説明

コレステロールを隔離するのに適したナノ構造体

コレステロール等の分子を隔離することができるものを含むナノ構造体に関連する物品、組成物、キットおよび方法を提供する。本明細書に記載のある実施形態は、コアシェル型配列を有する構造体を含む。たとえば、ナノ粒子コアは、コレステロールおよび/または他の脂質と相互作用することができる脂質二重層等の物質を含むシェルに囲繞され得る。いくつかの実施形態において、構造体は、被験体に導入されると、コレステロールおよび/または他の脂質を隔離し、循環からそれらを除去することができる。したがって、本明細書に記載の構造体はある種の疾患または身体状態、特に、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して物品を含むナノ構造体およびその組成物を製造する方法に関し、より詳細にはコレステロール等の分子を隔離することができるナノ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リポソームナノ構造体を含むナノ構造体は、ドラッグデリバリー、遺伝子デリバリー、診断法等の用途で使用されている。かかるナノ構造体を製造する種々の方法が使用されている。たとえば、リポソームナノ構造体は、リポタンパク質/結合体合成を含み、両親媒性のリポソーム成分の混合物を超音波処理する技術によって形成されている。しかしながら、かかる方法のいくつかは、比較的サイズが大きく、サイズ分布が大きくおよび/または安定性が短い構造体をもたらすことが多い。したがって、サイズがより小さく、サイズ分布が制御され、および/または安定性が長いナノ構造体、およびナノ構造体の官能性および調整性を制御しながら、かかるナノ構造体を作る方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、概して、異常脂質レベルに関連したものを含む、ある種の疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するためのナノ構造体および組成物に関する。したがって、本明細書に記載のある実施形態は、コレステロール等の脂質を隔離するよう構成される。本願の主題は、いくつかの場合において、相互関係のある製品、特定の問題への代替案、および/または構造体および組成物の複数の異なる用途を含む。
【0004】
1つの組の実施形態において、構造体を提供する。一実施形態において、構造体は、無機物質を含むナノ構造体コアと、ナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着する脂質二重層を含むシェルとを含む。シェルは、内側表面および外側表面を有する。タンパク質は、シェルの少なくとも外側表面と会合する。構造体は、コレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。
【0005】
他の実施形態において、構造体は、最大断面寸法が約30nm以下のナノ構造体コアと、ナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着する脂質二重層を含むシェルとを含む。シェルは、内側表面および外側表面を有する。タンパク質は、シェルの少なくとも外側表面と会合する。構造体は、コレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。
【0006】
上述の構造体において、脂質二重層は1以上のリン脂質(たとえば、50〜200のリン脂質)を含んでもよい。シェルはリポタンパク質構造体を有してもよく、アポリポタンパク質、たとえば、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、またはアポリポタンパク質Eを任意により含んでもよい。
【0007】
他の組の実施形態において、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、無機物質を含むナノ構造体コアと、ナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルとを含む構造体を含んでもよい。構造体は、コレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。医薬組成物は、1以上の医薬的に許容可能な担体、添加物、および/または希釈剤をさらに含んでもよい。組成物の構造体は、脂質と、いくつかの実施形態においては、脂質二重層とを含むシェルを含んでもよい。1以上のタンパク質が、シェルの少なくとも外側表面と会合してもよい。ナノ構造体コアは、いくつかの場合において、無機物質を含んでもよい。
【0008】
他の組の実施形態において、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するためのキットを提供する。キットは、複数の構造体を含む組成物を含むことができ、各構造体は、無機物質を含むナノ構造体コアおよびナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルを含む。構造体はコレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。キットは、さらに、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態の診断、予防、処置、または管理に組成物を用いるための取扱説明書を含む。キットは、異常に高い脂質レベルまたは異常に低い脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理する、または心血管疾患、アテローム性動脈硬化、高脂血症、癌、炎症、タンパク質蓄積症、止血の疾患、リウマチ病、または神経疾患を診断、予防、処置、または管理するために使用してもよい。
【0009】
他の組の実施形態において、一連の方法を提供する。一実施形態において、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するための方法を提供する。方法は、無機物質を含むナノ構造体コアおよびナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルを含む構造体を含む組成物の治療上有効な量を被験体に投与する工程を含む。構造体は、コレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。方法は、構造体にコレステロール、たとえば、少なくとも5分子、20分子、または50分子のコレステロールを隔離させる工程を含んでもよい。コレステロールは、たとえば、エステル化コレステロールまたは遊離コレステロールであってもよい。他の実施形態において、方法は、構造体に特定のタイプまたは組成の分子、たとえば、少なくとも5、20、または50の特定のタイプまたは組成の分子を隔離させる工程を含む。
【0010】
他の実施形態において、方法は、複数の構造体を含む組成物を被験体または生物学的試料に導入する工程であって、各構造体が、無機物質を含むナノ構造体コアおよびナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルを含む、工程を含む。構造体は、コレステロール(または、ある実施形態においては他の脂質または分子)を隔離するよう適合されてもよい。方法は、さらに複数の構造体および/または被験体もしくは生物学的試料を、被験体もしくは生物学的試料の疾患または状態を決定することができる試験条件にさらす工程を含む。たとえば、試験条件は画像形成条件であってもよい。他の場合では、試験条件はアッセイ条件であり、方法は、複数の構造体の少なくとも一部分を被験体または生物学的試料から回収する工程および被験体または生物学的試料から回収された複数の構造体でアッセイを行なう工程を含む。
【0011】
他の実施形態において、方法は、表面および約50nm以下の最大断面寸法を有するナノ構造体コアを提供する工程と、複数の成分を提供する工程と、自己集合によってナノ構造体コアの表面上に複数の成分の層を形成する工程とを含み、複数の成分がナノ構造体コアを囲繞している。方法は、さらにナノ構造体コアの少なくとも一部分を除去する工程と、少なくとも部分的に中空のコアを囲繞する複数の成分を含む構造体を形成する工程とを含んでもよい。任意により、方法は、除去工程前(または前)に、ナノ構造体コアの表面上の複数の成分を架橋させる工程を含んでもよい。
【0012】
他の実施形態において、方法は、複数の第1の成分、複数の第2の成分、および複数のナノ構造体コアを液体の単一相中で組み合わせる工程を含む。方法は、さらに、少なくとも1つのナノ構造体コアの表面上に複数の第1の成分を含む第1の層を、自己集合により形成する工程と、第1の層に隣接する複数の第2の成分を含む第2の層を、自己集合により形成する工程とを含む。第1および第2の層は、少なくとも1個のナノ構造体コアを囲繞するシェルを構成する。
【0013】
上述のある実施形態において、シェルは、ナノ構造体コアを実質的に囲繞する。
【0014】
また、本発明は、ある種の疾患または身体状態、特に、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するための薬剤の調製における、上述の組成物および/または構造体のいずれかの使用に関する。
【0015】
本発明の他の利点および新規特徴は、添付の図面とともに考察すると、本発明の種々の非制限的実施形態に関する以下の詳細な説明より明らかとなる。本明細書および参照により組み込まれる文献に不一致および/または矛盾する開示がある場合、本明細書が管理する。参照により組み込まれる2つ以上の文献に互いに不一致および/または矛盾する開示がある場合、実効日が後の文献が管理する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本発明の非制限的実施形態を、添付の図面を参照しながら例を挙げて説明する。各図面は模式的であって縮尺通りに示すことを意図していない。図において、例示する同一または略同一の要素は、それぞれ、単一の数字によって典型的に示す。明瞭性を目的として、すべての要素がすべての図中でラベル付けされるとは限らない。また、本発明の各実施形態の要素は、当業者が発明を理解するのに例示が必要でない程度に示されている。
【図1】図1は、1つの組の実施形態に係る、コレステロールを隔離するために使用することができる構造体の例を示す。
【図2】図2A〜図2Eは、1つの組の実施形態に係る、様々な構造体を製造する方法を示す。
【図3】図3Aおよび図3Bは、1つの組の実施形態に係る、構造体のシェルを形成するために使用することができるある種のリン脂質の化学構造体を示す。
【図4】図4は、1つの組の実施形態に係る、ナノ構造体コア上で共同自己集合したタンパク質(APO−AI)脂質二重層を形成するための合成方法を示す。
【図5】図5は、1つの組の実施形態に係る、結合体化したおよび結合体化していない金ナノ粒子のUV可視スペクトルを示す。
【図6】図6は、1つの組の実施形態に係る、本明細書に記載の構造体へのNBDコレステロールの結合等温線を示す。
【図7】図7は、1つの組の実施形態に係る、図8に示す化合物3a、b、および4a、bの合成経路の第1工程を示す。
【図8】図8は、1つの組の実施形態に係る、本明細書に記載の構造体の形成において使用された各種化合物を示す。
【図9−1】図9Aは、1つの組の実施形態に係る、脂質で機能化された金ナノ粒子を形成する工程の模式図を示す。図9Bおよび図9Cは、1つの組の実施形態に係る、C10脂質で機能化された金ナノ粒子を示すTEM画像である。図9Dは、1つの組の実施形態に係る、脂質およびApo−AIで機能化された金ナノ粒子を形成する工程の模式図を示す。図9Eおよび図9Fは、1つの組の実施形態に係る、C10脂質およびApo−AIで機能化された金ナノ粒子を示すTEM画像である。
【図9−2】図9Gおよび図9Hは、1つの組の実施形態に係る、C15脂質で機能化された金ナノ粒子を示すTEM画像である。図9Iおよび図9Jは、1つの組の実施形態に係る、C15脂質およびApo−AIで機能化された金ナノ粒子を示すTEM画像である。図9Kおよび図9Lは、1つの組の実施形態に係る、C10脂質で機能化された金ナノ粒子がヨウ素で処理された後の少なくとも部分的に中空の構造体を示すTEM画像である。
【図10】図10Aおよび図10Bは、1つの組の実施形態に係る、C10脂質で機能化された金ナノ粒子のAFM画像である。図10Cおよび図10Dは、1つの組の実施形態に係る、C10で機能化された金ナノ粒子をヨウ素で処理した後に形成される構造体のAFM画像である。
【図11】図11Aおよび図11Bは、1つの組の実施形態に係る、ヨウ素で処理する前後に形成される構造体のUV可視プロットである。
【図12】図12は、1つの組の実施形態に係る、C10脂質で機能化された構造体への、蛍光標識されたコレステロールの結合を示すプロットである。
【図13】図13は、1つの組の実施形態に係る、C10脂質およびApo−AIで機能化された構造体への、蛍光標識されたコレステロールの結合を示すプロットである。
【図14】図14は、1つの組の実施形態に係る、単相合成を使用して形成された構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
コレステロール等の分子を隔離することができるものを含むナノ構造体に関連する物品、組成物、キットおよび方法を提供する。本明細書に記載のある実施形態は、コアシェル型配列を有する構造体を含む。たとえば、ナノ粒子コアは、コレステロールおよび/または他の脂質と相互作用することができる脂質二重層等の物質を含むシェルに囲繞され得る。いくつかの実施形態において、構造体は、被験体に導入されると、コレステロールおよび/または他の脂質を隔離し、循環からそれらを除去することができる。したがって、本明細書に記載の構造体はある種の疾患または身体状態、特に、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するために使用され得る。
【0018】
本明細書に記載のある種の構造体は、「善玉」、「悪玉」コレステロールと一般に呼ばれる高密度リポタンパク質(HDL)および低密度リポタンパク質(LDL)等の、循環性リポタンパク質の働きをそれぞれすることができる。これらの分子は通常血液に溶解しないので、リポタンパク質の1つの機能は、水性の血液における、体内のコレステロールおよび他の脂質を輸送することである。さらに、リポタンパク質はアテローム性動脈硬化等の多くの重要な病理学的機能の原因である。これらのリポタンパク質および他の類似の循環性粒子(たとえば、中間型リポタンパク質、超低比重リポタンパク質等)は、典型的には5〜1000nmのナノ構造体を含む。各リポタンパク質は、その界面化学、サイズおよび組成に関して独特である。しかしながら、リポタンパク質はさらにリン脂質の外側層、疎水性部分(たとえば、コレステロールエステルおよびトリグリセリド)の内核、および個々のリポタンパク質種を識別し、生理機能を司る表面タンパク質を共通に有する。
【0019】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、コア(たとえば、金ナノ粒子)は、テンプレートへの足場として使用し、さらに種々様々の界面化学および調整性に従順な、十分に定義されたサイズ、形状および界面化学の構造体の合成を指示することができる。たとえば、1つの、ボトムアップ、サイズ特有のリポタンパク質合成は、脂質二重層および/または他の好適な成分を含むシェルを支持するためにナノ構造体コアを使用することにより行なわれてもよい。本発明者の知る限り、調整可能で拡張した界面化学(たとえば、タンパク質固定化)を備えた生物学上好適な脂質構造体で、特に、コレステロールを隔離することができるものは、たとえば、無機ナノ構造体との関係において実証されておらず、ナノ構造体は形成された構造体のサイズを制限およびテンプレート化するよう作用する。さらに、本発明者は、今のところ、5〜30nm、または5〜50nmの(ナノ構造体コアのあるまたはない)合成脂質(またはリポタンパク質)種の構造体、コレステロールを隔離することができるサイズ療法および/または、コアおよび/または界面特性を化学的に調整して治療的または他の恩恵を導出することができる能力を有しながら、構造体のサイズおよび形状を制御することができる治療剤としての使用の例はないと確信している。
【0020】
合成リポタンパク質、特にHDLを合成するおよび/または再構成する際のある種のこれまでの試みは、リポタンパク質の自己構築の原因である、表面同定タンパク種の精製と、構成リン脂質、コレステロールおよび他の成分との混合とに依存する。これらの粒子の激しい混合は、再構成されたリポタンパク質種および多数の反応副産物で満たされた溶液をもたらす。したがって、かかる調製のいくつかは不安定性により有効期間が限定され、粒子不安定性によりそれらの短いin vivoでの循環時間によって治療薬として制限され、そして、それらが構築用の純粋なリポタンパク質構成タンパク種の利用可能性に依存するために製造が非常に高価である。対照的に、本明細書に記載のある種の物品および方法は、高い再現精度および大規模なスケールアップの可能性で構造体の制御可能な合成のためのナノ構造体足場の使用を含む。生じる構造体は、様々な溶媒において安定しており、in vivoでの循環時間が高く、比較的安価で製造することができる。さらに、脂質は市販のリンカー化学で容易に修飾することができるので、本明細書に記載の構造体は抗体、小分子およびタンパク質等の潜在的な薬物および/またはターゲティング/認識剤での機能化を促進するのに従順である。以下、さらなる利点をより詳細に説明する。
【0021】
以下、本発明の構造体の例を説明する。
【0022】
図1の例示的実施形態は、コア16と、コアを囲繞するシェル20とを有する構造体10を含む。コアがナノ構造体である実施形態において、コアは、1以上の成分が任意で付着することができる表面24を含む。たとえば、いくつかの場合においては、コア16はシェル20に囲繞されたナノ構造体であり、内側表面28および外側表面32を含む。シェルは、互いにおよび/またはコアの表面24と任意に会合してもよい複数の脂質等の、1以上の成分34の少なくとも一部に形成されてもよい。たとえば、成分34は、コアに対して共有付着することにより、物理吸着することにより、化学吸着することにより、または、イオン相互作用、疎水性および/または親水性相互作用、静電的相互作用、ファンデルワールス相互作用またはその組み合わせを介してコアに付着することにより、コアと会合してもよい。1つの特定の実施形態において、コアは金のナノ構造体を含み、シェルは金−チオール結合によってコアに付着する。
【0023】
任意により、成分34は互いに架橋することができる。シェルの成分の架橋は、たとえば、シェル内部への、またはシェルへの領域外部とシェルへの領域内部との間での種の輸送の制御を可能にする。たとえば、比較的高い量の架橋は、ある種の小さいが大きくない分子がシェルを通過することを可能にするが、比較的低い架橋または架橋がない場合は、より大きな分子がシェルを通過することを可能にする。さらに、シェルを形成する成分は、単層または多層の形をしていてもよい。それはさらに分子の輸送または隔離を容易にするか、妨げることができる。1つの例示的な実施形態において、以下でより詳細に説明するように、シェル20がコレステロールを隔離するよう構成される脂質二重層を含む。
【0024】
かかる実施形態は可能かもしれないが、コアを囲繞するシェルが完全にはコアを囲繞しなくてもよいことが理解される。たとえば、シェルは、コアの表面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%を囲繞してもよい。いくつかの場合において、シェルが実質的にコアを囲繞する。他の場合において、シェルは完全にコアを囲繞する。シェルの成分は、いくつかの場合、および一様ではないが他の場合において、コアの表面全域に均一に分配されてもよい。たとえば、シェルは、いくつかの場合において、いかなる物質も含まない部分(たとえば、穴部)を含んでもよい。所望であれば、シェルは、シェルの中への、またはシェルからのある種の分子および成分の浸透および/または輸送を可能にするよう設計されてもよいが、シェルの中への、またはシェルからの他の分子および成分の浸透および/または輸送を防いでもよい。ある種の分子がシェル内部におよび/またはシェルを越えて浸透するおよび/または輸送される能力は、たとえばシェルを形成する成分の記録密度、およびシェルを形成する成分の化学および物理的性質に依存してもよい。本明細書に記載の通り、シェルはいくつかの実施形態において、物質の単層、または物質の多層を含んでもよい。
【0025】
構造体10は、構造体に任意により特異性を付与してもよいタンパク質、核酸および生物活性剤等の1以上の成分36をさらに含んでもよい。1以上の成分36はコア、シェルまたは両方と会合してもよく、たとえば、それらは、コアの表面24、シェルの内側表面28、シェルの外側表面32と会合してもよく、かつ/あるいはシェルに埋め込まれていてもよい。たとえば、1以上の成分36は、共有結合、物理吸着、化学吸着を介してコア、シェルまたはその両方と会合してもよく、または、イオン相互作用、疎水性および/または親水性相互作用、静電的相互作用、ファンデルワールス相互作用またはそれらの組み合わせを介して付着されてもよい。1つの特定の実施形態において、シェル20は、互いに共有的または非共有的に結合したタンパク質および脂質の両方を含むリポタンパク質アセンブリまたは構造体の形状を有する。たとえば、シェルは、脂質の取込みを規制する酵素補因子、受容体リガンドおよび/または脂質転移担体として作用するアポリポタンパク質アセンブリの形状を有していてもよい。本明細書に記載の通り、構造体の表面がHDL、LDLまたは他の構造体の一般的な表面組成を模倣するように、構造体10の成分が選択されてもよい。
【0026】
本明細書に記載のもの以外の成分および構成がある種の構造体および組成物に適していてもよく、図1に示される成分のすべてがいくつかの実施形態の中に必ず存在するとは限らないことが理解される。
【0027】
いくつかの場合において、コア16は中空形状であることから、ナノ構造体コアを含んでいない。したがって、いくつかのかかるまたは他の実施形態において、構造体10は、任意により、成分(たとえば、生物活性剤、コレステロール)がコア16およびシェルの外側の環境40を通過することを可能にするシェルを含む。シェルを形成する成分の立体障害により典型的には最大断面寸法が約100nmより大きい、ある既存の中空構造体(たとえば、リポソーム)とは対照的に、中空コア(たとえば、部分的にまたは全体的に中空のコア)を有する構造体10は非常に小さくてもよく、たとえば、最大断面寸法が約100nm未満または約50nm未満である。たとえば、リン脂質が立体的に制限されるため、リン脂質を含む脂質二重層を含むリポソームは100未満nmのサイズで製造するのが困難である。かくして、小さな曲率半径で二分子膜の中空構造体を形成することは困難かまたは不可能となる。しかし、本明細書に記載の方法を使用して、以下でより詳細に示すように、小さな曲率半径を有するかかるおよび他の構造体を形成することができる。
【0028】
1つの組の実施形態において、ナノ構造体コアまたは中空コアのいずれかを含む構造体10は、ある種の分子を、被験体または生物学的試料におよび/または被験体または生物学的試料から隔離、輸送または交換するよう構成かつ配列される。たとえば、構造体10は、被験体に導入されると、細胞、組織、器官、粒子、液体(たとえば、血液)およびそれらの一部分等の被験体の1以上の成分と相互作用し得る。相互作用は、構造体10のシェルを介して少なくとも部分的に生じ、たとえば、被験体の1以上の成分から構造体10への、および/または構造体10から被験体の1以上の成分への物質(たとえば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、栄養素)の交換を含み得る。いくつかのかかる実施形態において、構造体10のシェルは、被験体からの1以上の物質を用いた好適な相互作用(たとえば、結合、吸着、輸送)を可能にする特性を備えた成分を含むよう設計することができる。たとえば、シェルは、以下でより詳細に説明するように、特定の相互作用を容易にするためにある種の疎水性、親水性、表面電荷、官能基、結合用特異性および/または密度を有する成分を含んでもよい。ある実施形態において、被験体からの1以上の物質が構造体10により隔離され、構造体10は物質の排泄、分解および/または輸送を容易にする。物質の排泄、分解および/または輸送は、ある種の有益および/または治療的効果をもたらすことができる。そのため、本明細書に記載の構造体は、ある種の疾患または身体状態の診断、予防、処置、または管理に使用することができる。
【0029】
一組の特定の実施形態において、ナノ構造体コアまたは中空コアのいずれかを含む構造体10は、コレステロール(および/または他の脂質)を隔離するよう構成かつ配列される。理論によって囚われることなく、構造体10が、構造体の疎水性の層(たとえば、脂質二重層)との疎水的相互作用によりコレステロールを隔離することが仮説として立てられる。たとえば、いくつかの場合において、コレステロールは疎水的相互作用により構造体の表面(たとえば、シェルの外側表面)に結合することができる。他の場合において、コレステロールは、シェルの外側表面から、シェルの内側表面および/または構造体のコアまで輸送することができる。コレステロールもシェルに、たとえば、シェルの2つの層の間に埋め込むことができる。任意により、構造体10は、コレステロールを容易に隔離することができる、1以上のアポリポタンパク質(たとえば、アポリタンパク質−A1)、タンパク質またはペプチドを含んでもよい。また、構造体10は、細胞から、または他の循環性リポタンパク質種からコレステロールおよびリン脂質を除去することにより、コレステロールを隔離してもよい。構造体10により隔離されたコレステロールは、酵素により(たとえば、レシチン:アシルCoA転移酵素(LCAT)によって)エステル化されて、構造体の中心の方へ移動し得るコレステロールエステルを形成してもよい。中空コアの実施形態の場合において、コレステロールエステルが中空コアに蓄積してもよい。
【0030】
さらに、理論に囚われることなく、本明細書に記載の構造体は、高濃度のコレステロール(たとえば、プラーク)からコレステロールを隔離し、かつ、それを肝臓へ直接的または間接的に輸送することができる。たとえば、コレステロールは、プラークからのコレステロールの直接的な流出により高濃度のコレステロール(たとえば、プラーク)の領域から、または、本明細書に記載の構造体へプラークの任意の成分から隔離される。いくつかのかかる実施形態において、構造体により隔離されたコレステロールは、構造体によって肝臓に直接輸送される。他の実施形態において、他の循環性リポタンパク質種(たとえば、LDL)は、コレステロール交換に関係し得る。たとえば、いくつかの場合において、遊離コレステロールまたはエステル化コレステロールは、他のリポタンパク質から本明細書に記載の構造体へ移送される。他の場合において、遊離コレステロールまたはエステル化コレステロールが本明細書に記載の構造体により隔離されると、コレステロールは、構造体から他のリポタンパク質種まで移送され、最終的に肝臓に行き着いてもよい。したがって、かかる実施形態において、本明細書に記載の構造体は逆のコレステロール輸送を間接的に増大させることができる。さらに、他のリポタンパク質種に本明細書に記載の構造体から遊離コレステロールまたはエステル化コレステロールが隔離される場合、構造体は、たとえば、高コレステロール含有量領域、プラーク、循環性リポタンパク質、または高コレステロール濃度の他の生理学的部位からコレステロールをさらに隔離してもよい。ただし、本明細書に記載の構造体は、他のルート、たとえば、尿を介してコレステロールおよび/または他の分子を除去してもよく、本発明はこの点に関して制限されない。
【0031】
したがって、構造体10は、アテローム性動脈硬化およびコレステロール輸送の研究のために心疾患の分野で使用してもよく、一般に、以下でより詳細に説明するように、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理することができる。
【0032】
本明細書に記載の構造体および/または組成物により隔離された分子(たとえば、コレステロールまたは他の脂質)の量は、たとえば構造体のサイズ、粒子の生物学および界面化学、ならびに管理方法に依存し得る。たとえば、構造体が末梢部から肝臓へ無限に循環され再び出て行く場合、構造体は再利用されるので、有効である組成物のために、比較的少数のコレステロール分子が各構造体により隔離される必要がある。他方では、たとえば、組成物が使用される場合、コレステロールまたは胆汁酸対外排出促進薬として、経口的に、構造体が、より多くのコレステロールを隔離してコレステロール摂取量を増加させてもよい。また、構造体が、コレステロールを隔離した後で(たとえば、肝臓や尿を介して)急速に排出されるようなサイズである場合、構造体毎の大量のコレステロール摂取および/または継続的な輸注が実施され得る。そのため、医薬組成物または他の製剤に組み込まれ得る本明細書に記載の単一の構造体は、使用中に、構造体のサイズ(たとえば、表面積および/または体積)、特定用途および管理方法に依存する、たとえば、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも5,000または少なくとも10,000の、いかなる好適な数の特定のタイプの分子(たとえば、コレステロール等の脂質;発情ホルモン物質、プロゲステロンおよびテストステロン等のステロイド;胆汁酸塩等)をも隔離することができる。いくつかの場合において、かかる数の分子は1つの特定の段階で構造体に結び付けることができる。
【0033】
いくつかの場合において、単一構造体は、コレステロールの結合定数K、たとえば、約100μM以下、約10μM以下、約1μM以下、約0.1μM以下、約10nM以下、約7nM以下、約5nM以下、約2nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下、約10pM以下、約1pM以下、約0.1pM以下、約10fM以下、または約1fM以下を有する。隔離されたコレステロールの量および結合定数を決定する方法は、以下でより詳細に提供される。
【0034】
ある実施形態において、本明細書に記載の構造体により隔離された分子は、たとえば、隔離された分子の数に応じて、構造体のサイズ(たとえば、横断面積、表面積および/または体積)を増加させる。本明細書に記載の通り、分子は、構造体の表面と会合してもよく、構造体のシェルに埋め込まれてもよく、構造体のコアに輸送されてもよく、またはそれらが組み合わされていてもよい。そのため、いくつかの実施形態において、構造体のサイズ(たとえば、横断面積、表面積および/または体積)は、隔離後/隔離中の時間と比較して隔離前の時間から少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも100%増加し得る。
【0035】
しかしながら、本明細書における実施形態の多くがコレステロールまたは他の脂質を隔離する内容を記載するが、本発明はかかる内容に限定されるものではなく、本明細書に記載の構造体、構成物、キットおよび方法は、他の分子を隔離し、かつ/あるいは他の疾患または身体状態を予防、処置、または管理するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0036】
ナノ構造体コアまたは中空コアのいずれかであるコア16は、任意の好適な形状および/またはサイズを有し得る。たとえば、コアは、実質的に球形、非球形、楕円形、棒状、ピラミッド形、立方体形、円盤状、ワイヤー状、または凸凹状であってもよい。コア(たとえば、ナノ構造体コアまたは中空コア)は、最大断面寸法(または、場合によっては、最小断面寸法)が、たとえば、約500nm以下、約250nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、または約5nm以下である。いくつかの場合において、コアのアスペクト比は約1:1を上回り、3:1を上回り、または5:1を上回る。本明細書で使用される「アスペクト比」は幅に対する長さの比率を指す。ここで長さおよび幅は、互いに垂直に測定される。また、長さは最長の直線的に測定された寸法を指す。
【0037】
コア16がナノ構造体コアを含む実施形態において、ナノ構造体コアは任意の好適な物質から形成されてもよい。たとえば、一実施形態において、ナノ構造体コアは無機物質を含む。無機物質としてはたとえば、金属(たとえば、Ag、Au、Pt、Fe、Cr、Co、Ni、Cu、Znおよび他の遷移金属)、半導体(たとえば、ケイ素、ケイ素化合物および合金、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、砒化インジウム、およびリン化インジウム)、または絶縁体(たとえば、酸化ケイ素等のセラミックス)が挙げられる。無機物質は、任意の好適な量、たとえば、少なくとも1重量%、5重量%、10重量%、25重量%、50重量%、75重量%、90重量%、または99重量%でコア中に存在し得る。一実施形態において、コアは100重量%の無機物質より形成される。ナノ構造体コアは、いくつかの場合おいて、量子ドット、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤーまたはカーボンナノロッドの形状であり得る。いくつかの場合において、ナノ構造体コアは、生体起源でない物質を含む、または、生体起源でない物質より形成される。いくつかの実施形態において、ナノ構造体は、たとえば、合成高分子および/または天然高分子等の1以上の有機物質を含む。合成高分子としては、ポリメタクリレート等の非分解性重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の分解性重合体、およびそれらの共重合体等が挙げられる。天然重合体としては、たとえば、ヒアルロン酸、キトサンおよびコラーゲンが挙げられる。
【0038】
また、コア16を囲繞するシェル20を含んでもよい構造体10は、任意の好適な形状および/またはサイズを有してもよい。たとえば、構造体の形状は、実質的に球形、楕円形、棒状、ピラミッド形、立方体形、円盤状、または凸凹状であってもよい。構造体の最大断面寸法(または、場合によっては、最小断面寸法)は、たとえば約500nm以下、約250nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、または約5nm以下であり得る。また、構造体のアスペクト比は、コアのアスペクト比に実質的に類似していてもよい。
【0039】
さらに、構造体のシェルは、任意の好適な厚さを有し得る。たとえば、シェルの厚さは、(たとえば、シェルの内側表面から外側表面までが)少なくとも10オングストローム、少なくとも0.1nm、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも7nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、または少なくとも200nmであってもよい。いくつかの場合において、シェルの厚さは、(たとえば、シェルの内側表面から外側表面までが)200nm未満、100nm未満、50nm未満、30nm未満、20nm未満、15nm未満、10nm未満、7nm未満、5nm未満、3nm未満、2nm未満、または1nm未満である。かかる厚さは、本明細書に記載のように、分子の隔離前または隔離後に決定してもよい。
【0040】
当業者は、構造体および粒子のサイズを判定する技術に精通している。好適な技術としては、たとえば、動的光散乱(DLS)(たとえば、Malvern Zetasizer機器を使用する)、透過型電子顕微鏡、走査電子顕微鏡法、電気抵抗によるカウント、およびレーザー回折が挙げられる。他の好適な技術は、当業者にとって周知である。ナノ構造体のサイズを判定する多くの方法は周知であるが、本明細書に記載のサイズ(たとえば、最大または最小断面寸法、厚さ)は、動的光散乱によって測定されたものを指す。
【0041】
本明細書に記載の構造体のシェルは、疎水性物質、親水性物質、および/または両親媒性物質等の任意の好適な物質を含み得る。シェルは、ナノ構造体コアのための上記列挙されたような1以上の無機物質を含み得るが、いくつかの実施形態において、シェルは脂質かある種の重合体等の有機物質を含む。いくつかの実施形態において、シェルの成分は、コレステロールまたは他の分子の隔離を容易にするために選択され得る。たとえば、コレステロール(または他の隔離された分子)はシェルの表面で結合してもよく、そうでなければ会合してもよい。または、シェルは、コレステロールが構造体によって内面化されることを可能にする成分を含んでもよい。コレステロール(または他の隔離された分子)も、シェルに埋め込まれてもよく、層中に埋め込まれてもよく、またはシェルを形成する2つの層の間に埋め込まれてもよい。シェルの成分は、たとえば、構造体の表面に電荷を付与するように荷電されていてもよく、または荷電されていなくてもよい。
【0042】
1つの組の実施形態において、本明細書に記載の構造体またはその一部分、たとえば構造体のシェルは、1以上の天然または合成脂質または脂質アナログ(すなわち、疎水性分子)を含む。1以上の脂質および/または脂質アナログは、構造体の単層または多層(たとえば、二重層)を形成してもよい。多層が形成されるいくつかの例において、天然または合成脂質または脂質アナログは、(たとえば、異なる層間で)互いに組み合う。天然または合成脂質または脂質アナログの非限定的例としては、脂肪酸アシル、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、サッカロ脂質、およびポリケチド(ケトアシルサブユニットの凝縮に由来する)、およびステロール脂質およびプレノール脂質(イソプレンサブユニットの凝縮に由来する)が挙げられる。
【0043】
一組の特定の実施形態において、本明細書に記載の構造体は1以上のリン脂質を含む。1以上のリン脂質としては、たとえば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、レシチン、β,γ−ジパルミトイル−α−レシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、N−(2,3−ジ(9−(Z)−オクタデケニルオキシ))−prop−1−イル−N,N,N−トリメチラムモニウムクロリド、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ケファリン、カルディオリピン、セレブロシド、ジセチルフォスフェート、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイル−オレオイル−ホスファチジルコリン、ジ−ステアロイル−ホスファチジルコリン、ステアロイル−パルミトイル−ホスファチジルコリン、ジ−パルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジ−ステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジ−ミリストイル−ホスファチジルセリン、ジ−オレイル−ホスファチジルコリン、1,2−ジパミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホチオエタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの場合において、構造体のシェル(たとえば、二重層)は、50〜200の天然または合成脂質または脂質アナログ(たとえば、リン脂質)を含む。たとえば、シェルは、たとえば、構造体のサイズに応じて、約500未満、約400未満、約300未満、約200未満、または約100未満の天然または合成脂質または脂質アナログ(たとえば、リン脂質)を含み得る。
【0044】
非リン含有脂質も、ステアリルアミン、ドセシルアミン、アセチルパルミチン酸塩、および脂肪酸アミドのように使用され得る。他の実施形態において、脂肪、油、ろう、コレステロール、ステロール、脂溶性ビタミン(たとえば、ビタミンA、D、EおよびK)、グリセリド(たとえば、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)等の他の脂質は、本明細書に記載の構造体の一部分を形成するために使用することができる。
【0045】
ナノ構造体のシェルまたは表面等の、本明細書に記載の構造体の一部分は、任意により構造体に疎水性を付与する1以上のアルキル基、たとえば、アルカン−、アルケン−、またはアルキン含有種を任意により含み得る。「アルキル」基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を指す。アルキル基は、たとえば、CからC40の間の様々な炭素数を有してもよい。いくつかの実施形態において、炭素数は、C、C10、C15、C20、C25、C30またはC35よりも大きくてよい。いくつかの実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格に、30個以下、いくつかの場合においては20個以下の炭素原子を有してもよい。いくつかの実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格(たとえば、直鎖ではC〜C12、分岐鎖ではC〜C12)に12個以下、6個以下、4個以下の炭素原子を有してもよい。同様に、シクロアルキルは、それらの環状構造中に3〜10個の炭素原子、または環状構造中に5個、6個または7個有してもよい。アルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
アルキル基としては、任意の好適な末端基、たとえば、チオール基、アミノ基(たとえば、置換されていないまたは置換されたアミン)、アミド基、イミン基、カルボキシル基、または硫酸エステル基が挙げられ、たとえば、ナノ構造体コアへのリガンドの付着を直接的またはリンカーを介して可能にする。たとえば、不活性金属がナノ構造体コアを形成するために使用される場合、アルキル種は、メタル−チオール結合を形成するチオール基を含んでもよい。いくつかの例において、アルキル種は少なくとも第2の末端基を含む。たとえば、種はポリエチレングリコール等の親水性の部分に結合されてもよい。他の実施形態において、第2の末端基は他の官能基に共有的に付着することができる反応性基であってもよい。いくつかの例において、第2の末端基はリガンド/受容体相互作用(たとえば、ビオチン/ストレプトアビジン)に関係し得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、シェルは重合体を含む。たとえば、両親媒性重合体が使用され得る。重合体はジブロック共重合体、トリブロック共重合体等であってもよく、たとえば、一方のブロックが疎水性重合体で、他方のブロックが親水性重合体である。たとえば、重合体は、α−ヒドロキシ酸(たとえば、乳酸)およびポリエチレングリコールの共重合体であってもよい。いくつかの場合において、シェルは、ある種のアクリル樹脂、アミドおよびイミド、炭酸塩、ジエン、エステル、エーテル、フルオロカーボン、オレフィン、スチレン、ビニルアセタール、ビニル、および塩化ビニリデン、ビニルエステル、ビニルエーテルおよびケトン等を含み得る重合体、およびビニルピリジンおよびビニルピロリドン重合体等の疎水性重合体を含む。他の場合において、シェルは、ある種のアクリル樹脂、アミン、エーテル、スチレン、ビニル酸およびビニルアルコールを含む重合体等の親水性重合体を含む。重合体は、荷電されていてもよくまたは荷電されていなくてもよい。なお、シェルの特定の成分は構造体にある種の官能性を付与するよう選択可能である。
【0048】
シェルが両親媒性物質を含む場合、物質はナノ構造体コアに関して、および/または互いに任意の好適な方法で配列することができる。たとえば、両親媒性物質は、コアに向けられた親水基、およびコアから離れて伸びる疎水基を含んでもよく、または、両親媒性物質は、コアに向けられた疎水基、およびコアから離れて伸びる親水基を含んでもよい。各構成の二重層も形成することができる。
【0049】
また、本明細書に記載の構造体は、1以上のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(たとえば、合成ペプチド、両親媒性ペプチド)を含んでもよい。1つの組の実施形態において、構造体は、構造体のコレステロール移送速度またはコレステロール担持能力を増加させることができる、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。1以上のタンパク質またはペプチドは、コア(たとえば、コアの表面、またはコアに埋め込まれた)、シェル(たとえば、シェルの内側および/または外側表面、またはシェルに埋め込まれた)またはその両方と会合してもよい。会合としては、共有的または非共有的相互作用(たとえば、疎水性および/または親水性相互作用、静電的相互作用、ファンデルワールス相互作用)が挙げられる。
【0050】
本明細書に記載の構造体と会合する好適なタンパク質としては、たとえば、アポリポタンパク質A(たとえば、apo A−I、apo A−II、apo A−IVおよびapo A−V)、アポリポタンパク質B(たとえば、apo B48およびapo B100)、アポリポタンパク質C(たとえば、apo C−I、apo C−II、apo C−IIIおよびapo C−IV)およびアポリポタンパク質D、E、H等のアポリポタンパク質が挙げられる。具体的には、apo A、apo Aおよびapo Eは、代謝用として、肝臓へのコレステロールとコレステロールエステルの移送を促進させ、本明細書に記載の構造体に含めることは有益であり得る。さらに、またはあるいは、本明細書に記載の構造体は、上述のようなアポリポタンパク質の1以上のペプチドアナログを含んでもよい。構造体は、任意の好適な数、たとえば、少なくとも1、2、3、4、5、6または10個のアポリポタンパク質またはそのアナログを含んでもよい。ある実施形態において、構造体は、天然のHDL粒子に類似の1〜6個のアポリポタンパク質を含む。もちろん、他のタンパク質(たとえば、非アポリポタンパク質)も本明細書に記載の構造体に含むことができる。
【0051】
任意により、1以上の酵素も、本明細書に記載の構造体と会合してもよい。たとえば、レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼは、遊離コレステロールをコレステロールエステル(コレステロールのより多くの疎水性形式)に変換する酵素である。天然のリポタンパク質(たとえば、HDLおよびLDL)において、コレステロールエステルはリポタンパク質のコアへと隔離され、円盤形から球形にリポタンパク質を変形させる。したがって、本明細書に記載の構造体は、HDLおよびLDL構造体を模倣するためにレシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼを含んでもよい。HDLからLDL種までエステル化コレステロールを転送するコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)等の他の酵素も含むことができる。
【0052】
いくつかの場合において、1以上の生物活性剤が本明細書に記載の構造体または組成物と会合する。1以上の生物活性剤は、任意により、構造体または組成物から放出されてもよい(たとえば、長期的または短期的放出)。生物活性剤は、生物系に影響を及ぼす分子を含み、該分子としては、たとえば、タンパク質、核酸、治療薬、ビタミンおよびその誘導体、ウイルス画分、リポ多糖類、細菌画分、およびホルモンが挙げられる。該当する他の薬剤は化学療法剤を含んでもよく、癌患者の処置および管理に使用される。かかる分子は、抗増殖性剤、細胞毒性薬および免疫抑制剤として一般に特徴づけられ、タキソール、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド、アクチノマイシンおよびエトポシド等の分子を含む。
【0053】
生物活性剤の他の例としては、心血管系作用薬、呼吸器用薬、交感神経興奮様薬、コリン様作用薬、アドレナリン作用またはアドレナリン作動性ニューロン遮断薬、鎮痛剤/解熱剤、麻酔学、喘息治療薬、抗生物質、抗うつ薬、糖尿病用薬、抗真菌剤、抗高血圧剤、抗炎症剤(たとえば、プレドニゾン等のグルココルチコイド)、核酸種(たとえば、炎症伝達物質に対する反感覚およびsiRNA種)、抗腫瘍薬、抗不安薬、免疫抑制物質、免疫修飾剤、片頭痛治療剤、鎮静剤/催眠薬、抗狭心症薬、抗精神病薬、躁病治療剤、不整脈治療剤、抗関節炎薬、痛風治療薬、抗凝血剤、血栓溶解剤、抗線溶媒、ヘモレオロジック剤、抗血小板剤、抗痙攣薬、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン薬/かゆみ止め、カルシウム調整に有用な薬剤、抗菌性物質、抗ウイルス薬、抗菌剤、消毒剤、気管支拡張薬、血糖降下薬、脂質低下薬、赤血球形成刺激に有用な薬剤、抗潰瘍/抗逆流薬、鎮吐薬/鎮吐薬および脂溶性ビタミン、コレステロール剤(たとえば、コレステロール値を下げることで知られる、Lipitor、Zocor等のスタチン)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態において、1以上の核酸は、本明細書に記載の構造体と会合している。核酸は、可変長の、二本鎖鎖または一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のいずれかを含む。核酸はセンスおよびアンチセンスストランドを含む。ホスホロチエート、ホスホロアミダート、ホスホン酸塩アナログ等の核酸アナログも核酸と考えられ、使用されてもよい。核酸はさらに染色体および染色体片を含む。
【0055】
1以上の糖残基が、本明細書に記載の構造体と任意に会合することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の物品および方法は、本明細書に記載の構造体が特定の標的部位に配達されることができるよう、ターゲティングに使用されることができる。ターゲティングは、特定の標的部位または複数の部位に特異的な1以上のリガンドまたは受容体を有する構造体を機能化させることを含んでもよい。たとえば、本明細書に記載の構造体は、目標とされる部位の表面上で発現される受容体用のリガンド(またはリガンド用の受容体)を含んでもよい。たとえば、ある実施形態において、本明細書に記載の構造体は、構造体をアテロームプラーク内に保持させるまたは凝集させる比表面成分を含む。当業者に周知の通り、アテロームプラークに特異的な表面成分は、プラークの発達の特定の段階に依存してもよい。比表面成分としては、たとえば、抗体(抗体フラグメントおよび誘導体を含む)、プラークマーカー、特定細胞表面マーカー、小分子(たとえば、葉酸)およびアプタマー、すなわち、生物学の部分(たとえば、RNAアプタマーおよびDNAアプタマー)等の特定の標的分子を結合することができる核酸が挙げられる。アテロームプラーク、およびプラークの近傍の血管内皮細胞中の特定の標的としては、たとえば、フィブリン、マクロファージ、VCAM−1、E−セレクチン、インテグリン[アルファ][ベータ]、P−セレクチンおよびP−セレクチングリコプロテインリガンド−1(PSGL−1)が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、本明細書に記載の構造体のタンパク質成分は修飾され、標的とする分子、たとえば、Apo EまたはApo Aとして使用されることができる。構造体は、さらに特定の小分子を標的とするためのある種の基(たとえば、アシアロ基)を含んでもよい。
【0057】
本明細書に記載の成分、たとえば、脂質、リン脂質、アルキル基、重合体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、酵素、生物活性剤、核酸、および上述のものを標的にするための種は、任意の好適な方法で構造体と会合し、かつ、構造体の任意の好適な部分、たとえば、コア、シェル、またはその両方と会合してもよいことが理解される。たとえば、1以上のかかる成分が、コアの表面、コアの内部、シェルの内側表面、シェルの外側表面と会合してもよく、かつ/あるいは、シェルに埋め込まれてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、かかる成分は、被験体の1以上の成分(たとえば、細胞、組織、器官、粒子、液体(たとえば、血液)、およびその一部分)から本明細書に記載の構造体へ、および/または、構造体から構造体の1以上の成分への物質(たとえば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、栄養素)の隔離、交換および/または輸送を容易にするために使用することができる。いくつかの場合において、成分は、被験体からの1以上の物質との良好な相互作用(たとえば、結合、吸着、輸送)を可能にする化学および/また物理的特性を有する。
【0058】
さらに、本明細書に記載の成分、たとえば、脂質、リン脂質、アルキル基、重合体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、酵素、生物活性剤、核酸、および上述のものを標的にするための種は、被験体または生物学的試料への投与前に、および/または、被験体または生物学的試料への投与後に本明細書に記載の構造体と会合してもよい。たとえば、いくつかの場合において、本明細書に記載の構造体は、in vivoまたはin vitroで投与されるコアおよびシェルを含む。また、構造体は、被験体または生物学的試料から1以上の成分(たとえば、アポリポタンパク質)を隔離した後により大きな治療効果を有する。すなわち、構造体は、投与された後に、構造体の有効性を高めるために被験体または生物学的試料からの天然成分を使用してもよい。
【0059】
一態様において、本明細書に記載の構造体の製造方法が提供される。図2Aに例示した実施形態に示すように、方法100は、複数のナノ構造体116(たとえば、ナノ構造体コア)および第1の溶媒118を含む液体と、複数の成分126および第2の溶媒128を含む液体とを用意することを含む。第1の溶媒118は、ナノ構造体116を安定させてナノ構造体が溶液から沈澱するのを防ぐよう選択されてもよい。第2の溶媒128は、成分126を可溶性にするよう選択されてもよい。第1および第2の溶媒は、いくつかの実施形態において混和性であり、他の実施形態において不混和性であってもよい。溶媒118および128が互いに混和性である。ある実施形態において、溶媒は、さらに水と混和性であってもよい。かかるおよび他の溶媒は単相合成に有用であり得る。水と混和性であるかわずかに混和性である溶媒は、当業者にとって周知であり、たとえば、アルコール(たとえば、エタノール、プロパノール)、THF、DMFおよびDMSOが挙げられる。水と不混和性である有機溶媒も(たとえば二相合成において)使用することができる。
【0060】
図2Bに示すように、成分126がナノ構造体116と組み合わされると、成分126を含むシェル130が、構造体136を形成するためにナノ構造体の表面134上に形成される。図2Bに例示的に示すように、シェルは成分126の単層を含む。しかし、他の実施形態においては多層(たとえば、少なくとも2または少なくとも3層)を形成することができる。追加の成分が望まれる場合、成分は構造体136と組み合わせることができ、成分はシェル130の少なくとも一部分と会合してもよい。たとえば、図2Cに例示した実施形態に示すように、第3の溶媒158内にある第2の成分156をナノ構造体136と組み合わせて二重層の形状のシェル130を含む構造体152を形成してもよい。二重層は、同一か互いに異なってもよい成分126および156の間の良好な相互作用により形成されてもよい。ある実施形態において、成分126および156は互いに入り込む。
【0061】
任意により、ナノ構造体116の全部分または一部分を組み立てられた構造体から除去して、部分的にまたは全体的に中空のコアを形成してもよい。たとえば、図2Dに例示するように、構造体140は、中空コア160を囲繞する複数の成分126を含むシェル130を含む。ナノ構造体116は様々な方法によって構造体から除去することができ、それは、ナノ構造体116を形成するために使用される特定の物質に依存してもよい。たとえば、ナノ構造体116が金属(たとえば、金)ナノ粒子である場合、ヨウ素、シアン化カリウムおよび強酸(たとえば、硝酸)等のある種の金属を溶解すると知られている溶媒を、ナノ構造体コアを除去するために使用することができる。したがって、コアが金属(たとえば、Au(0))から形成されるいくつかの場合において、金属の除去は、金属塩、たとえば、Au(0)からAuおよび/またはAu3+を形成するために金属を酸化させることを含んでもよい。電気化学・酸化還元反応の方法もコアの全部分または一部分を除去するために使用することができる。いくつかの場合において、たとえば、ナノ構造体コアが除去工程の前よりもより多孔性となるように、ナノ構造体コアの全部分ではなく一部分が除去される。他の場合において、コアは、コアの一部分を除去することなく、シェルから解放される。たとえば、硫黄−金属結合によって金属コアに結合されるシェルは、結合を置き換えることができるジチオトレイトール(DTT)等の小分子の使用してコアから解放することができる。好適な溶媒または化学薬品は、コア物質の少なくとも一部分を除去することができるよう、および/または、シェルの形状および/または構成に悪影響を及ぼすことなく、コアからシェルを解放することができるよう、および/またはシェルの成分を分解する(たとえば、変性させる)よう選択されてもよい。
【0062】
ある実施形態において、ナノ構造体コアの全部分または一部分を除去する前に成分126は互いに架橋される。たとえば、成分126は、ジスルフィド結合を形成することにより架橋する、チオール化されたリガンドであってよい。当業者に周知の通り、任意の好適な架橋方法を使用することができ、その例としては、光架橋、化学架橋および酸化還元法が挙げられる。架橋工程は、ナノ構造体116と会合すると得られる構成と同一または同様の構成でシェル130を安定させるのことを促進させ得る。ある実施形態において、成分126の架橋はナノ構造体116の除去と同時に実施されて、部分的にまたは全体的に中空の構造体が形成される。
【0063】
図2Eに示すように、ナノ構造体116の全部分または一部分を除去するための同様のアプローチにより構造体142を形成することができ、該構造体142は、中空コア160を囲繞する成分126および156の二重層を含むシェル130を含む。
【0064】
いくつかの場合において、個別の工程でナノ構造体表面の成分の多層を形成する代わりに、単一工程で多重層を形成することができる。たとえば、成分126、成分156およびナノ構造体116は、液体、たとえば、成分およびナノ構造体を可溶性にし、かつ/あるいは、安定させる液体の単一相において組み合わされてもよい。かかる液体は、いくつかの場合において、水、またはと水と混和性である溶媒を含む。いくつかのかかる実施形態において、少なくとも成分126を含む第1の層と成分156を含む第2の層は、自己集合によって形成される。かかる過程における第1および第2の層は、いくつかの例において、実質的に同時に形成されてもよい。追加的層もかかる過程において形成することができる。各層は単一成分、または成分の混合物を含むことができる。層の形成を容易にするため、液体の一部分は、たとえば、低沸点の溶媒を蒸発させるために熱を加えることによって、混合物から除去されてもよい。
【0065】
成分とナノ構造体との比率は、たとえば、成分およびナノ構造体の種類、使用される溶媒、および構造体の製造方法に応じて調整することができる。たとえば、水溶液中の可溶性を得るために、水可溶性を維持するようにナノ構造体の表面上に十分な量の成分があるように、好適な比率を選択することができる。したがって、ある例において、成分の濃度が低すぎる場合、構造体は安定しない。さらに、ある種の成分の比率が高すぎる場合、ある種の不適当な構造体が、安定した単分散の構造体の代わりに形成されてもよい。当業者であれば、本明細書の記載と組み合わせて、簡易的な実験作業による好適な比率を決定することができる。
【0066】
さらに、図2には示さないが、タンパク質、核酸、重合体、生物活性剤(たとえば、コレステロール低下剤)、または他の構造体等の追加成分は、いかなる工程でも、図2A〜図2Eに示す構造体と会合することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、付加構造体は、成分126および/または156の追加と同時に、成分126および/または156の追加前に、または成分126および/または156の追加後に加えられる。
【0067】
有利には、本明細書に記載の方法を使用して、中空コア(または少なくとも部分的に中空のコア)を有するリポソーム様構造体を、ある種の既存のリポソームに特有のサイズ範囲で形成することができる。たとえば、リン脂質二重層から形成され、中空コアを有する多くの既存のリポソームについては、リン脂質二重層を形成することができるように、リポソームは十分に大きい(たとえば、典型的に直径が約100nmより大きい)。小径のリポソームを生成しようと試みる場合、リン脂質部分のパッキングは立体的に制限され、したがって、小さな曲率半径(たとえば、直径が約100nmより小さい)を有する二重層状のリポソーム構造体を形成することは困難か不可能となる。しかし、本明細書に記載の方法は、テンプレートとしてナノ構造体コアを使用することで、ナノ構造体コアのサイズおよび形によって少なくとも部分的に要求されるシェル中の成分の配列を可能にするので、小直径の構造体(たとえば、約100nm未満、または約50nm以下の最大断面寸法を有する構造体)を形成するために使用することができる。かかる方法は、HDLおよびLDL等のある種の分子を模倣する界面化学を有する生物学上妥当な構造体を生成するために使用することができる。
【0068】
さらに、テンプレートとして作用するナノ構造体を使用することにより本明細書に記載の構造体を形成することができるので、また、サイズ、形、および質量において比較的高い均一性を有する、ある種のナノ構造体を提供(たとえば、生成または購入)することができるので、本明細書に記載の構造体も、サイズ、形、および質量において比較的高い均一性を有し得る。すなわち、比較的均一の構造体の混合物を形成することができ、ここで、複数の構造体が、構造体の約20%、15%、10%、または5%以下が平均断面寸法の約20%、15%、10%、または5%を上回る断面寸法を有するような断面寸法の分布を有する。比較的均一性の高い構造体は、本明細書に記載のある種の組成物および方法に有用である。
【0069】
さらに、本明細書に記載の方法を使用して形成された構造体は、凝集体を形成する代わりに、液体中で分散してもよい。本明細書に記載の構造体の分散は本明細書に記載のある種の組成物および方法に有用である。
【0070】
当業者は、たとえば、好適な構造体をもたらす特定の成分およびナノ構造体コア、成分の物理的特性、ナノ構造体および溶媒を知ることにより、および/または、簡易的なスクリーニング試験により、本明細書に記載の構造体の形成に有用である、適当な成分(たとえば、成分126および156)、ナノ構造体コア、および溶媒を選択することができる。1つの簡易的なスクリーニング試験は、溶媒に成分(またはナノ構造体)を加えること、および、成分(またはナノ構造体)が可溶性か、溶媒中で安定するか、および/または、溶媒と反応するか、溶媒から悪影響を受けるか判断することを含んでもよい。他の簡易試験は、当業者よって実施することができる。
【0071】
1つの組の実施形態において、本明細書に記載の構造体、組成物、および方法は、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するために使用される。たとえば、高密度リポタンパク質は、アテローム性動脈硬化およびその結果生じる心疾患および脳卒中等の病気の進行に対して保護する、動的な血清ナノ構造体である。天然のHDLを模倣する構造体を含むもののように、本明細書に記載のある種の組成物および方法を管理することによって、循環性血清HDLレベル(たとえば、低HDLレベル)を増加させてもよい。これにより、たとえば、逆のコレステロール輸送を増加させることによるアテローム性動脈硬化の予防および潜在的な逆転に対する見込みのある治療的アプローチがもたらされる。他の実施形態において、本明細書に記載の組成物および方法は、たとえば、天然のLDLを模倣する構造体の使用によって、LDLレベルを低下させる(たとえば、高LDLレベルを低下させる)ために使用されてもよく、または一時的にLDLレベルを増加させてもよい。さらに、ある実施形態において、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態の診断、予防、処置、または管理は、体内からのコレステロールの流出を増加させることによって(たとえば、直接的または間接的な)逆のコレステロール輸送を増加させるために、本明細書に記載の構造体、組成物、および方法を使用することを含む。本明細書に記載の構造体および/または組成物の利益を受ける、異常脂質レベルに関連する他の疾患または身体状態としては、たとえば、コレステロールまたは他の物質を含有するプラークの堆積物が静脈の内膜および中膜内に形成されるアテローム性動脈硬化、静脈硬化症または任意の静脈性状態、急性冠症候群、安定狭心症、不安定狭心症を含む狭心症、炎症、敗血症、血管炎症、皮膚炎症、うっ血性心不全、冠性心疾患(CHD)、心室の不整脈、末梢血管疾患、心筋梗塞、致命的な心筋梗塞、致命的ではない心筋梗塞の発症、乏血、心臓血管の乏血、一過性脳虚血発作、心疾患と無関係な乏血、虚血再潅流障害、血管再生の減少した必要性、凝固障害、血小板減少、深部静脈血栓症、膵臓炎、非アルコール性脂肪性肝炎、糖尿病性ニューロパチー、網膜症、有痛性糖尿病性神経障害、跛行、乾癬、重症虚血肢、性交不能症、高脂血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、低αリポ蛋白血症、高トリグリセリド血、虚血症状に至る任意の狭窄状態、肥満、タイプIおよびタイプIIの両方を含む糖尿病、先天性魚鱗症、脳卒中、脆弱なプラーク、脚潰瘍形成、重篤な冠状動脈の乏血、リンパ腫、白内障、内皮機能不全、黄色腫、末端器官機能障害、道管病、くん煙に起因する道管病および糖尿病、頚動脈および冠動脈疾患、退行および縮化株化プラーク、不安定なプラーク、虚弱な道管内膜、不安定な道管内膜、内皮損傷、外科処置の結果である内皮障害、道管病に関連する病的状態、動脈の内腔での潰瘍形成、バルーン血管形成の結果である再狭窄、タンパク質蓄積症(たとえば、アルツハイマー病、プリオン病)、止血法の疾患(たとえば、血栓症、栓友病、汎発性血管内凝固、血小板減少、ヘパリン誘導血小板減少、血栓性血小板減少性紫斑病)、リウマチ病(たとえば、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症)、神経学的疾患(たとえば、パーキンソン病、アルツハイマー病)、またそれらのサブ表示が挙げられる。
【0072】
本明細書に記載の構造体、組成物、および方法は、たとえば、トリグリセリドレベルを減少させる、他の脂質のレベルを増加または減少させる、プラーク安定を増加させるまたはまたはプラーク崩壊の可能性を減少させる、血管拡張を増加または減少させる、炎症を処置または予防する、炎症性疾患または炎症反応を処置または予防する、平滑筋および道管内膜を強化または安定させる、肝臓への輸送のための細胞外コレステロールの流出を促進させる、免疫反応を調整する、アテロームプラークからコレステロールを流通させる、および、任意の膜、細胞、組織、器官、および、組成的および/または機能的修飾が有利である細胞外領域または構造体を修飾することによって、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理してもよい。
【0073】
1つの特定の実施形態において、本明細書に記載の構造体、組成物、および方法は、アテローム性動脈硬化の処置のために使用される。アテローム性動脈硬化の処置は、少なくとも1つのアテロームプラーク中のコレステロール含有量の減少をもたらす治療的介入を実施すること、または、アテロームプラークの形成または拡張を予め禁止または防止することを含んでもよい。一般に、アテロームプラークの体積、ゆえに、血管腔の閉塞の程度も減少する。本構造体、組成物、および方法は、家族性高脂血症に関連するアテローム性動脈硬化症を処置するのに特に有用である。
【0074】
本明細書に記載の組成物および方法は、アテロームプラークのコレステロール含有量および/またはアテロームプラークの体積を減少させ得る。コレステロール含有量は、たとえば、少なくとも10%〜30%、少なくとも30%〜50%、いくつかの例においては少なくとも50%〜85%以上減少してもよい。アテロームプラークの体積も減少してもい。プラーク体積の減少は、たとえば、少なくとも5%〜30%、大抵は50%程度、いくつかの例においては75%以上であってもよい。アテロームプラークのコレステロール含有量および/またはアテロームプラークの体積の減少を決定する方法は、当業者に周知であり、血管内超音波および磁気共鳴画像形成を含む。
【0075】
他の実施形態において、本明細書に記載の構造体、組成物、および方法は、脈管状態または心臓血管状態を有する被験体または心臓血管状態を発症する危険のある被験体を処置するために使用される。脈管状態は、血管(動脈と静脈)に関する状態である。心臓血管状態、心臓および心臓に関連する血管に関する状態である。脈管状態の例としては、糖尿病性網膜症、糖尿病腎症、腎線維症、高血圧症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、アテロームプラーク、アテロームプラーク破壊、脳血管発作(脳卒中)、一過性脳虚血発作(TIA)、末梢動脈障害、動脈閉塞性疾患、脈管の動脈瘤、乏血、虚血性潰瘍、心臓弁狭窄、心臓弁逆流、および間欠性跛行が挙げられる。心臓血管状態の例としては、冠動脈疾患、虚心形心筋症、心筋虚血症、および虚血またはポスト心筋虚血症血管再生が挙げられる。
【0076】
本明細書に記載の構造体、組成物、および方法も、心臓血管状態発症する危険のある被験体を処置するために使用することができる。心臓血管状態の危険度は、被験体にある危険因子の多数および重篤度または大きさに依存する。危険チャートおよび予測アルゴリズムは、危険因子の存在および重篤度に基づくヒト被験体の心臓血管状態の危険の評価に利用可能である。危険因子の存在および重篤度に基づくヒト被験体の心臓血管状態の危険を評価するために一般に用いられている1つのアルゴリズムは、フラミンガム心臓研究危険予測スコアである。被験体の10年の算出されたフラミンガム心臓研究危険スコアが10%を上回る場合、ヒト被験体が心臓血管状態を有する危険が高くなる。ヒト被験体における心血管系事象の危険を評価する他の方法は、フラミンガム心臓研究危険予測スコアに、CRP等の全身性炎症のマーカーのレベルの測定を組み込む包括的な危険スコアである。ヒト被験体における心血管系事象の危険を評価する他の方法としては、冠状動脈のカルシウム走査、心臓の磁気共鳴画像形成、および/または磁気共鳴血管撮影が挙げられる。
【0077】
また、本明細書に記載の構造体、組成物、および方法は、予防的処置に有用であり得る。予防的処置は、有用な以下の侵襲性処置であってもよい。たとえば、内皮が害された脈管の領域は、アテロームプラークが発生する危険性が増加する。したがって、冠動脈形成、脈管のバイパス移植術、および脈管の内皮層を害する他の処置等の侵襲性の脈管処置は、本発明の方法と共に実施されてもよい。侵襲性処置が内皮を害するため、構造体は、害された領域からコレステロールを除去し、かつ内皮の治癒中にプラーク形成の拡張を阻害または防止するよう働いてもよい。
【0078】
高脂血症も本明細書に記載の組成物および方法によって処置されてもよい。遺伝的または二次的原因、家族性混合型高脂血症、および家族性高コレステロール血症から、低αリポ蛋白血症を有する個体への構造体(単独、またはapo−A1およびapo−A2等のタンパク質に結合される)の投与は有用な処置である。
【0079】
ある実施形態において、本明細書に記載の構造体および組成物は、被験体または生物学的試料の疾患または状態の決定を含む方法で使用される。たとえば、方法は、本明細書に記載の複数の構造体を含む組成物を被験体または生物学的試料に(たとえば、in vitroまたはin vivoで)導入する工程と、複数のナノ構造体および/または被験体もしくは生物学的試料を、被験体もしくは生物学的試料の疾患または状態を決定することができる試験条件にさらす工程とを含む。
【0080】
いくつかの例において、試験条件は画像形成条件である。方法は、たとえば、注射、注入、または任意の周知の方法により組成物を被験体または生物学的試料に投与する工程と、任意により、組成物の構造体を被験体または生物学的試料に蓄積させる工程と、該当の事象が位置する被験体または生物学的試料の領域の画像を形成する工程とを含んでもよい。画像形成条件としては、たとえば、磁気共鳴画像(MRI)条件、X線条件、超音波画像条件、および放射性核種の使用が挙げられる。有用な投与量および特定の投与モードは、当業者とっては容易に明白であるように、年齢、体重、および処置される特定領域等の要因、ならびに、使用された特定の組成物、熟慮された診断の使用、および処方、たとえば、懸濁、乳化等の形式に応じて変化する。
【0081】
なお、たとえば、無機物質を含むナノ構造体コアと、実質的にナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルとを含む構造体を含むような方法において、本明細書に記載の任意の好適な構造体を使用することができることが理解される。いくつかの場合において、かかる構造体は、コレステロールを隔離するよう適合される。他の場合において、構造体は、疾患または身体状態のためのマーカーである。
【0082】
いくつかの実施形態において、構造体は、血管内の局所的領域の画像が形成される。たとえば、構造体は、たとえばプラークの形式である、高濃度のコレステロールを有する血管中で局所化されてもよい。また、道管の画像形成はプラークの位置の決定をもたらすことがある。理論によって拘束されることなく、構造体は、血管内の少なくとも部分的な乱流により、血管内に局所化すると考えられる。プラークが、自然に乱れた部位である、動脈枝先端部(たとえば、冠状動脈、頚動脈、脚体の腸骨血管、大腿血管)で発生することは長く認識されている。かかる部位では、混乱している部位において血管壁近傍の動脈流が減速する場合に、逆流の時点で、渦電流が発生する。これは、(本明細書に記載の構造体を含む)小分子(これらは、サイズが小さいため、これらの部位において内皮と相互作用しかつ内皮中を移動する、および基底膜内へと移動することができる)に縁を付け、道管改造およびプラーク形成をもたらす炎症反応およびコレステロール沈着の事象を引き起こすと考えられる。したがって、いくつかの場合において、本明細書に記載の構造体は、血管の内皮と交差し、それにより、乱流域の一般的な近くに局所化されるようになってもよい。ある実施形態において、構造体は細胞によってエンドシトーシスされることによって、細胞内に局所化されるようになる。
【0083】
いくつかの場合において、構造体が造影剤として使用されてもよい。たとえば、構造体のナノ構造体コアは、造影剤(たとえば、金、酸化鉄、量子ドット、放射性核種等)としての使用に好適な物質を含んでもよい。他の実施形態において、シェルは造影剤を含んでもよい。たとえば、ナノ粒子または他の好適な造影剤は、シェルの脂質二重層内に埋め込まれるか、またはシェルの内側または外側表面と会合してもよい。造影剤は、MRI、X線、PET、CT等、当業者に周知の様々な画像形成方法を増強するために使用されてもよい。
【0084】
他の実施形態において、組成物は、被験体または生物学的試料に導入される。また、構成および/または被験体もしくは生物学的試料の構造体は、被験体または生物学的試料の疾患または状態を決定することができる試験条件にさらす。構造体の少なくとも一部分は、被験体または生物学的試料から回収されてもよく、回収した構造体を用いて試験を行なってもよい。構造体に結合した、さもなければ構造体により隔離された分子の量および/または種類について、構造体を試験してもよい。たとえば、1つの組の実施形態において、拮抗実験が行なわれ、たとえば、標識されたコレステロールが添加され、コレステロールの置換が監視される。標識コレステロールの摂取はより多く測定され、未標識の遊離コレステロールの結合は少ない。これは、たとえば、本明細書に記載の構造体を含む組成物を被験体または生物学的試料に投与した後、および次いで、被験体または生物学的試料から構造体を回収した後に行なうことができる。たとえば、構造体が被験体または生物学的試料の中でどれ程のコレステロール(未標識)を隔離したか確かめるための診断用薬として使用される場合にこの方法を使用することができる。
【0085】
他の方法も本明細書に記載の構造体によって隔離されたコレステロールの量を決定するために使用することができる。いくつかの場合において、標識コレステロール(たとえば、NBDコレステロール等の蛍光標識コレステロール、または放射性コレステロール)を使用することができる。標識コレステロールは、in vitroまたはin vitroのいずれかで構造体に添加することができる。標識コレステロールのない構造体を加えて結合の際の蛍光増加を測定することによって、構造体への標識コレステロールの結合定数を算出することができる。さらに、構造体からコレステロールを除去するために、粒子(たとえば、KCN)を溶解し、次に、溶液内で得られた蛍光を測定することができる。標準曲線と比較すると、1粒子当たりのコレステロール分子の数の決定を可能にするかもしれない。有機抽出および量的質量診断等の他の方法も、本明細書に記載の1以上の構造体によって隔離されたコレステロールの量を算出するために使用することができる。
【0086】
本明細書に記載するように、本発明の構造体は、「医薬組成物」または「医薬的に許容可能な」組成物中で使用されてもよく、1以上の医薬的に許容可能な担体、添加物および/または希釈剤とともに処方される、本明細書に記載の1以上の構造体の医薬的に有効な量を含む。本明細書に記載の医薬組成物は、異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を含むがこれに限定されない、本明細書に記載の疾患または身体状態等の疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するのに有用であり得る。なお、図と関連して説明したものを含む、かかる医薬組成物において本明細書に記載の任意の好適な構造体を使用することができることが理解される。いくつかの場合において、医薬組成物中の構造体は、無機物質を含むナノ構造体コアと、実質的にナノ構造体コアを囲繞してナノ構造体コアに付着するシェルとを含む。構造体はコレステロールを隔離するよう適合されてもよく、ある例において、疾患または身体状態のためのマーカーである。
【0087】
医薬組成物は、以下に適合されたものを含む、固体または液体形状で投与のために特別に処方されてもよい。経口投与、たとえば、飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、たとえば、口腔内、舌下、および体内吸収に向けられたもの、ボーラス、粉末、果粒、舌部への適用のためにペースト;非経口投与、たとえば、無菌溶液または懸濁液または徐放性製剤としての皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射;局所適用、たとえば、クリーム、軟膏、または制御放出貼付剤、噴霧剤として皮膚、肺または口腔への塗布;膣内にまたは直腸内投与、たとえば、ペッサリー、クリームまたは発泡体;舌下投与;視覚的投与;経皮的投与;鼻腔内投与;肺性投与;他の粘膜表面投与。
【0088】
本明細書で使用される「医薬的に許容可能な」なる語は、合理的なベネフィット/リスク比と比例する、過度の毒性、焦燥、アレルギー反応、または他の問題または合併症のない、音医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触における使用に適した、構造体、物質、構成および/または剤形を指す。
【0089】
本明細書で使用される「医薬的に許容可能な担体」なる語は、ある器官、または身体の一部分から、他の器官、または身体の他の部分へ対象の化合物を担持または輸送する、医薬的に許容可能な物質、組成物または媒体、たとえば、液体または固体充填剤、希釈剤、補形薬、または物質を封入する溶媒を意味する。各担体は、処方の他の成分と適合するという意味で「許容可能」であり、患者にとって有害ではない。医薬的に許容可能な担体として作用することができる物質のいくつかの例としては、ラクトーゼ、グルコースおよびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびバレイショデンプン等のデンプン類;セルロース、およびカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース等のその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ろう等の添加剤類;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油等の油類;プロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール等の多価アルコール類;オレイン酸エチルおよびエチルラウレート等のエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤類;アルギン酸;無菌純水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル類、ポリカーボネート類および/またはポリ無水物類;および医薬製剤で使用される他の無毒性互換物質が挙げられる。
【0090】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の、湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、ならびに、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘み付け、味付け、香り付け剤、防腐剤および酸化防止剤も、組成物には存在し得る。
【0091】
医薬的に許容可能な酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤;アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤;クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等の金属キレート剤が挙げられる。
【0092】
本明細書に記載の構造体は、経口的に投与されてもよく、非経口的に投与されてもよく、皮下に投与されてもよく、かつ/もしくは、静脈内に投与されてもよい。ある実施形態において、構造体または製剤は経口投与される。他の実施形態において、構造体または製剤は静脈内に投与される。投与の別の経路としては舌下、筋肉内および経皮的投与が挙げられる。
【0093】
本明細書に記載の医薬組成物としては、経口投与、経鼻投与、局所(口腔内および舌下を含む)投与、直腸投与、膣口投与および/または非経口投与に適しているものが挙げられる。製剤は、単位投与の剤形で好都合なようになっており、薬学の技術において周知の任意の方法で調製されてもよい。単独投与の剤形を製造するために担体物質と組み合わすことができる有効成分の量は、処置される宿主、および投与の特定のモードに応じて変化する。単独投与の剤形を製造するために担体物質と組み合わすことができる有効成分の量は、一般に治療効果を生む化合物の量となる。一般に、この量は、有効成分の約1%から約99%まで、約5%から約70%まで、または約10%から約30%まで幅がある。
【0094】
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、カシェ、ピル、タブレット、剤形をしていてもよい、剤、菓子錠剤(味付けされた基礎を使用し、通常は、蔗糖およびアラビアゴムまたはトラガント)、粉末、果粒、または水性または非水性の液体中の溶液または懸濁液、または水中油または油中水乳剤として、またはエリキシルまたはシロップとして、またはパステル剤(不活性の基部を使用し、たとえば、ゼラチン、グリセリン、または蔗糖およびアラビアゴム)および/または口内洗剤であり、各々、有効成分として本明細書に記載の構造体を所定量含有する。本発明の構造体もボーラス、舐剤またはペーストとして投与されてもよい。
【0095】
経口投与(カプセル剤、錠剤、ピル剤、糖剤、粉末剤、果粒剤等)のための発明の固体投与の剤形では、有効成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸カルシウム等の1以上の医薬的に許容可能な担体および/または以下のいずれかと混合される。デンプン、ラクトーゼ、蔗糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸等のフィラーまたはエクステンダー;たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖および/またはアラビアゴム等の結合剤;グリセロール等の湿潤剤;寒天、炭酸カルシウム、バレイショまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤;パラフィン等の溶液緩染剤;第四アンモニウム化合物等の吸収促進体;たとえばセチルアルコール、グリセロールモノステアレート、および非イオンの界面活性剤等の湿潤剤;カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収性物質;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、中実ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合等の滑沢剤;および着色剤。カプセル剤、錠剤およびピル剤の場合には、医薬組成物がさらに緩衝剤を含んでもよい。同様のタイプの固形組成物も、ラクトーゼまたは乳糖のような添加剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールを使用する、ソフトシェル状またはハードシェル状のゼラチンカプセル剤中のフィラーとして使用されてもよい。
【0096】
錠剤は、圧縮または成形によって任意に1以上の副成分を用いて作られてもよい。圧縮錠剤は、バインダー(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性の希釈剤、防腐剤、崩壊剤(たとえば、ナトリウムデンプングリコラートまたは架橋されたカルボキシルメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製されていてもよい。成形錠剤は、粉末構造の混合物が不活性薬品希釈剤で湿らせる好適な機械で作られてもよい。
【0097】
錠剤、および糖剤、カプセル剤、ピル剤および果粒剤等の本発明の医薬組成物の他の固体投与剤形は、任意により、腸溶コーティング、および製剤技術において周知の他のコーティング等の、コーティングおよびシェルで刻み目を付ける、または調製されてもよい。また、それらは、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを可変比率で使用して、有効成分の遅いまたは制御された放出を提供するよう製剤されて、所望の放出特性、他の重合体マトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを提供し得る。それらは急速放出、たとえば、フリーズドライで製剤されてもよい。それらは、たとえばバクテリアを保持するフィルターによるろ過によって、または滅菌剤を滅菌水に溶かすことができる無菌の固形組成物の形で組み込むことによって、または使用直前の他のある無菌注射剤媒体によって殺菌されてもよい。これらの組成物はさらに任意により混濁剤を含んでもよく、または任意により遅れて胃腸管のある部分で有効成分のみを放出する組成物であってもよい。使用可能な組成物を埋め込む例としては、重合物質およびろうが挙げられる。上述の添加剤の1つ以上を用いて、適当な場合、有効成分はさらにマイクロカプセル形状である得る。
【0098】
本明細書に記載の構造体の経口投与用の液体投与剤形は、医薬的に許容可能な乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、分散剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。本発明の構造体に加えて、液体投与剤形は、たとえば水または他の溶媒等の、当該技術で一般に使用される不活性の希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤および乳化剤、およびそれらの混合物を含有してもよい。
【0099】
不活性の希釈剤に加えて、経口組成物は、さらに湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘み付け、味付け、色付け、香り付けおよび保存剤等の補助剤を含んでもよい。
【0100】
活性化合物に加えて、懸濁液は、たとえば、エトキシレート化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル等の懸濁剤、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガント、およびそれらの混合物を含有してもよい。
【0101】
(たとえば、直腸または膣内投与用の)本明細書に記載の医薬組成物の製剤は坐薬としてあってもよく、本発明の1以上の化合物を、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ろうまたはサリチル酸塩を含む、1以上の好適な刺激しない添加剤または担体と混合することにより調製してもよく、また、室温では固体であってもよいが、体温で液体となり、それ故、体内で溶けて構造体を放出する。
【0102】
本明細書に記載の構造体の局所的または経皮的投与の投与剤形は、粉末剤、噴霧剤、軟膏剤、ペースト剤、発泡剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液、貼付剤、および吸入薬を含む。活性化合物は、無菌条件下で、医薬的に許容可能な担体、および、必要に応じて任意の防腐剤、緩衝剤または噴射剤と混合されてもよい。
【0103】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、本発明の構造体に加えて、動物性および植物性油脂、油、ろう、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛等の添加剤、またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0104】
粉末剤および噴霧剤は、本明細書に記載の構造体に加えて、ラクトーゼ、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末等の添加剤、またはこれら物質の混合物を含有することができる。噴霧剤は、ブタンおよびプロパン等のクロロフルオロ炭化水素および揮発性の未置換炭化水素等の通例の噴射剤をさらに含有することができる。
【0105】
経皮的貼付剤は、体内への本明細書に記載の構造体の制御された搬送を提供する追加の利点を有する。適切な媒体に構造体を溶解させるまたは分散させることは、かかる投与剤形を形成し得る。吸収促進剤も、皮膚を横切って構造体の流出を増加させるために使用することができる。律速膜を提供するか重合体マトリクスまたはゲル中の構造体を分散させることにより、かかる流出の割合を制御することができる。
【0106】
眼の製剤、眼軟膏剤、粉末、溶液等も、本発明の範囲内であるとして熟慮される。
【0107】
非経口投与に適した、本明細書に記載の医薬組成物は、1以上の本発明の構造体を、医薬的に許容可能な、無菌、等張水性または非水溶液、分散液、懸濁液または乳液、またはまさに使用前に無菌注射剤溶液または分散液へ再構成されてもよい無菌の粉末であって、製剤を意図した受容体の血液または懸濁剤または増粘剤と等張であるとみなす、砂糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、溶質を含む粉末と組み合わせて含む。
【0108】
本明細書に記載の医薬組成物に使用されてもよい、好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動度は、たとえば、レシチン等の塗料の使用により、分散の場合に必要とされる粒度の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0109】
これらの組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の補助剤を含んでもよい。本発明の構造体での微生物の活動の防止は、様々抗菌性・抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の介在物によって容易なものとなり得る。組成物へ、砂糖等の等張剤、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい。さらに、注射可能な医薬的剤型の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の吸収を遅らせる剤の介在物によってもたらされてもよい。
【0110】
本明細書に記載するように、本発明に記載の構造体および組成物との使用に適したデリバリーシステムは、逐次継続放出、遅延放出、持続放出、または制御放出デリバリーシステムを含む。かかるシステムは、多くの場合に構造体の反復投与を回避し、被験体および医師に対する利便性を増加させ得る。多くのタイプの放出デリバリーシステムが利用可能であり、当業者に周知のものである。それらは、たとえば、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸、ポリ無水物、およびポリカプロラクトン等の重合体に基づくシステム;コレステロール等のステロール、コレステロールエステル、およびモノ−、ジ−およびトリグリセリド等の脂肪酸または中性脂肪を含む脂質に基づく非重合体システム;ヒドロゲル放出システム;サイラスティック・システム;ペプチドに基づくシステム;ワックス・コーティング;従来の結合剤および添加剤を使用する圧縮錠剤;または部分的に融解した植込剤。具体例としては、組成物がマトリクス内の形式で含まれている侵食性のシステム、または活性成分が放出速度を制御する拡散性のシステムが挙げられるが、それらに制限されない。組成物は、たとえば、ミクロスフェア、ヒドロゲル、重合体貯蔵器、コレステロールマトリクス、または重合体系としてあってもよい。いくつかの実施形態において、システムは、たとえば、製剤の拡散または浸食/分解速度を制御することにより、活性化合物の保持または制御された放出を生じさせる。さらに、ポンプに基づくハードウェアデリバリーシステムが、いくつかの実施形態で使用されてもよい。本明細書に記載の構造体および組成物を、注射器、パッド、貼付剤、チューブ、フィルム、MEMSに基づく素子、移植可能な素子等のデリバリー素子と組み合わせる(たとえば、含ませる)ことができる。
【0111】
長期的な放出移植の使用は、いくつかの場合において特に好適であり得る。本明細書において使用される「長期的な放出」は、移植が構成および配置されて組成物の処置レベルを、少なくとも約30または約45日間、少なくとも約60または約90日間、または、いくつかの場合においてさらに長い期間送出することを意味する。長期的な放出植込剤は、当業者にとって周知であり、上述の放出システムのうちのいくつかを含む。
【0112】
注射可能なデポ剤形は、ポリラクチド−ポリグリコール酸等の生分解性高分子に、本明細書に記載の構造体のマイクロカプセル化マトリクスを形成することにより作ることができる。構造体対重合体の比率、および使用される特定の重合体の性質に応じて、構造体の放出速度を制御することができる。他の生分解性高分子の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられるむ。
【0113】
本発明に記載の構造体が医薬品としてヒトおよび動物に投与されると、それらは、そのまま与えられるか、または医薬的に許容可能な担体と組み合わせて、たとえば、構造体の約0.1%〜約99.5%、約0.5%〜約90%等含有する医薬組成物として与えられる。
【0114】
投与は、処置する条件に応じて、(たとえば、特定の部位、生理学的システム、組織、器官、または細胞型に)局所化されるか、または全身系であってもよい。たとえば、親の注入により、移植により、経口で、経膣で、直腸を介して、口内に、肺を介して、局所的に、経鼻で、経皮的に、外科的投与により、または、組成物による標的へのアクセスが得られる他の投与方法により、組成物を投与してもよい。本発明を用いて使用することができる親の理学療法としては、静脈内、皮内、皮下、窩内、筋肉内、腹腔内、硬膜外、または鞘内が挙げられる。移植の理学療法としては、任意の移植可能または注射可能なドラッグデリバリーシステムが挙げられる。経口投与は、患者ならびに服薬スケジュールへの利便性によりいくつかの処置に有用であり得る。
【0115】
選択された投与経路にかかわらず、好適な水和形状で使用し得る本明細書に記載の構造体、および/または本発明の医薬組成物は、当業者に周知の従来方法によって医薬的に許容可能な剤形へ製剤される。
【0116】
本明細書に記載の組成物は、任意の潜在的に不利益な副作用を回避するか最小化しながら、投与量(たとえば、最高量)で与えられてもよい。組成物は、有効量で、単独で、または他の化合物と組み合わせて投与することができる。たとえば、癌を処置する場合、組成物は、本明細書に記載の構造体と、癌を処置するために使用することができる他の化合物のカクテルとを含んでもよい。処置の条件が異常脂質レベルと関連すると、組成物は本明細書に記載の構造体と、脂質レベルを下げるために使用することができる他の化合物(たとえば、コレステロール低下剤)をと含んでもよい。
【0117】
本明細書で使用される「治療上有効な量」なる語は、任意の医療処置に適用可能な合理的なベネフィット・リスク比で、被験体に所望の治療効果をもたらすことに有効である本発明の構造体を含む物質または組成物の量を意味する。したがって、治療上有効な量は、たとえば、疾患または身体状態に関連する疾患進行を予防してもよく、最小化してもよく、逆転させてもよい。疾患進行は当業者に明白な臨床観察、研究所および画像臨床検査によって監視することができる。治療上有効な量は、単一投与に有効な量、または多重線量処置、たとえば2回以上分で投与される量、または長期間にわたって投与される量の一部として有効な量になり得る。
【0118】
本明細書に記載の任意の1以上の構造体の有効量は、体重の約10ナノグラム/kg〜体重の約1000mg/kgで、投与の回数は一日に一度から一月に一度の範囲である。ただし、本発明において他の量および回数であってもよく、この点に関して特に限定されない。被験体には、本明細書に記載の1以上の疾患または身体状態を処置するのに有効な量で、本発明に記載の1以上の構造体を投与してもよい。
【0119】
有効量は、処置される特定の条件に応じてもよい。当業者であれば、たとえば、肝機能検査(たとえば、トランスアミナーゼ)、腎臓機能検査(たとえば、クレアチニン)、心機能検査(たとえば、トロポニン、CRP)、免疫機能試験(たとえば、サイトカイン様IL−1およびTNF−アルファ)等の方法により、組成物の有効量がどれほどなのか決定することができる。当然ではあるが、有効量は、処置すべき条件の厳しさ;年齢、身体条件、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメーター;併用している処置;処置の回数;または投与のモード等の要因に依存する。これらの要因は、当業者に周知であり、単なる型通り実験作業で対処することができる。いくつかの場合に、極量、すなわち音医学的判断による最も高い安全量が使用される。
【0120】
本明細書に記載の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物、投与のモードのための、希望の治療効果を達成するのに有効な有効成分の量を得るように、患者に有毒なことなく変化してもよい。
【0121】
選択された投与量レベルは様々な要因に依存する。その要因としては、使用される特定の本発明の構造体の活動、投与経路、投与の時間、使用される特定の構造体物の排泄または代謝の割合、処置の期間、使用される特定の構造物と組み合わせて使用される他の医薬品、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、条件、総合的健康状態、および病歴、および医療技術において周知の要因が挙げられる。
【0122】
当該技術における通常の熟練を有する医師または獣医であれば、必要とされる医薬組成物有効量を容易に決定および処方することができる。たとえば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するのに必要で、所望の効果が達成されるまで徐々に量を増加させる量よりも低いレベルで医薬組成物に使用される、本明細書に記載の構造体の線量を開始することができた。
【0123】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の構造体または医薬組成物は、被験体に長期間にわたって提供される。長期間処置は、いかなる形の長期間にわたる反復投与をも含み、たとえば、1ヵ月および1年、1年以上、またはそれ以上の間における1ヵ月以上の反復投与などである。多くの実施形態において、長期間処置は被験体の生涯にわたって構造体または医薬組成物を繰り返し投与することを含む。たとえば、長期間処置は定期的な投与、たとえば1日当たり1回以上、1週間に1回以上、または1ヵ月に1回以上を含み得る。一般に、本明細書に記載の構造体の好適な用量、たとえば1日用量は、治療効果を生じるのに有効な最低量である構造体の量である。そのような有効量は、一般に上記の要因によって決まる。一般に、示された効果のために使用される場合、患者のための本明細書に記載の構造体の用量は、1日当たり体重1kg当たり約0.0001から約100mgの範囲である。1日用量は、体重1kg当たり0.001〜50mgの化合物、または体重1kg当たり0.01〜約10mgの化合物の範囲であってもよい。しかしながら、これより低いかより高い用量も使用することができる。いくつかの実施形態において、被験体に投与される用量は、年齢、疾患の進行、体重またはその他の要因により被験体の生理機能が変化するのとともに修正することができる。
【0124】
所望であれば、活性化合物の有効な1日量は、1日を通じて適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5または6以上の下位用量として、場合によっては単位剤形において投与されてもよい。たとえば、取扱説明書および方法は、悪影響または有害反応を減少させるか回避しながらコレステロール(または他の脂質)の減少および/または疾患の処置を達成するために、特定の時間間隔および特定の用量で、特定の用量の組成物(特に、特定のサイズ範囲を有する本明細書に記載の構造体を含むもの)が投与される投薬レジメンを含み得る。したがって、本明細書に記載の構造体を投与する方法、構造体の投与によって総コレステロールおよびLDLコレステロールを減少させる方法、本明細書に記載の構造体の投与によってHDLコレステロールの効能のレベルを高めるまたは効能を増加させる方法、および構造体の投薬を必要としている患者にそれを投薬する方法が記述される。
【0125】
本明細書に記載の構造体を単独で投与することが可能であるが、それは上記のような医薬組成物として投与してもよい。本発明は、構造体の使用のための取扱説明書を任意に含むキットにパッケージされた疾患または身体状態を診断するか、防ぐか、処置するか、管理するのに役立つ前述の組成物のうちのいずれかを提供する。すなわち、キットは、異常脂質レベルに関連したものを含む、任意の疾患または身体の状態への関与のための組成物の使用の記述を含み得る。キットは、本明細書に議論されるような組成物の使用の記述をもさらに含み得る。キットは、本明細書に記載の2つ以上の組成物の組み合わせの使用のための取扱説明書をも含み得る。取扱説明書は、任意の好適な技術、たとえば経口、静脈内、またはドラッグデリバリーの別の既知の経路によって組成物を投与するために提供されてもよい。
【0126】
本明細書に記載のキットは、1つ以上の容器をも含み得、それらは上記のような構造体、シグナル伝達エンティティ、および/または生体分子をも含み得る。キットは、混合、希釈、および/または化合物の投与のための取扱説明書をさらに含み得る。キットは、混合、希釈、またはそのような処置を必要とするサンプルまたは患者への成分の投与のための容器とともに、1つ以上の溶媒、界面活性剤、防腐剤および/または希釈剤(たとえば生理食塩水(0.9%のNaCl)、または5%のデキストロース)を備えた他の容器も含み得る。
【0127】
キットの組成物は、任意の好適な形態、たとえば溶液または乾燥粉末として提供されてよい。提供される組成物が乾燥粉末である場合、粉末は好適な溶媒の追加によって再構成されてもよく、それを提供することもできる。液状の組成物が使用される実施形態において、液状物を濃縮するか、またはすぐに使用することができる。溶媒は、本発明の特定の構造、および使用または投与の様式によって決まる。組成物に好適な溶媒はよく知られており、文献において入手可能である。
【0128】
一連の実施形態の中で、キットは、バイアル、チューブ等(各容器は、本方法において使用される個別の要素のうちの1つを含む)の1つ以上の容器を含んでもよい。たとえば、容器のうちの1つは、アッセイにおける陽性対照を含んでもよい。さらに、キットは、他の成分、たとえばアッセイに役立つバッファーのための容器を含み得る。
【0129】
本明細書において使用される場合、「被験体」または「患者」は任意の哺乳動物(たとえばヒト)を指し、たとえば異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態等の疾患または身体状態にかかりやすい哺乳動物を指す。被験体または患者の例としては、ヒト、非ヒト霊長類、牛、馬、豚、羊、ヤギ、犬、猫、またはマウス、ラット、ハムスターまたはモルモット等のげっ歯類が挙げられる。一般に、本発明はヒトでの使用に向けられる。被験体は、ある疾患または身体状態と診断された被験体であるか、もしくは疾患または身体状態を有することがわかっている被験体であり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、疾患または身体状態にかかる危険があると診断されるか、もしくは危険を有することがわかっていてよい。いくつかの実施形態において、被験体は、本明細書に記載の異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態であると診断されるか、もしくはそれらを有することがわかっていてよい。特定の実施形態において、被験体は、被験体の既知の疾患または身体状態に基づいて処置のために選択され得る。いくつかの実施形態において、被験体は、被験体の疑わしい疾患または身体状態に基づいて処置のために選択され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、疾患または身体状態の発現を防ぐために処置され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、既存の疾患または身体状態の存在が疑われ得るが同定されないことがあり、本発明の組成物は疾患または身体状態の一層の発現を診断するか防ぐために投与することができる。
【0130】
本明細書で使用される場合「生物学的試料」は、任意の細胞、身体組織または被験体から得られた体液試料である。体液の非制限的な例としては、たとえば、リンパ、唾液、血液、尿などが挙げられる。本明細書に記載の様々な方法で使用される組織および/または細胞の試料は、パンチ生検および細胞擦取、針生検などの組織生検を含むが、これらに限定されない標準的な方法;または吸引または他の好適な方法による採血または他の体液の採取によって得ることができる。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図するが、制限的であるとは解釈されず、本発明の全容を例証するものではない。
【0132】
実施例1
この実施例は、金ナノ粒子上の自己集合した脂質層の形成を実証し、タンパク質を有する生じる構造体の表面機能化をさらに実証する。
【0133】
金ナノ粒子(AuNP)はいくつかの異なる付加方法論で修飾された。直径(サイズ)が5nm、7nm、10nm、13nmおよび30nmのクエン酸で安定化した金コロイドは、脂質で機能化されたAuNPを形成するために足場として使用された。AuNPはすべてTed Pella,Inc.から購入された。また、脂質はすべてAvanti Polar Lipids,Inc.から購入された。
【0134】
最初に、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホチオエタノール(SH脂質、図3A)、およびL−アルファホスファチジルエタノールアミンまたはL−アルファホスファチジルコリン(N+脂質(図3B))の等w/v溶液を、1mLの最終容積のクロロホルムおよびエタノールの1:1溶液中に調製した。溶媒を粉末形態の脂質混合物を残して蒸発させた。脂質混合物を、1mLの金ナノ粒子コロイド(たとえば5nmまたは13nm)水溶液に再懸濁させ、完全にボルテックスし、2分間超音波処理した。
【0135】
アポリポタンパク質A−I(APO−AI)を含む構造体は、乾燥した脂質混合物に添加する前に、990μLのAuNP(5nmまたは13nm)水溶液について10μLの100ng/mLの精製されたタンパク質(Abcam,Inc.、またはBiodesign,Inc.)水溶液を添加することによって調製した。もしくは、SH脂質およびN+脂質を含む溶液は、クロロホルム対エタノールの1:1溶液として調製し、蒸発させ、等量のAPO−AIタンパク質の1ng/mL水溶液中に再懸濁させた。試料を完全にボルテックスし、数分間超音波処理した。溶媒を再び蒸発させ、脂質−apo混合物を等量のAuNP水溶液に再懸濁させた後、2分間完全にボルテックスし、超音波処理した。
【0136】
脂質で機能化されたAuNPの精製は、簡易的な遠心分離(RPMは、LP構造体の鋳型となるように使用される金ナノ粒子コアによって決まる)によって行った。構造体を、上澄みを除去し水中に再懸濁することにより3回洗浄し、最後に、水、緩衝塩水またはアルブミンを含む緩衝塩水の中に再懸濁した。
【0137】
別の処方では、第1の工程で5nmの金粒子を長鎖チオール化アルカン種で表面機能化して(たとえば、ドデカンチオール)、次いでN+リン脂質をナノ粒子の表面に加えた。N+リン脂質の長鎖アルカン後部は、粒子の表面上に存在する種の中で組み合わさって、それによって安定な水溶性構造体を形成する。付随するか別の工程で、Apo−AIを構造体の表面に加えた。
【0138】
得られた構造体は、MALDI TOF MS、動的光散乱(DLS)、ζ電位測定、電子顕微鏡法、脂質蛍光およびFT−IRを含む多くの方法論によって特徴づけられた。DLSとζ電位の実験からのデータを、表1および2にそれぞれ示す。
【0139】
【表1】

表1では、DLSデータは脂質で機能化された5nmのAuNPについてのものである。Auは5nmの金コロイドを表わす。Au+APOは表面にの吸着されたアポリポタンパク質A−Iだけを備えた金コロイドである。APO1および2−ジ(3)は、脂質とアポリポタンパク質A−Iの両方で表面機能化された5nmの金粒子である。ジ(3)は、リン脂質二重層のみ(アポリポタンパク質A−Iはない)を備えた5nmの金粒子を表わし、Fluor−ジ(3)NAPろ過は、チオール化された脂質で表面機能化されているが、外葉に蛍光標識されたリン脂質を備えない5nmの粒子を表わす。
【0140】
表4は、5nmの粒子についてζ電位測定を示し、構造体が表面電荷を含んでもよいことを示す。標識のスキームは表2中のそれと同じである。
【0141】
【表2】

実施例2
この実施例は、コレステロールに結合することができる高密度リポタンパク質(HDL)のバイオ模倣構造体の合成および特性化を実証する。
【0142】
クエン酸で安定化した金ナノ粒子(5±0.75nm、80nM、Ted Pella,Inc.)の水性懸濁液を、5倍過剰の精製されたApo−AI(400nM、Biodesign International)と混合して、室温で一晩攪拌した。続いて、ジスルフィドで機能化された脂質、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート]と、アミンで機能化された脂質、1−2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(Avanti Polar Lipids)の1:1溶液をCHClの中で混合し、AuNP(図4)に対して100倍の過剰の粒子の水性懸濁液に添加した。ジスルフィド官能性がAuNPの表面への化学吸着を可能にするので、ジスルフィド脂質が選択された。アミンで修飾された脂質は、静電気的かつ疎水的にApoA−1と会合することが知られている天然のリン脂質である。この添加の結果、二相混合物が得られる。その混合物を、ボルテックスし65℃まで徐々に加熱して、CHClを蒸発させた。溶液を冷却した後、HDL−AuNP構造体の精製を、繰り返し(2X)遠心分離(21,000g)し、0.05%(w/v)のウシ血清アルブミン(PBS、137nMのNaCl、10mMのリン酸塩、2.7nMのKCl、pH7.4、Hyclone)を備えた、Nanopure(商標)水またはリン酸緩衝食塩水中に再懸濁することによって行った。ジスルフィド脂質が単独で添加され、先にApoA−1を添加していない場合、それらはAuNP表面への脂質吸着に際して疎水性になるので、構造体は沈澱する。
【0143】
精製されたHDL−AuNP構造体のUV可視分析は520nmにバンドを示す(図5)。これは、集合したHDL−AuNP構造体ではなく分散したHDL−AuNP構造体と一致している。動的光散乱実験をZetasizer Nano ZS(Malvern)を使用して行ない、AuNP表面修飾プロセスに従って使用した。表3に示されるように、結果はHDL構造体の連続的な成長を実証した。修飾されていない金コロイド(9.2nmの平均流体力学直径)を、最初にApoA−1(11.0nm)、その後脂質(17.9nm)の混合物で修飾した。生じるHDL−AuNP構造体の平均サイズは天然のHDLについてのそれに似ていた。
【0144】
【表3】

HDL−Au NP構造体の化学組成を特徴づけるために、蛍光団で標識された成分(ApoA−1およびアミノ化されたリン脂質)を、HDL−AuNP構造体を合成するために使用した。AuNPに対するタンパク質負荷を測定するために、Alexa Fluor488タンパク質標識化キット(Invitrogen)を使用して、APOAIを蛍光標識した。HDL−AuNPを、上記の手順を使用して合成した。また、それらの濃度をUV可視(ε=1.2x10L/mol cm)によって決定した。金ナノ粒子を蛍光結合したApo−AIを遊離させるためにKCNで酸化し、溶液の蛍光を測定した。1つの構造体当たりのタンパク質の数を、得られた蛍光測定値を標識されたラベルApo−AIの既知濃度で準備された標準曲線のそれと比較することにより決定した。HDL−AuNP構造体上のリン脂質負荷を、同様の実験で決定した。蛍光修飾されたリン脂質I−パルミトイル−2{6−[(7−ニトロ−2−1,3ベンズオキサジアゾール−4−イル)アミノ]ヘキサノイル}−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミン(Avanti Polar Lipids)を、アミノ化された脂質負荷を決定するためにアミノ化された脂質の代わりに使用した。1つの構造体当たりのタンパク質およびアミノ化されたリン脂質の平均数は、それぞれ3±1および83±12であると測定された。したがって、これらの値は、天然のHDLについて報告されたものと十分に整合していた。
【0145】
HDLによる肝臓へのコレステロールの輸送は、HDLがアテローム性動脈硬化の進行から防御する1つの機構である。したがって、HDL−AuNP構造体がコレステロールに結合するかどうか判断することは、治療薬としてのこれらの構造体の可能性を決定するために重要であった。HDL−AuNP構造体へのコレステロールの結合を、蛍光性のコレステロール・アナログ(25−{N−[(7ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)−メチル]アミノ}−27−ノルコレステロール、NBDコレステロール)で調べた。NBDコレステロール蛍光は水等の極性の環境において弱かった。しかしながら、無極性マトリクス(脂質膜等)では、NBDコレステロールは蛍光性になった。HDL−AuNP構造体に結合するコレステロールを、様々な濃度の5μLの25−{N−[(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)メチル]アミノ}−27−ノルコレステロール(NBDコレステロール)の溶液を995μLの5nM HDL−AuNP水溶液に添加することによって測定した。これらの溶液を少なくとも20分間ボルテックスしインキュベートした。溶液の蛍光スペクトルをJobin Yvon Fluorolog 3で測定し、溶液を473nmで励起し、1秒の積分時間で1nmのインクリメントで500から600nmまで走査した。HDL−AuNP構造体へのNBDコレステロールの結合は、蛍光強度の増加をもたらす。HDL−AuNP構造体のないNBDコレステロールの対照溶液の蛍光強度を、試料からバックグラウンドシグナルを除くために測定した。NBDコレステロールの結合に際しての520nmでの蛍光強度の増加を、結合等温線を構築するために使用した。Kは、以下の等式を使用してGraphPad Prism5.0ソフトウェア中の機能「one site total binding」で結合曲線を分析することによって決定した:蛍光=(Bmax[NBD−コレステロール])/(K+[NBD−コレステロール])。AuNPによるクエンチにより、HDL−AuNP結合NBDコレステロールのシグナルが部分的に減衰した。しかしながら、HDL−AuNPの溶液中へのNBDコレステロールの滴定は、結合等温線(図6)を構築するのに十分に強い蛍光シグナルを提供した。この等温線を、HDL−AuNP構造体に結合するNBDコレステロールの約4nMのKを計算するために使用した。
【0146】
実施例3
この実施例は、自己集合したC10またはC15脂質を金ナノ粒子表面上に含む、金ナノ粒子コアおよびシェルを含む安定な構造体の合成を実証する。この実施例は、タンパク質を有する構造体の表面機能化をさらに実証する。
【0147】
図7に示されるスキームを、Samuelら、「Polymerized−depolymerized vesicles.Reversible thiol−disulfide−based phosphatidylcholine membranes」、JACS、107(1)、42−47(1985)(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に述べられた手順を使用して、C10とC15ジチオールで機能化されたリン脂質、脂質2aおよび2bを合成するために使用した。図8の中のスキームを、やはりSamuelらに述べられた手順を使用して、化合物3a、3b、4aおよび4bを合成するために使用した。
【0148】
10またはC15脂質のいずれかで5nmの金ナノ粒子(AuNP)を機能化するために、脂質を、まずエタノールおよび水(100μMの脂質)の1:1混合物に溶解した。この溶液のうち160μLを、ガラス製バイアル中へシリンジでろ過し(0.2nm)、溶媒を回転式の溶媒蒸発器を使用して取り除いた。ろ過された5nmのAuNP(80nM)のうち2mLを、次いで、乾燥した脂質に加えた。この溶液をボルテックスし、12時間フラットトップ振盪機上でインキュベートした。この溶液を、次いで、約1分間、1時間おきに3時間超音波処理した。その後、溶液をガラス製バイアルからEppendorfチューブまで転し、C10またはC15AuNP結合体をペレット化し過剰のC10またはC15脂質を除去するために40分間、15KRPMで遠心分離した。遠心分離の後に、上澄みを除去し、C10またはC15AuNPペレットを1mLの水中に再懸濁し、その後ボルテックスと超音波処理を行なった。さらなる精製のために、遠心分離手順を繰り返した。粒子を濃縮するために、上澄みを遠心分離の後で取り除き、粒子をより小さな体積の中に再懸濁させた(水またはリン酸緩衝食塩水)。
【0149】
10脂質、1,2−ビス(11−メルカプトウンデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンで機能化されたAuNPを形成する工程の模式図を、図9Aに示す。生じる構造体のTEM画像を、図9Bおよび9Cに示す。機能化されていないAuNP(5nmのAuNP)および生じる機能化された構造体(AuNP+C10)の流体力学直径を、動的光散乱によって測定し、表4に示す。TEM画像および表4中で例証されるように、生じる構造体は比較的一定の断面寸法を有していた。結果は、合成のための鋳型としてナノ粒子を使用する場合に、生じる構造体のサイズを制御することができることを示す。
【0150】
【表4】

Apo−AIを含む構造体を合成するために、C10またはC15の機能化された5nmのAuNPの合成を、上記のように行なったが、5nmのコロイド状のAuNP(2mL、80nM)溶液を、まず精製されたヒトアポリポタンパク質AI(18μL、43.77μMのストックApo−AI/2mLのAuNP)インキュベートし、24時間フラットトップオービタル振盪機上で室温でインキュベートした。続く遠心分離および精製工程とともに、上記のようにC10とC15の追加を進めた。
【0151】
Apo−AIおよびC10脂質、1,2−ビス(11−メルカプトウンデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンで機能化されたAuNPを形成する工程の模式図を、図9Dに示す。生じる構造体のTEM画像を、図9Eおよび9Fに示す。生じる構造体(AuNP+Apo+C10)の流体力学直径を、動的光散乱によって測定し、上の表4に示す。TEM画像および表4中で例証されるように、生じる構造体は比較的一定の断面寸法を有していた。結果は、合成のための鋳型としてナノ粒子を使用する場合に、生じる構造体のサイズを制御することができることをも示す。
【0152】
15脂質、1,2−ビス(16−メルカプトヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンで機能化されたAuNPのTEM画像を、図9Gと9Hに示す。機能化されていないAuNP(5nmのAuNP)および生じる構造体(AuNP+Apo+C15)の流体力学直径を動的光散乱によって測定し、表5に示す。C10で機能化された構造体と同様に、図9G、9Hおよび表5に示す結果は、生じる構造体(AuNP+Apo+C15)が比較的一定の断面寸法を有していたことを実証する。この結果は、合成のための鋳型としてナノ粒子を使用する場合に、生じる構造体のサイズを制御することができることをも例証する。
【0153】
【表5】

Apo−AIおよびC15脂質で機能化されたAuNP、1,2−ビス(16−メルカプトヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを、図9Iおよび9Jに示す。生じる構造体(AuNP+Apo+C15)の流体力学直径を、動的光散乱によって測定し、上の表5に示す。
【0154】
TEM画像はすべて、対象となる構造体の濃縮溶液5μLを炭素被覆CuTEMグリッド上に堆積させることにより準備された試料を使用して得られた。溶液を15分間セットさせた。グリッドを、残っている液体がある場合に除去するためにろ紙で軽くふき、次いで、5分間セットさせた。5μLの6%酢酸ウラニルをグリッド上に堆積させ、次いで、10分間セットさせた。過剰の液体がある場合に除去するために、グリッドの上部にろ紙で軽く触れ、5分間セットさせた。
【0155】
動的光散乱実験はすべて使い捨てのポリスチレン・キュベット(DTS0012、Malvern)を使用して行なった。キュベットは、エタノール中で1回、nanopure HO中で3回洗浄した。対象となる構造体1mLを、泡の生成を回避するためにゆっくりとピペットでキュベットへ移した。細胞の表面を、エタノールに浸されたKimwipeで清浄化した。キュベットは、メーカーの指示に従ってMalvern Zetasizer装置に置いた。測定は、Malvernソフトウェアの「manual」測定機能を使用して、次のパラメーターを選択して行った:RI 1.3、吸収 0.01、25℃、Mark−Houwinkパラメーター、2分間の平衡時間、173°後方散乱(NIBSデフォルト)、自動測定時間、3回の測定、汎用(通常の解像度)診断モデル。エクセルソフトウェアを使用して、Malvernによって得られた3つの測定値を平均化し、標準偏差を計算した。
【0156】
実施例4
この実施例は、C10およびC15脂質での金ナノ粒子上の安定した自己集合した脂質層の合成、およびそれに続く、脂質のシェルを含む少なくとも部分的に中空の構造体を形成する、機能化されたナノ粒子からの金の金属の除去を実証する。
【0157】
実施例3に述べた方法に従って、C10およびC15脂質で機能化された金ナノ粒子を形成した。金の金属(つまりAu(0)からAuまたはAu3+まで)を溶解するために、5μLのIを、C10またはC15で機能化されたAuNPの濃縮溶液約20μLに添加した。混合物をボルテックスし、少なくとも部分的に中空の構造体を収集するために遠心分離機を使用して沈降させた。
【0158】
機能化されたAuNP、および金の金属の除去の後に生じる構造体の流体力学直径を、動的光散乱によって測定し、上の表4および5に示す。
【0159】
表4中のナノ粒子を、C10脂質で機能化した。構造体AuNP+C10+Iは、C10脂質で機能化されたAuナノ粒子を含み、次いで、金の金属を除去するためにヨウ素で処理され、脂質のシェルを含む少なくとも部分的に中空の構造体を形成した。ヨウ素での処理の後に生じる構造体のTEM画像を、図9Kに示す。下記のUV可視実験によって実証されるように、構造体の直径は30nm未満で、そのコアにAu(0)を含んでいない。図9Kに示すように、構造体の中心の近くの濃色部220は、構造体の中心の電子密度が高いことを示す。電子密度は、金の金属が塩へと酸化(たとえば、Au(0)からAuおよび/またはAu3+)されていることの結果かもしれない。コアから塩を除去するために、構造体は、コアからの塩の拡散を促進するために混合またはボルテックスされてもよい。図9Lは、光中心を有する構造体222のTEM画像を示し、このことは、構造体の中心の電子密度が高くなく、塩が、コアから拡散して少なくとも部分的に中空な構造体を形成したことを示す。構造体222は、30nm未満の直径を有していた。他の実験では、直径が20nm未満である少なくとも部分的に中空の構造体が形成された(図示せず)。
【0160】
少なくとも部分的に中空な構造体としては、C10およびApo−AI(AuNP+Apo+C10+I)が挙げられ、Apo−AIが追加されること以外は、AuNP+C10+Iについて上記した方法に似ている方法を使用して作成された。ヨウ素での処理の後の構造体の流体力学直径を、表4に示す。
【0161】
ヨウ素での処理前後に形成された構造体を、原子間力顕微鏡(AFM)によって視覚化した。C10構造体を図10A〜10Dに示す。図10Aおよび10Bは、ヨウ素での処理前に形成された構造体を示す。図10Cおよび10Dは、ヨウ素での処理の後の構造体を示す。図10Aおよび10Cは、生じる構造体がナノメーター範囲の寸法を持っていたことを示す二次元の表面マップAFM画像である。図10Bおよび10Dは、生じる構造体の高さ(たとえば直径)が約10nmだったことを示す三次元のAFMの表面画像である。
【0162】
ヨウ素での処理前後の構造体を、UV可視測定によっても特徴づけた。図11Aに示すように、ヨウ素での処理に先立った構造体(AuNP+C10、およびAuNP+Apo+C10)についての約520nmの金のプラズモンバンドの存在は、金が構造体中に存在したことを示す。ヨウ素で処理された構造体(AuNP+C10+I、およびAuNP+Apo+C10+I)についての約520nmの金のプラズモンバンドが消失したことは、ヨウ素処理の後に金の金属が溶解したことを示した。
【0163】
表5中のナノ粒子を、C15脂質で機能化した。構造体AuNP+C15+Iは、C15脂質で機能化されたAuナノ粒子を含み、次いで、金の金属を除去するためヨウ素で処理され、脂質のシェルを含む少なくとも部分的に中空の構造体を形成した。C15およびApo−AI(AuNP+Apo+C15+I)を含む少なくとも部分的に中空の構造体を、Apo−AIが追加されること以外は、AuNP+C15+Iついて上記した方法に似ている方法を使用して作成した。ヨウ素での処理の後の構造体の流体力学直径も、表5に示す。表5は、ヨウ素での処理の後に生じるC15およびApo−AIを含む構造体(AuNP+Apo+C15+I)が383.77nmの平均流体力学直径を有していたことを示すが、直径が30nm未満のより小さな構造体もこのプロセスで合成された。平均直径は、各々は試料上個々の装置を運転させて得た、試料の中で最も多かった3つの構造体の直径を取り、3つの測定値に基づいて平均値をを計算することによって計算した。特にこの実験の中で、一連のサイズの構造体が合成され測定されたので、165.35の比較的高い標準偏差が得られた。理論によって拘束されることを望まないが、本発明者らは、中空構造体の比較的大きな直径が、構造体を増加したボルテックスに付すなど、使用される処理工程に起因し得ると考えている。シェル中のApo−AIの存在は、C15脂質の充填の崩壊を引き起こし得、そのために構造体はボルテックス時に破裂する。さらに、または代替的に、金が溶解すると、構造体は、「膨張している」より抑制の弱い配置に移行し得る。大きな平均流体力学直径はまた、粒度の測定および粒子の流体力学直径の報告のために使用された装置アルゴリズムに起因し得る。構造体のサイズは、パラメーターの中でも特に、脂質シェルを拡大もしくは収縮させ得る振動の量およびシェルの形成に使用される特定の成分を変更することによって制御することができる。
【0164】
図11Aと同様に、図11Bに示すプロットは、構造体がヨウ素で処理された後に、約520のプラズモンピークが消えたことを示し、構造体からの金の金属の除去を例証している。
【0165】
この実施例は、次のことを示す。すなわち、少なくとも部分的に中空で、構造体のコアから金属が取り除かれた構造体のサイズは、合成のための鋳型としてナノ粒子を使用する場合に、制御することができる。
【0166】
実施例5
この実施例は、コレステロールを隔離するために実施例3において形成された構造体を使用することができることを実証する。
【0167】
構造体AuNP+C10およびAuNP+Apo+C10を、様々な濃度のNBDコレステロールを含む溶液にさらした。NBDコレステロールは、水性環境において蛍光をほとんど有していない。しかしながら、脂質単分子層に見られるような疎水性環境の中で、NBDコレステロールは蛍光性になる。コレステロールが脂質で機能化された構造体に吸収されるとともに、この蛍光が観察される。構造体AuNP+C10に関しての図12、および構造体AuNP+Apo+C10に関しての図13に示すように、構造体が増加する濃度のNBDコレステロールにさらされる場合、それに対応した蛍光の増加が観察される。これは、増加する濃度のコレステロールを有する構造体の表面上に、より多くのコレステロールが吸着されていることを実証する。
【0168】
構造体のBmaxおよびKを、実施例2に記載の方法を使用して決定した。Bmax=2320±436およびK=7.212±3.151nMを、Apo−AIのない構造体(AuNP+C10)について決定した。Bmax=4924±415.2およびK=3.161±0.6848nMを、Apo−AIを有する構造体(AuNP+Apo+C10)について決定した。Apo−AIを有する構造体について、タンパク質を含んでいない構造体と比較して、Bmaxは2倍になり、Kは2倍だけ改善する。このデータは、Apo−AIの添加によってコレステロールの結合が増加することを実証する。このデータは、さらに、構造体の界面化学を調整することにより、構造体がコレステロールに結合する能力を変化させることができることを示す。
【0169】
同様の実験を、C15脂質で機能化された構造体(AuNP+C15)およびC15脂質とApo−AIの両方で機能化された構造体(AuNP+Apo+C15)について行なった。Bmax=2759±238.8およびK=2.340±0.6622nMが、Apo−AIのない構造体(AuNP+C15)について測定された。Bmax=2245±146.3およびK=0.1104±0.05136nMが、Apo−AIを有する構造体(AuNP+Apo+C15)について測定された。Apo−AIを有する、およびApo−AIのない構造体についてのBmaxは類似していたが、実験は、Apo−AIの添加によてKが低下することを示し、コレステロールの結合が20倍だけ改善することを示している。
【0170】
この実施例は、たとえば好適な表面成分(たとえばC15対C10脂質)および/またはタンパク質(たとえばApo−AI)を選択することによって、コレステロールの結合を改善するために本明細書に記載の構造体の界面化学を調整することができることを示す。
【0171】
実施例6
この実施例は、単一相の合成によって本明細書に記載の構造体を合成する方法を示す。具体的には、脂質で機能化された金ナノ粒子を、エタノール/水中で合成した。
【0172】
1mLの合成につき、100μLの1mMの濃度の1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミン−N−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート](ナトリウム塩)(ジスルフィド脂質、Avanti Polar Lipids)のエタノール溶液をEppendorfチューブに加え、やはり1mMの濃度の100μLの1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPCC、Avanti Polar Lipids)のエタノール溶液と混合した。この混合物を完全に混合するためにボルテックスする。次いで、5nmのAuNP(約83nM、Ted Pella)の水溶液1mLを混合物に加え、もう一度ボルテックスし、次いでBranson2510超音波処理浴中で約5分間超音波処理し、1400rpmでEppendorf Thermomixer上で約30分間振盪した。脂質で機能化されたAuNPを分離するために、混合物を毎回15000rpmで45分間、250μLのアリコートで3回遠心分離した。各回転の後、上澄みを除去して廃棄し、脂質で機能化されたAuNPを、同じ体積のnanopureHO中に再懸濁した。最後の回転の後、アリコートを再度組み合わせ、脂質で機能化されたAuNPをHOまたはPBS(1X)中に再懸濁した。最終の機能化工程で、11.4μLのアポリポタンパク質A1(Apo−AI[ヒト]、Biodesign、35.3μM)を、脂質で機能化されたAuNPに加えた。その混合物をボルテックスし、1400rpmでEppendorf Thermomixerで一晩混合させた。混合物を、250μLのアリコートで再び3回遠心分離し(毎回15000rpmで45分間)、回転の間に同じ体積のHOまたはPBS(1X)中に再懸濁させた。最後の回転に続いて、アリコートを再度組み合わせ、HDL−AuNPを希望の濃度になるまでHOまたはPBS(1X)中に再懸濁させる。
【0173】
構造体を、実施例3に記載の方法を使用して、Apo−AI(Au+DiS+DPPC+APO)で機能化した。
【0174】
生じる構造体を特徴づけるために、動的光散乱測定を行なった。結果を表9に示す。図14に示すように、構造体を電子顕微鏡法でも特徴づけた。
【0175】
【表6】

上記の同じプロトコルも蛍光標識されたDPPCおよび蛍光標識されたAPOを使用して行なわれた。平均すると、構造体は、シェルの外側部に26.23の蛍光標識されたDPPC分子(二重層が形成されたので、総リン脂質含有量の約半分)およびシェルの外側部に0.76のApo−AI分子を含んでいた。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記述され例証されたが、当業者であれば、機能を実行し、および/または結果を得、および/または本明細書に記載の1つ以上の利点を得るために、容易に様々な他の手段および/または構造体の構想を描くだろう。また、各々のそのような変更および/または修正は、本発明の範囲内であると考えられる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメーター、寸法、材料、および構成は例示を意図し、実際のパラメーター、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示(複数可)が使用される特定の適用(複数可)に応じて決まることを容易に認識するだろう。当業者は、型通りの実験作業を行なうだけで、本明細書に記載の特定の実施形態の多くの等価物を認識するか、または確認することができるだろう。したがって、先の実施形態は例示としてのみ提示され、添付の請求項およびその等価物の範囲内で、具体的に記載され特許請求されたものとは別のやり方で本発明を実施することができることが理解されるであろう。本発明は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法に関する。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法のいかなる組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が、相互に一貫しない場合を除き、本発明の範囲内に含まれる。
【0177】
本明細書に定義され使用される定義はすべて、辞書の定義、参照によって組み込まれた文献中の定義および/または定義された用語の通常の意味に優先すると理解されるべきである。
【0178】
本明細書および請求項の中で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、明白に別途示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0179】
さらに、別途示されない限り、2つ以上の工程または行為を含む本明細書中で請求されたいかなる方法においても、当該方法の工程または行為の順序は、当該方法の工程または行為の記載された順序に必ずしも限定されないことを理解するべきである。
【0180】
上記の明細書と同様に請求項でも、すべての移行句、たとえば「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」、「involving」、「holding」、「composed of」等はオープンエンドであると理解され、すなわち、限定されずに含むことを意図する。移行句「consisting of」および「consisting essentially of」だけが、それぞれ、米国特許庁の審査手続便覧第2111.03章に規定されたクローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物質を含むナノ構造体コアと、
該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着する脂質二重層を含み、内側表面および外側表面を有するシェルと、
該シェルの少なくとも外側表面と会合するタンパク質とを含む、構造体であって、
コレステロールを隔離するよう適合される、構造体。
【請求項2】
約30nm以下の最大断面寸法を有するナノ構造体コアと、
該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着する脂質二重層を含み、内側表面および外側表面を有するシェルと、
該シェルの少なくとも外側表面と会合するタンパク質とを含む、構造体であって、
コレステロールを隔離するよう適合される、構造体。
【請求項3】
無機物質を含むナノ構造体コアと、該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着するシェルとを含み、コレステロールを隔離するよう適合される構造体と、
1以上の医薬的に許容可能な担体、添加物、および/または希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項4】
異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するためのキットであって、
複数の構造体を含む組成物であって、各構造体が無機物質を含むナノ構造体コアおよび該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着するシェルを含み、該構造体がコレステロールを隔離するよう適合される、組成物と、
異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態の診断、予防、処置、または管理に該組成物を用いるための取扱説明書とを含む、キット。
【請求項5】
異常脂質レベルに関連する疾患または身体状態を診断、予防、処置、または管理するための方法であって、
無機物質を含むナノ構造体コアおよび該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着するシェルを含み、コレステロールを隔離するよう適合される構造体を含む組成物の治療上有効な量を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項6】
複数の構造体を含む組成物を被験体または生物学的試料に導入する工程であって、各構造体が、無機物質を含むナノ構造体コアおよび該ナノ構造体コアを囲繞して該ナノ構造体コアに付着するシェルを含み、該構造体がコレステロールを隔離するよう適合される、工程と、
該複数の構造体および/または該被験体もしくは該生物学的試料を、該被験体もしくは該生物学的試料の疾患または状態を決定することができる試験条件にさらす工程とを含む、方法。
【請求項7】
表面および約50nm以下の最大断面寸法を有するナノ構造体コアを提供する工程と、
複数の成分を提供する工程と、
自己集合によって該ナノ構造体コアの表面上に該複数の成分の層を形成する工程であって、該複数の成分が該ナノ構造体コアを囲繞している、工程と、
該ナノ構造体コアの少なくとも一部分を除去する工程と、
少なくとも部分的に中空のコアを囲繞する該複数の成分を含む構造体を形成する工程とを含む、方法。
【請求項8】
複数の第1の成分、複数の第2の成分、および複数のナノ構造体コアを液体の単一相中で組み合わせる工程と、
少なくとも1つのナノ構造体コアの表面上に該複数の第1の成分を含む第1の層を、自己集合により形成する工程と、
該第1の層に隣接する該複数の第2の成分を含む第2の層を、自己集合により形成する工程とを含む方法であって、
該第1および該第2の層が少なくとも1個のナノ構造体コアを囲繞するシェルを構成する、方法。
【請求項9】
前記シェルが前記ナノ構造体コアを実質的に囲繞する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項10】
前記脂質二重層がリン脂質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項11】
前記脂質二重層が、50〜200のリン脂質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項12】
前記シェルがリポタンパク質構造体を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項13】
前記シェルがアポリポタンパク質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項14】
前記シェルが被験体に由来するアポリポタンパク質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項15】
前記アポリポタンパク質がアポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−IIまたはアポリポタンパク質Eである、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項16】
前記構造体が1〜6のアポリポタンパク質を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項17】
前記構造体が約50nm以下の最大断面寸法を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項18】
前記構造体が約35nm以下の最大断面寸法を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項19】
前記構造体が約30nm以下の最大断面寸法を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項20】
前記ナノ構造体コアが約50nm以下の最大断面寸法を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項21】
前記ナノ構造体コアが約30nm以下の最大断面寸法を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項22】
前記脂質二重層の少なくとも一部分が前記コアに共有結合する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項23】
前記脂質二重層の少なくとも一部分が前記コアに物理吸着する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項24】
前記脂質二重層が前記コアに向けられた複数の親水性基および該コアから離れて伸びる複数の疎水性基を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項25】
前記脂質二重層がチオール−金属結合を介して前記ナノ構造体コアに付着する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項26】
前記脂質二重層がアミノ基を介して前記ナノ構造体コアに付着する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項27】
前記ナノ構造体が無機ナノ構造体である、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項28】
前記ナノ構造体が金属を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項29】
前記ナノ構造体が金を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項30】
前記ナノ構造体が半導体を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項31】
前記ナノ構造体が重合体を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項32】
前記ナノ構造体が量子ドットを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項33】
前記ナノ構造体が実質的に球形である、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項34】
前記ナノ構造体が非球形である、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項35】
前記ナノ構造体が円盤状である、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項36】
前記ナノ構造体がナノチューブである、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項37】
前記ナノ構造体がナノロッドである、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項38】
前記構造体に会合する生物活性剤をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項39】
前記生物活性剤が1以上の抗炎症剤、核酸種、化学療法剤、およびコレステロール剤を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項40】
上記請求項のいずれか1項に記載の複数の構造体の混合物であって、該複数の構造体が、該構造体の約20%以下が平均断面寸法の約20%を上回る断面寸法を有するような断面寸法の分布を有する、混合物。
【請求項41】
前記構造体が使用中に少なくとも5分子のコレステロールを隔離するよう適合される、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項42】
前記コレステロールがエステル化コレステロールである、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項43】
前記コレステロールが遊離コレステロールである、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項44】
前記シェルが少なくとも3つの層を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項45】
前記構造体が造影剤を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項46】
前記シェルが造影剤を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項47】
前記ナノ構造体コアが造影剤を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項48】
前記構造体が酵素を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項49】
前記構造体がレシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項50】
前記シェルが脂質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項51】
前記シェルが脂質二重層を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項52】
前記シェルの少なくとも外側表面と会合するタンパク質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項53】
前記ナノ構造体コアが無機物質を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項54】
前記疾患または身体状態が異常に高い脂質レベルに関連する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項55】
前記疾患または身体状態が異常に低い脂質レベルに関連する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項56】
前記疾患または身体状態が心血管疾患を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項57】
前記疾患または身体状態がアテローム性動脈硬化を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項58】
前記疾患または身体状態が高脂血症を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項59】
前記疾患または身体状態が癌を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項60】
前記疾患または身体状態が炎症を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項61】
前記疾患または身体状態がタンパク質蓄積症を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項62】
前記疾患または身体状態が止血の疾患を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項63】
前記疾患または身体状態がリウマチ病を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項64】
前記疾患または身体状態が神経疾患を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項65】
前記組成物を投薬スケジュールに従って1回用量または分割された用量で投与する、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項66】
前記構造体にコレステロールを隔離させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記構造体に少なくとも5分子のコレステロールを隔離させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記構造体に少なくとも20分子のコレステロールを隔離させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記構造体に少なくとも50分子のコレステロールを隔離させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記コレステロールがエステル化コレステロールである、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記コレステロールが遊離コレステロールである、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
細胞を前記構造体と接触させ、該細胞に該構造体を取り込ませる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記構造体を細胞表面と相互作用させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記構造体を循環性リポタンパク質と相互作用させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物を前記被験体の末梢循環に投与する工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記被験体内の高密度リポタンパク質のレベルを増加させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記被験体内の低密度リポタンパク質のレベルを低下させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記被験体内のトリグリセリドレベルを低下させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記被験体におけるプラーク安定性を増加させるか、またはプラーク破裂の可能性を低下させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
炎症性疾患または炎症性応答を処置または予防する工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記構造体の少なくとも一部分を被験体から回収する工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記構造体に結合したコレステロールの量を決定する工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記試験条件が画像形成条件である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記試験条件がアッセイ条件であり、前記方法が前記複数の構造体の少なくとも一部分を前記被験体または生物学的試料から回収する工程および前記被験体または生物学的試料から回収された前記複数の構造体でアッセイを行なう工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記複数の構造体を前記被験体または生物学的試料内に蓄積させる工程を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記画像形成条件が磁気共鳴画像形成条件である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記画像形成条件がX線画像形成条件である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記画像形成条件が超音波画像形成条件である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記画像形成条件が放射性核種を用いる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記構造体が疾患または身体状態のマーカーである、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記組成物をin vivoで前記被験体または生物学的試料に導入する、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記組成物をin vitroで前記生物学的試料に導入する、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記被験体または生物学的試料内のプラークの位置を決定する工程を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記構造体を前記被験体または生物学的試料の成分と会合させる工程を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記成分がコレステロールを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記除去工程前に、前記ナノ構造体コアの表面上の複数の成分を架橋させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記除去工程後に、前記ナノ構造体コアの表面上の複数の成分を架橋させる工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記ナノ構造体コアを実質的に除去することにより、少なくとも部分的に中空のコアを実質的に囲繞する複数の成分を含む構造体を形成する工程をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記除去工程が前記ナノ構造体コアの少なくとも一部分を溶解する工程を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記第1および第2の層を実質的に同時に形成する、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記組み合わせ工程前に、前記複数の第1の成分を第1の溶媒に含め、前記複数のナノ構造体コアを第2の溶媒に含め、第1および第2の溶媒は混和性である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記組み合わせ工程前に、前記複数の第2の成分を前記第1および第2の溶媒と混和性である第3の溶媒に含める、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記液体が水を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記第1、第2および第3の溶媒の少なくとも1つが水を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記第1、第2および第3の溶媒の少なくとも1つがアルコール、DMF、THF、またはDMSOを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記第1の溶媒または第2の溶媒の少なくとも一部分を前記液体から除去する工程を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
複数の構造体を形成する工程を含み、各構造体がナノ構造体およびシェルを含み、複数の構造体が構造体の約20%以下が平均断面寸法の約20%を上回る断面寸法を有するような断面寸法の分布を有する、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記シェルが成分の単層を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項109】
前記シェルが脂質の単層を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。
【請求項110】
前記コアが金属塩を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の構造体、医薬組成物、キット、または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−518826(P2011−518826A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506304(P2011−506304)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/002540
【国際公開番号】WO2009/131704
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(594034795)ノースウェスタン、ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】