コエッジ型のコネクタ
【課題】各信号経路でより高速の通信性能を実現することができるコエッジ型のコネクタの提供。
【解決手段】コネクタ100は、1組の側面結合された端子を備えたハウジングを有し、この端子は、第1のパネル20及び第2のパネル30上の一対の信号トレースと係合し、第1及び第2のパネル上の信号トレース間で信号を転送するように構成されている。コネクタはエッジ上に摺(しゅう)動され、ロック用特徴形状部とともに、パネルの一方又は両方に固定されてもよい。多数の信号対はコネクタに含まれ、電気的に分離されてもよい。コネクタの設計は、所定のレベルを超えない反射減衰量で1信号対当りの高速データ通信を促進するのに役立つ。同一平面構成のためにコネクタの特定の構成が使用されてもよい。コネクタの特定の構成は、厚さが異なるパネルを結合することができる。
【解決手段】コネクタ100は、1組の側面結合された端子を備えたハウジングを有し、この端子は、第1のパネル20及び第2のパネル30上の一対の信号トレースと係合し、第1及び第2のパネル上の信号トレース間で信号を転送するように構成されている。コネクタはエッジ上に摺(しゅう)動され、ロック用特徴形状部とともに、パネルの一方又は両方に固定されてもよい。多数の信号対はコネクタに含まれ、電気的に分離されてもよい。コネクタの設計は、所定のレベルを超えない反射減衰量で1信号対当りの高速データ通信を促進するのに役立つ。同一平面構成のためにコネクタの特定の構成が使用されてもよい。コネクタの特定の構成は、厚さが異なるパネルを結合することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年3月4日に出願された仮出願番号第61/068,019号に基づく優先権を主張するものであり、この仮出願を本出願の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、一般に、第1のパネルのエッジに隣接したトレースから第2のパネルのエッジに隣接したトレースに信号を伝えるのに有用なコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)等のパネルは、一般に、部品を支持し、かつ、パネル上に取付けられた部品間の信号転送を容易にするために使用される。例えば、中央処理装置(CPU)等の処理装置をマザーボード(PCBの一例)に取付けることができ、CPUは、サーバ等のコンピュータの処理中枢部として使用され、メモリモジュールや通信モジュール等に結合される。したがって、CPUは、一般的な処理部品になる傾向があるが、単一パネル上で複数のプロセッサを含む複数の部品を組合せて部品を相互に通信させることも比較的に一般的である。メモリモジュールや通信モジュール等の他のタイプの構成要素モジュールも、パネル上に配置され相互に通信可能な状態にされるであろう。用途によっては、パネル上の構成要素モジュールは、様々なタイプの構成要素を適切な構造的構成で組合せることによって広範囲のニーズに応えるように設計することができる。
【0004】
しかしながら、技術の進歩が比較的早いので、アップグレードすることができる設計を有することがしばしば有益である。さらに、相互に通信する状態にある部品をカスタマイズする能力を顧客に提供することが有益な場合が多い。したがって、顧客要求に基づいてパネルに追加部品を結合することができるように、パネル上にコネクタ(アダプタと呼ばれることもある)を設ける場合がある。2枚のパネル上の信号トレースに結合された部品が互いに通信することができるようにするために、コネクタを用いて、一方のパネル上の信号トレースを別のパネル上の信号トレースに接続する。コネクタの使用によって、顧客要求に基づいて改良することができる基本パネル設計が可能となる。実際には、コネクタは、第1組の部品を有する第1のパネルを第2組の部品を有する第2のパネルに結合することを可能にする。コンピュータの世界では、例えば、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)は、第1のパネル(例えば、マザーボード)上に1個以上のプロセッサを有する可能性がある。第1のパネルは、いくつかのコネクタを支持することができ、そのうちのいくつかのコネクタは、メモリモジュールを有するパネルを受入れるように設計されており、他のコネクタは、追加のプロセッサを支持するパネルを受入れるように設計されている。したがって、顧客は、どれだけの性能を望むかを決定し、適切なパネル(所望の部品を有する。)を選択しコネクタに取付けることができる。この方法は、既存の部品と通信させた場合に利益を提供する種々様々な部品、基本的には任意のタイプの部品、で使用することができる。
【0005】
所望の融通性を提供する一解決策は、コネクタをパネルに取付けて、それをすべての顧客に出荷することである。これは、融通性のある構成を提供するという観点からは有効であるが、基本パネル上にコネクタを設けることによって、追加部品を加えることを望まない消費者にとってコストが高くなる。この追加費用は、コネクタの性能及びコストが高くなるほど問題が大きくなる。したがって、追加パネル(及び関連部品)が追加されるときに追加することができるコネクタを提供することが有益になる。ある特定のそのような利益を提供することができる既存の設計には、コエッジ型のコネクタ(co-edge connector )として知られるものがある。しかしながら、既存のコエッジ型のコネクタ設計は、異なるサイズのパネルを都合よく結合するのにあまり適していない。したがって、そのようなコエッジ型のコネクタの設計の更なる改良が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コエッジ型のコネクタは、2枚の異なるパネル上の信号トレース間に信号経路を提供するために使用される。更に他の一問題は、コエッジ型のコネクタと結合されたパネルに取付けられた部品の性能が高くなるほど、2枚のパネル上の部品間の通信速度も速くならなければならないことである。したがって、例えば、第1のパネル上の高性能モジュールのシステムに高性能モジュールを有する第2のパネルを追加することは、2枚のパネル上の部品が効率的に通信することができない場合にはあまり有益でない。これに対処する一方法は、第1のパネル及び第2のパネル間の信号経路(一般に、データ転送速度が高いので差動信号対である。)の数を増やすことである。そのような手法の問題は、それぞれの付加信号経路がパネル上で占めるスペースが多くなるということである。したがって、特定の用途では、各信号経路でより高速の通信性能を提供することができるコエッジ型のコネクタがあると有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エッジコネクタが提供される。コネクタは、対にされた端子を備えたハウジングを有し、この端子は、第1のパネル及び第2のパネル上の一対以上の信号トレースと係合し第1及び第2のパネル上の信号トレース間で信号を転送するように構成されている。コネクタは、コネクタを第1及び/又は第2のパネルに固定するロック用特徴形状部を備えてもよい。コネクタの設計は、1信号対当りの高速データ通信を促進することができる。同一平面構成のためにコネクタの特定の構成が使用されてもよい。該特定の構成は、厚さが異なるパネルを結合することができる。
【0008】
本発明は、添付の図面に例として示されているがこれに限定されるものではない。なお、添付の図面において類似の参照符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】2枚の寸法的に類似のパネルに取付けられたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図1b】図1aに示された実施形態の側面図である。
【図1c】2枚の寸法的に類似のパネルに取付けられたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図1d】図1cに示された実施形態の側面図である。
【図2】例示的なパネル及びコネクタ組立体の斜視部分分解図である。
【図3a】コネクタの両面に端子位置を有するコネクタの一実施形態の断面図である。
【図3b】コネクタの片面に端子位置を有する図3aに示された実施形態の断面図である。
【図4】パネルエッジの部分斜視図である。
【図5a】同じ厚さの2枚のパネルを結合するように構成されたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図5b】それぞれ異なる厚さを有する2枚のパネルを結合するように構成されたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図6】図5aに描かれたコネクタの例示的実施形態の別の斜視図である。
【図7】図6に描かれたコネクタの一部分を有する第1のハウジングの斜視図である。
【図8】図6に描かれたコネクタの部分斜視図である。
【図9】図8に描かれた部分コネクタの拡大図である。
【図9a】2枚のパネルに結合されたコネクタの一実施形態の断面斜視図である。
【図9b】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの一実施形態の断面斜視図である。
【図10】図9に描かれた部分コネクタの別の斜視図である。
【図10a】部分コネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図11】端子が除去された状態の例示的コネクタの部分斜視図である。
【図12】信号対の例示的実施形態の斜視図である。
【図13a】図12に描かれた端子の側面図である。
【図13b】厚さが異なる2枚のパネルを結合するように構成された端子の一実施形態の側面図である。
【図14a】端子脚の例示的実施形態の側面図である。
【図14b】修正された先端を有する端子脚の例示的実施形態の側面図である。
【図15a】端子によって2面で結合された2枚のパネルの単純化した側面図である。
【図15b】端子によって1面で結合された2枚のパネルの単純化された側面図である。
【図15c】端子によって2面で結合された異なる厚さを有する2枚のパネルの単純化された側面図である。
【図16】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図17】図16に描かれた実施形態の拡大図である。
【図18a】端子の例示的実施形態の斜視図である。
【図18b】図18aに描かれた端子の側面図である。
【図19a】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図19b】図19aに描かれた実施形態のaa部の拡大図である。
【図19c】図19bのbb部の線に沿って観た斜視図である。
【図20a】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図20b】図20aに描かれた実施形態の線ccに沿って切断した拡大部分断面図である。
【図21】直角コネクタの例示的実施形態の断面図である。
【図22】シングルエンド形通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図22a】シングルエンド形通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図22b】線ddに沿って切断した図22aに描かれた実施形態の断面概略図である。
【図23】差動信号通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図23a】差動信号通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図23b】線eeに沿って切断した図23aに描かれた実施形態の断面概略図である。
【図24】差動信号通信システムの性能を高めるために使用される特徴形状部を示すパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図25】シングルエンド形信号通信システムの性能を高めるために使用される特徴形状部を示すパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図26】85〔Ω〕インピーダンスを提供することが望まれる場合にコネクタで使用される端子の代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
要求に応じて本明細書において詳細な実施形態を開示するが、開示した実施形態が、様々な形態で実施することができる特徴の単なる例示であり代表に過ぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示した特定の詳細は、限定として解釈されるべきでなく、単に特許請求の基礎として、また、本明細書に明示的に開示されていない可能性がある組合せで本明細書に開示した様々な特徴を使用することを含め、実質的に任意の適切な手法で本開示を様々な形で使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0011】
図を詳しく説明する前に、一般に、性能向上の実現がますます難しくなっていることに注意されたい。例えば、熱問題は、これまでは特定の部品の動作周波数を高めることだけで行うことができた性能改善に対する実質的な障壁となっている。コネクタは、多くの場合受動部品であり、したがって、あまり熱を生成しないが、一般に、コネクタは、電力損によって、システムの熱的性能にも影響を及ぼし、システムを冷却するために使用される空気流を制限する可能性がある。したがって、高性能なソリューションでは、温度管理がより重要になっていた。さらに、動作周波数が高くなるほど、信号完全性に関する他の問題が現れ始める。したがって、高い性能を提供することができ、かつ、パネル全体を通しての空気流の著しい減少を回避することができる低プロファイルのエッジコネクタが、システム全体に大きな利益を提供する可能性を有することが分かった。
【0012】
一般に、高速コネクタにはいくつかの構成がある。しかしながら、これまで、1信号経路当り少なくとも8〔Gbps〕、12〔Gbps〕、又は更にそれを超える〔Gbps〕のレベルを提供することができ、また、2枚の隣接パネルのエッジ上のトレースを結合するために使用することができるコネクタのような高速コネクタを提供するのは困難であった。さらに、バックプレーン領域では考慮されているが、エッジコネクタについては、30〔Gbps〕近いレベルまで高めることはこれまで検討されていなかった。しかしながら、エッジコネクタでのそのような速度が可能となれば、エッジコネクタが従来のバックプレーンコネクタにとって代わる可能性が有る。
【0013】
さらに、最近の改良によって、アプリケーションを書直すことなく多重処理コアの利用度を高めることが可能になったことに注意されたい。例えば、RAPIDMIND社は、単一コア用に記述されたアプリケーションをいくつかのコア上で実行することを可能にするソフトウェアを有する。他のアプリケーションは、複数のパネル上の複数のプロセッサを利用し、かつ、システムに追加プロセッサが結合されたときに性能の向上を可能にするように設計される。したがって、より多くのプロセッサを結合する(例えば、幅が広くなる)能力は、極めて有効な計算能力を提供することができる。しかしながら、幅が広がることの一問題は、より多数のプロセッサが一緒に動作するとき、該プロセッサは、エッジコネクタ等の低プロファイルコネクタではこれまで困難であった速度で大量のデータを共有することを頻繁に必要とすることである。したがって、特定の限られた用途を除き、パネル間の既存の通信速度は、より高コストのパッケージング構成を回避しながらより高い通信速度を可能にするアーキテクチャを設計する能力を制限する可能性を有する。しかしながら、データ転送性能が高いという利点は、広範囲に亘(わた)る用途を有し、したがって、高速エッジコネクタは広範囲の潜在的用途を有することが分かる。
【0014】
前述のように、信号は信号対によって伝送される。より高性能な用途では、信号対を差動信号対によって提供することができ、該差動信号対は、スプリアス信号の影響を受けにくいという利点を有する。しかしながら、特定の用途では、信号対はシングルエンド形でもよい。
【0015】
図1a及び1bは、コエッジ型のコネクタ100によって結合された第1のパネル20及び第2のパネル30を有するコネクタ組立体10の一実施形態を示す。該一実施形態では、パネルは、トレースが内部を通るPCBを有することができる。他の実施形態では、パネルは、表面エッジ上に取付けられ、かつ、フレキシブル配線に結合された導電性トレースを有する絶縁性材料を有してもよい。図1bから分かるように、パネル20及び30は、同一平面内で位置合せされ、両方とも第1の厚さ15を有する。
【0016】
図1c及び1dは、第1のパネル20を結合するコネクタ300を備えたコネクタ組立体11の他の実施形態を示す。全体構成は、図1a及び1bに描かれた構成と類似しているが、パネル20は第1の厚さ15を有し、パネル40は第1の厚さ15より大きい第2の厚さ16を有する。しかしながら、図に示したように、パネル20及びパネル40はやはり同一平面にある。該同一平面の状態を維持することによる一利点は、パネルの両面が信号トレースを有する場合に、コネクタの両面の信号経路を同じに維持することができることである。後で示されるように、これにより、コネクタの両面で同じ端子を使用することができ、また、PCBの両面に対して対称性を確保することによって信号がコネクタの両面で時間的完全性を有することを保証するのに役立ち、この対称性は、PCBの中心面に対する対称性を維持することによって提供することができる。
【0017】
図2〜3bは、パネル及びコネクタ間の境界面に関するいくつかの追加の特徴を示す。図に示されたように、コネクタ100は、第1のハウジング150及び第2のハウジング150’を有し、これらのハウジング150及び150’は結合され、特定の構成において離間された切欠き32、32’及び32”を有するパネル30を収容するように調整されるとともに、構成された複数のパネルチャネル105、110、115及び120を構成する。パネル30は、該パネル30の第1の面31に信号トレースを備えるとともに、パネルの反対側の面にも信号トレースを備え、それにより、コネクタ100内の端子200が両方の信号トレースと結合する。しかしながら、信号トレースが面31だけにある場合は、端子200がコネクタの片側から省略されてもよい。あるいは、パネル30上に信号トレースがあるかどうかに関係なく両方のコネクタハウジング150及び150’内に端子200が設けられ、該端子は、パネルの中心にコネクタを位置決めするのを助けるために使用される。
【0018】
必須ではないが、エッジコネクタは、ロック用特徴形状部によってパネル30に永久的に取付けられてもよく、一実施形態では、パネル開口37と位置合せされたコネクタ開口140を有している。その結果、ねじ、ピン、リベット等(ただし、これらに限定されない)の所望の留具が開口140及び37に挿入され、コネクタ100をパネル30に固定するために使用される。さらに、一実施形態では、コネクタは、両方のパネルに確実に取付けられるように構成される。一実施形態では、開口140は、ねじを受入れるように適応され、そのような場合、開口140は、一方の側がねじのねじ山に隙(すき)間を提供するように構成され、開口140の反対側がねじ山を確実に受けるように構成される。
【0019】
パネル30をパネルチャネル105、110、115及び120に挿入しやすくするために、面取部105a、110a、115a及び120aがそれぞれ設けられている。端子200は、端子溝160内に位置決めされ、所望のピッチで信号トレースと係合するように離間され、所望のピッチは、一実施形態では0.8〔mm〕である。端子が0.6〔mm〕幅の場合、該端子は、隣接端子間に0.2〔mm〕の間隔を有し、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地、信号...のパターンで十対の差動信号対を約25〔mm〕に配置することができる。したがって、提供されるデータ転送速度によって、両面コネクタから約160〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ(inch of panel edge)〕以上の性能が可能である。さらに、特定の実施形態は、200+〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕を提供することができる。例えば、各信号対毎に12.5〔Gbps〕を提供する構成では、両面コネクタは、250〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕の性能を提供することができる。また、パネルエッジ1インチ当りの性能をより高めることも可能である。例えば、前述したような繰返しの接地、信号、信号パターンで0.8〔mm〕ピッチで1信号対当り30〔Gbps〕を提供するように構成されたコネクタは、約600〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕を提供することができる。したがって、特定の実施形態は、エッジパネルスペース1インチ当りの十分な性能を提供することができる。パネルエッジ1インチ当りの上記の性能は、信号トレースが占めるスペースを指し、「パネルエッジ1インチ」は、端子を支持するハウジングが占める追加のスペースを含まないことに注意されたい。
【0020】
開示されたコネクタは、また、コネクタが占めるパネルのエッジに沿ったスペース全体(例えば、総コネクタスペース1インチ当りのデータ転送速度)と比較して高い性能を提供することができる。また、使用される信号対の数によって、200+〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕を提供することもできる。例えば、図1に描かれた実施形態と類似の実施形態では、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地、信号...のパターンが使用されると仮定して(例えば、後述するような差動信号構成)、約2.3インチの全基板エッジスペースを占めるコネクタにおいて20個の差動信号対を提供することができる。信号対が約25〔Gbps〕の性能を提供する場合は、0.8〔mm〕ピッチを使用して約217〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕の性能を提供することができる。さらに、大きい方のパネルチャネル110内の14個の信号対の大きい方の部分だけが高速データ通信に使用される場合(残りの端子は、例えば、電源又はより遅いデータ速度を提供するために使用される)、1信号対当りの性能が35〔Gbps〕であれば、更に200〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕を超える性能を提供することになる。しかしながら、そのような仕様を満たす能力は、ある程度、ハウジングのサイズ及び構成、信号対の数、並びに、コネクタをパネルに固定するために使用される機構(このような機構が設けられている場合)に依存することが分かる。さらに、前述のように、特定のコネクタは、電力を伝送するため及び/又はより遅いデータ転送速度のための端子を有している。したがって、高速通信用の信号トレースを提供するために使用されるパネルの部分に基づく生の性能測定値をより容易に比較することができる。しかしながら、システム設計者にとって、総コネクタスペース1インチ当りの性能の比較は非常に価値がある。なぜなら、コネクタが望ましい全体設計を確実に提供するように他のパラメータ(電流供給能力等)を指定することができるためである。
【0021】
パネル上の信号トレースにはいくつかの異なる構成が存在するが、図4は、例示的な信号トレース構成を示す。信号トレースは、該信号トレースがピッチ38(0.8〔mm〕であるがこれに限定されない)を有する接地トレース35、信号トレース36、信号トレース36の繰返しパターンで配列される。信号トレース36は分割され、該信号トレース36の最初の導入部分36bが、信号トレース36の接触部36aから絶縁されていることが分かる。これにより、パネル30が、端子と確実に機械的係合することができ、同時に、端子及び信号トレース間で信号が伝わるときに生じるインピーダンス不連続性が減少する(したがって、システムの性能が改善される。)。
【0022】
パネル30は、該パネル30のコネクタ100への挿入しやすさを改善するために、面取部を有するリードエッジ34を有することができる。差動信号対では高度の信号性能が可能であるが、特定の用途では、比較的高レベルの性能を提供するために、単一信号線及び接地線から成る信号対も使用されることに注意されたい。さらに、コネクタ100の特定の実施形態は、より低い性能の信号伝達及び/又は給電に使用される端子を有する。例えば、図5aでは、コネクタ100は、差動信号対を提供するように構成することができるパネルチャネル110を有するが、パネルチャネル115は、端子を介して電力又はより低速の信号を提供するように構成することができる。特に、交互電源端子構成(例えば、正端子が、負端子に結合された別の正端子の隣にある負端子に結合されている...)が、2本の隣接する端子の領域が比較的小さいのでインダクタンスをより低レベルにしながら有益なレベルの電流を提供することができる。高速電流スイッチングが望ましい状況では、インダクタンスを減少させることが有効であることが分かる。したがって、単一コネクタによって信号及び電力の両方を伝達することができ、信号は高速で伝達され、電源端子は高速スイッチングにも適した交互極性構成となっている。コネクタがパネルのエッジに結合されるので、コネクタは、より高い電力レベルの伝達を可能にするために、相手方のブレード端子に結合するのに適したブレード端子等の他の端子構成を有するように構成することができる。単一コネクタに異なる形状の端子を使用することは既知であり、本明細書では更に詳しく検討しない。
【0023】
パネルチャネル120が、実質的に均一サイズの開口を提供することに注意されたい。これと異なり、コネクタ300は、パネルチャネル307と連通したチャネル305を提供するように構成されている。パネルチャネル307(並びにパネルチャネル312、317及び322)は、より厚いパネルを収容するように構成されている。肩部308で、パネルチャネル307がパネルチャネル305に結合されている。端子400は、本明細書で述べる方法でコネクタ300内に位置決めされる。
【0024】
第1及び第2のハウジング150及び150’を結合するために、結合部材170が、ハウジングを確実に一緒に保持するようにかしめ(stake )られる。図7は、熱かしめ(heat stake)された後のハウジング150’(説明のためにハウジング150は示されていない)の結合部材170を示す。ハウジング150は、結合用開口172を有し、該結合用開口172は、壁で分割されたいくつかの開口でもよく、単一の開口でもよい。これにより、端子溝160及び端子200(又は、400)が、互いに位置合せされ所定の位置に固定される。
【0025】
図8から分かるように、ハウジング150は、第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する。同様に、ハウジング150’は、第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する。図に示したように、端子溝160は、第1の主面上にあり、第1の側面及び第2の側面間に延在する。ハウジング150’は同様に構成される。端子溝160が、第1の側面及び第3の側面間の全距離と等しい距離に亘って延在するように描かれているが、代替実施形態では、端子溝は、第1及び第3の側面間の全距離より短い距離に亘って延在することに注意されたい。さらに、端子が端子溝の全長に亘って延在していなくてもよいことに注意されたい。
【0026】
図9〜11は、端子溝160の一実施形態に関する追加の詳細を示す。描かれたように、端子溝160は、側壁162を有するかしめ部分164を有する。端子溝160は、さらに、該端子溝160内に位置決めされた端子を案内することができる追加の側壁161を有する。したがって、描かれたように、かしめ部分164は、端子200を端子溝160内に固定するのを助ける側壁を提供する。図9に描かれたように、連続的な繰返し端子パターンが提供される。そのような端子パターンは、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地...のタイプの構成に適するがこれに限定されない。したがって、2本の端子200を使用して1個の信号対205を構成することができる。図11に示されたような2個の信号対の間に隙間が設けられてもよいことに注意されたい。図11は、それぞれの信号対205の間に端子2本分の間隔を空けたものを示しているが、他の配列も考えられる。例えば、端子が設けられていない2個の端子溝を組合せて単一のチャネルを構成してもよい。一実施形態では、空チャネルの幅は、信号対の間に適切な電気的分離を提供するために信号速度及び端子の設計によって変更される。
【0027】
コネクタ内の端子の信号パッドとの結合の状態によって、高性能信号伝達を提供する際に問題が生じることが明かになった。例えば、接触部234がパネル上の対応する信号トレース(例えば、図9a、15a並びに22a及びbを参照)と係合する接触点が、端子の他の場所と比べて大きいキャパシタンスを生成する傾向があり、これにより、インピーダンス不連続性が生じる。前に述べ、また後で議論するようなインピーダンス不連続性を減少させるのに役立つ一手法は、パネル上の信号トレースを分割することである。インピーダンス不連続性を減少させるのに役立つ別の特徴は、接触点でのキャパシタンスを減少させることであり、これは、誘電率の局部的低減によって達成することができる。誘電率の局部的低減によって、生じる不連続性が減少し、これにより、関連したSパラメータの反射減衰量及び高速挿入損を改善することができる。
【0028】
図9a及び9bは、この例では結合面の領域内に描かれた例示的な局部的誘電率低減を実現する一実施形態を示す。端子200が、パネル上の信号トレース(例えば、パッド)と係合するようにハウジング150内に位置決めされている。図9aでは、端子は撓(たわ)んだ状態(接触部がパネルの表面のパッドと係合したときに撓む)で描かれていることが分かる。したがって、パネルエッジ及びコネクタが結合されたときにパネルの表面が端子を撓ませる。これに対し、図9bは、撓んでいない状態の端子を示す。したがって、その違いは、コネクタがパネルと結合した際に端子が撓む距離の例示的な実施形態を示す。相手方のパネルの公差が、所望の撓みレベルに影響を及ぼす可能性が高いことが分かる。
【0029】
本明細書で議論するように、端子200(描きやすいように1本だけが示されている)は、端子溝160内に位置決めされる。端子200がパネルと係合するとき、端子溝160は、端子200が所望の信号トレースと接触するように位置合せされた状態を維持するのに役立つ。したがって、側壁161(端子200の両側に位置決めされる)は、端子200が意図された位置の左又は右に撓むのを防ぐ。端子と信号トレースとの間の接続部での誘電率を小さくするため、切欠き291が設けられる。該切欠き291は、縁292、縁293及び縁294から構成されるように描かれており、接触点の近くに位置決めされてもよい。描かれたように、例えば、切欠き291が接触点の両側において延在することができるように、接触点の両側に縁292及び縁294が位置決めされる。切欠き291は、端子の周りの材料に生じる誘電率を変化させ、したがって、キャパシタンス(及び局部的誘電率)を減少させる働きをする。したがって、局部的誘電率変化部290(切欠き291によって提供され、端子が信号トレースと係合する接触点と位置合せされる)が、望ましい局部的誘電率低減を提供する。
【0030】
他で述べるように、端子200の端232は、端232’を形成するように切詰められる。設置の際に端子200が所望の場所に確実に留まるのを支援するために、先端を切詰めた端232’及び切欠き291は、先端を切詰めた端232’が縁292を越えて延在するように配置され得る。これは、切欠き291が局部的誘電率変化部290を提供することを可能にし、コネクタの性能を改善すると同時に信頼性の高いコネクタインターフェイスを確保するのに役立つ。
【0031】
切欠き291は、特定の形状を有するように示されているが、局部的誘電率変化部290を最適化し又は修正するために他の形状を提供することもできることに注意されたい。したがって、チャネルの局部的誘電率変化部290は、端子及びパネル上の対応するトレース間の接続部で所望のキャパシタンス及び対応するインピーダンスを提供するように構成される。
【0032】
図10aは、コネクタに組込まれる別の特徴形状部を示す。詳細には、示された実施形態は、端子溝160に沿って延在する側壁161に設けられたギャップ161aを示す。一実施形態では、端子200は、かしめ部分164でハウジング150と接触することができるが、端子200が端子溝160の残りの部分又は端子溝の少なくとも一部分に沿ってハウジング150と接触しないように構成される。そのような実施形態では、第1のトレース181が、第1の端子200が第1のトレース181と接触するように1本の端子溝160内に位置決めされる。第2のトレース183が、第2の端子200が第2のトレース183と接触するように第2の端子溝160に提供される。第1のトレース181及び第2のトレース183間に第3のトレース182を延在させて、2本のトレース間にブリッジを提供する(また、端子間のブリッジを完成させる)ことができる。第3のトレース182が、第3の端子200が端子溝160内に位置決めされる経路を横切って延在することができるが、第3のトレース182の形状は、第3の端子と接触しないように作成されることが分かる。例えば、第3のトレース182は、ギャップ161a、すなわち、溝等のギャップ内に位置決めされるか、あるいは、第3のトレースが端子溝を横切る箇所でハウジング及び端子溝と接触しない(例えば、第3のトレースが端子溝を横切るが、端子のどれとも接触しない)ように端子が構成される。また、第3のトレース182は、第2のトレースと接触することが意図されていない端子より下側に沈むだけの構成となっている。そのような設計によって、共通トレースを含むコネクタが共通接地構造を提供することができ、該共通接地構造は、特定の構成では、(例えば、接地構造の共振周波数を高めるために構造の電気的有効長を短くすることによって)電気的利点を有することが分かる。
【0033】
第3のトレース182は、1本の端子を横切るように示されているが、どの端子も横切らず、したがって、隣接する端子を結合することができることに注意されたい。さらに、第3のトレース182は、差動対を構成する2本の端子等、多数の端子を横切ることもでき、追加のトレースを結合してもよい。さらに、第3のトレース182が少なくとも2本の他のトレースをつなげるようにするために使用されるギャップ161aが、図に示されたかしめ部分164の近く(かしめ部分164のすぐ隣り等)に位置決めされる。必須ではないが、共通トレースが、既知のめっきプラスチック処理によって形成されることに注意されたい。
【0034】
端子構成を更に詳しく説明する前に、図4及び9が、すべての端子がすべてパッドと実質的に同時に係合するように構成された端子及びパッドを示すことに注意されたい。一実施形態では、パッドの位置は、パネルにコネクタを取付ける工程で特定の端子が異なる箇所でパッドと接触するように調整される。あるいは、特定のパッドが最初に接触するように端子のうちのいくつかの端子の長さが調整される。これにより、コネクタが完全に取付けられることが保証され、また、破損しやすい回路を電気的衝撃から保護することができることが分かる。
【0035】
図12〜13bに移ると、信号対205の例示的実施形態の詳細が示される。描かれたように、信号対205は、側面結合(broadside couple)された2本の端子200を有し、各端子は、幅212及び厚さ202を有する本体210を有する。一実施形態では、脚220及び脚230の両方でその厚さが維持される。一実施形態では、端子200の断面は、その長さに沿って実質的に一定に維持され、断面のばらつきを最小にして関連する周波数の所定の割合(例えば、波長λを12で割った値、すなわち、λ/12)より大きい寸法の特徴形状部の変化を防ぐことができ、ここで、λは、所望のデータ転送速度と関連する周波数に基づく。特徴形状部の粒度については、以下に更に述べる。端子200は、パネルの厚さの違いに対応するために必要な撓みに対応するように構成され、脚220は、第1の部分221を介して本体210に結合された接触部224(ここから先端222が延在する)を有する。先端が所定の割合より多く延在するが、回路基板の接地平面までの距離を修正したり局部的誘電率を調整するなどの他の特徴を使用して、本問題にある程度対応することができることに注意されたい。脚220は、さらに、接触部を第1の部分221に結合する第1のアーム225、第1の屈曲部226、第2のアーム227及び第2の屈曲部228を有する。同様に、脚230は、第1のアーム235、第1の屈曲部236、第2のアーム237及び第2の屈曲部238によって第1の部分231に結合された接触部234を有する。
【0036】
端子の特徴形状部のサイズの変化を最小にしたいという一般的な望みに関して、信号対間のキャパシタンスを変化させて端子で要求される全体的なインピーダンスレベルを達成するために変化の使用が役立つことに注意されたい。したがって、(例えば、所望のピッチのために)所定の幅を有する端子の場合、ある特定の速度では、材料を追加して(例えば、一定幅の端子の高さを変化させる)端子の一領域のキャパシタンスを高めて、端子全体が所望のインピーダンスを有するようにする(例えば、キャパシタンスを高めて端子の総インピーダンスを減少させる)のに有益な場合がある。しかしながら、そのような変化によって、端子内にインピーダンス不連続性が生じる。該不連続性によってある程度の反射減衰が生じるので、そのような不連続性はそれぞれ、端子を介して伝達されている信号に関するフィルタと同等に見なすことができる。
【0037】
反射減衰量が増えるにつれて信号レベルが低下し、最終的には信号をシステム内にあるノイズと区別することができない点まで達する。さらに、反射減衰量は反射電力の測定値なので、信号電力を単純に増やすことはあまり役に立たない。さらに、特定のインピーダンス不連続性の場合の反射減衰量は、周波数が高くなるほど増える傾向がある。したがって、一般に、周波数が高くなるほど反射減衰量が増える。したがって、最高周波数で反射減衰値が許容範囲内にある場合は、もっと低い周波数でも問題がないことを期待することができる。
【0038】
所定レベルの性能(例えば、所望のデータ転送速度)に対して許容することができる端子内のインピーダンス不連続量があり、インピーダンス不連続量がそれ以下であれば、許容することができない反射減衰量によって端子が望ましい状態で機能することができなくなることはないことが明かになった。すなわち、端子は、システムによって要求される総インピーダンスレベル(例えば、100又は85〔Ω〕)を提供するルート電流経路を有する。端子が一定幅の場合(いくつかの端子設計では一般的なように)、ルート電流経路は、該ルート電流経路と関連した高さを定義する。端子の高さのルート電流経路と関連した高さからのずれが、インピーダンス不連続性を生じさせて反射減衰量を増やす可能性がありフィルタのように作用し、この影響が、端子の長さに加わる可能性がある。したがって、典型的用途では、所望のデータ転送速度は、反射減衰量が所定のdbレベルを超えるまでに許容し得る高さのずれの最大量と関連付けられる。非ゼロ復帰(NRZ:non return to zero)シグナリングに使用されているときの端子の高さのずれの許容量は、次の式によって提供することができる。
λm =(RLf )(1/Dr)(C)(1/SQRT(εeff ))。ここで、λm は、所望のデータ転送速度によって必要とされる周波数に対しての、許容し得る特徴形状部のサイズずれの合計と関連した長さであり、RLf (反射減衰量ファクタ)は、反射減衰量レベルが−10〜−12〔db〕の場合は約1/9、反射減衰量レベルが−15〜−17〔db〕の場合は約1/12、反射減衰量が−20〔db〕より良好な場合は約1/15であり、Drは、〔bps〕で表したデータ転送速度であり、Cは、真空中の光速(3×108 )であり、εeff は、コネクタの有効局部的誘電率である。
前に述べたように、一定幅の端子では、10〔Gbps〕のデータ転送速度が必要な場合、例えば、εeff が約2でRLf が1/9の場合(要求反射減衰性能が−10〜−12〔db〕の場合)、λm は約2.36〔mm〕になる(例えば、各領域の高さ変化の絶対値が加算された高さのずれが約2.36〔mm〕になる。)。データ転送速度が20〔Gbps〕のとき、λm は約1.18〔mm〕になり、30〔Gbps〕でλm は約0.79〔mm〕になる。システム感度(及び/又は製造公差)によって、RLf =1/9を使用すると十分な程度のシステムレベル公差を提供しない場合があり、したがって、より安全な設計選択は、RLf =1/12を使用することであることに注意されたい。RLf =1/12を使用すると、10〔Gbps〕のλm が約1.77〔mm〕になり、20〔Gbps〕のλm は約0.88〔mm〕になり、30〔Gbps〕のλm は約0.59〔mm〕になる。
【0039】
端子の受入れ可能なずれを測定するために、λは、特定のコネクタに必要なデータ転送速度に対応する端子内の要求信号周波数の2分の3(3/2)の波長と関連した長さとして定義することができる(例えば、λ=(1/((3/2)(1/2))Dr)(C)(1/SQRT(εeff )))。3/2の値は、端子がナイキスト周波数の3/2までの周波数で機能することができなければならないという一般的要求を考慮しており、有益な安全係数を提供する(なお、該安全係数は、必要に応じて除去又は減少されるが、そのような減少は、コネクタの生産性に影響を及ぼす場合がある。)。波長λを6で割ることによって(λ/6)、端子の領域を、該領域内の変化を使用して高さ変化を決定することができるように定義することができることが明かになった。換言すると、λ/6を使用して端子の粒度を定義することができ、これが、RLf =1/9と関連付けられる値である。λ/8を使用して領域粒度(regional granularity)(1/12のRLf 値と等しい)を定義することができ、これが、単位端子長当りより多くの(かつ、より小さな)領域を提供することに注意されたい。λ/8を使用すると反射減衰性能が高くなる(約−10〜−12〔db〕レベル反射減衰量ではなく、約−15〜−17〔db〕レベルを提供することが予想される。)。さらに、高い反射減衰性能が必要な場合は、λ/10を使用して、約−20〔db〕(又はそれを超える)程度の反射減衰性能を得るように領域粒度(1/15のRLf 値と等しい)を定義することができる。
【0040】
選択される領域粒度/領域サイズ(及び関連した性能)に関係なく、領域粒度の半分が値λm と等しく、この値は、(前に定義したような)許容し得るずれである。なぜなら、信号はずれの長さを往復するからである。領域粒度によって定義された領域内で特徴形状部の変化を決定することができる(正及び負の変化は、該変化が対応する領域内で起こる限り、本質的に打消し合う。)。領域内の変化を加算した後で各領域内の変化の合計の絶対値を合計して、反射減衰量が約−10〜−12〔db〕の場合に全体的なずれがλ/12(又は、約−15〜−17〔db〕の反射減衰性能を必要とする場合にはλ/16)未満か否かを判定することができる。一実施形態では、領域の数がn個の場合(領域数(n)は端子の長さを領域粒度で割ることによって(例えば、端子の長さを(λ/6)で割ることによって)決定される)、局部的サイズ変化Rs(n)(例えば、領域内の高さの変化)がλ/12>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。代替実施形態では、領域の数がn個の場合、局部的サイズ変化Rs(n)がλ/16>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。代替実施形態では、領域の数がn個の場合、局部的サイズ変化Rs(n)がλ/20>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。
【0041】
前述のように、ある領域におけるルート電流経路に関しての材料の追加によって、同じ領域におけるルート電流経路に関しての材料の減少を相殺することができる。一方、複数領域を横切って延在する特徴形状部は2度数えられる。したがって、複数領域の長さを超える拡張バンプは、2個のバンプ(各領域について1個)としてカウントして、拡張されたずれの全影響を考慮することができる。また、領域の境界はある程度任意的なもので、ある領域の境界に現れる特徴形状部は、該特徴形状部が領域によって定義された距離より長く延在しない限り2度カウントしてはならないことに注意されたい。換言すると、高さの変化が、選択された領域と関連する距離の範囲内で実質的に相殺される場合は、ずれの最終的合計にずれを含める必要はない。したがって、特徴形状部の変更又は修正(前述したような局部的誘電率低減量の調整等)を特定の特徴形状部に適用することができ、それにより変化の影響を小さくすることができる。しかしながら、そのような修正は、一般に、画定された領域内に含まれていなければならず、そうでないと修正として役立たなくなり、その代わりにずれの総許容量に影響を及ぼす追加の変化と見なされることになる。
【0042】
上記の考察から分かるように、データ転送速度を高めると領域のサイズが小さくなり、許容し得るずれも小さくなる。したがって、実質的に第1の周波数に対しては平衡する特徴形状部は、その2倍の周波数では、全体のずれの量に含めなければならない個別の偏差として働くであろう。その結果、データ転送速度を高めることがより困難になる。なぜなら、特徴形状部の変化をより小さく維持する必要があると同時に修正部をより近くに位置決めしなければならず、そうでないと、特徴形状部及び修正部は、ずれの総許容量にとって不利になる個別のずれになるだけである。しかしながら、提供されたガイドラインを使用することによって、十分な信号レベルを提供しながら所望のデータ転送速度の目標を達成することができるコネクタの設計が可能になる。
【0043】
例えば、図26を観ると、85〔Ω〕のインピーダンスを有するシステムに使用することができる端子1000の設計が提供され、端子1000は、多数の特徴形状部の変化を有する。コネクタの長さが、端子1000が(所望の反射減衰性能に応じて)λ/6又はλ/8で割られたときに4個の領域を有するようなものである場合、例えば、領域1100a内で特徴形状部を使用してルート電流経路と比べて領域内のずれを平均化することができる。この平均化された変化は、Rs(1100a)になり、このずれの絶対値を他の領域1100b〜1100d内のずれの絶対値に加えて、全体的なずれがλ/12(又は、λ/8を使用して領域サイズを決定した場合はλ/16)より小さいか否かを判定する。しかしながら、2倍のデータ転送速度を必要とする場合は、許容可能なずれの量が半分になり、領域の数が増え、1領域当りの変化量の合計が増えることが予想され、全体のずれが、割合としては、2倍を超える可能性がある。換言すると、10〔Gbps〕でのずれは、許容し得るずれの50〔%〕と等しい可能性があるが、20〔Gbps〕では、許容し得るずれの100〔%〕を超える。
【0044】
図13bは、厚さが異なる2枚のパネルを収容するように構成されたコネクタで使用される端子400の一実施形態を示す。両方の端子200及び400の本体210は同じであり、端子200及び400の他のほとんどの部分も同じである。したがって、描かれたように、脚240の先端242、接触部244、第1のアーム245、第1の屈曲部246、第2のアーム247、第2の屈曲部248及び第1の部分241は、脚230の対応する特徴形状部と同じである。同様に、脚250の先端252、接触部254、第1のアーム255、第1の屈曲部256及び第2のアーム257は、脚250の対応する特徴形状部と同じである。しかしながら、端子が収容するパネルの寸法差を考慮するために、脚250の第2の屈曲部258及び第1の部分251は、脚220の対応する特徴形状部と異なる。脚の形状の類似性は必要ないが、該類似性によって、特定の用途に対する特定の端子の適応性の検査及び証明が容易になる。なぜなら、ほとんどの端子が同じで、かつ、異なるパネルの厚さを考慮するために第2の屈曲部及び第1の部分だけを変更すればよいからである。
【0045】
図14a及び14bは、脚230の2個の実施形態を示す。描かれた脚230の設計は両方とも、本体210から延在する第1の部分231を有することが分かる。接触部234及び第1の部分間にある第1のアーム235、第1の屈曲部236、第2のアーム237及び第2の屈曲部238は同じである。しかしながら、図14bは、端232と比較して切詰められた端232’を示す。端232は、パネル上の信号トレースと適切で安定した結合を保証するために使用される。しかしながら、端232を切詰めることは、取付の機械的問題を引起こす可能性があるが、端子の信号特性を改善するのに有益であり、より高性能の信号経路を提供するために使用することができることが明かになった。したがって、接触部234の接点から端232’までの距離を短くすることは、インピーダンス不連続性を減少させ、したがって、反射減衰量を減少させるので(相対的信号レベルを効果的に高める)、性能を大幅に高める可能性がある。端子溝の側壁は、端子溝160に対して横方向の端子の撓みを減少させるのに役立つように端子を拘束する働きもすることができる。
【0046】
図15a〜15cは、端子が2枚のパネル上の信号経路にどのように結合するかを示す。図15bは、片面接続を示し、図15cは、厚さが異なる2枚のパネル間の両面接続を示すことが分かる。厚さが異なる2枚のパネル間の片面接続も考えられる。両面接続がある実施形態では、コネクタの同一面性によって、両面に同じ端子を使用することができ、それにより、第2の面のための別個の端子を設計することなく安定した性能が可能になる。これは、コネクタ設計のコストを大幅に削減する可能性があり、必要に応じて同一パネルのスペース内に付加信号経路を追加することができるという融通性をパネルの設計者に提供することができる。
【0047】
図16及び17は、厚さが異なる2枚のパネルに連結されるように構成されたハウジング350の追加の詳細を示す。該ハウジング350の端子チャネル360に1本の端子400だけが位置決めされているように示されているが、(端子チャネルの数によって制限される)任意の数の端子が、ハウジング350によって支持され、かしめ部分364により適所にかしめ固定される。描かれたように、ハウジング350は、該ハウジング350が対応するハウジングに接合(結合開口372を使用して接合)されるときに形成される2個の厚さが異なるパネルチャネルを結合するための肩部308及び308’を有する。描かれたハウジング350は、また、コネクタ開口340として示されたロック用の特徴形状部を有する。
【0048】
端子は、100〔Ω〕等の特定のインピーダンスレベルを提供するように形成することができることが分かる。また、85〔Ω〕等の異なるインピーダンスレベルに適した変形した端子を提供することもできる。様々な通信速度のシステムにおいて適切な応答に提供するために、代替の85〔Ω〕のインピーダンスを様々な粒度レベルで達成することができる。図18a及び18bは、重要な機械ばね部分を維持し、端子の固定された部分だけでキャパシタンスを増加させて改良した端子の例示的実施形態を示す。このタイプの端子は、本体510と脚520及び530との間の特徴形状部のサイズの変化が大きいので、粒度が荒くなり、一般に約12〔Gbps〕以下の速度に制限される可能性が高い。本体510のサイズを小さくし、かつ、端子上の他の場所に追加の特徴形状部を追加して所望の総インピーダンスを提供する設計は、特徴形状部のサイズの変化の数の増加が、特徴形状部のサイズの変化の減少によって十分に相殺される場合に、より高速で使用される可能性がある。説明のために単一端子を示したが、信号対は、前述のような側面結合された端子対から構成される。
【0049】
一実施形態では、脚520は、脚220と同じ形状である。したがって、接触部524、第1のアーム525、第1の屈曲部526、第2のアーム527及び第2の屈曲部528を有する第1の部分521から先端522までの部分は、脚220の対応する特徴形状部と同じである。しかしながら、本体510の幅512は、本体210の幅212と異なる。幅の増加によって、本体部分のインピーダンスを所望の85〔Ω〕まで減少させる。脚部分のインピーダンスに対処するために、(パネルの材料特性や信号トレースの接地平面までの距離の変化等によって)パネル上の信号トレースのキャパシタンスが増加される。本体部分のインピーダンスを変化させると、信号対の全体の性能を損う傾向があるが、信号トレースのキャパシタンスを大きくすると、本体のインピーダンスの変化によって生じる影響の一部分が無効になる傾向があり、これにより、必要な性能の大部分を維持することができることに注意されたい。したがって、第1の性能目標を100〔Ω〕のインピーダンスで達成するように構成されたコネクタを変更して(例えば、特定の場所の高さを高くすることによって)、85〔Ω〕で第2の性能目標をわずかな性能低下だけで達成することは容易である。さらに、コネクタが、100〔Ω〕で十分な性能余裕を有する場合は、変更されたコネクタは、端子全体を設計し直すことなく85〔Ω〕でその同じ性能目標を容易に達成することができる。端子設計の他の実施形態では、容量性負荷(loading )及びそれによるインピーダンス不連続性が、端子の長さ全体によって均一に分散されて負荷特徴形状部の粒度を減少させ、それにより、端子の平滑性及び有効上限通信速度が高まる。
【0050】
図19a〜20bは、端子チャネル内に端子を固定するために使用される追加の特徴形状部を示す。詳細には、端子チャネル750は、実質的に該端子チャネル750に沿って延在する床面751を有する。端子700は、床面751に支持されるように端子チャネル750内に位置決めされる。描かれたように、第1の側壁753及び第2の側壁757は、端子チャネル750を構成する構造の一部分を提供する。端子750を適切な位置に更に固定するために、側壁突起754及び755が、かしめ部分740の両側において端子チャネル750内に延在する。この構成の利点は、かしめ部分740をかしめて端子700を適所に保持することができるまで、かしめ部分740の側壁741に隣接して適切な位置に比較的確実な方法で端子を維持することができることである。図に示されたように、互いに対向する2個の側壁突起754及び2個の側壁突起755があり、これらの突起754及び755は、端子が適所にかしめられるまで該端子を適切な位置に保持するために使用される摩擦嵌(はめ)合いを提供する。他の数の側壁突起が使用されてもよい。例えば、片側の側壁突起が使用されてもよいが、そのような構成は、端子チャネル750内の端子の位置を偏らせることになる。したがって、描かれた構成の利点は、チャネルの側面の方への端子の偏りを最小にすることができることである。
【0051】
したがって、図19a〜20bは、コネクタハウジング内に端子を固定するために使用することができる特徴形状部を示す。端子を適所に固定する他の方法も使用することができることに注意されたい。例えば、端子位置保証方法が使用されてもよい。一実施形態(図示せず)では、端子の本体と係合しハウジングに固定するインサートを使用することができる。他の実施形態では、端子は、ハウジングに取付けられる1枚以上のウェハを形成するように、1個以上のフレーム内に位置決めされてもよい。したがって、端子をハウジングに取付けるいくつかの可能な方法が存在し、これらを使用することができる。したがって、特に断らない限り、本開示は、この点において限定的であることを意図しない。
【0052】
所望の機能を提供するために前述の様々な特徴を組合せて使用されることに注意されたい。要求レベルが高くなるほど性能レベルを高めることが困難になり、したがって、高い性能レベルを実現するには、より高い性能レベルを達成する本明細書に開示された特徴の多く又はすべてが必要になるであろう。コネクタは、2枚のパネルを有するシステムの一部であることに注意されたい。パネル設計が不適切だと、適切に設計されたコネクタでも、システムレベルで高い性能レベルを達成することができなくなることが分かる。したがって、性能レベルの以下の説明は、図22及び23に示され後で述べるような、ビアインパッド(via-in-pad)技術を使用する分割パッド構造の使用を仮定する。当然ながら、コネクタの改良を使用して、もっと低い性能のパネルの性能を補うことができ、以下に述べる性能と端子設計との関連付けは、そのようなすべての可能性に応えるものではないが、その代わりに、当業者が、開示された性能レベルを提供することができるシステムを理解することができるように提供される。換言すると、適切に設計されたコネクタは、実際の処理能力が下記の性能レベルに達することができなかったシステムでコネクタが最終的に使用される場合でも、所望の性能レベルを提供するように構成されるであろう。
【0053】
例えば、端子の全長に沿って図13aに示した実質的に一定の断面を有するか、(前述のような)λ/6>Σ|Rs(n)|等の関係を可能にする他の構成を有する図12に示す端子の設計は、差動対形状を構成する側面結合の使用と組合せることによって、所望のデータ転送速度性能レベルに適したコネクタを提供することができる。テール部のサイズは、領域内のずれに大きな影響を及ぼし、したがって、局部的誘電率変化部の使用は、差動信号対の性能を15〔Gbps〕性能レベルより高めるのに十分であることが分かる。特に、そのようなコネクタは、将来の信号伝達についての標準のために必要とされる少なくとも17〔Gbps〕を実現することができる。信号対として使用される隣接する端子の端子形状の許容範囲及び位置がより厳密に整合されるほど、より高い性能レベルが可能になることに注意されたい。さらに、先端を切ったテール部を使用することによって、性能が更に改善され、反射減衰量が最も著しく改善され、性能レベルが25〔Gbps〕以上に高まる。
【0054】
この点において、より細かい電気的粒度を示し、かつ、接触点より少しだけ突出するテール部を有する先端を切った端子設計は、比較的高い性能レベルを達成することができることが分かった。例えば、1.2〔mm〕のテール拡張部を有する端子は、局部的誘電率変化部を使用することによって15〜20〔Gbps〕の性能レベルを達成することができる。しかしながら、0.8〔mm〕のテール拡張部を有し(局部的誘電率変化部によってインピーダンス不連続性を相殺することができる)、かつ、他の箇所では比較的一定の高さを有する端子は、20〜30〔Gbps〕以上のレベルを達成するのに適している。必要な性能レベルが高くなるほど、パネルの設計は、所望の性能レベルに適合するように構成されなければならないことに注意されたい。そうでなければ、コネクタは、所望の性能レベルを提供するように構成されるが、システムの性能はより制限される。
【0055】
したがって、図に示されたコネクタの設計は、2枚のパネルの厚さが異なっている場合でも、コネクタの実施形態を2枚のパネルのエッジ上で摺(しゅう)動させて適所に容易に取付けることを可能にする。したがって、特定の実施形態は、コエッジ型のコネクタから現在得られるものよりも、高い柔軟性、使いやすさ及び性能を提供する。
【0056】
一実施形態では、コネクタが、接続されたパネルを横切る空気流の抵抗を最小にするように低プロファイルを有することができることに注意されたい。例えば、一実施形態では、コネクタは、パネルから約3.2〜約4.9〔mm〕突出する。コネクタが、リベットや他の低プロファイル取付システムによってパネルに固定された場合、このオフセットが総オフセットとなる(したがって、比較的低いプロファイルを提供する。)。必要に応じて、コネクタをパネルに固定するのに他の取付具を使用することができる。一実施形態では、空気流を更に減少させるためにコネクタのエッジにテーパが付けられることに注意されたい。したがって、特定の実施形態は、システムが適切に冷却されることを保証するためにコネクタ上の空気流が重要となる高性能環境で機能するように十分に適合される。
【0057】
前述のコエッジ型のコネクタは、2枚の同一平面上のパネル間で十分な性能を提供するのに適している。しかしながら、エッジコネクタの特定の実施形態は、角度付コネクタを提供するように構成される。そのようなコネクタは、やはり2枚の異なるパネルのエッジに取付けられ、違いは、パネルが互いに、例えば90度の角度で構成されることである。したがって、端子は、所望の角度を提供するように構成されなければならない。これは、端子を作成する屈曲部の長さ及び/又は方向を変化させることによって達成することができる。例えば、図13aに戻ると、第1の部分221は、本体210まで同じ角度で延在してもよいが、90度コネクタを提供するために、下方ではなく上方に向けられ、第2の屈曲部228の長さが長くされる。しかしながら、コネクタの同じ側の端子は、前述のように隣接する端子と整合され位置合せされる。
【0058】
例えば、図21は、パネル20のエッジをパネル30’のエッジと結合するように構成された角度付コネクタ800を示す。該コネクタ800は片面でも両面でもよいが、共面設計との1個の違いは、両面角度付コネクタでは、コネクタトレースの両面上の2本の端子が、信号トレース間で物理的に同じであってはならないことである。例えば、図21の端子900は、該端子900が他の端子よりも移動する経路が短いので、パネルの反対側の端子と同じではない。より長い経路を有する端子があると仮定すると、より長い経路を有する端子は、コネクタの両側で同じ速度を使用しようとした場合の限定要素になることが予想される。このタイプのコネクタの使用は、関連する信号伝達電子回路が、チャネル間に現れるスキュー差(skew difference )に関して頑強なシステムで使用するように意図される。特に、個別の信号伝送チャネルが、側面結合され、完全に長い経路長か短い経路長で含まれるので、それぞれの個別のチャネルは、本質的にスキューが釣合される。それにより、チャネル内スキューは、設計によって常に最小にされる。さらに、コネクタの各側で異なる速度が使用されてもよい。また、各側が異なる目的に使用されてもよい。例えば、一方の側が、電力の提供と組合せて低性能データ通信を提供してもよく、他方の側が、高性能データ通信を提供してもよい。
【0059】
前述のように、パネルの性能及び設計は、パネル設計がコネクタの実際の構成に必ずしも影響を及ぼさない場合でも、コネクタがシステムレベルでどれだけうまく動作するかに影響を及ぼすことになる。一実施形態では、パネルは、図22a及び22b、又は、図23a及び23bに示されたように構成される。図22a及び22bは、シングルエンド形信号対を介して通信するように構成されたパネル900aの例示的な実施形態の概略に関し、図23a及び23bは、差動信号対を介して通信するように構成されたパネル900bの概略を示すことが分かる。
【0060】
最初に図22a及び22bを観ると、シングルエンド形システムと使用するのに適した回路基板(パネルの例)の一実施形態が示される。パネル900aは、第1の層を構成するパッドを支持する面904aに至る傾斜部901を有する。この点において、回路基板の反りを最小にするために、回路基板が中心経路(center access )に関して対称になるように構成されることが好ましいことが一般的に知られている。したがって、パネルが回路基板の用途では、対称的設計を有することが有用であろう。したがって、面904a上の特徴形状部は、面904b上に複製される。図23a〜25に描かれた他の回路基板設計でも、類似の構造が使用されている。開示されたコネクタの特定の特徴形状部は、この対称性を利用するように十分に適していることが分かる。
【0061】
パネル900aは、接地パッド905の次に信号パッド910を有するパッドパターンを有する。このパターンは繰返され、次に、追加の接地パッドが追加される。したがって、描かれた信号パッド910は、接地パッド905によって取囲まれる。
【0062】
接地パッド905は、L1層(パッドが存在する)及び接地平面902が配置されたL3層間に延在する接地パッド905内に配置されたビア907を有する(この構成は、ビアインパッドとして知られる。)。接地パッド905は、さらに、該接地パッド905から表面接地平面930(やはりL1層上にある)まで延在するトレース908を有する。
【0063】
信号パッド910は、分離パッド設計であり、リード部分912及び寸法940を有する接触部914を有し、この2つの部分は、距離が約0.2〔mm〕である隙間942によって分離された2個の部分を有する。分離パッド設計を含まない設計では、信号パッド及び接地平面間のキャパシタンスによって、インピーダンスが望ましくないレベルまで減少する傾向がある。したがって、接地平面902は、一般に、パッドの端まで延在しないように構成される。しかしながら、この非遮蔽(へい)領域は、大きなクロストークを許容する。しかしながら、信号パッド910の分離パッド設計は、キャパシタンスを減少させる。したがって、接地平面902は、パッドのエッジまで延在し、したがって、クロストークを減少させるのに役立つ。
【0064】
ビアインパッド設計は、性能も改善する。信号パッドと関連して一般的に使用される外側ビアは、一般に、単一トレースを介してパッドに結合される。そのような外側ビアは、ビアインパッド設計と比較したときにより大きい境界インダクタンスを有することが明かになった。この様相は、経路インダクタンスを高めるパッド及びビア間のトレースによって更に複雑になる。したがって、応答帯域幅は、ビアが信号パッドの外側にあるパネルではかなり減少する。
【0065】
図23a及び23bは、パッドが接地、信号、信号、接地のパターンで配列されている点を除き、パネル900aの構造と類似の構造を有するパネル900bを示す。そのようなパターンは、一般に、差動信号対構成で使用され、しばしば所望のインピーダンスを提供するように構成される。しかしながら、接地平面902をパッドに近付けることによってインピーダンス値を修正することができる。したがって、L1及びL3間の距離の相違がある類似の設計を使用して、インピーダンスの相違を提供することができる。
【0066】
図23a〜23bに描かれたパネルの設計は、既知の最良実施例を使用する回路基板構成であり、高速通信を提供するシステムを提供するために本明細書に描かれたコネクタと使用するのに適したパネルを提供するはずである。描かれたコエッジ型のコネクタは、そのようなパネル設計を必要としないが、パネルの代替構造を使用するシステムの性能を改善するのに役立つことが分かる。しかしながら、十分に最適化されないパネル構成が使用される場合は、システム全体の性能は低下するであろう。
【0067】
前述のように、前述の端子テール部スタブ長や他の要素によっては、図23に示された回路基板として構成されたパネルにより20〜30〔Gbps〕の性能レベルを達成するようにコネクタに対する改良が可能である。しかしながら、システムレベルでは、更なる性能も利用可能な場合がある。この追加の性能を提供するために、パネル設計に対して特定の変更を行うことが有益であろう。
【0068】
例えば、図24を観ると、システムの性能を改善するために単独又は組合せで使用することができるいくつかの特徴形状部が開示される。最初に、分離パッド信号パッド設計を観ると、接触部914の信号パッド寸法940は、寸法940a(例えば、1.6〔mm〕)から940b(例えば、1.2〔mm〕)、940c(例えば、0.9〔mm〕)へと小さくされる。寸法940を小さくすると、取付ける際の端子200の標的が小さくなり、したがって、許容範囲の観点から使いにくくなることが分かる。しかしながら、そのような短縮によって性能が著しく改善され、したがって、高速が望ましいシステムでは、そのような構成が有益であることが明かになった。さらに、約0.9〔mm〕の寸法940は、コネクタ及びパネル間の結合面の大きな設計変更なしに維持可能であると考えられる。
【0069】
さらに、接地パッド905内の追加のビアインパッド906を使用して接地構造を改善し共振を減少させることができることが明かになった。さらに、インダクタンスを減少させるために、トレース908が二重トレース909と置換えられてもよい。したがって、信号パッド910の接触部914のサイズを小さくすることによって、接地、信号、信号、接地のパネル構成を強化することができる。同様に、接地平面930及びパッド905間に二重トレース909を使用し、また、ビアインパッド906を使用することによって、接地パッド905の性能を高めることができる。
【0070】
さらに、必要に応じてパッド構造の他の変形を使用してもよいことに注意されたい。例えば、シングルエンド形システムは、信号端子を互いに絶縁しやすいように、接地、接地、信号、接地、接地の繰返しパターン(図25に示したような)を有する。接地パッドは、さらに、二重トレース909だけでなくビアインパッド906を有することができる。そのようなパネルは、そのような通信構成が必要な場合にシングルエンド形システムから極めて高い性能を提供することができる。
【0071】
さらに、パネルは、接地、信号、信号、接地パターンの代わりに、信号、信号、スペース、信号、信号パターンを提供する差動信号対のために構成されてもよい。
【0072】
本明細書では片面コネクタ及び両面コネクタを開示したが、片面にトレースを有するパネルに両面コネクタが使用されてもよいことに注意されたい。実際には、第2の面の端子は、従順部材の役割をし、挿入されたパネルをコネクタのハウジングに対して所望の位置に付勢することができる。代替実施形態では、コネクタは片面でもよく、パネル厚の寸法公差は片面の端子によって対処することができる。例えば、第1の部分221及び接触部224間に2個の屈曲部226及び228を有する図に示された端子200は、コネクタが片面だけに端子を有する場合でも、該端子がパネル上の信号トレースと十分に係合することを保証しながらパネル厚の変化に対処するのに適している。しかしながら、端子200を端子溝160に異なる形態で嵌込むことが好ましく(端子が着座する箇所の床面を隆起させることができる)、あるいは、他の端子がないことを考慮してコネクタの反対側を変更することができることが分かる。別の代替実施形態では、端子以外の付勢部材を使用して、コネクタ及びパネルエッジを互いに位置決めするのを支援してもよい。例えば、ハウジングによって支持された従順なプラスチック部材が特定の用途に適している。しかしながら、パネルが両面に接点を有すると仮定すると、両面に端子を有するコネクタを使用する利点は、所望のデータ転送速度で通信するために必要なパネルの離間量を小さくすることができることである。
【0073】
別々に開示された要素の組合せ並びに種々の構成要素の形状の修正を含む、当業者であれば容易に分かる前述の実施形態の多数の修正及び組合せがあることを理解されよう。そのような変更及び/又は組合せは、本発明が関係する当該技術分野の範囲内にあり、また特許請求の範囲内にあることを意図するものである。さらに、請求内での単数要素の使用は、そのような要素を1個以上使用する場合を含むものであることに注意されたい。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年3月4日に出願された仮出願番号第61/068,019号に基づく優先権を主張するものであり、この仮出願を本出願の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、一般に、第1のパネルのエッジに隣接したトレースから第2のパネルのエッジに隣接したトレースに信号を伝えるのに有用なコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)等のパネルは、一般に、部品を支持し、かつ、パネル上に取付けられた部品間の信号転送を容易にするために使用される。例えば、中央処理装置(CPU)等の処理装置をマザーボード(PCBの一例)に取付けることができ、CPUは、サーバ等のコンピュータの処理中枢部として使用され、メモリモジュールや通信モジュール等に結合される。したがって、CPUは、一般的な処理部品になる傾向があるが、単一パネル上で複数のプロセッサを含む複数の部品を組合せて部品を相互に通信させることも比較的に一般的である。メモリモジュールや通信モジュール等の他のタイプの構成要素モジュールも、パネル上に配置され相互に通信可能な状態にされるであろう。用途によっては、パネル上の構成要素モジュールは、様々なタイプの構成要素を適切な構造的構成で組合せることによって広範囲のニーズに応えるように設計することができる。
【0004】
しかしながら、技術の進歩が比較的早いので、アップグレードすることができる設計を有することがしばしば有益である。さらに、相互に通信する状態にある部品をカスタマイズする能力を顧客に提供することが有益な場合が多い。したがって、顧客要求に基づいてパネルに追加部品を結合することができるように、パネル上にコネクタ(アダプタと呼ばれることもある)を設ける場合がある。2枚のパネル上の信号トレースに結合された部品が互いに通信することができるようにするために、コネクタを用いて、一方のパネル上の信号トレースを別のパネル上の信号トレースに接続する。コネクタの使用によって、顧客要求に基づいて改良することができる基本パネル設計が可能となる。実際には、コネクタは、第1組の部品を有する第1のパネルを第2組の部品を有する第2のパネルに結合することを可能にする。コンピュータの世界では、例えば、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)は、第1のパネル(例えば、マザーボード)上に1個以上のプロセッサを有する可能性がある。第1のパネルは、いくつかのコネクタを支持することができ、そのうちのいくつかのコネクタは、メモリモジュールを有するパネルを受入れるように設計されており、他のコネクタは、追加のプロセッサを支持するパネルを受入れるように設計されている。したがって、顧客は、どれだけの性能を望むかを決定し、適切なパネル(所望の部品を有する。)を選択しコネクタに取付けることができる。この方法は、既存の部品と通信させた場合に利益を提供する種々様々な部品、基本的には任意のタイプの部品、で使用することができる。
【0005】
所望の融通性を提供する一解決策は、コネクタをパネルに取付けて、それをすべての顧客に出荷することである。これは、融通性のある構成を提供するという観点からは有効であるが、基本パネル上にコネクタを設けることによって、追加部品を加えることを望まない消費者にとってコストが高くなる。この追加費用は、コネクタの性能及びコストが高くなるほど問題が大きくなる。したがって、追加パネル(及び関連部品)が追加されるときに追加することができるコネクタを提供することが有益になる。ある特定のそのような利益を提供することができる既存の設計には、コエッジ型のコネクタ(co-edge connector )として知られるものがある。しかしながら、既存のコエッジ型のコネクタ設計は、異なるサイズのパネルを都合よく結合するのにあまり適していない。したがって、そのようなコエッジ型のコネクタの設計の更なる改良が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コエッジ型のコネクタは、2枚の異なるパネル上の信号トレース間に信号経路を提供するために使用される。更に他の一問題は、コエッジ型のコネクタと結合されたパネルに取付けられた部品の性能が高くなるほど、2枚のパネル上の部品間の通信速度も速くならなければならないことである。したがって、例えば、第1のパネル上の高性能モジュールのシステムに高性能モジュールを有する第2のパネルを追加することは、2枚のパネル上の部品が効率的に通信することができない場合にはあまり有益でない。これに対処する一方法は、第1のパネル及び第2のパネル間の信号経路(一般に、データ転送速度が高いので差動信号対である。)の数を増やすことである。そのような手法の問題は、それぞれの付加信号経路がパネル上で占めるスペースが多くなるということである。したがって、特定の用途では、各信号経路でより高速の通信性能を提供することができるコエッジ型のコネクタがあると有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エッジコネクタが提供される。コネクタは、対にされた端子を備えたハウジングを有し、この端子は、第1のパネル及び第2のパネル上の一対以上の信号トレースと係合し第1及び第2のパネル上の信号トレース間で信号を転送するように構成されている。コネクタは、コネクタを第1及び/又は第2のパネルに固定するロック用特徴形状部を備えてもよい。コネクタの設計は、1信号対当りの高速データ通信を促進することができる。同一平面構成のためにコネクタの特定の構成が使用されてもよい。該特定の構成は、厚さが異なるパネルを結合することができる。
【0008】
本発明は、添付の図面に例として示されているがこれに限定されるものではない。なお、添付の図面において類似の参照符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】2枚の寸法的に類似のパネルに取付けられたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図1b】図1aに示された実施形態の側面図である。
【図1c】2枚の寸法的に類似のパネルに取付けられたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図1d】図1cに示された実施形態の側面図である。
【図2】例示的なパネル及びコネクタ組立体の斜視部分分解図である。
【図3a】コネクタの両面に端子位置を有するコネクタの一実施形態の断面図である。
【図3b】コネクタの片面に端子位置を有する図3aに示された実施形態の断面図である。
【図4】パネルエッジの部分斜視図である。
【図5a】同じ厚さの2枚のパネルを結合するように構成されたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図5b】それぞれ異なる厚さを有する2枚のパネルを結合するように構成されたコネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図6】図5aに描かれたコネクタの例示的実施形態の別の斜視図である。
【図7】図6に描かれたコネクタの一部分を有する第1のハウジングの斜視図である。
【図8】図6に描かれたコネクタの部分斜視図である。
【図9】図8に描かれた部分コネクタの拡大図である。
【図9a】2枚のパネルに結合されたコネクタの一実施形態の断面斜視図である。
【図9b】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの一実施形態の断面斜視図である。
【図10】図9に描かれた部分コネクタの別の斜視図である。
【図10a】部分コネクタの例示的実施形態の斜視図である。
【図11】端子が除去された状態の例示的コネクタの部分斜視図である。
【図12】信号対の例示的実施形態の斜視図である。
【図13a】図12に描かれた端子の側面図である。
【図13b】厚さが異なる2枚のパネルを結合するように構成された端子の一実施形態の側面図である。
【図14a】端子脚の例示的実施形態の側面図である。
【図14b】修正された先端を有する端子脚の例示的実施形態の側面図である。
【図15a】端子によって2面で結合された2枚のパネルの単純化した側面図である。
【図15b】端子によって1面で結合された2枚のパネルの単純化された側面図である。
【図15c】端子によって2面で結合された異なる厚さを有する2枚のパネルの単純化された側面図である。
【図16】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図17】図16に描かれた実施形態の拡大図である。
【図18a】端子の例示的実施形態の斜視図である。
【図18b】図18aに描かれた端子の側面図である。
【図19a】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図19b】図19aに描かれた実施形態のaa部の拡大図である。
【図19c】図19bのbb部の線に沿って観た斜視図である。
【図20a】端子が端子チャネル内に位置決めされたハウジングの例示的実施形態の斜視図である。
【図20b】図20aに描かれた実施形態の線ccに沿って切断した拡大部分断面図である。
【図21】直角コネクタの例示的実施形態の断面図である。
【図22】シングルエンド形通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図22a】シングルエンド形通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図22b】線ddに沿って切断した図22aに描かれた実施形態の断面概略図である。
【図23】差動信号通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図23a】差動信号通信システムで使用するのに適したパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図23b】線eeに沿って切断した図23aに描かれた実施形態の断面概略図である。
【図24】差動信号通信システムの性能を高めるために使用される特徴形状部を示すパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図25】シングルエンド形信号通信システムの性能を高めるために使用される特徴形状部を示すパネルの例示的実施形態の概略図である。
【図26】85〔Ω〕インピーダンスを提供することが望まれる場合にコネクタで使用される端子の代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
要求に応じて本明細書において詳細な実施形態を開示するが、開示した実施形態が、様々な形態で実施することができる特徴の単なる例示であり代表に過ぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示した特定の詳細は、限定として解釈されるべきでなく、単に特許請求の基礎として、また、本明細書に明示的に開示されていない可能性がある組合せで本明細書に開示した様々な特徴を使用することを含め、実質的に任意の適切な手法で本開示を様々な形で使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0011】
図を詳しく説明する前に、一般に、性能向上の実現がますます難しくなっていることに注意されたい。例えば、熱問題は、これまでは特定の部品の動作周波数を高めることだけで行うことができた性能改善に対する実質的な障壁となっている。コネクタは、多くの場合受動部品であり、したがって、あまり熱を生成しないが、一般に、コネクタは、電力損によって、システムの熱的性能にも影響を及ぼし、システムを冷却するために使用される空気流を制限する可能性がある。したがって、高性能なソリューションでは、温度管理がより重要になっていた。さらに、動作周波数が高くなるほど、信号完全性に関する他の問題が現れ始める。したがって、高い性能を提供することができ、かつ、パネル全体を通しての空気流の著しい減少を回避することができる低プロファイルのエッジコネクタが、システム全体に大きな利益を提供する可能性を有することが分かった。
【0012】
一般に、高速コネクタにはいくつかの構成がある。しかしながら、これまで、1信号経路当り少なくとも8〔Gbps〕、12〔Gbps〕、又は更にそれを超える〔Gbps〕のレベルを提供することができ、また、2枚の隣接パネルのエッジ上のトレースを結合するために使用することができるコネクタのような高速コネクタを提供するのは困難であった。さらに、バックプレーン領域では考慮されているが、エッジコネクタについては、30〔Gbps〕近いレベルまで高めることはこれまで検討されていなかった。しかしながら、エッジコネクタでのそのような速度が可能となれば、エッジコネクタが従来のバックプレーンコネクタにとって代わる可能性が有る。
【0013】
さらに、最近の改良によって、アプリケーションを書直すことなく多重処理コアの利用度を高めることが可能になったことに注意されたい。例えば、RAPIDMIND社は、単一コア用に記述されたアプリケーションをいくつかのコア上で実行することを可能にするソフトウェアを有する。他のアプリケーションは、複数のパネル上の複数のプロセッサを利用し、かつ、システムに追加プロセッサが結合されたときに性能の向上を可能にするように設計される。したがって、より多くのプロセッサを結合する(例えば、幅が広くなる)能力は、極めて有効な計算能力を提供することができる。しかしながら、幅が広がることの一問題は、より多数のプロセッサが一緒に動作するとき、該プロセッサは、エッジコネクタ等の低プロファイルコネクタではこれまで困難であった速度で大量のデータを共有することを頻繁に必要とすることである。したがって、特定の限られた用途を除き、パネル間の既存の通信速度は、より高コストのパッケージング構成を回避しながらより高い通信速度を可能にするアーキテクチャを設計する能力を制限する可能性を有する。しかしながら、データ転送性能が高いという利点は、広範囲に亘(わた)る用途を有し、したがって、高速エッジコネクタは広範囲の潜在的用途を有することが分かる。
【0014】
前述のように、信号は信号対によって伝送される。より高性能な用途では、信号対を差動信号対によって提供することができ、該差動信号対は、スプリアス信号の影響を受けにくいという利点を有する。しかしながら、特定の用途では、信号対はシングルエンド形でもよい。
【0015】
図1a及び1bは、コエッジ型のコネクタ100によって結合された第1のパネル20及び第2のパネル30を有するコネクタ組立体10の一実施形態を示す。該一実施形態では、パネルは、トレースが内部を通るPCBを有することができる。他の実施形態では、パネルは、表面エッジ上に取付けられ、かつ、フレキシブル配線に結合された導電性トレースを有する絶縁性材料を有してもよい。図1bから分かるように、パネル20及び30は、同一平面内で位置合せされ、両方とも第1の厚さ15を有する。
【0016】
図1c及び1dは、第1のパネル20を結合するコネクタ300を備えたコネクタ組立体11の他の実施形態を示す。全体構成は、図1a及び1bに描かれた構成と類似しているが、パネル20は第1の厚さ15を有し、パネル40は第1の厚さ15より大きい第2の厚さ16を有する。しかしながら、図に示したように、パネル20及びパネル40はやはり同一平面にある。該同一平面の状態を維持することによる一利点は、パネルの両面が信号トレースを有する場合に、コネクタの両面の信号経路を同じに維持することができることである。後で示されるように、これにより、コネクタの両面で同じ端子を使用することができ、また、PCBの両面に対して対称性を確保することによって信号がコネクタの両面で時間的完全性を有することを保証するのに役立ち、この対称性は、PCBの中心面に対する対称性を維持することによって提供することができる。
【0017】
図2〜3bは、パネル及びコネクタ間の境界面に関するいくつかの追加の特徴を示す。図に示されたように、コネクタ100は、第1のハウジング150及び第2のハウジング150’を有し、これらのハウジング150及び150’は結合され、特定の構成において離間された切欠き32、32’及び32”を有するパネル30を収容するように調整されるとともに、構成された複数のパネルチャネル105、110、115及び120を構成する。パネル30は、該パネル30の第1の面31に信号トレースを備えるとともに、パネルの反対側の面にも信号トレースを備え、それにより、コネクタ100内の端子200が両方の信号トレースと結合する。しかしながら、信号トレースが面31だけにある場合は、端子200がコネクタの片側から省略されてもよい。あるいは、パネル30上に信号トレースがあるかどうかに関係なく両方のコネクタハウジング150及び150’内に端子200が設けられ、該端子は、パネルの中心にコネクタを位置決めするのを助けるために使用される。
【0018】
必須ではないが、エッジコネクタは、ロック用特徴形状部によってパネル30に永久的に取付けられてもよく、一実施形態では、パネル開口37と位置合せされたコネクタ開口140を有している。その結果、ねじ、ピン、リベット等(ただし、これらに限定されない)の所望の留具が開口140及び37に挿入され、コネクタ100をパネル30に固定するために使用される。さらに、一実施形態では、コネクタは、両方のパネルに確実に取付けられるように構成される。一実施形態では、開口140は、ねじを受入れるように適応され、そのような場合、開口140は、一方の側がねじのねじ山に隙(すき)間を提供するように構成され、開口140の反対側がねじ山を確実に受けるように構成される。
【0019】
パネル30をパネルチャネル105、110、115及び120に挿入しやすくするために、面取部105a、110a、115a及び120aがそれぞれ設けられている。端子200は、端子溝160内に位置決めされ、所望のピッチで信号トレースと係合するように離間され、所望のピッチは、一実施形態では0.8〔mm〕である。端子が0.6〔mm〕幅の場合、該端子は、隣接端子間に0.2〔mm〕の間隔を有し、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地、信号...のパターンで十対の差動信号対を約25〔mm〕に配置することができる。したがって、提供されるデータ転送速度によって、両面コネクタから約160〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ(inch of panel edge)〕以上の性能が可能である。さらに、特定の実施形態は、200+〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕を提供することができる。例えば、各信号対毎に12.5〔Gbps〕を提供する構成では、両面コネクタは、250〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕の性能を提供することができる。また、パネルエッジ1インチ当りの性能をより高めることも可能である。例えば、前述したような繰返しの接地、信号、信号パターンで0.8〔mm〕ピッチで1信号対当り30〔Gbps〕を提供するように構成されたコネクタは、約600〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕を提供することができる。したがって、特定の実施形態は、エッジパネルスペース1インチ当りの十分な性能を提供することができる。パネルエッジ1インチ当りの上記の性能は、信号トレースが占めるスペースを指し、「パネルエッジ1インチ」は、端子を支持するハウジングが占める追加のスペースを含まないことに注意されたい。
【0020】
開示されたコネクタは、また、コネクタが占めるパネルのエッジに沿ったスペース全体(例えば、総コネクタスペース1インチ当りのデータ転送速度)と比較して高い性能を提供することができる。また、使用される信号対の数によって、200+〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕を提供することもできる。例えば、図1に描かれた実施形態と類似の実施形態では、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地、信号...のパターンが使用されると仮定して(例えば、後述するような差動信号構成)、約2.3インチの全基板エッジスペースを占めるコネクタにおいて20個の差動信号対を提供することができる。信号対が約25〔Gbps〕の性能を提供する場合は、0.8〔mm〕ピッチを使用して約217〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕の性能を提供することができる。さらに、大きい方のパネルチャネル110内の14個の信号対の大きい方の部分だけが高速データ通信に使用される場合(残りの端子は、例えば、電源又はより遅いデータ速度を提供するために使用される)、1信号対当りの性能が35〔Gbps〕であれば、更に200〔Gbps〕/〔総コネクタスペース1インチ〕を超える性能を提供することになる。しかしながら、そのような仕様を満たす能力は、ある程度、ハウジングのサイズ及び構成、信号対の数、並びに、コネクタをパネルに固定するために使用される機構(このような機構が設けられている場合)に依存することが分かる。さらに、前述のように、特定のコネクタは、電力を伝送するため及び/又はより遅いデータ転送速度のための端子を有している。したがって、高速通信用の信号トレースを提供するために使用されるパネルの部分に基づく生の性能測定値をより容易に比較することができる。しかしながら、システム設計者にとって、総コネクタスペース1インチ当りの性能の比較は非常に価値がある。なぜなら、コネクタが望ましい全体設計を確実に提供するように他のパラメータ(電流供給能力等)を指定することができるためである。
【0021】
パネル上の信号トレースにはいくつかの異なる構成が存在するが、図4は、例示的な信号トレース構成を示す。信号トレースは、該信号トレースがピッチ38(0.8〔mm〕であるがこれに限定されない)を有する接地トレース35、信号トレース36、信号トレース36の繰返しパターンで配列される。信号トレース36は分割され、該信号トレース36の最初の導入部分36bが、信号トレース36の接触部36aから絶縁されていることが分かる。これにより、パネル30が、端子と確実に機械的係合することができ、同時に、端子及び信号トレース間で信号が伝わるときに生じるインピーダンス不連続性が減少する(したがって、システムの性能が改善される。)。
【0022】
パネル30は、該パネル30のコネクタ100への挿入しやすさを改善するために、面取部を有するリードエッジ34を有することができる。差動信号対では高度の信号性能が可能であるが、特定の用途では、比較的高レベルの性能を提供するために、単一信号線及び接地線から成る信号対も使用されることに注意されたい。さらに、コネクタ100の特定の実施形態は、より低い性能の信号伝達及び/又は給電に使用される端子を有する。例えば、図5aでは、コネクタ100は、差動信号対を提供するように構成することができるパネルチャネル110を有するが、パネルチャネル115は、端子を介して電力又はより低速の信号を提供するように構成することができる。特に、交互電源端子構成(例えば、正端子が、負端子に結合された別の正端子の隣にある負端子に結合されている...)が、2本の隣接する端子の領域が比較的小さいのでインダクタンスをより低レベルにしながら有益なレベルの電流を提供することができる。高速電流スイッチングが望ましい状況では、インダクタンスを減少させることが有効であることが分かる。したがって、単一コネクタによって信号及び電力の両方を伝達することができ、信号は高速で伝達され、電源端子は高速スイッチングにも適した交互極性構成となっている。コネクタがパネルのエッジに結合されるので、コネクタは、より高い電力レベルの伝達を可能にするために、相手方のブレード端子に結合するのに適したブレード端子等の他の端子構成を有するように構成することができる。単一コネクタに異なる形状の端子を使用することは既知であり、本明細書では更に詳しく検討しない。
【0023】
パネルチャネル120が、実質的に均一サイズの開口を提供することに注意されたい。これと異なり、コネクタ300は、パネルチャネル307と連通したチャネル305を提供するように構成されている。パネルチャネル307(並びにパネルチャネル312、317及び322)は、より厚いパネルを収容するように構成されている。肩部308で、パネルチャネル307がパネルチャネル305に結合されている。端子400は、本明細書で述べる方法でコネクタ300内に位置決めされる。
【0024】
第1及び第2のハウジング150及び150’を結合するために、結合部材170が、ハウジングを確実に一緒に保持するようにかしめ(stake )られる。図7は、熱かしめ(heat stake)された後のハウジング150’(説明のためにハウジング150は示されていない)の結合部材170を示す。ハウジング150は、結合用開口172を有し、該結合用開口172は、壁で分割されたいくつかの開口でもよく、単一の開口でもよい。これにより、端子溝160及び端子200(又は、400)が、互いに位置合せされ所定の位置に固定される。
【0025】
図8から分かるように、ハウジング150は、第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する。同様に、ハウジング150’は、第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する。図に示したように、端子溝160は、第1の主面上にあり、第1の側面及び第2の側面間に延在する。ハウジング150’は同様に構成される。端子溝160が、第1の側面及び第3の側面間の全距離と等しい距離に亘って延在するように描かれているが、代替実施形態では、端子溝は、第1及び第3の側面間の全距離より短い距離に亘って延在することに注意されたい。さらに、端子が端子溝の全長に亘って延在していなくてもよいことに注意されたい。
【0026】
図9〜11は、端子溝160の一実施形態に関する追加の詳細を示す。描かれたように、端子溝160は、側壁162を有するかしめ部分164を有する。端子溝160は、さらに、該端子溝160内に位置決めされた端子を案内することができる追加の側壁161を有する。したがって、描かれたように、かしめ部分164は、端子200を端子溝160内に固定するのを助ける側壁を提供する。図9に描かれたように、連続的な繰返し端子パターンが提供される。そのような端子パターンは、接地、信号、信号、接地、信号、信号、接地...のタイプの構成に適するがこれに限定されない。したがって、2本の端子200を使用して1個の信号対205を構成することができる。図11に示されたような2個の信号対の間に隙間が設けられてもよいことに注意されたい。図11は、それぞれの信号対205の間に端子2本分の間隔を空けたものを示しているが、他の配列も考えられる。例えば、端子が設けられていない2個の端子溝を組合せて単一のチャネルを構成してもよい。一実施形態では、空チャネルの幅は、信号対の間に適切な電気的分離を提供するために信号速度及び端子の設計によって変更される。
【0027】
コネクタ内の端子の信号パッドとの結合の状態によって、高性能信号伝達を提供する際に問題が生じることが明かになった。例えば、接触部234がパネル上の対応する信号トレース(例えば、図9a、15a並びに22a及びbを参照)と係合する接触点が、端子の他の場所と比べて大きいキャパシタンスを生成する傾向があり、これにより、インピーダンス不連続性が生じる。前に述べ、また後で議論するようなインピーダンス不連続性を減少させるのに役立つ一手法は、パネル上の信号トレースを分割することである。インピーダンス不連続性を減少させるのに役立つ別の特徴は、接触点でのキャパシタンスを減少させることであり、これは、誘電率の局部的低減によって達成することができる。誘電率の局部的低減によって、生じる不連続性が減少し、これにより、関連したSパラメータの反射減衰量及び高速挿入損を改善することができる。
【0028】
図9a及び9bは、この例では結合面の領域内に描かれた例示的な局部的誘電率低減を実現する一実施形態を示す。端子200が、パネル上の信号トレース(例えば、パッド)と係合するようにハウジング150内に位置決めされている。図9aでは、端子は撓(たわ)んだ状態(接触部がパネルの表面のパッドと係合したときに撓む)で描かれていることが分かる。したがって、パネルエッジ及びコネクタが結合されたときにパネルの表面が端子を撓ませる。これに対し、図9bは、撓んでいない状態の端子を示す。したがって、その違いは、コネクタがパネルと結合した際に端子が撓む距離の例示的な実施形態を示す。相手方のパネルの公差が、所望の撓みレベルに影響を及ぼす可能性が高いことが分かる。
【0029】
本明細書で議論するように、端子200(描きやすいように1本だけが示されている)は、端子溝160内に位置決めされる。端子200がパネルと係合するとき、端子溝160は、端子200が所望の信号トレースと接触するように位置合せされた状態を維持するのに役立つ。したがって、側壁161(端子200の両側に位置決めされる)は、端子200が意図された位置の左又は右に撓むのを防ぐ。端子と信号トレースとの間の接続部での誘電率を小さくするため、切欠き291が設けられる。該切欠き291は、縁292、縁293及び縁294から構成されるように描かれており、接触点の近くに位置決めされてもよい。描かれたように、例えば、切欠き291が接触点の両側において延在することができるように、接触点の両側に縁292及び縁294が位置決めされる。切欠き291は、端子の周りの材料に生じる誘電率を変化させ、したがって、キャパシタンス(及び局部的誘電率)を減少させる働きをする。したがって、局部的誘電率変化部290(切欠き291によって提供され、端子が信号トレースと係合する接触点と位置合せされる)が、望ましい局部的誘電率低減を提供する。
【0030】
他で述べるように、端子200の端232は、端232’を形成するように切詰められる。設置の際に端子200が所望の場所に確実に留まるのを支援するために、先端を切詰めた端232’及び切欠き291は、先端を切詰めた端232’が縁292を越えて延在するように配置され得る。これは、切欠き291が局部的誘電率変化部290を提供することを可能にし、コネクタの性能を改善すると同時に信頼性の高いコネクタインターフェイスを確保するのに役立つ。
【0031】
切欠き291は、特定の形状を有するように示されているが、局部的誘電率変化部290を最適化し又は修正するために他の形状を提供することもできることに注意されたい。したがって、チャネルの局部的誘電率変化部290は、端子及びパネル上の対応するトレース間の接続部で所望のキャパシタンス及び対応するインピーダンスを提供するように構成される。
【0032】
図10aは、コネクタに組込まれる別の特徴形状部を示す。詳細には、示された実施形態は、端子溝160に沿って延在する側壁161に設けられたギャップ161aを示す。一実施形態では、端子200は、かしめ部分164でハウジング150と接触することができるが、端子200が端子溝160の残りの部分又は端子溝の少なくとも一部分に沿ってハウジング150と接触しないように構成される。そのような実施形態では、第1のトレース181が、第1の端子200が第1のトレース181と接触するように1本の端子溝160内に位置決めされる。第2のトレース183が、第2の端子200が第2のトレース183と接触するように第2の端子溝160に提供される。第1のトレース181及び第2のトレース183間に第3のトレース182を延在させて、2本のトレース間にブリッジを提供する(また、端子間のブリッジを完成させる)ことができる。第3のトレース182が、第3の端子200が端子溝160内に位置決めされる経路を横切って延在することができるが、第3のトレース182の形状は、第3の端子と接触しないように作成されることが分かる。例えば、第3のトレース182は、ギャップ161a、すなわち、溝等のギャップ内に位置決めされるか、あるいは、第3のトレースが端子溝を横切る箇所でハウジング及び端子溝と接触しない(例えば、第3のトレースが端子溝を横切るが、端子のどれとも接触しない)ように端子が構成される。また、第3のトレース182は、第2のトレースと接触することが意図されていない端子より下側に沈むだけの構成となっている。そのような設計によって、共通トレースを含むコネクタが共通接地構造を提供することができ、該共通接地構造は、特定の構成では、(例えば、接地構造の共振周波数を高めるために構造の電気的有効長を短くすることによって)電気的利点を有することが分かる。
【0033】
第3のトレース182は、1本の端子を横切るように示されているが、どの端子も横切らず、したがって、隣接する端子を結合することができることに注意されたい。さらに、第3のトレース182は、差動対を構成する2本の端子等、多数の端子を横切ることもでき、追加のトレースを結合してもよい。さらに、第3のトレース182が少なくとも2本の他のトレースをつなげるようにするために使用されるギャップ161aが、図に示されたかしめ部分164の近く(かしめ部分164のすぐ隣り等)に位置決めされる。必須ではないが、共通トレースが、既知のめっきプラスチック処理によって形成されることに注意されたい。
【0034】
端子構成を更に詳しく説明する前に、図4及び9が、すべての端子がすべてパッドと実質的に同時に係合するように構成された端子及びパッドを示すことに注意されたい。一実施形態では、パッドの位置は、パネルにコネクタを取付ける工程で特定の端子が異なる箇所でパッドと接触するように調整される。あるいは、特定のパッドが最初に接触するように端子のうちのいくつかの端子の長さが調整される。これにより、コネクタが完全に取付けられることが保証され、また、破損しやすい回路を電気的衝撃から保護することができることが分かる。
【0035】
図12〜13bに移ると、信号対205の例示的実施形態の詳細が示される。描かれたように、信号対205は、側面結合(broadside couple)された2本の端子200を有し、各端子は、幅212及び厚さ202を有する本体210を有する。一実施形態では、脚220及び脚230の両方でその厚さが維持される。一実施形態では、端子200の断面は、その長さに沿って実質的に一定に維持され、断面のばらつきを最小にして関連する周波数の所定の割合(例えば、波長λを12で割った値、すなわち、λ/12)より大きい寸法の特徴形状部の変化を防ぐことができ、ここで、λは、所望のデータ転送速度と関連する周波数に基づく。特徴形状部の粒度については、以下に更に述べる。端子200は、パネルの厚さの違いに対応するために必要な撓みに対応するように構成され、脚220は、第1の部分221を介して本体210に結合された接触部224(ここから先端222が延在する)を有する。先端が所定の割合より多く延在するが、回路基板の接地平面までの距離を修正したり局部的誘電率を調整するなどの他の特徴を使用して、本問題にある程度対応することができることに注意されたい。脚220は、さらに、接触部を第1の部分221に結合する第1のアーム225、第1の屈曲部226、第2のアーム227及び第2の屈曲部228を有する。同様に、脚230は、第1のアーム235、第1の屈曲部236、第2のアーム237及び第2の屈曲部238によって第1の部分231に結合された接触部234を有する。
【0036】
端子の特徴形状部のサイズの変化を最小にしたいという一般的な望みに関して、信号対間のキャパシタンスを変化させて端子で要求される全体的なインピーダンスレベルを達成するために変化の使用が役立つことに注意されたい。したがって、(例えば、所望のピッチのために)所定の幅を有する端子の場合、ある特定の速度では、材料を追加して(例えば、一定幅の端子の高さを変化させる)端子の一領域のキャパシタンスを高めて、端子全体が所望のインピーダンスを有するようにする(例えば、キャパシタンスを高めて端子の総インピーダンスを減少させる)のに有益な場合がある。しかしながら、そのような変化によって、端子内にインピーダンス不連続性が生じる。該不連続性によってある程度の反射減衰が生じるので、そのような不連続性はそれぞれ、端子を介して伝達されている信号に関するフィルタと同等に見なすことができる。
【0037】
反射減衰量が増えるにつれて信号レベルが低下し、最終的には信号をシステム内にあるノイズと区別することができない点まで達する。さらに、反射減衰量は反射電力の測定値なので、信号電力を単純に増やすことはあまり役に立たない。さらに、特定のインピーダンス不連続性の場合の反射減衰量は、周波数が高くなるほど増える傾向がある。したがって、一般に、周波数が高くなるほど反射減衰量が増える。したがって、最高周波数で反射減衰値が許容範囲内にある場合は、もっと低い周波数でも問題がないことを期待することができる。
【0038】
所定レベルの性能(例えば、所望のデータ転送速度)に対して許容することができる端子内のインピーダンス不連続量があり、インピーダンス不連続量がそれ以下であれば、許容することができない反射減衰量によって端子が望ましい状態で機能することができなくなることはないことが明かになった。すなわち、端子は、システムによって要求される総インピーダンスレベル(例えば、100又は85〔Ω〕)を提供するルート電流経路を有する。端子が一定幅の場合(いくつかの端子設計では一般的なように)、ルート電流経路は、該ルート電流経路と関連した高さを定義する。端子の高さのルート電流経路と関連した高さからのずれが、インピーダンス不連続性を生じさせて反射減衰量を増やす可能性がありフィルタのように作用し、この影響が、端子の長さに加わる可能性がある。したがって、典型的用途では、所望のデータ転送速度は、反射減衰量が所定のdbレベルを超えるまでに許容し得る高さのずれの最大量と関連付けられる。非ゼロ復帰(NRZ:non return to zero)シグナリングに使用されているときの端子の高さのずれの許容量は、次の式によって提供することができる。
λm =(RLf )(1/Dr)(C)(1/SQRT(εeff ))。ここで、λm は、所望のデータ転送速度によって必要とされる周波数に対しての、許容し得る特徴形状部のサイズずれの合計と関連した長さであり、RLf (反射減衰量ファクタ)は、反射減衰量レベルが−10〜−12〔db〕の場合は約1/9、反射減衰量レベルが−15〜−17〔db〕の場合は約1/12、反射減衰量が−20〔db〕より良好な場合は約1/15であり、Drは、〔bps〕で表したデータ転送速度であり、Cは、真空中の光速(3×108 )であり、εeff は、コネクタの有効局部的誘電率である。
前に述べたように、一定幅の端子では、10〔Gbps〕のデータ転送速度が必要な場合、例えば、εeff が約2でRLf が1/9の場合(要求反射減衰性能が−10〜−12〔db〕の場合)、λm は約2.36〔mm〕になる(例えば、各領域の高さ変化の絶対値が加算された高さのずれが約2.36〔mm〕になる。)。データ転送速度が20〔Gbps〕のとき、λm は約1.18〔mm〕になり、30〔Gbps〕でλm は約0.79〔mm〕になる。システム感度(及び/又は製造公差)によって、RLf =1/9を使用すると十分な程度のシステムレベル公差を提供しない場合があり、したがって、より安全な設計選択は、RLf =1/12を使用することであることに注意されたい。RLf =1/12を使用すると、10〔Gbps〕のλm が約1.77〔mm〕になり、20〔Gbps〕のλm は約0.88〔mm〕になり、30〔Gbps〕のλm は約0.59〔mm〕になる。
【0039】
端子の受入れ可能なずれを測定するために、λは、特定のコネクタに必要なデータ転送速度に対応する端子内の要求信号周波数の2分の3(3/2)の波長と関連した長さとして定義することができる(例えば、λ=(1/((3/2)(1/2))Dr)(C)(1/SQRT(εeff )))。3/2の値は、端子がナイキスト周波数の3/2までの周波数で機能することができなければならないという一般的要求を考慮しており、有益な安全係数を提供する(なお、該安全係数は、必要に応じて除去又は減少されるが、そのような減少は、コネクタの生産性に影響を及ぼす場合がある。)。波長λを6で割ることによって(λ/6)、端子の領域を、該領域内の変化を使用して高さ変化を決定することができるように定義することができることが明かになった。換言すると、λ/6を使用して端子の粒度を定義することができ、これが、RLf =1/9と関連付けられる値である。λ/8を使用して領域粒度(regional granularity)(1/12のRLf 値と等しい)を定義することができ、これが、単位端子長当りより多くの(かつ、より小さな)領域を提供することに注意されたい。λ/8を使用すると反射減衰性能が高くなる(約−10〜−12〔db〕レベル反射減衰量ではなく、約−15〜−17〔db〕レベルを提供することが予想される。)。さらに、高い反射減衰性能が必要な場合は、λ/10を使用して、約−20〔db〕(又はそれを超える)程度の反射減衰性能を得るように領域粒度(1/15のRLf 値と等しい)を定義することができる。
【0040】
選択される領域粒度/領域サイズ(及び関連した性能)に関係なく、領域粒度の半分が値λm と等しく、この値は、(前に定義したような)許容し得るずれである。なぜなら、信号はずれの長さを往復するからである。領域粒度によって定義された領域内で特徴形状部の変化を決定することができる(正及び負の変化は、該変化が対応する領域内で起こる限り、本質的に打消し合う。)。領域内の変化を加算した後で各領域内の変化の合計の絶対値を合計して、反射減衰量が約−10〜−12〔db〕の場合に全体的なずれがλ/12(又は、約−15〜−17〔db〕の反射減衰性能を必要とする場合にはλ/16)未満か否かを判定することができる。一実施形態では、領域の数がn個の場合(領域数(n)は端子の長さを領域粒度で割ることによって(例えば、端子の長さを(λ/6)で割ることによって)決定される)、局部的サイズ変化Rs(n)(例えば、領域内の高さの変化)がλ/12>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。代替実施形態では、領域の数がn個の場合、局部的サイズ変化Rs(n)がλ/16>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。代替実施形態では、領域の数がn個の場合、局部的サイズ変化Rs(n)がλ/20>Σ|Rs(n)|になるように端子が構成される。
【0041】
前述のように、ある領域におけるルート電流経路に関しての材料の追加によって、同じ領域におけるルート電流経路に関しての材料の減少を相殺することができる。一方、複数領域を横切って延在する特徴形状部は2度数えられる。したがって、複数領域の長さを超える拡張バンプは、2個のバンプ(各領域について1個)としてカウントして、拡張されたずれの全影響を考慮することができる。また、領域の境界はある程度任意的なもので、ある領域の境界に現れる特徴形状部は、該特徴形状部が領域によって定義された距離より長く延在しない限り2度カウントしてはならないことに注意されたい。換言すると、高さの変化が、選択された領域と関連する距離の範囲内で実質的に相殺される場合は、ずれの最終的合計にずれを含める必要はない。したがって、特徴形状部の変更又は修正(前述したような局部的誘電率低減量の調整等)を特定の特徴形状部に適用することができ、それにより変化の影響を小さくすることができる。しかしながら、そのような修正は、一般に、画定された領域内に含まれていなければならず、そうでないと修正として役立たなくなり、その代わりにずれの総許容量に影響を及ぼす追加の変化と見なされることになる。
【0042】
上記の考察から分かるように、データ転送速度を高めると領域のサイズが小さくなり、許容し得るずれも小さくなる。したがって、実質的に第1の周波数に対しては平衡する特徴形状部は、その2倍の周波数では、全体のずれの量に含めなければならない個別の偏差として働くであろう。その結果、データ転送速度を高めることがより困難になる。なぜなら、特徴形状部の変化をより小さく維持する必要があると同時に修正部をより近くに位置決めしなければならず、そうでないと、特徴形状部及び修正部は、ずれの総許容量にとって不利になる個別のずれになるだけである。しかしながら、提供されたガイドラインを使用することによって、十分な信号レベルを提供しながら所望のデータ転送速度の目標を達成することができるコネクタの設計が可能になる。
【0043】
例えば、図26を観ると、85〔Ω〕のインピーダンスを有するシステムに使用することができる端子1000の設計が提供され、端子1000は、多数の特徴形状部の変化を有する。コネクタの長さが、端子1000が(所望の反射減衰性能に応じて)λ/6又はλ/8で割られたときに4個の領域を有するようなものである場合、例えば、領域1100a内で特徴形状部を使用してルート電流経路と比べて領域内のずれを平均化することができる。この平均化された変化は、Rs(1100a)になり、このずれの絶対値を他の領域1100b〜1100d内のずれの絶対値に加えて、全体的なずれがλ/12(又は、λ/8を使用して領域サイズを決定した場合はλ/16)より小さいか否かを判定する。しかしながら、2倍のデータ転送速度を必要とする場合は、許容可能なずれの量が半分になり、領域の数が増え、1領域当りの変化量の合計が増えることが予想され、全体のずれが、割合としては、2倍を超える可能性がある。換言すると、10〔Gbps〕でのずれは、許容し得るずれの50〔%〕と等しい可能性があるが、20〔Gbps〕では、許容し得るずれの100〔%〕を超える。
【0044】
図13bは、厚さが異なる2枚のパネルを収容するように構成されたコネクタで使用される端子400の一実施形態を示す。両方の端子200及び400の本体210は同じであり、端子200及び400の他のほとんどの部分も同じである。したがって、描かれたように、脚240の先端242、接触部244、第1のアーム245、第1の屈曲部246、第2のアーム247、第2の屈曲部248及び第1の部分241は、脚230の対応する特徴形状部と同じである。同様に、脚250の先端252、接触部254、第1のアーム255、第1の屈曲部256及び第2のアーム257は、脚250の対応する特徴形状部と同じである。しかしながら、端子が収容するパネルの寸法差を考慮するために、脚250の第2の屈曲部258及び第1の部分251は、脚220の対応する特徴形状部と異なる。脚の形状の類似性は必要ないが、該類似性によって、特定の用途に対する特定の端子の適応性の検査及び証明が容易になる。なぜなら、ほとんどの端子が同じで、かつ、異なるパネルの厚さを考慮するために第2の屈曲部及び第1の部分だけを変更すればよいからである。
【0045】
図14a及び14bは、脚230の2個の実施形態を示す。描かれた脚230の設計は両方とも、本体210から延在する第1の部分231を有することが分かる。接触部234及び第1の部分間にある第1のアーム235、第1の屈曲部236、第2のアーム237及び第2の屈曲部238は同じである。しかしながら、図14bは、端232と比較して切詰められた端232’を示す。端232は、パネル上の信号トレースと適切で安定した結合を保証するために使用される。しかしながら、端232を切詰めることは、取付の機械的問題を引起こす可能性があるが、端子の信号特性を改善するのに有益であり、より高性能の信号経路を提供するために使用することができることが明かになった。したがって、接触部234の接点から端232’までの距離を短くすることは、インピーダンス不連続性を減少させ、したがって、反射減衰量を減少させるので(相対的信号レベルを効果的に高める)、性能を大幅に高める可能性がある。端子溝の側壁は、端子溝160に対して横方向の端子の撓みを減少させるのに役立つように端子を拘束する働きもすることができる。
【0046】
図15a〜15cは、端子が2枚のパネル上の信号経路にどのように結合するかを示す。図15bは、片面接続を示し、図15cは、厚さが異なる2枚のパネル間の両面接続を示すことが分かる。厚さが異なる2枚のパネル間の片面接続も考えられる。両面接続がある実施形態では、コネクタの同一面性によって、両面に同じ端子を使用することができ、それにより、第2の面のための別個の端子を設計することなく安定した性能が可能になる。これは、コネクタ設計のコストを大幅に削減する可能性があり、必要に応じて同一パネルのスペース内に付加信号経路を追加することができるという融通性をパネルの設計者に提供することができる。
【0047】
図16及び17は、厚さが異なる2枚のパネルに連結されるように構成されたハウジング350の追加の詳細を示す。該ハウジング350の端子チャネル360に1本の端子400だけが位置決めされているように示されているが、(端子チャネルの数によって制限される)任意の数の端子が、ハウジング350によって支持され、かしめ部分364により適所にかしめ固定される。描かれたように、ハウジング350は、該ハウジング350が対応するハウジングに接合(結合開口372を使用して接合)されるときに形成される2個の厚さが異なるパネルチャネルを結合するための肩部308及び308’を有する。描かれたハウジング350は、また、コネクタ開口340として示されたロック用の特徴形状部を有する。
【0048】
端子は、100〔Ω〕等の特定のインピーダンスレベルを提供するように形成することができることが分かる。また、85〔Ω〕等の異なるインピーダンスレベルに適した変形した端子を提供することもできる。様々な通信速度のシステムにおいて適切な応答に提供するために、代替の85〔Ω〕のインピーダンスを様々な粒度レベルで達成することができる。図18a及び18bは、重要な機械ばね部分を維持し、端子の固定された部分だけでキャパシタンスを増加させて改良した端子の例示的実施形態を示す。このタイプの端子は、本体510と脚520及び530との間の特徴形状部のサイズの変化が大きいので、粒度が荒くなり、一般に約12〔Gbps〕以下の速度に制限される可能性が高い。本体510のサイズを小さくし、かつ、端子上の他の場所に追加の特徴形状部を追加して所望の総インピーダンスを提供する設計は、特徴形状部のサイズの変化の数の増加が、特徴形状部のサイズの変化の減少によって十分に相殺される場合に、より高速で使用される可能性がある。説明のために単一端子を示したが、信号対は、前述のような側面結合された端子対から構成される。
【0049】
一実施形態では、脚520は、脚220と同じ形状である。したがって、接触部524、第1のアーム525、第1の屈曲部526、第2のアーム527及び第2の屈曲部528を有する第1の部分521から先端522までの部分は、脚220の対応する特徴形状部と同じである。しかしながら、本体510の幅512は、本体210の幅212と異なる。幅の増加によって、本体部分のインピーダンスを所望の85〔Ω〕まで減少させる。脚部分のインピーダンスに対処するために、(パネルの材料特性や信号トレースの接地平面までの距離の変化等によって)パネル上の信号トレースのキャパシタンスが増加される。本体部分のインピーダンスを変化させると、信号対の全体の性能を損う傾向があるが、信号トレースのキャパシタンスを大きくすると、本体のインピーダンスの変化によって生じる影響の一部分が無効になる傾向があり、これにより、必要な性能の大部分を維持することができることに注意されたい。したがって、第1の性能目標を100〔Ω〕のインピーダンスで達成するように構成されたコネクタを変更して(例えば、特定の場所の高さを高くすることによって)、85〔Ω〕で第2の性能目標をわずかな性能低下だけで達成することは容易である。さらに、コネクタが、100〔Ω〕で十分な性能余裕を有する場合は、変更されたコネクタは、端子全体を設計し直すことなく85〔Ω〕でその同じ性能目標を容易に達成することができる。端子設計の他の実施形態では、容量性負荷(loading )及びそれによるインピーダンス不連続性が、端子の長さ全体によって均一に分散されて負荷特徴形状部の粒度を減少させ、それにより、端子の平滑性及び有効上限通信速度が高まる。
【0050】
図19a〜20bは、端子チャネル内に端子を固定するために使用される追加の特徴形状部を示す。詳細には、端子チャネル750は、実質的に該端子チャネル750に沿って延在する床面751を有する。端子700は、床面751に支持されるように端子チャネル750内に位置決めされる。描かれたように、第1の側壁753及び第2の側壁757は、端子チャネル750を構成する構造の一部分を提供する。端子750を適切な位置に更に固定するために、側壁突起754及び755が、かしめ部分740の両側において端子チャネル750内に延在する。この構成の利点は、かしめ部分740をかしめて端子700を適所に保持することができるまで、かしめ部分740の側壁741に隣接して適切な位置に比較的確実な方法で端子を維持することができることである。図に示されたように、互いに対向する2個の側壁突起754及び2個の側壁突起755があり、これらの突起754及び755は、端子が適所にかしめられるまで該端子を適切な位置に保持するために使用される摩擦嵌(はめ)合いを提供する。他の数の側壁突起が使用されてもよい。例えば、片側の側壁突起が使用されてもよいが、そのような構成は、端子チャネル750内の端子の位置を偏らせることになる。したがって、描かれた構成の利点は、チャネルの側面の方への端子の偏りを最小にすることができることである。
【0051】
したがって、図19a〜20bは、コネクタハウジング内に端子を固定するために使用することができる特徴形状部を示す。端子を適所に固定する他の方法も使用することができることに注意されたい。例えば、端子位置保証方法が使用されてもよい。一実施形態(図示せず)では、端子の本体と係合しハウジングに固定するインサートを使用することができる。他の実施形態では、端子は、ハウジングに取付けられる1枚以上のウェハを形成するように、1個以上のフレーム内に位置決めされてもよい。したがって、端子をハウジングに取付けるいくつかの可能な方法が存在し、これらを使用することができる。したがって、特に断らない限り、本開示は、この点において限定的であることを意図しない。
【0052】
所望の機能を提供するために前述の様々な特徴を組合せて使用されることに注意されたい。要求レベルが高くなるほど性能レベルを高めることが困難になり、したがって、高い性能レベルを実現するには、より高い性能レベルを達成する本明細書に開示された特徴の多く又はすべてが必要になるであろう。コネクタは、2枚のパネルを有するシステムの一部であることに注意されたい。パネル設計が不適切だと、適切に設計されたコネクタでも、システムレベルで高い性能レベルを達成することができなくなることが分かる。したがって、性能レベルの以下の説明は、図22及び23に示され後で述べるような、ビアインパッド(via-in-pad)技術を使用する分割パッド構造の使用を仮定する。当然ながら、コネクタの改良を使用して、もっと低い性能のパネルの性能を補うことができ、以下に述べる性能と端子設計との関連付けは、そのようなすべての可能性に応えるものではないが、その代わりに、当業者が、開示された性能レベルを提供することができるシステムを理解することができるように提供される。換言すると、適切に設計されたコネクタは、実際の処理能力が下記の性能レベルに達することができなかったシステムでコネクタが最終的に使用される場合でも、所望の性能レベルを提供するように構成されるであろう。
【0053】
例えば、端子の全長に沿って図13aに示した実質的に一定の断面を有するか、(前述のような)λ/6>Σ|Rs(n)|等の関係を可能にする他の構成を有する図12に示す端子の設計は、差動対形状を構成する側面結合の使用と組合せることによって、所望のデータ転送速度性能レベルに適したコネクタを提供することができる。テール部のサイズは、領域内のずれに大きな影響を及ぼし、したがって、局部的誘電率変化部の使用は、差動信号対の性能を15〔Gbps〕性能レベルより高めるのに十分であることが分かる。特に、そのようなコネクタは、将来の信号伝達についての標準のために必要とされる少なくとも17〔Gbps〕を実現することができる。信号対として使用される隣接する端子の端子形状の許容範囲及び位置がより厳密に整合されるほど、より高い性能レベルが可能になることに注意されたい。さらに、先端を切ったテール部を使用することによって、性能が更に改善され、反射減衰量が最も著しく改善され、性能レベルが25〔Gbps〕以上に高まる。
【0054】
この点において、より細かい電気的粒度を示し、かつ、接触点より少しだけ突出するテール部を有する先端を切った端子設計は、比較的高い性能レベルを達成することができることが分かった。例えば、1.2〔mm〕のテール拡張部を有する端子は、局部的誘電率変化部を使用することによって15〜20〔Gbps〕の性能レベルを達成することができる。しかしながら、0.8〔mm〕のテール拡張部を有し(局部的誘電率変化部によってインピーダンス不連続性を相殺することができる)、かつ、他の箇所では比較的一定の高さを有する端子は、20〜30〔Gbps〕以上のレベルを達成するのに適している。必要な性能レベルが高くなるほど、パネルの設計は、所望の性能レベルに適合するように構成されなければならないことに注意されたい。そうでなければ、コネクタは、所望の性能レベルを提供するように構成されるが、システムの性能はより制限される。
【0055】
したがって、図に示されたコネクタの設計は、2枚のパネルの厚さが異なっている場合でも、コネクタの実施形態を2枚のパネルのエッジ上で摺(しゅう)動させて適所に容易に取付けることを可能にする。したがって、特定の実施形態は、コエッジ型のコネクタから現在得られるものよりも、高い柔軟性、使いやすさ及び性能を提供する。
【0056】
一実施形態では、コネクタが、接続されたパネルを横切る空気流の抵抗を最小にするように低プロファイルを有することができることに注意されたい。例えば、一実施形態では、コネクタは、パネルから約3.2〜約4.9〔mm〕突出する。コネクタが、リベットや他の低プロファイル取付システムによってパネルに固定された場合、このオフセットが総オフセットとなる(したがって、比較的低いプロファイルを提供する。)。必要に応じて、コネクタをパネルに固定するのに他の取付具を使用することができる。一実施形態では、空気流を更に減少させるためにコネクタのエッジにテーパが付けられることに注意されたい。したがって、特定の実施形態は、システムが適切に冷却されることを保証するためにコネクタ上の空気流が重要となる高性能環境で機能するように十分に適合される。
【0057】
前述のコエッジ型のコネクタは、2枚の同一平面上のパネル間で十分な性能を提供するのに適している。しかしながら、エッジコネクタの特定の実施形態は、角度付コネクタを提供するように構成される。そのようなコネクタは、やはり2枚の異なるパネルのエッジに取付けられ、違いは、パネルが互いに、例えば90度の角度で構成されることである。したがって、端子は、所望の角度を提供するように構成されなければならない。これは、端子を作成する屈曲部の長さ及び/又は方向を変化させることによって達成することができる。例えば、図13aに戻ると、第1の部分221は、本体210まで同じ角度で延在してもよいが、90度コネクタを提供するために、下方ではなく上方に向けられ、第2の屈曲部228の長さが長くされる。しかしながら、コネクタの同じ側の端子は、前述のように隣接する端子と整合され位置合せされる。
【0058】
例えば、図21は、パネル20のエッジをパネル30’のエッジと結合するように構成された角度付コネクタ800を示す。該コネクタ800は片面でも両面でもよいが、共面設計との1個の違いは、両面角度付コネクタでは、コネクタトレースの両面上の2本の端子が、信号トレース間で物理的に同じであってはならないことである。例えば、図21の端子900は、該端子900が他の端子よりも移動する経路が短いので、パネルの反対側の端子と同じではない。より長い経路を有する端子があると仮定すると、より長い経路を有する端子は、コネクタの両側で同じ速度を使用しようとした場合の限定要素になることが予想される。このタイプのコネクタの使用は、関連する信号伝達電子回路が、チャネル間に現れるスキュー差(skew difference )に関して頑強なシステムで使用するように意図される。特に、個別の信号伝送チャネルが、側面結合され、完全に長い経路長か短い経路長で含まれるので、それぞれの個別のチャネルは、本質的にスキューが釣合される。それにより、チャネル内スキューは、設計によって常に最小にされる。さらに、コネクタの各側で異なる速度が使用されてもよい。また、各側が異なる目的に使用されてもよい。例えば、一方の側が、電力の提供と組合せて低性能データ通信を提供してもよく、他方の側が、高性能データ通信を提供してもよい。
【0059】
前述のように、パネルの性能及び設計は、パネル設計がコネクタの実際の構成に必ずしも影響を及ぼさない場合でも、コネクタがシステムレベルでどれだけうまく動作するかに影響を及ぼすことになる。一実施形態では、パネルは、図22a及び22b、又は、図23a及び23bに示されたように構成される。図22a及び22bは、シングルエンド形信号対を介して通信するように構成されたパネル900aの例示的な実施形態の概略に関し、図23a及び23bは、差動信号対を介して通信するように構成されたパネル900bの概略を示すことが分かる。
【0060】
最初に図22a及び22bを観ると、シングルエンド形システムと使用するのに適した回路基板(パネルの例)の一実施形態が示される。パネル900aは、第1の層を構成するパッドを支持する面904aに至る傾斜部901を有する。この点において、回路基板の反りを最小にするために、回路基板が中心経路(center access )に関して対称になるように構成されることが好ましいことが一般的に知られている。したがって、パネルが回路基板の用途では、対称的設計を有することが有用であろう。したがって、面904a上の特徴形状部は、面904b上に複製される。図23a〜25に描かれた他の回路基板設計でも、類似の構造が使用されている。開示されたコネクタの特定の特徴形状部は、この対称性を利用するように十分に適していることが分かる。
【0061】
パネル900aは、接地パッド905の次に信号パッド910を有するパッドパターンを有する。このパターンは繰返され、次に、追加の接地パッドが追加される。したがって、描かれた信号パッド910は、接地パッド905によって取囲まれる。
【0062】
接地パッド905は、L1層(パッドが存在する)及び接地平面902が配置されたL3層間に延在する接地パッド905内に配置されたビア907を有する(この構成は、ビアインパッドとして知られる。)。接地パッド905は、さらに、該接地パッド905から表面接地平面930(やはりL1層上にある)まで延在するトレース908を有する。
【0063】
信号パッド910は、分離パッド設計であり、リード部分912及び寸法940を有する接触部914を有し、この2つの部分は、距離が約0.2〔mm〕である隙間942によって分離された2個の部分を有する。分離パッド設計を含まない設計では、信号パッド及び接地平面間のキャパシタンスによって、インピーダンスが望ましくないレベルまで減少する傾向がある。したがって、接地平面902は、一般に、パッドの端まで延在しないように構成される。しかしながら、この非遮蔽(へい)領域は、大きなクロストークを許容する。しかしながら、信号パッド910の分離パッド設計は、キャパシタンスを減少させる。したがって、接地平面902は、パッドのエッジまで延在し、したがって、クロストークを減少させるのに役立つ。
【0064】
ビアインパッド設計は、性能も改善する。信号パッドと関連して一般的に使用される外側ビアは、一般に、単一トレースを介してパッドに結合される。そのような外側ビアは、ビアインパッド設計と比較したときにより大きい境界インダクタンスを有することが明かになった。この様相は、経路インダクタンスを高めるパッド及びビア間のトレースによって更に複雑になる。したがって、応答帯域幅は、ビアが信号パッドの外側にあるパネルではかなり減少する。
【0065】
図23a及び23bは、パッドが接地、信号、信号、接地のパターンで配列されている点を除き、パネル900aの構造と類似の構造を有するパネル900bを示す。そのようなパターンは、一般に、差動信号対構成で使用され、しばしば所望のインピーダンスを提供するように構成される。しかしながら、接地平面902をパッドに近付けることによってインピーダンス値を修正することができる。したがって、L1及びL3間の距離の相違がある類似の設計を使用して、インピーダンスの相違を提供することができる。
【0066】
図23a〜23bに描かれたパネルの設計は、既知の最良実施例を使用する回路基板構成であり、高速通信を提供するシステムを提供するために本明細書に描かれたコネクタと使用するのに適したパネルを提供するはずである。描かれたコエッジ型のコネクタは、そのようなパネル設計を必要としないが、パネルの代替構造を使用するシステムの性能を改善するのに役立つことが分かる。しかしながら、十分に最適化されないパネル構成が使用される場合は、システム全体の性能は低下するであろう。
【0067】
前述のように、前述の端子テール部スタブ長や他の要素によっては、図23に示された回路基板として構成されたパネルにより20〜30〔Gbps〕の性能レベルを達成するようにコネクタに対する改良が可能である。しかしながら、システムレベルでは、更なる性能も利用可能な場合がある。この追加の性能を提供するために、パネル設計に対して特定の変更を行うことが有益であろう。
【0068】
例えば、図24を観ると、システムの性能を改善するために単独又は組合せで使用することができるいくつかの特徴形状部が開示される。最初に、分離パッド信号パッド設計を観ると、接触部914の信号パッド寸法940は、寸法940a(例えば、1.6〔mm〕)から940b(例えば、1.2〔mm〕)、940c(例えば、0.9〔mm〕)へと小さくされる。寸法940を小さくすると、取付ける際の端子200の標的が小さくなり、したがって、許容範囲の観点から使いにくくなることが分かる。しかしながら、そのような短縮によって性能が著しく改善され、したがって、高速が望ましいシステムでは、そのような構成が有益であることが明かになった。さらに、約0.9〔mm〕の寸法940は、コネクタ及びパネル間の結合面の大きな設計変更なしに維持可能であると考えられる。
【0069】
さらに、接地パッド905内の追加のビアインパッド906を使用して接地構造を改善し共振を減少させることができることが明かになった。さらに、インダクタンスを減少させるために、トレース908が二重トレース909と置換えられてもよい。したがって、信号パッド910の接触部914のサイズを小さくすることによって、接地、信号、信号、接地のパネル構成を強化することができる。同様に、接地平面930及びパッド905間に二重トレース909を使用し、また、ビアインパッド906を使用することによって、接地パッド905の性能を高めることができる。
【0070】
さらに、必要に応じてパッド構造の他の変形を使用してもよいことに注意されたい。例えば、シングルエンド形システムは、信号端子を互いに絶縁しやすいように、接地、接地、信号、接地、接地の繰返しパターン(図25に示したような)を有する。接地パッドは、さらに、二重トレース909だけでなくビアインパッド906を有することができる。そのようなパネルは、そのような通信構成が必要な場合にシングルエンド形システムから極めて高い性能を提供することができる。
【0071】
さらに、パネルは、接地、信号、信号、接地パターンの代わりに、信号、信号、スペース、信号、信号パターンを提供する差動信号対のために構成されてもよい。
【0072】
本明細書では片面コネクタ及び両面コネクタを開示したが、片面にトレースを有するパネルに両面コネクタが使用されてもよいことに注意されたい。実際には、第2の面の端子は、従順部材の役割をし、挿入されたパネルをコネクタのハウジングに対して所望の位置に付勢することができる。代替実施形態では、コネクタは片面でもよく、パネル厚の寸法公差は片面の端子によって対処することができる。例えば、第1の部分221及び接触部224間に2個の屈曲部226及び228を有する図に示された端子200は、コネクタが片面だけに端子を有する場合でも、該端子がパネル上の信号トレースと十分に係合することを保証しながらパネル厚の変化に対処するのに適している。しかしながら、端子200を端子溝160に異なる形態で嵌込むことが好ましく(端子が着座する箇所の床面を隆起させることができる)、あるいは、他の端子がないことを考慮してコネクタの反対側を変更することができることが分かる。別の代替実施形態では、端子以外の付勢部材を使用して、コネクタ及びパネルエッジを互いに位置決めするのを支援してもよい。例えば、ハウジングによって支持された従順なプラスチック部材が特定の用途に適している。しかしながら、パネルが両面に接点を有すると仮定すると、両面に端子を有するコネクタを使用する利点は、所望のデータ転送速度で通信するために必要なパネルの離間量を小さくすることができることである。
【0073】
別々に開示された要素の組合せ並びに種々の構成要素の形状の修正を含む、当業者であれば容易に分かる前述の実施形態の多数の修正及び組合せがあることを理解されよう。そのような変更及び/又は組合せは、本発明が関係する当該技術分野の範囲内にあり、また特許請求の範囲内にあることを意図するものである。さらに、請求内での単数要素の使用は、そのような要素を1個以上使用する場合を含むものであることに注意されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエッジ型のコネクタであって、
第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する第1のハウジングであって、第1の主面上に位置決めされ、かつ、第1の側面と第2の側面との間の距離の一部分に亘って延在し、第1の側面に隣接した局部的誘電率変化部を含む複数のチャネルを有する第1のハウジングと、
第3の主面及び第4の主面を有する第2のハウジングであって、第3の主面が第1の主面と対向し、第1の主面のチャネルが第3の主面に面して開くように第1のハウジングと結合する第2のハウジングと、
複数のチャネルのうちの隣接するチャネル内に位置決めされ、かつ、側面結合される2本の端子とを備え、各端子は、本体部分、第1の脚及び第2の脚を有し、第1及び第2の脚が、本体部分から反対方向に延在し、第1の脚が第1の接触部を有し、第2の脚が第2の接触部を有し、本体部分が第1のハウジングに固定され、コネクタは、動作時において、第1のパネル及び第2のパネルと結合し、さらに、第1及び第2の接触部によって、第1のパネルの第1のエッジに隣接した第1組の2本の信号トレースを、第2のパネルの第2のエッジに隣接した第2組の2本の信号トレースと結合し、接触部は、該接触部が対応する信号トレースと係合する点でのキャパシタンスを減少させるように、局部的誘電率変化部内に位置決めされるコエッジ型のコネクタ。
【請求項2】
信号対は、シングルエンド形配列である、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項3】
信号対は、少なくとも−15〔db〕の反射減衰性能で少なくとも8〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する差動信号対である、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項4】
差動信号対は、少なくとも−15〔db〕の反射減衰性能で少なくとも15〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する、請求項3に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項5】
複数のチャネルは第1の複数のチャネルであり、2本の端子は第1の2本の端子であり、第2のハウジングは第3の主面上に位置決めされた第2の複数のチャネルを有し、さらに、第2の複数のチャネル内に位置決めされた第2の2本の端子を有する、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項6】
コネクタは、第1の厚さを有する第1のパネルと第2の厚さを有する第2のパネルとに結合し、第2の厚さが第1の厚さより大きい、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項7】
コネクタは、第1のパネルの第1の開口と結合する第1のロック用特徴形状部を有し、コネクタは、動作時において第1のパネルに固定される、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項8】
コネクタは、第2のパネルの第2の開口と結合する第2のロック用特徴形状部を有し、コネクタは、動作時において第2のパネルに固定される、請求項7に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項9】
2本の端子は第1の差動信号対であり、コネクタは、さらに、第1の信号対から電気的に分離された少なくとも第2の差動信号対を有し、第1の差動信号対及び少なくとも第2の差動信号対の両方が、第1及び第2のパネル間で少なくとも15〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項10】
電気的分離は接地端子又は分離ギャップのいずれかによって提供される、請求項9に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項11】
コネクタは、少なくとも150〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕の性能を提供する、請求項9に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項12】
2本の端子の本体が、第1のハウジングに熱かしめされ、第1及び第2の脚が、本体から片持ち支持され、かつ、第1のハウジングから離間されている、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項13】
局部的誘電率変化部は、接触部の位置で実質的に位置決めされたチャネルの切欠きによって提供される、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項1】
コエッジ型のコネクタであって、
第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第1の主面及び第2の主面を有する第1のハウジングであって、第1の主面上に位置決めされ、かつ、第1の側面と第2の側面との間の距離の一部分に亘って延在し、第1の側面に隣接した局部的誘電率変化部を含む複数のチャネルを有する第1のハウジングと、
第3の主面及び第4の主面を有する第2のハウジングであって、第3の主面が第1の主面と対向し、第1の主面のチャネルが第3の主面に面して開くように第1のハウジングと結合する第2のハウジングと、
複数のチャネルのうちの隣接するチャネル内に位置決めされ、かつ、側面結合される2本の端子とを備え、各端子は、本体部分、第1の脚及び第2の脚を有し、第1及び第2の脚が、本体部分から反対方向に延在し、第1の脚が第1の接触部を有し、第2の脚が第2の接触部を有し、本体部分が第1のハウジングに固定され、コネクタは、動作時において、第1のパネル及び第2のパネルと結合し、さらに、第1及び第2の接触部によって、第1のパネルの第1のエッジに隣接した第1組の2本の信号トレースを、第2のパネルの第2のエッジに隣接した第2組の2本の信号トレースと結合し、接触部は、該接触部が対応する信号トレースと係合する点でのキャパシタンスを減少させるように、局部的誘電率変化部内に位置決めされるコエッジ型のコネクタ。
【請求項2】
信号対は、シングルエンド形配列である、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項3】
信号対は、少なくとも−15〔db〕の反射減衰性能で少なくとも8〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する差動信号対である、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項4】
差動信号対は、少なくとも−15〔db〕の反射減衰性能で少なくとも15〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する、請求項3に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項5】
複数のチャネルは第1の複数のチャネルであり、2本の端子は第1の2本の端子であり、第2のハウジングは第3の主面上に位置決めされた第2の複数のチャネルを有し、さらに、第2の複数のチャネル内に位置決めされた第2の2本の端子を有する、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項6】
コネクタは、第1の厚さを有する第1のパネルと第2の厚さを有する第2のパネルとに結合し、第2の厚さが第1の厚さより大きい、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項7】
コネクタは、第1のパネルの第1の開口と結合する第1のロック用特徴形状部を有し、コネクタは、動作時において第1のパネルに固定される、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項8】
コネクタは、第2のパネルの第2の開口と結合する第2のロック用特徴形状部を有し、コネクタは、動作時において第2のパネルに固定される、請求項7に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項9】
2本の端子は第1の差動信号対であり、コネクタは、さらに、第1の信号対から電気的に分離された少なくとも第2の差動信号対を有し、第1の差動信号対及び少なくとも第2の差動信号対の両方が、第1及び第2のパネル間で少なくとも15〔Gbps〕のデータ転送速度を提供する、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項10】
電気的分離は接地端子又は分離ギャップのいずれかによって提供される、請求項9に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項11】
コネクタは、少なくとも150〔Gbps〕/〔パネルエッジ1インチ〕の性能を提供する、請求項9に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項12】
2本の端子の本体が、第1のハウジングに熱かしめされ、第1及び第2の脚が、本体から片持ち支持され、かつ、第1のハウジングから離間されている、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【請求項13】
局部的誘電率変化部は、接触部の位置で実質的に位置決めされたチャネルの切欠きによって提供される、請求項1に記載のコエッジ型のコネクタ。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図10a】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図23a】
【図23b】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図10a】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図23a】
【図23b】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−84609(P2013−84609A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269944(P2012−269944)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2010−549802(P2010−549802)の分割
【原出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2010−549802(P2010−549802)の分割
【原出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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