説明

コクシジウム症ワクチン及びその製造並びに使用方法

本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの4種類の弱毒化したアイメリア種から調製した、鶏のコクシジウム用のワクチンに関する。かかるワクチンは、他の抗コクシジウム薬と同様又は優れて、コクシジウムに対する保護免疫を刺激する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、「コクシジウム症ワクチン及びその製造並びに使用方法」の名称で、2002年12月9日に出願された米国仮出願番号60/432,298に対し、優先権主張をしており、かかる開示全体は、参照のため組み入れられている。前記出願、及びその中で引用されている全ての文献、審査手続き中に引用された文献、かかる出願で引用又は言及した全ての文献、本明細書中で引用又は言及している全ての文献、本明細書中で引用又は言及している文献で引用又は言及している全ての文献は、本明細書中で言及している製品又は本明細書中に参照のため引用されている全ての文書で言及される製品の製造者の指示、説明書又は製品の概要やプロダクトシートは、本発明を実施するときに用いることができる。
【0002】
本発明は、コクシジア亜綱に起因する疾病に対する免疫原性の組成物及びワクチンの調製に関する。本発明は、コクシジウム症に対する弱毒ワクチンにも関する。
【背景技術】
【0003】
コクシジウム症は、1又は複数のコクシジア亜綱による感染が原因の疾病である。
【0004】
コクシジア亜綱は、プロトゾア(Protozoa)門、アピコンプレクサ(Apicomplexa)亜門及びアイメリア(Eimeria)属の細胞内のプロトゾア原虫である。アイメリア属には、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、クジャク、キジ、ハト及び七面鳥等の家禽に経済的に重要な種が含まれている。コクシジウム症がほぼ全ての鳥の種類で発症するのに対し、寄生虫は宿主特異的であり、それぞれの種は、単一又は限定された宿主のグループに発症する。また鳥の宿主は、コクシジア亜綱を1種以上宿していることで知られている。鶏にコクシジア症を発症させるアイメリア種としては、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・ブルネッティ(E. brunetti)、アイメリア・ハガニ(E. hagani)、アイメリア・マクシマ, アイメリア・ミティス、アイメリア・ミヴァティ(E. mivati)、アイメリア・ネカトリクス(E. necatrix)、アイメリア・プラエコクス(E. praecox)及びアイメリア・テネラが含まれる。アイメリア・アセルブリナは、ブロイラーの家禽舎の汚物で見つけられる代表的な種の1つである。繁殖性が高く、体重減少や、飼料転換能力の著しい低下を誘因し、小腸の上部に肉眼的病変を発症させるため、病原性であるとみなされている。
【0005】
家禽の中で、七面鳥、ガチョウ、アヒルやホロホロ鳥でもコクシジウム症による経済的損失はあるものの、鶏が著しい経済的な影響をもっとも受けやすい。コクシジウム症は、飼育されているクジャクやウズラにも大きな損害を与えてきた。コクシジウム症の感染は、集団死亡という明らかな形態をとることもあるが、他の望ましくない影響として、感染による罹患及び/又は体重減少である。
【0006】
ライフサイクルの間、アイメリア寄生虫は、多くのステージをたどる(概要に関しては米国特許第6,100,241号参照のこと)。ライフサイクルは、地面上の給餌やほこりの吸入によって、胞子形成(sporulated)オーシストとして知られる感染ステージを鶏が接種することにより始まる。胞子形成オーシストは、砂嚢や腸管への機械的な破砕作用及び化学作用の組み合わせによってその壁が破壊される。その結果、4個のスポロシストを放出する。スポロシストは、十二指腸に到達し、そこで、胆汁や消化酵素に曝され、スポロシスト1個あたり2個のスポロゾイドを放出する。
【0007】
スポロゾイドは、可動性であり、侵入しその中で繁殖できるような適切な上皮宿主細胞をさがす。上皮細胞に感染後、寄生虫は、ライフサイクルの中でシゾントステージに突入し、シゾント1個あたり、8〜16個から200個以下のメロゾイトを産出する。シゾントから放出されると、メロゾイトは他の上皮細胞にも感染できる。このような無性生殖を2〜5回繰り返し、細胞内メロゾイトは、マクロガメサイト又はメスと、ミクロガメサイト又はオスとして知られる有性型を形成する。マクロガメサイトと、ミクロガメトサイトから放出された小配偶子との受精によって、接合体が形成され、それ自体のシスト壁を形成する。新しく形成されたオーシストは、感染した鶏から糞便によって排出される。
【0008】
温度と湿度と、空気中の十分な酸素との正しい環境条件によって、オーシストは、感染ステージで胞子を形成し、新たな宿主に感染し、疾病を広める。したがって、鳥から鳥へ寄生虫が移動するのに、中間宿主は必要ない。
【0009】
アイメリア寄生虫が、鶏の消化管に感染すると、体重増加の停止、飼料転換の増加、産卵の停止、そして時々死を誘因する。家禽の集中生産は、この寄生虫による著しい損失を伴った。つまり、コクシジウム症は経済的に重要な寄生虫病となった。
【0010】
過去において、コクシジウム症を制御する試みに、いくつもの方法が用いられた。化学治療薬の出現以前には、消毒剤等を使用した衛生面の改善や、汚物の機械処理が主な方法であった。しかし、通常、病気を伝達するのに十分な数のオーシストは残っていた。飼料や飲料水に、抗コクシジウム薬を混入し、管理をよくすることによって病気の制御は少し成功した。これらの薬剤は、何年もの間効果が少ないことで苦しんでいたが、これはコクシジア亜綱に対する薬剤耐性菌の発達によるものであった。
【0011】
米国特許第:4,438,097;4,639,372;4,808,404;5,055,292;5,068,104;5,387,414;5,602,033;5,614,195;5,635,181;5,637,487;5,674,484;5,677,438;5,709,862;5,780,289;5,795,741;5,814,320;5,843,722;5,846,527;5,885,568;5,932,225;6,001,363及び6,100,241号は、コクシジウムワクチンに関し、生ワクチンや組み換えワクチンが含まれる。しかし、既存のコクシジウムワクチンにも効果の少なさ、他の寄生虫(例えばクロストリジウム種(Clostridium spp.))との交差感染及び鳥への効果の少なさ等の問題がある。
【0012】
本出願内文献の言及や指定は、かかる文献が本発明の先行技術文献として入手可能であることの許可ではない。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、感染力のあるチャレンジ、クロストリジウムとの交差感染の減少の面で効力のある弱毒コクシジウムワクチンで、他のコクシジウムワクチンと比較して飼料転換率で定義される鳥への効果が優れているワクチンに主に関する。
【0014】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ(E. acervulina)、アイメリア・マクシマ (E. maxima)、 アイメリア・ミティス(E. mitis)及びアイメリア・テネラ(E. tenella)の早熟株(precosious strains)に由来する胞子形成オーシストの混合物に関する。胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ 、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株の培養で飼育された1又は複数の鶏から回収された種培養から単離された。すなわち、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラのいずれかの早熟株で飼育された1又は複数の鶏を飼育し、異なるアイメリア種で飼育された4つの鶏のグループを形成した。単離した胞子形成オーシストを組み合わせて、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株に由来する胞子形成オーシストの混合物を作製した。
【0015】
他の好ましい態様において、鶏は、2〜8週齢のSPFチキンである。さらに他の好ましい態様においては、種培養を作出するために、約100〜約15,000個のオーシストを鶏に播種する。さらに他の好ましい態様では、種培養由来の胞子形成オーシストは、遠心分離によって単離する。
【0016】
本発明は、胞子形成オーシストがアイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス又はアイメリア・テネラの早熟株に特徴的であるか否かの確認も提供する。
【0017】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物に関し、混合物が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個であることを特徴とする。好ましくは、混合物がアイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100〜約500個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100〜500個である。さらに好ましくは、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100個の組み合わせであることを特徴とする。
【0018】
本発明は、さらに、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ 、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの特別な比率に関している。比率は、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラが、約10:1〜2:10:2〜10(すなわち、アイメリア・アセルブリナのオーシスト10個あたり、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、及びアイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個)である。好ましくは、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率は、約5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0019】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物の効果の検査にも関している。好ましくは、検査は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約100,000〜約500,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10,000〜約100,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約100,000〜約500,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約10,000〜約100,000個のチャレンジ用量を動物に投与することに関する。さらに好ましい態様では、チャレンジ用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約200,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約20,000〜約50,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約200,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約20,000〜約50,000個である。
【0020】
本発明は、鶏、好ましくはブロイラーチキンを免疫化することに関する。しかし、本明細書中に記載されるワクチンの製造方法は、アイメリアに感染した他の動物、特にそれに限定されないが、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、クジャク、キジ、ハト、ウズラ又は七面鳥等の鳥類に、接種することができる。
【0021】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの混合物からなる免疫原性又はワクチン組成物を包含する。好ましい態様では、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜約1000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個である。好ましくは、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約100〜約500個である。さらに好ましくは、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個が組み合わさっている。
【0022】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの特別な比率を含む免疫原性又はワクチンの組成物に関する。かかる比率は、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラは、10:1〜2:10:2〜10(すなわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個
あたり、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、アイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個)である。好ましくは、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率は、約5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2である)。
【0023】
本発明は、動物の応答を誘導、誘発するために、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの混合物からなる免疫原性若しくはワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫応答の誘発、又は免疫学的若しくは防御応答の誘導も提供する。好ましくは、動物はそれに限定されないが、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、クジャク、キジ、ハト、ウズラ又は七面鳥等の鳥類である。もっとも好ましい態様では、鳥類は鶏であり、好ましくはブロイラーチキンである。免疫応答の誘発する方法又は免疫学的な応答を誘導する方法は、アジュバンド、サイトカイン又は両方を投与することも含むこともできる。
【0024】
好ましくは、免疫応答を誘発、又は免疫学的応答又は防御応答を誘導する有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個である。好ましくは、有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100〜500個である。さらに好ましくは、有効量はアイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100個の組み合わせである。他の態様では、有効量は、動物に対するアイメリア・アセルブリナのオーシスト約100,000〜500,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10,000〜100,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約100,000〜500,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約100,000〜約100,000個のチャレンジ用量に耐えうる量である。さらに好ましくは、有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100個の組み合わせである。さらに好ましくは、チャレンジ用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約200,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約200,000〜約500,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約200,000個、アイメリア・テネラのオーシスト約20,000〜約50,000個である。
【0025】
免疫応答を誘発、又は免疫学若しくは防御応答を誘導するための有効量は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの比率でも表すことができ、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率は、10:1〜2:10:2〜10(すなわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個あたり、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、アイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個存在する)である。好ましくは、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率は、5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0026】
様々なアイメリア種の有病率及び病原性を考慮して、効果のある弱毒コクシジウムワクチンは、ワクチンのレシピエントに対し病原性でないアイメリア株を、免疫応答を誘発、免疫学的応答又は防御応答を誘導するのに十分な数含まなければならない。この関係は、組み合わせの結果、効果のある非病原性のワクチンとなる4種類の特定のアイメリア早熟株、つまり、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラ、のオーシストの組み合わせに関する。アイメリア・ブルネッティ、アイメリア・ネクラトリクス、エイメリア・プラエコクス等他のアイメリア株を追加することは、効力、交差感染又はワクチンの病原性に悪影響を与える可能性がある。アイメリア・ブルネッティ、アイメリア・ネクラトリクス、エイメリア・プラエコクスが本明細書に開示されているコクシジウムワクチンの効力に対し必要ではないので、本発明のワクチンからこれらの株を除去することが望ましい。
【0027】
本開示、特にクレーム及び/又はパラグラフにおいて、「含む(comprises)」「含まれる(comprised)」「含んでいる(comprising)」等の用語は、米国特許法に基づいている。例えば、「includes(含む)」、「included (含まれる)」、「including(含んでいる)」等と同じ意味である。「consisting essentially of (主に〜なっている)」「consists essentially of(主に〜なる)」なる用語と、米国特許法では同じ意味を持つ。例えば、具体的に例示されていない要素も含まれるが、先行技術に存在し、本発明の基礎な又は新規な特徴に影響する要素は除外される。
【0028】
これら及び他の態様は、以下の発明を実施するための最良の形態で開示されるか、又はそれから自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、感染力のあるチャレンジ、クロストリジウムとの交差感染の減少の面で効力のある弱毒コクシジウムワクチンで、他のコクシジウムワクチンと比較して飼料転換率で定義される鳥への効果が優れているワクチンに主に関する。
【0030】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株に由来する胞子形成オーシストの混合物に関する。胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株の培養で飼育された1又は複数の鶏から回収された種培養から単離された。すなわち、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラのいずれかの早熟株で飼育された1又は複数の鶏を飼育し、異なるアイメリア種で飼育された4つの鶏のグループを形成した。単離した胞子形成オーシストを組み合わせて、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株に由来する胞子形成オーシストの混合物を作製した。
【0031】
好ましくは、アイメリア株は、早熟株である。早熟株は、そのフィールドに由来し、正しい用量を投与したときには、病原性でない。好ましい態様では、アイメリア株は、“Avian Pathology, 17: 305-314, 1988”に“Eimeria of American Chickens: Characteristics of Six Attenuated Strains Produced by Selection for Precocious Development, P. L. Long and Joyce K. Johnson”の題名で記載されている対応する微生物の早熟株である。その開示の全容は、参照のために組み入れられている。微生物は、“Avian Pathology, 17: 305-314, 1988”に“Eimeria of American Chickens: Characteristics of Six Attenuated Strains Produced by Selection for Precocious Development, P. L. Long and Joyce K. Johnson”に記載されているように、その早熟な発育のために選択され弱毒化することができる。その開示の全容は、参照のために組み入れられている。要約すると、微生物は、プレパテント期の早い時期、すなわち、オーシストが最初に糞便に現れるときに、選択され弱毒化される。かかる方法は、当業者にはよく知られており、通常の実験の一部である。
【0032】
種培養のための、アイメリア株のストック培養は、以下のものを含むがそれに限定されない。アイメリア・アセルブリナの親は、1969年にヘスアンドクラーク研究所(Hess and Clark Laboratories)のT.K. Jeffersから入手し、単一のオーシストに由来し、米国農務省(USDA)のM.M.Farr博士(ベルツビル、米国)が単離したようである。アイメリア・マクシマの培養は、ジョージア、デラウェア、メリーランド、バージニア及びテキサスから入手した、10個の精製単離物を異種交配した混合物に由来する。アイメリア・ミティス培養の親は、1978年7月にゲインズビル、ジョージアから単離し、単一のオーシストを単離して精製した。アイメリア・テネラ培養の親は、1960年初期からペンシルバニア州立大学でパッテン博士によって維持された培養から入手し、1982年にジョージア大学が入手した。他のアイメリア早熟株は、LS100早熟アイメリア・アセルブリナの単離物809−13及び、メルク研究所から入手し、ピーター・ロン博士より入手したLS早熟アイメリア・ミティスが含まれる。また、ECACC(欧州細胞培養コレクション)にスポロシストとして、親寄託(例えば、米国特許第5,055,292号参照、、その全容を参照のため組み入れる)として寄託されている他のアイメリアの早熟株は、本明細書中に開示されているアイメリア種培養を産出するために有用なストック培養である。特に、米国特許番号5,055,292号に記載のアイメリア・アセルブリナの寄託は(寄託番号:ECACC86072203)、アイメリア・マクシマ(寄託番号:ECACC86112011及び86112012)、アイメリア・ミティス(寄託番号:ECACC86072206)及びアイメリア・テネラ(寄託番号:ECACC83072201)は、本発明の種培養からのストック培養に有用である。
【0033】
好ましくは、微生物は、上記のとおり早熟な発育用に選択され、弱毒化される。他の好ましい態様では、培養物は無菌である。上記のストック培養は、好ましくは液体窒素の液相又は気相に維持されている。かかる方法は、当業者には既知である。
【0034】
1つの好ましい態様では、鶏は、2〜8週齢である。胞子形成したオーシストは、鶏におけるオーシストの数が繁殖用の種として用いられるだけの十分な数になるまで、継代に制限なく連続して通過(pass)された。 好ましくは、生存度/感染力を保つために、培養を12ヶ月以上継続してはならない。
【0035】
1つの好ましい態様では、各アイメリア種に対し、専用の施設を管理する。好ましくは、十分な量の胞子形成オーシスト(種)を飼料又はその他のものと混合し、各鶏に最低限の量がいきわたるようにする。1つの好ましい態様では、鶏1羽あたり約5000個〜約15,000個のオーシストを蒔き、種培養を作製する。
【0036】
種培養由来の胞子形成オーシストを、鳥の糞便から好ましくは遠心分離で単離する。好ましい態様では、回収は以下のとおり行う。糞を約10%(w/v)の割合で水中で均質化する。ホモジネートをスクリーニングして大きな粒子を除去する。個体を、遠心分離、スクリーニング、又は5±3℃で24時間維持するかのいずれかの手段により分離する。個体を、5±3℃で維持することにより単離した場合には、遠心分離によりさらに濃縮する。上清を処分し、個体を飽和NaCl(80%w/v)溶液で水中で再懸濁した。その結果生じた溶液を遠心分離した。オーシストを液体の上部から回収(除去)し、水に再懸濁した。任意で、残りの液体を、20〜40%のNaClと水で希釈し、遠心分離した。ペレットを飽和NaCl溶液に再懸濁し、再度遠心分離し、オーシストが追加的に回収されなくなるまで続けた。オーシストは2回以上洗浄しない。オーシストを、無塩状態になるまで、洗浄、再懸濁、遠心分離サイクルを繰り返し行い、その後10〜15分間の0.5%次亜塩素酸ナトリウムで再懸濁した。その後、オーシストを次亜塩素酸ナトリウムがなくなるまで、遠心分離と再懸濁ステップを繰り返し(3×)、洗浄した。最終懸濁液を、2.5%のニクロム酸カリウム(KCrO)水溶液で作製した。その後オーシストを胞子形成管に移動した。27±3℃で、72時間を越えない期間、空気と懸濁液を散布して胞子形成を容易にした。胞子形成後、オーシストは、最終製品が産生されるまで5±3℃で維持される。
【0037】
他の態様では、本発明のワクチン方法で用いられるオーシストは、当業者に既知の複数の方法のいずれかで調製される。かかる方法には、J.F. Ryley et al., Parasitology 73:311-326, 1976; P.L. Long et al., Folia Veterianria Latina VI#3, 201-217, 1976; 米国特許番号6627205号が含まれ、その開示全体が、参照のため、組み入れられている。1つの方法に基づき、約2週齢の市販のブロイラーチキンに、適切な用量の胞子形成オーシストを経口で強制的に投与して、目的のアイメリア種を感染した。多くのアイメリア種につき、感染した鳥から、感染後5〜7日後に糞便を回収し、混合し、残骸を除去するためにろ過し、その後、残りの糞便物質をペレットするのに十分な速度で遠心分離した。ペレットを、オーシストが浮遊し、汚染残骸の大部分を遠心分離により回収することが可能な飽和塩溶液に再懸濁した。さらに、塩濃度を低下させるために、オーシスト懸濁液を希釈した。塩を除去するために、オーシストを繰り返し洗浄し、ニクロム酸カリウム溶液(2.5%w/v)に再懸濁した。オーシスト懸濁液は、29℃で振盪(例えば140rpm)しながら72時間インキュベートし、オーシストの胞子形成を誘導した。あるいは、オーシストを次亜塩素酸塩ナトリウムで処理し、その後胞子形成することも可能である。1mlあたりの胞子形成オーシストは、血球計算板又はマックマスタースライド(McMaster slide)を用いて定量し、培養物は必要となるまで、冷蔵保存した。
【0038】
スポロシストを調製するために、オーシストを繰り返し洗浄してニクロム酸カリウムを上記のオーシスト懸濁液から除去する。これは、遠心分離によりオーシストを回収し、脱イオン化又は蒸留した水に再懸濁することに関する。帯黄色−オレンジの着色がなくなり、ニクロム酸が除去されたと判断されると、オーシスト懸濁液は、同量の次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を混合し、室温で15分間インキュベートする。繰り返し洗浄して漂白剤を除去し、オーシストは、生理食塩水又は脱イオン化水に再懸濁する。様々な既知の技術を用いて、オーシストを破壊し、スポロシストを放出することができる。例えば、直径1〜4mmのグラスビーズでオーシストを混合し、手、渦流式ミキサーで攪拌するか、インキュベータを振盪するか、携帯用ホモジナイザーを用いて攪拌することによってオーシストを破壊してスポロシストを放出することができる。破壊されないオーシスト及びオーシスト壁は、放出されたスポロシストから、ポリビニルピロリドンでコーティングしたシリカ粒子のコロイド懸濁液であるPERCOLL(Pharmacia Biotechより販売)50%又は1Mのショ糖を用いて、Dulski et al., Avain Diseases, 32: 235-239, 1988に記載のように分画遠心法で単離することができる。スポロシストは、破壊されていないオーシスト及びオーシスト壁と混合して、又は単離して本発明のワクチン方法で用いることができる。好ましくは、スポロシストの用量はオーシスト及びオーシスト壁から単離されている。
【0039】
1つの好ましい態様では、種培養の許容される回収の具体例は、以下のとおりである。第一に、全オーシストに対する胞子形成オーシストの割合を定量した。胞子形成が40%以上である回収のみが許容される。第2に、回収したオーシストのそれぞれのサイズ、形状、外観は、産生しようとする種の特徴を有しなければいけない。例えば、アイメリア種を特徴づけるために考慮しなければならないパラメーターは、DNAに基づく技術、DNA浮遊密度、酵素の多様性、宿主と部位の特異性、免疫特異性、病原性、プレパテント期、胞子形成期間(例えば、Long & Joyner, J Protozool. 1984 Nov; 31 (4): 535-41 及び Shirley, Acta Vet Hung. 1997; 45 (3):331-47を参照のこと。これらの開示の全容は参照のため組み入れられる。)が含まれるが、これに限定されない。
【0040】
本明細書に記載される種培養由来の単離した胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティスアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物を調製するために、組み合わされる。通常、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜約1000個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個である。好ましくは、混合物内の胞子形成オーシストの範囲は、約125個〜約500個のアイメリア・アセルブリナ、約25個〜約100個のアイメリア・マクシマ、約125個〜約500個のアイメリア・ミティス、及び約25個〜約500個のアイメリア・テネラである。1つの態様では、低用量では、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約125個、アイメリア・マクシマのオーシスト約25個、アイメリア・ミティスのオーシスト約125個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約25個である。他の態様では、中用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約250個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50個、アイメリア・ミティスのオーシスト約250個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約50個である。さらに他の態様では、高用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個である。
【0041】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの具体的な比率にも関する。アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ :アイメリア・ミティス :アイメリア・テネラの比率は、約10:1〜2:10:2〜10である。(すなわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個あたり、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、アイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個ある)。好ましくは、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ :アイメリア・ミティス :アイメリア・テネラの比率は、5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0042】
好ましくは、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100〜約500個である。さらに好ましい態様では、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100個である。
【0043】
好ましくは、オーシストは、0.01Mのゲンタマイシン含有リン酸緩衝食塩水からなる、保存液に懸濁する。他の態様では、オーシストは、酢酸、クエン酸、ニクロム酸カリウム、又はプロピオ酸等の各種保存液又は有機酸に懸濁させるが、これらに限定されない。例えば、ただし、これに限定されないが、2000用量提示用に1ボトルあたり2ml、5000用量提示用に1ボトルあたり5ml、10000用量提示用に1ボトル10mlを産生するために、30mcg/ml以上のゲンタマイシンを含まない十分滅菌した0.01Mのリン酸緩衝食塩水を用いる。好ましくは、オーシストは滅菌したホウケイ酸ガラスビンに保存される。例えば、オーシストを、無菌状態で、半自動式又は自動式のディスペンサーでワクチンのビンに充填し、栓を機械式又は手動で挿入し、アルミニウムシールを配置、圧着するが、これに限定されない。
【0044】
他の態様では、オーシストを、懸濁剤を含む無菌蒸留水に懸濁する。懸濁剤には、ガム等の多糖懸濁剤(例、キサンタンガム、アカシアガム)、セルロース誘導体(例、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又は微結晶性セルロース、カラギナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン又はデンプン);ゼラチン等のポリペプチド懸濁剤;ポリアクリル酸等の合成ポリマー懸濁剤;ケイ酸マグネシウム等のケイ酸懸濁剤が含まれる(米国特許第5,055,292号参照、その全容は参照のために組み入れられている)。
【0045】
本発明はさらに、胞子形成オーシストが、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス 又はアイメリア・テネラの早熟株の特徴的なものであるかどうか確認方法も提供する。好ましくは、全てのオーシストは早熟株であるため、弱毒化する。他の好ましい態様では、回収したオーシストのそれぞれのサイズ、形状、外観は、産生しようとする種の特徴を有しなければいけない。さらに他の態様では、胞子形成オーシストの混合物は、純度、外因性病原体及び/又は、例えば鶏等の被検動物の死又は重度の病変について調べる。各種アイメリア種の特徴は、Long P. L. and Reid W. M. (1982: A Guide for the Diagnosis of Coccidiosis in Chickens; University of Georgia Research Report 404) Joyner L. P. (1978: Identification and Diagnosis, Avian Coccidiosis, Poultry Science Symposium No. 13, British Poultry Science Ltd.)に全容が開示されており、参照のために組み入れられる。
【0046】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物の効果の検査にも関している。好ましくは、検査は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約100,000〜約500,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10,000〜約100,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約100,000〜約500,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約10,000〜約100,000個のチャレンジ用量を動物に投与することに関する。さらに好ましい態様では、チャレンジ用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約200,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約20,000〜約50,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約200,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約20,000〜約50,000個である。
【0047】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物を鳥に投与した結果としての飼料換算率により定義される鳥への効果を定量することにも関する。飼料換算率効果は、飼料1ポンドが、肉1ポンドを生産する割合によって定義される。共通の結果は、約1.90又は2.00である。飼料換算率の共通言語での1ポイントは、.01であり、約0.5%(1%の半分)と同等である。メートル法を使用する場合には、飼料換算率は、飼料1kgあたりの肉1kgの割合であり、上記と比例する。
【0048】
本発明は、鶏、好ましくは、ブロイラーチキンを免疫化することに関する。しかし、本明細書中に記載されるワクチンの製造方法は、アイメリア種に感染した他の動物、特に鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、クジャク、キジ、ハト、ウズラ、又は七面鳥等の鳥類、又はあまり好ましくない態様ではウサギ等の動物に投与することができる。動物はこれらに限定されるわけではない。
【0049】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの混合物を含む免疫原性又はワクチン組成物も包含する。単離した胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株由来の胞子形成オーシストの組成物を調製するために組み合わせる。一般的に、混合物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10個〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10個〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10個〜約1000個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約10個〜約1000個からなる。好ましくは、組成物中の胞子形成オーシストの範囲は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約125個〜約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約25個〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約125個〜500個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約25〜250個である。1つの態様では、低用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約125個、アイメリア・マクシマのオーシスト約25個、アイメリア・ミティスのオーシスト約125個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約25個である。他の態様では、中用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約250個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50個、アイメリア・ミティスのオーシスト約250個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約50個である。さらに他の態様では、高用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個である。
【0050】
好ましくは、組成物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50個〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100〜約500個である。さらに好ましくは、組成物は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個、アイメリア・テネラのオーシスト約100個である。
【0051】
組成物は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの具体的な比率にも関する。アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ :アイメリア・ミティス :アイメリア・テネラの比率は、約10:1〜2:10:2〜10である。(すなわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個あたり、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、アイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個ある)。好ましくは、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ :アイメリア・ミティス :アイメリア・テネラの比率は、5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0052】
「免疫原性組成物」なる用語は、本明細書中で、例えば、鳥類等の動物に1度投与したら、寄生虫、抗原、免疫原、又はエピトープに対する保護的免疫応答を誘発することができる全ての組成物を包含する。「ワクチン」なる用語は、例えば鳥類等の動物に1度投与したら、ウイルスに対する保護的免疫応答を誘導するか、寄生虫の感染から動物を効果的に保護することができる全ての組成物を包含する。
【0053】
本発明の免疫原性組成物又はワクチンは、病原体、又は病原体の免疫原、抗原又はエピトープ、及び他の病原体、寄生虫又はウイルスの少なくとも1つの免疫原、抗体又はエピトープを含むことができる。すなわち、コクシジウムワクチンは、他の鳥類用ワクチンと組み合わせることができる。かかる免疫原、抗原又はエピトープは、微生物、寄生虫又はウイルスに由来することができ、病原体、寄生虫又はウイルスの不活性化又は弱毒化した形でもよい。本発明は、さらに、かかる組成物の組合せを調製するためのキットや、かかる組成物の組合せの成分の製造方法、及びかかる組成物の組合せを調製するためのかかる組成物の組合せの成分の使用も包含する。したがって、本発明は、本発明の免疫原又はワクチン組成物の組合せを調製するキットにも関する。具体的には、かかるキットは、(a)微生物、又はその病原体、ウイルス、抗原又はエピトープ(好ましくは、本明細書中に記載される病原体)、(b)独立したコンテナ、選択的に同じパッケージに入っていて、選択的に混合及び/又は投与用の指示も含まれる、(a)以外の微生物、又はその病原体、ウイルス、免疫原、抗原又はエピトープ(好ましくは、ウイルス、免疫原、、抗原又はエピトープ、本明細書中に記載される他の病原体も含まれる)。
【0054】
本発明の免疫原性組成物及び/又はワクチンは、アイメリアの培養又は調製(例、不活性化又は弱毒化したアイメリア又はその免疫原、抗原又はエピトープ)、及び他の鳥類病原体の少なくとも1つの免疫原、抗原又はエピトープ(不活性化又は弱毒化した形態の病原体を限定なく含む)を含むことができる。鳥類用多価免疫原組成物及び多価ワクチンとしては、多価免疫原組成物及び多価ワクチンに含まれるか、及び/又はそれによって発現するその鳥類抗原(1又は複数)、免疫原(1又は複数)、又はエピトープ(1又は複数)が含まれる追加的な鳥類病原体(1又は複数)には、以下のものが含まれる。マレック氏病ウイルス(MDV)(例、ステレオタイプ1及び2、好ましくは1);ニューカッスル病ウイルス(NDV);ニューカッスル病以外のパラミキソウイルス(PMV2〜PMV7)、感染性気管支炎ウイルス(IBV);感染性貧血ウイルス又は鶏貧血ウイルス(CAV)、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV);感染性ブルサ病ウイルス(IBDV)、脳脊髄炎ウイルス又は鳥類脳脊髄炎ウイルス(AEV又は鳥類白血症ウイルスALV)、七面鳥の出血性腸炎ウイルス(HEV);ニューモウイルス(TRTV);家禽ペストウイルス(トリインフルエンザ)、鶏ヒドロ心外膜炎、鶏レオウイルス、コックシジウム、産卵低下症候群(EDS76)、伝染性上皮種、封入体肝炎(アデノウイルス)、七面鳥のリンパ球増殖病、鶏の細網内皮症、七面鳥の細網内皮症、ロタウイルス腸炎、七面鳥気管炎ウイルス、クロストリジウム属、大腸菌、マイコプラズマ・ガリナルム、マイコプラズマ・ガリセプティカム(Mycoplasma gallisepticum)、陰性桿菌(Haemophilus avium)、パスツレラ・ガリナルム(Pasteurella gallinarum)、パルツレラ・ムルトシダ・ガリシダ(Pasteurella multocida gallicida)及びそれらの混合物のウイルス、疾病又は病原体。好ましくは、MDVでは、免疫原は好ましくはgB及び/又はgD、例えばgB及びgDであり;NDVでは、免疫原は好ましくはHN及び/又はF、例えばHN及びFであり;IBDVでは、免疫原は好ましくはVP2であり;IBVでは、免疫原は好ましくはS(さらに好ましくはS1)及び/又はM、例えばS(又はS1)及びM及び/又はNであり;CAVでは、免疫原は好ましくはVP1及び/又はVP2であり;ILTVでは、免疫原は好ましくはgB及び/又はgDであり;AEVでは、免疫原は好ましくはenv及び/又はgag/pro、例えばenv及びgag/pro又はgag/proであり;HEVでは、免疫原は好ましくは100Kタンパク質及び/又はヘキソンであり;TRTVでは、免疫原は好ましくはF及び/又はGであり、さらに家禽ペストには、免疫原は好ましくはHA及び/又はN及び/又はNP、例えばHA及びN及び/又はNPである。したがって、本発明にはかかる組成物及びそのためのキットの作製方法も含まれる。
【0055】
かかる追加的免疫原性組成物(追加的免疫源、抗原又はエピトープ)を含む本発明の免疫原性組成物又はワクチンは、複数の感染、疾病又はそれらの原因となる要因に対して同時に免疫応答又は保護を誘導するという利点がある。この追加的免疫原性組成物は、弱毒化または不活性化した微生物、組換えコンストラクト又はサブユニット(例、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド又はエピトープ)であってもよい。免疫原性、抗原、ポリペプチド、糖タンパク質等のエピトープを過度の実験をせずに定量するために、重複ペプチドライブラリーを産生(Hemmer et al., Immunology Today, 1998, 19 (4), 163-168)、Pepscan (Geysen H. M. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1984, 81(13), 3998-4002; Geysen H. M. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1985, 82(1), 178-182; Van der Zee R. et al., Eur. J. Immunol., 1989, 19(1), 43-47; Geysen H. M. Southeast Asian J. Trop. Med. Public Health, 1990, 21 (4), 523-533; Multipin Peptitde Synthesis Kits de Chiron)及びアルゴリズム(De Groot A. et al., Nature Biotechnology, 1999, 17, 533-561)をエピトープ定量手段として用いることができる。この方法から、ある者は、かかるエピトープをコードする核酸分子を構築することができ、またかかる知見及び当該技術の知識に基づき、例えば免疫原性、エピトープ又は抗原を発現する組換えウイルス、ベクター又はプラスミド等のベクター又はコンストラクトを構築することができる。全て、過度の実験を要することなく行える。
【0056】
薬学的又は獣医学的に許容される担体、媒体又は賦形剤は当業者には既知である。例えば、薬学的又は獣医学的に許容される担体、媒体又は賦形剤は、0.9%のNaCl(例えば、サリン)溶液又はリン酸緩衝剤であってもよい。薬学的又は獣医学的に許容される担体、媒体、又は賦形剤は、ベクター(又はインビトロで、発明のベクターから発現されるタンパク質)の投与を容易にするいかなる化合物又は化合物の組合せでもよい。好ましくは、担体、媒体又は賦形剤は、トランスフェクションを容易にし、及び/又はベクター(又はタンパク質)の保存を改善することができる。本明細書中では、用量及び用量体積は、免疫化及びワクチン方法の一般的な説明に基づいており、当業者が、本開示と当該技術の知識とを組み合わせて、過度の実験を行うことなく決定することができる。
【0057】
本発明の免疫原性組成物及びワクチンは、1又は複数のアジュバントを含む、又は主にそれからなることができる。本発明の実施に適したアジュバントは、以下のとおりである。(1)アクリル酸又はメタクリル酸ポリマー、無水マレイン酸及びアルケニル誘導体ポリマー、(2)1又は複数の非メチル化CpGユニット(Klinman et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1996,93, 2879-2883; WO98/16274)を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド等の免疫賦活性配列(ISS)、(3)水エマルジョン中の油(“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” published by M. Powell, M. Newman, Plenum Press 1995 の147ページに記載されているSPTエマルジョン等)及び同記事の183ページに記載されているエマルジョンMF59、(4)四級アンモニウム塩を含むカチオン脂質、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム、又は、(7)参照のために本明細書で言及又は組み入れられている他のアジュバント、又は(8)それらの組合せ又は混合物。
【0058】
特にウイルスベクターに適切な(3)の水エマルジョン中の油は、以下のものをベースにしてもよい。軽質流動パラフィン油(欧州薬局型)、スクアラン、スクアレン等のイソプレノイド油;イソブテン又はデセン等のアルケンのオリゴマー形成の結果生じる油;植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、ジ(カプリル/カプリン酸)、グリセロールトリ(カプリル/カプリン酸)及びジオレイン酸プロピレングリコール等の酸のエステル又は直鎖アリキル基;特にイソステアリン酸等の、分枝、脂肪アルコール又は酸のエステル。
【0059】
油は、エマルジョンを形成するために、乳化剤と組み合わせて用いられる。乳化剤は、以下のような非イオン性の界面活性剤であってもよい。一方で、ソルビタン、マンニド(mannnide)(例、無水マンニトールオレイン酸)、グリセロール、ポリグリセロール又はプロピレングリコールのエステル;他方で、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸又はヒドロキシステアリン酸、かかるエステルは選択的にエトキシル化又はPluronic 例えばL121等のポリオキシプロプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマーブロックである。
【0060】
(1)のアジュバンドポリマーでは、架橋したアクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、特に糖又は多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋したアクリルポリマーが好ましい。かかる化合物は、カルボマーとして知られている(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)。当業者は、米国特許第2,909,462号を参照することができる。かかる特許は、少なくとも3個のヒドロキシル基、好ましくは8基以下を有するポリヒドロキシル化合物で架橋したアクリルポリマーで、少なくとも3個のヒドロキシル基の水素原子は、少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和脂肪族遊離基で置換できる。好ましい遊離基は、2〜4個の炭素原子、例えばビニール、アリル、他のエチレン不飽和基を有するものである。不飽和遊離基は、メチル等の他の置換基を含んでもよい。Carbopol(BF Goodrich, Ohio, USA)という商品名で市販されている製品が特に適している。アリルショ糖、又はアリルペンタエリスリトルで架橋される。その中でも、Carbopol 974P、934P及び971Pに言及する。
【0061】
マレイン酸−無水アルケニル誘導体コポリマーについては、直鎖の、又は架橋したエチレン−マレイン無水コポリマーであるEMA(Monsanto)が好ましく、例えば架橋したジビニルエーテルが含まれる。J. Fields et al., Nature 186: 778, June 4, 1960も参照する。
【0062】
構造に関しては、アクリル又はメタクリル酸ポリマー及びEMAは、好ましくは以下の式を有するベーシックユニットで形成されている。
【0063】
【化1】

【0064】
式中、
−R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、H又はCHを示し、
−x=0又は1、好ましくは、x=1
−y=1又は2、さらにx+y=2である。
EMAでは、x=0及びy=2であり、カルボマーでは、x=y=1である。
これらのポリマーは、水又は生理食塩水(20g/l NaCl)に可溶性であり、pHは、例えばソーダ(NaOH)で7.3〜7.4に調節でき、発現ベクターを挿入できるアジュバント緩衝剤を提供できる。最終ワクチン組成物中のポリマー濃度は、0.01%〜1.5%w/vの範囲であってもよく、好ましくは0.05%〜1%w/vであり、さらに好ましくは、0.1〜0.4%w/vである。カオチン性の脂質(4)は、プラスミドに好ましいが、適切であるとは限らない四級アンモニウム塩を含み、以下の式を有するものが好ましい。
【0065】
【化2】

【0066】
式中、Rは、12〜18の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖脂肪族遊離基であり、Rは、2〜3の炭素原子を含む異なる脂肪族遊離基であり、Xは、アミン又はヒドロキシ基である。
【0067】
これらのカオチン性脂質の中では、DMRIE(N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパン アンモニウム:WO96/34109)が好ましく、DMRIE−DOPEを形成するには、中性の脂質と会合したものがさらに好ましく、DOPE(ジオレオイル−フォスファチジル−エタノールアミン;Behr J.P. , 1994, Bioconjugate Chemistry, 5,, 382-389)が好ましい。
【0068】
好ましくは、アジュバントとの混合物は、調製物の投与直後に、さらに好ましくは同時に形成されるか、又は調製物の投与の直前に形成される。例えば、投与の直前又は少し前に、プラスミド−アジュバント混合物が形成され、好ましくは投与の前に混合物が複合体を形成するための時間があるくらい前、例えば、投与の10〜60分前、つまり投与の約30分前に形成される。
【0069】
DOPEが存在するときには、DMRIE:DOPEモラー比は、好ましくは、約95:約5〜約5:約95であり、さらに好ましくは、約1:約1、例えば1:1である。
【0070】
DMRIE又はDMRIE−DOPEアジュバント:プラスミド重量比は、50:約1から約1:約10の間、例えば約10:約1から約1:約5、及び好ましくは約1:約1から約1:約2の間、例えば1:1から1:2の間である。
【0071】
1又は複数のサイトカイン(5)は、免疫原性又はワクチン組成物内にタンパク質で存在でき、1又は複数の免疫原性又はそれらのエピトープ(1又は複数)と共に宿主内に同時発現することができる。1又は複数の免疫原性、又はそれらのエピトープ(1又は複数)を発現するのと同じベクター、又はそのための異なるベクターのいずれかによって、1又は複数のサイトカインの同時発現が好ましい。
【0072】
本発明は、かかる組成物の混合物を調製することも含む。例えば、活性組成物、好ましくは、アジュバント、担体、サイトカイン及び/又は希釈剤と共に混合して調製する。
【0073】
本発明に使用されるサイトカインは、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン−1α(IL−1α)、インターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−9(IL−9)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−11(IL−11)、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)及びトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)である。サイトカインが、本発明の免疫原性又はワクチン組成物と同時及び/又は連続して投与することができるものとする。したがって、例えば、本発明のワクチンは、インビボで適切なサイトカイン、例えばワクチンを受ける宿主に適合するサイトカイン、又は免疫応答が誘発されるであろうサイトカイン(例えば、鳥に投与される調製物用のサイトカイン)を発現する外因的な核酸分子を含んでもよい。
【0074】
本発明は、動物の応答を誘発又は誘導するために、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの混合物からなる免疫原性又はワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫応答の誘発又は、免疫学的若しくは防御応答を誘導することを含む。好ましくは、かかる動物は、これに限定されないが、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、クジャク、キジ、ハト、ウズラ又は七面鳥等の鳥類である。もっとも好ましい態様では、鳥類は、鶏、好ましくはブロイラーチキンである。免疫応答を誘発又は免疫学的応答を誘導する方法には、アジュバント、サイトカイン、又は両方を投与することも含んでもよい。
【0075】
免疫応答を誘発又は免疫学的若しくは防御応答を誘導するための有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜約1000個及びアイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個である。好ましくは、免疫応答を誘発又は免疫学的若しくは防御応答を誘導するための有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100〜約500個である。さらに好ましくは、有効量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個である。別の態様では、動物に対するアイメリア・アセルブリナのオーシスト約100,000〜約500,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10,000〜約100,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約100,000〜約500,000個又はアイメリア・テネラのオーシスト約10,000〜約100,000個のチャレンジ用量に耐えうる量である。さらに好ましくは、チャレンジ用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約200,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約20,000〜約50,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約200,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約20,000〜約50,000個である。
【0076】
免疫応答を誘発又は免疫学的若しくは防御応答を誘導するための有効量は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの具体的な比率にも関し、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率が、約10:1〜2:10:2〜10(すらわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個に対し、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、及びアイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個ある)であることを特徴とする。好ましくは、かかる比率は、、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラが5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0077】
本発明の別の態様は、本発明の免疫原性組成物又はワクチン組成物をそれぞれ用いた免疫化の方法、又はワクチン方法である。
【0078】
かかる方法は、動物に対し、本発明の免疫原性又はワクチンの有効量を少なくとも1回投与することを含む。かかる動物は、オスでもメスでもよい。投与は、特に、筋肉内(IM)、皮内(ID)又は皮下(SC)注射で行ってもよく、鼻喉内又は経口投与で行ってもよい。経口投与は、飼料又は飲料水、ゲル又はスプレーと一緒に投与することを含むがこれに限定されない。本発明の免疫原性又はワクチンは、シリンジ又は針を含まない装置(Pigjet 又はBiojector (Bioject, Oregon, USA))によって投与してもよい。好ましい態様では、投与は、経口投与である。
【0079】
本発明の組成物は、例えばポリクロナール抗体又は、モノクロナール抗体のハイブリドーマを産出するために、他の哺乳類、例えばマウスや他の実験動物に投与してもよい。
【0080】
本発明は、動物、好ましくは鳥類の免疫化を提供する。コクシジウムワクチンを投与する方法は、米国特許第4,438,097号;4,639,372号;4,808,404号;5,055,292号;5,068,104号;5,387,414号;5,602,033号;5,614,195号;5,635,181号;5,637,487号;5,674,484号;5,677,438号;5,709,862号;5,780,289号;5,795,741号;5,814,320号;5,843,722号;5,846,527号;5,885,568号;5,932,225号;6,001,363号;6,100,241号に記載されており、その全容は、参照のために組み入れられている。かかる方法は、本発明のワクチンの免疫化有効量を動物に投与することを含む。ワクチンは、当該技術者によく知られている方法で投与することができ、例えば、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、経口、皮内、ブルサ(鶏のベントの上)内、卵内、眼内で投与することができる。投与方法は、当業者によく知られている。鳥は、スプレーキャビネ内でワクチンを投与することができる。全容が参照のために組み入れられている米国特許第4,458,630号及び第6,627,205号に記載されるように、卵内にワクチンを投与することができる。
【0081】
好ましくは、鳥にスプレーキャビネ内でワクチンを投与する。すなわち、鳥をキャビネに入れ、ワクチンを含む蒸気又はスプレー行程にさらされる。または、免疫原性又はワクチン組成物は、飲料水又は飼料に混合して、投与してもよい。
【0082】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストからなる免疫原性又はワクチン組成物を包含する。アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、 アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストは、本明細書内に記載された種培養から単離する。通常、組成物内の胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約10〜約1000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約10〜1000個及びアイメリア・テネラのオーシスト約10〜約1000個の範囲内である。好ましくは、組成物内の胞子形成オーシストは、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約125〜約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約25〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約125〜約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約25〜約500個である。1つの態様では、低用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約125個、アイメリア・マクシマのオーシスト約25個、アイメリア・ミティスのオーシスト約125個及びアイメリア・テネラのオーシスト約25個である。別の態様では、中用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約250個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50個、アイメリア・ミティスのオーシスト約250個及びアイメリア・テネラのオーシスト約50個である。
【0083】
好ましくは、免疫原性又はワクチン組成物の用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100〜約500個である。さらに好ましい態様では、用量は、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個である。
【0084】
本発明は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの具体的な比率にも関し、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率が、約10:1〜2:10:2〜10(すらわち、アイメリア・アセルブリナのスポロシスト10個に対し、アイメリア・マクシマのスポロシストが約1〜2個、アイメリア・ミティスのスポロシストが約10個、及びアイメリア・テネラのスポロシストが約2〜10個ある)であることを特徴とする。好ましくは、かかる比率は、アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラが5:1:5:1(すなわち、10:2:10:2)である。
【0085】
好ましくは、オーシストは、0.01Mのゲンタマイシン含有リン酸緩衝食塩水からなる、保存液に懸濁する。他の態様では、オーシストは、酢酸、クエン酸、ニクロム酸カリウム、又はプロピオ酸等の各種保存液又は有機酸に懸濁させるが、これらに限定されない。例えば、ただし、これに限定されないが、2000用量提示用に1ボトルあたり2ml、5000用量提示用に1ボトルあたり5ml、10000用量提示用に1ボトル10mlを産生するために、30mcg/ml以上のゲンタマイシンを含まない十分滅菌した0.01Mのリン酸緩衝食塩水を用いる。好ましくは、オーシストは滅菌したホウケイ酸ガラスビンに保存される。例えば、オーシストを、無菌状態で、半自動式又は自動式のディスペンサーでワクチンのビンに充填し、栓を機械式又は手動で挿入し、アルミニウムシールを配置、圧着するが、これに限定されない。
【0086】
ワクチンは、2000用量入りビン、5000用量入りビン、010,000用量入りビン、又は20,000用量入りビンを含む複数の用量で商品化される。商品の消費期限は、想定される使用開始日から13ヶ月を超えてはならない。
【0087】
動物、好ましくは鳥類は、どの年齢でもワクチンを受けることができ、最初のワクチンを受ける時に、通常1〜3日齢である。好ましくは、動物は、1度ワクチンを接種する。任意で、ワクチン2用量が使用されるときには、1番目は、動物が3日〜1週齢で接種され、次に、ワクチンを受ける動物の種類によってさらに1〜10週間後に接種される。
【0088】
好ましい態様における、各動物の種類における、使用、用量、投与形態は以下のとおりである。本発明の免疫原性又はワクチン組成物は、1日齢以上の健康な鶏に使用され、コクシジウムによる疾病を予防するために使用される。好ましくは、用量は、100チキンあたり20mlのスプレー水あたり1用量である。
【0089】
本発明は、以下例を参照して詳細に記載されるが、これに限定されない。
【実施例1】
【0090】
実施例1:コクシ製品
製品の組成物
使用される微生物は、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラである。微生物のストック培養の由来は、以下のとおりである。アイメリア・アセルブリナの親は、1969年にヘスアンドクラーク研究所(Hess and Clark Laboratories)のT.K. Jeffersから入手し、単一のオーシストに由来し、米国農務省(USDA)のM.M.Farr博士(ベルツビル、米国)が単離したようである。アイメリア・マクシマの培養は、ジョージア、デラウェア、メリーランド、バージニア及びテキサスから入手した、10個の精製単離物を異種交配した混合物に由来する。アイメリア・ミティス培養の親は、1978年7月にゲインズビル、ジョージアから単離し、単一のオーシストを単離して精製した。アイメリア・テネラ培養の親は、1960年初期からペンシルバニア州立大学でパッテン博士によって維持された培養から入手し、1982年にジョージア大学が入手した。
【0091】
使用されるアイメリア株は、P.L. Long and Joyce K. Johnsonによって”Eimeria of American Chickens: Characteristics of Six Attenuated Strains Produced by Selection for Precocius Development”の題で、Avian Pathology, 17: 305-314, 1988に記載されているそれぞれの早熟株である。かかる文献の開示は、その全容が参照のため組み入れられている。微生物は、かかる方法により、早熟発展により、選択され、弱毒化された。
培養:製品に使用される各アイメリア種は、それぞれの特徴的な微小の概観、サイズ、形状及び鶏の感染した腸領域又は盲腸により、Long, P.L. and W. M. Reid, A guide for the diagnosis of cocciodiosis in chickens. Re. Report 404 (Report 355 revised), Athens, GA: College of Agriculture Experiment Station, Univ. of Georgia; 1982に記載されるように同定された。かかる文献の全容は、参照のため組み入れられている。
【0092】
微生物は、上記のとおり早熟な発育用に選択され、弱毒化された。各培養は、9CFR(米国農務省告示)113.37に記載されるプロセスを使用した検査によると、病原体は含まれていなかった。上記のストック培養は、液体窒素の液体又は蒸気相に保存された。
【0093】
2〜8週齢の鶏を、種培養の作製に用いた。投与形態は、per os(すなわち、経口)であった。全ての種は、胞子形成オーシストで、2〜8週齢のSPFチキンで産出された。各アイメリア種に専用の鶏舎を容易した。十分な量の胞子形成オーシスト(種)は、抗コクシジウム抗体を含まない飼料と混合するか、胃管栄養法により、表1に記載される最低用量を各鶏に投与した。胞子形成オーシストは、2〜8週齢のSPFチキンで、継代に制限されることなく連続して通過し、胞子形成オーシストの数が製品化できる種として使用するために十分となるまで行った。培養は、生存度/感染力を維持するために12ヶ月より長く行わない。
【0094】
【表1】

【0095】
接種の3日目〜8日目まで、毎日糞便を回収した。鶏をランダムに犠牲にし、ミティス以外の各種で、感染の特徴を観察した。外因性の疾病の兆候がある場合には、回収は行わなかった。
【0096】
参考のためのストック培養は、液体窒素に保存した。培養物の製品は、5±3℃で維持し、2〜8週齢のSPFチキンに通過させた。
【0097】
播種又は接種用の懸濁液の調製は、2〜8週齢のSPFチキンの種培養の継代通過に関与し、製造に十分な数のオーシストが形成されるまで行った。
【0098】
十分な量の胞子形成オーシスト(種)を抗コクシジウム抗体を含まない飼料に混合し、各鶏に、表1に記載される最低用量を与えるように投与した。接種後3日目〜8日目まで、1バスから糞便を回収した。鶏をランダムに犠牲にし、ミティス以外の各種で、感染の特徴を観察した。外因性の疾病の兆候がある場合には、回収は行わなかった。微生物は、上記のとおり早熟な発育用に選択され、弱毒化された。
回収:製品化するために、微生物を取り除く前に、鶏は、個別の種の製品化に割り当てられた鶏舎に入れられた。鶏に、抗コクシジウム抗体を含まない飼料を与え、水は無制限に与えた。接種の3日目〜8日目まで毎日糞便を回収し、処理するまで5±3℃で維持した。
【0099】
製品化を行うための微生物の回収技術は、以下のとおり回収を行った。糞を約10%(w/v)の割合で水中で均質化する。ホモジネートをスクリーニングして大きな粒子を除去する。個体を、遠心分離、スクリーニング、又は5±3℃で24時間維持するかのいずれかの手段により分離する。個体を、5±3℃で維持することにより単離した場合には、遠心分離によりさらに濃縮する。上清を処分し、個体を飽和NaCl(80%w/v)溶液で水中で再懸濁した。その結果生じた溶液を遠心分離した。オーシストを液体の上部から回収(除去)し、水に再懸濁した。任意で、残りの液体を、20〜40%のNaClと水で希釈し、遠心分離した。ペレットを飽和NaCl溶液に再懸濁し、再度遠心分離し、オーシストが追加的に回収されなくなるまで続けた。オーシストは2回以上洗浄しない。オーシストを、無塩状態になるまで、洗浄、再懸濁、遠心分離サイクルを繰り返し行い、その後10〜15分間の0.5%次亜塩素酸ナトリウムで再懸濁した。その後、オーシストを次亜塩素酸ナトリウムがなくなるまで、遠心分離と再懸濁ステップを繰り返し(3×)、洗浄した。最終懸濁液を、2.5%のニクロム酸カリウム(KCrO)水溶液で作製した。その後オーシストを胞子形成管に移動した。27±3℃で、72時間を越えない期間、空気と懸濁液を散布して胞子形成を容易にした。胞子形成後、オーシストは、最終製品が産生されるまで5±3℃で維持される。
【0100】
他の好ましい態様では、応用できる回収の詳細は、以下のとおりであった。第一に、胞子形成オーシストと全体のオーシストとの比率は決定されている。40%以上の胞子形成のみの回収が許容範囲とされた。次に、回収するオーシストのサイズ、形状及び概観は、製品化される種の特徴を有さなければならない。
製品で使用されずに処分した物質は、9CFR114.15に準拠した方法で廃棄された。
【0101】
製品の調製:最終製品のシリアル又はサブシリアルは、バルクハーベスト溶液を用いて集めた。全てのオーシストは、早熟株であるため、上記のとおり弱毒化した。オーシストは、30.0mg以上のゲンタマイシンを含まないリン酸緩衝剤生理食塩水0.01Mからなる保存剤に懸濁した。少なくとも表2に記載するそれぞれの種の胞子形成オーシストの最終的な数を産出するように製品を標準化した。
【0102】
【表2】

【0103】
シリアルを下記のとおり集めた。アイメリアの4つの種のそれぞれのバルク懸濁ロットを5±3℃の保存室から出し、攪拌しながら外界の室温まで温めた。上記表2記載の1用量あたりのオーシストの数以上の量を産出するように、各バルク懸濁液の数に基づいて、各ロットから十分な量を回収し組み合わせた。必要であれば、各アイメリア種の複数のロットを組合せ、胞子形成オーシストの必要な数にした。2000用量提示用に1ボトルあたり2ml、5000用量提示用に1ボトルあたり5mlを産出するために十分に無菌の、30mcg/ml以上のゲンタマイシンを含まないリン酸緩衝生理食塩水0.01Mを、5000用提示用には1ボトルあたり5ml、100000用量提示用には1ボトルあたり10mlを使用した。バルクシリアルは、安定した方法で攪拌し続けた。
【0104】
【表3】

【0105】
平均的な10,000用量シリアルは、20L〜40Lの範囲内である。充填する量は、1000用量あたり1.0mlである。ワクチンボトルは滅菌したホウケイ酸ガラスビンである。
【0106】
容器に充填し、シールする方法は以下のとおりである。ワクチンは、半自動式又は自動式のディスペンサーでワクチンのビンに充填し、栓を機械式又は手動で挿入し、アルミニウムシールを配置、圧着する。
【0107】
各用量は、バルク数に基づき、表2記載の胞子形成オーシストの用量以上を含む。一回の操作でバッチされ、充填される各量にシリアル番号が付けられる。
【0108】
検査:各シリアルの純度を、9CFR113.37(e)記載の方法で検査した。どのインキュベーション条件においても、平均数は1用量あたり1コロニーを超えてはならない。最初の検査で、いずれかのインキュベーション条件において、平均数が1用量あたり1コロニーを超える場合には、未開封の最終容器20個を使用して再検査を行った。最終検査で、いずれかのインキュベーション条件において、平均数が1用量あたり1コロニーを超える場合には、シリアルは不出来である。
【0109】
サルモネラは、次亜塩素酸塩ナトリウムとジクロム酸カリウムの両方で有効に死滅することが示されているので、追加検査は行わなかった。マイコプラズマは、次亜塩素酸塩ナトリウムで有効に死滅することが示されているので、追加検査は行わなかった。
【0110】
各シリアルの外因性病原体を、9CFR113.37に従ってテストした。
【0111】
ワクチンの安全性をテストするために、少なくとも1日齢の特別な病原体を有さない25羽の鶏に、10用量のワクチンをスプレーワクチンで接種した。鶏を21日間毎日観察した。その期間中に死亡した鶏を観察し、死因を特定した。少なくとも20羽が観察期間中に生存しなければ、テストの結論は出ない。ワクチンに、いかなる病変も直接にワクチンに起因しなければ、シリアルは不出来である。ワクチンの特徴である中度の病変は、正常とみなされ、安全性の評価では考慮されなかった。観察期間中、20羽以下の鶏しか生存しなく、ワクチンに起因する死亡、重度の病変もなかった場合には、任意で検査を1回繰り返す。検査を繰り返さない場合、シリアルは不出来であると宣言される。
【0112】
生産用の種のそれぞれの新規バスから生産された最終製品の最初のシリアルは、効能を検査される。製品は、1〜14日齢のSPF又はブロイラーチキンで検査される。かかる生産用の種から生産された連続したシリアルは、上記で特定した製剤化以前の数と、接種した鳥からオーシストを回収して、効能を検査した。70羽以上の鶏を使用しなかった。35羽以下の鶏に、1フィールド用量のワクチンを経口投与した。最初のワクチンから26日〜30日後、全ての鶏を個別に特定し、体重を記録した。下記のグループからそれぞれ10羽以下のワクチン接種鶏と10羽以下のコントロールに、表4記載のチャレンジ用量の1.0mlをそれぞれ経口投与した。
【0113】
【表4】

【0114】
チャレンジ用量は、病変が、選択したレベルで少なくとも2の値となるようにして選択した。
【0115】
チャレンジの6日後、表4記載のグループからそれぞれのワクチン接種鶏とコントロールを犠牲にし、体重を測定し、腸と盲腸を検査し、病変のスコアを評価した。Experimental Paristology, Vol. 28, p. 30-36, 1970 に記載されているJohnson and Reid コクシジウムスコアリングシステムに基づいてスコアリングを行った。かかる開示の全容は、参照のため組み入れる。表5参照。
【0116】
【表5】

【0117】
調製後のステップ:ワクチンは、2000用量入りのビン、5000用量入りのビン、010,000用量入りのビン、又は20,000用量入りのビンを含む、複数の用量で商品化される。回収、保存及び代表的なサンプルの服用は、9CFR113.3に準拠して行った。製品の消費期限は、想定される効能テスト開始の日から13ヶ月を超えず、9CFR114.13に基づいて確認される。
【0118】
それぞれの動物の種類への使用、用量及び投与経路は、以下のとおりである。本製品は、1日齢又はそれ以上の健康な鶏にコクシジウムによる疾病を予防するための補助として使用された。スプレー水による鶏1羽あたりの1用量は、鶏100羽あたり20mlである。
【実施例2】
【0119】
市販されている生コクシジウムワクチンと市販されている鳥用の抗コクシジウム薬であるサリノマイシンとを比較した、弱毒化した鳥コクシジウム株を含む実験的ワクチンの効能
本実施例の目的は、伝染性アイメリア種のチャレンジからブロイラーチキンを保護するためのUSDA承認生オーシストワクチン(Coccivac-B)と弱毒化アイメリアオーシストワクチンとを比較して効能を決定し、従来の抗コクシジウム薬サリノマイシンと弱毒化ワクチンの使用を比較することである。
【0120】
ターゲットとなる変数は以下のとおりである。主要な変数は、腸の病変スコアであった。合格判定基準は、チャレンジ後の腸内病変スコアが、ワクチンを接種していない、チャレンジコントロール鳥と比較すると低いことである。第2の変数は、(1)7週間の成長期における体重増加と飼料転換と、(2)死亡率である。合格判定基準は、ワクチン接種した鳥と、Coccivac Bを接種した鳥及び抗コクシジウム薬で治療した鳥とで、同じ又は多くの体重増加及び飼料転換を観察すること、及び、ワクチン接種鳥の死亡率が、未接種コントロール鳥、Coccivac Bを接種した鳥、抗コクシジウム薬で治療した鳥より低いことを含む。
【0121】
材料:ワクチンは、表6に記載する。
【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
全ての動物を、同じように、健康に留意して管理した。動物を、全ての適用される規則に準拠して扱った。
【0126】
実験計画:実験計画は、以下のとおりである。
【0127】
【表9】

【0128】
スケジュールは以下のとおりである。0日目に、鳥の体重をオリ(pen)で測定した。クレープ1及び2の鳥を、表9記載のように、ワクチン計画あたり1300羽を、2つのオリに分け、それぞれを鶏舎の半分に入れてワクチン接種を行った。グループ3の鳥は、グループ1及び2のように分割して、60g/トンのサリノマイシンで開始した。オリを貯蔵した。余分の同腹を、未接種ヒヨコとして鳥かごに残した。
【0129】
21日目に、全ての鳥の飼料を、ヒナ用から育成用に変えた。グループ3では、サリノマイシンを継続した。
【0130】
28日目に、チャレンジを行う鳥を鳥かごに移動した。グループ3のチャレンジを行う鳥は、サリノマイシンを停止した。全ての鳥及び飼料を測定した。大きなオリの各グループの同腹仔から、1オリあたり10サンプルの新鮮な糞便のサンプルを回収した。オーシストを、種ごとに定量した。
【0131】
29日目に、表7に記載の数のオーシストを使用して、かごの鳥のチャレンジを行った。
【0132】
35日目に、鳥のチャレンジを終了し、病変のスコアリングを行い、体重増加を測定した。
【0133】
42日目に、全てのグループを、非薬用最終的な飼料に変え、フィードバックを測定した。
49日目に、全ての鳥と飼料を測定し、トライアルを終了した。
実験手順
ワクチン/投薬。 表9でグループ1〜3と特定された鳥に対して、鶏舎の半分で、1鶏舎あたり3つのオリ、1オリあたり650羽の鳥、つまり1治療あたり合計1300羽の鳥で治療を3回行った。グループ1〜3の鳥に、表9記載のようにワクチン接種した。追加の治療グループ(4)を、清潔なかごに、未接種、未治療のコントロールとして、チャレンジテストでのみ使用されるように分けて維持した。
【0134】
治療グループ1、2及び4に、非薬用飼料を与えた。治療グループ3には、1日目から42日目まで、サリノマイシン(60g/トン)を与えた。チャレンジを行うグループ3の鳥には、チャレンジ用のかごに移動した後、非薬用飼料を与えた。ヒナ用の飼料を21日目まで与え、育成用飼料を42日目まで、最終飼料を49日目まで与えた。与えた飼料は記録され、未消費の飼料の重さを、飼料交換時と終了時に引いた。
【0135】
観察。 0日目及び28日目にオリごとに鳥の体重を測定し、49日目に性別ごとに測定した。死亡した鳥は、1日に2度回収し、死因を特定するために検視を行った。28日目に回収した糞便サンプルで、生存するオーシストを観察し、種ごとに定量した。
【0136】
チャレンジ。 28日目に、それぞれのオリから10羽の代表3羽(1治療あたり合計60羽)の体重を測定し、アイメリア野生株(field strain)(ワクチンに使用される種に相当)でのチャレンジ用にバッテリーケージに移動した。全ての鳥に、非薬用飼料をかごの中で与えた。29日目に、グループ1〜4の鳥はチャレンジを行い、35日目に終了した。病変スコア及び体重を記録した。
【0137】
動物をワクチンの接種前に鶏舎からランダムに取り出して、各治療グループにランダムに割り当てた。科学者たちは、グループ間の交差感染を防ぐための安全性を厳しく保つために、盲検としなかった。
【0138】
同時治療及び副作用の管理。 コクシジウムワクチンを接種した鳥は、トライアル開始14日目に発症した。診断によると、壊死性腸炎であった。原因となる薬剤は、クロストリジウム・ソルデリであると特定された。オリ間の汚染とその副作用を減少し、コクシジウムの結果を曲げる可能性のあるグループ間の治療の相違を失くすために、トライアル中の全ての鳥にPenicillin G を投与した。
【0139】
データ分析:
測定基準。 フロアペンステージの最初の変数は、28日目及び49日目の生体重と、49日目の飼料転換であった。チャレンジステージでは、最初の変数は、チャレンジ後6日後の体重増加、と同じくチャレンジ6日後の盲腸領域の上部、中部、下部における病変スコアであった。
【0140】
統計分析。 全ての統計分析を、SAS、Cary、NC(8.2版)を使用して行った。統計的な有意性は、本研究で検査されたヌル仮定(null hypotheses)の両側検定(two tailed test)に基づき、その結果p値は、0.05以下であった。
【0141】
腸内病変スコア。 チャレンジ後の腸内コクシジウム病変スコアの発生と深刻さ(カテゴリー病変スコア)は、(データの性質によって)治療グループ及びブロックの要素を用いた分析及び/又は治療グループ及びブロックの要素を用いた生存分析を行った。
【0142】
死亡率。 伝染性アイメリア種のチャレンジで死亡した場合には、ANOVA(すなわち、変数の分析)を、治療グループ及びブロックの要素を用いて行い、全体の死亡率と比較して顕著な相違が存在するかどうか(死亡した日とは無関係に)各治療グループで調べた。
【0143】
体重増加及び飼料転換
フロアペンステージ。 治療グループの間で、各治療グループで生体重に顕著な相違があるかどうかを定量するために、対応のある2群の比較(Paired t-test)(ブロックごと、及びグループ全体として。ブロック効果を考慮しない)を行った。対応のある2群の比較には、0日目と28日目の体重比較(チャレンジ前)及び28日目VS49日目の体重比較(チャレンジ後)も含まれる。
【0144】
各治療グループで飼料転換に顕著な相違があるかどうかを定量するために、対応のある2群の比較(Paired t-test)(ブロックごと、及びグループ全体として。ブロック効果を考慮しない)を行った。対応のある2群の比較には、28日目と49日目の飼料転換体重比較(チャレンジ後)及び42日目と49日目の飼料転換体重比較(非薬用飼料効果)も含まれる。
【0145】
治療グループ間で、各グループ間の生体重に顕著な相違が存在するか否かを定量するために、治療グループ、日数、ブロック、及びグループ−日数の相互関係の要素と共に反復手段であるANOVAを使用し、毎日体重を記録した。
【0146】
チャレンジステージ。 治療グループ間で、各治療グループの生体重に顕著な相違が存在するかどうかを定量するために、対応のある2群の比較(Paired t-test)ブロックごと、及びグループ全体として。ブロック効果を考慮しない)を行った。対応のある2群の比較には、28日目と35日目の体重比較(チャレンジ後6日後)も含まれる。
【0147】
結果:
【0148】
【表10】

【0149】
【表11】

【0150】
【表12】

【0151】
討論: 実験ワクチンと、アイメリア・マクシマ、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・ミティスチャレンジで、実験ワクチンとCoccivacとの病変スコアには、顕著な相違はなかった。実験ワクチンと比較して、アイメリア・テネラでは、実験ワクチンと比べて、Coccivacの病変スコアが低かった。
【0152】
Coccivacを接種した鳥が、クロストリジウム・ソルデリに感染したことは興味深い。クロストリジウム病は、当該技術では、コクシジウム感染と関連しているとされていた。感染によって他の治療に広がったが、Coccivacを接種した鳥がもっとも影響を受け、11.77%の死亡率を示した。
【0153】
結論 実験的アイメリア株のチャレンジは、伝染性チャレンジでは、効果を示した。実験株を接種した鳥は、Coccivac及びサリノマイシンで治療した鳥と49日目に比較したところ、飼料転換で定義される鳥への効果は優れていた。これは、養鶏場に経済効果を与える。
【0154】
本発明の好ましい態様を詳細に記載したが、本発明は、上記記載の特別な詳細に限定されず、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、さまざまな改変が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主にアイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの混合物からなる、免疫原性又はワクチン組成物。
【請求項2】
混合物が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100〜約250個の組合せであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
混合物が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個の組合せであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率が、約10:1〜2:10:2〜5であることを特徴とする、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マクシマ、アイメリア・ミティス及びアイメリア・テネラの早熟株から単離した胞子形成オーシストの混合物を含む、免疫原性又はワクチン組成物。
【請求項5】
アイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラの比率が、約5:1:5:1であることを特徴とする、請求項4の組成物。
【請求項6】
鶏の応答を誘導するために、請求項1記載の免疫原性又はワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫応答を誘発する方法。
【請求項7】
鶏の応答を誘導するために、請求項1記載の免疫原性又はワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫学的又は防御応答を誘導する方法。
【請求項8】
鶏の応答を誘導するために、請求項4記載の免疫原性又はワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫応答を誘発する方法。
【請求項9】
鶏の応答を誘導するために、請求項4記載の免疫原性又はワクチン組成物の有効量を投与することを含む、免疫学的又は防御応答を誘導する方法。
【請求項10】
有効量が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約50〜約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100〜約250個であることを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項11】
有効量が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約500個、アイメリア・マクシマのオーシスト約100個、アイメリア・ミティスのオーシスト約500個及びアイメリア・テネラのオーシスト約100個であることを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項12】
有効量が、約5:1:5:1の比率のアイメリア・アセルブリナ:アイメリア・マクシマ:アイメリア・ミティス:アイメリア・テネラであることを特徴とする、請求項8又は9記載の方法。
【請求項13】
動物に対する有効量が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約100,000〜約500,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約10,000〜約100,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約100,000〜約500,000又はアイメリア・テネラのオーシスト約10,000〜約100,000個のチャレンジ用量に耐えうる量であることを特徴とする、請求項6〜9いずれか記載の方法。
【請求項14】
チャレンジ用量が、アイメリア・アセルブリナのオーシスト約200,000個、アイメリア・マクシマのオーシスト約20,000〜約50,000個、アイメリア・ミティスのオーシスト約200,000個、又はアイメリア・テネラのオーシスト約20,000〜約50,000個であることを特徴とする、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2006−510671(P2006−510671A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559402(P2004−559402)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/038903
【国際公開番号】WO2004/052393
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505217686)ユニヴァーシティー オヴ ジョージア リサーチ ファンデーション インク (1)
【Fターム(参考)】