説明

コネクタ取付け用クランプ

【課題】コネクタ22に形成された平行な内向き対向溝28の内面間隔Sが異なる場合でも、共通に使用できるコネクタ取付け用クランプを提供する。
【解決手段】基体部12の両側にコネクタ12に形成された平行な内向き対向溝28に差し込まれる差し込み部を設け、基体部12のコネクタ側と反対側の面にアンカー部14を突設したコネクタ取付け用クランプにおいて、前記基体部12の両側の差し込み部を、弓形片32で構成した。弓形片32は、両端が基体部12と一体化され、中間が基体部12に接近したり離れたりするように弾性変形可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内配線等に使用するコネクタを、自動車のボディ等に取り付けるためのコネクタ取付け用クランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタ取付け用クランプを図3に示す。コネクタ取付け用クランプ10は、プラスチック成型品で、コネクタへの取付け部である基体部12と、自動車のボディ等への取付け部であるアンカー部14とを有している(特許文献1)。
【0003】
基体部12は断面逆凹形で、その両側には、コネクタに形成された平行な内向き対向溝(後述)に差し込まれる平板状の差し込み部16が形成されている。また基体部12の内側のコネクタと対向する面には斜め後方に向けて抜け止め片18が形成されており、さらに差し込み部16の後端にはストッパー20が突設されている。
【0004】
アンカー部14は、基体部12のコネクタ側と反対側の面から突出する軸部14aと、その軸部14aの先端から軸部の両側に広がりながら基体部12側へ折り返すように形成された弾性係止片14bとを有している。このアンカー部14を自動車のボディ等に形成された穴に挿入すると、弾性係止片14bの先端部が穴の裏側の縁に引っ掛かり、クランプ10は引き抜けなくなる。
【0005】
図4は上記コネクタ取付け用クランプ10をコネクタ22に取り付けた状態を示す。コネクタ22には、コネクタ22の外面から平行に立ち上がる平行壁24と、この平行壁24の上端から内向きに張り出す庇片26とにより、平行な内向き対向溝28が形成されている。クランプ10は、両側の差し込み部16をコネクタ22の平行な内向き対向溝28に差し込むようにして矢印P方向に押し込むことにより、コネクタ22に取り付けられる。クランプ10を最後まで押し込むと、抜け止め片18がコネクタ22の内向き対向溝28の間に形成された突起30を乗り越えて突起30と係合すると共に、ストッパー20がコネクタ22の庇片26に突き当たる。このためクランプ10は押し込みも引き抜きもできなくなり、コネクタ22に取り付けられた状態となる。この状態で、アンカー部14を自動車のボディ等に形成された穴に挿入すれば、コネクタ22をボディ等の所定箇所に取り付けることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平8−195253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のコネクタ取付け用クランプは、両側の差し込み部16の外面間隔が、コネクタ22の内向き対向溝28の内壁面間隔Sに丁度収まるようなサイズに形成されていた。しかし、コネクタ22の内向き対向溝28の内壁面間隔Sは、コネクタの種類によって異なる場合があるため、従来は上記内壁面間隔Sに応じて複数種類のコネクタ取付け用クランプを用意しなければならなかった。このためコネクタ取付け用クランプの種類が多くなり、コスト高になるだけでなく、管理も面倒であった。
【0008】
本発明の目的は、上記のような問題点に鑑み、コネクタの平行な内向き対向溝の内壁面間隔が異なっても共通に使用できるコネクタ取付け用クランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、基体部の両側に、コネクタに形成された平行な内向き対向溝に差し込まれる差し込み部を設け、前記基体部のコネクタ側と反対側の面にアンカー部を突設したコネクタ取付け用クランプにおいて、前記基体部の両側の差し込み部を、両端が前記基体部と一体化され、中間が基体部に接近したり離れたりするように弾性変形可能な弓形片で構成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明において、基体部の両側の弓形片はそれぞれ、コネクタに形成された平行な内向き対向溝の内壁面に複数箇所で接触するように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコネクタ取付け用クランプは、基体部の両側の差し込み部を、中間が基体部に接近したり離れたりするように弾性変形する弓形片で構成したので、この弓形片の弾性変形可能な範囲内で、内向き対向溝の内壁面間隔Sが異なる複数種類のコネクタに共用することができる。したがって本発明によれば、コネクタ取付け用クランプの種類を少なくすることができ、コストダウンを図ることができると共に、コネクタ取付け用クランプの管理を簡素化することができる。
【0012】
また両側の弓形片をそれぞれ、コネクタの内向き対向溝の内壁面に複数箇所で接触させると、クランプをコネクタに取り付けたときにガタツキが発生し難くなり、取付け状態を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明に係るコネクタ取付け用クランプの一実施形態を示す。図1において、図3と同一部分には同一符号を付してある。すなわち、10はコネクタ取付け用クランプ、12は基体部、14はアンカー部、18は抜け止め片、20はストッパーである。アンカー部14の構成は従来と同じである。
【0014】
このコネクタ取付け用クランプ10の特徴は、基体部12の両側に、コネクタの内向き対向溝への差し込み部を、弓形片32で構成したことである。弓形片32は、両端が基体部12と一体化され、中間が基体部12に接近したり離れたりするように弾性変形可能である。両側の弓形片32はそれぞれ、外側に向けて2つの山部34ができるように波形に形成されている。
【0015】
図2は上記のように構成されたコネクタ取付け用クランプ10をコネクタ22に取り付けた状態を示す。図2において、図4と同一部分には同一符号を付してあるので、重複する説明は省略する。(A)、(B)はコネクタ22の内向き対向溝28の内壁面間隔Sが広い場合、(C)、(D)は内壁面間隔Sが狭い場合である。内壁面間隔Sが広い場合は弓形片32の弾性変形量が小さく、狭い場合は弓形片32の弾性変形量が大きくなるが、いずれの場合も、弓形片32をコネクタ22の内向き対向溝28に差し込むと、弓形片32が基体部12に近づくように弾性変形し、その弾性反発力でコネクタの内向き対向溝28の内壁面に接触する。したがって同じサイズのコネクタ取付け用クランプを、内向き対向溝の内壁面間隔Sが異なる複数種類のコネクタに共用することができる。
【0016】
また、この実施形態では、弓形片32に2つの山部34が形成され、これらの山部34が基体部12の両側で2箇所ずつ内向き対向溝28の内壁面に接触するため、クランプ10のコネクタ22への取付状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るコネクタ取付け用クランプの一実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は側面図。
【図2】図1のコネクタ取付け用クランプをコネクタに取り付けた状態を示す、(A)、(B)はコネクタの内向き対向溝の内壁面間隔Sが広い場合の平面図及び正面図、(C)、(D)は上記内壁面間隔Sが狭い場合の平面図及び正面図。
【図3】従来のコネクタ取付け用クランプの一実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は側面図。
【図4】図3のコネクタ取付け用クランプをコネクタに取り付けた状態を示す、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は一部切開側面図。
【符号の説明】
【0018】
10:コネクタ取付け用クランプ
12:基体部
14:アンカー部
18:弾性係止片
20:ストッパー
22:コネクタ
28:内向き対向溝
30:突起
32:弓形片
34:山部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部の両側に、コネクタに形成された平行な内向き対向溝に差し込まれる差し込み部を設け、前記基体部のコネクタ側と反対側の面にアンカー部を突設したコネクタ取付け用クランプにおいて、前記基体部の両側の差し込み部を、両端が前記基体部と一体化され、中間が基体部に接近したり離れたりするように弾性変形可能な弓形片で構成したことを特徴とするコネクタ取付け用クランプ。
【請求項2】
基体部の両側の弓形片がそれぞれ、コネクタに形成された平行な内向き対向溝の内壁面に複数箇所で接触するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ取付け用クランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−165158(P2007−165158A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361308(P2005−361308)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)