説明

コルゲートフィン切断装置

【課題】 高速切断を可能としつつ耐久性を高め、機構の軽量簡略化及び制御の簡略化によるコストダウンが可能な、コルゲートフィン切断装置の提供。
【解決手段】 搬送手段2により波状に加工されたフィン材1を連続的に搬送すると共に該フィン材1の山数11と谷部12の位置を規制し、搬送中のフィン材1の谷部12の底部を切断手段3で切断するようにしたコルゲートフィン切断装置であって、切断手段3は、固定刃4と、この固定刃4に対して第1モータ51により一方向に相対回転する可動刃6との間でフィン材1の谷部12の底部を切断するようにした。この可動刃6は切断位置と非切断位置を切り替え、切断時のみ切断位置になるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートフィン切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コルゲートフィン切断装置としては、波状のフィン材の両肩部に各々係合し、該フィン材を搬送方向へ連続して搬送する一対の計数ウォームと該両計数ウォームに係合したフィン材の谷部に進入し、該フィン材に同期して搬送方向へ移動する案内ガイドと、該案内ガイドと共にフィン材の搬送方向へ移動し、案内ガイドが両計数ウォームを通過したところで案内ガイドによりガイドされたフィン材の谷部を切断する上下の可動刃及び固定刃と、を備えた構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−223685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来例のコルゲートフィン切断装置にあっては、フィン材に同期して搬送方向に移動する位置決め手段(案内ガイド)と、切断手段(上下の可動刃及び固定刃)が、高速切断に対応する時、各手段が高速で往復移動する時に慣性力が妨げとなり、機構・制御の複雑化、軽量高剛性の機構材質の選定等、コストアップになると共に、耐久性が悪く、定期的な交換作業等の工程が益す要因になるという問題点があった。
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、高速切断を可能としつつ耐久性を高め、機構の軽量簡略化及び制御の簡略化によるコストダウンが可能な、コルゲートフィン切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載のコルゲートフィン切断方法は、搬送手段により波状に加工されたフィン材を連続的に搬送すると共に該フィン材の山数と谷部の位置を規制し、搬送中の上記フィン材の谷部の底部を切断手段で切断するようにしたコルゲートフィン切断方法であって、上記切断手段は、固定刃と、この固定刃に対して一方向に相対回転する可動刃との間で上記フィン材の谷部の底部を切断するようにしたことを特徴とする手段とした。
【0006】
請求項2記載のコルゲートフィン切断装置は、搬送手段により波状に加工されたフィン材を連続的に搬送すると共に該フィン材の山数と谷部の位置を規制し、搬送中の上記フィン材の谷部の底部を切断手段で切断するようにしたコルゲートフィン切断装置であって、上記切断手段は、固定刃と、この固定刃に対し回転駆動手段により一方向に相対回転する可動刃との間で上記フィン材の谷部の底部を切断するように構成されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、上述のように、切断手段は、固定刃と、この固定刃に対して一方向に相対回転する可動刃との間でフィン材の谷部の底部を切断するようにしたことで、可動刃は一方向に回転するだけであるため、切断手段全体がフィン材の搬送方向に往復移動する従来例におけるような慣性力が切断手段に作用することはない。
【0008】
従って、高速切断を可能としつつ耐久性を高め、機構の軽量簡略化及び制御の簡略化によるコストダウンが可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0010】
この実施例のコルゲートフィン切断装置は、請求項1〜6に記載の発明に対応する。
【0011】
まず、この実施例のコルゲートフィン切断装置を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はこの実施例のコルゲートフィン切断装置を示す平面図、図2は実施例のコルゲートフィン切断装置を示す側面図、図3は切り換え駆動手段の作動説明図、図4は切り換え駆動手段7の作動を示すタイムチャート、図5は波状に加工されたフィン材を示す斜視図である。
【0013】
このコルゲートフィン切断装置は、図1、2に示すように、波状に加工されたフィン材1を搬送手段2で連続的に搬送すると共に該フィン材1の山数と谷部の位置を規制し、搬送中のフィン材1の谷部12の底部を切断手段3で切断するようにしたものである。
【0014】
さらに詳述すると、フィン材1は、図示を省略したが薄板状のフィン材料が巻かれたロールから一対の歯車状成形ローラー間にフィン材1を送り込むことにより、図5に示すように、多数の山部11と谷部12とが連続する波状に加工されている。
【0015】
搬送手段2は、図1、2に示すように、波状に成形されたフィン材1を搬送台21に沿って搬送方向(図中矢印P方向)へ連続的に搬送すると共に、フィン材1の山部11と谷部12の位置を規制する役目をなす。
即ち、この搬送手段2は、波状のフィン材1における山部11側の両肩部11a、11b(図5参照)に各々係合して回転する右捩れウォーム2aと左捩れウォーム2bで構成されている。
【0016】
また、両ウォーム2a、2bは、ギア(図示せず)で互いに連結されてサーボモータで各々回転するようになっており、この回転数から搬送した波状のフィン材1の谷部12の数を計数できるようになっている。
即ち、計数ウォームとフィン材1の谷部12の切断位置決めの役目を兼ねている。
【0017】
切断手段3は、図1〜3に示すように、固定刃4と、回転体5と、可動刃6と、切り換え駆動手段7と、を備えている。
固定刃4は、搬送台21に固定された状態で備えられている。
【0018】
回転体5は、円盤状に形成され、その中心が図外のベースに固定された第1モータ51の回転軸51aに連結されている。これによって、回転体5は第1モータ51の駆動によって高速回転可能に設けられている。
可動刃6は、回転体5及び後述の切り換え駆動用回転体72対し交換可能な状態に備えられていて固定刃4との間でフィン材1を切断する。
【0019】
切り換え駆動手段7は、可動刃6をフィン材1の搬送速度に同期させてフィン材1の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させる役目をなす。
【0020】
即ち、この切り換え駆動手段7は、第2モータ71と切り換え駆動用回転体72とを備えている。
【0021】
この切り換え駆動用回転体72は、円盤状に形成され、回転体5の表面側に形成された回転体より小径で同心円状の窪み5a内に相対回転可能な状態に収容されることにより、回転体5の表面側と切り換え駆動用回転体72の裏面側が面一状態となっている。
【0022】
また、切り換え駆動用回転体72の中心は第2モータ71の回転軸71aに連結されている。これよって、切り換え駆動用回転体72は回転体5の回転中心と同軸上において該回転体5と同一速度で回転可能であり、かつ、回転体5の回転速度に対しその回転速度を加・減速可能に設けられている。
【0023】
可動刃6は、フィン材1の切断位置に置いて、その中途部に回転体5の半径方向に略沿った長孔6aが形成され、回転体5から突出する部分の回転体5の回転方向側縁部に刃部6bを有している。
【0024】
そして、回転体5の表面に備えた回転支軸(回転中心軸)5bに対し長孔6aを軸支することにより、可動刃6を回転体5の回転面に沿って回動可能及び長孔6aに沿って摺動自在に組み付けられている。
【0025】
また、可動刃6における刃部6bとは回転支軸5bを中心として反対側の端部側が切り換え駆動用回転体72の裏面側に備えた支軸72aに対し回転自在に軸支されている。
【0026】
そして、可動刃6を回転体5側に収納した非切断位置に回動させた状態で回転体5を一定速度で連続的に高速回転させながら、フィン材1の切断タイミングの時だけ切り換え駆動用回転体72の回転速度を加・減速することにより、可動刃6を回転支軸5bを中心として回転体5から突出する切断位置に回動させて搬送中のフィン材1を所定の谷部12の底部で切断するようになっている。
【0027】
この実施例のコルゲートフィン切断装置の仕様は下記の通りである。
・回転体5の径:100mm
・回転体5の定常回転速度:2,400rpm(25msec/回転)
・可動刃6の周速:100×π×2,400/60=12,566mm/秒
・フィン材1の高さfh:6〜8mm
・フィン材1の高さを可動刃6が通過する時間:約0.5msec
・フィン材1の搬送速度:150m/分=2.5m/秒
・フィン材1の半山あたりのピッチfp=1.5mm、フィン高さfh=6.8mmの場合
【0028】
フィン材1の搬送速度:約0.55m/秒=約5.5msec/山
【0029】
即ち、フィン材1の搬送速度が一山約5.5msecであるのに対し、フィン材1の高さを可動刃6が通過する時間は約0.5msecであるため、可動刃6でフィン材1の搬送を堰き止めることなしにフィン材1の谷部12の底部を確実に切断することができる。
【0030】
次に、切り換え駆動手段7の作動を図3、4に基づいて説明する。
【0031】
切り換え駆動手段7が非切断位置の時は、図3の鎖線で示すように、可動刃6が回転支軸5bを中心として図面反時計方向に回動して回転体5側に収納された状態となっており、この状態で回転体5と切り換え駆動用回転体72が速度で連続回転している。
【0032】
次に、切り換え駆動手段7が切断位置の時は、図3の鎖線で示すように、回転体5の回転位置がB−C―Dの間では非切断位置における場合と同様に回転体5側に可動刃6が収納された状態になっている。
【0033】
ところが、続くD−A1の間では、回転体6の回転速度に対し切り換え駆動用回転体72の回転速度が一時的に加速されることにより、図3の実線で示すように、可動刃6が回転支軸5bを中心として図面反時計方向に回動し、A1の位置直前では可動刃6が回転体5から突出する切断位置に切り換え駆動された状態になる。
【0034】
そこで、続くA1付近では、回転体6及び切り換え駆動用回転体72が同期した速度で回転することにより、可動刃6の刃部6bで搬送中のフィン材1を所定の谷部12の底部で切断する。
【0035】
また、A1−Bの間では、上記D−A1間とは逆に、回転体6の回転速度に対し切り換え駆動用回転体72の回転速度が一時的に減速されることにより、可動刃6が回転支軸5bを中心として図面時計方向に回動し、回転体5側に可動刃6が収納された状態に戻る。
【0036】
以上のように、可動刃6を収納可能にすることによって、回転体5と切り換え駆動用回転体72は常時同期した速度で回転させておいて、切断時にのみ固定刃4と可動刃6がかみ合うことによって、搬送中のフィン材1を所望の位置(山数)で切断することができる。
【0037】
次に、この実施例の効果を説明する。
【0038】
この実施例のコルゲートフィン切断装置では、上述のように、切断手段3は、固定刃4と、この固定刃4に対して一方向に相対回転する可動刃6との間でフィン材1の谷部12の底部を切断するようにしたことで、可動刃6は一方向に回転するだけであるため、切断手段3全体がフィン材1の搬送方向に往復移動する従来例におけるような慣性力が切断手段に作用することはない。
【0039】
従って、高速切断を可能としつつ耐久性を高め、機構の軽量簡略化及び制御の簡略化によるコストダウンが可能になるという効果が得られる。
【0040】
また、可動刃6は、回転体5及び切り換え駆動用回転体72対し交換可能な状態に備えられることで、ランニングコストを低減することができる。
【0041】
また、回転体5を一方向に連続的に一定の速度で回転させ、可動刃6をフィン材1の搬送速度に同期させてフィン材1の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させる切り換え駆動手段7を備えた構造としたことで、回転体5を連続的に高速回転させておくことができ、これにより、フィン材1の高速切断処理が可能になる。
【0042】
また、切り換え駆動手段7として、可動刃6の中途部が回転体5に対し回転支軸5bを中心として回転体5の回転面に沿って回動することによりフィン材1の切断位置と非切断位置とに切り換え可能に構成され、回転体5の回転中心と同軸上において同一速度で回転すると共に回転体5の回転速度に対しその回転速度を加・減速可能な切り換え駆動用回転体72を備え、可動刃6はその回転支軸5bを中心として該可動刃6の刃部6bとは反対側の端部側が切り換え駆動用回転体72に対し回転自在に軸支され、切り換え駆動用回転体72の回転速度を回転体5の回転速度に対して加・減速することにより回転支軸5bを中心として可動刃6を回動させてフィン材1の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させるように構成したことで、切り換え駆動用回転体72を駆動する第2モータ71の回転速度を加・減速制御するだけで可動刃6を回動させてフィン材1の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させることができるようになる。
従って、切り換え駆動制御をさらに簡素化することができると共に、高速切断への対応が可能で、フィン材1の切断信頼性を向上できるようになる。
【0043】
また、搬送手段2がフィン材1における山部11の両肩部11a、11bにそれぞれ係合する一対のウォーム2a、2bで構成したことで、フィン材1の谷部12の切断位置決めがなされると共に、ウォーム2a、2bの回転数から搬送した波状のフィン材1の谷部12の数を計数し、これと切断を同期させることにより正確にフィン材1の谷部12の底部を切断することができるようになる。
【0044】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0045】
例えば、実施例では、回転体5に可動刃6を1つだけ備えたが、複数備えるようにしてもよい。
【0046】
また、実施例では、切り換え駆動手段7として、回転体5に対し加・減速可能な切り換え駆動用回転体72を備えたが、電磁ソレノイドやシリンダ等の駆動手段で可動刃5を回動させるようにしてもよい。
【0047】
また、実施例では、切り換え駆動手段7として、可動刃5を回動させるようにしたが、可動刃5を進退駆動させるようにしてもよい。
【0048】
また、実施例では、回転体5の表面に備えた回転支軸(回転中心軸)5bに対し長孔6aを軸支することにより、可動刃6を回転体5の回転面に沿って回動可能及び長孔6aに沿って摺動自在に組み付けられているとしたが、長穴6aを長穴とはせず回転支軸5bとし、切り替え駆動させる切り換え駆動支軸72aの取り付け穴を長穴にして、摺動自在に組みつけても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例のコルゲートフィン切断装置を示す平面図である。
【図2】実施例のコルゲートフィン切断装置を示す側面図である。
【図3】切り換え駆動手段の作動説明図である。
【図4】切り換え駆動手段7の作動を示すタイムチャートである。
【図5】波状に加工されたフィン材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 波状のフィン材
11 山部
11a 肩部
11b 肩部
12 谷部
2 搬送手段
2a 右捩れウォーム
2b 左捩れウォーム
21 搬送台
3 切断手段
4 固定刃
5 回転体
5a 窪み
5b 回転支軸
51 第1モータ
51a 回転軸
6 可動刃
6a 長孔
6b 刃部
7 切り換え駆動手段
71 第2モータ
71a 回転軸
72 切り換え駆動用回転体
72a 支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により波状に加工されたフィン材を連続的に搬送すると共に該フィン材の山数と谷部の位置を規制し、搬送中の前記フィン材の谷部の底部を切断手段で切断するようにしたコルゲートフィン切断方法であって、
前記切断手段は、固定刃と、この固定刃に対して一方向に相対回転する可動刃との間で前記フィン材の谷部の底部を切断するようにしたことを特徴とするコルゲートフィン切断方法。
【請求項2】
搬送手段により波状に加工されたフィン材を連続的に搬送すると共に該フィン材の山数と谷部の位置を規制し、搬送中の前記フィン材の谷部の底部を切断手段で切断するようにしたコルゲートフィン切断装置であって、
前記切断手段は、固定刃と、この固定刃に対し回転駆動手段により一方向に相対回転する可動刃との間で前記フィン材の谷部の底部を切断するように構成されていることを特徴とするコルゲートフィン切断装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコルゲートフィン切断装置において、
前記可動刃は、前記回転駆動手段により一方向に回転する回転体に対し交換可能な状態に備えられていることを特徴とするコルゲートフィン切断装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコルゲートフィン切断装置において、
前記回転体を一方向に連続的に回転させ、
前記可動刃を前記フィン材の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させる切り換え駆動手段を備えていることを特徴とするコルゲートフィン切断装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコルゲートフィン切断装置において、
前記切り換え駆動手段は、
前記可動刃の中途部が前記回転体に対し回転中心軸を中心として前記回転体の回転面に沿って回動することにより前記フィン材の切断位置と非切断位置とに切り換え可能に構成され、
前記回転体の回転中心と同軸上において同一速度で回転すると共に前記回転体の回転速度に対しその回転速度を加・減速可能な切り換え駆動用回転体を備え、
前記可動刃はその回転中心軸を中心として該可動刃の刃部とは反対側の端部側が前記切り換え駆動用回転体に対し回転自在に軸支され、
前記切り換え駆動用回転体の回転速度を前記回転体の回転速度に対して加・減速することにより前記回転中心軸を中心として前記可動刃を回動させて前記フィン材の切断位置と非切断位置とに切り換え駆動させるように構成されていることを特徴とするコルゲートフィン切断装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載のコルゲートフィン切断装置において、
前記搬送手段が前記フィン材における山部の両肩部にそれぞれ係合する一対のウォームで構成されていることを特徴とするコルゲートフィン切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−172714(P2009−172714A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13290(P2008−13290)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】