説明

コレステリック液晶コポリマーおよび添加剤

コレステリック液晶組成物が、a)コレステリック液晶化合物またはコレステリック液晶前駆物質と、b)式(I)、式(II)または式(III):


(上式中、nは1、2、3、または4であり、mは1、2、または3であり、Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、R1は(C3−C8)アルキレン、(C3−C8)アルケニレン、または(C3−C8)アルキリンであり、R2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R6は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、R7は(C1−C2)アルキレン、(C2)アルケニレン、または(C2)アルキリンであり、R8は水素、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、R9はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R10は(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、または(C2−C8)アルキリンである)の化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、コレステリック液晶フィルム、および反射偏光子などの光学体を形成するためのコレステリック液晶組成物に関し、特に、コレステリック液晶コポリマーおよびコレステリック液晶組成物中に含有させるための添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光子および鏡などの光デバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などの様々な用途において有用である。液晶ディスプレイは概して2つのカテゴリー、すなわち、ディスプレイパネルの後方から光が供給される、バックライト(例えば、透過型)ディスプレイ、およびディスプレイの前方から光(例えば、周辺光)が供給されるフロントライト(例えば、反射型)ディスプレイに分類される。これらの2つのディスプレイモードを組合わせて、例えば、薄暗い光条件下で背面から照光され得るか、または明るい周辺光下で読み取られ得る半透過型ディスプレイを形成することができる。
【0003】
従来のバックライトLCDは典型的に吸収偏光子を使用し、10%未満の光透過率を有することができる。従来の反射型LCDもまた、吸収偏光子をベースとしており、典型的に25%未満の反射能を有する。これらのディスプレイの低い透過率または反射率がディスプレイの明度を低減し、高い電力消費を必要とする場合がある。
【0004】
反射偏光子が、これらのディスプレイならびに他の用途において使用するために開発されている。反射偏光子は優先的に1つの偏光を有する光を反射し、反対または直交した偏光の光を透過する。反射された光は、再循環されることができ、偏光に変換された光のより高いパーセンテージ、従って光のより高い透過率を有することを可能にする。反射偏光子は、光の比較的大きな量を吸収せずに光を透過および反射することが好ましい。好ましくは、反射偏光子は、波長の所望の範囲にわたって透過偏光の10%以下の吸収を有する。大部分のLCDは波長の広い範囲にわたって作動し、結果として、反射偏光子は典型的に、広い波長範囲にわたって同様に作動しなければならない。
【0005】
本発明は、かかる用途において使用するための組成物、および光学体の製造方法を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、本発明は、液晶ディスプレイなどのディスプレイのための光学体、ならびに前記光学体を備えるディスプレイおよび他のデバイスに関する。
【0007】
1つの実施態様において、コレステリック液晶組成物は、a)コレステリック液晶化合物またはコレステリック液晶前駆物質と、b)式(I)、式(II)または式(III):
【0008】
【化1】

【0009】
(上式中、nは1、2、3、または4であり、mは1、2、または3であり、Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、R1は(C3−C8)アルキレン、(C3−C8)アルケニレン、または(C3−C8)アルキリンであり、R2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R6は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、R7は(C1−C2)アルキレン、(C2)アルケニレン、または(C2)アルキリンであり、R8は水素、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、R9はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、およびR10が(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、または(C2−C8)アルキリンである)
の化合物を含む。
【0010】
別の実施態様は、a)コレステリック液晶前駆物質と、b)式(I)、式(II)または式(III)の化合物との反応生成物を含有するコレステリック液晶組成物である。
【0011】
さらに別の実施態様において、コレステリック液晶フィルムは、コレステリック液晶ポリマーと、式(IV):
【0012】
【化2】

【0013】
(上式中、nは1、2、3、または4であり、Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、R10は(C1−C8)アルキレン、(C1−C8)アルケニレン、または(C1−C8)アルキリンであり、R2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、R5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、R11は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である)
の化合物を含む。
【0014】
別の実施態様において、コレステリック液晶フィルムの形成方法は、上述のコレステリック液晶組成物のいずれかを基材上に配置する工程と、コレステリック液晶組成物を配向してコレステリック液晶フィルムを形成する工程と、を含む。
【0015】
本発明の上記の要旨は、本発明の各々開示された実施態様または全ての実施について記載することを意図しない。以下の図、詳細な説明および実施例は、これらの実施態様をより詳しく例示する。
【0016】
本発明は、添付した図面と併せて本発明の様々な実施態様の以下の詳細な説明を考察してより完全に理解され得る。
【0017】
本発明は様々な改良および別の形態が可能であるが、その詳細は図面において例示され、詳細に記載される。しかしながら、本発明は、記載された特定の実施態様に本発明を限定するものではないことは、理解されるはずである。一方、本発明は、本発明の精神および範囲内にある全ての改良、等価物、および代替物に及ぶものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のポリマー光学フィルムは、液晶ディスプレイなどのディスプレイのための光学補償装置、ならびに前記光学補償装置を備えるディスプレイおよび他のデバイスに適用可能であると考えられる。本発明はこのように限定されないが、本発明の様々な態様の理解は、以下に示された実施例の考察によって得られる。
【0019】
以下の定義された用語について、これらの定義は、異なった定義が請求項または本明細書のどこかに与えられない限り、適用されるものとする。
【0020】
本明細書中で用いる場合、用語「アルキル」は、場合によりS、O、Si、またはNから独立に選択された1つ以上のヘテロ原子置換を含有する直鎖または分岐鎖一価炭化水素基を指す。アルキル基は概して、1〜20個の原子を有するアルキル基を包含する。アルキル基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。本明細書中で用いられる「アルキル」の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、およびイソプロピルなどがあるがそれらに限定されない。
【0021】
本明細書中で用いる場合、用語「アルキレン」は、場合によりS、O、Si、またはNから独立に選択された1つ以上のヘテロ原子置換を含有する直鎖または分岐鎖二価炭化水素基を指す。アルキレン基は概して、1〜20個の原子を有するアルキレン基を包含する。アルキレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。本明細書中で用いられる「アルキレン」の例には、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0022】
本明細書中で用いる場合、用語「アルケニレン」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、場合により、S、O、Si、またはNから独立に選択された1つ以上のヘテロ原子置換を含有する直鎖または分岐鎖二価炭化水素基を指す。アルケニレン基は概して、2〜20個の原子を有するアルケニレン基を包含する。アルケニレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。本明細書中で用いられる「アルケニレン」の例には、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0023】
本明細書中で用いる場合、用語「アルキリン」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有し、場合により、S、O、Si、またはNから独立に選択された1つ以上のヘテロ原子置換を含有する直鎖または分岐鎖二価炭化水素基を指す。アルキリン基は概して、2〜20個の原子を有するアルキリン基を包含する。アルキリン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。
【0024】
本明細書中で用いる場合、用語「シクロアルキル」は、脂環式炭化水素基を指す。シクロアルキル基は概して、3〜12炭素原子を有するシクロアルキル基を包含する。シクロアルキル基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなシクロアルキル環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されてもよい。本明細書中で用いられる「シクロアルキル」の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどがあるがそれらに限定されない。
【0025】
本明細書中で用いる場合、用語「シクロアルケニル」は、環系に少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する脂環式一価炭化水素基を指す。シクロアルケニル基は概して、3〜12個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を包含する。シクロアルケニル基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなシクロアルケニル環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「シクロアルケニル」の例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどがあるがそれらに限定されない。
【0026】
本明細書中で用いる場合、用語「シクロアルキレン」は、脂環式二価炭化水素基を指す。シクロアルキレン基は概して、3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を包含する。シクロアルキレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなシクロアルキレン環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「シクロアルキレン」の例には、シクロプロピル−11−ジイル、シクロプロピル−1,2−ジイル、シクロブチル−1,2−ジイル、シクロペンチル−1,3−ジイル、シクロヘキシル−1,2−ジイル、シクロヘキシル−1,3−ジイルシクロヘキシル−1,4−ジイル、シクロヘプチル−1,4−ジイル、またはシクロオクチル−1,5−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0027】
本明細書中で用いる場合、用語「シクロアルケニレン」は、環系に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する置換脂環式二価炭化水素基を指す。シクロアルケニレン基は概して、3〜12個の炭素原子を有するシクロアルケニレン基を包含する。シクロアルケニレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなシクロアルケニレン環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「シクロアルケニレン」の例には、4,5−シクロペンテン−1,3−ジイル、4,5−シクロヘキセン−1,2−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0028】
本明細書中で用いる場合、用語「複素環」または用語「ヘテロシクリル」は、S、O、またはNから独立に選択された1つ以上のヘテロ原子置換を含有し、0〜5の不飽和度を有する一価の3〜12員環非芳香環を指す。ヘテロシクリル基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このような複素環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「複素環」の例には、テトラヒドロフリル、ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオフェニルなどがあるがそれらに限定されない。
【0029】
本明細書中で用いる場合、用語「ヘテロシクリレン」は、S、O、またはNから独立に選択された1個以上のヘテロ原子を含有し、0〜5の不飽和度を有する二価の3〜12員環非芳香族複素環基を指す。ヘテロシクリレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなヘテロシクリレン環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「ヘテロシクリレン」の例には、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、モルホリン−2,3−ジイル、ピラン−2,4−ジイル、1,4−ジオキサン−2,3−ジイル、1,3−ジオキサン−2,4−ジイル、ピペリジン−2,4−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、ピロリジン−1,3−ジイル、モルホリン−2,4−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0030】
本明細書中で用いる場合、用語「アリール」は、フェニルなどの単一環またはナフチルまたはアントリルなどの多数の縮合環を有する一価の不飽和芳香族炭素環基を指す。アリール基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このようなアリール環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「アリール」の例には、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、2−ヒドロキシフェニル、2−アミノフェニル、2−メトキシフェニルなどがあるがそれらに限定されない。
【0031】
本明細書中で用いる場合、用語「アリーレン」は、フェニレンなどの単一環またはナフチレンまたはアントリレンなどの多数の縮合環を有する二価不飽和芳香族炭素環基を指す。アリーレン基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このような「アリーレン」環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「アリーレン」の例には、ベンゼン−1,2ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、アントラセン−1,4−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0032】
本明細書中で用いる場合、用語「ヘテロアリール」は、S、O、またはNから独立に選択された1個以上のヘテロ原子を含有する一価の5〜7員環芳香環基を指す。ヘテロアリール基は非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロ、などがある。このような「ヘテロアリール」環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「ヘテロアリール」の例には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、およびインダゾリルなどがあるがそれらに限定されない。
【0033】
本明細書中で用いる場合、用語「ヘテロアリーレン」は、S、O、またはNから独立に選択された1個以上のヘテロ原子を含有する二価5〜7員環芳香環基を指す。ヘテロアリーレン基は、非置換であるか、または組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロなどがある。このような「ヘテロアリーレン」環は、場合により、別の複素環、ヘテロアリール環、アリール環、シクロアルケニル環、またはシクロアルキル環の1つ以上に縮合されていてもよい。本明細書中で用いられる「ヘテロアリーレン」の例には、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,4−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3−チアゾール−2,4−ジイル、1,3−チアゾール−2,5−ジイル、ピリジン−2,4−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン2,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、キノリン−2,3−ジイルなどがあるがそれらに限定されない。
【0034】
本明細書中で用いる場合、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素を包含するものとする。
【0035】
本明細書中で用いる場合、用語「メルカプト」および「スルフヒドリル」は、置換基−SHを指す。
【0036】
本明細書中で用いる場合、用語「ヒドロキシ」は、置換基−OHを指す。
【0037】
本明細書中で用いる場合、用語「アミノ」は、置換基−NH2を指す。
【0038】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2つ以上の異なったモノマーを用いて形成されたポリマー)、オリゴマーおよびそれらの組合せ、ならびに例えば、同時押出またはエステル交換などの反応によって混和性ブレンドに形成され得るポリマー、オリゴマー、またはコポリマーを包含すると当然に理解されるであろう。特に断わらない限り、ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーの両方が包含される。
【0039】
用語「コポリマー」は、異なった構造を有する2つ以上のモノマーから形成されたポリマーを指す。
【0040】
用語「偏光」は平面偏光、円偏光、楕円偏光、あるいは光束の電気ベクトルがランダムに方向を変えないが、一定の向きを維持するか、あるいは規則的に変化する他のいずれかの非ランダム偏光状態を指す。平面内偏光は、単一の平面にある電気ベクトルを指すが、他方、円偏光または楕円偏光においては、光束の電気ベクトルは規則的に回転する。
【0041】
質量パーセント(weight percent)、質量パーセント(percent by weight)、質量%(% by weight)等は、物質の濃度を、その物質の質量を組成物の質量で割り、100を乗じた値として示す同義語である。
【0042】
端点(endpoints)による数の範囲の記載には、その範囲内に包括されたすべての数を含める(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含める)。
【0043】
本明細書および添付された請求項において用いられるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が特に要求しない限り複数の指示物を含める。このように、例えば、「化合物(a compound)」を含有する組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含める。本明細書および添付された請求項において用いられるとき、用語「または」は概して、内容が特に要求しない限り「および/または」を含めるその意味において使用される。
【0044】
コレステリック液晶材料は概して、キラル分子またはキラル部分、あるいはキラル分子とアキラル分子との混合物を包含し、モノマー、ポリマー、オリゴマー、非モノマー分子、またはそれらのいずれかの組合せを包含することができる。非モノマー分子の例を米国特許出願第10/373,213号明細書に見出すことができる。キラル分子とアキラル分子との混合物の例を米国特許出願第10/373,126号明細書に見出すことができる。コレステリック液晶材料は、1つ以上のコレステリック液晶化合物(コレステリック液晶ポリマーなど)、1つ以上のコレステリック液晶前駆物質(コレステリック液晶化合物を形成するために使用することができる)、またはそれらの組合せを含有することができる。コレステリック液晶化合物は概して、事実上キラルである少なくとも1つの分子単位(すなわち、対称面を有さない)および事実上メソゲンである少なくとも1つの分子単位(すなわち、液晶相を示す)を含有する。コレステリック液晶化合物はまた、キラルネマチック液晶化合物と称される。コレステリック液晶化合物は、分子および光学配向ベクトル(director)(すなわち、液晶の平均局在分子配列の方向の単位ベクトル)が配向ベクトルに垂直な次元(螺旋軸)に沿って螺旋形に回転するコレステリック液晶相を形成することができる。
【0045】
コレステリック液晶層のピッチは、配向ベクトルまたはメソゲンが360°回転するためにとる(配向ベクトルに垂直な方向の)距離である。この距離は概して250〜600nm以上である。様々な比率において少なくとも1つのキラル化合物(例えば、コレステリック液晶化合物またはキラルコレステリック液晶前駆物質)と別の典型的なネマチック液晶化合物とを混合あるいは他の仕方で組合わせることによって(例えば、共重合によって)、一般にコレステリック液晶層のピッチを変えることができる。このような場合、ピッチは、コレステリック液晶組成物中のキラル化合物のモル濃度または質量の相対的な比に依存する。ピッチは概して、目的の光の波長のオーダーにあるように選択される。配向ベクトルの螺旋ねじれは、誘電テンソルの空間的に周期的な変化をもたらし、次いで、光の波長選択的な反射を生じる。例えば、光の可視線、紫外線、または赤外線の波長またはそれらの組合せにおいて選択的な反射が生じるようにピッチを選択することができる。
【0046】
コレステリック液晶ポリマーなどのコレステリック液晶化合物および前駆物質は概して公知であり、当業者に公知のいずれのコレステリック液晶化合物または前駆物質をも本発明の組成物中で用いることができる。適したコレステリック液晶化合物および前駆物質の例は、米国特許第4,293,435号明細書、米国特許第5,332,522号明細書、米国特許第5,886,242号明細書、米国特許第5,847,068号明細書、米国特許第5,780,629号明細書、および米国特許第5,744,057号明細書に記載されている。アキラル分子単位の例は、式C2の化合物である。
【0047】
【化3】

【0048】
式C2を欧州特許出願公開第834754号明細書に記載されているように調製することができる。市販のアキラル分子単位の例は、ノースカロライナ州、シャーロットのBASF(BASF,Charlotte,NC)から入手可能なパリオカラー(Paliocolor)LC242である。市販のキラル分子単位の例は、ノースカロライナ州、シャーロットのBASFから入手可能なパリオカラーLC756である。しかしながら、本明細書に開示されていない他のコレステリック液晶化合物および前駆物質もまた、本発明の組成物において利用することができる。
【0049】
概して、コレステリック液晶化合物または前駆物質は、少なくとも一部は、それが最終的に用いられる特定の適用または光学体に基づいて選択される。コレステリック液晶化合物または前駆物質の選択において考慮され得る特性の例には、屈折率、ピッチ、加工性、透明度、色、目的の波長領域の低い吸収、他の成分(例えば、ネマチック液晶化合物)との相溶性、製造の容易さ、コレステリック液晶ポリマーを形成するためのコレステリック液晶化合物、前駆物質、またはモノマーの利用可能性、レオロジー、硬化の方法および要求条件、溶剤の除去の容易さ、物理的および化学的性質(例えば、可撓性、引張強さ、耐溶剤性、耐引っ掻き性、および相転移温度)、および精製の容易さなどがあるがそれらに限定されない。
【0050】
コレステリック液晶ポリマーであるコレステリック液晶化合物は典型的に、メソゲン基を含有するキラル分子またはキラルおよびアキラル分子の混合物(モノマーを含める)を用いて形成される。メソゲン基は概して、硬質棒状または円板状分子または液晶の成分である分子の一部である。メソゲン基の例には、パラ置換ベンゼン環などのパラ置換環状基などがあるがそれらに限定されない。これらのメソゲン基は場合により、スペーサーを介してポリマー主鎖に結合している。スペーサーは、例えば、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、アルキン、エステル、アルキレン、アルカン、エーテル、チオエーテル、チオエステル、およびアミド官能価を有する官能基を含有することができる。
【0051】
適したコレステリック液晶ポリマーには、場合により硬質または軟質コモノマーによって分離されたメソゲン基を含有する、キラルまたはアキラルポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、またはポリエステルイミド主鎖を有するポリマーなどがあるがそれらに限定されない。他の適したコレステリック液晶ポリマーの例は、キラルおよびアキラルメソゲン側鎖基を有するポリマー主鎖(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリオレフィン、またはポリマロネート主鎖)を有する。側鎖基は場合により、アルキレンまたはアルキレンオキシドスペーサーなどのスペーサーによって主鎖から隔てられて可撓性をもたらすことができる。
【0052】
小分子を液晶ポリマーに添加するか、または液晶ポリマーにコポリマーとして導入してもよい。これらの小分子は、コレステリック系の光学透明度を改良することができ、同時により良い配向の均一性および従って反射効率を生み出すことができる。この組合せは、選択的な反射の改良されたコントラスト比につながる。重合性小分子を以下に記載された式I、式II、式III、または式IVの化合物によって定義されたコレステリック液晶組成物に添加するか、または小分子を以下に記載された式I、式II、または式IIIの化合物によって定義されたコレステリック前駆物質またはポリマーと共重合させて、これらの改良が行なわれる。
【0053】
本発明の1つの実施態様において、本発明による好適なコレステリック液晶組成物は、a)コレステリック液晶化合物またはコレステリック液晶前駆物質と、b)式I、式IIまたは式III:
【0054】
【化4】

【0055】
の化合物を含む。上式中、nは1、2、3、または4であり、mは1、2、または3である。Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランである。R1は(C3−C8)アルキレン、(C3−C8)アルケニレン、または(C3−C8)アルキリンである。R2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−である。R3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンである。R4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、または−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−である。R5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンである。R6は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である。R7は(C1−C2)アルキレン、(C2)アルケニレン、または(C2)アルキリンである。R8は水素、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である。R9はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンである。R10は(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、または(C2−C8)アルキリンである。
【0056】
式Iの1つの実施態様において、nは1または2であり、Rはアクリレートであり、R1は(C3−C6)アルキレンであり、R2は−O−であり、R3はフェニレンであり、R4は−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5は結合またはフェニレンであり、R6はFまたはシアノである。
【0057】
式IIの1つの実施態様において、nは1または2であり、Rはアクリレートであり、R7は(C1−C2)アルキレンであり、R2は−O−であり、R3はフェニレンであり、R4は−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5は結合またはフェニレンであり、R8はF、CF3、メトキシ、またはブトキシである。
【0058】
式IIIの1つの実施態様において、mは1または2であり、R9はフェニレンであり、R4は−C(O)O−または−O(O)C−であり、R3はフェニレンであり、R2は−O−であり、R10は(C3−C6)アルキレンであり、Rはアクリレートである。
【0059】
式I、式II、または式IIIのいくつかの好適な化合物の例は、
【0060】
【化5】

【0061】
である。
【0062】
本発明の別の実施態様において、本発明による好適なコレステリック液晶フィルムは、コレステリック液晶ポリマーと式IV:
【0063】
【化6】

【0064】
の化合物とを含む。上式中、nは1、2、3、または4である。Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランである。R10は(C1−C8)アルキレン、(C1−C8)アルケニレン、または(C1−C8)アルキリンである。R2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−である。R3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンである。R4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−である。R5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンである。R11は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である。
【0065】
式IVの1つの実施態様において、nは1または2であり、Rはアクリレートであり、R10は(C2−C6)アルキレンであり、R2は−O−であり、R3はフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5は結合またはフェニレンであり、R11はF、シアノ、CF3、メトキシ、またはブトキシである。
【0066】
式IVの好適な化合物の1つの例は、
【0067】
【化7】

【0068】
である。
【0069】
コレステリック液晶ポリマーは典型的に、上述のようなキラル分子単位およびアキラル分子単位を含有する。キラル分子単位およびアキラル分子単位は、式I、式IIまたは式IIIの化合物と異なっていてもよい。アキラル分子単位は、例えば、上述の式C2の化合物であってもよい。
【0070】
本発明の1つの実施態様において、コレステリック液晶組成物は概して、組成物の全固形分の質量をもとに式I、式II、式IIIまたは式IVの1つ以上の化合物を約1〜35%、5〜20%、または10〜15%含む。別の実施態様において、コレステリック液晶組成物は、組成物の全固形分の質量をもとに式I、式II、式IIIまたは式IVの1つ以上の化合物を約10〜20%含む。
【0071】
いくつかの実施態様において、式I、式II、式III、または式IVの化合物の、コレステリック液晶化合物(コレステリック液晶ポリマーを含める)またはコレステリック液晶前駆物質に対する質量比は、1:99〜1:3の範囲である。いくつかの実施態様において、式I、式II、式III、または式IVの化合物の、コレステリック液晶化合物(コレステリック液晶ポリマーを含める)またはコレステリック液晶前駆物質に対する質量比は、1:10〜1:5の範囲である。
【0072】
式I、式II、式III、または式IVの化合物を本発明のコレステリック液晶組成物に添加することは、配向液晶層の形成中にコレステリック液晶前駆物質または化合物の配向を促進すると考えられる。式I、式II、式III、または式IVの化合物はこの特性を本発明のコレステリック液晶組成物に付与するのに役立つことがあるので、それらはしばしば、「相溶性」と称される。相溶性の1つの指標は、式I、式II、式III、または式IVの化合物がコレステリック液晶化合物または前駆物質に添加されるかまたは式I、式II、または式IIIの化合物がコポリマーとして液晶ポリマーに導入される時に少なくとも1つのコレステリック液晶層がより均一に配向されるということである。例えば、相溶性は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を有さない同様な組成物と比較して式I、式II、式III、または式IVの化合物を用いるコレステリック液晶組成物の乾燥フィルムの透過率を測定することによって観察することができる。
【0073】
別の実施態様において、本発明のコレステリック液晶組成物を用いて作製されたフィルムについて所望の波長範囲にわたってまたは特定の波長においての測定された透過率は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を用いない同じコレステリック液晶組成物を用いて形成されたフィルムの透過率より大きい。
【0074】
例えば、グラン・トーマス(Glan−Thomas)偏光子および1/4波長フィルムを光路に有するラムダ(Lambda)900スペクトロフォトメータ(カリフォルニア州、サンタクララのパーキンエルマー社(Perkin Elmer, Santa Clara, CA)製)を用いて、コートされたフィルムのスペクトルを測定することができる。1/4波長軸(wave axis)は、偏光子軸に対して45°に維持される。最初に偏光子および次に1/4波長板を光路に配置し、計測器をゼロの目盛りに合わせた。次に、試料を1/4波長板の後および1/4波長板に面して光路に配置した。スペクトルは、可視光線スペクトルにわたる350nmから800nmまで記録された。不相溶性コーティングは、光を散乱させて通過透過率(%)を例えば65%未満に低減する曇りをもたらすことがある。
【0075】
本発明のコレステリック液晶組成物から形成されるコレステリック液晶フィルムの通過透過率(%)(% pass transmission)(%Tpass)は、コレステリック液晶フィルムの透明性などの本発明のコレステリック液晶組成物から最終的に得ることのできるコレステリック液晶フィルムの性質のいくつかの指標であり得る。通過透過率(%)は、フィルムを通過するはずの偏光の場合のフィルムの透過率のレベルに対応する。1つの実施態様において、本発明のコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの通過透過率(%)は、特定の波長範囲にわたってまたは特定の波長において、式I、式II、式III、または式IVの化合物を含まないコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの通過透過率(%)より大きい。別の実施態様において、通過透過率(%)は少なくとも約65%、75%、85%または90%である。通過透過率(%)の値が大きくなることが概して好ましい。別の実施態様において、通過透過率(%)は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を含まない同様な組成物またはフィルムより1〜50%、5〜40%、10〜30%または少なくとも30%大きい。例として、%Tpassのために用いられる数値を(以下に記載された)最低透過率(%)と同じ波長において測定することができる。
【0076】
本発明のコレステリック液晶組成物から形成されるコレステリック液晶フィルムの最低透過率(%)または最低吸光度(%Tmin)は、コレステリック液晶フィルムの配向性質など、本発明のコレステリック液晶組成物から最終的に得られる場合があるコレステリック液晶フィルムの性質のいくつかの指標であり得る。最低透過率(%)または最低吸光度においての波長は、フィルムの最大反射の場合の波長に対応する。吸光度を透過率と同様に測定することができるが、偏光子は上述の透過率の測定において用いられた位置から90度回転された。1つの実施態様において、本発明のコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの吸光度は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を有さないコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの吸光度より低い値である。別の実施態様において、吸光度は、約5%、10%、12%、または15%以下である。別の実施態様において、吸光度の値は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を含まない同様な液晶組成物またはフィルムの吸光度の値より少なくとも1%、2%、3%、4%または5%小さい。
【0077】
本発明のコレステリック液晶組成物から形成されるコレステリック液晶フィルムの最大コントラスト比(CR)は、コレステリック液晶フィルムの光学性質など、本発明のコレステリック液晶組成物から最終的に得られる場合があるコレステリック液晶フィルムの性質のいくつかの指標であり得る。%Tpassを%Tminで割ることによって最大コントラスト比(CR)を求めることができる。1つの実施態様において、本発明のコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの最大コントラスト比(CR)は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を含まないコレステリック液晶組成物から形成されたコレステリック液晶フィルムの最大コントラスト比より大きい。別の実施態様において、最大コントラスト比(CR)は少なくとも約6、10、12、15、または16である。別の実施態様において、最大コントラスト比(CR)は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を含まない同様な液晶組成物またはフィルムの最大コントラスト比より少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、150%、200%または300%大きい。別の実施態様において、最大コントラスト比(CR)は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を有さない同様な液晶組成物またはフィルムの最大コントラスト比よりも5〜300%、10〜200%、または25〜100%大きい。
【0078】
吸光度試験方法の実施方法の1つの例には、以下の手順がある。式I、式II、式III、または式IVの化合物を好適な溶剤中でコレステリック液晶ポリマーと混合する。この混合物のための典型的な組成物は、13%のコレステリック液晶ポリマー、2.3%の式I、式II、式III、または式IVの化合物、および84.7%の溶剤を含有する。式I、式II、式III、または式IVの化合物とコレステリック液晶ポリマーとを含有する溶液を、配向表面を有する透明プラスチックフィルム上にコートする。例えば、自然な液晶配向表面を提供するポリエチレンテレフタレート(PET)延伸フィルムは、3M(スコッチパー(SCOTCHPAR)(登録商標)タイプ718386、ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))またはデュポン(DuPont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から市販されている。コーティングを乾燥させ、コレステリック液晶前駆物質がそのネマチック相であるような温度においてアニールした。溶液は典型的には、約4マイクロメートルの乾燥厚さ、またはいくつかのピッチ長さをもたらす量においてコートした。
【0079】
本発明によるコレステリック液晶組成物はまた、溶剤を含有することができる。場合によって、コレステリック液晶前駆物質またはコレステリック液晶組成物の他の成分の1つ以上が、溶剤として作用することができる。1つ以上の溶剤、または溶剤として機能する他の化合物は概して、処理中にコレステリック液晶組成物からほとんど除去される。例えば、組成物を乾燥させて溶剤を蒸発させるか、または溶剤の一部を反応させる(例えば、溶媒和した液晶前駆物質を反応させて液晶ポリマー)を形成することによって、それらを除去することができる。組成物の成分を可溶化することができるとして当業者に公知のどんな溶剤をも用いることができ、具体例には、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、シクロプロパノン、メチルエチルケトンおよび1,3−ジオキソランなどがあるがそれらに限定されない。溶剤の組合せもまた、本発明の組成物において利用されてもよい。
【0080】
本発明によるコレステリック液晶組成物はまた、組成物のモノマーまたは他のより低分子量の化合物の重合または架橋を開始させるように機能する重合開始剤を含有することができる。適した重合開始剤には、フリーラジカルを生じさせて重合または架橋を開始および増加させることができる化合物が挙げられる。フリーラジカル開始剤は、安定度および半衰期などが挙げられるがそれらに限定されない多数の要因に基づいて選択され得る。好ましくは、フリーラジカル開始剤は、吸収あるいは他の仕方でコレステリック液晶層にどんな付加的な色も生じさせない。
【0081】
コレステリック液晶層の形成またはコレステリック液晶層の配向後に式I、式II、式IIIまたは式IVの化合物を硬化または架橋することができる十分な量において式I、式II、式IIIまたは式IVの化合物をコレステリック液晶ポリマーに添加して、架橋されたコレステリック液晶フィルムを形成することができる。コレステリック液晶層の形成またはコレステリック液晶層の配向後に式I、式II、式IIIまたは式IVの化合物をコレステリック液晶層上に配置された付加的な層と共に硬化または架橋することができる十分な量において式I、式II、式IIIまたは式IVの化合物をコレステリック液晶ポリマーを添加して、その上に配置された付加的な層に架橋または化学結合したコレステリック液晶フィルムを形成することができる。
【0082】
フリーラジカル開始剤は典型的に、熱フリーラジカル開始剤または光開始剤のどちらかである。熱分解した時にフリーラジカルを生じさせる熱フリーラジカル開始剤には、例えば、過酸化物、過硫酸塩、またはアゾニトリル化合物などがある。光開始剤を電磁放射線あるいは粒子照射によって活性化することができる。適した光開始剤の例には、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、カチオン性金属塩光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜スルホン酸、ホスフィンオキシド、シクロヘキシルフェニルケトン、アミン置換アセトフェノン、およびベンゾフェノンなどがあるがそれらに限定されない。概して、紫外線(UV)照射を用いて光開始剤を活性化するが、他の光源または照射(電子線)を用いることができる。光開始剤を光の特定の波長の吸収に基づいて選択することができる。
【0083】
本発明によるコレステリック液晶組成物はまた、分散剤、停止剤、硬化剤、架橋剤、オゾン亀裂防止剤、酸化防止剤、可塑剤、安定剤、増粘剤および充填剤などの粘度調整剤、基材上に堆積した後に粒子間の十分な接触を改良するように機能する、融合助剤の他、紫外線、赤外線、または可視光線を吸収するための染料および顔料として機能する化合物をさらに含有してもよい。
【0084】
本発明のコレステリック液晶組成物をコレステリック液晶層に形成するための当業者に公知のどんな方法も、利用することができる。さらに、コレステリック液晶層を形成する既存の方法の改良および変更もまた、本発明のコレステリック液晶組成物からコレステリック液晶層を形成するために行なわれてもよい。以下に記載された方法は本発明によるコレステリック液晶層を形成するために利用されてもよい方法および技術の例を提供し、本発明を限定することを意図しない。
【0085】
コレステリック液晶層の形成方法の1つは、コレステリック液晶組成物を基材の表面に適用する工程を含む。コレステリック液晶組成物を、コーティングおよび噴霧などが挙げられるがそれらに限定されない多数の方法で表面に適用することができる。あるいは、基材の表面は、コレステリック液晶層でコートされる前に配向されてもよい。基材は、例えば、延伸技術、レーヨンまたは他の布による摩擦、またはリオトロピック配向(lyotropic alignment)(米国特許第6,395,354号明細書)を用いて配向されてもよい。光配向基板は、米国特許第4,974,941号明細書、米国特許第5,032,009号明細書、米国特許第5,389,698号明細書、米国特許第5,602,661号明細書、米国特許第5,838,407号明細書、および米国特許第5,958,293号明細書に記載されている。
【0086】
コーティング後に、コレステリック液晶組成物を液晶層に変換する。概して、この方法は、組成物を乾燥させる工程、および乾燥された組成物をアニールする工程を含み、あるいは、これらのプロセスは大体、同時に行なわれてもよい。コレステリック液晶層の形成は、例えば、熱、放射線(例えば、化学線)、光(例えば、紫外線、可視線、または赤外線光)、電子線、またはこれらもしくは同様な技術の組合せを用いて、存在する溶剤の蒸発、コレステリック液晶組成物の架橋、コレステリック液晶組成物のアニールまたは硬化(例えば、重合)などの様々な技術によって達成されてもよい。
【0087】
液晶層を形成する方法の1つの実施例は、コレステリック液晶組成物を配向基材上に堆積させる工程を含む。堆積した後、コレステリック液晶組成物は、組成物のガラス転移温度より高い温度に、液晶相まで加熱される。次に、組成物はガラス転移温度より低い温度に冷却され、組成物は液晶相のままである。
【0088】
液晶層を形成するための別の方法は、コレステリック液晶組成物を基材上に堆積させる工程と、前記組成物を乾燥させて溶剤を除去することによってオリゴマー液晶を配向させる工程と、を含む。本発明のコレステリック液晶組成物を、空気流を制限する方法などの当業者に公知のいずれかの方法によって乾燥させることができる。空気流を制限する方法および/または機器の例を米国特許第5,581,905号明細書、米国特許第5,694,701号明細書、米国特許第6,134,808号明細書、及び米国特許出願第10/373,127号明細書に見出すことができる。
【0089】
光の波長の特定の帯域幅にわたって1つの偏光を有する光(例えば、左または右円偏光)をほとんど反射し、他の偏光を有する光(例えば、右または左円偏光)をほとんど透過する層としてコレステリック液晶組成物を形成することができる。この特性決定は、コレステリック液晶材料の配向ベクトルに対して垂直な入射に方向付けられた光の反射または透過率について記載する。他の角度に方向付けられた光は典型的に、コレステリック液晶材料によって楕円偏光され、ブラッグ反射のピークは典型的に、その軸方向波長から青色シフトされる。コレステリック液晶材料は概して、以下のように、垂直入射光に対して特性決定されるが、しかしながら、公知の技術を用いて非垂直入射光に対してこれらの材料の応答を確認できることは理解されよう。
【0090】
コレステリック液晶層を単独でまたは他のコレステリック液晶層または他のタイプの層またはデバイスと組合わせて用いて、例えば、反射偏光子などの光学体を形成することができる。コレステリック液晶偏光子が、反射偏光子の1つのタイプにおいて用いられる。コレステリック液晶偏光子のピッチは、多層反射偏光子の光学層厚さに似ている。ピッチおよび光学層厚さは、コレステリック液晶偏光子および多層反射偏光子の中心波長をそれぞれ決定する。コレステリック液晶偏光子の回転配向ベクトルが、多層反射偏光子において同じ光学層厚さを有する多層の使用に似た光学反復単位を形成する。
【0091】
コレステリック液晶層によって反射された光の中心波長λ0、およびスペクトル帯域幅Δλは、コレステリック液晶のピッチpに依存する。中心波長λ0、の近似値は:
λ0=0.5(no+ne)p
であり、上式中、noおよびneは、液晶の配向ベクトルに平行に偏光された光に対する(ne)および液晶の配向ベクトルに垂直に偏光された光に対する(no)コレステリック液晶の屈折率である。スペクトル帯域幅Δλ、の近似値は:
Δλ=2λ0(ne−no)/(ne+no)=p(ne−no
である。
【0092】
コレステリック液晶偏光子は、異なったピッチで、各々、単一基板上に配置された、2つの以前に形成されたコレステリック液晶層(例えば、異なった組成物、例えば、キラルおよびネマチック液晶化合物またはモノマーの異なった質量比を有する層)を積層または他の仕方で積み重ねることによって形成されてもよい。これらの2つの層を加熱して層の間に液晶材料を拡散させる。2つの層の間の材料の拡散は典型的に、2つの層の単一ピッチ間の範囲にわたって変化する層のピッチをもたらす。コレステリック液晶偏光子を形成する他の方法は、例えば、米国特許出願第09/790,832号明細書、米国特許出願第09/791,157号明細書、および米国特許出願第09/957,724号明細書に記載されている。
【0093】
透過(例えば、背面照射される)、反射、および半透過ディスプレイなどの様々な光ディスプレイおよび他の適用において、コレステリック液晶光学体を用いることができる。例えば、図1は、上に記載されたように、ディスプレイ媒体402と、バックライト404と、コレステリック液晶反射偏光子408と、任意選択の反射体406と、を備える1つの例示的なバックライトディスプレイシステム400の略断面図を示す。ディスプレイシステムは場合により、コレステリック液晶反射偏光子の一部としてまたは液晶反射偏光子からの円偏光を直線偏光に変換するための別個の成分として四分の一波長板を備える。視認者は、バックライト404の反対側にあるディスプレイデバイス402の側に位置している。
【0094】
ディスプレイ媒体402は、バックライト404から放射される光を透過することによって、情報または画像を視認者に示す。ディスプレイ媒体402の1つの実施例は、1つの偏光状態の光だけを透過する液晶ディスプレイ(LCD)である。
【0095】
ディスプレイシステム400を見るために用いられる光を供給するバックライト404は、例えば、光源416および光ガイド418を備えるが、他のバックライトシステムを用いることができる。図1に描かれた光ガイド418は略矩形の断面を有するが、バックライトは、いずれかの適した形状を有する光ガイドを使用することができる。例えば、光ガイド418がウェッジ形、溝状、擬似ウェッジガイド等であってもよい。主な問題は、光ガイド418が、光源416から光を受容することができ、その光を放射することができるということである。結果として、光418は、裏面反射体(例えば、任意選択の反射体406)、抽出機構および所望の機能を達成するための他の成分を備えることができる。
【0096】
反射偏光子408は、上に記載したように、少なくとも1つのコレステリック液晶光学体を備える光学フィルムである。光ガイド418を出る1つの偏光状態の光をほとんど透過し、光ガイド418を出る異なった偏光状態の光をほとんど反射する反射偏光子408が提供される。
【0097】
図2は、反射液晶ディスプレイ500の1つのタイプの略図である。この反射液晶ディスプレイ500は、ディスプレイ媒体508と、コレステリック液晶反射偏光鏡504と、吸収裏材506と、吸収偏光子502とを備える。液晶ディスプレイ500は場合により、コレステリック液晶反射偏光子504の一部としてまたは液晶デバイスからの混合偏光光を適切に偏光された光に変換する別個の成分として、波長板を備える。
【0098】
液晶ディスプレイ500は、最初に、光510を偏光する吸収偏光子502によって機能する。次に、偏光がディスプレイ媒体508中に進み、そこにおいて光の円偏光成分の1つがコレステリック液晶反射偏光鏡504から反射し、ディスプレイ媒体508および吸収偏光子502を通って戻る。他の円偏光成分がコレステリック液晶反射偏光子504を通過し、裏材506によって吸収される。この反射液晶ディスプレイ500の反射偏光子504は、上に記載されたように、1つのコレステリック液晶光学体を備える。コレステリック液晶光学体の特定の選択は、例えば、コスト、寸法、厚さ、材料、および目的の波長範囲などの要因に依存する場合がある。
【0099】
図3は、半透過液晶ディスプレイ600の1つのタイプの略図である。この半透過液晶ディスプレイ600は、位相遅延ディスプレイ媒体608、部分鏡603、コレステリック液晶反射偏光鏡604、バックライト606、および吸収偏光子602を備える。ディスプレイシステムは場合により、コレステリック液晶反射偏光子604の一部としてまたは液晶デバイスからの混合偏光光を適切に偏光された光に変換する別個の成分として、波長板を備える。反射モードにおいて、明るい周辺光610が吸収偏光子602によって偏光され、ディスプレイ媒体608中に進み、部分鏡603から反射し、ディスプレイ媒体608および吸収偏光子602を通って戻る。低周辺光の状態において、バックライト606が作動され、光がコレステリック偏光子604を選択的に通過させられ、整合されて適切に偏光された光をディスプレイに提供する。反対の掌性の光が反射し戻され、再循環され、コレステリック偏光子604を選択的に通過させられてバックライトの明度を有効に増加させる。この反射液晶ディスプレイ600の反射偏光子は、上に記載されたように、1つのコレステリック液晶光学体を備える。コレステリック液晶光学体の特定の選択は、例えば、コスト、寸法、厚さ、材料、および目的の波長範囲などの要因に依存する場合がある。
【0100】
他の性質を増強するかまたは液晶ディスプレイに提供する様々な他の成分およびフィルムと共にコレステリック液晶光学体を使用することができる。かかる成分およびフィルムには、例えば、輝度増強フィルム、四分の一波長板およびフィルムなどの遅延板、多層または連続した/分散相反射偏光子、金属化裏面反射体、プリズム裏面反射体、拡散反射裏面反射体、多層誘電裏面反射体、およびホログラフィック裏面反射体などがある。
【実施例】
【0101】
以下の実施例のための全ての化学物質は、特に指示しない限り、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ社(Aldrich,Inc.,Milwaukee,WI)から入手できる。
【0102】
実施例1 様々な化合物の合成
本明細書に開示された様々な化合物を形成するための反応式を以下のように記述できる。
【0103】
【化8】

【0104】
4−[(4−フルオロベンゾイル)オキシ]フェニル4−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル]オキシ}ベンゾエート(3a)の調製
反応フラスコに36.8g(0.257モル)の4−フルオロ安息香酸、53.21g(0.526モル)のトリエチルアミンおよび284gのエチレングリゴール(glygol)ジメチルエーテルを入れた。この溶液を−30℃に冷却し、30.12g(0.263モル)のメタンスルホニルクロリドを添加した。さらに1時間、−30℃において撹拌を続けた後、52.60g(0.263モル)の4−(ベンジルオキシ)フェノールおよび3.2g(0.026モル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。次に、得られた混合物を室温に昇温し、次いで3時間、50℃に昇温した。最後に、混合物を室温に冷却し、1リットルの水で希釈した。未精製物1aを濾過によって集め、水で洗浄した。中間体1aを1.5リットルのアセトニトリルから再結晶化によって精製し、白色の固体を生じた。
【0105】
30グラムの1aを440mlのTHFに溶解し、1グラムの10%パラジウム担持炭素の存在下で室温および60psi(約_Pa)の水素圧において一晩、水素化した。触媒を濾過によって除去し、溶剤を回転式蒸発器でストリッピングし、高純度2aを生じた。
【0106】
反応フラスコに、11.08g(0.038モル)の4−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル]オキシ}安息香酸、7.67g(0.076モル)のトリエチルアミンおよび110gのエチレングリコールジメチルエーテルを入れた。溶液を−30℃に冷却し、4.34g(0.038モル)のメタンスルホニルクロリドを添加した。さらに1時間、−30℃において撹拌を続けた後、8.80g(0.038モル)の中間体2aおよび0.46g(0.004モル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。次に、得られた混合物を室温に昇温し、次いで3時間、50℃に昇温した。最後に、混合物を室温に冷却し、300mlの水で希釈した。未精製生成物を濾過によって集め、水で洗浄した。生成物3aをアセトニトリルから再結晶化によって精製した。
【0107】
4−[(4−フルオロベンゾイル)オキシ]フェニル4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾエート(3b)の調製
3bを3aと同じ手順によって調製したが、ただし、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ}安息香酸を4−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル]オキシ}安息香酸の代わりに使用した。
【0108】
4−[(4−ブトキシベンゾイル)オキシ]フェニル4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾエート(3c)の調製
3cを3bと同じ手順によって調製したが、ただし、4−ブトキシ安息香酸を4−フルオロ安息香酸の代わりに使用した。
【0109】
4−[(4−メトキシベンゾイル)オキシ]フェニル4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾエート(3d)の調製
3dを3bと同じ手順によって調製したが、ただし、4−メトキシ安息香酸を4−フルオロ安息香酸の代わりに使用した。
【0110】
4−[(4−トリフルオロメチルベンゾイル)オキシ]フェニル4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾエート(3e)の調製
3eを3bと同じ手順によって調製したが、ただし、4−トリフルオロメチル安息香酸を4−フルオロ安息香酸の代わりに使用した。
【0111】
4−[(4−シアノベンゾイル)オキシ]フェニル4−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル]オキシ}ベンゾエート(7)の調製
508mlのN,N−ジメチルホルムアミドにt−ブチルジメチルシリルクロリド(80g、0.531モル)、4−(ベンジルオキシ)フェノール(106.28g、0.531モル)、イミジゾール(imidizole)(90.33g、1.327モル)を溶かした混合物を2日間、室温において撹拌した。次いで混合物を氷槽で冷却し、400mlの水をゆっくりと添加した。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、次いで532mlのアセトニトリルから再結晶化した。得られた中間体4は、大きな透明な結晶の形であった。次に、35gの4をテトラヒドロフラン中で10%パラジウム担持炭素の存在下で室温において60psi(約_Pa)の水素圧において水素化し、中間体5を生じた。
【0112】
反応フラスコに、9.03g(0.061モル)の4−シアノ安息香酸、12.43g(0.123モル)のトリエチルアミンおよび105.68gのエチレングリゴール(glygol)ジメチルエーテルを入れた。溶液を−30℃に冷却し、7.04g(0.061モル)のメタンスルホニルクロリドを添加した。さらに1時間、−30℃において撹拌を続けた後、15g(0.061モル)の5および0.75g(0.006モル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。次に、得られた混合物を室温に昇温し、次いで3時間、50℃に昇温した。最後に、混合物を室温に冷却し、298mlの水で希釈した。得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、次いでアセトニトリルから再結晶化し、白色の固体を生じた。次に、白色の固体(10g、0.028モル)をN,N−ジメチルホルムアミド中でテトラブチルアンモニウムフルオリド(7.76g、0.029モル)と共に1.5時間撹拌し、その後に、全ての揮発性材料を真空ストリッピングして未精製物6を生じ、次いでそれをカラムクロマトグラフィー(シリカゲルを使用、クロロホルムに溶かした10%メタノールで溶離)によって精製した。
【0113】
【化9】

【0114】
反応フラスコに11.08g(0.038モル)の4−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル]オキシ}安息香酸、7.67g(0.076モル)のトリエチルアミンおよび110gのエチレングリコールジメチルエーテルを入れた。溶液を−30℃に冷却し、4.34g(0.038モル)のメタンスルホニルクロリドを添加した。さらに1時間、−30℃において撹拌を続けた後、9.09g(0.038モル)の中間体6および0.46g(0.004モル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。次に、得られた混合物を室温に昇温し、次いで3時間、50℃に昇温した。最後に、混合物を室温に冷却し、300mlの水で希釈した。未精製生成物を濾過によって集め、水で洗浄した。生成物7をエタノールから再結晶化によって精製した。
【0115】
実施例2 様々な化合物の効果
4−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−イルエステル(シアノビフェニルベンゾエートエチルアクリレートまたはC2としても公知である)は、欧州特許出願公開第834754号明細書に記載されているように調製することができ、下記構造を有するネマチック液晶モノマーである。
【0116】
【化10】

【0117】
添加剤
12質量%のシアノビフェニルベンゾエートエチルアクリレート、1質量%のパリオカラーLC756(ノースカロライナ州、シャーロットのBASF(BASF,Charlotte,NC))、0.2質量%のパリオカラーLC242(ノースカロライナ州、シャーロットのBASF)、45質量%のジオキソラン、37質量%のシクロヘキサノン、2質量%の四臭化炭素、および0.3%のヴァゾ(Vazo)52(デュポン、デラウェア州、ウィルミントン)を配合し、窒素下で約14時間、約60℃において加熱してポリマー溶液を形成した。
【0118】
14時間後に、(表1に示す量の)式I、式II、式IIIまたは式IVの化合物をポリマー溶液に添加した。添加剤を、典型的に付加的な溶剤と共に初期固形分の質量の15.5%の量で添加した。得られた溶液を60℃の温度において透明になるまで混合した。次に、混合された溶液を厚さ100ミクロンのPETフィルム(ミネソタ州、セントポールの3Mのスコッチパー(SCOTCHPAR)(登録商標))上にコートした。コートされたフィルムを約12分間、約120℃において焼成した。次に、各々のコートされたフィルムのスペクトルを、グラントーマス(Glan−Thomas)偏光子およびニューポート(Newport)ゼロ次無彩1/4波長フィルムを光路に有するラムダ(Lambda)900スペクトロフォトメータ(カリフォルニア州、サンタクララのパーキンエルマー(Perkin Elmer,Santa Clara,CA))を用いて測定した。偏光子および四分の一波長板を、スペクトルの最低透過率(%)(吸光度)(%Tmin)をもたらすように方向付けた。%Tmin値を生じる波長において、スペクトルの通過透過率の%(%Tpass)は、偏光子を90°回転させることによって測定した。最大コントラスト比(CR)は、%Tpassを%Tminで割ることによって得られる。観察された値を以下の表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
表1から分かるように、利用した添加剤の全てが液晶ポリマーと相溶性であるが(それら全てが65%を超える通過透過率を有した)、それによって形成されたコレステリック液晶フィルムは、吸光度について様々な結果を有した。80%を超える通過透過率は、フィルムのすぐれた透明性を提供する。それらは全て、添加剤を全く用いない組成物(対照標準)に対して、同様なまたはより良い(より低い)吸光度を有するコレステリック液晶層を製造した。10%未満の透過率の吸光度の値は、すぐれた配向性質を示す。さらに、試験された添加剤の全てが、対照標準に対して増大した最大コントラスト比を有するコレステリック液晶フィルムを製造した。
【0121】
図4は、試料の光透過スペクトルの例を示す。ライン120および130は、式I、式II、式III、または式IVの化合物を有さない光学体の反射偏光および通過偏光の透過スペクトルである。ライン100および110は、上述のようなコレステリック液晶ポリマーへの添加剤としてC2として示される小分子:
【0122】
【化11】

【0123】
を含有する光学体の反射偏光および通過偏光の透過スペクトルである(C2添加剤を含むC2ポリマー、およびC2添加剤を含むC2ポリマー、通過)。図4は、小分子の添加によって、スペクトルの透明性(%Tpass)が改良されると共にスペクトルの吸光度(%Tmin)が低減され、改良された最大コントラスト比(CR)につながることをグラフで示す。コントラストは、所与の波長においての通過%透過率(%T)を示す2つの矢印の線の長さによってグラフで示される。
【0124】
コポリマー
12質量%のシアノビフェニルベンゾエートエチルアクリレート、1質量%のパリオカラーLC756(ノースカロライナ州、シャーロットのBASF)、0.2質量%のパリオカラーLC242(ノースカロライナ州、シャーロットのBASF)、45質量%のジオキソラン、37質量%のシクロヘキサノン、2質量%の四臭化炭素、および0.3%ヴァゾ52(デュポン、デラウェア州、ウィルミントン)および式I、式II、または式IIIの化合物を配合した。
【0125】
(表2に示された量の)式I、式II、または式IIIの化合物を、典型的に付加的な溶剤と共に、初期固形分の質量の15.5%の量において添加した。得られた溶液を60℃の温度の窒素下で約14時間、透明になるまで混合し、加熱した。次に、混合された溶液を厚さ100ミクロンのPETフィルム(スコッチパー(Scotch Par)(登録商標)、ミネソタ州、セントポールの3M)上にコートした。コートされたフィルムを約12分間、約120℃において焼成した。次に、各々のコートされたフィルムのスペクトルを、グラントーマス(Glan−Thomas)偏光子およびニューポート(Newport)ゼロ次無彩色1/4波長フィルムを光路に有するラムダ(Lambda)900スペクトロフォトメータ(カリフォルニア州、サンタクララのパーキンエルマー(Perkin Elmer,Santa Clara,CA))を用いて測定した。偏光子および四分の一波長板を、スペクトルの最低透過率(%)(吸光度)(%Tmin)をもたらすように方向付けた。%Tmin値を生じる波長において、スペクトルの通過透過率(%)(%Tpass)は、偏光子を90°回転させることによって測定した。最大コントラスト比(CR)は、%Tpassを%Tminで割ることによって得られる。観察された値を以下の表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
表2から分かるように、利用した共重合小分子の全てが、すぐれた透明性をフィルムに与える85%以上の通過透過率を提供した。それらは全て、対照標準に対して同様なまたはより良い(より低い)吸光度を有するコレステリック液晶層を製造した。10%未満の透過率の吸光度の値は、すぐれた配向性質を示す。さらに、試験されたコポリマーの全てが、対照標準に対して増強された最大コントラスト比を有するコレステリック液晶フィルムを製造した。
【0128】
本発明は、上述の特定の実施例に限定されると考えられるべきでなく、添付した請求項に明確に示されるような本発明の全ての態様にわたると理解されるべきである。様々な改良、同等の方法、ならびに本発明が適用可能である多数の構造は、本明細書を検討すると当業者には容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明による液晶ディスプレイの1つの実施態様の略図である。
【図2】本発明による液晶ディスプレイの別の実施態様の略図である。
【図3】本発明による液晶ディスプレイのさらに別の実施態様の略図である。
【図4】実施例2によって形成された光学体の光透過スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)コレステリック液晶化合物またはコレステリック液晶前駆物質と、
b)式(I)、式(II)または式(III):
【化1】

(上式中、
nは1、2、3、または4であり、
mは1、2、または3であり、
Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、
1は(C3−C8)アルキレン、(C3−C8)アルケニレン、または(C3−C8)アルキリンであり、
2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
6は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、
7は(C1−C2)アルキレン、(C2)アルケニレン、または(C2)アルキリンであり、
8は水素、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、
9はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
10は(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、または(C2−C8)アルキリンである)
の化合物と、
を含むコレステリック液晶組成物。
【請求項2】
nが1または2であり、Rがアクリレートであり、R1が(C3−C6)アルキレンであり、R2が−O−であり、R3がフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5が結合またはフェニレンであり、R6がFまたはシアノである、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項3】
nが1または2であり、Rがアクリレートであり、R7が(C1−C2)アルキレンであり、R2が−O−であり、R3がフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5が結合またはフェニレンであり、R8がF、CF3、メトキシ、またはブトキシである、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項4】
mが1または2であり、R9がフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R3がフェニレンであり、R2が−O−であり、R10が(C3−C6)アルキレンであり、Rがアクリルである、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項5】
式(I)、式(II)、または式(III)の前記化合物が、
【化2】

である、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項6】
キラル分子単位とアキラル分子単位とを含み、前記キラル分子単位とアキラル分子単位とが式(I)、式(II)、または式(III)の化合物と異なっている、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項7】
前記アキラル分子単位が式(C2):
【化3】

の化合物である、請求項6に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項8】
式(I)、式(II)または式(III)の前記化合物を含む前記コレステリック液晶組成物が、最低透過率(%)の波長において、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を含まないコレステリック液晶組成物の最低透過率(%)の値より小さい最低透過率(%)の値を有する、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項9】
式(I)、式(II)または式(III)の前記化合物を含む前記コレステリック液晶組成物が、最低透過率(%)の波長において、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を含まないコレステリック液晶組成物の通過透過率(%)の値より大きい通過透過率(%)の値を有する、請求項8に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項10】
式(I)、式(II)または式(III)の前記化合物を含む前記コレステリック液晶組成物が、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を含まないコレステリック液晶組成物の最大コントラスト比の値より大きい最大コントラスト比の値を有する、請求項1に記載のコレステリック液晶組成物。
【請求項11】
a)コレステリック液晶前駆物質と、
b)式(I)、式(II)または式(III):
【化4】

(上式中、
nは1、2、3、または4であり、
mは1、2、または3であり、
Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、
1は(C3−C8)アルキレン、(C3−C8)アルケニレン、または(C3−C8)アルキリンであり、
2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
6は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、
7は(C1−C2)アルキレン、(C2)アルケニレン、または(C2)アルキリンであり、
8は水素、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3であり、
9はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
10は(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、または(C2−C8)アルキリンである)
の化合物と、
の反応生成物を含むコレステリック液晶組成物。
【請求項12】
a)コレステリック液晶ポリマーと、
b)式(IV):
【化5】

(上式中、
nは1、2、3、または4であり、
Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、
10は(C1−C8)アルキレン、(C1−C8)アルケニレン、または(C1−C8)アルキリンであり、
2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
11は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である)
の化合物と、
を含むコレステリック液晶フィルム。
【請求項13】
nが1または2であり、Rがアクリレートであり、R10が(C2−C6)アルキレンであり、R2が−O−であり、R3がフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5が結合またはフェニレンであり、R11がF、シアノ、CF3、メトキシ、またはブトキシである、請求項12に記載のコレステリック液晶フィルム。
【請求項14】
式(IV)の前記化合物が、
【化6】

である、請求項12に記載のコレステリック液晶フィルム。
【請求項15】
ディスプレイ媒体と、
請求項1に記載のコレステリック液晶組成物を含む反射偏光子と、
を含む光ディスプレイ。
【請求項16】
ディスプレイ媒体と、
請求項11に記載のコレステリック液晶組成物を含む反射偏光子と、
を含む光ディスプレイ。
【請求項17】
ディスプレイ媒体と、
請求項12に記載のコレステリック液晶フィルムを含む反射偏光子と、
を含む光ディスプレイ。
【請求項18】
a)コレステリック液晶ポリマーを式(IV):
【化7】

(上式中、
nは1、2、3、または4であり、
Rはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、イソシアネート、エポキシ、またはシランであり、
2は結合、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
3はシクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
4は結合、(C1−C8)アルキレン、(C2−C8)アルケニレン、(C2−C8)アルキリン、カルボニル、−O−、−C(O)O−、−O(O)C−、−OC(O)O−、−C(O)N−、−CH=N−、−N=CH−、または−NC(O)−であり、
5は結合、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘトロシクリレン、アリーレン、またはヘトロアリーレンであり、
11は水素、シアノ、ハロ、(C1−C8)アルコキシ、(C1−C8)アルキル、ニトロ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、(C1−C4)チオアルキル、COCH3、CF3、OCF3、またはSCF3である)
の化合物と組み合わせ、
b)前記コレステリック液晶ポリマーおよび式(IV)の化合物を基材上に配置し、
c)前記コレステリック液晶ポリマーを配向させてコレステリック液晶フィルムを形成すること、
を含む、コレステリック液晶フィルムの形成方法。
【請求項19】
コレステリック液晶混合物が5〜20重量%の式(IV)の化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コレステリック液晶ポリマーと式(IV)の化合物とを組み合わせる前記工程が、コレステリック液晶ポリマーと、nが1または2であり、Rがアクリレートであり、R1が(C2−C6)アルキレンであり、R2が−O−であり、R3がフェニレンであり、R4が−C(O)O−または−O(O)C−であり、R5が結合またはフェニレンであり、R6がF、シアノ、CF3、メトキシ、またはブトキシである式(IV)の化合物とを組み合わせる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
コレステリック液晶ポリマーと式(IV)の化合物とを組み合わせる前記工程が、コレステリック液晶ポリマーと
【化8】

である式(IV)の化合物とを組み合わせる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記コレステリック液晶ポリマーを配向させる前記工程により、最低透過率(%)の波長において、式(IV)の化合物を含まないコレステリック液晶フィルムの最低透過率(%)の値より小さい最低透過率(%)の値を有するコレステリック液晶フィルムを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記コレステリック液晶ポリマーを配向させる前記工程により、最低透過率(%)の波長において、式(IV)の化合物を含まないコレステリック液晶フィルムの通過透過率(%)の値より大きい通過透過率(%)の値を有するコレステリック液晶フィルムを形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コレステリック液晶ポリマーを配向させる前記工程が、式(IV)の前記化合物を含まないコレステリック液晶フィルムの最大コントラスト比の値より大きい最大コントラスト比の値を有するコレステリック液晶フィルムを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記コレステリック液晶フィルム中の式(IV)の前記化合物を硬化させる工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−504296(P2007−504296A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524639(P2006−524639)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021610
【国際公開番号】WO2005/023964
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】