説明

コネクタ

【課題】端子の保持力を向上させつつ小型化を図ることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、筐体本体4と、保持部材と、カバー部材5とを備える。コネクタでは、筐体本体4に取り付けられ、複数の端子穴5aが形成されたカバー部材5であって、保持部材6が挿入される保持穴の開口の縁43に掛けられる係合片56を有するカバー部材5を備える。保持部材が挿入される保持穴が、カバー部材5の係合にも利用されるため、コネクタの小型化を図ることが可能である。また、カバー部材5の係合片56によって、保持部材の抜けが抑制されるため、端子91の保持力を向上させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特には筐体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の端子を保持する筐体本体と、筐体本体に取り付けられるカバー部材と、端子の保持力を高めるための保持部材と、を備えるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】平5−347167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によると、カバー部材が係合するための係合部と、保持部材が挿入される保持穴と、を筐体本体にそれぞれ形成する必要があるため、コネクタの小型化が困難である。また、コネクタを単純に小型化すると、端子の保持力を生じる構成が小さくなるため、十分な保持力を確保できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、端子の保持力を向上させつつ小型化を図ることが可能なコネクタを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のコネクタは、筐体本体と、保持部材と、カバー部材と、を備える。前記筐体本体には、一方向に貫通し、片方の側から端子が挿入される複数の端子穴と、前記一方向に対する側面に開口を有し、前記開口から前記一方向と交差する方向に延び、前記複数の端子穴に連通する保持穴と、が形成される。前記保持部材は、前記保持穴に挿入され、前記複数の端子穴に挿入された前記複数の端子と係合する。前記カバー部材は、前記筐体本体の前記一方向の他方の側に取り付けられ、前記複数の端子穴に対応する複数の端子穴が形成される。前記カバー部材は、前記保持穴の前記開口の縁に掛けられる係合片を有する。
【0007】
本発明によると、保持部材が挿入される保持穴が、カバー部材の係合にも利用されるため、コネクタの小型化を図ることが可能である。また、カバー部材の係合片によって、保持部材の抜けが抑制されるため、端子の保持力を向上させることが可能である。
【0008】
また、本発明の一態様において、前記保持部材は、前記カバー部材の前記係合片に対応する凹部を有する。これによると、カバー部材の係合片が保持部材の凹部に挿入されるので、コネクタの表面の凹凸を抑制することが可能である。
【0009】
また、本発明の一態様において、前記保持部材は、前記カバー部材の前記係合片から離れる方向に延びる被押圧部を有する。これによると、保持部材を押圧し易くすることが可能である。
【0010】
また、本発明の一態様において、前記カバー部材は、前記筐体本体に設けられた複数の係合片と係合する複数の係合片をさらに有する。これによると、筐体本体に対するカバー部材の係合をより強固にすることが可能である。
【0011】
また、本発明の一態様において、前記筐体本体は、前記一方向の他方の側に設けられ、前記各々の端子穴に挿入される前記端子と係合する複数の係合片を有する。これによると、端子の保持力を更に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【図1B】コネクタの分解斜視図である。
【図2A】コネクタに含まれる第1のコネクタの斜視図である。
【図2B】第1のコネクタの分解斜視図である。
【図3A】第1のコネクタの斜視図である。
【図3B】第1のコネクタの分解斜視図である。
【図4】第1のコネクタに含まれる筐体本体の側面図である。
【図5】第1のコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のコネクタの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1A及び図1Bは、コネクタ1の斜視図である。図2A及び図2Bは、コネクタ1に含まれる第1のコネクタ2の斜視図である。図3A及び図3Bは、第1のコネクタ2の別の角度からの斜視図である。図4は、第1のコネクタ2に含まれる筐体本体4の側面図である。図5は、第1のコネクタ2の断面図である。これらの図では、第2のコネクタ3に対する第1のコネクタ2の挿入方向を前方向とし、第1のコネクタ2の筐体本体4のうち、係合片49が設けられた方向を上方向とする。
【0015】
図1A及び図1Bに示されるように、コネクタ1は、複数のケーブル92が接続された概略円柱状の第1のコネクタ2と、複数のケーブル94が接続された概略円筒状の第2のコネクタ3と、を備えている。第2のコネクタ3は、第1のコネクタ2が挿入される後方に向けて開放された挿入穴3aを有している。第2のコネクタ3の側壁の上部には、第1のコネクタ2の係合片49と係合する係合穴3bが形成されている。また、第2のコネクタ3の内側面の下部には、前後方向に延びるレール部31が設けられている。
【0016】
図2A〜図3Bに示されるように、第1のコネクタ2は、概略円柱状の筐体本体4と、筐体本体4の前部に取り付けられるカバー部材5と、端子91(図5を参照)の抜け止めのための保持部材6と、を備えている。これら筐体本体4、カバー部材5及び保持部材6は、絶縁性の樹脂材料で成型されている。
【0017】
筐体本体4には、軸心方向である前後方向に貫通する複数の端子穴4aが形成されている。これら端子穴4aには、後方から端子91(図5を参照)が挿入される。また、筐体本体4には、側面の下部に開口を有し、開口から上方に延びる保持穴4cが形成されている。この保持穴4cは、複数の端子穴4aと連通している。保持穴4cは、筐体本体4の前後方向の中央部に形成されており、左右方向に広がった形状を有している。
【0018】
筐体本体4の上部の左右両側には、前端から後方に延びる溝42aが形成されている。これらの溝42aの内側には、外側方に突出する係合片42が設けられている。また、各々の端子穴4aの下方には、前方に向かうに従って上方に張り出した係合片47が設けられている(図4及び図5を参照)。
【0019】
カバー部材5は、前後方向に貫通する複数の端子穴5aが形成された概略円板状の円板部51と、円板部51の縁の上部の左右両側から後方に延びる2つの係合片52と、円板部51の縁の下部から後方に延びる顎部54と、を備えている。複数の端子穴5aは、筐体本体4に形成された複数の端子穴4aに対応している。具体的には、各々の端子穴5aは、カバー部材5が筐体本体4に取り付けられたときに、筐体本体4に形成された各々の端子穴4aと前後方向に連続するように配置されている。
【0020】
各々の係合片52には、前後方向に延びて、後端が閉じられた溝52aが形成されている。これら係合片52は、筐体本体4に設けられた係合片42と係合する。具体的には、カバー部材5の係合片52が筐体本体4の溝42aに挿入され、係合片52に形成された溝52aに、溝42aに設けられた係合片42が挿入される。
【0021】
顎部54の先端部には、内側方に突出する係合片56が設けられている。この係合片56は、筐体本体4に形成された保持穴4cに係合する(詳細は後述する)。また、顎部54には、前端から後方に延びるスリット5cが形成されている。このスリット5cには、上記第2のコネクタ3の内側面に設けられたレール部31が挿入される。
【0022】
円板部51の縁に設けられる合計3つの係合片52,56は、円板部51の中心を基準におおよそ120度の角度ごとに配置されている。このため、カバー部材5を筐体本体4に安定的に固定することが可能である。
【0023】
保持部材6は、概略板状に成形されており、筐体本体4に形成された保持穴4cに下方から上方に向けて挿入される。保持部材6は、その上面や、前後方向に貫通する端子穴6aの下面に、複数の係合部61を有している。各々の係合部61は、筐体本体4に形成された複数の端子穴4aに対応している。保持部材6の下端部には、後方に張り出した被押圧部63が設けられている。被押圧部63の後面には、後方に突出した係合片65が設けられている。また、保持部材6の下端部の前側には、凹部6cが形成されている。
【0024】
図5に示されるように、保持部材6が筐体本体4の保持穴4cに挿入されるとき、保持部材6の各々の係合部61は、筐体本体4に形成された各々の端子穴4aの下面よりも上方に張り出して、各々の端子穴4aに挿入された端子91の基端部に形成された凹部に係合する。これにより、端子穴4aからの端子91の抜けが抑制される。また、筐体本体4の前端部に設けられた係合片47は、各々の端子穴4aに挿入された端子91の先端部に係合する。これによっても、端子穴4aからの端子91の抜けが抑制される。
【0025】
カバー部材5の顎部54に設けられた係合片56は、保持部材6が挿入された保持穴4cの開口の前側の縁部43に掛けられる。すなわち、係合片56は、保持穴4cの開口付近に挿入され、前側の縁部43の後面と接触ないし対向する。このとき、係合片56は、保持部材6の下端部に形成された凹部6cに挿入される。
【0026】
カバー部材5は、下部に設けられた係合片56が保持穴4cの開口の縁部43に掛けられた後、上部に設けられた2つの係合片52が筐体本体4の側面の2つの係合片42と係合することで(または、その逆の順序であってもよい。)、筐体本体4の前部に取り付けられる。
【0027】
保持部材6の被押圧部63は、カバー部材5の顎部54から離れるように後方に延びており、保持穴4cの開口の後方に形成された凹部43c(図4を参照)に挿入される。被押圧部63の後面に設けられた係合片65は、凹部43cの後方の凸部45に形成された係合穴45aに係合する。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0029】
1 コネクタ、2 第1のコネクタ、3 第2のコネクタ、3a 挿入穴、3b 係合穴、31 レール部、4 筐体本体、4a 端子穴、4c 保持穴、42 係合片、42a 溝、43 縁部、43c 凹部、45 凸部、45a 係合穴、47 係合片、49 係合片、5 カバー部材、5a 端子穴、5c スリット、51 円板部、52 係合片、52a 溝、54 顎部、56 係合片、6 保持部材、6a 端子穴、6c 凹部、61 係合部、63 被押圧部、65 係合片、91 端子、92 ケーブル、94 ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に貫通し、片方の側から端子が挿入される複数の端子穴と、前記一方向に対する側面に開口を有し、前記開口から前記一方向と交差する方向に延び、前記複数の端子穴に連通する保持穴と、が形成された筐体本体と、
前記保持穴に挿入され、前記複数の端子穴に挿入された前記複数の端子と係合する保持部材と、
前記筐体本体の前記一方向の他方の側に取り付けられ、前記複数の端子穴に対応する複数の端子穴が形成されたカバー部材であって、前記保持穴の前記開口の縁に掛けられる係合片を有するカバー部材と、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記保持部材は、前記カバー部材の前記係合片に対応する凹部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記カバー部材の前記係合片から離れる方向に延びる被押圧部を有する、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記筐体本体に設けられた複数の係合片と係合する複数の係合片をさらに有する、
請求項1ないし3の何れかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記筐体本体は、前記一方向の他方の側に設けられ、前記各々の端子穴に挿入される前記端子と係合する複数の係合片を有する、
請求項1ないし4の何れかに記載のコネクタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−4431(P2013−4431A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136816(P2011−136816)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED