にすることができ、一般的には作用片242の衝突を回避できるからである。
【0042】
次にスライドプレート258の取付方法を説明する。
スライドプレート258は、取付ブラケット252をスライドベース106に形成されたL形の貫通孔250Aを上から下に向かって貫通させてスライドベース106の上面に密着させた後、ガイドリブ148の外向きタブ149A、149B、149C等に形成した貫通孔148A、148B、148C、148D及びそれらとの相対位置に形成されたスライドプレート258の貫通孔258A、258B、258C、258Dを貫通してスライドベース106のネジ孔に樹脂用スクリュウ260A、260B、260C、260Dをねじ込むことにより固定される。
光電センサ248は、取付ブラケット252が貫通孔250Aを貫通された後、取り付けられる。
スライドプレート258は、アース線262の端子264Aがスクリュウ260Bによって共締めされる。
アース線262の他端部の端子264Bは、前述のようにスクリュウ131によってバネ片130に電気的に接続されている。
よって、スライドプレート258はアース線262及びバネ片130を介してアースされる。
換言すれば、導電体250(保護部252P)は、スライドプレート258、アース線262及びバネ片130を介してアースされる。
【0043】
次に光電センサ248の取付方法を説明する。
光電センサ248は、スライドプレート258がベースプレート106に固定された後、投光用梁248A及び受光用梁248Bを取付孔252Hを貫通させ、取付プレート248Dを取付部252Mにあてがってスクリュウ253を取付プレート248Dに形成された貫通孔を貫通させてねじ込むことにより固定される。
この状態において、投光用梁248A及び受光用梁248Bと保護部252Pとの間には所定の間隔、例えば3ミリ程度の隙間を形成する。
導電体250と作用片242との間で放電した場合、光電センサ248に影響を及ぼさないためである。
光電センサ248よりも作用片242側に導電体252が位置する。
図6及び図11に示すように、第2ガイド192の待機位置SPに対応する作用片242の待機位置SP2において、作用片242の先端が通過溝252Gに位置するよう設定することが好ましい。
これにより、作用片242と第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2との間隔は、2ミリ程度に設定され、作用片242に最も近い導電体250になるので、作用片242が待機位置SP2において放電電圧以上に帯電した場合、導電体250との間で必ず放電することになる。
これにより、光電センサ248が放電によって破損されることがない。
また、第2ガイド192の弾出位置DPへの移動に伴って作用片242も回動し、光電センサ248の投光用梁248A及び受光用梁248Bとの間へも進行するが、その場合であっても、作用片242は通過溝252Gに位置している。
作用片242と、投光用梁248A及び受光用梁248Bとの距離及び第1横梁部252P1及び第2横梁部252P2との距離が同一である場合、作用片242に最も近い導電体は保護部252Pである。
換言すれば、作用片242の放電電圧を超えて帯電した場合、最も近い導電体250と作用片242との間で放電する。
よって、作用片242が揺動中であっても、光電センサ248との間で放電が生じないので、光電センサ248が破損することはない。
【0044】
次に出口通路116が図4を参照して説明される。
出口通路116は、弾出装置114によって弾き出されたコイン102を案内する機能を有する。
出口通路116は、出口開口138に連続して回転ディスク110の周方向に伸びる薄板状の通路である。
出口通路116は、スライドベース106に形成された凹溝272、第1ガイド188、第2ガイド192及び凹溝272の上側解放面を覆う出口通路画定ガイド274によって画定され、回転ディスク110の周方向に伸びている。
凹溝272の底面276は、底面144と同一平面内に配置され、弾出装置114によって弾き出されたコイン102の下面が案内される。
底面144は、ガイド穴132の形状に形成したスライドプレート258の上面である。
底面144を導電性の金属板にすることにより」、樹脂製の回転ディスク110とコイン102との摩擦によって発生した静電気を、この底面144を介してアースすることができるので、静電気による電子部品等の破損等の問題を解消できる利点がある。
出口通路画定装置122は、本実施例においてはスライドベース106及び出口通路画定ガイド274により構成される。
【0045】
次に実施例の作用を説明する。
コイン102の払出指示信号を受けた場合、電気モータ162が回転し、減速機164及び回転軸146を介して回転ディスク110が図2において時計方向に回転される。
回転ディスク110の回転により、コイン102は通孔164に落下し、その下面はガイド穴132の底面144に支えられる。
さらに、コイン102は第1押動部174(第1押出面174A)及び第2押動部176(第2押出面176A)により押されてその下面は底面144上を滑り、かつ、周面は周壁150に案内されつつ回転ディスク110と共に連れ回りされる。
このとき、コイン102は第2押動部176によりその外向き円弧面を押されるのでコイン102を回転中心側に押す力を受け、回転による遠心力がコイン102に作用するものの周壁150、及び第1側面208の接触圧力はほぼゼロの状態で移動する。
【0046】
コイン102は、自ら又は規制体112によって回転ディスク110の周方向に案内される。
このとき、規制体112には横方向から力が加わるが、底面144に対しほぼ垂直状態を保つ。
コイン102の周方向への移動により、コイン102は第1ガイド188と第2ガイド192との間に達する(図4鎖線示)。
第2ガイド192は、コイン102Sによって移動されるまで待機位置SPに位置する。
光電センサ248は、第2ガイド192が待機位置SP近傍に位置する場合、透孔248Pからの投射光が受光部に入光しているので、光電センサ148の出力は「H」のままである。
【0047】
コイン102は、第1押動部174に引き続いて第2押動部176によってさらに周方向へ押され、かつ、第1ガイド188は固定であるので、第2ガイド192がコイン102によって待機位置SPから弾出位置DPへ移動される(図4鎖線示)。
これにより、揺動レバー224が固定軸222を中心に時計方向へ回動される。
この弾出位置DPへ移動する途上において、作用片242は透孔248Pに相対し、投光部からの投射光を遮断するため、光電センサ248の出力は「H」から「L」に変化する。
図12に示すように、図示しない制御装置は出力が「H」から「L」に変化した時点から所定時間Tの計時を開始する。
【0048】
コイン102は、その直径部が第1ガイド188と第2ガイド192との間を通過した直後に付勢手段194の弾発力によって第2ガイド192を介してほぼ横方向に弾き出され、出口通路116を通って出口284から払い出される。
これにより、第2ガイド192は待機位置SPに戻る。
【0049】
第2ガイド192の待機位置SPへの復帰動に連動して作用片242が光電センサ248の遮光を中断するので、投光部からの投射光が受光部に受光されるようになる。
これにより、光電センサ248の出力は「L」から「H」に変化する。
この「L」から「H」への出力変化に基づいて制御装置(図示せず)は検知信号DSを出力する。
したがって、この検知信号DSをカウントすることにより出口284から払い出されたコイン102の数を計数することができる。
また、「H」から「L」に変化した後、「L」の継続時間が所定時間よりも短い場合、異常信号は出力されない。
光電センサ248の出力「L」の継続時間が所定時間T、例えば通常の二倍以上継続した場合、異常状態であるとして異常信号ESを出力することができる。
例えば、「L」の継続時間がコインの2枚払出に要する時間を経過した場合、異常信号を出力し、これに基づいて電気モータ162の回転を停止することができる。
【0050】
通常、回転ディスク110の回転によってコイン102が非導電性樹脂の保留ホウル108と擦れ合うことによりコイン102に静電気が帯電する。
帯電した静電気は、金属製のスライドプレート、アース線262、及びバネ片130を介してアースされ、揺動レバ224、したがって作用片242は帯電することがない。
しかし、何らかの原因で作用片242が帯電することがある。
帯電電圧が放電電圧を超えた場合、作用片242が待機位置DP2に位置するときは、作用片242に最も近い導電体250に放電し、除電される。
除電後、第2ガイド192の移動に連動して作用片242が移動しても、作用片242が帯電していないので、光電センサ248との間で放電することはない。
【0051】
作用片242の揺動運動中に放電電圧以上に帯電した場合、作用片242及び投光用梁248A、受光用梁248Bと、第1保護梁252P1と第2保護梁22P2との距離はほぼ同一である。
しかし、導電体250は、光電センサ248を構成する樹脂よりも導電性が高い。
よって、作用片242と導電体250との間に放電され、光電センサ248との間で放電することはない。
よって、電気的センサの破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、実施例のコインホッパの斜視図である。
【図2】図2は、実施例のコインホッパの回転ディスクを装着したスライドベースの平面図である。
【図3】図3は、実施例のコインホッパの保留ボウルを外した状態のスライドベース、及びフレームの左側面図である。
【図4】図4は、図2から回転ディスク及び出口通路画定ガイドを取り外した状態のスライドベースの平面図である。
【図5】図5は、回転ディスクの裏面図である。
【図6】図6は、実施例のコインホッパのスライドベースの裏面図である。
【図7】図7は、図3におけるX―X線断面図である。
【図8】図8は、実施例のコインホッパの回転ディスク、スライドプレート、ベースプレートの分解斜視図である。
【図9】図9は、実施例のコインホッパの裏面側からのベースプレートとスライドベースとの分解斜視図である。
【図10】図10は、実施例のコインホッパの裏面側からのコイン検知装置部の拡大斜視図である。
【図11】図11は、実施例のコインホッパの裏面側からのコイン検知装置部の拡大裏面図である。
【図12】図12は、実施例のコインホッパの作用説明図である。
【符号の説明】
【0053】
102 コイン
106
スライドベース
108 コイン保留ボウル
110
回転ディスク
118
コイン検知装置
138 出口開口
158
底孔
164
通孔
188
第1ガイド
192
第2ガイド
242
作用片
243
電気的センサ
248
光電センサ
248A 投光部
248B 受光部
250
導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン保留ボウル(108)の底孔(158)に配置された通孔(164)付き回転ディスク(110)によってコイン(102)を一枚ずつ区分けして、前記回転ディスクの下方に配置された樹脂製のスライドベース(106)上をスライドさせ、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド(188)及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイド(192)によって構成した出口開口(138)に送り込んだ後、弾き出し位置(DP)まで移動された前記第2ガイドと第1ガイドとによって弾き出し、前記第2ガイドの前記コインによる移動に関連して移動する作用片(242)の移動を前記ベースと電気的絶縁関係にある非導電性部材に取り付けられた電気的センサ(244)により検知することにより前記コインの弾き出しを検知するコイン検知装置(118)を備えたコインホッパにおいて、
前記電気的センサに対する前記作用片の進行方向前位側に非導電性部材に取付られた導電体(250)を前記電気的センサに対し所定の隙間を空けて配置したことを特徴とするコインホッパ。
【請求項2】
請求項1に記載のコインホッパにおいて、
前記電気的センサは、前記導電体に取付けられていることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2に記載のコインホッパにおいて、
前記電気的センサは、光電センサ(248)であって、棒状の投光部(248A)と受光部(248B)が平行に配置された門形をしており、
前記導電体は、前記光電センサと重ね合わさるよう門形に形成されていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−277558(P2010−277558A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132580(P2009−132580)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】