説明

コネクタ

【課題】安全性を高めたコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、第1コネクタ11と、第1コネクタ11を嵌合可能なハウジング41およびハウジング41に配置される端子金具46を有する第2コネクタ40と、を備える。第1コネクタ11においては、複数の導体31を間隔をあけて並列してなる導体列32の外周を、絶縁樹脂33でフラット形状に被覆してなるフレキシブルフラットケーブル30の、絶縁樹脂33を導体31ごとに剥離除去することで、第2コネクタ40の端子金具46と電気的に接続される露出導体部34が形成されている。本発明は、隣り合う露出導体部34が、第2コネクタ40との嵌合方向においてずれた位置に形成される一方、第2コネクタ40の端子金具46が、露出導体部34の配置位置に対応して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(FFCともいう)やフレキシブルプリント基板などのフラット形状の配線材を用いた回路としては、例えば特許文献1に記載のものなどが知られている。FFCは、複数の導体を並列してなる導体列の外周を、絶縁樹脂でフラット形状に被覆してなるものであり、隣り合う導体間には所定間隔があけられていて絶縁状態が保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−143793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FFCを配線材として用いる場合、導体列を構成する複数の導体において、絶縁樹脂を部分的に剥離することで導体を露出させ、相手方の端子と接続する。
このようなFFCは、例えば複数の単電池を並べてなる電池モジュールなどのように高電圧の回路において用いられる場合がある。FFCを構成する複数の導体間の間隔は比較的小さいため、前記のような場合には、導体の露出部がつながって、各導体に大電圧がかかることが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、安全性を高めたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして本発明は、第1コネクタと、前記第1コネクタを嵌合可能なハウジングおよび前記ハウジングに配置される端子金具を有する第2コネクタと、を備え、前記第1コネクタにおいては、複数の導体を間隔をあけて並列してなる導体列の外周を、絶縁樹脂でフラット形状に被覆してなるフレキシブルフラットケーブルの、前記絶縁樹脂を前記導体ごとに剥離除去することで、前記第2コネクタの端子金具と電気的に接続される露出導体部が形成され、隣り合う前記露出導体部は、前記第2コネクタとの嵌合方向においてずれた位置に形成される一方、前記第2コネクタの端子金具は、前記露出導体部の配置位置に対応して配置されていることを特徴とするコネクタである。
【0007】
本発明においては、FFCの導体を被覆する絶縁樹脂を導体ごとに剥離除去することで露出導体部が形成され、隣り合う露出導体部は第2コネクタとの嵌合方向においてずれた位置に形成されている。そして、このように形成された露出導体部に、当該露出導体部に対応して配置された第2コネクタの端子金具が接続されるようになっている。つまり、本発明では、隣り合う露出導体部が、第2コネクタの嵌合方向においてずれた位置に配されるので、沿面距離が確保されている。ここで沿面距離とは、導電性部品間の距離であって、絶縁物の表面に沿って測定した最短距離のことをいう。その結果、本発明によれば、露出導体部が一体につながりにくいので、安全性が高いコネクタを提供することができる。
【0008】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記フレキシブルフラットケーブルにおいては、隣り合う前記露出導体部のうち、前記嵌合方向における後方に形成された露出導体部の前方の領域が除去されていてもよい。
このような構成とすると、嵌合方向における後方に形成された露出導体部の前方領域が除去されているので、嵌合方向における後方に形成された露出導体部と第2コネクタの端子金具との接続が容易となる。
【0009】
前記第1コネクタは、前記フレキシブルフラットケーブルを保持する保持ホルダーを有していてもよい。
このような構成とすると、第1コネクタを第2コネクタに嵌合させるときに、FFCの破損の発生を防止することができる。
【0010】
前記保持ホルダーには、前記フレキシブルフラットケーブルの、前記嵌合方向における前後方向への移動を規制する移動規制部が設けられていてもよい。
このような構成とすると、FFCが保持ホルダーにより、第2コネクタとの嵌合方向における前後方向への移動を規制された状態で、第1コネクタを第2コネクタに嵌合させることができるので、FFCの露出導体部と第2コネクタの端子金具とを接続する作業効率に優れる。
【0011】
前記保持ホルダーには前記フレキシブルフラットケーブルを固定する固定突部が形成される一方、前記フレキシブルフラットケーブルには前記固定突部が嵌めこまれる固定孔が形成されていてもよい。
このような構成とすると、FFCを保持ホルダーに対して確実に固定することができるので、FFCの露出導体部と第2コネクタの端子金具とを接続する作業が容易となる。
【0012】
前記端子金具は、前記フレキシブルフラットケーブルを厚み方向から挟持する挟持部を有していてもよい。
このような構成とすると、FFCと端子金具との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0013】
前記保持ホルダーには、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの正規嵌合位置よりも前記嵌合方向における前方への移動が規制される規制突部が突出形成される一方、前記ハウジングの内壁には前記規制突部を受け入れる規制受け部が設けられていてもよい。
【0014】
第1コネクタが、過剰に第2コネクタとの嵌合方向における前方へ移動すると、ハウジングの嵌合方向における前方の壁部と、FFCの露出導体部とが当接することなどにより、露出導体部が破損することが懸念される。そこで、上記のような構成とすると、保持ホルダーが、第1コネクタと第2コネクタとの正規嵌合位置よりも前方に移動するのが規制されるから、正規嵌合位置を、FFCの露出導体部とハウジングの嵌合方向における前方の壁部とが当接する位置よりも、(嵌合方向における)後方としておけば、露出導体部の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安全性を高めたコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1のコネクタの斜視図
【図2】コネクタの平面図
【図3】コネクタの正面図
【図4】図2におけるA−A断面図
【図5】図2におけるB−B断面図
【図6】第2コネクタのハウジングの斜視図
【図7】第2コネクタのハウジングの正面図
【図8】第2コネクタの端子金具とFFCとの接続状態を示す斜視図
【図9】図8に示す状態における平面図
【図10】第1端子金具の斜視図
【図11】第2端子金具の斜視図
【図12】第1コネクタの平面図
【図13】保持ホルダーを構成する部品のうち、FFCの前端側を保持する部品(前側部品)の斜視図
【図14】保持ホルダーを構成する部品のうち、図13の部品の後側に配されてFFCを保持する部品(後側部品)の斜視図
【図15】FFCの平面図
【図16】FFCの斜視図
【図17】実施形態2のコネクタを構成する第1コネクタの斜視図
【図18】保持ホルダーを構成する部品のうち、FFCの前端側を保持する部品(前側部品)の斜視図
【図19】前側部品の平面図
【図20】FFCの平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図16によって説明する。
本実施形態のコネクタ10は、図1および図2に示すように、FFC30を有する第1コネクタ11と、第1コネクタ11が嵌合可能な第2コネクタ40とを備える。以下の説明において、図3における上方を上とし下方を下とする。以下の説明において、第2コネクタ40に対する第1コネクタ11の嵌合方向の前方(図2における左)を前とし、当該嵌合方向の後方(図2における右)を後とする。
【0018】
(第2コネクタ40)
第1コネクタ11が嵌合可能な第2コネクタ40は、図示しない電池ECUに接続されている。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池の電圧・電流・温度等の検知、各単電池の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0019】
第2コネクタ40は、略直方体状のハウジング41およびハウジング41に配置される端子金具46とを有する。
【0020】
(ハウジング41)
合成樹脂製のハウジング41は、図3〜図5に示すように、第1コネクタ11を嵌合可能な開口部42を有している。第1コネクタ11を第2コネクタ40に嵌合させた状態においては、ハウジング41の開口部42には、図1および図2に示すように、第1コネクタ11の保持ホルダー12(詳細は後述する)が嵌めこまれている。
【0021】
ハウジング41の左右の側壁41B,41Bの内壁面および底壁41Cの内壁面には、第1コネクタ11の保持ホルダー12を嵌合方向の前方に案内する案内溝43が、それぞれ設けられている。ハウジング41の左右の側壁41B,41Bの内壁のうち、嵌合方向における前方には、図7に示すように、保持ホルダー12の規制突部18を受け入れて、保持ホルダー12が第1コネクタ11と第2コネクタ40との正規嵌合位置よりも嵌合方向における前方へ移動するのを規制する規制受け部44が、それぞれ設けられている。
【0022】
ハウジング41の底壁41Cの内壁面には、端子金具46の挟持部47が載置される載置突部45が、内側方向に突出形成されており、載置突部45には端子金具46の挟持部47が配される溝部45Aが形成されている。
【0023】
(端子金具46)
ハウジング41の奥壁41A(第1コネクタ11の嵌合方向の前方の壁)には、図2に示すように、7本の端子金具46が配置されている。7本の端子金具46は、導電性材料からなり、図8および図9に示すように、二種類の長さの端子金具からなる。二種類の端子金具46A,46Bのうち、長さの長い端子金具46Aを第1端子金具46Aとし、長さの短い端子金具46Bを第2端子金具46Bとし、両者を総括するときは端子金具46とする。本実施形態では、図8および図9に示すように、第1端子金具46Aと第2端子金具46Bとが交互に配置されている。
【0024】
各端子金具46は、図11および図12に示すように、全体として音叉状をなしている。詳しくは、端子金具46は、ハウジング41内に配される2股状の部分47と、ハウジング41の奥壁41Aに対して略平行に配置される部分49Aと、ハウジング41の奥壁41Aから外側に導出される部分49B(導出部49B)とから構成される。
【0025】
端子金具46の2股状の部分47は、FFC30の露出導体部34を厚み方向から挟んで接続する挟持部47である(図8および図9を参照)。挟持部47を構成する一対の挟持片47A,47Bのうち、上側に配される挟持片47AにはFFC30の露出導体部34と直接接触して電気的に接続される接触突部48Aが形成されている。一対の挟持片47A,47Bのうち下側に配される挟持片47Bには保持ホルダー12の前端部が係止される係止突部48Bが形成されている。下側の挟持片47Bはハウジング41の底壁41Cに形成された載置突部45の溝部45Aに配置される(図4、図5を参照)。
【0026】
第1端子金具46Aの接触突部48Aと第2端子金具46Bの接触突部48Aとは、図8に示すように、接続されるFFC30の露出導体部34と対応して、第1コネクタ11の嵌合方向において前後にずれた位置に配置されている。
【0027】
(第1コネクタ11)
第2コネクタ40に嵌合される第1コネクタ11は、図12に示すように、FFC30とFFC30を保持する保持ホルダー12とを有する。
【0028】
(保持ホルダー12)
保持ホルダー12は、FFC30を保持するとともに保護する機能を有する。保持ホルダー12は、前方に配置されてFFC30の前端側を保持する部品13(図13に示す部品、前側部品13)と、前側部品13の後方に配置され、前側部品13とともにFFC30を保持する部品20(図14に示す部品、後側部品20)と、を備える。
【0029】
保持ホルダー12の前側部品13の上側面14には、FFC30が載置され固定されている(載置部14という)。保持ホルダー12の載置部14においては、前端部の両側に、FFC30を上下方向(厚み方向)から挟んで保持する保持突部15,15が2つ形成されており、2つの保持突部15,15の間はFFC30の導体31に沿って凸凹形状をなしている。載置部14の略中央には上方に突出形成され、FFC30の固定孔35にはまり込んでFFC30を固定する固定突部16が3つ設けられている。
【0030】
また載置部14の嵌合方向における後端寄りのところには、FFC30に設けた規制凹部36が嵌めこまれ、FFC30の嵌合方向における前後方向への移動を規制する移動規制部17が、上方に突出形成されている。
【0031】
保持ホルダー12の前側部品13の側面には、ハウジング41の規制受け部44に嵌り込む規制突部18が外側方向に突出形成されている。この規制突部18は、ハウジング41の規制受け部44に嵌り込んで、保持ホルダー12が第1コネクタ11と第2コネクタ40との正規嵌合位置よりも嵌合方向における前方に移動するのを規制している。本実施形態において、第1コネクタ11と第2コネクタ40の正規嵌合位置は、図4および図5に示すように、FFC30とハウジング41の奥壁41Aとが当接する位置よりも、嵌合方向における後方のところに設定されている。
【0032】
前側部品13の前側領域にはハウジング41の側壁41B,41Bおよび底壁41Cに設けられた案内溝43に案内される案内突部19,19が設けられている。
【0033】
保持ホルダー12の後側部品20は、載置部14にFFC30を載置し固定した前側部品13の後側領域を保持する機能を有する。後側部品20の前方にはFFC30を取り付けた前側部品13を挟持するFFC挟持部21が設けられている。後側部品20の後側面には前側部品13に載置されたFFC30のみを挿通可能なFFC挿通部22が設けられており、FFC挿通部22からは、FFC30の露出導体部34よりも後方の領域が導出されている。
【0034】
(FFC30)
保持ホルダー12に保持されるFFC30としては、図15および図16に示すように、たとえば、7つ(複数)の銅箔(導体31)を間隔をあけて並列してなる導体列32の外周を、ポリエチレンテレフタレートなどの絶縁樹脂33でラミネートし、フラット形状にしたものなどを用いることができる。
【0035】
本実施形態において、FFC30には、各端子金具46と接続される接続部34がそれぞれ設けられている。FFC30には、各導体31ごとに部分的に導体31を被覆する絶縁樹脂33を剥離除去することで、導体31を露出させた露出導体部34(接続部34)が形成されている。なお、FFC30の前端部においては、FFC30の側縁(導体31のない側縁部)の絶縁樹脂33も剥離除去されている。FFC30の露出導体部34は、FFC30の絶縁樹脂33をレーザーなどで皮はぎして導体31を露出させることにより形成される。
【0036】
隣り合う露出導体部34は図15および図16に示すように、第2コネクタ40に対する嵌合方向において前後にずれた位置に設けられている。本実施形態においては、嵌合方向における後方に形成されている露出導体部34の前端部は、方形状にくりぬかれている。この方形状にくりぬかれた部分35は、保持ホルダー12の固定突部16が嵌り込む固定孔35である。
【0037】
FFC30の露出導体部34より後方の両側縁には、略方形状にくりぬかれ、保持ホルダー12の移動規制部17を嵌め込むことでFFC30の移動を規制する規制凹部36がそれぞれ設けられている。FFC30の下側面には、FFC30の前端部から、規制凹部36に至る部分を補強する絶縁性材料からなる補強部材25が接合されている。
【0038】
(コネクタ10の組み付け方法)
以下、本実施形態のコネクタ10の組み付け方法について説明する。
図15に示す形状のFFC30を作製して、第1コネクタ11の保持ホルダー12に固定する。具体的には、FFC30の規制凹部36を保持ホルダー12の前側部品13の移動規制部17に配し、FFC30の固定孔35に前側部品13の固定突部16を差し込み、FFC30を前側部品13に取り付ける。前側部品13に取り付けたFFC30に後側部品20を取り付けると、第1コネクタ11が得られる。
【0039】
このようにして得られた第1コネクタ11においては、FFC30の規制凹部36に保持ホルダー12の移動規制部17が嵌りこみ、FFC30の固定孔35に保持ホルダー12の固定突部16が嵌り込んでいるので、FFC30が保持ホルダー12により第2コネクタ40との嵌合方向における前後方向への移動を規制された状態で固定されている。
【0040】
次に、第1コネクタ11の前端部(図12における左側の端部)を第2コネクタ40のハウジング41の開口部42に差し込む。すると、第1コネクタ11の保持ホルダー12の案内突部19,19がハウジング41の側壁41B,41Bおよび底壁41Cに設けられた案内溝43に案内され、第1コネクタ11は第2コネクタ40のハウジング41内において前方に移動する。
【0041】
第1コネクタ11を第2コネクタ40のハウジング41に挿入すると、FFC30と端子金具46の挟持部47とが当接し、FFC30により端子金具46の一対の挟持片47A,47Bが拡開される。保持ホルダー12の規制突部18がハウジング41内壁に設けられた規制受け部44に嵌り込むと、保持ホルダー12の嵌合方向における前方への移動が規制される。このとき、第1コネクタ11と第2コネクタ40とが正規嵌合に至り、各端子金具46の挟持片47Aの接触突部48Aが対応するFFC30の露出導体部34と接触し、電気的に接続可能となり(図4および図5を参照)、各端子金具46の挟持片47Bの係止突部48Bにより保持ホルダー12の前端部が係止される。
【0042】
(作用・効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、FFC30の導体31を被覆する絶縁樹脂33を導体31ごとに剥離除去することで露出導体部34が形成され、隣り合う露出導体部34は第2コネクタ40との嵌合方向においてずれた位置に形成されている。このように形成された露出導体部34に、当該露出導体部34に対応して配置された端子金具46の接触突部48Aが接続される。
【0043】
つまり、本実施形態では、隣り合う露出導体部34が第2コネクタ40の嵌合方向においてずれた位置に配されるので、沿面距離が確保されている。その結果、本実施形態によれば、露出導体部34が一体につながりにくいので、安全性が高いコネクタを提供することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、第1コネクタ11は、FFC30を保持する保持ホルダー12を有しているから、第1コネクタ11を第2コネクタ40に嵌合させるときにFFC30の破損の発生を防止することができる。
【0045】
また、本実施形態において、保持ホルダー12には、FFC30の、第2コネクタ40との嵌合方向における前後方向への移動を規制する移動規制部17が設けられているから、FFC30が保持ホルダー12により第2コネクタ40との嵌合方向における前後方向への移動を規制された状態で、第1コネクタ11を第2コネクタ40に嵌合させることができる。その結果、本実施形態によれば、FFC30の露出導体部34と第2コネクタ40の端子金具46とを接続する作業効率に優れる。
【0046】
また、本実施形態によれば、保持ホルダー12にはFFC30を固定する固定突部16が形成される一方、FFC30には固定突部が嵌めこまれる固定孔35が形成されているから、FFC30を保持ホルダー12に対して確実に固定することができ、FFC30の露出導体部34と第2コネクタ40の端子金具46とを接続する作業が容易となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、端子金具46は、FFC30を厚み方向から挟持する挟持部47を有しているから、FFC30と端子金具46との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0048】
ところで、第1コネクタ11が、過剰に第2コネクタ40との嵌合方向における前方へ移動すると、ハウジング41の奥壁41Aと、FFC30の露出導体部34とが当接することなどにより、露出導体部34が破損することが懸念される。
しかしながら、本実施形態においては、保持ホルダー12には、第1コネクタ11と第2コネクタ40との正規嵌合位置よりも嵌合方向における前方への移動が規制される規制突部18が突出形成される一方、ハウジング41の内壁には規制突部18を受け入れる規制受け部44が設けられている。そして本実施形態においては、第1コネクタ11と第2コネクタ40との正規嵌合位置が、FFC30の露出導体部34とハウジング41の奥壁41Aとが当接する位置よりも、嵌合方向における後方に設定されているので、露出導体部34の破損を防止することができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図17ないし図20によって説明する。
本実施形態のコネクタ50は、第2コネクタ40に対する第1コネクタ51の嵌合方向における後方に形成されたFFC60の露出導体部64Bの前方の領域65が除去されている点で、実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0050】
本実施形態では図17、図19および図20に示すように、FFC60の前端部(嵌合方向における前側の端部)のうち、嵌合方向における後方に形成された露出導体部64Bの前方の領域65、言い換えれば、嵌合方向における前方に形成された露出導体部64A,64Aの間の領域65が除去されている(除去部65)。本実施形態のFFC60には固定孔35は設けられておらず除去部65の後端面に保持ホルダー52の固定突部16が係止されるようになっている。
【0051】
本実施形態の保持ホルダー52の前側部品53が、図18に示すように、FFC60の前端部の形状に合わせた形状をなしている。具体的には、保持ホルダー52の前側部品53の載置部14の前端部は、FFC60の前端部の除去部65と対応して切り欠かれている(切欠部54A)。本実施形態では、前側部品53の切欠部54Aの後方に固定突部16が設けられている。その他の構成は実施形態1と概ね同様であるので、実施形態1と同様の効果を有する。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、FFC60においては、露出導体部64のうち、第2コネクタ40との嵌合方向における後方に形成された露出導体部64Bの前方の領域65が除去されているから、嵌合方向における後方に形成された露出導体部64Bと第2コネクタ40の端子金具46との接続が容易となるという効果を奏する。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、FFCの嵌合方向における前方への移動を規制する移動規制部を設けた保持ホルダーを示したが、移動規制部を備えないものであってもよい。
(2)上記実施形態では、保持ホルダーにFFCを固定する固定突部が形成され、FFCに固定突部が嵌めこまれる固定孔が形成された構成をしめしたが、保持ホルダーに固定孔を形成し、FFCに固定突部を形成してもよいし、これらを形成しないものであってもよい。
(3)上記実施形態では、FFCを厚み方向から教示する挟持部を有する端子金具を示したが、端子金具の形状は、FFCの露出導体部と接続される形状であればよい。
(4)上記実施形態では、保持ホルダーには、第1コネクタと前記第2コネクタとの正規嵌合位置よりも嵌合方向における前方への移動が規制される規制突部が突出形成される一方、ハウジングの内壁に規制突部を受け入れる規制受け部が設けられている構成を示したが、保持ホルダーに規制凹部を設け、ハウジングに規制突部を設けてもよいし、保持ホルダーやハウジングに規制突部や規制受け部を設けない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10,50…コネクタ
11,51…第1コネクタ
12,52…保持ホルダー
13,53…前側部品
16…固定突部
17…移動規制部
18…規制突部
20…後側部品
30,60…FFC(フレキシブルフラットケーブル)
31…導体
32…導体列
33…絶縁樹脂
34…露出導体部(接続部)
35…固定孔
36…規制凹部
40…第2コネクタ
41…ハウジング
41A…奥壁(嵌合方向における前方の壁)
42…開口部
44…規制受け部
46…端子金具
46A…第1端子金具
46B…第2端子金具
47…挟持部
47A,47B…挟持片
48…接触突部
64…露出導体部(接続部)
64A…(嵌合方向における前方の)露出導体部
64B…(嵌合方向における後方の)露出導体部
65 除去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、前記第1コネクタを嵌合可能なハウジングおよび前記ハウジングに配置される端子金具を有する第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタにおいては、複数の導体を間隔をあけて並列してなる導体列の外周を、絶縁樹脂でフラット形状に被覆してなるフレキシブルフラットケーブルの、前記絶縁樹脂を前記導体ごとに剥離除去することで、前記第2コネクタの端子金具と電気的に接続される露出導体部が形成され、
隣り合う前記露出導体部は、前記第2コネクタとの嵌合方向においてずれた位置に形成される一方、前記第2コネクタの端子金具は、前記露出導体部の配置位置に対応して配置されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記フレキシブルフラットケーブルにおいては、隣り合う前記露出導体部のうち、前記嵌合方向における後方に形成された露出導体部の前方の領域が除去されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1コネクタは、前記フレキシブルフラットケーブルを保持する保持ホルダーを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記保持ホルダーには、前記フレキシブルフラットケーブルの、前記嵌合方向における前後方向への移動を規制する移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記保持ホルダーには前記フレキシブルフラットケーブルを固定する固定突部が形成される一方、前記フレキシブルフラットケーブルには前記固定突部が嵌めこまれる固定孔が形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記保持ホルダーには、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの正規嵌合位置よりも前記嵌合方向における前方への移動が規制される規制突部が突出形成される一方、前記ハウジングの内壁には前記規制突部を受け入れる規制受け部が設けられていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記端子金具は、前記フレキシブルフラットケーブルを厚み方向から挟持する挟持部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−256524(P2012−256524A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129054(P2011−129054)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】