コネクタ
【課題】接続面に異物が付着することを抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】内部流路を有する雄側ケース17と、該内部流路に連通し外部流路に接続される雄側接続口とを有する雄型コネクタ12において、雄側接続口を閉塞する閉塞位置と、雄側接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部26を備えた。
【解決手段】内部流路を有する雄側ケース17と、該内部流路に連通し外部流路に接続される雄側接続口とを有する雄型コネクタ12において、雄側接続口を閉塞する閉塞位置と、雄側接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部26を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部コネクタが有する外部流路に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流路を接続するためのコネクタとして、弁機構をそれぞれ有する雌型のコネクタ及び雄型のコネクタがある。この種のコネクタとして、図16に示すように、雄側弁103及び雄側ばね104を有する雄継手101と、弁座部105及び雌側ばね106とを有する雌継手102とを備えたコネクタがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
雄継手101と雌継手102とを接続しない非接続時には、雄側弁103は、雄側ばね104によって、雄本体107の接続口108を閉塞する位置に付勢されている。この位置での雄側弁103の先端面は、外部に露出されている。また、弁座部105は、雌側ばね106によって、雌本体109の接続口110を閉塞する位置に付勢されている。さらに、雌継手102は、雌本体109の内側に、移動不能に固定された雌側弁111を備えている。
【0004】
雄継手101と雌継手102とを接続する接続時には、各接続口108,110を対向させ、雄継手101を雌本体109内に挿入する。このとき、雄本体107の端面が弁座部105に当接し、雄側弁103の先端面が、雌側弁111の先端面に当接する。
【0005】
そして、雄継手101を雌継手102内にさらに挿入していくと、雄本体107が、雌側ばね106の付勢力に抗して弁座部105を雌本体109内に押し込む。また、雄側弁103が雌側弁111に当接して雄本体107内に押し込まれる。その結果、雄本体107内の流路と雌本体109内の流路とが連通状態とされ、流体が通過可能となる。
【0006】
また、雄継手101と雌継手102との接続を解除する際には、雌継手102から雄継手101を引き抜く。その結果、雄側弁103及び弁座部105は、各接続口108,110をそれぞれ閉塞する位置に変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3529562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、非接続時の雄継手101の先端面は、外部に露出されているため、この先端面に塵埃等の異物が付着することがあった。この雄継手101の先端面に異物が付着すると、雄継手101と雌継手102とが連結された際に、その異物が、流体に混入する虞がある。
【0009】
一方、弁座部105や雌側弁111は、雌本体109の端面よりも内側に配置されているものの、露出された状態であるため、それらの先端面にも塵埃等が付着する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続面への異物の付着を抑制することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、内部流路を有するハウジングと、該内部流路に連通し外部流路に接続される接続口とを有するコネクタにおいて、前記接続口を閉塞する閉塞位置と、前記接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、コネクタと外部流路とを接続する場合には、シャッター部を開放位置に配置し、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、シャッター部を閉塞位置に配置して接続口を閉塞することができる。このため、外部流路との非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記閉塞位置と前記開放位置との間を変位する際に前記接続口を払拭する払拭部を備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、シャッター部は、接続口を払拭する払拭部を備えたため、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、接続口に付着した異物を除去することができる。このため、接続口に付着した異物が、コネクタ内に混入することを抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記外部流路を備えた外部コネクタの挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材と、前記伝達部材の変位に従動し、前記閉塞位置と前記開放位置との間で変位するシャッター板とをさらに備えたことを要旨とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、伝達部材は、連結部材の挿入により変位し、シャッター板は、その伝達部材に従動する。即ち、伝達部材に外部コネクタを挿入することにより、特別な操作を行わなくても、シャッター板が開放位置に配置される。従って、外部コネクタとコネクタとの連結を、簡単な操作で行うことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記シャッター板によって開口が閉塞される外郭部をさらに備えることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、シャッター板と外郭部とにより接続口が囲まれるので、接続口への異物の付着をさらに効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、前記外郭部に形成された溝部に支持され、該溝部に沿って前記閉塞位置と前記開放位置との間でスライド移動するシャッター板とを備えたことを要旨とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、シャッター板は、溝部に沿ってスライド移動可能であるため、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、シャッター板を閉塞位置にスライド移動し、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコネクタにおいて、前記シャッター板は、複数の山部と、該山部の間に形成された複数の谷部とを有し、前記溝部の形状に沿って屈曲することを要旨とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、シャッター板は、溝部の形状に沿って屈曲可能であるため、溝部の形状を調整することにより、開放位置にあるシャッター板の収容空間の位置や形状を変更することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、互いに組み合わされることで前記接続口を閉塞する1対の蓋体とを備え、前記蓋体は、前記外郭部に形成された突部を内嵌する溝をそれぞれ有し、前記溝の内側に前記突部をスライドさせながら変位することを要旨とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、コネクタに外部流路が接続されていない場合には、蓋体を閉塞位置に変位させ、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、前記外郭部に回動可能に軸支される円蓋部を備えることを要旨とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、円蓋部は、回動可能であるため、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、円蓋部を閉塞位置に回動し、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、接続面に異物が付着することを抑制できるコネクタを提供するといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の雄型コネクタ及び雌型コネクタの斜視図。
【図2】同雄型コネクタの断面図。
【図3】同雄型コネクタを構成する各シャッター部材の斜視図。
【図4】同雄型コネクタを構成する伝達部材を下面からみた斜視図。
【図5】同雄型コネクタの平面図。
【図6】雌型コネクタの先端を挿入した状態の雄型コネクタの平面図。
【図7】雌型コネクタが連結された雄型コネクタの平面図。
【図8】本発明を具体化した第2実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図9】同雄型コネクタを構成するシャッター板の斜視図。
【図10】同シャッター板が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図11】本発明を具体化した第3実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図12】シャッター部が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図13】本発明を具体化した第4実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図14】シャッター部が開放位置にある同雄型コネクタの断面図。
【図15】シャッター部が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図16】従来のコネクタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明のコネクタを、雌型コネクタに挿入される雄型コネクタに具体化した第1実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
【0029】
図1に示す外部コネクタとしての雌型コネクタ11は、流体が流れる第1外部流路(図示略)に接続され、雄型コネクタ12は、流体が流れる第2外部流路(図示略)に接続される。そして、これらの雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12が互いに接続されることで、第1外部流路及び第2外部流路が連通する。尚、流体は、液体、気体、固体が分散した液体又は気体、ゾル状物等であり、雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12内を通過可能であればよい。
【0030】
雌型コネクタ11は、一端に雌側接続口13を有する略円筒状の雌側ケース15を備えている。雌側ケース15のうち、雌側接続口13に対して反対側となる端部には、上記第1外部流路に接続される継手部14が連結されている。この雌側ケース15内には、雌側接続口13を閉塞可能な雌側弁体、及びその雌側弁体を雌側接続口13へ付勢するばねからなる雌側弁機構と、雌側ケース15内に移動不能に固定された固定弁とが収容されている(いずれも図示略)。
【0031】
雄型コネクタ12は、雄側接続口を備えたコネクタ本体16と、雌型コネクタ11に接続されない非接続時に雄側接続口を閉塞し、雌型コネクタ11に接続される接続時に雄側接続口を外部に露出した状態とするシャッター部Sとを備えている。
【0032】
まず、コネクタ本体16及びその内部構造について説明する。図2に示すように、コネクタ本体16は、ハウジングとしての筒状の雄側ケース17を有する。雄側ケース17は、樹脂製であって略円筒状を呈し、内側に内部流路18を有している。内部流路18は、大径流路18aと、大径流路18aよりも小さい内径を有する小径流路18bとから構成され、大径流路18aと小径流路18bとの間には、傾斜した段差面18cが形成されている。
【0033】
また、雄側ケース17は、その一端に、雌型コネクタ11に接続される雄側接続口23を有している。この雄側接続口23には、小径流路18bが連通している。雄側ケース17の外周面のうち、雄側接続口23側の端部には、嵌合溝17aが形成され、この嵌合溝17aには、シールリング17bが嵌合されている。
【0034】
また、雄側ケース17のうち、雄側接続口23に対して反対側となる端部には、第2外部流路に接続される継手部19がシールリング17cを介して連結されている。この継手部19の流路には、大径流路18aが連通している。
【0035】
また、雄側ケース17内には、雄側弁体21とコイルばね22とを有する雄側弁機構20が収容されている。雄側弁体21は、樹脂製であって略有蓋筒状に形成され、開口を有する基端部21aと、該基端部21aよりも小径の先端部21bとを備えている。
【0036】
基端部21aは、大径流路18aと小径流路18bとの段差面18cに当接可能な形状を有するとともに、その外径は、大径流路18aの内径よりも若干小さくなっている。先端部21bの外径は、小径流路18bよりも若干小さく形成され,その外周面には、雄側ケース17との間を介した流体の漏出を抑制するシールリング21dが外嵌されている。
【0037】
また、雄側弁体21の周壁部には、貫通孔21cが形成されている。雄側弁体21が、小径流路18bから抜出されることによって雄側接続口23が開放されると、流体は、この貫通孔21cを介して、雄側ケース17の内部流路18に送出される。
【0038】
コイルばね22は、大径流路18a内に伸縮可能な状態で配設されている。このコイルばね22は、雄側弁体21を、先端部21bが小径流路18bに挿入される位置に付勢する。この位置に雄側弁体21が配置されると、先端部21bによって小径流路18bが閉塞され、内部流路18内の流体の流れが遮断される。以下、この状態の雄側弁体21の位置を閉位置という。
【0039】
次に、雄型コネクタ12を構成するシャッター部Sについて説明する。図1に示すように、シャッター部Sは、雄側接続口23を含む雄側ケース17の上部を囲むように固定されている。シャッター部Sは、上部に開口を有するケース25と、雄側接続口23を閉塞可能なシャッター部材26と、雌型コネクタ11が挿入される伝達部材27とを備えている。
【0040】
ケース25は、略有底円筒状の本体部25aと、本体部25aから図中右側に膨出された第1膨出部25bと、図中左側に膨出された第2膨出部25cとを備えている。図2に示すように、本体部25aは、底壁部にコネクタ本体16を貫挿する孔部25eを備え、その内側にコネクタ本体16の上部を収容している。
【0041】
シャッター部材26は、図1に示すように、第1シャッター部材31と、第2シャッター部材32とを備えている。これらのシャッター部材31,32は、略左右対称に形成されている。
【0042】
図3に示すように、第1シャッター部材31は、支持部31aと、支持部31aの各端部から延出された1対の延出部31b,31cとを備えている。この延出部31b、31cには、軸貫挿孔31d、31eが貫通形成されている。これらの軸貫挿孔31d、31eには、ケース25の第1膨出部25bに回転可能に支持された回転軸(図示略)が貫挿される。
【0043】
また、支持部31aからは、シャッター板31fが、該支持部31aの上面と略平行な方向に延出されている。このシャッター板31fは、半円状をなし、その上面のうち直線状の端部には、段差部31gが形成されている。さらに、支持部31aの上面のうち、延出部31b側には、溝状の係合凹部31hが形成されている。
【0044】
一方、第2シャッター部材32は、支持部32aと、支持部32aの各端部から延出された1対の延出部32b,32cとを備えている。図中上側の延出部32bは、第1シャッター部材31の延出部31bよりも下方に形成され、下側の延出部32cは、第1シャッター部材31の延出部31cよりも上方に形成されている。即ち、各延出部32b,32cは、第1シャッター部材31の延出部31b,31cの間に挿入可能となっている。
【0045】
この延出部32b,32cには、軸貫挿孔32d,32eが貫通形成されている。これらの軸貫挿孔32d,32eには、第1シャッター部材31を軸支する上記回転軸が貫挿される。
【0046】
また、支持部32aからは、シャッター板32fが、支持部32aの上面と略平行に延出されている。このシャッター板32fは、半円状をなし、その下面であって直線状の端部には、第1シャッター部材31の段差部31gと係合可能な段差部32gが形成されている。さらに、支持部32aの上面であって、第1シャッター部材31の係合凹部31hに対して対称となる位置には、係合凹部32hが形成されている。
【0047】
軸貫挿孔31d,31e,32d,32eに回転軸を貫挿し、第1シャッター部材31の段差部31gと,第2シャッター部材32の段差部32gとを係合させると、各シャッター板31f,32fが組み合わされて、平面視において円形状となる。このときの第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の位置を、以下、閉塞位置という。
【0048】
また、図1に示すように、ケース25の第1膨出部25bには、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32を付勢するねじりコイルばね25dが設けられている。ねじりコイルばね25dの一方の腕部は、第1シャッター部材31に固定され、他方の腕部は、第2シャッター部材32に固定されている。そして、このねじりコイルばね25dにより、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は閉塞位置に付勢される。
【0049】
また、図2に示すように、各シャッター板31f、32fの下面には、エラストマー、又はゴム等の弾性部材からなる払拭部31i,32iが固定されている。各シャッター部材31,32が閉塞位置に配置されている際は、払拭部31i,32iは、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に当接している。
【0050】
次に、伝達部材27について説明する。図1に示すように、伝達部材27は、第1伝達部材41と、第2伝達部材42とを備えている。これらの伝達部材41,42は、略左右対称に形成され、その基端部41a,42aにおいてケース25の第2膨出部25cに回転可能に支持されている。また、第1伝達部材41は、第1シャッター部材31の上に配置され、第2伝達部材42は、第2シャッター部材32の上に配置されている。
【0051】
図4に示すように、第1伝達部材41は、その基端部41aに、共通軸(図示略)を貫挿する貫挿孔41bを有している。この基端部41aからは、円弧状のアーム部41cが延出形成されている。アーム部41cの内側面は、第1伝達部材41の上面側に配置され、内側に傾斜した傾斜面41dと、下面側に配置された垂直面41gとから構成されている。
【0052】
第1伝達部材41のうち、基端部41aに対して反対側となる端部には、先端部41eが形成されている。先端部41eの下面であって、その端には、係合ピン41fが突出形成されている。この係合ピン41fは、第1シャッター部材31の係合凹部31hに嵌合可能な大きさ及び形状を有している。
【0053】
また、第2伝達部材42は、その基端部42aに、上記共通軸を貫挿する貫挿孔42bを有している。基端部42aからは、円弧状のアーム部42cが延出されている。アーム部42cの内側面は、第1伝達部材41と同様に、内側に傾斜した傾斜面42dと垂直面42gとから構成されている。
【0054】
また、第2伝達部材42のうち、基端部42aに対して反対側となる端部には、先端部42eが形成されている。先端部42eの下面であって、その端には、係合ピン42fが突出形成されている。この係合ピン42fは、第2シャッター部材32の係合凹部32hに嵌合可能な大きさ及び形状を有している。
【0055】
これらの第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、図1に示すように、貫挿孔41bと貫挿孔42bとを一致させた状態でケース25に固定されている。また、第1伝達部材41及び第2伝達部材42には、図示しないねじりコイルばねが連結され、該ねじりコイルばねの付勢力により、その先端部41e,42eが互いに当接する位置に付勢されている。以下、先端部41e,42eが互いに当接する位置を、第1伝達部材41及び第2伝達部材42の非作用位置という。
【0056】
また第1伝達部材41及び第2伝達部材42を非作用位置に配置すると、アーム部41c、42cの内側には、雌型コネクタ11を挿入可能な挿入孔43が形成される。挿入孔43のうち、垂直面41g、42gの内側に形成される孔は、雌側ケース15の雌側接続口13の外径よりも若干小さく形成される。挿入孔43に連続する傾斜面41d,42dによって形成される孔は、雌側接続口13の外径とほぼ同じか若干大きく形成されている。
【0057】
また、第1伝達部材41及び第2伝達部材42を非作用位置に位置するとき、各係合ピン41f,42fは、各シャッター部材31,32の係合凹部31h、32hの内側に嵌合される。
【0058】
このような構成により、挿入孔43に雌型コネクタ11を挿入すると、雄型コネクタ12によって挿入孔43が押し広げられ、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が、それらの先端部41e,42eが離間する方向に回動する。このため、係合ピン41f、42fも同方向に移動し、各シャッター部材31,32の係合凹部31h,32hの内側面と当接することにより、各シャッター部材31,32を押圧する。その結果、第1シャッター部材31は、第1伝達部材41と同方向に回動し、第2シャッター部材32は、第2伝達部材42と同方向に回動する。
【0059】
次に、本実施形態の雄型コネクタ12の作用について説明する。図5に示すように、雄型コネクタ12に接続されていない非接続時には、第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、非作用位置にそれぞれ配置され、それらのアーム部41c,42cの内側には、略円形状の挿入孔43が形成されている。
【0060】
また、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、その段差部31g,32gが係合し、且つ雄側接続口23を閉塞した閉塞位置にそれぞれ配置されている。このとき、各伝達部材41,42の係合ピン41f,42fは、第1シャッター部材31の係合凹部31hと、第2シャッター部材32の係合凹部32hにそれぞれ差し込まれている。
【0061】
そして、雌型コネクタ11の先端部が、傾斜面41d,42dによって囲まれる孔に挿入されると、雌型コネクタ11は、傾斜面41d,42dに当接しながら垂直面41g、42gによって囲まれる孔に導かれる。
【0062】
雌型コネクタ11が、垂直面41g、42gによって囲まれる孔の内側に挿入されると、上述したようにその孔の内径は雌側接続口13の外径よりも小さいため、挿入孔43は押し広げられる。その結果、第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、その基端部41a,42aを中心に、外側へ向かって回動する。このとき、図6に示すように、各伝達部材41,42の係合ピン41f,42fも外側へ向かって回動するため、これらの係合ピン41f,42fと係合凹部31h,32hで当接する第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、閉塞位置から、外側に向かって回動する。
【0063】
このように、雌型コネクタ11がシャッター部Sへ押し込まれる力は、伝達部材27によって回転力に変換されてシャッター部材26に伝達される。この際、係合ピン41f、42fは、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の基端部側に当接するため、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の回動角度は、第1伝達部材41及び第2伝達部材42の回動角度よりも大きくなる。
【0064】
図6に示す状態から、雄型コネクタ12を雌型コネクタ11にさらに押し込んでいくと、図7に示すように、第1伝達部材41及び第2伝達部材42がさらに外側に向かって回動し、挿入孔43の内径がさらに拡大される。第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、各伝達部材41,42に従動して、外側に向かってさらに回動し、雄型コネクタ12の雄側接続口23全体を露出させた開放位置に配置される。
【0065】
このように雄側接続口23が露出されると、コネクタ本体16と雌型コネクタ11とが連結可能となり、雌型コネクタ11の雌側ケース15は、ケース25の内側に貫挿され、雄型コネクタ12の雄側ケース17は、その雌型コネクタ11の雌側ケース15内に挿入される。また、雌型コネクタ11の上記固定弁が雄側ケース17内に挿入され、コイルばね22の付勢力に抗して、雄側弁体21を押圧する。このため、雄側弁体21は、雄側接続口23に対して反対側となる方向へ変位する。
【0066】
雄側弁体21の先端部21bが小径流路18bから抜出されると、雄側弁機構20は開状態となる。このとき雌側弁機構も開状態とされるため、雌型コネクタ11を介して第1外部流路から流体が導入され、雄型コネクタ12に供給される。雄型コネクタ12に供給された流体は、雄側接続口23を介して、雄側弁体21の貫通孔21cを通過し、大径流路18aに導入される。大径流路18aに導入された流体は、継手部19の流路を介して第2外部流路に送出される。
【0067】
雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12の接続を解除する際には、例えば雄型コネクタ12を引っ張って、雄型コネクタ12を雌型コネクタ11から引き抜く。雌型コネクタ11が、コネクタ本体16から抜出されると、コイルばね22の付勢力により、雄側弁体21が閉位置に配置される。
【0068】
雌側接続口13が、垂直面41g,42gによって囲まれる孔から抜出されると、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が、上記ねじりコイルばねの付勢力により、内側、即ち作用位置から非作用位置に向かって回動する。この回動に伴い、係合ピン41f、42fも内側に向かって回動するため、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、ねじりコイルばね25dの付勢力により、内側、即ち開放位置から閉塞位置に向かって回動する。
【0069】
このとき、第1シャッター部材31の払拭部31iと、第2シャッター部材32の払拭部32iとが、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に摺接されるので、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に付着した液体等が払拭される。
【0070】
雌側接続口13が、挿入孔43から完全に抜出されると、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が非作用位置に配置される。また、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、閉塞位置に配置されるため、雄側接続口23全体が閉塞され、雄側接続口23への塵埃等の異物の付着が抑制される。
【0071】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、雄型コネクタ12は、雄側接続口23を閉塞する閉塞位置と、雄側接続口23を露出する開放位置との間で変位するシャッター部Sを備えた。このため、雄型コネクタ12と雌型コネクタ11とを接続する接続時には、シャッター部Sを開放位置に配置し、雄型コネクタ12に雌型コネクタ11を接続しない非接続時には、シャッター部Sを閉塞位置に配置し、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄型コネクタ12の雄側接続口23に、塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0072】
(2)シャッター部Sは、閉塞位置と開放位置との間を変位する際に雄側接続口23を払拭する払拭部31i,32iを備えた。このため、雄型コネクタ12を流れる流体が液体である場合に、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32が、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、雄側接続口23に付着した液体等を除去することができる。このため、雄側接続口23に、液体中の揮発成分が揮発した残留物からなる異物が残留することを抑制することができる。また、雄側接続口23に液体が付着することにより、塵埃等の異物が付きやすくなることを防ぐことができる。
【0073】
(3)シャッター部Sは、シャッター部材26により開口を閉塞されるケース25を備え、雄側接続口23を、ケース25とシャッター部材26とにより閉塞できる。このため、より効果的に雄側接続口23への塵埃の付着を抑制することができる。
【0074】
(4)シャッター部Sは、雌型コネクタ11の挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材27と、伝達部材27の変位に従動し、閉塞位置と開放位置との間で変位するシャッター板31f、32fを有するシャッター部材26とをさらに備えた。即ち、伝達部材27に雌型コネクタ11を挿入することにより、特別な操作を行わなくても、シャッター板31f、32fが開放位置に配置される。従って、雌型コネクタ11と雄型コネクタ12との接続を簡単な操作で行うことができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8〜図10にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、本実施形態の雄型コネクタ50に備えられるシャッター部は、一対のコネクタ本体16を収容する外郭部としての筐体51と、シャッター板55とを有する。筐体51は、上部に開口を有する箱状に形成され、図中左側の側壁部51cには、側方に突出した中空状の突出部51fが形成されている。また筐体51の底壁部には、コネクタ本体16を貫挿する貫挿孔が形成されている(図示略)。コネクタ本体16は、継手部19を含む下部を、筐体51の下方に突出させた状態で貫挿されている。
【0077】
筐体51の側壁部51a,51bには、溝部52がそれぞれ貫通形成されている。溝部52は、側壁部51a,51bの幅方向及び高さ方向と、突出部51fの幅方向の範囲に亘って形成されている。より具体的には、溝部52は、側壁部51a,51bの上側部に形成され、その幅方向と平行な第1水平部52aと、側壁部51a,51bの突出部51f側に形成され、該第1水平部52aに対して垂直な方向に延在する垂直部52bとを有している。さらに溝部52は、側壁部51a,51bのうち、突出部51fにかかる位置に形成され、第1水平部52aと平行であって、垂直部52bに連続する第2水平部52cを有している。
【0078】
この溝部52には、シャッター板55が、移動可能に支持される。図9に示すように、シャッター板55は、複数の山部55aと、各山部55aの間に設けられる谷部55bとから構成される。山部55aは長尺状であって、各山部55aは、その長手方向の辺が向かい合うように配列されている。これらの山部55aは、肉薄状且つ可撓性の谷部55bによって連結されている。シャッター板55の長手方向、即ち山部55aの配列方向の長さは、溝部52の第1水平部52aと同じ長さとなっている。
【0079】
このシャッター板55のうち、山部55aの端部は、筐体51に形成された溝部52に嵌合される。この構成により、シャッター板55は、溝部52の形状にそって湾曲可能となっている。
【0080】
さらに、山部55aの下面には、その下面のほぼ全域を覆うようにエラストマー又はゴム等の弾性部材からなる払拭部55cが、谷部55bの下面と略同一面上となるように固定されている。各山部55aのうち、最も端に配置された山部55aには、溝部52に沿ってシャッター板55を移動させるための操作部55dが設けられている。
【0081】
また、筐体51の側壁部51cのうち、筐体51の上部開口からは、規制凹部51eが切り欠くように形成されている。この規制凹部51eは、シャッター板55の操作部55dと当接することで、シャッター板55の移動を規制する。
【0082】
次に、本実施形態の雄型コネクタ50の作用について説明する。雄型コネクタ50を雌型コネクタ11に連結しない非連結時には、図10に示すように、シャッター板55を、第1水平部52aによって支持された閉塞位置に配置する。コネクタ本体16の先端面は、シャッター板55によって閉塞され、外部に露出されない状態となっている。また操作部55dは、規制凹部51eが形成された側壁部51cに対して反対側となる側壁部51d側に配置されている。
【0083】
雄型コネクタ50を雌型コネクタ11に連結する連結時には、操作部55dを、溝部52の長手方向(図中X方向)に引っ張ることで、シャッター板55をスライド移動させる。シャッター板55は、第1水平部52aから、垂直部52b及び第2水平部52cによって支持される位置へと移動する。このとき、シャッター板55の払拭部55cは、コネクタ本体16の先端面を払拭しながら移動する。このため、雌型コネクタ11及び雄型コネクタ50を流れる流体が液体である場合に、先端面に付着した液体を除去することができる。
【0084】
そして、操作部55dが規制凹部51eに当接すると、シャッター板55の移動が規制され、シャッター板55は開放位置に配置される。このとき、シャッター板55は、溝部52に沿って屈曲し筐体51の端部に収容されるので、筐体51を、水平方向において省スペース化することができる。
【0085】
雄型コネクタ50と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、シャッター板55の操作部55dを、水平方向であって上記X方向と反対方向に引っ張り、シャッター板55を開放位置から閉塞位置へ変位させる。この際、シャッター板55の払拭部55cによって、コネクタ本体16の先端面に付着した液体等が払拭される。
【0086】
従って、第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(5)第2実施形態では、シャッター部Sは、雄側ケース17を囲む筐体51と、筐体51に形成された溝部52に支持され、該溝部52に沿って閉塞位置と開放位置との間でスライド移動するシャッター板55とを備えた。このため、雄型コネクタ12に雌型コネクタ11が接続されていない場合には、シャッター板55を閉塞位置に配置することで雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0087】
(6)シャッター板55は、閉塞位置と開放位置との間を変位する際に雄側接続口23を払拭する払拭部55cを備えた。このため、雄型コネクタ12を流れる流体が液体である場合に、シャッター板55、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、雄側接続口23に付着した液体等を除去することができる。このため、雄側接続口23に液体が付着することにより、塵埃等の異物が付きやすくなることを防ぐことができる。
【0088】
(7)シャッター板55を、複数の山部55aと、該山部55aの間に形成された複数の谷部55bとを有し、溝部52の形状に沿って屈曲可能な構成とした。このため、シャッター板55を、屈曲した溝部52に沿って筐体51内に収容することができるため、筐体51を水平方向において省スペース化することができる。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図11及び図12にしたがって説明する。尚、第3実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0090】
図11に示すように、本実施形態の雄型コネクタ60に備えられるシャッター部は、上部に開口を有する外郭部としての筐体61と、筐体61にスライド可能に設けられた蓋体62とを有する。筐体61の側壁部61a,61bには、略円柱状の突部61c、61dがそれぞれ形成されている。
【0091】
蓋体62は、第1蓋体63と第2蓋体64とから構成されている。第1蓋体63及び第2蓋体64は、互いに対向する側方と底面とにおいて開口し、互いに組み合わされることで、雄側接続口23を閉塞可能な蓋体62となる。また、第1蓋体63の側壁には、スライド溝63aが、図中右側上方から左側下方に向かって斜めに形成されている。第2蓋体64の側壁には、スライド溝64aが、第1蓋体63のスライド溝63aと左右対称に、即ち図中左側上方から右側下方に向かって斜めに形成されている。このスライド溝63a,64aには、突部61c,61d摺動可能に内嵌されている。
【0092】
次に、本実施形態の雄型コネクタ60の作用について説明する。雄型コネクタ60が雌型コネクタ11に連結されない非接続時には、図12に示すように、突部61c,61dが、スライド溝63a,64aの最下端位置P1に配置され、第1蓋体63及び第2蓋体64は、それらの端面が互いに当接した閉塞位置に配置されている。このとき、雄側接続口23は、蓋体62によって外部に露出されない状態となっている。従って、非接続時には、雄側接続口23に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0093】
雄型コネクタ12を雌型コネクタ11に連結する連結時には、第1蓋体63及び第2蓋体64を外側に向かって開く。その結果、突部61c,61dが第1蓋体63及び第2蓋体64のスライド溝63a,64a内を摺動することにより、第1蓋体63及び第2蓋体64が、斜め下方に向かってそれぞれスライド移動する。そして、図11に示すように、突部61c,61dが、スライド溝63a,64aの最上端位置P2に配置されると、第1蓋体63及び第2蓋体64は、コネクタ本体16の雄側接続口23を露出する開放位置に配置される。
【0094】
雄型コネクタ60と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、第1蓋体63及び第2蓋体64を近づけるように回動させ、閉塞位置へ変位させる。
【0095】
従って、第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(8)第3実施形態では、シャッター部Sは、コネクタ本体16を囲む筐体61と、互いに組み合わされることで雄側接続口23を閉塞する1対の蓋体63,64とを備える。各蓋体63,64は、筐体61に形成された突部61c、61dを内嵌する対称なスライド溝63a,64aをそれぞれ有し、スライド溝63a,64aに沿ってスライド移動する。このため、雄型コネクタ60に雌型コネクタ11が接続されていない非接続時には、蓋体63,64を閉塞位置に変位させ、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図13〜図15にしたがって説明する。尚、第4実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0097】
図13に示すように、本実施形態の雄型コネクタ70に備えられるシャッター部は、上部に開口を有する外郭部としての筐体71と、筐体71に回動可能に設けられた円蓋部75とを有する。
【0098】
筐体71の底壁部には1対のコネクタ本体16を貫挿するための貫挿孔がそれぞれ形成されている(図示略)。コネクタ本体16は、筐体71に対し、継手部19を含む下方を、筐体71の底壁部から突出させた状態で固定されている。
【0099】
円蓋部75は、内側円蓋部76と、内側円蓋部76よりも大きく、内側円蓋部76の外側に設けられた外側円蓋部77とから構成される。これらの内側円蓋部76及び外側円蓋部77は、筐体71に回転可能に軸支されている。本実施形態では、内側円蓋部76及び外側円蓋部77の基端部に形成された孔に、筐体71に形成された共通軸71a(図14参照)が貫挿されている。
【0100】
また図14に示すように、外側円蓋部77は、その一端に、内側に突出した突片77aを有している。外側円蓋部77が、閉塞位置から開放位置に向かう回動時には、この突片77aを内側円蓋部76に当接させることにより、内側円蓋部76を、外側円蓋部77の回動動作に従動させる。
【0101】
次に、本実施形態の雄型コネクタ70の作用について説明する。雄型コネクタ70に雌型コネクタ11を接続しない非接続時には、図15に示すように、内側円蓋部76を図中左側方に配置し、外側円蓋部77を図中右側に配置し、雄側接続口23を閉塞する。尚、このときの各円蓋部76,77の位置を、閉塞位置という。
【0102】
雄型コネクタ70に雌型コネクタを接続する接続時には、図15に示す閉塞位置に配置された外側円蓋部77を、内側円蓋部76側に向かって回動させる。外側円蓋部77が内側円蓋部76にほぼ重ね合されると、外側円蓋部77の突片77aが、内側円蓋部76の端面に当接する。この状態から外側円蓋部77をさらに回動させると、その回動動作に従動して、内側円蓋部76が回動する。
【0103】
その結果、図14に示すように、内側円蓋部76及び外側円蓋部77が、筐体71とコネクタ本体16との間に設けられた収容空間に収容される。このとき、内側円蓋部76及び外側円蓋部77を重ね合わせて収容することができるので、収容空間の省スペース化を図ることができる。
【0104】
雄型コネクタ70と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、外側円蓋部77及び内側円蓋部76を閉塞位置までそれぞれ回動させる。
【0105】
従って、第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(9)第4実施形態では、シャッター部Sは、コネクタ本体16を囲む筐体71と、筐体71に回動可能に軸支される円蓋部75を備える。このため、雄型コネクタ70が雌型コネクタ11に接続されていない非接続時には、円蓋部75を閉塞位置に回動し、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0106】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第4実施形態では、外側円蓋部77の突片77aを省略し、外側円蓋部77の回動動作に内側円蓋部76が従動しない構成としてもよい。
【0107】
・雄側接続口23を払拭する払拭部を、第3実施形態に記載の雄型コネクタ60、第4実施形態に記載の雄型コネクタ70に設けてもよい。第3実施形態に記載の雄型コネクタ60の場合には、蓋体63,64の裏面に、雄側接続口23を払拭可能な厚さ及び形状の払拭部を設け、第4実施形態に記載の雄型コネクタ70の場合には、円蓋部75の裏面に、雄側接続口23を払拭可能な厚さ及び形状の払拭部を設ける。
【0108】
・払拭部31i,32i,55cは、弾性部材でなくても、スポンジや不織布等の液体を吸収可能な材料から形成してもよい。
・上記各実施形態では、シャッター部Sを、雄型コネクタ12に固定したが、雌型コネクタ11に固定するようにしてもよい。又は雄型コネクタ12及び雌型コネクタ11の両方に固定してもよい。
【0109】
・コネクタの構成や形状は、上記各実施形態以外の構成及び形状でもよく、雄型コネクタ12及び雌型コネクタ11の少なくとも一方にシャッター部Sを備えていればよい。
【符号の説明】
【0110】
11…外部コネクタとしての雌型コネクタ、12,50,60,70…雄型コネクタ、17…ハウジングとしての雄側ケース、18…内部流路、23…雄側接続口、27,41,42…伝達部材、31f、32f,55…シャッター板、31i,32i,55c…払拭部、51,61,71…外郭部としての筐体、52…溝部、55a…山部、55b…谷部、61c,61d…突部、62,63,64…蓋体、63a,63b…溝、75,76,77…円蓋部、S…シャッター部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部コネクタが有する外部流路に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流路を接続するためのコネクタとして、弁機構をそれぞれ有する雌型のコネクタ及び雄型のコネクタがある。この種のコネクタとして、図16に示すように、雄側弁103及び雄側ばね104を有する雄継手101と、弁座部105及び雌側ばね106とを有する雌継手102とを備えたコネクタがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
雄継手101と雌継手102とを接続しない非接続時には、雄側弁103は、雄側ばね104によって、雄本体107の接続口108を閉塞する位置に付勢されている。この位置での雄側弁103の先端面は、外部に露出されている。また、弁座部105は、雌側ばね106によって、雌本体109の接続口110を閉塞する位置に付勢されている。さらに、雌継手102は、雌本体109の内側に、移動不能に固定された雌側弁111を備えている。
【0004】
雄継手101と雌継手102とを接続する接続時には、各接続口108,110を対向させ、雄継手101を雌本体109内に挿入する。このとき、雄本体107の端面が弁座部105に当接し、雄側弁103の先端面が、雌側弁111の先端面に当接する。
【0005】
そして、雄継手101を雌継手102内にさらに挿入していくと、雄本体107が、雌側ばね106の付勢力に抗して弁座部105を雌本体109内に押し込む。また、雄側弁103が雌側弁111に当接して雄本体107内に押し込まれる。その結果、雄本体107内の流路と雌本体109内の流路とが連通状態とされ、流体が通過可能となる。
【0006】
また、雄継手101と雌継手102との接続を解除する際には、雌継手102から雄継手101を引き抜く。その結果、雄側弁103及び弁座部105は、各接続口108,110をそれぞれ閉塞する位置に変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3529562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、非接続時の雄継手101の先端面は、外部に露出されているため、この先端面に塵埃等の異物が付着することがあった。この雄継手101の先端面に異物が付着すると、雄継手101と雌継手102とが連結された際に、その異物が、流体に混入する虞がある。
【0009】
一方、弁座部105や雌側弁111は、雌本体109の端面よりも内側に配置されているものの、露出された状態であるため、それらの先端面にも塵埃等が付着する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続面への異物の付着を抑制することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、内部流路を有するハウジングと、該内部流路に連通し外部流路に接続される接続口とを有するコネクタにおいて、前記接続口を閉塞する閉塞位置と、前記接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、コネクタと外部流路とを接続する場合には、シャッター部を開放位置に配置し、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、シャッター部を閉塞位置に配置して接続口を閉塞することができる。このため、外部流路との非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記閉塞位置と前記開放位置との間を変位する際に前記接続口を払拭する払拭部を備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、シャッター部は、接続口を払拭する払拭部を備えたため、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、接続口に付着した異物を除去することができる。このため、接続口に付着した異物が、コネクタ内に混入することを抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記外部流路を備えた外部コネクタの挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材と、前記伝達部材の変位に従動し、前記閉塞位置と前記開放位置との間で変位するシャッター板とをさらに備えたことを要旨とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、伝達部材は、連結部材の挿入により変位し、シャッター板は、その伝達部材に従動する。即ち、伝達部材に外部コネクタを挿入することにより、特別な操作を行わなくても、シャッター板が開放位置に配置される。従って、外部コネクタとコネクタとの連結を、簡単な操作で行うことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記シャッター板によって開口が閉塞される外郭部をさらに備えることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、シャッター板と外郭部とにより接続口が囲まれるので、接続口への異物の付着をさらに効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、前記外郭部に形成された溝部に支持され、該溝部に沿って前記閉塞位置と前記開放位置との間でスライド移動するシャッター板とを備えたことを要旨とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、シャッター板は、溝部に沿ってスライド移動可能であるため、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、シャッター板を閉塞位置にスライド移動し、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコネクタにおいて、前記シャッター板は、複数の山部と、該山部の間に形成された複数の谷部とを有し、前記溝部の形状に沿って屈曲することを要旨とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、シャッター板は、溝部の形状に沿って屈曲可能であるため、溝部の形状を調整することにより、開放位置にあるシャッター板の収容空間の位置や形状を変更することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、互いに組み合わされることで前記接続口を閉塞する1対の蓋体とを備え、前記蓋体は、前記外郭部に形成された突部を内嵌する溝をそれぞれ有し、前記溝の内側に前記突部をスライドさせながら変位することを要旨とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、コネクタに外部流路が接続されていない場合には、蓋体を閉塞位置に変位させ、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記シャッター部は、前記ハウジングを囲む外郭部と、前記外郭部に回動可能に軸支される円蓋部を備えることを要旨とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、円蓋部は、回動可能であるため、コネクタに外部流路が接続されていない非接続時には、円蓋部を閉塞位置に回動し、接続口を閉塞することができる。このため、非接続時において、コネクタの接続口に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、接続面に異物が付着することを抑制できるコネクタを提供するといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の雄型コネクタ及び雌型コネクタの斜視図。
【図2】同雄型コネクタの断面図。
【図3】同雄型コネクタを構成する各シャッター部材の斜視図。
【図4】同雄型コネクタを構成する伝達部材を下面からみた斜視図。
【図5】同雄型コネクタの平面図。
【図6】雌型コネクタの先端を挿入した状態の雄型コネクタの平面図。
【図7】雌型コネクタが連結された雄型コネクタの平面図。
【図8】本発明を具体化した第2実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図9】同雄型コネクタを構成するシャッター板の斜視図。
【図10】同シャッター板が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図11】本発明を具体化した第3実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図12】シャッター部が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図13】本発明を具体化した第4実施形態の雄型コネクタの斜視図。
【図14】シャッター部が開放位置にある同雄型コネクタの断面図。
【図15】シャッター部が閉塞位置にある同雄型コネクタの斜視図。
【図16】従来のコネクタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明のコネクタを、雌型コネクタに挿入される雄型コネクタに具体化した第1実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
【0029】
図1に示す外部コネクタとしての雌型コネクタ11は、流体が流れる第1外部流路(図示略)に接続され、雄型コネクタ12は、流体が流れる第2外部流路(図示略)に接続される。そして、これらの雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12が互いに接続されることで、第1外部流路及び第2外部流路が連通する。尚、流体は、液体、気体、固体が分散した液体又は気体、ゾル状物等であり、雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12内を通過可能であればよい。
【0030】
雌型コネクタ11は、一端に雌側接続口13を有する略円筒状の雌側ケース15を備えている。雌側ケース15のうち、雌側接続口13に対して反対側となる端部には、上記第1外部流路に接続される継手部14が連結されている。この雌側ケース15内には、雌側接続口13を閉塞可能な雌側弁体、及びその雌側弁体を雌側接続口13へ付勢するばねからなる雌側弁機構と、雌側ケース15内に移動不能に固定された固定弁とが収容されている(いずれも図示略)。
【0031】
雄型コネクタ12は、雄側接続口を備えたコネクタ本体16と、雌型コネクタ11に接続されない非接続時に雄側接続口を閉塞し、雌型コネクタ11に接続される接続時に雄側接続口を外部に露出した状態とするシャッター部Sとを備えている。
【0032】
まず、コネクタ本体16及びその内部構造について説明する。図2に示すように、コネクタ本体16は、ハウジングとしての筒状の雄側ケース17を有する。雄側ケース17は、樹脂製であって略円筒状を呈し、内側に内部流路18を有している。内部流路18は、大径流路18aと、大径流路18aよりも小さい内径を有する小径流路18bとから構成され、大径流路18aと小径流路18bとの間には、傾斜した段差面18cが形成されている。
【0033】
また、雄側ケース17は、その一端に、雌型コネクタ11に接続される雄側接続口23を有している。この雄側接続口23には、小径流路18bが連通している。雄側ケース17の外周面のうち、雄側接続口23側の端部には、嵌合溝17aが形成され、この嵌合溝17aには、シールリング17bが嵌合されている。
【0034】
また、雄側ケース17のうち、雄側接続口23に対して反対側となる端部には、第2外部流路に接続される継手部19がシールリング17cを介して連結されている。この継手部19の流路には、大径流路18aが連通している。
【0035】
また、雄側ケース17内には、雄側弁体21とコイルばね22とを有する雄側弁機構20が収容されている。雄側弁体21は、樹脂製であって略有蓋筒状に形成され、開口を有する基端部21aと、該基端部21aよりも小径の先端部21bとを備えている。
【0036】
基端部21aは、大径流路18aと小径流路18bとの段差面18cに当接可能な形状を有するとともに、その外径は、大径流路18aの内径よりも若干小さくなっている。先端部21bの外径は、小径流路18bよりも若干小さく形成され,その外周面には、雄側ケース17との間を介した流体の漏出を抑制するシールリング21dが外嵌されている。
【0037】
また、雄側弁体21の周壁部には、貫通孔21cが形成されている。雄側弁体21が、小径流路18bから抜出されることによって雄側接続口23が開放されると、流体は、この貫通孔21cを介して、雄側ケース17の内部流路18に送出される。
【0038】
コイルばね22は、大径流路18a内に伸縮可能な状態で配設されている。このコイルばね22は、雄側弁体21を、先端部21bが小径流路18bに挿入される位置に付勢する。この位置に雄側弁体21が配置されると、先端部21bによって小径流路18bが閉塞され、内部流路18内の流体の流れが遮断される。以下、この状態の雄側弁体21の位置を閉位置という。
【0039】
次に、雄型コネクタ12を構成するシャッター部Sについて説明する。図1に示すように、シャッター部Sは、雄側接続口23を含む雄側ケース17の上部を囲むように固定されている。シャッター部Sは、上部に開口を有するケース25と、雄側接続口23を閉塞可能なシャッター部材26と、雌型コネクタ11が挿入される伝達部材27とを備えている。
【0040】
ケース25は、略有底円筒状の本体部25aと、本体部25aから図中右側に膨出された第1膨出部25bと、図中左側に膨出された第2膨出部25cとを備えている。図2に示すように、本体部25aは、底壁部にコネクタ本体16を貫挿する孔部25eを備え、その内側にコネクタ本体16の上部を収容している。
【0041】
シャッター部材26は、図1に示すように、第1シャッター部材31と、第2シャッター部材32とを備えている。これらのシャッター部材31,32は、略左右対称に形成されている。
【0042】
図3に示すように、第1シャッター部材31は、支持部31aと、支持部31aの各端部から延出された1対の延出部31b,31cとを備えている。この延出部31b、31cには、軸貫挿孔31d、31eが貫通形成されている。これらの軸貫挿孔31d、31eには、ケース25の第1膨出部25bに回転可能に支持された回転軸(図示略)が貫挿される。
【0043】
また、支持部31aからは、シャッター板31fが、該支持部31aの上面と略平行な方向に延出されている。このシャッター板31fは、半円状をなし、その上面のうち直線状の端部には、段差部31gが形成されている。さらに、支持部31aの上面のうち、延出部31b側には、溝状の係合凹部31hが形成されている。
【0044】
一方、第2シャッター部材32は、支持部32aと、支持部32aの各端部から延出された1対の延出部32b,32cとを備えている。図中上側の延出部32bは、第1シャッター部材31の延出部31bよりも下方に形成され、下側の延出部32cは、第1シャッター部材31の延出部31cよりも上方に形成されている。即ち、各延出部32b,32cは、第1シャッター部材31の延出部31b,31cの間に挿入可能となっている。
【0045】
この延出部32b,32cには、軸貫挿孔32d,32eが貫通形成されている。これらの軸貫挿孔32d,32eには、第1シャッター部材31を軸支する上記回転軸が貫挿される。
【0046】
また、支持部32aからは、シャッター板32fが、支持部32aの上面と略平行に延出されている。このシャッター板32fは、半円状をなし、その下面であって直線状の端部には、第1シャッター部材31の段差部31gと係合可能な段差部32gが形成されている。さらに、支持部32aの上面であって、第1シャッター部材31の係合凹部31hに対して対称となる位置には、係合凹部32hが形成されている。
【0047】
軸貫挿孔31d,31e,32d,32eに回転軸を貫挿し、第1シャッター部材31の段差部31gと,第2シャッター部材32の段差部32gとを係合させると、各シャッター板31f,32fが組み合わされて、平面視において円形状となる。このときの第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の位置を、以下、閉塞位置という。
【0048】
また、図1に示すように、ケース25の第1膨出部25bには、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32を付勢するねじりコイルばね25dが設けられている。ねじりコイルばね25dの一方の腕部は、第1シャッター部材31に固定され、他方の腕部は、第2シャッター部材32に固定されている。そして、このねじりコイルばね25dにより、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は閉塞位置に付勢される。
【0049】
また、図2に示すように、各シャッター板31f、32fの下面には、エラストマー、又はゴム等の弾性部材からなる払拭部31i,32iが固定されている。各シャッター部材31,32が閉塞位置に配置されている際は、払拭部31i,32iは、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に当接している。
【0050】
次に、伝達部材27について説明する。図1に示すように、伝達部材27は、第1伝達部材41と、第2伝達部材42とを備えている。これらの伝達部材41,42は、略左右対称に形成され、その基端部41a,42aにおいてケース25の第2膨出部25cに回転可能に支持されている。また、第1伝達部材41は、第1シャッター部材31の上に配置され、第2伝達部材42は、第2シャッター部材32の上に配置されている。
【0051】
図4に示すように、第1伝達部材41は、その基端部41aに、共通軸(図示略)を貫挿する貫挿孔41bを有している。この基端部41aからは、円弧状のアーム部41cが延出形成されている。アーム部41cの内側面は、第1伝達部材41の上面側に配置され、内側に傾斜した傾斜面41dと、下面側に配置された垂直面41gとから構成されている。
【0052】
第1伝達部材41のうち、基端部41aに対して反対側となる端部には、先端部41eが形成されている。先端部41eの下面であって、その端には、係合ピン41fが突出形成されている。この係合ピン41fは、第1シャッター部材31の係合凹部31hに嵌合可能な大きさ及び形状を有している。
【0053】
また、第2伝達部材42は、その基端部42aに、上記共通軸を貫挿する貫挿孔42bを有している。基端部42aからは、円弧状のアーム部42cが延出されている。アーム部42cの内側面は、第1伝達部材41と同様に、内側に傾斜した傾斜面42dと垂直面42gとから構成されている。
【0054】
また、第2伝達部材42のうち、基端部42aに対して反対側となる端部には、先端部42eが形成されている。先端部42eの下面であって、その端には、係合ピン42fが突出形成されている。この係合ピン42fは、第2シャッター部材32の係合凹部32hに嵌合可能な大きさ及び形状を有している。
【0055】
これらの第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、図1に示すように、貫挿孔41bと貫挿孔42bとを一致させた状態でケース25に固定されている。また、第1伝達部材41及び第2伝達部材42には、図示しないねじりコイルばねが連結され、該ねじりコイルばねの付勢力により、その先端部41e,42eが互いに当接する位置に付勢されている。以下、先端部41e,42eが互いに当接する位置を、第1伝達部材41及び第2伝達部材42の非作用位置という。
【0056】
また第1伝達部材41及び第2伝達部材42を非作用位置に配置すると、アーム部41c、42cの内側には、雌型コネクタ11を挿入可能な挿入孔43が形成される。挿入孔43のうち、垂直面41g、42gの内側に形成される孔は、雌側ケース15の雌側接続口13の外径よりも若干小さく形成される。挿入孔43に連続する傾斜面41d,42dによって形成される孔は、雌側接続口13の外径とほぼ同じか若干大きく形成されている。
【0057】
また、第1伝達部材41及び第2伝達部材42を非作用位置に位置するとき、各係合ピン41f,42fは、各シャッター部材31,32の係合凹部31h、32hの内側に嵌合される。
【0058】
このような構成により、挿入孔43に雌型コネクタ11を挿入すると、雄型コネクタ12によって挿入孔43が押し広げられ、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が、それらの先端部41e,42eが離間する方向に回動する。このため、係合ピン41f、42fも同方向に移動し、各シャッター部材31,32の係合凹部31h,32hの内側面と当接することにより、各シャッター部材31,32を押圧する。その結果、第1シャッター部材31は、第1伝達部材41と同方向に回動し、第2シャッター部材32は、第2伝達部材42と同方向に回動する。
【0059】
次に、本実施形態の雄型コネクタ12の作用について説明する。図5に示すように、雄型コネクタ12に接続されていない非接続時には、第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、非作用位置にそれぞれ配置され、それらのアーム部41c,42cの内側には、略円形状の挿入孔43が形成されている。
【0060】
また、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、その段差部31g,32gが係合し、且つ雄側接続口23を閉塞した閉塞位置にそれぞれ配置されている。このとき、各伝達部材41,42の係合ピン41f,42fは、第1シャッター部材31の係合凹部31hと、第2シャッター部材32の係合凹部32hにそれぞれ差し込まれている。
【0061】
そして、雌型コネクタ11の先端部が、傾斜面41d,42dによって囲まれる孔に挿入されると、雌型コネクタ11は、傾斜面41d,42dに当接しながら垂直面41g、42gによって囲まれる孔に導かれる。
【0062】
雌型コネクタ11が、垂直面41g、42gによって囲まれる孔の内側に挿入されると、上述したようにその孔の内径は雌側接続口13の外径よりも小さいため、挿入孔43は押し広げられる。その結果、第1伝達部材41及び第2伝達部材42は、その基端部41a,42aを中心に、外側へ向かって回動する。このとき、図6に示すように、各伝達部材41,42の係合ピン41f,42fも外側へ向かって回動するため、これらの係合ピン41f,42fと係合凹部31h,32hで当接する第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、閉塞位置から、外側に向かって回動する。
【0063】
このように、雌型コネクタ11がシャッター部Sへ押し込まれる力は、伝達部材27によって回転力に変換されてシャッター部材26に伝達される。この際、係合ピン41f、42fは、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の基端部側に当接するため、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32の回動角度は、第1伝達部材41及び第2伝達部材42の回動角度よりも大きくなる。
【0064】
図6に示す状態から、雄型コネクタ12を雌型コネクタ11にさらに押し込んでいくと、図7に示すように、第1伝達部材41及び第2伝達部材42がさらに外側に向かって回動し、挿入孔43の内径がさらに拡大される。第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、各伝達部材41,42に従動して、外側に向かってさらに回動し、雄型コネクタ12の雄側接続口23全体を露出させた開放位置に配置される。
【0065】
このように雄側接続口23が露出されると、コネクタ本体16と雌型コネクタ11とが連結可能となり、雌型コネクタ11の雌側ケース15は、ケース25の内側に貫挿され、雄型コネクタ12の雄側ケース17は、その雌型コネクタ11の雌側ケース15内に挿入される。また、雌型コネクタ11の上記固定弁が雄側ケース17内に挿入され、コイルばね22の付勢力に抗して、雄側弁体21を押圧する。このため、雄側弁体21は、雄側接続口23に対して反対側となる方向へ変位する。
【0066】
雄側弁体21の先端部21bが小径流路18bから抜出されると、雄側弁機構20は開状態となる。このとき雌側弁機構も開状態とされるため、雌型コネクタ11を介して第1外部流路から流体が導入され、雄型コネクタ12に供給される。雄型コネクタ12に供給された流体は、雄側接続口23を介して、雄側弁体21の貫通孔21cを通過し、大径流路18aに導入される。大径流路18aに導入された流体は、継手部19の流路を介して第2外部流路に送出される。
【0067】
雌型コネクタ11及び雄型コネクタ12の接続を解除する際には、例えば雄型コネクタ12を引っ張って、雄型コネクタ12を雌型コネクタ11から引き抜く。雌型コネクタ11が、コネクタ本体16から抜出されると、コイルばね22の付勢力により、雄側弁体21が閉位置に配置される。
【0068】
雌側接続口13が、垂直面41g,42gによって囲まれる孔から抜出されると、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が、上記ねじりコイルばねの付勢力により、内側、即ち作用位置から非作用位置に向かって回動する。この回動に伴い、係合ピン41f、42fも内側に向かって回動するため、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、ねじりコイルばね25dの付勢力により、内側、即ち開放位置から閉塞位置に向かって回動する。
【0069】
このとき、第1シャッター部材31の払拭部31iと、第2シャッター部材32の払拭部32iとが、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に摺接されるので、雄側ケース17の端面及び雄側弁体21の先端面に付着した液体等が払拭される。
【0070】
雌側接続口13が、挿入孔43から完全に抜出されると、第1伝達部材41及び第2伝達部材42が非作用位置に配置される。また、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32は、閉塞位置に配置されるため、雄側接続口23全体が閉塞され、雄側接続口23への塵埃等の異物の付着が抑制される。
【0071】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、雄型コネクタ12は、雄側接続口23を閉塞する閉塞位置と、雄側接続口23を露出する開放位置との間で変位するシャッター部Sを備えた。このため、雄型コネクタ12と雌型コネクタ11とを接続する接続時には、シャッター部Sを開放位置に配置し、雄型コネクタ12に雌型コネクタ11を接続しない非接続時には、シャッター部Sを閉塞位置に配置し、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄型コネクタ12の雄側接続口23に、塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0072】
(2)シャッター部Sは、閉塞位置と開放位置との間を変位する際に雄側接続口23を払拭する払拭部31i,32iを備えた。このため、雄型コネクタ12を流れる流体が液体である場合に、第1シャッター部材31及び第2シャッター部材32が、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、雄側接続口23に付着した液体等を除去することができる。このため、雄側接続口23に、液体中の揮発成分が揮発した残留物からなる異物が残留することを抑制することができる。また、雄側接続口23に液体が付着することにより、塵埃等の異物が付きやすくなることを防ぐことができる。
【0073】
(3)シャッター部Sは、シャッター部材26により開口を閉塞されるケース25を備え、雄側接続口23を、ケース25とシャッター部材26とにより閉塞できる。このため、より効果的に雄側接続口23への塵埃の付着を抑制することができる。
【0074】
(4)シャッター部Sは、雌型コネクタ11の挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材27と、伝達部材27の変位に従動し、閉塞位置と開放位置との間で変位するシャッター板31f、32fを有するシャッター部材26とをさらに備えた。即ち、伝達部材27に雌型コネクタ11を挿入することにより、特別な操作を行わなくても、シャッター板31f、32fが開放位置に配置される。従って、雌型コネクタ11と雄型コネクタ12との接続を簡単な操作で行うことができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8〜図10にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、本実施形態の雄型コネクタ50に備えられるシャッター部は、一対のコネクタ本体16を収容する外郭部としての筐体51と、シャッター板55とを有する。筐体51は、上部に開口を有する箱状に形成され、図中左側の側壁部51cには、側方に突出した中空状の突出部51fが形成されている。また筐体51の底壁部には、コネクタ本体16を貫挿する貫挿孔が形成されている(図示略)。コネクタ本体16は、継手部19を含む下部を、筐体51の下方に突出させた状態で貫挿されている。
【0077】
筐体51の側壁部51a,51bには、溝部52がそれぞれ貫通形成されている。溝部52は、側壁部51a,51bの幅方向及び高さ方向と、突出部51fの幅方向の範囲に亘って形成されている。より具体的には、溝部52は、側壁部51a,51bの上側部に形成され、その幅方向と平行な第1水平部52aと、側壁部51a,51bの突出部51f側に形成され、該第1水平部52aに対して垂直な方向に延在する垂直部52bとを有している。さらに溝部52は、側壁部51a,51bのうち、突出部51fにかかる位置に形成され、第1水平部52aと平行であって、垂直部52bに連続する第2水平部52cを有している。
【0078】
この溝部52には、シャッター板55が、移動可能に支持される。図9に示すように、シャッター板55は、複数の山部55aと、各山部55aの間に設けられる谷部55bとから構成される。山部55aは長尺状であって、各山部55aは、その長手方向の辺が向かい合うように配列されている。これらの山部55aは、肉薄状且つ可撓性の谷部55bによって連結されている。シャッター板55の長手方向、即ち山部55aの配列方向の長さは、溝部52の第1水平部52aと同じ長さとなっている。
【0079】
このシャッター板55のうち、山部55aの端部は、筐体51に形成された溝部52に嵌合される。この構成により、シャッター板55は、溝部52の形状にそって湾曲可能となっている。
【0080】
さらに、山部55aの下面には、その下面のほぼ全域を覆うようにエラストマー又はゴム等の弾性部材からなる払拭部55cが、谷部55bの下面と略同一面上となるように固定されている。各山部55aのうち、最も端に配置された山部55aには、溝部52に沿ってシャッター板55を移動させるための操作部55dが設けられている。
【0081】
また、筐体51の側壁部51cのうち、筐体51の上部開口からは、規制凹部51eが切り欠くように形成されている。この規制凹部51eは、シャッター板55の操作部55dと当接することで、シャッター板55の移動を規制する。
【0082】
次に、本実施形態の雄型コネクタ50の作用について説明する。雄型コネクタ50を雌型コネクタ11に連結しない非連結時には、図10に示すように、シャッター板55を、第1水平部52aによって支持された閉塞位置に配置する。コネクタ本体16の先端面は、シャッター板55によって閉塞され、外部に露出されない状態となっている。また操作部55dは、規制凹部51eが形成された側壁部51cに対して反対側となる側壁部51d側に配置されている。
【0083】
雄型コネクタ50を雌型コネクタ11に連結する連結時には、操作部55dを、溝部52の長手方向(図中X方向)に引っ張ることで、シャッター板55をスライド移動させる。シャッター板55は、第1水平部52aから、垂直部52b及び第2水平部52cによって支持される位置へと移動する。このとき、シャッター板55の払拭部55cは、コネクタ本体16の先端面を払拭しながら移動する。このため、雌型コネクタ11及び雄型コネクタ50を流れる流体が液体である場合に、先端面に付着した液体を除去することができる。
【0084】
そして、操作部55dが規制凹部51eに当接すると、シャッター板55の移動が規制され、シャッター板55は開放位置に配置される。このとき、シャッター板55は、溝部52に沿って屈曲し筐体51の端部に収容されるので、筐体51を、水平方向において省スペース化することができる。
【0085】
雄型コネクタ50と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、シャッター板55の操作部55dを、水平方向であって上記X方向と反対方向に引っ張り、シャッター板55を開放位置から閉塞位置へ変位させる。この際、シャッター板55の払拭部55cによって、コネクタ本体16の先端面に付着した液体等が払拭される。
【0086】
従って、第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(5)第2実施形態では、シャッター部Sは、雄側ケース17を囲む筐体51と、筐体51に形成された溝部52に支持され、該溝部52に沿って閉塞位置と開放位置との間でスライド移動するシャッター板55とを備えた。このため、雄型コネクタ12に雌型コネクタ11が接続されていない場合には、シャッター板55を閉塞位置に配置することで雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0087】
(6)シャッター板55は、閉塞位置と開放位置との間を変位する際に雄側接続口23を払拭する払拭部55cを備えた。このため、雄型コネクタ12を流れる流体が液体である場合に、シャッター板55、閉塞位置から開放位置へ変位する際、及び開放位置から閉塞位置へ変位する際に、雄側接続口23に付着した液体等を除去することができる。このため、雄側接続口23に液体が付着することにより、塵埃等の異物が付きやすくなることを防ぐことができる。
【0088】
(7)シャッター板55を、複数の山部55aと、該山部55aの間に形成された複数の谷部55bとを有し、溝部52の形状に沿って屈曲可能な構成とした。このため、シャッター板55を、屈曲した溝部52に沿って筐体51内に収容することができるため、筐体51を水平方向において省スペース化することができる。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図11及び図12にしたがって説明する。尚、第3実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0090】
図11に示すように、本実施形態の雄型コネクタ60に備えられるシャッター部は、上部に開口を有する外郭部としての筐体61と、筐体61にスライド可能に設けられた蓋体62とを有する。筐体61の側壁部61a,61bには、略円柱状の突部61c、61dがそれぞれ形成されている。
【0091】
蓋体62は、第1蓋体63と第2蓋体64とから構成されている。第1蓋体63及び第2蓋体64は、互いに対向する側方と底面とにおいて開口し、互いに組み合わされることで、雄側接続口23を閉塞可能な蓋体62となる。また、第1蓋体63の側壁には、スライド溝63aが、図中右側上方から左側下方に向かって斜めに形成されている。第2蓋体64の側壁には、スライド溝64aが、第1蓋体63のスライド溝63aと左右対称に、即ち図中左側上方から右側下方に向かって斜めに形成されている。このスライド溝63a,64aには、突部61c,61d摺動可能に内嵌されている。
【0092】
次に、本実施形態の雄型コネクタ60の作用について説明する。雄型コネクタ60が雌型コネクタ11に連結されない非接続時には、図12に示すように、突部61c,61dが、スライド溝63a,64aの最下端位置P1に配置され、第1蓋体63及び第2蓋体64は、それらの端面が互いに当接した閉塞位置に配置されている。このとき、雄側接続口23は、蓋体62によって外部に露出されない状態となっている。従って、非接続時には、雄側接続口23に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0093】
雄型コネクタ12を雌型コネクタ11に連結する連結時には、第1蓋体63及び第2蓋体64を外側に向かって開く。その結果、突部61c,61dが第1蓋体63及び第2蓋体64のスライド溝63a,64a内を摺動することにより、第1蓋体63及び第2蓋体64が、斜め下方に向かってそれぞれスライド移動する。そして、図11に示すように、突部61c,61dが、スライド溝63a,64aの最上端位置P2に配置されると、第1蓋体63及び第2蓋体64は、コネクタ本体16の雄側接続口23を露出する開放位置に配置される。
【0094】
雄型コネクタ60と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、第1蓋体63及び第2蓋体64を近づけるように回動させ、閉塞位置へ変位させる。
【0095】
従って、第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(8)第3実施形態では、シャッター部Sは、コネクタ本体16を囲む筐体61と、互いに組み合わされることで雄側接続口23を閉塞する1対の蓋体63,64とを備える。各蓋体63,64は、筐体61に形成された突部61c、61dを内嵌する対称なスライド溝63a,64aをそれぞれ有し、スライド溝63a,64aに沿ってスライド移動する。このため、雄型コネクタ60に雌型コネクタ11が接続されていない非接続時には、蓋体63,64を閉塞位置に変位させ、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図13〜図15にしたがって説明する。尚、第4実施形態は、第1実施形態のシャッター部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0097】
図13に示すように、本実施形態の雄型コネクタ70に備えられるシャッター部は、上部に開口を有する外郭部としての筐体71と、筐体71に回動可能に設けられた円蓋部75とを有する。
【0098】
筐体71の底壁部には1対のコネクタ本体16を貫挿するための貫挿孔がそれぞれ形成されている(図示略)。コネクタ本体16は、筐体71に対し、継手部19を含む下方を、筐体71の底壁部から突出させた状態で固定されている。
【0099】
円蓋部75は、内側円蓋部76と、内側円蓋部76よりも大きく、内側円蓋部76の外側に設けられた外側円蓋部77とから構成される。これらの内側円蓋部76及び外側円蓋部77は、筐体71に回転可能に軸支されている。本実施形態では、内側円蓋部76及び外側円蓋部77の基端部に形成された孔に、筐体71に形成された共通軸71a(図14参照)が貫挿されている。
【0100】
また図14に示すように、外側円蓋部77は、その一端に、内側に突出した突片77aを有している。外側円蓋部77が、閉塞位置から開放位置に向かう回動時には、この突片77aを内側円蓋部76に当接させることにより、内側円蓋部76を、外側円蓋部77の回動動作に従動させる。
【0101】
次に、本実施形態の雄型コネクタ70の作用について説明する。雄型コネクタ70に雌型コネクタ11を接続しない非接続時には、図15に示すように、内側円蓋部76を図中左側方に配置し、外側円蓋部77を図中右側に配置し、雄側接続口23を閉塞する。尚、このときの各円蓋部76,77の位置を、閉塞位置という。
【0102】
雄型コネクタ70に雌型コネクタを接続する接続時には、図15に示す閉塞位置に配置された外側円蓋部77を、内側円蓋部76側に向かって回動させる。外側円蓋部77が内側円蓋部76にほぼ重ね合されると、外側円蓋部77の突片77aが、内側円蓋部76の端面に当接する。この状態から外側円蓋部77をさらに回動させると、その回動動作に従動して、内側円蓋部76が回動する。
【0103】
その結果、図14に示すように、内側円蓋部76及び外側円蓋部77が、筐体71とコネクタ本体16との間に設けられた収容空間に収容される。このとき、内側円蓋部76及び外側円蓋部77を重ね合わせて収容することができるので、収容空間の省スペース化を図ることができる。
【0104】
雄型コネクタ70と雌型コネクタ11との接続を解除する際には、コネクタ本体16を雌型コネクタ11から抜出した後、外側円蓋部77及び内側円蓋部76を閉塞位置までそれぞれ回動させる。
【0105】
従って、第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(9)第4実施形態では、シャッター部Sは、コネクタ本体16を囲む筐体71と、筐体71に回動可能に軸支される円蓋部75を備える。このため、雄型コネクタ70が雌型コネクタ11に接続されていない非接続時には、円蓋部75を閉塞位置に回動し、雄側接続口23を閉塞することができる。このため、非接続時において、雄側接続口23に塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
【0106】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第4実施形態では、外側円蓋部77の突片77aを省略し、外側円蓋部77の回動動作に内側円蓋部76が従動しない構成としてもよい。
【0107】
・雄側接続口23を払拭する払拭部を、第3実施形態に記載の雄型コネクタ60、第4実施形態に記載の雄型コネクタ70に設けてもよい。第3実施形態に記載の雄型コネクタ60の場合には、蓋体63,64の裏面に、雄側接続口23を払拭可能な厚さ及び形状の払拭部を設け、第4実施形態に記載の雄型コネクタ70の場合には、円蓋部75の裏面に、雄側接続口23を払拭可能な厚さ及び形状の払拭部を設ける。
【0108】
・払拭部31i,32i,55cは、弾性部材でなくても、スポンジや不織布等の液体を吸収可能な材料から形成してもよい。
・上記各実施形態では、シャッター部Sを、雄型コネクタ12に固定したが、雌型コネクタ11に固定するようにしてもよい。又は雄型コネクタ12及び雌型コネクタ11の両方に固定してもよい。
【0109】
・コネクタの構成や形状は、上記各実施形態以外の構成及び形状でもよく、雄型コネクタ12及び雌型コネクタ11の少なくとも一方にシャッター部Sを備えていればよい。
【符号の説明】
【0110】
11…外部コネクタとしての雌型コネクタ、12,50,60,70…雄型コネクタ、17…ハウジングとしての雄側ケース、18…内部流路、23…雄側接続口、27,41,42…伝達部材、31f、32f,55…シャッター板、31i,32i,55c…払拭部、51,61,71…外郭部としての筐体、52…溝部、55a…山部、55b…谷部、61c,61d…突部、62,63,64…蓋体、63a,63b…溝、75,76,77…円蓋部、S…シャッター部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流路を有するハウジングと、該内部流路に連通し外部流路に接続される接続口とを有するコネクタにおいて、
前記接続口を閉塞する閉塞位置と、前記接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記シャッター部は、前記閉塞位置と前記開放位置との間を変位する際に前記接続口を払拭する払拭部を備えた請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シャッター部は、
前記外部流路を備えた外部コネクタの挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材と、
前記伝達部材の変位に従動し、前記閉塞位置と前記開放位置との間で変位するシャッター板とをさらに備えた請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シャッター部は、前記シャッター板によって開口が閉塞される外郭部をさらに備える請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
前記外郭部に形成された溝部に支持され、該溝部に沿って前記閉塞位置と前記開放位置との間でスライド移動するシャッター板とをさらに備えた請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シャッター板は、複数の山部と、該山部の間に形成された複数の谷部とを有し、前記溝部の形状に沿って屈曲する請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
互いに組み合わされることで前記接続口を閉塞する1対の蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記外郭部に形成された突部を内嵌する溝をそれぞれ有し、前記溝の内側に前記突部をスライドさせながら変位する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
前記外郭部に回動可能に軸支される円蓋部を備える請求項1に記載のコネクタ。
【請求項1】
内部流路を有するハウジングと、該内部流路に連通し外部流路に接続される接続口とを有するコネクタにおいて、
前記接続口を閉塞する閉塞位置と、前記接続口を露出する開放位置との間で変位するシャッター部を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記シャッター部は、前記閉塞位置と前記開放位置との間を変位する際に前記接続口を払拭する払拭部を備えた請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シャッター部は、
前記外部流路を備えた外部コネクタの挿入により非作用位置と作用位置との間で変位する伝達部材と、
前記伝達部材の変位に従動し、前記閉塞位置と前記開放位置との間で変位するシャッター板とをさらに備えた請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シャッター部は、前記シャッター板によって開口が閉塞される外郭部をさらに備える請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
前記外郭部に形成された溝部に支持され、該溝部に沿って前記閉塞位置と前記開放位置との間でスライド移動するシャッター板とをさらに備えた請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シャッター板は、複数の山部と、該山部の間に形成された複数の谷部とを有し、前記溝部の形状に沿って屈曲する請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
互いに組み合わされることで前記接続口を閉塞する1対の蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記外郭部に形成された突部を内嵌する溝をそれぞれ有し、前記溝の内側に前記突部をスライドさせながら変位する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シャッター部は、
前記ハウジングを囲む外郭部と、
前記外郭部に回動可能に軸支される円蓋部を備える請求項1に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−7466(P2013−7466A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141561(P2011−141561)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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