説明

コクシジウム症ワクチン

本発明は、コクシジウム症からの防御をもたらすワクチン、ならびに単独で又は他の防御物質と組合せて該ワクチンを製造する及び使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コクシジウム症からの防御をもたらすワクチンに関する。単独で又は他の防御物質と組合せて該ワクチンを製造する及び使用する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
コクシジウム症は、世界中で家畜を冒す、動物の腸疾患である。畜産に基づく産業は、しばしば、コクシジウム症のため、罹患家畜による経済的損失ならびに該疾患を軽減および/または予防すると意図される予防的治療のための費用を含むかなりの損失に直面している。そのような損失は、鳥類の集中的な収容がコクシジウム症の広がりを促進する養鶏業で特に問題とされる。
【0003】
コクシジウム症の病因は偏性細胞内胞子虫類亜綱コクシジア(Coccidia)のメンバーである。畜産に大きな影響を及ぼすこの亜綱の属の1つはエイメリア(Eimeria)である。密接に関連している属であるイソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)およびクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の場合と同様に、エイメリア(Eimeria)は、その生活環を完了するために単一の宿主を要するに過ぎない。天然条件下、この生活環は環境からの胞子形成オーシストの摂取により開始する。
【0004】
エイメリア(Eimeria)は、宿主種および組織の両方に対する高度な特異性を示す、複雑な一宿主性生活環を有する単細胞寄生生物である。エイメリア(Eimeria)属種には、ニワトリにおいて見出されるもの:エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・ブルネッティ(E.brunetti);ならびにシチメンチョウにおいて見出されるもの:エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)、エイメリア・アデノエイデス(E.adenoeides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、エイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)、エイメリア・メレアグリディス(E.meleagridis)、エイメリア・イノクア(E.innocua)およびエイメリア・スブロツンダ(E.subrotunda)が含まれる。それぞれの種は発生のための好ましい腸内部位を有し、生活環を完了するのに要する期間は種によって様々であるが、エイメリア(Eimeria)の生活環の段階はエイメリア(Eimeria)の全ての種で実質的に同じである。
【0005】
多数のエイメリア(Eimeria)属種は、経口経路、鼻経路により、および/または鼻涙管内への感染粒子の侵入により、単一宿主に感染しうる。該寄生生物は、摂取されると、腸粘膜細胞に侵入し、生活環の無性および有性段階となる。生じた腸損傷は、最終的に、成長阻害(発育阻害)、食餌利用低下、色素沈着の喪失、および死亡率の増加を招きうる。また、腸裏打ち層への損傷は、その動物を、他の感染状態に罹り易くする。例えば、罹患ニワトリはクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)誘発性壊死性腸炎に罹り易くなる。
【0006】
感染は宿主による胞子形成エイメリア(Eimeria)オーシストの摂取により開始する。ついで、摂取されたオーシストは宿主の腸内でスポロシストを放出する。該スポロシストはスポロゾイトを放出し、これは腸上皮細胞に侵入し、ついで栄養型に変化する。そして該栄養型は、メロゾイト形成として公知の過程を経て、第1世代シゾントを形成する。その比較的大きなサイズのため、該感染の主な病原性効果、すなわち、宿主に対する組織損傷を引き起こすのはシゾントである。
【0007】
初期世代のシゾントは多数のメロゾイトを産生し、これらは放出され、ついで成長し、次世代のシゾントを形成する。この無性相は有性相の開始前に種々の世代数にわたって続く。無性相は、該シゾントが雄性配偶子細胞および雌性生殖体を形成した際に開始する。ついで該雄性配偶子細胞は雄性生殖体へと発育し、これは雌性生殖体を受精させて未胞子形成オーシスト後代を産生する。ついで該未胞子形成オーシストは腸内腔内に放出され、宿主の糞便と共に排泄される。宿主の糞便中の未胞子形成オーシストの出現により示される、該生活環の完了は、開存性(patency)として公知である。
【0008】
該オーシストの胞子形成は、環境条件が良好な場合には、宿主の外部で生じる。宿主による胞子形成オーシストの不可避的摂取が次の感染サイクルを開始させる。宿主による胞子形成オーシストの摂取から糞便中の未胞子形成オーシストの出現までの時間は発症前(prepatent)期間と称される。発症前期間は種々のエイメリア(Eimeria)属種の間で異なる。
【0009】
エイメリア(Eimeria)感染に反復的にさらされた家禽はコクシジウム症からの免疫を獲得しうる。実際、各エイメリア(Eimeria)属種の免疫原性にもよるが、ブロイラーへの少数の胞子形成オーシストの日常的感染は、僅か2回の反復感染の後で、完全な免疫を該トリに獲得させうる。したがって、生エイメリア(Eimeria)ワクチンを使用する現在の方法は、獲得免疫の原理、すなわち、少数の感染性オーシストによる反復感染に基づく。
【0010】
ワクチン接種は、一般に、該トリの誕生の日に孵化場において、生エイメリア(Eimeria)ワクチンをトリに直接投与することにより、あるいはそれらの食餌および/または飲料水に適用することにより行われる。前記のとおり、該感染性オーシストは、エイメリア(Eimeria)の種に応じて5〜11日後の新たな世代の未胞子形成オーシストの放出と共に、トリの腸管内でのそれらの生活環を完了する。ついで、糞便と共に排泄された未胞子形成オーシストは外部環境中で感染性(すなわち、胞子形成性)となり、宿主による摂取によりトリに再感染する。2または3サイクルのそのようなサイクルの後、該トリはコクシジウム症に対して免疫された状態となる。この免疫は、(i)腸内で顕微鏡により観察される寄生生物の減少および/もしくは非存在、(ii)該オーシストの放出の減少、(iii)腸病変の軽減、(iv)臨床的疾患の軽減、ならびに/または(v)体重減少の軽減もしくは予防により特徴づけられる。獲得免疫は、後に感染性オーシストに対する曝露が無ければ、3〜4ヶ月の期間にわたって徐々に弱くなる。
【0011】
野生型エイメリア(Eimeria)は、一般に、家禽群における突発的な臨床的疾患から分離され、病原性チャレンジ株として使用するために増殖されうる。典型的な非弱毒化ワクチンは、実験継代により維持された種々のエイメリア(Eimeria)属種の軽度ないし中等度に病原性の株からの感染性オーシストから構成される。これらの非弱毒化エイメリア(Eimeria)は、その多数が摂取されると、コクシジウム症を引き起こしうる。ワクチンの製造業者および使用者は、そのワクチン接種が、ナイーブ宿主において疾患を誘発しないが免疫を惹起するのにちょうど十分な感染性オーシストを提供することが保証されるよう、注意しなければならない。該初期投与後のワクチン接種過程は専ら、該宿主による同腹子からの胞子形成オーシストの摂取を介した再感染に基づく。
【0012】
弱毒化ワクチンは、弱められた病原性を有する感染性オーシストから構成される。弱毒化病原性と、より短い発症前期間を有することとの間には強い相関性があるため、多数の弱毒化株は早発性(precocious)でもある。これと合致して、短縮された発症前期間を有する弱毒化系統は一般に「早発性系統」と称される。
【0013】
したがって、エイメリア(Eimeria)の病原性の弱毒化の幾つかは、宿主動物における寄生生物の反復継代中のオーシストの早期出現に関して選択することにより達成されうる。このようにして、著しく短縮された発症前期間および著しく弱められた病原性を有する或る与えられたエイメリア(Eimeria)属種の集団が特定されている。観察される病原性の軽減の原因は完全に理解されているわけではないが、それは少なくとも1つの世代のシゾントの枯渇および/またはそのサイズの減少ならびにそれによる宿主における組織損傷の軽減に関連していると一般に考えられている。
【0014】
非弱毒化ワクチンおよび弱毒化ワクチンには共に、利点および欠点がある。非弱毒化寄生生物から構成されるワクチンの利点の1つは、該寄生生物が多数で増殖して、環境中の、オーシストの、より速い蓄積をもたらすことであり、これはトリの再感染および後続免疫に必要である。一方、ナイーブニワトリの腸管における非弱毒化エイメリア(Eimeria)の増殖の過程は、動物の健康不良、飼育効率の低下、ならびに二次感染および炎症を含む他の有害な影響をもたらす病変を生成しうる。
【0015】
非弱毒化ワクチンのもう1つの欠点は、各トリが適切な初期用量の投与を受けることが保証される必要があることである。なぜなら、接種物の量が多すぎると重篤な腸病変が生じ、接種物の量が少なすぎると群れのなかで相対的に免疫過程の開始の遅延が生じるからである。後者の場合、不十分な初期用量の投与を受けたトリは、初期発症前期間後に同じ群れのトリにより排泄される増幅した数の感染性オーシストによるチャレンジにより圧倒され易くなりうる。実際、そのような後続のエイメリア(Eimeria)チャレンジの前の十分な免疫の欠如は、おそらく、生非弱毒化ワクチンが使用された場合に経験される失敗のほとんどの原因である。
【0016】
弱毒化ワクチンの主な利点の1つは、それらが最低限の病変しか引き起こさないことである。しかし、弱毒化ワクチンは非弱毒化株より少数のオーシストを産生するに過ぎず、環境中の感染性オーシストの蓄積を遅らせ、それにより初期発症前期間後の再感染の可能性を低下させる。そしてこれは、該免疫化が完全に確立されるのに要する時間を延長させ、更には全体的な免疫化過程を妨げうる。環境中の、感染性オーシストの、より遅い蓄積は、エイメリア(Eimeria)属種エイメリア・マクシマ(E.maxima)に対して免疫化する場合に特に問題となる。なぜなら、野生型エイメリア・マクシマ(E.maxima)は比較的多数のオーシストを産生するからである。
【0017】
単一の宿主種は複数のエイメリア(Eimeria)属種に感染しうるため、コクシジウム症に対する生ワクチンは、通常、いくつかのエイメリア(Eimeria)属種からのオーシストを含むよう設計される。現在のところ、以下の3つのタイプのそのような生ワクチンが存在するに過ぎない:実験用培養オーシストのみから構成される非弱毒化ワクチン、弱毒化オーシストのみから構成される弱毒化ワクチン、および幾つかのエイメリア(Eimeria)属種からのオーシストが非弱毒化体であり、他のエイメリア(Eimeria)属種からのオーシストが弱毒化体である混合ワクチン。残念ながら、これらのワクチンはいずれも、前記の欠点を克服していない。実際、エイメリア(Eimeria)感染によるコクシジウム症からの、産業に対するかなりの損害と併せて、生エイメリア(Eimeria)ワクチンの現在のタイプのそれぞれの重大な欠点を考慮すると、損害の大きいこの腸疾患から家禽をより良好に防御しうる改良されたワクチンが長年にわたって尚も必要とされている。
【0018】
本明細書中のいずれの参考文献の引用も、そのような参考文献が本出願の「先行技術」として利用可能であることを自認するものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0019】
(発明の概括)
したがって、本発明は、コクシジウム症に対するワクチンにおいて使用されうる新規免疫原性組成物を提供する。本発明の1つの態様においては、胞子虫類コクシジア(Coccidia)属の単一種の、少なくとも2つの異なる株を含むワクチンを提供し、ここで、該胞子虫類コクシジア(Coccidia)属の単一種の、少なくとも2つの異なる株は、互いに対して非同期の発症前期間を有する。
【0020】
1つの実施形態においては、該ワクチン組成物は、コクシジア(Coccidia)属の種の第1株と、その同じ種の第2株とを含み、ここで、第1株と第2株とは非同期の発症前期間を有する。1つのそのような実施形態においては、該コクシジア(Coccidia)属はイソスポラ(Isospora)である。もう1つの実施形態においては、該コクシジア(Coccidia)属はシストイソスポラ(Cystoisospora)である。さらにもう1つの実施形態においては、該コクシジア(Coccidia)属はクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)である。特定の実施形態においては、該コクシジア(Coccidia)属はエイメリア(Eimeria)である。
【0021】
コクシジア(Coccidia)属のあらゆる組合せを含む多価ワクチンも提供する。特定の実施形態においては、2以上のそのような個々のコクシジア(Coccidia)属の、2以上の株を含むワクチンを提供する。このタイプの実施形態においては、該ワクチンは、複数のコクシジア(Coccidia)属の株のペアを含み、ここで、該コクシジア(Coccidia)属の単一種の株の複数のペアは非同期の発症前期間を有する。特定の実施形態においては、該ワクチンは、非同期の発症前期間を有するシストイソスポラ(Cystoisospora)の単一種の株のペアと、非同期の発症前期間を有するイソスポラ(Isospora)の単一種の株のペアとを含む。もう1つの実施形態においては、該ワクチンにおけるコクシジア(Coccidia)属の単一種の株のペアの全ては非同期の発症前期間を有する。
【0022】
1つの実施形態においては、該ワクチンにおける胞子虫類コクシジア(Coccidia)属の種の第1株は非弱毒化株であり、第2株は早発性株である。このタイプの特定の実施形態においては、該早発性株は弱毒化株でもある。
【0023】
本発明のワクチンは、胞子虫類の生活環の1以上、更には全段階の混合体を含むその生活環の任意の段階の胞子虫類を含みうる。特定の実施形態においては、該ワクチンにおける胞子虫類はオーシストである。もう1つの実施形態においては、該胞子虫類はスポロゾイトである。さらにもう1つの実施形態においては、該スポロゾイトはメロゾイトである。さらにもう1つの実施形態においては、該胞子虫類はメロゾイトおよび/またはスポロゾイトおよび/またはオーシストの混合物である。
【0024】
本発明のある態様においては、特定の比および/または量においては、コクシジア(Coccidia)属の同一種の非弱毒化胞子虫類および早発性胞子虫類を含むワクチンを提供する。したがって、特定の実施形態においては、本発明のワクチンは、コクシジア(Coccidia)属の同一種の非弱毒化胞子虫類および早発性胞子虫類を含み、ここで、該ワクチンにおける早発性胞子虫類に対する非弱毒化胞子虫類の比は約4の早発性胞子虫類に対して約1の非弱毒化胞子虫類である。このタイプのもう1つの実施形態においては、同一種の早発性胞子虫類に対する非弱毒化胞子虫類の比は約2の早発性胞子虫類に対して約1の非弱毒化胞子虫類である。さらにもう1つの実施形態においては、同一種の早発性胞子虫類に対する非弱毒化胞子虫類の比は約1の早発性胞子虫類に対して約1の非弱毒化胞子虫類である。さらにもう1つの実施形態においては、同一種の早発性胞子虫類に対する非弱毒化胞子虫類の比は約1の早発性胞子虫類に対して約2の非弱毒化胞子虫類である。さらにもう1つの実施形態においては、同一種の早発性胞子虫類に対する非弱毒化胞子虫類の比は約1の早発性胞子虫類に対して約4の非弱毒化胞子虫類である。このタイプの特定の実施形態においては、該非弱毒化胞子虫類は非弱毒化オーシストである。もう1つの実施形態においては、該早発性胞子虫類は早発性オーシストである。さらにもう1つのワクチン実施形態においては、該非弱毒化胞子虫類は非弱毒化オーシストであり、該早発性胞子虫類は早発性オーシストである。
【0025】
非同期の発症前期間を有する、コクシジア(Coccidia)属の同一種の株のいずれか及び/又は全ての組合せ及び量を含むワクチンをも提供する。このタイプの特定の実施形態においては、該ワクチンは約10〜約1000個の非弱毒化オーシストを含む。もう1つの実施形態においては、該ワクチンは約25〜約500個の非弱毒化オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約50〜約250個の非弱毒化オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約100〜約200個の非弱毒化オーシストを含む。
【0026】
このタイプの関連実施形態においては、該ワクチンは約50〜約20000個の非弱毒化オーシストを含む。もう1つの実施形態においては、該ワクチンは約100〜約10,000個の非弱毒化オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約250〜約5000個の非弱毒化オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約500〜約3000個の非弱毒化オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約750〜約2000個の非弱毒化オーシストを含む。
【0027】
もう1つの実施形態においては、該ワクチンは約50〜約20000個の早発性および/または弱毒化オーシストを含む。もう1つの実施形態においては、該ワクチンは約100〜約10,000個の早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約250〜約5000個の早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約500〜約3000個の早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約750〜約2000個の早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、本発明のワクチンは約10〜約1000個の早発性オーシストを含む。もう1つの実施形態においては、該ワクチンは約25〜約500個の早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約50〜約250個の非弱毒化早発性オーシストを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは約100〜約200個の早発性オーシストを含む。特定の実施形態においては、該早発性オーシスト弱毒化オーシストである。
【0028】
本発明のワクチンが特定の胞子虫類コクシジア(Coccidia)属、例えばエイメリア(Eimeria)を含む場合、任意のそのような種が使用されうる。1つのそのような実施形態においては、該ワクチンは、コクシジウム症からニワトリを防御するのを助けうるエイメリア(Eimeria)種を含む。1つのそのような実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・テネラ(E.tenella)である。もう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ミバティ(E.mivati)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ミティス(E.mitis)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・プレコクス(E,praecox)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)である。特定n実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・マクシマ(E.maxima)である。
【0029】
そのようなエイメリア(Eimeria)種のあらゆる組合せを含むワクチンも提供する。また、2以上のそのような個々の種の、2以上の株を含むワクチンを提供する。このタイプの1つの実施形態においては、該ワクチンは、複数のエイメリア(Eimeria)種の株のペアを含み、ここで、単一エイメリア(Eimeria)種の株の複数のペアは非同期の発症前期間を有する。このタイプの特定の実施形態においては、該ワクチンにおける単一エイメリア(Eimeria)種の株のペアの全ては非同期の発症前期間を有する。
【0030】
特定の実施形態においては、ワクチンは、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の野生型および/または非弱毒化株、ならびにエイメリア・マクシマ(E.maxima)の弱毒化および/または早発性株を含む。1つのそのような実施形態においては、エイメリア・マクシマ(E.maxima)の野生型および/または非弱毒化株は、同定に役立つ特性の実質的に全ておよび/またはCOCCIVAC(登録商標)なる名称で販売されているワクチンにおいて見出されるエイメリア・マクシマ(E.maxima)株の特性の実質的に全てを有する。このタイプのもう1つの特定の実施形態においては、ワクチンは、同定に役立つ特性の実質的に全ておよび/またはPARACOX(登録商標)なる名称で販売されているワクチンにおいて見出されるエイメリア・マクシマ(E.maxima)株の特性の実質的に全てを有するエイメリア・マクシマ(E.maxima)の弱毒化および/または早発性株を含む。さらにもう1つの実施形態においては、ワクチンは、同定に役立つ特性の実質的に全ておよび/またはCOCCIVAC(登録商標)なる名称で販売されているワクチンにおいて見出されるエイメリア・マクシマ(E.maxima)株の特性の実質的に全てを有するエイメリア・マクシマ(E.maxima)の野生型および/または非弱毒化株と、同定に役立つ特性の実質的に全ておよび/またはPARACOX(登録商標)なる名称で販売されているワクチンにおいて見出されるエイメリア・マクシマ(E.maxima)株の特性の実質的に全てを有するエイメリア・マクシマ(E.maxima)の弱毒化早発性株とを含む。
【0031】
本発明のもう1つのワクチンは、コクシジウム症からシチメンチョウを防御するのを助けうるエイメリア(Eimeria)種を含む。1つのそのような実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)である。もう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・アデノエイデス(E.adenoeides)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・メレアグリディス(E.meleagridis)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・イノクア(E.innocua)である。さらにもう1つの実施形態においては、該エイメリア(Eimeria)種はエイメリア・スブロツンダ(E.subrotunda)である。シチメンチョウエイメリア(Eimeria)種のあらゆる組合せを含むワクチンも提供する。また、2以上のそのような個々の種の、2以上の株を含むワクチンを提供する。このタイプの1つの実施形態においては、該ワクチンは、複数のシチメンチョウエイメリア(Eimeria)種の株のペアを含み、ここで、単一シチメンチョウエイメリア(Eimeria)種の株の複数のペアは非同期の発症前期間を有する。このタイプの特定の実施形態においては、該ワクチンにおける単一シチメンチョウエイメリア(Eimeria)種の株のペアの全ては非同期の発症前期間を有する。
【0032】
本発明のもう1つの態様においては、イソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)および/またはクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の種の1以上の種および/または株を含むワクチンを提供する。このタイプのそのような実施形態においては、イソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)および/またはクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の、少なくとも2つの株も、非同期の発症前期間を有する。また、本発明のエイメリア(Eimeria)ワクチンのいずれかは、そのようなイソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)および/またはクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)ワクチンと組合せられうる。
【0033】
特定の実施形態においては、ワクチンはクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の種の非弱毒化株とクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の同一種の早発性株とを含む。もう1つの実施形態においては、そのようなクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)ワクチンは更に、イソスポラ(Isospora)の種の非弱毒化株とイソスポラ(Isospora)の同一種の早発性株とを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)ワクチンは更に、シストイソスポラ(Cystoisospora)の種の非弱毒化株とシストイソスポラ(Cystoisospora)の同一種の早発性株とを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)ワクチンは更に、シストイソスポラ(Cystoisospora)の種の非弱毒化株、シストイソスポラ(Cystoisospora)の同一種の早発性株、イソスポラ(Isospora)の種の非弱毒化株、およびイソスポラ(Isospora)の同一種の早発性株を含む。
【0034】
関連実施形態において、本発明は、イソスポラ(Isospora)の種の非弱毒化株とイソスポラ(Isospora)の同一種の早発性株とを含むワクチンを提供する。もう1つの実施形態においては、該ワクチンは、シストイソスポラ(Cystoisospora)の種の非弱毒化株とシストイソスポラ(Cystoisospora)の同一種の早発性株とを含む。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンは、シストイソスポラ(Cystoisospora)の種の非弱毒化株、シストイソスポラ(Cystoisospora)の同一種の早発性株、イソスポラ(Isospora)の種の非弱毒化株、およびイソスポラ(Isospora)の同一種の早発性株を含む。
【0035】
本発明のもう1つの態様においては、コクシジウム症に対して動物対象を免疫化する方法を提供する。1つのそのような実施形態は、本発明のいずれかのワクチンの免疫学的に有効な量を該動物に投与することを含む。1つの実施形態においては、1つの実施形態においては、該ワクチンを経口投与する。もう1つの実施形態においては、該ワクチンを卵内投与する。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを局所投与する。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを注射により投与する。
【0036】
1つの特定の実施形態においては、該ワクチンを該動物の飲料水中に投与する。もう1つの実施形態においては、該ワクチンを該動物の食物中に投与する。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを該動物の食物および飲料水の両方に投与する。
【0037】
さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを噴霧により投与する。1つのそのような実施形態においては、該ワクチンを含有する溶液を数日齢のニワトリに噴霧する。このタイプの特定の実施形態においては、その数日齢のニワトリに、それらの孵化場で噴霧キャビネットを使用してワクチン接種する。さらにもう1つの実施形態においては、該動物の眼に該ワクチンを適用することにより、該ワクチンを投与する。このタイプの特定の実施形態においては、該動物の眼への該ワクチンの適用は点眼器で行う。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを2、3、4またはそれ以上の投与手段により投与する。
【0038】
特定の実施形態においては、本発明のワクチンをトリに投与する。1つの実施形態においては、該トリは家畜トリである。1つのそのような実施形態においては、該動物はニワトリである。もう1つの実施形態においては、家畜トリはシチメンチョウである。さらにもう1つの実施形態においては、家畜トリはアヒルである。さらにもう1つの実施形態においては、家畜トリは猟鳥である。このタイプの特定の実施形態においては、該猟鳥はウズラである。もう1つの実施形態においては、該猟鳥はキジである。さらにもう1つの実施形態においては、該ワクチンを哺乳動物に投与する。このタイプの特定の実施形態においては、該哺乳動物は非ヒト哺乳動物である。
【0039】
本発明のこれらの及び他の態様は、「詳細な説明」および「実施例」を参照することにより、より深く理解されるであろう。
【0040】
(発明の詳細な説明)
したがって、本発明は、非弱毒化および早発性コクシジア(Coccidia)ワクチンの特有の特性の利点を最大にすると同時にそれらの個々の欠点を最小にするよう製剤化された、コクシジウム症に対するワクチンを提供する。本発明の1つの態様においては、ワクチンは、野生型コクシジア(Coccidia)種の株の1以上と、同一種の弱毒化コクシジア(Coccidia)の株の1以上との組合せを含む。そのようなワクチンは、それらの個々のタイプの株の単独の場合より強力な、宿主からの免疫応答を惹起しうる。さらに、これらの2つのタイプの株の、生じる二重の本質的に異なる寄生性生活環は、宿主における確固たる免疫の獲得を促進しうる。
【0041】
一般に、早発性ワクチンでは開存性がより早期に生じるにもかかわらず、与えられたエイメリア(Eimeria)種に対する確固たる免疫を獲得するのに、早発性株を含むワクチンでは、非弱毒化株を使用するものより長期間を要する。発症前期間に非弱毒化株が受ける追加的な複製サイクルは、宿主の免疫応答を、早発性株で観察されるものと比べて増強しうること、および/または非弱毒化エイメリア(Eimeria)による感染/ワクチン接種の後の開存時に放出される実質的により多数のオーシストは、宿主動物を、より少ない寄生性生活環で完全免疫へと導きうることを、この結果は示唆している。
【0042】
いずれの特定の作用メカニズムによっても何ら束縛されるものではないが、本発明は、コクシジア(Coccidia)属、例えばエイメリア(Eimeria)の選択された種の株の2以上(ここで、該株の少なくとも2つは非同期の発症前期間を有する)を含むワクチンでの宿主動物のワクチン接種により生じる宿主免疫系に対する相乗効果が存在することと符合する。そのような非同期の発症前期間は、交互の開存性の強化効果により、いずれかの株を単独で使用する場合に見られるものより速く免疫化過程が進行することを可能にする。実際、開存性の、より速い連続は、新たに生じたオーシストを宿主が摂取する可能性の頻度を増加させることにより、再免疫化過程を促進する。本明細書においては「エコー効果」と称される該強化効果は、それにより、その宿主動物において、より早期の免疫を惹起しうる。
【0043】
したがって、1つの態様においては、より長い発症前期間を有するが、複製する及び新世代のオーシストで環境を汚染する遥かに高い能力を有する同一種の非弱毒化株と共に、より短い発症前期間を有する弱毒化株を含むワクチンを、本発明は提供する。本発明の1つのそのような典型的なワクチンは、エイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)の2つの異なる株(または系統)、PARACOX(登録商標)なる名称で販売されているワクチンを製造するために使用される同一マスターシードに由来する弱毒化早発性株、およびCOCCIVAC(登録商標)なる名称で販売されているワクチンを製造するために使用されるマスターシードに由来する非弱毒化株を含む。これらの株は共に、エイメリア・マクシマ(E.maxima)野外チャレンジに対する効力をもたらす。しかし、非弱毒化株でのワクチン接種は、3週間の終わりまでに完全免疫を示すブロイラーの群れを与えるが、早発性および/または弱毒化ワクチンでのワクチン接種は、完全に確立されるまでに少なくとも4週間を要する。
【0044】
それらの発症前期間の長さの違いのため、エコー効果により、宿主における、より早期の免疫が得られうる。したがって、免疫応答の非同期刺激(すなわち、エコー効果)を生成させることにより、該組合せエイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)株は、免疫系に対する、抗原の、より長期の曝露を刺激し、それにより、防御免疫を生成する過程を加速させうる。
【0045】
実際、それらの2つの株を一緒に投与することは免疫化過程の効率の上昇をもたらしうる。該非弱毒化オーシストおよび早発性オーシストは共に、それらのそれぞれの生活環を宿主において同時に開始させるが、該早発性株の発症前期間の完了の11〜31時間後に該非弱毒化株はその発症前期間を完了する。また、該非弱毒化株は、有意に、より多数のオーシストを、糞便中に放出する。
【0046】
したがって、該発症前株が、まず宿主においてその生活環を完了し、それにより、宿主の免疫応答を開始させる。ついで該早発性オーシストが排泄され、胞子形成し、宿主によるそれらの摂取後、それらの第2生活環を開始させる。同時に、該非弱毒化株の第1生活環は、シゾントの、1以上の剰余世代を産生し続け、最終的に、配偶子細胞の形成をもたらし、該早発性株により開始された免疫応答を増強し拡大する。分泌された非弱毒化オーシストは次いで、同腹子において胞子形成し、第2生活環に入っている早発性株を既に含有する宿主により摂取される。したがって、これらの同時非同期生活環は、宿主において確固たる免疫を得るのに要する時間を短縮するのに役立つ。また、この全体的な過程は、より少数の非弱毒化オーシストを該ワクチンが初期用量において含有することを可能にして、該非弱毒化株感染による宿主腸内で形成される病変の数の減少および/またはその重症度の低下をもたらしうる。
【0047】
説明における便宜上の単数形の用語の使用は、そのように限定的であるとは何ら意図されない。したがって、例えば、「量」を含む組成物に対する言及は、そのような複数の量の1以上に対する言及を含む。また、「オーシスト」に対する言及は、特に示さない限り、複数のそのようなオーシストに対する言及を含む。
【0048】
本明細書中で用いる以下の用語は、以下に示す定義を有するものとする。
【0049】
「アジュバント」および「免疫刺激物質」なる語は本明細書においては互換的に用いられ、免疫系の刺激を引き起こす1以上の物質と定義される。アジュバントは特定の抗原に対する免疫応答を非特異的に増強して、いずれかの与えられたワクチンにおいて必要な抗原の量および/または該関心抗原に対する適度な免疫応答を生成させるのに必要な注射頻度を減少させる物質である。この文脈においては、アジュバントは、1以上のワクチン抗原/単離物に対する免疫応答を増強するために使用される。アジュバントは、該ワクチンの投与の前、それと組合せて、またはその後で標的動物に投与されうる。
【0050】
本明細書中で用いる「凡そ」なる語は「約」なる語と互換的に用いられ、値が、示されている値の50%以内であることを示す。すなわち、「およそ」100個のオーシストを含有する組成物は50〜150個のオーシストを含有する。
【0051】
本明細書中で用いる、コクシジア(Coccidia)属の種の「弱毒化」株(例えば、「弱毒化エイメリア(Eimeria)」)は、宿主におけるその病原性の低下に関して選択された株である。そのような弱毒化は、連続継代(例えば、連続胚継代)、化学的突然変異誘発および照射法を含む多数の手段により達成されうる。
【0052】
本明細書中で用いる、コクシジア(Coccidia)属の種の「早発性」株(例えば、「早発性エイメリア(Eimeria)」)は、同一種の非弱毒化株と比較して短縮した発症前期間を有する株である。早発性株は弱毒化株でもありうる。
【0053】
本明細書中で用いる、コクシジア(Coccidia)属の種の「野生型」株(例えば、「野生型エイメリア(Eimeria)」)は、弱毒化継代またはいずれかの他の処理、例えば単一オーシスト分離、免疫寛容または他の分離法による選択により改変されていない野外分離体である。
【0054】
本明細書中で用いる、コクシジア(Coccidia)属の種の「非弱毒化」株(例えば、「非弱毒化エイメリア(Eimeria)」)は、同一種の野生型株と比較して短縮した発症前期間も宿主における低下した病原性も有さない株である。
【0055】
本明細書中で用いる、コクシジア(Coccidia)属の種(例えば、エイメリア(Eimeria)の種)の「株」は、以下の特徴の1以上によりその種の一般的集団から識別されうるコクシジア(Coccidia)属の種の亜集団である:病原性、免疫原性、発症前期間、および/または単一オーシストの増殖により生じる集団。
【0056】
「非同期(の)発症前期間」なる語は、10%以上異なる、コクシジア(Coccidia)属の、2以上の種の発症前期間、および/またはコクシジア(Coccidia)属の種の、2以上の株の発症前期間を意味する。特定の実施形態においては、コクシジア(Coccidia)属の、2以上の種、および/またはコクシジア(Coccidia)属の単一種の、2以上の株は、20%以上異なる非同期発症前期間を有する。さらにもう1つの実施形態においては、コクシジア(Coccidia)属の、2以上の種、および/またはコクシジア(Coccidia)属の単一種の、2以上の株は、25%以上異なる非同期発症前期間を有する。
【0057】
時間の或るパーセント(%)異なる早発性および/または弱毒化株と非弱毒化株との非同期発症前期間に関しては、該パーセントは該非弱毒化株の発症前期間に基づく。したがって、コクシジア(Coccidia)属の非弱毒化株が120時間の発症前期間を有し、コクシジア(Coccidia)属の同一種の早発性株が108時間の発症前期間を有する場合、それらの2つの株は、10%異なる非同期発症前期間を有する。
【0058】
本明細書中で用いる「家畜トリ」なる語は、特に示さない限り、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、猟鳥(限定的なものではないがウズラ、キジおよびガチョウを含む)および走鳥類(限定的なものではないがエミューおよびダチョウを含む)を含む。
【0059】
本明細書中で用いる「エイメリア(Eimeria)」なる語は、特に示さない限り、家畜トリに感染するエイメリア(Eimeria)属の種の1以上を意味する。エイメリア(Eimeria)種は、ニワトリにおいて見出されるものを含み、例えばエイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)を含み、また、シチメンチョウにおいて見出されるもの、例えばエイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)、エイメリア・アデノエイデス(E.adenoeides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、エイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)、エイメリア・メレアグリディス(E.meleagridis)、エイメリア・イノクア(E.innocua)およびエイメリア・スブロツンダ(E.subrotunda)を含み、また、前記の他の家畜トリに感染するエイメリア(Eimeria)種を含む。「エイメリア(Eimeria)」なる語は、早発性株および弱毒化株(これらに限定されるものではない)を含む、エイメリア(Eimeria)の前記種の全株を含み、これらはまた、完全な発生ができないように照射された又は他の方法で処理された株を含む。エイメリア(Eimeria)なる語は更に、前記の家畜トリに感染する、エイメリア(Eimeria)の新たに発見された任意の株または種を含む。
【0060】
「被嚢」なる語は原生動物寄生生物のオーシスト段階を意味する。
【0061】
本明細書中で用いる「免疫化」および「ワクチン接種」なる語は同義であり、互換的に用いられる。本明細書中で用いる「有効免疫量」なる語は、特に示さない限り、そのようにワクチン接種された動物において免疫反応を惹起するのに十分な、例えば、対応抗体価の上昇および/または細胞性免疫の活性化を惹起するのに十分な、生活環におけるいずれかの段階の胞子虫類の数、例えば、それらの生活環、例えばスポロゾイト、オーシストおよび/またはメロゾイトの1以上または更には全ての段階の混合物の数、あるいは混合される場合には例えばスポロゾイト、オーシストおよびメロゾイトの数を意味する。好ましくは、惹起された免疫反応は、胞子虫類(例えば、エイメリア(Eimeria)またはクリプトスポリジア(Cryptosporidia))のビルレント量でチャレンジされたワクチン接種動物(例えば、トリ)において臨床疾患徴候、体重減少、罹患率および/または死亡率を抑制または軽減する防御免疫をもたらす。
【0062】
本明細書中で用いる「オーシスト」、「メロゾイト」および「スポロゾイト」なる語は、特に示さない限り、弱毒化体または非弱毒化体のいずれかでありうる生存可能な(すなわち、生きた)コクシジア(Coccidia)(例えば、エイメリア(Eimeria)またはクリプトスポリジア(Cryptosporidia))オーシスト、メロゾイトおよびスポロゾイトを意味する。
【0063】
「確固たる免疫」なる語は本明細書中では「完全免疫」と互換的に用いられ、例えば食餌変換、体重増加および/またはコクシジウム症の病変(肉眼的または顕微鏡的)により測定された場合に健康状態および機能においてワクチン接種動物が未チャレンジ対照と統計的に類似したもの(および/または未ワクチン接種チャレンジ対照と統計的に非類似したもの)となるよう対応チャレンジに対する防御をもたらす、ワクチン接種動物の一群(例えば、ワクチン接種トリの一群)に付与された免疫の度合を意味する。
【0064】
本明細書中で用いる「統計的に類似」なる語は、2つの動物群または集団の統計比較が<0.1の有意水準で帰無仮説(無差の仮説)の受容をもたらすことを意味する。
【0065】
本明細書中で用いる「統計的に非類似」なる語は、2つの動物群または集団の統計比較が<0.1の有意水準で帰無仮説(無差の仮説)の棄却をもたらすことを意味する。
【0066】
「スポロシスト」なる語は、オーシストにおいてスポロゾイトを包む被膜を意味する。
【0067】
動物対象
そのように処理される動物は、好ましくは(しかし、排他的ではなく)、脊椎動物であり、より好ましくは、哺乳類、鳥類または魚類である。本発明のワクチンはいずれも、該動物対象に投与されうる。適当な動物対象には、野生、家畜(例えば、肉、乳、バター、卵、毛皮、革、羽および/またはウールを得るために飼育されているもの)、荷物運搬用役畜、研究用動物、同伴動物、ならびに動物園、野生生息地において及び/又はサーカスのために飼育されている動物が含まれる。
【0068】
本発明のワクチンにより処理または防御されるトリ(鳥類)は商業的または非商業的な鳥類飼育に関連したものでありうる。これらには、例えば、アナチデ(Anatidae)、例えばハクチョウ、ガチョウおよびアヒル(カモ)、コルムビデ(Columbidae)、例えばハトおよびハト科鳥類、例えば家畜ハト、ファシアニデ(Phasianidae)、例えばウズラ、ヤマウズラ(パートリッジ)、ライチョウ、キジおよびシチメンチョウ、テシエニデ(Thesienidae)、例えば家畜ニワトリ、プシッタシネス(Psittacines)、例えばインコ、マコーおよびオウム(例えば、とりわけ、ペットまたはコレクター市場用に飼育されているもの)が含まれる。
【0069】
哺乳類対象には、ウシ亜科動物(例えば、ウシまたは乳牛)、ブタ類(例えば、ブタまたは子ブタ)、ヒツジ属動物(例えば、ヤギまたはヒツジ)、ウマ科動物(例えば、ウマ)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、飼ネコ)、ラクダ、シカ、アンテロープ、ウサギ、モルモットおよびげっ歯類(例えば、リス、ラット、マウス、アレチネズミおよびハムスター)、クジラ目動物(クジラ、イルカ、ネズミイルカ)、ひれ足動物(アザラシ、セイウチ)が含まれる。
【0070】
魚類も本発明のワクチンの対象となりうる。本発明の目的においては、「魚類」なる語は、限定的なものではないが魚類のテレオスチ(Teleosti)群、すなわち、硬骨魚類を含むと理解されるものとする。サルモニフォルメス(Salmoniformes)目(これはサルモニデ(Salmonidae)科を含む)およびペルシフォルメス(Perciformes)目(これはセントラルシデ(Centrarchidae)科を含む)の両方がテレオスチ(Teleosti)群に含まれる。投与対象となる可能な魚類の具体例には、とりわけ、サルモニデ(Saimonidae)科、セラニデ(Serranidae)科、スパリデ(Sparidae)科、シチリデ(Cichlidae)科、セントラルチデ(Centrarchidae)科、スリー・ライン・グルント(three−Line Grunt)(パラプリスチポマ・トリリネツム(Parapristipoma trilineatum))およびブルー・アイド・プレコストムス(Blue−Eyed Plecostomus)(プレコストムス(Plecostomus)属種)が含まれる。処理されうる魚類の更に他の具体例には、限定的なものではないがナマズ目魚類、ハタ科魚類、マグロ、オヒョウ、ホッキョクイワナ、チョウザメ、ヒラメ科ホシダルマガレイ属魚類(ターボット(turbot))、ヌマガレイ、ソール、コイ、ティラピア、ストライプト・バス(striped bass)、ウナギ、タイ、イエロータイル(yellowtail)、アンバージャック(amberjack)、ハタおよびサバヒーが含まれる。
【0071】
抗原
野生型オーシストは、感染動物の糞便または組織;汚染された食餌または水;土壌;ペン・リター(pen litter)または寝具類;あるいは種々の他の起源から入手可能である。スポロシストおよびオーシストの単離のための方法は公知である。オーシストを分離するために用いる厳密な方法は、オーシストの入手起源となる物質によって様々であり、当業者に容易に理解されるであろう。メロゾイトは、例えばUS7,250,286B2に開示されている方法により培養内で成長させることが可能である。
【0072】
生環境サンプルから生物を単離するための1つの利用可能なアプローチは以下のとおりである。初期工程は外来性物質からのスポロシストおよび/またはオーシストの分離である。土壌または排泄物は、一般に、飽和塩類溶液を使用してスラリーを形成させ該スラリーからスポロシストおよび/またはオーシストを分離することにより加工される。例えば、加工すべき物質を少なくとも2容量(w/v)の飽和水性NaClと混合してスラリーを形成させる。必要に応じて、均一コンシステンシーが得られるまで、該スラリーをミキサーまたはブレンダー内で加工することが可能である。該スラリーを約800×g、4℃で10分間遠心分離する。上清を、24×24織チーズクロースの二重層に通して注ぐことにより集める。一般的に用いられる、サンプルからオーシストを精製するための他の方法には、シーザー(Sheather)スクロース浮上および硫酸亜鉛浮上[例えば、LR Ash and TC Orihel,Parasites:A Guide to Laboratory Procedures and Identification,ASCP Press(登録商標)1991を参照されたい]が含まれる。
【0073】
濾過上清を2容量の飲料水で希釈し、約1600×g、4℃で10分間遠心分離する。ペレット化されたオーシストを水で洗浄し、記載されているとおりに更に3回遠心分離することによりペレット化する。ついで、該水洗浄に用いたのと同じ方法を用いて、該オーシストを2.5%重クロム酸カリウム中で3回洗浄する。該最終洗浄の後、該オーシストを2.5%重クロム酸カリウム中、4℃で保存し、あるいは容器に移して胞子形成させることが可能である。
【0074】
あるいは、サイズに基づいてオーシストを単離するために、連続的濾過を用いることが可能である。濾過を用いる場合、前記のとおりに該オーシストを水および2.5%重クロム酸カリウムで洗浄する。
【0075】
野生型野外分離体に由来する非弱毒化系統は、長年にわたる連続継代により実験的環境において維持されており、低度ないし中等度の病原性、中等度ないし高度の多産性、明らかな発症前期間および宿主からの放出の公知パターンを有するものとして十分に特徴づけられている。
【0076】
US 5,055,292(その内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に例示されている既存の早発性エイメリア(Eimeria)系統に加えて、ニワトリにおける連続継代の後、野生型ビルレント親株または非弱毒化株からも早発性系統が得られうる。1つのそのような場合には、開存後の最初の数時間の間においてのみ、糞便から該オーシストを集める。このようにして、発症前期間が次第に短縮されうる。このタイプの継代は選択継代と称される。あるいは、回収に利用可能なオーシストの数を増加させるためには、親株の開存の開始と凡その発症前期間との間の時点においてオーシストを集めることが好都合でありうる。このタイプの継代は中性(neutral)継代と称される。最後に、緩和(relaxed)継代として公知の方法においては、親株の発症前期間より後で産生されたものを含む、該オーシストの実質的に全てを集める。
【0077】
ワクチン
シード・ロット系
各非弱毒化または弱毒化エイメリア(Eimeria)系統のマスターシードは、例えば、液体窒素中で保存されうる。宿主(例えば、SPFニワトリ)への接種の後、各マスターシードのサンプルから実施用シードを製造することが可能である。宿主の糞便および/または盲嚢からオーシストを回収して、実施用シードを得ることが可能である。該実施用シードは4℃で保存され、各ワクチン製造を開始するために使用される。実施用シードは6〜12ヵ月の貯蔵期間を有し、その後はそれらは交換されるべきである。該実施用シードを製造する場合、オーシストは、その種に関する野生型親株の凡その発症前期間までにおいてのみ回収される(すなわち、中性継代)。該ワクチンを製造する場合、オーシストは、該感染の開存期間の全体にわたって回収される(すなわち、緩和継代)。
【0078】
ニワトリの飼育
品質保証されたSPF群から得た卵からニワトリを孵化させる。飼育中は、それらを、ワクチン製造のための適当な齢(典型的には1〜12週齢)まで、コクシジア非含有状態で維持する。ついで該ニワトリをワクチン製造用収容施設に移し、群単位で別々の部屋に割り当て、あるいは各エイメリア(Eimeria)種ごとに表示された隔離器に移す。
【0079】
接種
予め決められた用量の該実施用シードをトリの各群に経口接種する。ある与えられた実施日にエイメリア(Eimeria)のただ1つの種のみが回収され加工されるよう、時差スケジュールに従い、接種が計画されうる。
【0080】
回収
糞便を集めるが、採集の時点および持続時間は種によって様々である。糞便(および/または盲嚢内容物)のスラリーを水中で調製し、ついでそれをホモジナイズする。該ホモジネートを150ミクロンの篩に通して洗浄し、該洗液を連続フローボウル遠心機において遠心分離する。遠心分離された析出物を飽和塩溶液に再懸濁させ、再遠心分離する。該上清を集め、水で希釈し、該遠心機への3度目の通過を行う。該析出物を重クロム酸カリウムの2%溶液に再懸濁させる。
【0081】
胞子形成:
重クロム酸カリウム溶液中の該オーシスト懸濁液を、強制通気しながら、29℃で48時間インキュベートして、該オーシストを胞子形成させる。胞子形成後、該重クロム酸溶液を遠心分離により除去し、該オーシストを10%クロロックス(chlorox)(次亜塩素酸ナトリウム溶液)で10分間処理する。処理されたオーシストを水に再懸濁させ、ホルマリンを0.05%の濃度まで加える。該懸濁液を4℃で保存する。
【0082】
混合:
各バルクオーシスト溶液懸濁液のオーシストの計数を行い、計算容量の各懸濁液を懸濁化剤と混合して、所望の比率で存在する各種のオーシストを含有する多成分ワクチンを得る。該ワクチンを最終的な容器内に充填し、4℃で保存する。
【0083】
アジュバント
本発明の幾つかのワクチン組成物は、医薬上許容されるアジュバントを含みうる。本発明のアジュバントは、天然源、組換え起源を含む多数の起源のいずれかから入手可能であり、および/または化学合成等されうる。動物のワクチン接種のための適当なアジュバントには以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:アジュバント65(ラッカセイ油、モノオレイン酸マンニドおよびモノステアリン酸アルミニウムを含有する);フロイント完全または不完全アジュバント;無機ゲル、アルミニウム化合物、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよびミョウバン;界面活性剤、例えばヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リゾレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、N,N−ジオクタデシル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシメチル)プロパンジアミン、メトキシヘキサデシルグリセロールおよびプルロニックポリオール;ポリアニオン、例えばピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、ポリアクリル酸;ペプチド、例えばムラミルジペプチド、ジメチルグリシンおよびタフトシン;油エマルション。アジュバントに関する情報は、例えば、Tijssenによる叢書[Practice and Theory of Enzyme immunoassays,3rd Edition,Elsevier,New York,(1987)]に開示されている。
【0084】
他の可能なアジュバントには、代謝可能な油および代謝不可能な油、ブロック重合体、ISCOM(免疫刺激複合体)、ビタミンおよびミネラル(限定的なものではないがビタミンE、ビタミンA、セレンおよびビタミンB12を含む)、クイル(Quil)A(サポニン)、商標CARBOPOL(登録商標)(例えば、CARBOPOL(登録商標)941)として販売されている、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸の重合体、ならびに水エマルション中に均一に分散したミクロンサイズの油滴(例えば、商標Emulsigen(登録商標)として販売されているもの)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
免疫刺激物質と特に称されることもあるアジュバントの他の具体例には、細菌および真菌細胞壁成分(例えば、リポ多糖、リポタンパク質、糖タンパク質、ムラミルペプチド、ベータ−1,3/1,6−グルカン)、植物由来の種々の複合炭水化物(例えば、グリカン、アセマンナン)、動物由来の種々のタンパク質およびペプチド(例えば、ホルモン、サイトカイン、共刺激因子)、ならびにウイルスおよび他の起源に由来する新規核酸(例えば、二本鎖RNA、CpG)が含まれる。また、前記物質の多数の組合せがアジュバント効果をもたらすことが可能であり、したがって本発明のアジュバントを構成しうる。
【0086】
本発明のワクチンは、経口(例えば、点眼、鼻腔内、食餌中、水中または噴霧)、卵内、局所または注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、眼窩内、眼球内、皮内および/または腹腔内)ワクチン接種を含むいずれかの経路により容易に投与される。該ワクチン組成物は、好ましくは、各タイプの被投与動物および投与経路のために適切に製剤化される、と当業者は理解するであろう。
【0087】
本発明のワクチンはエイメリア(Eimeria)を例示しているが、本発明のワクチンは、それぞれ密接に関連している属であるイソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)およびクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の非弱毒化および弱毒化および/または早発性種および/または種株を使用して構築されることも可能である。
【実施例1】
【0088】
弱毒化および非弱毒化エイメリア・マクシマ(E.maxima)株を含むワクチン
エイメリア・マクシマ(E.maxima)の株
エイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)MFPは約96時間の発症前期間(その親株の121時間の発症前期間からの25時間までの短縮)を有する。該回収時間は104〜110時間、例えば、108〜110時間(4.5〜4.58日)の時点でありうる。配偶子細胞は感染後約72時間以内に出現する。それにおけるシゾントの平均サイズおよびメロゾイトの平均数は親株のものに実質的に類似している。
【0089】
エイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)コクシバック(Coccivac)は約121時間の発症前期間を有し、産生オーシストは144〜192時間の時点で回収されうる。
【0090】
ワクチン製剤:オーシストを前記のとおりに回収し、ついで胞子形成させる。体積当たり所望の数の胞子形成オーシストが得られるよう、既知力価の胞子形成オーシストの製造ロットを選択する。オーシストの懸濁液を無菌容器に移し、ついでその容器に2.5%重クロム酸カリウム溶液を定量的に加えることにより、該ワクチンの製造を完了させる。該ワクチンを容器内に無菌的に分注し、ついでそれらを密封する。
【0091】
本発明は、本明細書に開示されている特定の形態、プロセス工程および物質に限定されるものではなく、そのような形態、プロセス工程および物質は多少変更されうると理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるため、本明細書中で用いられている用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみに用いられており、限定的なものではないと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コクシジア(Coccidia)属の種の第1株と該種の第2株とを含むワクチン組成物であって、該第1株と該第2株とが非同期の発症前期間を有する、ワクチン組成物。
【請求項2】
該属が、イソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)およびエイメリア(Eimeria)よりなる群から選択される、請求項1記載のワクチン。
【請求項3】
該属がエイメリア(Eimeria)である、請求項2記載のワクチン。
【請求項4】
該第1株が非弱毒化エイメリア(Eimeria)株であり、該第2株が早発性エイメリア(Eimeria)株である、請求項3記載のワクチン。
【請求項5】
該早発性エイメリア(Eimeria)株が弱毒化エイメリア(Eimeria)株である、請求項4記載のワクチン。
【請求項6】
非弱毒化エイメリア(Eimeria)オーシストおよび早発性エイメリア(Eimeria)オーシストを含む、請求項4記載のワクチン。
【請求項7】
非弱毒化エイメリア(Eimeria)オーシストの量が約10〜約1000である、請求項6記載のワクチン。
【請求項8】
早発性エイメリア(Eimeria)オーシストの量が約100〜約10,000である、請求項6記載のワクチン。
【請求項9】
非弱毒化エイメリア(Eimeria)オーシストの量が約10〜約1000である、請求項8記載のワクチン。
【請求項10】
非弱毒化エイメリア(Eimeria)メロゾイトおよびスポロゾイトならびに早発性エイメリア(Eimeria)メロゾイトおよびスポロゾイトを更に含む、請求項6記載のワクチン。
【請求項11】
エイメリア(Eimeria)の種が、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・マクシマ(E.maxima)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)よりなる群から選択される、請求項4記載のワクチン。
【請求項12】
エイメリア(Eimeria)の種がエイメリア・マクシマ(E.maxima)である、請求項11記載のワクチン。
【請求項13】
エイメリア・テネラ(E.tenella)、エイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、エイメリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリア・ミティス(E.mitis)、エイメリア・プレコクス(E,praecox)、エイメリア・ミバティ(E.mivati)およびエイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)よりなる群から選択されるエイメリア(Eimeria)の1以上の追加的な種を更に含む、請求項12記載のワクチン。
【請求項14】
イソスポラ(Isospora)、シストイソスポラ(Cystoisospora)およびクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)よりなる群から選択されるコクシジア(Coccidia)属の1以上の追加的な株を更に含む、請求項3記載のワクチン。
【請求項15】
コクシジア(Coccidia)属がクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)であり、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の前記の1以上の追加的な株がクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の種の非弱毒化株およびクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)の種の早発性株を含む、請求項14記載のワクチン。
【請求項16】
エイメリア(Eimeria)の種が、エイメリア・メレアグリミティス(E.meleagrimitis)、エイメリア・アデノエイデス(E.adenoeides)、エイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、エイメリア・ディスペルサ(E.dispersa)、エイメリア・メレアグリディス(E.meleagridis)、エイメリア・イノクア(E.innocua)およびエイメリア・スブロツンダ(E.subrotunda)よりなる群から選択される、請求項4記載のワクチン。
【請求項17】
該第1株が非弱毒化株であり、該第2株が早発性株である、請求項2記載のワクチン。
【請求項18】
該属がクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)である、請求項17記載のワクチン。
【請求項19】
イソスポラ(Isospora)の種の非弱毒化株およびイソスポラ(Isospora)の種の早発性株を更に含む、請求項18記載のワクチン。
【請求項20】
コクシジウム症に対して動物対象を免疫化する方法であって、請求項1記載のワクチンの免疫学的に有効な量を該動物に投与することを含む方法。
【請求項21】
該ワクチンを経口投与する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該ワクチンを該動物の飲料水に加えること、該ワクチンを該動物の食物に加えること、該ワクチンを該動物の眼に適用すること、および該ワクチンを該動物に噴霧することよりなる群から選択される方法により、該ワクチンを経口投与する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
該ワクチンを卵内に投与する、請求項20記載の方法。
【請求項24】
該動物が家畜トリである、請求項20記載の方法。
【請求項25】
該家畜トリが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルおよび猟鳥よりなる群から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
該家畜トリがニワトリである、請求項25記載の方法。

【公表番号】特表2011−521955(P2011−521955A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511768(P2011−511768)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/045241
【国際公開番号】WO2009/148895
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】