説明

コネクタ

【課題】コンタクトにアクチュエータを押えるためのスタビライザを形成しない場合であっても、アクチュエータのカム部の強度を高くし、コネクタ全体を低背化でき、しかも開位置に位置するアクチュエータのインシュレータに対する抜けを防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】アクチュエータ50に突設した、カム部を構成し、かつ接続対象物70の幅方向に突出する第1軸部54を有する突部55と、インシュレータ20に突設した、上記突部と上記幅方向に並び、かつ接続対象物と対向する面及び上記突部との対向面に跨るように形成した、第1軸部を回転可能に支持する支持凹部31を有する支持突部30と、第1突部を支持凹部内に位置させるようにアクチュエータを支持する支持部64と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPCやFFC等の薄板状の接続対象物を接続するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
薄板状の接続対象物(FPCやFFC等)を接続可能なコネクタは、接続対象物を挿脱可能なインシュレータと、インシュレータに挿入した接続対象物と接触可能で、回路基板に接続するコンタクトと、自身のカム部によってインシュレータに挿入した接続対象物をコンタクト側に押圧する閉位置と、カム部から接続対象物に対する押圧力が消失する開位置との間をインシュレータに対して回転可能なアクチュエータと、を具備している。
一般的にアクチュエータにはインシュレータの幅方向に延びる回転軸が突設してあり、この回転軸を、インシュレータに形成した支持部とコンタクトに形成した弾性変形可能なスタビライザ(押えアーム)とによって挟み込みながら支持することにより、アクチュエータをインシュレータ(及びコンタクト)に回転可能に取り付けている。
【0003】
しかしスタビライザを備えるコンタクトは製造コストが高いため、コンタクトからスタビライザを省略したコネクタが従来から提案されている。
特許文献1はこのタイプのコネクタの従来技術であり、インシュレータに突設した複数の凸部に上面及び側面に跨る支持凹部(軸受部)を凹設し、アクチュエータに形成した複数の有底凹部の側面に突設した回転軸(軸部)を各支持凹部に上方からそれぞれ係合し、有底凹部の底面をカム部として利用している。
従って回転軸が支持凹部内を回転することによりアクチュエータがインシュレータに対して相対回転し、閉位置に位置したときにそのカム部によって接続対象物をコンタクト側に押圧する。
またアクチュエータが閉位置に位置するときは、支持凹部の有底凹部(カム部)が凸部の直下に位置するので、アクチュエータの回転軸が対応する支持凹部から上方に抜け出すことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−272227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコネクタは、アクチュエータに形成した有底凹部の底面をカム部として利用しているが、有底凹部の底面(底部)は薄肉であるため、カム部の機械的強度は低い。そのためアクチュエータを閉位置に位置させてカム部を接続対象物に圧接したときにカム部が破損するおそれがある。
またアクチュエータが閉位置に位置するときに支持凹部のカム部が凸部の直下に位置し、凸部とカム部がコネクタの厚み方向に並ぶため、コネクタ全体を低背化するのが難しい。
さらにアクチュエータが開位置に位置するときは、支持凹部のカム部が凸部の下方から側方に抜け出すので、この状態でアクチュエータに上向きの外力が掛かるとアクチュエータ(回転軸)がインシュレータ(支持凹部)から上方に抜け出すおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、コンタクトにアクチュエータを押えるためのスタビライザを形成しない場合であっても、アクチュエータのカム部の強度を高くし、コネクタ全体を低背化でき、しかも開位置に位置するアクチュエータのインシュレータに対する抜けを防止できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、薄板状の接続対象物を挿脱可能なインシュレータと、該インシュレータに挿入した上記接続対象物と接触可能で、回路基板に接続するコンタクトと、カム部によって上記接続対象物を上記コンタクト側に押圧する閉位置と、上記カム部から上記接続対象物に及ぶ押圧力が消失する開位置との間を上記インシュレータに対して回転可能なアクチュエータと、を備えるコネクタにおいて、上記アクチュエータに突設した、上記カム部を構成し、かつ上記接続対象物の幅方向に突出する第1軸部を有する突部と、上記インシュレータに突設した、上記突部と上記幅方向に並び、かつ上記接続対象物と対向する面及び上記突部との対向面に跨るように形成した上記第1軸部を回転可能に支持する支持凹部を有する支持突部と、上記第1突部を上記支持凹部内に位置させるように上記アクチュエータを支持する支持部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記アクチュエータが、上記第1軸部と同軸をなしながら上記幅方向に並び、かつ上記支持部によって支持される第2軸部を備えてもよい。
このように構成すれば、アクチュエータがより円滑に回転可能になる。
【0009】
上記支持部が、上記第1軸部を上記支持凹部に支持させた後に上記インシュレータに支持することが可能で上記回路基板に接続する固定金具であってもよい。
このように構成すれば、アクチュエータのインシュレータに対する取付けがより簡単になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、インシュレータに突設した支持突部の支持凹部にアクチュエータの第1軸部を支持させ、さらに支持部の働きによって第1突部を支持凹部内に止めているので、コンタクトにスタビライザを形成しない場合であっても、アクチュエータがどの回転方向位置に位置しているかに拘わらずアクチュエータのインシュレータに対する抜けを防止でき、アクチュエータの円滑な回転を実現できる。
しかもアクチュエータの突部をカム部としているので、カム部の機械的強度を高くできる。そのためアクチュエータを閉位置に位置させてカム部を接続対象物に圧接したときにカム部が破損するおそれは殆どない。さらにアクチュエータの回動が安定するため、特に多極のコネクタの場合に大きな効果が得られる。
またアクチュエータの突部(及び第1軸部)は支持突部とコネクタの厚さ方向に並ばないので、コネクタ全体を低背化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のコネクタを前斜め上方から見た分解斜視図である。
【図2】コネクタの後斜め上方から見た分解斜視図である。
【図3】アクチュエータが開位置に位置するときのコネクタとFPCの前斜め上方から見た斜視図である。
【図4】アクチュエータが開位置に位置するときのコネクタの正面図である。
【図5】インシュレータにFPCを挿入しアクチュエータを閉位置に位置させたときのコネクタの前斜め上方から見た斜視図である。
【図6】図4のVI−VI矢線に沿う断面図である。
【図7】図4のVII−VII矢線に沿う断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII矢線に沿う断面図である。
【図9】インシュレータにアクチュエータを装着する手順を説明するための、互いに分離状態にあるインシュレータとアクチュエータの断面図である。
【図10】インシュレータに固定金具を装着する手順を説明するための、互いに分離状態にある固定金具とインシュレータ及びアクチュエータの断面図である。
【図11】インシュレータにFPCを挿入しアクチュエータを閉位置に位置させたときの図6と同様の断面図である。
【図12】インシュレータにFPCを挿入しアクチュエータを閉位置に位置させたときの図7と同様の断面図である。
【図13】インシュレータにFPCを挿入しアクチュエータを閉位置に位置させたときの図8と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。
本実施形態のコネクタ10は、大きな構成要素としてインシュレータ20、シグナルコンタクト40、アクチュエータ50、及び、固定金具60を具備している。
インシュレータ20は絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形したものである。インシュレータ20の上面の前部にはFPC70とほぼ同幅のFPC挿入溝21が凹設してある。FPC挿入溝21の前面及び前部の上面は開放しており、FPC挿入溝21の後部はインシュレータ20の内部にまで及んでいる(図7、図8等を参照)。インシュレータ20の前部の左右両側部には一対の側壁22が形成してあり、左右の側壁22の内側にはFPC挿入溝21の左右両端を規定する一対の規制壁23が上向きに突設してある。左右の側壁22の内側面にはロック保持溝24が形成してあり、左右の側壁22と規制壁23の間にはFPC挿入溝21と略同じ深さの側方溝25がそれぞれ形成してある。さらに左右の側方溝25の上面(底面)には、前端がインシュレータ20の前端面において開口しかつ下面の一部が開放した金具固定溝28が形成してある。金具固定溝28はインシュレータ20の後部の内部にまで及んでいる(図6、図11等を参照)。インシュレータ20の後部の上半部(FPC挿入溝21の後部の直上に位置する部分)の前端部には11個の支持突部30が前向きに突設してあり、各支持突部30の下面には左右両面が開放した(下面及び両側面に跨るように形成した)支持凹部31が凹設してある(図8、図9等を参照)。インシュレータ20には前後方向に延びる計45本のコンタクト挿入溝32が形成してある。各コンタクト挿入溝32の後部はインシュレータ20の後部を前後方向に貫通しており、各コンタクト挿入溝32の前部はFPC挿入溝21の底面に凹設してある。
【0013】
計45本のシグナルコンタクト40は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図示形状に成形加工したものであり、表面にニッケルメッキで下地を形成した後に、金メッキを施している。
図1、図2、図7等に示すようにシグナルコンタクト40の後端部には、略L字状に屈曲したテール部41が形成してある。またシグナルコンタクト40の前部は前斜め上方に向かって延びる弾性変形部42となっており、弾性変形部42の前端近傍部には上向きに屈曲した接触突部43が形成してある。
【0014】
左右方向に延びる板状部材である回転式のアクチュエータ50は、耐熱性の合成樹脂材料を金属製の成形型を利用して射出成形したものである。アクチュエータ50の左右両側部には逃げ溝52を有する側方突部51が突設してある。左右の側方突部51の外側面には互いに同軸をなし左右方向(FPC70の幅方向)に向かって延びる円柱形状の大径回転軸(第2軸部)53が突設してあり、左右の側方突部51の内側面には大径回転軸53と同軸かつ大径回転軸53より小径の円柱部材である小径回転軸(第1軸部)54が突設してある。またアクチュエータ50には、左右の側方突部51の間に位置する計10個のカム部(突部)55が突設してあり、各カム部55の左右両側面には大径回転軸53と同軸をなす小径回転軸54がそれぞれ突設してある。アクチュエータ50の厚み方向の一方の面には扁平面56が形成してあり、扁平面56の縁部には扁平面56に対して傾斜する開位置保持面57が形成してある。一方、アクチュエータ50の他方の面には扁平面56と平行な扁平面からなる押圧面58が形成してある。またアクチュエータ50の左右両端面にはそれぞれロック爪59が突設してある。
【0015】
左右一対の固定金具60は金属板のプレス成形品であり、下端部に突設したテール部61と、後端面に突設した圧入部62と、上面に突設した、後面に円弧状の支持溝(支持部)64を備える抜止突部63と、を有している。
【0016】
アクチュエータ50と固定金具60は以下の手順によってインシュレータ20に取り付けてある。
まずは図9に示すように組立機(図示略)でインシュレータ20に対して略直交させた(水平状態でもよい)アクチュエータ50を掴み、アクチュエータ50の下端部(カム部55が形成された部分)を前方からFPC挿入溝21内に挿入し、各カム部55を隣り合う支持突部30の間に形成された凹部の下方に位置させ、さらに各小径回転軸54を対応する支持凹部31の直下に位置させる(図示略)。この状態で組立機を利用してアクチュエータ50をインシュレータ20に対して上方に移動させると、各カム部55が各支持突部30と左右方向に並び(隣り合う支持突部30の間の凹部内に位置し)、各小径回転軸54が対応する支持凹部31の前端部に下方から係合する(図10参照)。さらに左右の大径回転軸53と左右の側方溝25の底面の間に隙間が形成される。
次いで、組立機でアクチュエータ50をこの状態に保持しながら、固定金具60を左右の金具固定溝28に対して前方から圧入する。すると金具固定溝28の後端部に圧入部62が圧入され、圧入部62の上面に突設した係止突起が金具固定溝28の後端部の上面に食い込むので、固定金具60のインシュレータ20に対する前後動及び上下動が規制され、さらにテール部61の下面がインシュレータ20の下面の下方に突出する。さらに抜止突部63が側方溝25内に位置し、抜止突部63の支持溝64が左右の大径回転軸53の前半部を下方及び前方から支持するので(図6参照)、上記組立機によるアクチュエータ50の支持を解除しても各小径回転軸54は対応する支持凹部31の前端部との係合を維持する。
なお、インシュレータ20へのアクチュエータ50と固定金具60の取り付けを、インシュレータ20を上下反転させた裏返しの状態で行うことも可能である。この場合、アクチュエータ50の自重により各小径回転軸54が対応する支持凹部31の前端部と係合するため、組立機によるアクチュエータ50の保持を省略することができる。
【0017】
アクチュエータ50をインシュレータ20に取り付けると、各小径回転軸54が支持凹部31の前端部に係合すると共に左右の大径回転軸53の前面が支持溝64によって支持され、さらに左右の大径回転軸53の後方への移動が対応するインシュレータ20によって規制されるので(図6、図11等を参照)、アクチュエータ50の基端部(図1、図2では下端部)のインシュレータ20に対する前後動が規制される。また各小径回転軸54の上方移動が支持凹部31によって規制され、かつ左右の大径回転軸53の下方移動が固定金具60(支持溝64)によって規制されるので、アクチュエータ50の基端部のインシュレータ20に対する上下動も規制される。そしてアクチュエータ50は大径回転軸53及び小径回転軸54を中心にして、インシュレータ20に対して直交する位置より僅かに後方まで回転した開位置(アンロック位置。図3、図6〜図8に示す位置)と、開位置から前方に倒れて略水平となる閉位置(ロック位置。図5、図11〜図13に示す位置)との間を回転可能となる。アクチュエータ50が開位置まで回転すると、側方突部51が左右の側壁22と左右両端の支持突部30の間に嵌合し、カム部55が隣り合う支持突部30の間に位置し、側方突部51の逃げ溝52に対応する規制壁23が進入する。さらに開位置保持面57がインシュレータ20の上面に接触するので、アクチュエータ50は開位置に保持される(図6〜図8を参照)。一方アクチュエータ50が閉位置まで回転すると、左右のロック爪59が左右のロック保持溝24にそれぞれ係合するので、アクチュエータ50は閉位置に保持される。
なお支持突部30の支持凹部31の内面の前端部の断面形状は小径回転軸54と同じ曲率の円弧とするのが好ましい。このようにすれば小径回転軸54がより円滑に回転可能となる。さらに支持凹部31の深さ(上下寸法)は小径回転軸54の直径より長くするのが好ましい。このようにすれば小径回転軸54が支持凹部31からより脱落し難くなる。
【0018】
そしてアクチュエータ50をインシュレータ20に取り付け後に各シグナルコンタクト40をインシュレータ20の各コンタクト挿入溝32に対して後方から圧入すればコネクタ10が完成する。図7に示すように各シグナルコンタクト40をコンタクト挿入溝32に圧入すると、弾性変形部42がFPC挿入溝21内に位置し、テール部41と弾性変形部42の間に位置する中間部の下面が対応するコンタクト挿入溝32の底面に接触し、さらに該中間部の側面に突設した係止突起が対応するコンタクト挿入溝32の側面に食い込むことにより中間部がコンタクト挿入溝32に対して固定状態となる。一方、テール部41はインシュレータ20の後方に突出し、その下面が固定金具60のテール部61の下面と同一平面上に位置する。
【0019】
以上構成のコネクタ10を回路基板CB(図6〜図8、図11〜図13の仮想線参照)の上面(回路形成面)に実装するには、アクチュエータ50を閉位置に保持させた状態(図11〜図13の状態)で、コネクタ10の上方に位置する吸引手段(図示略)をコネクタ10に近づけて、吸引手段によって略水平状態にある扁平面56及びインシュレータ20の上面を吸着する。そして吸引手段を移動させることにより各シグナルコンタクト40のテール部41を回路基板CB上の回路パターン(図示略)に塗布した半田ペーストに載せ、左右の固定金具60のテール部61を回路基板CB上の接地パターン(図示略)に塗布した半田ペーストに載せる。そして吸引力を消失させた吸引手段をコネクタ10の上方に退避させた後に、リフロー炉において各半田ペーストを加熱溶融し、各テール部41を上記回路パターンに半田付けし、各テール部61を上記接地パターンに半田付けする。
【0020】
接続対象物であるFPC(Flexible Printed Circuit)70は弾性変形可能な薄板状の長尺物であり、その厚みはアクチュエータ50が開位置に位置するとき(シグナルコンタクト40の弾性変形部42が自由状態にあるとき)のカム部55と接触突部43の上下間隔より小さい。FPC70は複数の薄膜材を互いに接着して構成した積層構造であり、FPC70の下面にはFPC70の延長方向に沿って直線的に延びる計45本の回路パターン(図示略)が左右方向に並べて形成してあり、回路パターンの両端部を除く部分の下面を絶縁カバー層によって覆っている。
【0021】
回路基板CBに実装したコネクタ10のアクチュエータ50を開位置に位置させた状態で、FPC挿入溝21に対してFPC70の端部を前方から挿入し、この状態でアクチュエータ50を閉位置まで前方に回転させると、アクチュエータ50の各カム部55がFPC70の上面を下方に押圧するので(図12、図13参照)、FPC70の上記回路パターンが、各シグナルコンタクト40の弾性変形部42を下方に弾性変形させながら接触突部43に対して確実に接触する(図12、図13参照)。
一方、左右のロック爪59とロック保持溝24の係合を解除した上でアクチュエータ50を開位置まで回転させれば、各カム部55からFPC70の上面に及んでいた押圧力が消失するので、FPC70をインシュレータ20から円滑に引き抜けるようになる。
【0022】
以上説明したように本実施形態のコネクタ10は、インシュレータ20に突設した支持突部30の支持凹部31にアクチュエータ50の小径回転軸54を支持させ、さらに固定金具60の働きによって小径回転軸54を支持凹部31内に止めているので、各シグナルコンタクト40に(大径回転軸53、小径回転軸54を押えるための)スタビライザを形成していないにも拘わらず、アクチュエータ50がどの回転方向位置に位置していても、支持凹部31によって小径回転軸54の上方への抜けが規制される。そのためアクチュエータ50はインシュレータ20に対して円滑に回転できる。
しかもFPC70を押圧するための部位であるカム部55はアクチュエータ50に突設した突部なので相応の機械的強度を有する。そのためアクチュエータ50を閉位置に位置させてカム部55をFPC70に圧接したときにカム部55が破損するおそれは殆どない。
さらにカム部55が破損し難いので、アクチュエータ50の回動が安定する。特にシグナルコンタクト40の数(極数)が多い場合に大きな効果が得られる。即ち、極数を多くするとコネクタの幅方向中央に位置するコンタクト(スタビライザ)に対してFPCから大きな圧力(反力)が掛かるため、従来のコネクタでは中央部のコンタクト(スタビライザ)によるアクチュエータの支持が不安定になり、アクチュエータの中央部がFPCに及ぼす接圧やアクチュエータの回転操作性が不安定になり易かった。しかし本実施形態ではスタビライザに比べて変形し難い支持突部30(支持凹部31)によってアクチュエータ50の小径回転軸54を支持しているので、幅方向の中央部においてもアクチュエータ50の支持は安定する。そのためアクチュエータ50の中央部のカム部55がFPC70に及ぼす接圧やアクチュエータ50の回転操作性が安定する。
またカム部55(及び小径回転軸54)は支持突部30と上下方向(コネクタ10の厚み方向)に並ばないので、コネクタ10全体を低背化できる。
【0023】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば固定金具60の代わりに、左右の大径回転軸53を下方(及び前方)から支持する支持部をインシュレータ20に一体的に設けても良い。
また、コネクタ10の極数(シグナルコンタクト40の数)やFPC70の厚さ等の様々な設定仕様により、支持突部30とカム部55の間隔や大きさは自由に設定することができる。
薄板状の接続対象物はFPC以外のケーブル、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 コネクタ
20 インシュレータ
21 FPC挿入溝
22 側壁
23 規制壁
24 ロック保持溝
25 側方溝
28 金具固定溝
30 支持突部
31 支持凹部
32 コンタクト挿入溝
40 シグナルコンタクト
41 テール部
42 弾性変形部
43 接触突部
50 アクチュエータ
51 側方突部
52 逃げ溝
53 大径回転軸(第2軸部)
54 小径回転軸(第1軸部)
55 カム部(突部)
56 扁平面
57 アンロック位置保持面
58 押圧面
59 ロック爪
60 固定金具
61 テール部
62 圧入部
63 抜止突部
64 支持溝(支持部)
70 FPC(接続対象物)
CB 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の接続対象物を挿脱可能なインシュレータと、
該インシュレータに挿入した上記接続対象物と接触可能で、回路基板に接続するコンタクトと、
カム部によって上記接続対象物を上記コンタクト側に押圧する閉位置と、上記カム部から上記接続対象物に及ぶ押圧力が消失する開位置との間を上記インシュレータに対して回転可能なアクチュエータと、
を備えるコネクタにおいて、
上記アクチュエータに突設した、上記カム部を構成し、かつ上記接続対象物の幅方向に突出する第1軸部を有する突部と、
上記インシュレータに突設した、上記突部と上記幅方向に並び、かつ上記接続対象物と対向する面及び上記突部との対向面に跨るように形成した上記第1軸部を回転可能に支持する支持凹部を有する支持突部と、
上記第1突部を上記支持凹部内に位置させるように上記アクチュエータを支持する支持部と、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
上記アクチュエータが、上記第1軸部と同軸をなしながら上記幅方向に並び、かつ上記支持部によって支持される第2軸部を備えるコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2記載のコネクタにおいて、
上記支持部が、上記第1軸部を上記支持凹部に支持させた後に上記インシュレータに支持することが可能で上記回路基板に接続する固定金具であるコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−226947(P2012−226947A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93017(P2011−93017)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000128407)京セラコネクタプロダクツ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】