説明

コップ状容器の蓋

【課題】構造が単純な落とし蓋タイプとなし、容器のフランジに融着後一部開封可能で容器から分離しないようにする。
【解決手段】蓋(A)は、フランジ(1)付きコップ状容器(B)に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、内径62.7mmの容器口部の全面積のうちその略半分でかつ半分を超える面積に相当する部分が、容器(B)に保持される程度の深さ8mmとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁(2)を有する凹部である保持用部(3)となされ、残部が容器(B)から離れ得る部分開放用部(4)となされているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒ、紅茶、スープのような飲料が充填されている容器、特に、コンビニエンスストア等に設置されている加熱器により充填飲料が温められるタイプの容器に好適に使用せられる蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外でホットコーヒを飲みたい場合、自動販売機で加温された缶コーヒを購入するか、加温されたコーヒを紙コップに注入するかが一般的であった。前者は飲みにくく、後者は蓋がないという問題があった。そこで、本出願人は、コーヒが充填されている蓋付き容器をコンビニエンスストア等に設置されている加熱器によりそのまま温め、外でホットコーヒが飲める容器を先に提案した。(特願2003−391141号)。
【0003】
ところが、加熱器により温められたホットコーヒ入り容器は、通常店外に持ち出して飲用に供されるものであるから、このタイプの容器に使用される蓋としては、蓋全体が開いてしまうものでは、コーヒが冷めるおそれがあるし、ごみ等が入りこむおそれもある。また、車に持ち込んだ場合は、車の振動により、コーヒがこぼれて車や衣服を汚すという問題もある。さらに、蓋が容器と分離されるので、容器と一緒にごみ処理できない不便さもある。
【0004】
もっとも蓋が容器と分離せずかつ部分開放可能な蓋付き容器は、特許文献1に開示されているように知られてはいる。
【特許文献1】特開2002−68240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記蓋付き容器は、構造が複雑であるばかりか、内容物の品質劣化の原因となる残存酸素が滞留するヘッドスペースを可及的に少なくする落とし蓋タイプのものではない。
【0006】
本発明の目的は、構造が単純でかつ落とし蓋タイプであり、容器のフランジに融着後一部開封可能で容器から分離しないコップ状容器の蓋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によるコップ状容器の蓋は、フランジ付きコップ状容器に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、容器口部の全面積のうちその略半分に相当する部分が、容器に保持される程度の深さとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有する凹部である保持用部となされ、その残部が容器から離れ得る部分開放用部となされているものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のコップ状容器の蓋において、保持用部の凹部における底壁に補強用エンボス模様が設けられているものである。
【0009】
請求項3の発明によるコップ状容器の蓋は、請求項1または2記載のコップ状容器の蓋において、部分開放用部が容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有しかつ保持用部の凹部に比べて浅い凹部であるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋において、保持用部の凹部が、容器口部の全面積のうちの半分を超える大きさであるものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋において、保持用部における円弧状側壁以外の側壁が、平面からみて直線状でかつ円弧状側壁に曲線部を介して連なっているものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋において、保持用部における円弧状側壁以外の側壁が、湾入状で円弧状側壁に曲線部を介して連なっているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によるコップ状容器の蓋は、フランジ付きコップ状容器に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、容器口部の全面積のうちその略半分に相当する部分が、容器に保持される程度の深さとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有する凹部である保持用部となされているから、内容物の品質劣化の原因となる残存酸素が滞留するヘッドスペースを少なくする落とし蓋タイプとなり、特に内容物が味および香り等が尊ばれるコーヒの場合、好適な蓋となるし、容器を加熱器で加温したさいに蓋が熱膨張で変形しようとするのを防ぎうるばかりか、蓋を容器のフランジに加熱融着するさいに蓋の中心が容器の中心からずれて融着不良が発生するのを防止することもできる。また、保持用部の残部のみが容器を開く部分開封用部となされているから、全開状態とならず、コーヒ等が冷めにくいし、ごみ等も入りこみにくく、車に持ち込んだ場合車の振動により、コーヒ等がこぼれて車や衣服を汚すということも少ない。さらに、蓋が容器と分離しないので、容器と一緒にごみ処理でき便利である。
【0014】
請求項2の発明によるコップ状容器の蓋は、保持用部の凹部における底壁に補強用エンボス模様が設けられているので、上記変形防止作用が一層向上する。
【0015】
請求項3の発明によるコップ状容器の蓋は、部分開放用部が容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有しかつ保持用部の凹部に比べて浅い凹部であるから、この浅い凹部の円弧状側壁が保持用部の深い凹部の円弧状側壁とともに容器口部に嵌合するため、上記容器に対する蓋のずれによる融着不良の発生が一層確実に阻止される。
【0016】
請求項4の発明によるコップ状容器の蓋は、保持用部の凹部が、容器口部の全面積のうちその略半分ではあるが、半分を超える大きさであるから、請求項1の発明における保持用部についての効果が一層確実なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明をどのように実施するかを具体的に説明するために、以下に実施例を示す。
【実施例1】
【0018】
図1および図2に示す蓋(A)は、フランジ(1)付きコップ状容器(B)に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、内径62.7mmの容器口部の全面積のうちその略半分ではあるが半分を超える面積に相当する部分が、容器(B)に保持される程度の深さ8mmとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁(2)を有する凹部である保持用部(3)となされ、残部が容器(B)から離れ得る部分開放用部(4)となされている。
【0019】
保持用部(3)の凹部における底壁(5)には、底壁(5)の周縁にそって環状に隆起した補強用エンボス模様(6)が設けられている。部分開放用部(4)は、容器口部の内周面にそう円弧状側壁(7)を有しかつ保持用部(3)の凹部に比べて浅い深さ2mmの凹部よりなる。保持用部(3)における円弧状側壁(2)以外の側壁(8)が、平面からみて直線状でかつ円弧状側壁(2)に曲線部を介して連なっている。蓋(A)は、開封用摘み(9)を有しており、フランジ(1)と重なる部分が、容器(B)に内容物を充填後フランジ(1)に加熱融着せられる。
【0020】
コップ状容器(B)のフランジ(1)は、カール縁(10)を備え、カール縁巾を含んで巾5.2mmである。容器(B)の口部に垂直断面略L形の段部(11)が設けられており、段部(11)を境にしてその上方は断面円形となされ、その下方は断面八角形でかつテーパが付けられている。容器(B)は、
厚さ120μのアルミニウム箔芯層とその内面に形成せられた厚さ200μのフィルムよりなる未延伸ポリプロピレン被覆層とその外面に形成せられた厚さ30μのフィルムよりなる未延伸ポリプロピレン被覆層よりなる積層シートを冷間多段深絞り成形することにより形成せられたものである。
【0021】
蓋(A)で密封された容器(B)を開封するには、摘み(9)を持って部分開放用部(4)を開く。保持用部(3)は元のままとし、全面開封はしない。容器(B)に内容物が残っている場合は、蓋(A)がアルミニウム箔からなるものであるから、開放用部(4)を元に戻すことができる。
【実施例2】
【0022】
図3および図4に示す蓋(C)は、フランジ(1)付きコップ状容器(B)に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、内径62.7mmの容器口部の全面積のうちその略半分でかつ半分を超える面積に相当する部分が、容器(B)に保持される程度の深さ8mmとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁(12)を有する凹部である保持用部(13)となされ、残部が容器(B)から離れ得る部分開放用部(14)となされている。
【0023】
保持用部(13)の凹部における底壁(15)には、底壁(15)の周縁にそって環状に隆起した補強用エンボス模様(16)が設けられている。保持用部(13)における円弧状側壁(12)以外の側壁(17)は、湾入状で円弧状側に曲線部を介して連なっている。部分開放用部(14)は、平らで容器(B)のフランジ(1)に融着される部分と面一である。その他は、実施例1と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の蓋の平面図である。
【図2】図1のII−II線にそう容器を含む断面図である。
【図3】実施例2の蓋の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線にそう容器を含む断面図である。
【符号の説明】
【0025】
(1) 容器のフランジ
(2)(7)(12)円弧状側壁
(3)(13) 保持用部
(4)(14) 部分開放用部
(5)(15) 底壁
(6)(16) 補強用エンボス模様
(8)(17) 円弧状側壁以外の側壁
(A)(C) 蓋
(B) 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ付きコップ状容器に使用される下面に熱封緘材層を備えたアルミニウム箔からなる蓋であって、容器口部の全面積のうちその略半分に相当する部分が、容器に保持される程度の深さとなされるとともに、容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有する凹部である保持用部となされ、その残部が容器から離れ得る部分開放用部となされているコップ状容器の蓋。
【請求項2】
保持用部の凹部における底壁に補強用エンボス模様が設けられている請求項1記載のコップ状容器の蓋。
【請求項3】
部分開放用部が容器口部の内周面にそう円弧状側壁を有しかつ保持用部の凹部に比べて浅い凹部である請求項1または2記載のコップ状容器の蓋。
【請求項4】
保持用部の凹部が、容器口部の全面積のうちの半分を超える大きさである請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋。
【請求項5】
保持用部における円弧状側壁以外の側壁が、平面からみて直線状でかつ円弧状側壁に曲線部を介して連なっている請求項1ないし4のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋。
【請求項6】
保持用部における円弧状側壁以外の側壁が、湾入状で円弧状側壁に曲線部を介して連なっている請求項1ないし4のいずれか一項に記載のコップ状容器の蓋。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−51992(P2006−51992A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235816(P2004−235816)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(501428187)昭和電工パッケージング株式会社 (110)
【Fターム(参考)】