説明

コラーゲン吸収促進用組成物

【課題】 本発明の目的は、新規なコラーゲン吸収促進用組成物を提供することである。
【解決手段】 本発明者らは、大麦若葉が体内へのコラーゲン吸収を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物に関する。好ましくは、前記大麦若葉が大麦若葉粉末である。本発明により、大麦若葉とコラーゲンを併用して摂取することにより、コラーゲンを体内に効率的に吸収することができ、優れた美容健康食品を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、美容のための健康食品素材として一般に使用されており、多くの研究がなされている(非特許文献1〜3)。美容目的でコラーゲンを摂取する需要者にとって、摂取したコラーゲンを効率よく体内に吸収することは重要である。よって、コラーゲンと併用して用いることによって、コラーゲンを体内に効率良く吸収できる新しい素材が求められている
【0003】
一方、大麦若葉は、健康食品や青汁の素材として一般に使用されている。また、便通改善効果や抗高コレステロール血症作用など、機能性についても広く研究されている(特許文献1〜3)。しかしながら、大麦若葉のコラーゲン吸収促進作用についての研究は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−151951
【特許文献2】特開2001−314170
【特許文献3】特許第4183886号
【特許文献4】特許第3277181号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】香粧品科学研究開発専門誌 フレグランスジャーナル(1997―7) P.58−64
【非特許文献2】食品と開発 VOL.44 No.7 P.10−12
【非特許文献3】群馬保健学紀要 24:111−116,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規なコラーゲン吸収促進用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するための手段を鋭意検討した結果、大麦若葉が体内へのコラーゲン吸収を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物に関する。好ましくは、前記大麦若葉が大麦若葉粉末である。本発明により、大麦若葉とコラーゲンを併用して摂取することにより、コラーゲンを体内に効率的に吸収することができ、優れた美容健康食品を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大麦若葉を用いると、効率的に体内へコラーゲンを吸収することができる。すなわち、大麦若葉は新規なコラーゲン吸収促進用組成物になり得る。好ましくは、前記大麦若葉は大麦若葉粉末である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】各ラット群のコラーゲン投与開始から開始2時間後の血中ヒドロキシプロリン濃度の変化量を示した。縦軸がヒドロキシプロリン濃度(μmol/l)で、横軸が時間(h)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0011】
本発明に用いる大麦若葉としては特に制限されるものではなく、通常入手可能な大麦若葉が用いられる。産地に関しても特に制限されない。また、大麦若葉の形態や形状に関しては特に制限はないが、好ましくは、大麦若葉粉末である。
【0012】
本発明に用いられる大麦若葉粉末の製造方法としては特に制限されるものではないが、例えば、特許第3277181号公報(特許文献4)に開示されるような方法で製造できる。
【0013】
すなわち、大麦若葉を収穫後、水で洗浄し、泥などを洗い落とし、水気を切った後、適当な長さに切断する。次いで必要に応じて、熱水処理や蒸熱処理などのブランチング処理が行われる。このときの処理の温度および時間は、処理する大麦若葉の量および熱水のpHに応じて適宜決定すればよい。ブランチング処理された大麦若葉を直ちに冷却し、遠心分離などで脱水を行う。次いで、水分含量が5重量%以下になるように乾燥を行う。さらに粗粉砕工程、加熱工程、および微粉砕工程を経て、大麦若葉粉末を製造できる。
【0014】
本発明に関する、大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物は、そのまま、または通常用いられる種々の成分を加えて、飲食品および健康食品として用いることができる。必要に応じて、当業者が通常用いる基剤および添加剤を添加することができる。例えば賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、栄養補助剤、調味料と混合して利用できる。そしてこれらは必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤、または粉末状、顆粒状、飴状などの形状に成形され得る。そしてこれらは、その形状または好みに応じて、そのまま食されても良いし、水、湯、牛乳、豆乳、茶、ジュースなどに溶いて飲んでも良い。配合される大麦若葉の濃度に関しては、特に限定されないが、食品中に10重量%以上が好ましい。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0016】
(コラーゲン吸収促進作用の測定)
以下のように、ラットの血中ヒドロキシプロリン濃度をHPLCで測定することにより、大麦若葉が有するコラーゲン吸収促進作用の効果を検証した。ヒドロキシプロリンとは、コラーゲンを構成するアミノ酸の約11〜14%を占め、コラーゲンに特徴的に存在していることから、コラーゲンの指標として用いられている物質である(非特許文献2および3)
【0017】
7週齢の雄性のwistarラット(九動株式会社)26匹を標準飼料としてMF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社社製)を用いて1週間馴化した。次いで、1群あたりの平均体重が均一となるように3群にわけた。1群(試験試料食群)には、大麦若葉粉末(株式会社東洋新薬社製)を含有する高コレステロール負荷飼料(表1の試験飼料)を自由摂取させた。もう1群(比較飼料食群)には、大麦若葉を含有しない高コレステロール負荷飼料(表1の比較飼料)を自由摂取させた。残りの1群(標準飼料食群)には、標準飼料のみを自由摂取させた。
(表1)

【0018】
自由摂取開始から28日目に16時間絶食下に置いた各群のラットにコラーゲン(豚由来コラーゲン:魚由来コラーゲン=1:1の混合物)を5g/kgの用量で投与した。投与開始直前と投与2時間後に各ラットの腹大静脈より血液を採取し、血漿サンプルを得た。次いで、各サンプルを陽イオン交換樹脂カラムで分離し、次亜塩素酸ナトリウム溶液による酸化とオルトフタルアルデヒド溶液による発蛍光の2段階反応で得られる蛍光強度を測定し(348nmと450nm)、各サンプルの血中ヒドロキシプロリン濃度をHPLC(日本分光社製)で測定した。
【0019】
結果を図1に示す。図1から明らかなように、大麦若葉を含んだ飼料を摂取した試験飼料食群は、大麦若葉を含まない比較飼料を摂取した比較飼料食群に比べ、血中ヒドロキシプロリンの量が有意に上昇した(p<0.05)。また、試験試料食群は、標準飼料食群と比較しても、血中ヒドロキシプロリン量が有意に上昇していた(p<0.05)。
【0020】
以上の結果から、大麦若葉がコラーゲン吸収促進作用を有することが明らかとなった。すなわち、大麦若葉はコラーゲン吸収促進用組成物として有用な素材であり、大麦若葉とコラーゲンを併用して摂取することにより、コラーゲンを体内に効率的に吸収することができ、優れた美容健康食品を提供することができることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物に関する。好ましくは、前記大麦若葉が大麦若葉粉末である。本発明により、大麦若葉とコラーゲンを併用して摂取することにより、コラーゲンを体内に効率的に吸収することができ、優れた美容健康食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦若葉を含有するコラーゲン吸収促進用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の大麦若葉が大麦若葉粉末であることを特徴とするコラーゲン吸収促進用組成物。

【図1】
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