説明

コピー機

【課題】原稿を複数の読取範囲に分割して読み取る場合、分割に不適合な不適合領域と重ならない分割線を設定することにより、印刷ズレが発生し難いコピー機を提供すること。
【解決手段】本実施形態の分割コピー処理によれば、不適合領域32と重ならない分割線36に基づいて分割される読取範囲38毎に原稿を読み取り、各読取範囲38の画像を印刷するので、印刷ズレの発生を抑制できる。また、不適合領域探索範囲34の読み取りに継続して、読取範囲38を読み取るので、原稿30の読み取りを効率的に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコピー機に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機において、読取素子の並ぶ方向である読取の主走査方向と印刷の主走査方向とが異なるものがある。このようなコピー機では、まず、原稿全域を読み取って画像データを生成し、その画像データをメモリに一時的に記憶させ、回転処理を施した上で印刷出力する。また、必要なメモリ容量を削減するために、原稿を複数の読取範囲に分割し、1の読取範囲を読み取る毎にその読取範囲に対応する画像データを回転して印刷出力し、複数の読取範囲の各々について、処理を繰り返すことにより、原稿の全域をコピーすることが提案されている(例えば、特許文献1)。このようにすれば、原稿全域の画像データをメモリに記憶させる場合に比較して、必要なメモリ容量を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−307652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原稿のうちベタ領域や細線が存在する領域に読取範囲の分割線を設定して、原稿をコピーすると、その分割線における印刷ズレが目立ち易くなるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、原稿を複数の読取範囲に分割して読み取る場合において、分割に不適合な不適合領域と重ならない分割線を設定することにより、印刷ズレが発生し難いコピー機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明のコピー機は、原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を記録媒体に印刷するものであって、読取素子の並ぶ第1方向に平行な第1ライン毎に、原稿を読み取り可能な読取部と、原稿と前記読取部とを、前記第1方向と異なる第2方向に相対的に移動させる移動部と、前記第1方向へ記録媒体を搬送しつつその記録媒体に対して画像を印刷する前記印刷部と、前記移動部により前記第2方向に相対的に移動される原稿の一部を、前記読取部により読み取って生成した画像データを記憶部に記憶させる第1読取制御手段と、前記記憶部に記憶された前記画像データに基づいて、前記原稿の一部に含まれる不適合領域であって、分割に適さない不適合領域を検出する第1検出手段と、前記第2方向に平行な分割線であって、且つ、前記第1検出手段により検出された不適合領域と重ならない分割線を、前記原稿に対して設定する第1分割手段と、前記第1分割手段により設定された前記分割線に基づいて分割される複数の読取範囲のうち、いずれかを読み取って生成した画像データを、前記記憶部に記憶させる第2読取制御手段と、前記第2読取制御手段により記憶された画像データに基づいて、前記読取範囲の画像を前記印刷部により印刷する第1印刷制御手段と、前記第2読取制御手段により読み取られた読取範囲以外の読取範囲を読み取って生成した画像データを、前記記憶部のうち前記第2読取制御手段により前記画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第3読取制御手段と、前記第3読取制御手段により記憶された画像データに基づいて、前記読取範囲の画像を前記印刷部により印刷する第2印刷制御手段とを備える。

【0007】
なお、本発明は、コピー機を制御する制御装置、コピー方法、プログラム、該プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のコピー機によれば、不適合領域と重ならない分割線が設定され、当該分割線に基づいて分割される読取範囲毎に原稿が読み取られ、各読取範囲の画像が印刷されるので、印刷ズレの発生を抑制できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載のコピー機によれば、請求項1記載のコピー機の奏する効果に加え、第1読取制御手段に継続して第2読取制御手段により読取範囲が読み取られるので、原稿の読み取りを効率的に行なうことができるという効果がある。また、第1読取制御手段により生成された画像データと、第2読取制御手段により生成された画像データに基づいて、読取範囲の画像が印刷されるので、第1読取制御手段により生成された画像データを有効活用し、原稿の読み取りを効率的に行なうことができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載のコピー機によれば、請求項2記載のコピー機の奏する効果に加え、印刷に用いられない画像データが記憶部から削除されるので、記憶部の空き容量を増やすことができるという効果がある。また、不適合領域の位置を示す位置情報を位置記憶部に記憶させるので、一度でも検出した不適合領域の位置情報を、次回以降の分割線の設定に利用できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載のコピー機によれば、請求項1から3のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、第2読取制御手段は、原稿端と分割線とにより形成される読取範囲を読み取るので、第1方向における記録媒体の一端から画像の印刷を開始できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載のコピー機によれば、請求項4記載のコピー機の奏する効果に加え、第2読取制御手段は、原稿端と分割線とにより形成される読取範囲のうち最も面積が大きい読取範囲を読み取るので、原稿の読み取りを効率的に行なうことができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載のコピー機によれば、請求項1から5のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、第3読取制御手段は、第2読取制御手段により読み取られた読取範囲に隣接する読取範囲を読み取るので、第1方向に順番に、記録媒体に対して画像を印刷できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載のコピー機によれば、請求項1から6のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、第1読取範囲決定手段により決定された読取範囲と他の読取範囲とを分割する分割線上に不適合領域が存在する場合には、読取範囲が再度決定されるので、適切な読取範囲を決定し、印刷ズレの発生を、より確実に抑制できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載のコピー機によれば、請求項7記載のコピー機の奏する効果に加え、原稿の読み取りに関する設定値と記憶部の空き容量とに応じて、適切な読取範囲を決定できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載のコピー機によれば、請求項1から8のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、第2読取制御手段により、読取範囲とプレスキャン範囲とが一回の走査で読み取られ、プレスキャン範囲に含まれる不適合領域が検出されるので、不適合領域を効率的に検出できるという効果がある。
【0017】
請求項10記載のコピー機によれば、請求項1から9のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、記憶部の空き容量が不足する場合であっても、不適合領域とは重ならない分割線を設定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】MFPのスキャナにおける読取方向と、プリンタにおける印刷方向とを説明する模式図である。
【図3】分割コピー処理の実施例を説明する図である。
【図4】分割コピー処理の実施例を説明する図である。
【図5】分割コピー処理の実施例を説明する図である。
【図6】分割コピー処理を示すフローチャートである。
【図7】分割線最適化処理を示すフローチャートである。
【図8】読取開始端決定処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態の分割線最適化処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の分割線最適化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0020】
MFP1は、原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を記録媒体に印刷するコピー機能を実行するものであり、さらに、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能などの複数の機能を有する複合機である。特に、本実施形態のMFP1は、原稿を複数の読取範囲に分割して読み取る場合において、分割に不適合な不適合領域と重ならない分割線を設定することにより、分割線における印刷ズレが発生し難いように構成されている。
【0021】
MFP1において、CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されている。また、バスライン14には、ASIC15が接続されている。ASIC15は、プリンタ18、スキャナ23、モデム28、NCU29を制御する。
【0022】
CPU11は、フラッシュメモリ12に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータ等に従って、MFP1が有している各機能を制御する。フラッシュメモリ12は、制御プログラム12aが記憶された書換可能な不揮発性のメモリである。CPU11は、制御プログラム12aに従い、後述する分割コピー処理(図6)を実行する。
【0023】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、画像メモリ13a、不適合位置メモリ13bが設けられる。画像メモリ13aには、スキャナ23により生成された画像データや、FAX受信した画像データが記憶される。MFP1は、この画像データをASIC15を介して、プリンタ18に出力することにより、プリンタ18に画像を印刷させる。不適合位置メモリ13bには、分割コピー処理を実行する上で、分割に不適合な不適合領域の位置情報を記憶する。分割コピー処理および不適合領域については、図3を参照して後述する。
【0024】
ASIC15は、CPU11からの指令に従い、プリンタ18を制御して画像を印刷させる。プリンタ18は、用紙に向けてインクを吐出するインクジェットヘッド20、インクジェットヘッド20を搭載したキャリッジを印刷の主走査方向(図2を参照して後述)に往復移動させるためのCRモータ21、用紙を搬送するためのLFモータ22などを備える。
【0025】
また、ASIC15は、CPU11からの指令に従い、スキャナ23を制御する。これにより、スキャナ23が所定のタイミングで動作し、原稿に対応した画像データを生成する。スキャナ23には、イメージセンサ25、ステップモータ26が設けられる。また、ASIC15には、ファクシミリ送受信時においてデータの変調または復調を行なうモデム28、電話回線の制御を行なうNCU29が接続される。
【0026】
図2は、スキャナ23における読取方向と、プリンタ18における印刷方向とを説明する模式図である。図2おいて、X方向はMFP1の前後方向を示し、Y方向はMFP1の左右方向を示す。
【0027】
図2(a)は、スキャナ23により読み取られる原稿30と、イメージセンサ25との関係を模式的に示す。イメージセンサ25は、X方向に配列された読取素子(図示せず)を備え、原稿30からの反射光を読取素子により受光して電気信号に変換することにより、画像データを生成する。スキャナ23は、ステップモータ26(図1)により、原稿30に対してイメージセンサ25をY方向に相対的に移動させつつ、X方向に平行な縦ライン毎に原稿30を読み取り可能である。なお、イメージセンサ25がY方向における原稿30の一端から他端までを走査する間に1個の読取素子で読み取り可能な範囲を、以下、横ラインと称する。
【0028】
図2(b)は、プリンタ18により画像が印刷される用紙31と、インクジェットヘッド20との関係を模式的に示す。プリンタ18において、インクジェットヘッド20は、キャリッジ(図示せず)に搭載されてY方向に平行に移動されつつ、用紙31に対してインクを吐出する。インクジェットヘッド20が、Y方向の一端から他端まで走査する間に印刷する単位を、以下、記録単位と称する。プリンタ18は、インクジェットヘッド20により1記録単位の印刷を行なう毎に、LFモータ22により駆動される搬送機構(図示せず)により、用紙31をX方向へ1記録単位分搬送し、これを繰り返すことで、用紙31に画像を印刷する。なお、図2においては、縦ライン、横ラインおよび記録単位を図示したが、これらは実際の縮尺で図示したものではない。
【0029】
ここで、MFP1は、例えば、ファクシミリの受信中など、画像メモリ13aの空き容量が十分ではなく、原稿1ページ分の画像データを記憶させる領域を画像メモリ13aに確保できない場合、原稿30を分割してコピーする分割コピー処理を実行する。
【0030】
図3は、分割コピー処理を説明する図である。分割コピー処理では、不適合領域探索範囲34を読み取って、Y方向に平行な分割線36を設定し、その分割線36で分割される読取範囲38を読み取る。
【0031】
以下、原稿載置台(図示せず)の一点を原点0とするXY座標系に基づき、当該原稿載置台に載置された原稿30のX方向端のX座標をXmaxとし、Y方向端のY座標をYmaxとする。また、不適合領域探索範囲34のY方向端のY座標をDyとし、Y方向に平行な分割線36のX座標をDxとする。また、原稿30のX方向端のうち、原点0側の原稿端を第1原稿端30Aと称し、Xmax側の原稿端を第2原稿端30Bと称する。
【0032】
分割コピー処理において、まずMFP1は、原稿30に対してイメージセンサ25(図2)をY方向に移動させつつ、原稿30の一部をイメージセンサ25により読み取る。具体的には、図3(a)に示すように、複数の縦ラインを含む不適合領域探索範囲34を読み取り、その読み取りにより生成した画像データを画像メモリ13aに記憶させる。そして、画像メモリ13aに記憶された画像データに基づいて、ベタ領域や細線を含む領域など、分割に不適合な領域(以下、不適合領域32)が、不適合領域探索範囲34に含まれているか否かを判定する。
【0033】
不適合領域32が含まれていないと判定された場合、MFP1は、画像メモリ13aの空き容量に基づいて、図3(b)に示すように、分割線36を設定する。そして、イメージセンサ25を原稿30に対して相対的に移動させつつ、分割線36で分割される読取範囲38のうち、不適合領域探索範囲34に連続する残りの範囲を継続して読み取る。すなわち、原点0からYmaxまでの間、イメージセンサ25を停止させることなく、不適合領域探索範囲34と読取範囲38とを連続して読み取る。
【0034】
そして、MFP1は、不適合領域探索範囲34の読み取りにより生成された画像データと、読取範囲38の読み取りにより生成された画像データとに基づき、読取範囲38の画像を、プリンタ18により用紙31に印刷する。なお、図3(a)で読み取られた不適合領域探索範囲34のうち、読取範囲38の印刷に用いられない画像データは、画像メモリ13aから削除する。
【0035】
次に、図3(c)に示すように、MFP1は、原稿30の未読領域に不適合領域探索範囲34を設定し、その不適合領域探索範囲34をイメージセンサ25により読み取る。なお、1つ目の読取範囲38の読み取りにより、イメージセンサ25はYmaxまで移動しているので、次に、イメージセンサ25は、Ymaxから原点0へ向かう方向へ移動しつつ、2つ目の不適合領域探索範囲34を読み取る。
【0036】
ここで、図3(c)に示すように、不適合領域探索範囲34を読み取ることで生成された画像データに基づいて、不適合領域32が検出された場合について説明する。この場合、MFP1は、検出された不適合領域32と重ならない分割線36を、原稿30に対して設定する。そして、図3(d)に示すように、既に読み取られた読取範囲38(図3(b)で読み取られた読取範囲38)に隣接する読取範囲38であって、新たに設定した分割線36に基づいて分割される2つ目の読取範囲38を読み取る。なお、この読取範囲38の読み取りにおいても、不適合領域探索範囲34の読み取り後、イメージセンサ25を停止することなく、イメージセンサ25の移動を継続して、不適合領域探索範囲34に連続する残りの範囲のみを読み取る。そして、MFP1は、図3(c)に示す不適合領域探索範囲34の画像データと、図3(d)に示す読取範囲38の画像データとに基づき、読取範囲38の画像を印刷する。
【0037】
このように、本実施形態の分割コピー処理によれば、不適合領域32と重ならない分割線36に基づいて分割される読取範囲38毎に原稿を読み取り、各読取範囲38の画像を印刷するので、印刷ズレの発生を抑制できる。
【0038】
また、不適合領域探索範囲34の読み取りに継続して読取範囲38を読み取るので、換言すれば、イメージセンサ25を停止させることなく不適合領域探索範囲34から読取範囲38まで連続して読み取るので、例えば、不適合領域32を検出するために、予め原稿30の全域をプレスキャンする場合に比較して、原稿30の読み取りを効率的に行なうことができる。また、不適合領域探索範囲34の画像データと、その不適合領域探索範囲34に継続して読み取った読取範囲38の画像データに基づいて、読取範囲38の画像が印刷されるので、不適合領域探索範囲34の読み取りにより生成された画像データを有効活用し、原稿30の読み取りを効率的に行なうことができる。
【0039】
また、図3に示す分割コピー処理によれば、第1原稿端30Aから、第2原稿端30Bに向けて、順次、分割線36が設定され、先に読み取った読取範囲38に隣接する読取範囲38が順番に読み取られるので、プリンタ18においては、用紙31を一方向に搬送しつつ、画像を順次印刷できる。すなわち、プリンタ18における印刷において、用紙31を往復搬送する必要が無い。
【0040】
図4(a)は、1つ目の不適合領域探索範囲34に不適合領域32が検出された例を説明する図である。この場合、図4(b)に示すように、不適合領域32と重ならず、Y方向に平行な2つの仮分割線40を設定する。以下の説明において、2つの仮分割線40のうち、第1原稿端30A側の仮分割線40を第1仮分割線40Aと称し、そのX座標をCx1とする。また、第2原稿端30B側の仮分割線40を第2仮分割線40Bと称し、そのX座標をCx2とする。
【0041】
次に、原稿端と仮分割線40とで形成される範囲のうち、最も大きい範囲を読取範囲38として決定する。原稿端と仮分割線40とで形成される範囲としては、第1原稿端30Aと第1仮分割線40Aとで形成される範囲、第1原稿端30Aと第2仮分割線40Bとで形成される範囲、第2原稿端30Bと第1仮分割線40Aとで形成される範囲、第2原稿端30Bと第2仮分割線40Bとで形成される範囲とがある。図4(b)には、第1原稿端30Aと第2仮分割線40Bとで形成される範囲が最も大きい例を図示している。
【0042】
この場合、図4(c)に示すように、第2仮分割線40Bを分割線36として設定し、その分割線36と第1原稿端30Aとにより形成される範囲を読取範囲38として読み取る。ただし、画像メモリ13aの空き容量の不足により、第1原稿端30Aから第2仮分割線40Bまでの全域の画像データを画像メモリ13aに記憶させることができない場合、図4(d)に示すように、第1仮分割線40Aを分割線36として設定する。そして、第1原稿端40Aと分割線36とで形成される読取範囲38を読み取る。
【0043】
そして、画像メモリ13aの空き容量の不足により、第1原稿端30Aから第1仮分割線40Aまでの全域の画像データを画像メモリ13aに記憶させることができない場合、図4(e)に示すように、第1原稿端30Aから第1仮分割線40Aまでの範囲のうち、画像メモリ13aに画像データを記憶可能な範囲を読取範囲38として読み取る。なお、図4に示す例においても、図3に示す例と同様に、MFP1は、不適合領域探索範囲34の読み取りに継続して、読取範囲38を読み取る。
【0044】
図5は、第1仮分割線40Aに分割線36を設定し、その分割線36と第1原稿端30Aとで形成される読取範囲38を読み取る場合において、当該分割線36上に存在する不適合領域32が検出された場合を説明する図である。なお、図5では、不適合領域探索範囲34から検出された不適合領域を不適合領域32Aとし、読取範囲38を読み取ることにより分割線36上に新たに検出された不適合領域を不適合領域32Bとする。
【0045】
この場合、分割コピー処理では、不適合領域32A,32Bと重ならない2つの仮分割線40を再設定する。そして、再設定した仮分割線40に基づいて、分割線36を設定して、読取範囲38を再度決定し、原稿30を読み取る。すなわち、本実施形態の分割コピー処理では、一旦設定した分割線36上に不適合領域32が存在する場合、分割線36を再設定し、その分割線36に基づいて読取範囲38を再度決定することにより、印刷ズレの発生を確実に抑制する。
【0046】
図6は、MFP1において実行される分割コピー処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが原稿をセットし、コピー処理の実行指示をMFP1に入力した場合において、画像メモリ13aに、原稿1ページ分の画像データを記憶可能な空き容量がない場合に開始される。
【0047】
まず、CPU11は、原稿の読み取りに関する設定値を、例えば、フラッシュメモリ12などから読み出す(取得する)(S600)。原稿の読み取りに関する設定値とは、例えば、カラーコピーとするかモノクロコピーとするかを示す設定値、コピーの読取解像度、原稿サイズである。次に、CPU11は、読み出した設定値に基づいて、1の横ラインの画像データの容量(横ラインのデータ容量)を算出し(S602)、1の縦ラインの画像データの容量(縦ラインのデータ容量)を算出する(S604)。
【0048】
次に、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量に基づいて、不適合領域探索範囲34に含めることが可能な縦ライン読取可能数A、読取範囲38に含めることが可能な横ライン読取可能数Bを決定する(S606)。具体的には、下記(1)式,(2)式に基づいて縦ライン読取可能数A、横ライン読取可能数Bを算出する。
縦ライン読取可能数A=int(画像メモリ13aの空き容量/縦ラインのデータ容量)・・・(1)
横ライン読取可能数B=int(画像メモリ13aの空き容量/横ラインのデータ容量)・・・(2)
int()は、括弧内の引数の小数部分を切り捨て整数化することを意味する。
【0049】
次に、CPU11は、S606で算出した縦ライン読取可能数Aの縦ラインを含む不適合領域探索範囲34を、設定された読取解像度でスキャナ23に読み取らせ、その不適合領域探索範囲34に対応する画像データを、画像メモリ13aに記憶させる(S608)。次に、CPU11は、画像メモリ13aに記憶された画像データを解析することにより、不適合領域探索範囲34に含まれる不適合領域32を検出する(S610)。
【0050】
不適合領域32の検出は、例えば、以下のようにして行なう。MFP1は、予め、無色の画素(白地)に対して黒の画素と判断するための輝度値の閾値を記憶している。そして、画像データを解析し、輝度値が閾値以下である黒の画素が所定個数以上連続する領域を、不適合領域32として検出する。すなわち、線状に連なる黒の画素、または、黒の画素の集合であるベタ領域を、不適合領域32として検出する。なお、連続する黒の画素が検出されなくなる位置を、不適合領域32の端部と判断する。
【0051】
不適合領域探索範囲34に不適合領域32が検出されない場合であって(S610:No)、且つ、読取開始端を未だ決定していない場合(S611:No)、CPU11は、読取開始端のX座標を0に決定する(S612)。すなわち、第1原稿端30Aを読取開始端とし、第2原稿端30Bを読取終了端とする。そして、CPU11は、読取開始端から、S606で算出した横ライン読取可能数B分、読取終了端側に進んだ位置のX座標Dxを求め、そこに分割線36を設定する(S614)。この場合、読取開始端から分割線36までの範囲が、読取範囲38として決定される。
【0052】
次に、CPU11は、不適合領域探索範囲34を読み取ることにより生成された画像データのうち、読取範囲38に含まれない範囲の画像データを、画像メモリ13aから削除する(S616)。次に、CPU11は、読取範囲38のうち、不適合領域探索範囲34に連続する残りの範囲を、設定された読取解像度でスキャナ23に読み取らせ、Y方向原稿端までの読み取りを終了した後、イメージセンサ25の移動を停止させる。また、生成した画像データを画像メモリ13aに記憶させる(S618)。
【0053】
次に、CPU11は、読取範囲38の画像データを解析することにより、S614で設定した分割線36上に存在する不適合領域32を検出する。分割線36上に不適合領域32が検出されない場合(S620:No)、CPU11は、画像メモリ13aに記憶された画像データ(不適合領域探索範囲34の読み取りにより生成された画像データと、読取範囲38の読み取りにより生成された画像データ)を、ASIC15を介して、プリンタ18へ出力することにより、読取範囲38の画像を印刷する(S622)。そして、CPU11は、出力済みの画像データを、画像メモリ13aから削除する(S624)。
【0054】
次に、CPU11は、原稿全域をコピー済みか否かを判断し(S626)、全域についてのコピーを終了していない場合(S626:No)、S604に戻り処理を繰り返す。なお、S604において1回目に縦ラインのデータ容量を算出するときには、1の縦ラインのX方向の一端から他端までを含む範囲のデータ容量を算出する。しかしながら、S626の判断が否定されて、2回目以降に縦ラインのデータ容量を算出するときには、1の縦ラインのうち、X方向における未読範囲のデータ容量を、縦ラインのデータ容量として、新たに算出する(S604)。次にCPU11は、画像メモリ13aの空き容量を新たに求め、その新たに求めた空き容量に基づいて、縦ライン読取可能数A、横ライン読取可能数Bを算出し(S606)、処理を繰り返す。すなわち、不適合領域探索範囲34を読み取り、不適合領域32が検出されない場合には、先に読み取った読取範囲38のうち読取終了端側のX方向端から、S606で算出した横ライン読取可能数B分だけ読取終了端側に進んだX座標Dxを求め、そこに分割線36を設定する。そして、先に読み取った読取範囲38のうち読取終了端側のX方向端から、新たに設定された分割線36までの読取範囲38を読み取る。
【0055】
なお、1つ目の読取範囲38を読み取り、その画像を印刷した後、S626の判断が否定されて(S626:No)、S604から処理を繰り返す場合には、読取開始端を決定済みであるため(S611:Yes)、CPU11は、S612をスキップする。また、S604から処理を繰り返す場合において、2つ目以降の読取範囲38の画像データを画像メモリ13aに記憶させるときには、画像メモリ13aのうち、前回の読み取りにより生成された画像データを記憶していた領域に、新たに生成した画像データを記憶させる。このようにすれば、画像メモリ13aの限られた記憶領域を有効に活用できる。
【0056】
このようにして処理を繰り返すうちに、原稿30の全域についてコピーを終了した場合(S626:Yes)、CPU11は、この処理を終了する。一方、不適合領域探索範囲34に含まれる不適合領域32が検出された場合(S610:Yes)、または、分割線36上に存在する不適合領域32が検出された場合(620:Yes)、CPU11は、分割線36を再設定する分割線最適化処理を実行する(S628)。
【0057】
図7は、分割線最適化処理(S628)を示すフローチャートである。まず、CPU11は、不適合領域探索範囲34、または分割線36上に検出された不適合領域32の位置を示す位置情報を、不適合位置メモリ13bに記憶させる(S702)。すなわち、一度でも検出された不適合領域32については、その位置情報を記憶しておき、次回以降の分割線36の設定に利用する。
【0058】
読み取りと印刷とを実行済みの読取範囲38(以下、処理済み読取範囲38)が存在する場合(S704:Yes)、CPU11は、Y方向に平行な分割線36であって、検出された不適合領域32と重ならない分割線36を設定する(S706)。なお、処理済み読取範囲38が存在する場合(S704:Yes)とは、分割コピー処理(図6)において、1つ目の不適合領域探索範囲34に不適合領域32が検出されず(S610:No)、且つ、1つ目の読取範囲38の読み取りにおいて、分割線36上に不適合領域32が検出されずに(S620:No)、その読取範囲38の画像の印刷が実行された場合が該当する。また、分割線36は、処理済み読取範囲38のX方向端のうち読取終了端側のX方向端から、横ライン読取可能数B以下の範囲内において、不適合領域32と重ならない位置に設定する(S706)。この分割線36に基づいて、処理済み読取範囲38のX方向端のうち読取終了端側のX方向端と、分割線36とで形成される範囲が、次に読み取るべき読取範囲38として決定される。このようにすれば、画像メモリ13aの空き容量と設定値とに応じた適切な読取範囲38を決定できる。
【0059】
そして、CPU11は、画像メモリ13aに記憶された画像データのうち、不要な画像データを削除する(S708)。具体的には、画像メモリ13aに、不適合領域探索範囲34の画像データが記憶されている場合には、その不適合領域探索範囲34のうち、S706で設定した分割線36で分割される読取範囲38には含まれない範囲の画像データを削除する。また、画像メモリ13aに、読取範囲38を読み取ることにより生成された画像データが記憶されている場合において、その画像データに基づいて分割線36上に存在する不適合領域32が検出された場合には、その読取範囲38の画像データを削除する。すなわち、印刷に用いられない画像データを画像メモリ13aから削除し、画像メモリ13aの空き容量を増やす。
【0060】
次に、CPU11は、設定された読取解像度でスキャナ23に読取範囲38を読み取らせ、Y方向の原稿端までの読み取りを終了した後、イメージセンサ25の移動を停止させ、生成した画像データを画像メモリ13aに記憶させる(S710)。なお、不適合領域探索範囲34の読み取り直後に継続して、読取範囲38を読み取る場合には、S710では、不適合領域探索範囲34の読み取り後のイメージセンサ25を停止させることなく、Y方向の原稿端まで連続して読み取らせ、その後、イメージセンサ25の移動を停止させる。
【0061】
次に、CPU11は、読取範囲38を読み取ることにより生成された画像データを解析することにより、S706で設定した分割線36上に存在する不適合領域32を検出する。分割線36上に不適合領域32が検出されない場合(S712:No)、CPU11は、画像メモリ13aに記憶された画像データを、ASIC15を介して、プリンタ18へ出力し、読取範囲38の画像を印刷する(S714)。そして、CPU11は、出力済みの画像データを、画像メモリ13aから削除する(S716)。
【0062】
次に、CPU11は、原稿全域をコピー済みか否かを判断し(S718)、全域についてのコピーを終了していない場合(S718:No)、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量を新たに求め、その新たに求めた空き容量に基づいて、横ライン読取可能数Bを算出し(S720)、S706から処理を繰り返す。すなわち、分割線36上に不適合領域32が検出されない間、未読の領域に、順次、分割線36を設定し、X方向に順番に、読み取りと印刷とを繰り返す。そして、処理を繰り返すうちに、原稿30の全域について処理を終了した場合(S718:Yes)、分割コピー処理を終了する。
【0063】
なお、S710で読み取った読取範囲38の画像データに基づいて、分割線36上に存在する不適合領域32が検出される場合(S712:Yes)、CPU11は、S702に戻り処理を繰り返す。すなわち、不適合領域32に重ならない分割線36を再度設定し、その分割線36に基づいて、読取範囲38を再度決定する(S706)。
【0064】
一方、分割コピー処理(図6)により不適合領域32が検出された場合であって(S610:YesまたはS620:Yes)、処理済みの読取範囲38が存在しない場合(S704:No)、CPU11は、読取開始端決定処理を実行する(S724)。
【0065】
図8は、読取開始端決定処理(S724)を示すフローチャートである。この処理は、第1原稿端30Aと第2原稿端30Bとのいずれを、読取開始端とするか決定する処理である。この処理は、処理済みの読取範囲38が存在しない場合において、不適合領域32が検出された場合に実行される。なお、分割コピー処理(図6)で、読取開始端のX座標が0に決定された場合であって(S612)、且つ、1つ目の読取範囲38の読み取りにより分割線36上に不適合領域が検出された場合(S620:Yes)には、読取開始端を決定済みであるものの、処理済みの読取範囲38が存在しないので(S704:No)、この読取開始端決定処理(S724)が実行される。この場合、S612で決定した読取開始端のX座標は、この読取開始端決定処理(S724)で決定した読取開始端のX座標に書換えられるものとする。
【0066】
まず、CPU11は、仮分割線40のX座標Cx1、Cx2を決定する(S802)。具体的には、図4(b)に示すように、不適合領域32のX方向両端に、不適合領域32に重ならない仮分割線40を設定する。次に、原稿端と仮分割線40とで形成される範囲のうち、最も大きい範囲を読取範囲38として決定する。
【0067】
具体的には、Cx1≧(Xmax−Cx2)の場合(S804:Yes)、原稿端と仮分割線40とで形成される範囲のうち、第1原稿端30Aと第2仮分割線40Bとで形成される範囲が最も大きい。したがって、CPU11は、当該範囲(0≦x≦Cx2)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能であることを条件として(S806:Yes)、当該範囲を読取範囲38として決定する(図4(c)参照)。具体的には、第1原稿端30Aから第2分割線40Bまでの間に含まれる横ライン数が、横ライン読取可能数B以下である場合、第2仮分割線40BのX座標(Cx2)に分割線36を設定する(S808)。そして、読取開始端のX座標を0に決定する。すなわち、第1原稿端30Aを読取範囲端とし、第2原稿端30Bを読取終了端とする(S810)。
【0068】
一方、第1原稿端30Aと第2仮分割線40Bとで形成される範囲が最も大きい場合であっても(S804:Yes)、当該範囲(0≦x≦Cx2)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶できない場合がある(S806:No)。その場合、CPU11は、第1原稿端30Aから第1仮分割線40Aまで(0≦x≦Cx1)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能であることを条件として(S812:Yes)、当該範囲を読取範囲38として決定する(図4(d)参照)。具体的には、第1仮分割線40AのX座標(Cx1)に分割線36を設定する(S814)。また、第1原稿端30Aを読取範囲端とする(S810)。
【0069】
一方、第1原稿端30Aから第1仮分割線40Aまで(0≦x≦Cx1)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能ではない場合(S812:No)、第1原稿端30Aから第2原稿端30B側に、横ライン読取可能数B分だけ進んだ位置のX座標に、分割線36を設定し(S816)、第1原稿端30Aを読取開始端とする(S810)。この場合、第1原稿端30Aから分割線36までの範囲が、読取範囲38として決定される(図4(e))。
【0070】
なお、Cx1<(Xmax−Cx2)の場合(S804:No)、すなわち、原稿端と仮分割線40とで形成される範囲のうち、第2原稿端30Bと第1仮分割線40Aとで形成される範囲が最も大きい場合にも、同様の考え方に基づき、分割線36の設定、読取開始端の決定を行なう。
【0071】
すなわち、第2原稿端30Bと第1仮分割線40Aとで形成される範囲(Cx1≦x≦Xmax)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能であることを条件として(S818:Yes)、当該範囲を読取範囲38として決定する。具体的には、第1仮分割線40AのX座標(Cx1)に分割線36を設定し(S820)、読取開始端のX座標をXmaxに決定する(S822)。
【0072】
一方、第2原稿端30Bと第1仮分割線40Aとで形成される範囲が最も大きい場合であっても(S804:No)、当該範囲(Cx1≦x≦Xmax)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶できない場合であり(S818:No)、且つ、第2原稿端30Bから第2仮分割線40Bまで(Cx2≦x≦Xmax)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能である場合(S824:Yes)、第2原稿端30Bから第2仮分割線40Bまでを読取範囲38として決定する。具体的には、第2仮分割線40BのX座標(Cx2)に分割線36を設定し(S826)、第2原稿端30Bを読取開始端とする(S822)。
【0073】
一方、第2原稿端30Bから第2仮分割線40Bまで(Cx2≦x≦Xmax)の全域の画像データを画像メモリ13aに記憶可能ではない場合(S824:No)、第2原稿端30Bから第1原稿端30A側に、横ライン読取可能数B分だけ進んだ位置のX座標に、分割線36を設定し(S828)、第2原稿端30Bを読取開始端とする(S822)。この場合、第2原稿端30Bから分割線36までの範囲が、読取範囲38として決定される。
【0074】
この読取開始端決定処理の後、CPU11は、図7に示すS710の処理に移行し、決定した読取開始端から、読み取りと印刷とを行なう。この開始端決定処理によれば、画像メモリ13aの空き容量に基づき、画像データの記憶が可能であると判断される場合には、原稿端と分割線36とにより形成される読取範囲38のうち、最も面積が大きい読取範囲38を読み取ることができる。したがって、画像メモリ13aの空き容量を最大限に活用し、原稿の読み取りを効率的に行なうことができる。
【0075】
以下、第2,3実施形態を説明するが、第2,3実施形態のMFP1の電気的構成を示すブロック図および分割コピー処理は、第1実施形態のMFP1のブロック図(図1)および分割コピー処理(図6)と同一であるため、図示および説明を省略する。また、図9に示す第2実施形態の分割線最適化処理、および、図10に示す第3実施形態の分割線最適化処理のうち、第1実施形態の分割線最適化処理(図7)と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
図9は、第2実施形態の分割線最適化処理(S628)を示すフローチャートである。第2実施形態の分割線最適化処理では、読取範囲38を読み取るときに、読取範囲38外の未だ読み取られていない範囲であって、読取範囲38に隣接するプレスキャン範囲を、同時に読み取る。すなわち、読取範囲38とプレスキャン範囲とを一回の走査で読み取る。
【0077】
ここで、図3は、第1実施形態の説明に用いた図であるが、これを利用して、第2実施形態における読取範囲38とプレスキャン範囲との関係について説明する。第2実施形態では、例えば、図3(b)に示すように、読取範囲38を読み取るときに、読取範囲38には含まれず、且つ、未読の範囲(例えば、図3(c)に示す符号34の領域)をプレスキャン範囲として、一回の操作で読み取るのである。
【0078】
図9に戻り説明する。次に、CPU11は、読取範囲38の画像データとプレスキャン範囲の画像データとを、画像メモリ13aに記憶する(S902)。なお、プレスキャン範囲の読み取りにより生成された画像データは、例えば、所定の間引き率(例えば、50%)で間引いた上で、画像メモリ13aに記憶させることが好ましい。プレスキャン範囲の画像データは、印刷には用いられず、不適合領域32の検出に利用できれば十分だからである。
【0079】
画像メモリ13aに記憶されたプレスキャン範囲の画像データを解析することに基づいて、プレスキャン範囲に不適合領域32が検出される場合(S904:Yes)、CPU11は、検出された不適合領域32の位置情報を不適合位置メモリ13bに記憶する(S906)。一方、プレスキャン範囲に不適合領域32が検出されない場合(S904:No)、CPU11は、S906をスキップする。そして、CPU11は、プレスキャン範囲の画像データを画像メモリ13aから削除する(S908)。
【0080】
次に、CPU11は、読取範囲38を読み取ることにより生成された画像データを解析し、S706で設定した分割線36上に存在する不適合領域32を検出する。分割線36上に不適合領域32が検出されない場合(S910:No)、CPU11は、読取範囲38の画像を印刷する(S714)。そして、CPU11は、S706の処理に戻り、次の分割線36を設定するが、このとき、プレスキャン範囲に検出された不適合領域32に基づいて、分割線36を設定し、次の読取範囲38を決定することができる。
【0081】
一方、S706で設定した分割線36上に存在する不適合領域32が検出される場合(S910:Yes)、CPU11は、S702に戻り処理を繰り返す。
【0082】
第2実施形態の分割線最適化処理によれば、読取範囲38とプレスキャン範囲とが一回の走査で読み取られ、プレスキャン範囲に含まれる不適合領域が検出されるので、適切な読取範囲38を、さらに効率的に決定できる。
【0083】
図10は、第3実施形態の分割線最適化処理(S628)を示すフローチャートである。不適合領域32が多数ある場合、または、不適合領域32の面積が極めて大きい場合、不適合領域32と重ならない分割線36を設定することが困難な場合があり得る。第3実施形態では、そのような場合、一部を低解像度でコピーするか、または、不適合領域32と重なる分割線36を設定するかをユーザに選択させる。
【0084】
図10に示すように、第3実施形態の分割線最適化処理では、処理済みの読取範囲38の読取終了端側のX方向端から、横ライン読取可能数B以内の位置に、不適合領域32に重ならない分割線36を設定可能か否かを判断する(S1002)。換言すれば、設定された読取解像度で読取範囲38を読み取って生成される画像データのデータ量が、画像メモリ13aの空き容量よりも小さくなるように、不適合領域32と重ならない分割線36を設定できるか否かを判断する。
【0085】
条件を満たす分割線36を設定可能な場合(S1002:Yes)、CPU11は、第1実施形態と同様に、分割線36を設定する(S706)。一方、条件を満たす分割線36を設定できない場合(S1002:No)、不適合領域32での分割を許可するか否かをユーザに問い合わせる。そして、不適合領域32での分割の許可をユーザが選択した場合(S1004:Yes)、CPU11は、不適合領域32に重なる分割線36を設定し(S1006)、S708に移行する。
【0086】
一方、条件を満たす分割線36を設定できず(S1002:No)、且つ、不適合領域32での分割の許可をユーザが選択しない場合(S1004:No)、CPU11は、処理済みの読取範囲38の読取終了端側のX方向端から、横ライン読取可能数B以上、離隔した位置に、不適合領域32とは重ならない分割線36を設定する(S1008)。そして、その分割線36によって分割される読取範囲38を、設定された読取解像度よりも低い解像度で読み取り(S1010)、S712に移行する。なお、不適合領域探索範囲34の読み取りにより得られた画像データが存在する場合には、第1実施形態と同様に、読取範囲38のうち、不適合領域探索範囲34に含まれない残りの範囲を読み取り、S712に移行する。そして、不適合領域探索範囲34の画像データと,読取範囲38のうち残りの範囲を読み取って得られた画像データとを用いて、その読取範囲38の画像を印刷する(S714)。この場合、設定された解像度で読み取られた不適合領域探索範囲34の画像データを、読取範囲38の画像データと同じ低解像度の画像データに変換した上で、画像を印刷することが好ましい。
【0087】
なお、第3実施形態の分割線最適化処理(S628)において、原稿全域のコピーを終了していないと判断される場合(S718:No)、CPU11は、横ライン読取可能数Bを算出し(S720)、S1002に戻る。
【0088】
第3実施形態の分割線最適化処理(S628)によれば、画像メモリ13aの空き容量が不足する場合であっても、一部を低解像度で読み取ることにより、不適合領域32とは重ならない分割線36を設定できる。また、ユーザが許可する場合には、不適合領域32と重なる分割線36を設定することにより、原稿30の全域を同一の解像度でコピーできる。
【0089】
上記実施形態において、MFP1がコピー機の一例である。用紙31が記録媒体の一例である。イメージセンサ25が読取部の一例である。ステップモータ26が移動部の一例である。X方向、Y方向が、それぞれ第1方向、第2方向の一例である。縦ライン、横ラインが、それぞれ第1ライン、第2ラインの一例である。プリンタ18が印刷部の一例である。画像メモリ13aが記憶部の一例であり、不適合位置メモリ13bが位置記憶部の一例である。
【0090】
S608を実行するCPU11が第1読取制御手段の一例である。S610を実行するCPU11が第1検出手段の一例である。S706,S724を実行するCPU11が第1分割手段の一例である。S710を実行するCPU11が第2読取制御手段および第3読取制御手段の一例である。S714を実行するCPU11が第1印刷制御手段,第2印刷制御手段の一例である。S702を実行するCPU11が位置記憶手段の一例である。S708を実行するCPU11が削除手段の一例である。S706を実行するCPU11が第1読取範囲決定手段,第2分割手段の一例である。S712を実行するCPU11が第2検出手段の一例である。S600を実行するCPU11が設定値取得手段、解像度取得手段の一例である。S602を実行するCPU11がデータ量取得手段の一例である。S606を実行するCPU11が第2ライン数決定手段の一例である。
【0091】
第2実施形態におけるS902を実行するCPU11が第2読取制御手段の一例である。S904を実行するCPU11が第3検出手段の一例である。S706を実行するCPU11が第2読取範囲決定手段の一例である。
【0092】
第3実施形態におけるS1002を実行するCPU11が判断手段の一例である。S1010を実行するCPU11が、第2読取制御手段または第3読取制御手段の一例である。
【0093】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0094】
例えば、上記第1〜第3実施形態を、任意に組み合わせて、1の装置に適用しても良い。
【0095】
上記実施形態のMFP1には、プリンタ18として、印刷の主走査方向にインクジェットヘッド20が往復移動するシリアルプリンタが設けられていたが、ラインプリンタ、すなわち、インクジェットヘッドが移動することなく、印刷可能範囲のうち印刷の主走査方向の一端から他端までのドット列を印刷可能なプリンタが設けられている場合にも、本発明を適用可能である。
【0096】
上記実施形態では、イメージセンサ25をY方向に移動させつつ、原稿30を読み取るものとして説明したが、イメージセンサ25の位置は固定し、原稿30をY方向に移動させつつ読み取る場合についても、本発明を適用可能である。
【0097】
また、画像データの容量を算出するために用いる設定値は、フラッシュメモリ12等のメモリから取得し(読み出し)ても良いし、ユーザにより入力された設定値を取得しても良い。また、原稿をプレスキャンすることにより、設定値を取得しても良い。
【0098】
上記実施形態では、処理済みの画像データや不要な画像データを削除した上で、新たに生成した画像データを記憶させていた。これに代えて、処理済みの画像データや不要な画像データを削除せず、新たに生成された画像データを上書きしても良い。この場合には、処理済みの画像データの記憶領域を上書き可能な領域として、その容量を画像メモリ13aの空き容量に加算すれば良い。また、画像メモリ13aに比較的余裕がある場合には、これらの画像データを必ずしも削除しなくて良い。
【0099】
なお、「第2読取制御手段により読み取られた読取範囲以外の読取範囲を読み取って生成した画像データを、記憶部のうち第2読取制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第3読取制御手段」とは、第2読取制御手段により記憶された画像データの記憶領域と完全に一致するように、第3読取制御手段により読み取られた読取範囲に対応する画像データを記憶させることに限定解釈されるものではなく、第2読取制御手段により記憶されていた画像データの記憶領域と、第3読取制御手段により読み取られた読取範囲に対応する画像データの記憶領域とが、少なくとも一部重複するように、画像データを記憶させることを含む。
【0100】
上記実施形態では、画像データを圧縮しないものとして説明したが、画像データを圧縮して画像メモリ13aに記憶させる場合にも、本発明を適用可能である。その場合、縦ラインのデータ容量および横ラインのデータ容量は、圧縮した状態での容量を算出し、そのデータ容量に基づいて、縦ライン読取可能数A、横ライン読取可能数Bを算出すれば良い。
【0101】
上記実施形態では、不適合領域探索範囲34を読み取った後、読取範囲38のうち、不適合領域探索範囲34に含まれない残りの範囲を読み取るものとして説明した。しかしながら、不適合領域探索範囲34で読み取った範囲を含むか否かに関わらず、Y方向の一端から他端まで、読取範囲38を読み取るように構成しても良い。
【0102】
上記実施形態では、1の読取範囲38の処理後、次の分割線36を設定するものとしていたが、分割線を予め設定しておき、その、予め設定した分割線が不適合領域に重なる場合に、当該分割線の位置を変更するように、上記実施形態を変形しても良い。この変形例の場合、原稿のX方向を等分割する分割線が予め設定されても良く、また、画像メモリ13aの空き容量や読み取りに関する設定値に応じて、分割線が予め設定されても良い。この場合、1の読取範囲の画像を印刷するために必要な印刷時間が、1の読取範囲の読取に必要な読取時間より短くなるように、分割線を予め設定しておくことが好ましい。このようにすれば、印刷と読取とを同時並行的に進めても、印刷の完了を待つために移動中の読取部を一旦停止させる、という事態の発生を抑制できる。
【0103】
上記実施形態では、読取範囲38を読み取って生成された画像データをプリンタ18に出力して、1の読取範囲38の画像を印刷し、次の読取範囲38を読み取るものとして説明した。これに代えて、読取範囲38を読み取って生成された画像データのうち、記録単位の整数倍の画像データをプリンタに出力するように変形しても良い。その場合、画像データを削除する際には、S624またはS716において、プリンタ18に出力した画像データのみを削除し、残りの画像データは削除せず画像メモリに記憶しておく。そして、次の読取範囲38を読み取った際に、その読み取りで生成された画像データと、画像メモリ13aに記憶されている画像データとから、同様に記録単位の整数倍の画像データずつプリンタ18に出力する。このようにすれば、インクジェットヘッド20の一部だけで印刷される事態の発生が抑制されるため、インクジェットヘッド20の走査回数が必要最小限となり、インクジェットヘッド20の走査による印刷ズレの発生を抑制できる。
【0104】
上記実施形態では、図6において、不適合領域探索範囲34を全て読み取り、その不適合領域探索範囲34に対応する画像データを、画像メモリ13aに記憶させた後、不適合領域32を検出するものとして説明した(S608〜S610)。しかしながら、不適合領域探索範囲34を読み取りながら、順次、不適合領域32を検出してもよい。また、係る場合、1の不適合領域32を検出した時点で不適合領域探索範囲34の読み取りを終了してもよい。
【0105】
上記実施形態の読取開始端決定処理(図8)では、原稿端と分割線40とで形成される範囲のうち、最も大きい範囲について、その画像データを画像メモリ13aに記憶できるか否かを判断し(例えば、S806またはS818)、大きさが2番目以降の範囲については順位を付けずに、予め定められた順序で、その画像データを画像メモリ13aに記憶できるか否かを判断するものとして説明した。これに代えて、原稿端と分割線40とで形成され得る4つの範囲について、2番目以降についても面積の順位を求め、その順序に従って、読取範囲38を決定しても良い。
【0106】
この場合、開始端決定処理(図8)は、例えば、以下のように変形できる。第1原稿端30Aと第2仮分割線40Bとで形成される範囲が、最も大きいと判断される場合であって(S804:Yes)、且つ、当該範囲の画像データを画像メモリ13aに記憶可能ではないと判断される場合(S806:No)、2番目に大きい範囲を求める。
【0107】
具体的には、第1原稿端30Aと第1仮分割線40Aとで形成される範囲(0≦x≦Cx1)と、第1仮分割線40Aと第2原稿端30Bとで形成される範囲(Cx1≦x≦Xmax)とのいずれが大きいかを判断する。この判断において、前者が後者よりも大きいと判断される場合(すなわち、Cx1≧Xmax−Cx1である場合)には、上記実施形態の開始端決定処理(図8)におけるS812以降の処理を実行すれば良い。
【0108】
逆に、第1仮分割線40Aと第2原稿端30Bとで形成される範囲(Cx1≦x≦Xmax)が、第1原稿端30Aと第1仮分割線40Aとで形成される範囲(0≦x≦Cx1)よりも大きいと判断される場合(すなわち、Cx1<Xmax−Cx1である場合)には、第1仮分割線40Aと第2原稿端30Bとで形成される範囲の画像データを画像メモリ13aに記憶できるか否かを判断し、記憶可能である場合には、当該範囲を読取範囲38として決定する。すなわち、第1仮分割線40Aに分割線36を設定し、第2原稿端30Bを読取開始端とする。一方、当該範囲(すなわち、原稿端と分割線40とで形成される範囲のうち2番目に大きい範囲)の画像データを画像メモリ13aに記憶可能ではないと判断される場合、3番目に大きい範囲を判定し、処理を繰り返しても良い。
【0109】
このようにしても、上記実施形態と同様に、不適合領域32と重ならない分割線36を設定できる。
【0110】
また、読取開始端決定処理(図8)は、以下のように変形しても良い。1番目に大きい範囲(例えば、第1原稿端30Aと第2分割線40Bとで形成される範囲)の画像データを画像メモリ13aに記憶可能ではないと判断される場合(S806:No)、第1原稿端30Aから、横ライン読取可能数B分、第2原稿端30B側に進んだ位置に不適合領域32が存在するか否かを判断する。そして、不適合領域32が存在しないと判断された場合には、当該位置に分割線36を設定する。一方、不適合領域32が存在すると判断された場合には、不適合領域32に重ならないように、分割線36を設定しても良い。あるいは、第1原稿端30Aから、横ライン読取可能数B分、第2原稿端30B側に進んだ位置に不適合領域32が存在すると判断された場合には、原稿端と分割線40とで形成される他の範囲の画像データを記憶可能か否かを判断しても良い。この場合には、上記変形例と同様に、原稿端と分割線40とで形成される他の範囲を、面積が大きい順に判断しても良い。
【符号の説明】
【0111】
1 MFP
13a 画像メモリ
13b 不適合位置メモリ
25 イメージセンサ
26 ステップモータ
30 原稿
31 用紙
36 分割線
38 読取範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を記録媒体に印刷するコピー機であって、
読取素子の並ぶ第1方向に平行な第1ライン毎に、原稿を読み取り可能な読取部と、
原稿と前記読取部とを、前記第1方向と異なる第2方向に相対的に移動させる移動部と、
前記第1方向へ記録媒体を搬送しつつその記録媒体に対して画像を印刷する前記印刷部と、
前記移動部により前記第2方向に相対的に移動される原稿の一部を、前記読取部により読み取って生成した画像データを記憶部に記憶させる第1読取制御手段と、
前記記憶部に記憶された前記画像データに基づいて、前記原稿の一部に含まれる不適合領域であって、分割に適さない不適合領域を検出する第1検出手段と、
前記第2方向に平行な分割線であって、且つ、前記第1検出手段により検出された不適合領域と重ならない分割線を、前記原稿に対して設定する第1分割手段と、
前記第1分割手段により設定された前記分割線に基づいて分割される複数の読取範囲のうち、いずれかを読み取って生成した画像データを、前記記憶部に記憶させる第2読取制御手段と、
前記第2読取制御手段により記憶された画像データに基づいて、前記読取範囲の画像を前記印刷部により印刷する第1印刷制御手段と、
前記第2読取制御手段により読み取られた読取範囲以外の読取範囲を読み取って生成した画像データを、前記記憶部のうち前記第2読取制御手段により前記画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第3読取制御手段と、
前記第3読取制御手段により記憶された画像データに基づいて、前記読取範囲の画像を前記印刷部により印刷する第2印刷制御手段とを備える、コピー機。
【請求項2】
前記第1読取制御手段は、前記原稿のうち、複数の第1ラインを前記読取部により読み取るものであり、
前記第2読取制御手段は、前記第1読取制御手段に継続して前記移動部により前記第2方向に前記原稿を相対的に移動させつつ、前記第1分割手段により設定された前記分割線に基づいて分割される読取範囲のうち、前記第1読取制御手段により読み取られた前記複数の第1ラインに連続する残りの範囲を読み取るものであり、
前記第1印刷制御手段は、前記第1読取制御手段により生成された画像データと、前記第2読取制御手段により生成された画像データとに基づいて、前記読取範囲の画像を印刷する、請求項1記載のコピー機。
【請求項3】
前記第1検出手段により検出された前記不適合領域の位置を示す位置情報を、位置記憶部に記憶させる位置記憶手段と、
前記位置記憶手段により、前記不適合領域の位置情報を記憶させた後、前記第1読取制御手段により記憶させた画像データのうち、前記第1印刷制御手段による印刷に用いられない画像データを、前記記憶部から削除する削除手段とを備える、請求項2記載のコピー機。
【請求項4】
前記第2読取制御手段は、
原稿端と前記分割線とにより形成される読取範囲を読み取る、請求項1から3のいずれかに記載のコピー機。
【請求項5】
前記第2読取制御手段は、
原稿端と前記分割線とにより形成される読取範囲のうち、最も面積が大きい読取範囲を読み取る、請求項4に記載のコピー機。
【請求項6】
前記第3読取制御手段は、
前記第2読取制御手段により読み取られた読取範囲に隣接する読取範囲を読み取る、請求項1から5のいずれかに記載のコピー機。
【請求項7】
前記分割線に基づいて、前記第2読取制御手段により読み取る読取範囲を決定する第1読取範囲決定手段と、
前記第1読取範囲決定手段により決定された読取範囲を前記第2読取制御手段により読み取ることで生成された画像データに基づいて、前記分割線上に存在する不適合領域を検出する第2検出手段と、
前記第2検出手段により前記分割線上に前記不適合領域が検出された場合、前記第2方向に平行で、且つ、前記第1検出手段により検出された不適合領域および前記第2検出手段により検出された不適合領域と重ならない分割線を設定する第2分割手段とを備え、
前記第1読取範囲決定手段は、前記第2分割手段により設定された分割線に基づいて、前記第2読取制御手段により読み取る読取範囲を再度決定する、請求項1から6のいずれかに記載のコピー機。
【請求項8】
原稿の読取に関する設定値を取得する設定値取得手段と、
前記読取部が前記第2方向における原稿の一端から他端までを走査する間に所定個数の前記読取素子で読み取り可能な第2ラインのデータ量を、前記設定値取得手段により取得される前記設定値に基づいて取得するデータ量取得手段と、
前記データ量取得手段により取得されるデータ量と、前記記憶部の空き容量とに基づいて、前記第2読取制御手段により読み取る読取範囲に含める前記第2ラインの数を決定する第2ライン数決定手段とを備え、
前記第1読取範囲決定手段は、前記第2ライン数決定手段により決定された前記第2ラインの数に基づいて、前記読取範囲を決定する、請求項7記載のコピー機。
【請求項9】
前記第2読取制御手段は、前記読取範囲と、当該読取範囲外であって、前記読取部により未だ読み取られてないプレスキャン範囲とを、一回の走査で読み取り、
前記第2読取制御手段により読み取られた前記プレスキャン範囲に前記不適合領域が含まれる場合、当該不適合領域を検出する第3検出手段と、
前記第3検出手段により検出された不適合領域に基づいて、前記第3読取制御手段により読み取る読取範囲を決定する第2読取範囲決定手段とを備える、請求項1から8のいずれかに記載のコピー機。
【請求項10】
原稿の読取解像度を取得する解像度取得手段と、
前記不適合領域と重ならない分割線によって分割される読取範囲を前記読取解像度で読み取って生成される画像データのデータ量が、前記記憶部の空き容量よりも小さくなるように、前記不適合領域と重ならない分割線を設定できるかを判断する判断手段とを備え、
前記第2読取制御手段または前記第3読取制御手段は、
前記判断手段により、前記読取解像度で読み取って生成される画像データのデータ量が、前記記憶部の空き容量よりも小さくなるように前記不適合領域と重ならない分割線を設定できないと判断される場合、前記不適合領域とは重ならない分割線によって分割される読取範囲を、前記解像度取得手段により取得される前記読取解像度よりも低い解像度で前記読取部により読み取る、請求項1から9のいずれかに記載のコピー機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−13036(P2013−13036A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146089(P2011−146089)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】