説明

コンクリート二次製品成形装置

【課題】 型枠に直線運動だけでなく円または楕円軌道を描くように往復運動させることができ、構造が簡潔で設置スペースも小さくて済むコンクリート二次製品成形装置を提供する。
【解決手段】 型枠Wが搭載されるテーブル3を、水平姿勢を維持して任意の水平方向に移動自在に基台2に支持するとともに、テーブル3をX方向に往復駆動する第1の直動駆動機(第1シリンダ10)と、テーブル3をY方向に往復駆動する第2の直動駆動機(第2シリンダ20)とをそなえ、第1の直動駆動機によるテーブル3のX方向往復駆動と前記第2の直動駆動機によるテーブル3のY方向往復駆動とを、合成可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンクリート二次製品を成形するための成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばU字溝などのコンクリート二次製品は、成形用の型枠内に生コンクリートを投入して成形後、養生および脱型工程を経て得られる。そして、上記の型枠内に生コンクリートを投入開始し充填を完了するまでの成形工程においては、生コンクリートを型枠内にすきまなく行渡らせ、骨材分離がなく密に締固めるために、型枠に往復運動を与えるのが有効とされているが、この往復運動は一方向にのみおこなう場合は、型枠内の成形品の形状や鉄筋の向きなどによって生コンクリートの充填不完全部が生じやすい。そこでこれを解決するように円または楕円軌道を描くように型枠を往復運動させるものとして、X動テーブル上にY動テーブルを配置し、X動テーブルを下部フレームに対して往復駆動し、Y動テーブルをX動テーブルに対して往復駆動するようにした成形装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−268268号公報
【0003】
ところが上記従来の成形装置においては、下部フレーム上にX動テーブルを配置し、このX動テーブル上にY動テーブルを配置した3層構造なので、装置が複雑で大重量のものとなり製造コストがかさむうえ、装置設置のために上下方向に大きなスペースを必要とし深いピットの掘削が必要となるなどの問題点を有するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、型枠を直線運動だけでなく円または楕円軌道を描くように往復運動させることができ、構造が簡潔で設置スペースも小さくて済むコンクリート二次製品成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1記載のコンクリート二次製品成形装置は、型枠が搭載されるテーブルを、水平姿勢を維持して任意の水平方向に移動自在に基台に支持するとともに、前記テーブルをX方向に往復駆動する第1の直動駆動機と、前記テーブルをY方向に往復駆動する第2の直動駆動機とをそなえ、前記第1の直動駆動機による前記テーブルのX方向往復駆動と前記第2の直動駆動機による前記テーブルのY方向往復駆動とを、合成可能としたことを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の手段によれば、第1の直動駆動機のみによりテーブルをX方向に直線状に往復駆動でき、第2の駆動機のみによりテーブルをY方向に直線状に往復駆動できるとともに、第1の直動駆動機と第2の直動駆動機によるX方向およびY方向往復駆動を合成させて、各往復駆動のストロークおよび速度および両往復駆動の位相差を調整することにより、テーブル従って型枠を所望の速度で、所望の方向に直線運動あるいは所望の方向を長軸とする楕円運動あるいは所望の半径で円運動させることができる。そして基台上には、上記の各種の運動をおこなうテーブルを1層設けるだけでよいので、装置全体の構造が簡潔で設置スペースも小さくて済む。
【0007】
この発明においてテーブルは、たとえばテーブル下面4隅部を基台に設けた玉軸受で支承するなどして、テーブルを同一水平面内で移動自在に支持してもよいが、請求項2記載の発明のように、前記テーブルが、略水平方向に揺動自在に前記基台に吊下支持されている構成とすれば、上記の玉軸受による場合より騒音や往復駆動のための所要動力が少なくて済むとともに、テーブルを直線往復運動させる場合には、テーブルは揺動により円弧状に上下方向にも往復運動するので、型枠内の生コンクリートの締固めが促進される。なおこの吊下支持によりテーブルは凹面状の軌跡に沿って揺動自在に支持されているが、この支持形態も、請求項1における「任意の水平方向に移動自在に支持する」形態に含まれるものである。
【0008】
またこの発明において、テーブルは直動駆動機により往復運動するだけで格別のストッパを設けない構成としてもよいが、請求項3記載の発明のように、前記第1の直動駆動機による前記テーブルの最大移動範囲内に、前記テーブルのX方向の移動を規制するX方向ストッパを設けるとともに、前記第2の直動駆動機による前記テーブルの最大移動範囲内に、前記テーブルのY方向の移動を規制するY方向ストッパを設けた構成とすれば、テーブルをX方向にのみ、あるいはY方向にのみ直線往復駆動するとき、その往復移動距離を最大移動距離近くに調整することにより、テーブルをストッパに衝突させて、テーブル上の型枠に往復両端(反転)部で強い衝撃を与えることができ、型枠隅部にもコンクリートを良好に充填することができる。
【0009】
またこの発明において直動駆動機としては、エアシリンダ,油圧シリンダ,電動シリンダのように、駆動部材が直線運動をおこなうものを使用することができ、またこの直動駆動機はテーブルと基台との間に取付けてもよいが、請求項4記載の発明のように、前記第1の直動駆動機が両ロッドシリンダから成り、この両ロッドシリンダのロッドを軸線をX方向に向けて前記テーブルに取付け、該両ロッドシリンダのシリンダを、X方向に延び基端部をZ軸まわりに揺動自在に前記基台に支持された第1アームの先端部にZ軸まわりに揺動自在に取付けた第1取付台上に、取付けるとともに、前記第2の直動駆動機が両ロッドシリンダから成り、この両ロッドシリンダのロッドを軸線をY方向に向けて前記テーブルに取付け、該両ロッドシリンダのシリンダを、Y方向に延び基端部をZ軸まわりに揺動自在に前記基台に支持された第2アームの先端部にZ軸まわりに揺動自在に取付けた第2取付台上に、取付けた構成とすれば、直動駆動機が両ロッドシリンダから成るため、その往復駆動時の油流量制御などによる速度制御が容易であるとともに、テーブルをX方向およびY方向に同時に駆動するとき、テーブルのY方向への移動により第1アームはX方向に対してやや傾斜状に揺動するが第1の直動駆動機のロッドはX方向を向いているので、テーブルは第1の直動駆動機によりほぼX方向に駆動され、同様にテーブルのX方向への移動により第2アームはY方向に対してやや傾斜状に揺動するが第2の直動駆動機はY方向を向いているので、テーブルは第2の直動駆動機によりほぼY方向へ駆動され、テーブルを所望の軌跡に従って正確に駆動することができる。
【0010】
また請求項4記載の発明において、X方向ストッパおよびY方向ストッパは、基台に設けてテーブルの移動を規制するようにしてもよいが、請求項5記載の発明のように、前記第1取付台に、前記第1の直動駆動機による前記テーブルのX方向の移動を規制するX方向ストッパを設けるとともに、前記第2取付台に、前記第2の直動駆動機による前記テーブルのY方向の移動を規制するY方向ストッパを設けた構成とすれば、テーブル四辺部に対応して基台にストッパを複数本立設するのに比べて装置が簡潔で済む。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、型枠を直線運動だけでなく円または楕円軌道を描くように往復運動させることができ、構造が簡潔で設置スペースも小さくて済むコンクリート二次製品成形装置が得られる。
【0012】
また上記の効果に加えて、請求項2記載の発明によれば、テーブルの往復駆動時の騒音や所要動力が少なくて済み、またテーブルを直線往復運動させる場合には上下駆動の付加により型枠内のコンクリートの締固めが促進される。
【0013】
また上記の効果に加えて、請求項3記載の発明によれば、テーブルをX方向あるいはY方向にのみ直線往復駆動するとき、テーブルをストッパに衝突させることによりテーブル上の型枠に衝撃を与えて型枠隅部にもコンクリートを良好に充填することができる。
【0014】
また上記の効果に加えて、請求項4記載の発明によれば、テーブルを所望の速度および軌跡に従って正確・容易に駆動できる。
【0015】
また上記の請求項4記載の発明による効果に加えて、請求項5記載の発明によれば、基台に複数個のストッパを立設する必要がなく、装置が簡潔で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図7に示す第1例により、この発明の実施の形態を説明する。図1〜図3はコンクリート二次製品成形装置1の全体を示し、2は工場の床面やピット底面上に設置される基台、3は型枠Wが搭載されるテーブルである。テーブル3の四隅部にはL字形の脚4が固着され、基台2に固設した一対の門型のフレーム5,5の上梁部と、テーブル3の各脚4の先端部との間は、吊下部材6により連結され、これによってテーブル3は4点で、略水平方向に揺動自在に吊下支持されている。
【0017】
吊下部材6は図4に示す構成を有し、2枚のリンクプレート41,41をスペーサ42を挟んで一体化したリンク40の上下両端部を、基台2のフレーム5の上梁部およびテーブル3の脚4に取付けたブラケット43,43に、継手44を介して連結して成る。継手44は、ピン穴45を有する円筒体の両側中央部に、ピン穴45と直交する方向に延びる段付軸46,46を固着した十文字状の継手で、リンクプレート41,41の端部に段付軸46(の細径部)を回動自在に嵌込んで継手44を段付軸46の軸線のまわりに回動自在に取付けるとともに、ブラケット43を貫通してピン穴45に挿通したピン47により、ブラケット43と継手44(従ってこれと一体のリンク40)はピン47の軸心のまわりに回動自在に連結されている。そしてこのようなリンク40の両端部の自在継手状の連結構造により、テーブル3はX方向(この例では図1に示すようにテーブル3の長手方向)およびこのX方向に水平面内で直交するY方向はもとより、任意の向きの水平方向に、半径Rで揺動自在にフレーム5の上梁部に吊下支持されている。
【0018】
図1および図2において10は、テーブル3をX方向に往復駆動する第1の直動機である油圧式の両ロッドシリンダから成る第1シリンダで、そのロッド10aの両端部は、ロッドの軸線をX方向に向けた状態でテーブル3に固設した取付部材3a,3bに固定取付けされている。また11はX方向に延びる第1アームで、基台2に突設した支柱2aに、基端部をZ軸(X方向およびY方向に直交するZ方向に向かう軸線。以下おなじ。)のまわりに揺動自在に支持され、該アームの先端部には、X方向に延びる第1取付台12がZ軸のまわりに揺動自在に取付けられ、この第1取付台12上に、前記第1シリンダ10のシリンダ10b部が固定取付けされている。なお第1アーム11の支柱2aおよび第1取付台12への軸支部には、テーブル3の上下動を吸収するために自動調心軸受が使用されている。13,14は第1取付台12の両端部に固設したX方向ストッパ、7はこのストッパに対向してテーブル3に取付けた緩衝用のゴムブロックである。
【0019】
また図1および図3において20は、テーブル3をY方向に往復駆動する第2の直動駆動機である油圧式の両ロッドシリンダから成る第2シリンダで、そのロッド20aの両端部は、ロッドの軸線をY方向に向けた状態でテーブル3に固設した取付部材3c,3dに固定取付けされている。また21はY方向に延びる第2アームで、基台2に突設した支柱2bに、基端部をZ軸のまわりに揺動自在に支持され、該アームの先端部には、Y方向に延びる第2取付台22がZ軸のまわりに揺動自在に取付けられ、この第2取付台22上に、前記第2シリンダ20のシリンダ20b部が固定取付けされている。なお第2アーム21の支柱2bおよび第2取付台22への軸支部には、テーブル3の上下動を吸収するために自動調心軸受が使用されている。23,24は第2取付台22の両端部に固設したY方向ストッパ、8はこのストッパに対向してテーブル3に取付けた緩衝用のゴムブロックである。
【0020】
次に図5は第1シリンダ10および第2シリンダ20の駆動制御系を示し、成形装置はテーブル3部のみを略示した平面図であるが、図1における第1取付台12および第2取付台22の図示は省略してあり、後述の図6および図7も同様な図示としてある。図中、30は油圧制御装置で、コントローラ35からの指令信号にもとづきポンプPからの圧油を所定の流量曲線に従って第1シリンダ10の前後のシリンダ室に切換供給する切換弁,流量制御弁等から成る第1油圧制御部31と、同様にコントローラ35からの指令信号にもとづきポンプPからの圧油を所定の流量曲線に従って第2シリンダ20の前後のシリンダ室に切換供給する第2油圧制御部32とから成る。33は油タンクである。
【0021】
そしてこのコントローラ35の指令により第1シリンダ10および第2シリンダ20は、単独であるいは同期して所望の往復ストロークおよび周期でテーブル3をX方向およびY方向に往復駆動し、上記の同期駆動の場合のX方向およびY方向の往復駆動の位相差も任意に設定できるので、これによってテーブル3を、X−Y平面内での所望の方向への直線往復運動および所望の方向を長軸とする楕円軌道を描く往復運動、および所望の半径の円運動軌道を描く往復運動させることができる。
【0022】
なお上記の図1〜図3(および図5)は、第1シリンダ10および第2シリンダ20に圧油を供給せずに、吊下部材6により吊下げられたテーブル3が自重により最下位置にあるテーブル中立状態を示し、X方向ストッパ13,14とテーブル3のゴムブロック7、およびY方向ストッパ23,24とテーブル3のゴムブロック8との間には、それぞれ等しい間隔Gが形成されている。またこれらの図において、矢印X(あるいは矢印Y)の指す方向側を「前」側、その反対側を「後側」と称するものとする。
【0023】
上記構成の装置を用いて、コンクリート二次製品の成形は次のようにしておこなう。先ず、型枠Wをテーブル3上に搭載して、テーブル3に設けたクランプ具(図示しない)によって型枠Wをテーブル3に固定する。そして型枠W内の成形品の形状や鉄筋の向きなどに応じて、型枠Wに与えるのは直線往復運動か、円運動(楕円運動を含む)か、またX,Yいずれかの方向に直線運動させる場合に往復反転時に衝撃を与えるかを選定する。
【0024】
たとえば型枠WにX方向の往復運動と、往復反転時の衝撃を与える場合は、第1油圧制御装置31により第1シリンダ10に圧油を供給して、ロッド10aを片ストロークG以上、両ストローク2G以上のストロークで往復させてテーブル3をX方向に往復駆動し、このテーブル3上の型枠Wに対して図示しない投入機により生コンクリートを投入する。図6はこの往復駆動パターンにおいて、X方向に前進駆動されたテーブル3(のゴムブロック7)がX方向ストッパ13に衝突した状態を実線で示し、次いで反転し後退駆動されたテーブル3(のゴムブロック7)がX方向ストッパ14に衝突した状態を鎖線で示す。なお図中太線Pは、前記中立状態にあるテーブル3の隅部の位置を示しており、後述の図7においても同様とする。
【0025】
上記の往復反転時の衝撃付与により、型枠Wの隅部にもコンクリートを良好に充填することができる。生コンクリート投入完了後、テーブル3の往復駆動を停止して、1個の型枠Wによる成形は終了するので、以下新たな型枠と交換して同様な工程で成形をおこなう。上記の成形工程において、テーブル3は、基台2に略水平方向に揺動自在に吊下支持された状態で往復駆動されるので、玉軸受でテーブル3を支持する場合に比べて従来の台車往復駆動式の装置のような大きな走行音や大きな走行抵抗がなく、騒音や所要動力が少なくて済むとともに、往復駆動されるテーブル3は揺動により円弧状に上下方向にも往復運動するので、型枠W内の生コンクリートの締固めが促進される。また上記のテーブル3のX方向の往復駆動時には、第2アーム21はその基端部の軸支点(Z軸)を中心として矢印Sで示すように揺動するので、テーブル3(従って型枠W)のY方向への移動は僅少量に抑制される。
【0026】
上記の図6は型枠WのX方向往復駆動を示すものであるが、同様にして第2シリンダ20に圧油を供給して両ストローク2G以上でテーブル3をY方向に往復駆動し、その往復反転時に型枠Wに衝撃を与える往復駆動をすることもでき、このとき第1アーム11はその基端部の軸支点を中心として矢印Rで示すように揺動する。さらに圧油の供給量の制御により、テーブル3を片ストロークG以下、両ストローク2G以下で往復駆動し、型枠Wに反転時の衝撃を伴わないX方向あるいはY方向の直線往復運動を与えることもできる。
【0027】
次に型枠Wに円運動(楕円運動を含む)を与える場合には、第1油圧制御装置31により第1シリンダ10に、第2油圧制御装置32により第2シリンダ20に、それぞれ圧油を供給して、両シリンダのロッドを片ストロークG以下、両ストローク2G以下で同期させて往復駆動し、かつ前述のように第1シリンダ10によるX方向の往復運動と第2シリンダ20によるY方向の往復駆動の位相差およびストロークの選定により、型枠Wに所望の半径の円運動、所望の方向を長軸とする楕円運動、さらにX−Y平面内での所望の方向への直線往復運動を与えることができ、型枠Wの形状や鉄筋の向きなどに応じて最適の往復運動により生コンクリートの充填をおこなうことができる。
【0028】
図7はこのうち、型枠Wに円運動を与える場合のテーブル3およびその駆動系を示し、実線は円運動中のX方向およびY方向に変位したテーブル3のひとつの位置を示し、鎖線はこれに対して円運動が180°進行した状態のテーブル3の位置を示す。この円運動に伴い、第1アーム11はその基端部の軸支点を中心に矢印Rで示すように揺動し、第2アーム21はその基端部の軸支点を中心に矢印Sで示すように揺動するが、その揺動量は小さく、かつ第1シリンダ10はX方向に、第2シリンダ20はY方向にそれぞれ向いた状態であり、シリンダ自体がX方向およびY方向に対して傾斜することはなく、さらに第1シリンダ10と第2シリンダ20は両ロッドシリンダで構成されているので、その各シリンダ10b,20bの前側および後側シリンダ室に、同じ流量特性で圧油を供給することにより往復駆動時に同じ速度特性でテーブル3を駆動することができ(この点は前記のテーブル3に直線往復運動を与える場合も同じである)、テーブル3を所望の軌跡に従って正確に駆動することができるのである。
【0029】
次に図8〜図10に示す第2例により、この発明の実施の形態を説明する。この例のコンクリート二次製品成形装置50は、前記第1例のコンクリート二次製品成形装置1において、第1の直動駆動機である第1シリンダ60および第2の直動駆動機である第2シリンダ70を、それぞれ油圧式の片ロッドシリンダで構成し、この第1シリンダ60および第2シリンダ70のテーブル3に対する取付構造ならびにテーブルの移動規制用のストッパの構造を変えたもので、その他の構成はコンクリート二次製品成形装置1と同じであるので、図1〜図3と同一部分には同一符号を付して図示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0030】
図8および図9に示すように、第1シリンダ60のロッド60aの先端部は、テーブル3に固設した取付部材3eに防振ゴム61を介して取付けた連結具62に、Z軸のまわりに揺動自在に取付けられている。またシリンダ60bの基端部は、基台2に立設した支柱63に防振ゴム64を介して取付けた連結具65に、Z軸のまわりに揺動自在に取付けられている。
【0031】
また図8および図10に示すように、第2シリンダ70のロッド70aの先端部は、テーブル3に固設した取付部材3fに防振ゴム71を介して取付けた連結具72に、Z軸のまわりに揺動自在に取付けられている。またシリンダ70bの基端部は、基台2に立設した支柱73に防振ゴム74を介して取付けた連結具75に、Z軸のまわりに揺動自在に取付けられている。
【0032】
そして上記第1シリンダ60および第2シリンダ70は、前記第1例と同構成のコントローラ35をそなえた油圧制御装置30に接続されている。なお上記の防振ゴム61,64,71,74は、テーブル3起動時などの衝撃吸収用と、テーブル3の上下動の吸収用とを兼ねている。
【0033】
また51はフレーム5の上梁部に固設したX方向ストッパ、52はこのストッパに対向してテーブル3に取付けた緩衝用のゴムブロックである。また53は、基台2に立設固着したY方向ストッパ、54はこのストッパに対向してテーブル3に取付けた緩衝用のゴムブロックである。
【0034】
上記構成のコンクリート二次製品成形装置50は、第1例と同様に第1シリンダ60によるテーブル3のX方向の往復駆動と、第2シリンダ70によるテーブル3のY方向の往復駆動とを組合わせて、テーブル3に取付けた型枠Wに第1例と同様な直線往復運動や円運動(楕円運動を含む)を与えることができ、またX方向往復駆動時におけるテーブル3とX方向ストッパ51との衝突による往復反転時の衝撃付与、Y方向往復駆動時におけるテーブル3とY方向ストッパ53との衝突による往復反転時の衝撃付与もおこなうことができる。
【0035】
なおこの例の第1シリンダ60および第2シリンダ70は片ロッドシリンダにより構成したので、ロッド60a,70aの突出駆動時と引込駆動時に同じ速度特性でロッド、従ってテーブル3を往復駆動するためには、各シリンダ60b,70bのロッド側のシリンダ室よりも反ロッド側のシリンダ室への圧油供給量を大とせねばならず、この点で両ロッドシリンダを用いる第1例とは油圧制御装置30の具体的構成は変える必要があることは当然である。
【0036】
この発明は上記の各例に限定されるものではなく、たとえば第1の直動駆動機および第2の直動駆動機としては、エアシリンダや電動シリンダなどを用いてもよく、そのテーブルおよび基台に対する取付構造も上記以外のものとしてもよい。またテーブルの直線往復駆動時において往復両端(反転)部で衝撃を与える必要のないときは、X方向ストッパやY方向ストッパは省略してもよい。
【0037】
またテーブル3の基台2に対する取付構造としては、テーブル3の四隅部を基台2上に取付けた玉軸受で支承して、任意の水平方向に移動自在に支持してもよいし、X方向に延びる短尺の下側ガイドレールに沿ってガイドされるガイドブロックの上側に、Y方向に延びる短尺の上側ガイドレールをY方向に移動自在に嵌合させた、2層構造のクロス軸受を介して(上記下側ガイドレールを基台2に取付け、上側ガイドレールをテーブル3に取付けて)、テーブル3を基台2に任意の水平方向に移動自在に支持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態の第1例を示すコンクリート二次製品成形装置の部分切欠平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1の装置における吊下部材の一部切欠正面図(a)(図2のC部拡大正面図)および一部切欠側面図(b)である。
【図5】図1の装置の駆動系統図である。
【図6】図1の装置の動作説明図である。
【図7】図1の装置の動作説明図である。
【図8】この発明の実施の形態の第2例を示すコンクリート二次製品成形装置の部分切欠平面図である。
【図9】図8のD−D線断面図である。
【図10】図8のE−E線断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…コンクリート二次製品成形装置、2…基台、3…テーブル、6…吊下部材、10…第1シリンダ(第1の直動駆動機)、10a…ロッド、10b…シリンダ、11…第1アーム、12…第1取付台、13…ストッパ、14…ストッパ、20…第2シリンダ、20a…ロッド、20b…シリンダ、21…第2アーム、22…第2取付台、23…ストッパ、24…ストッパ、30…油圧制御装置、35…コントローラ、50…コンクリート二次製品成形装置、51…X方向ストッパ、53…Y方向ストッパ、60…第1シリンダ(第1の直動駆動機)、60a…ロッド、60b…シリンダ、70…第2シリンダ(第2の直動駆動機)、70a…ロッド、70b…シリンダ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠が搭載されるテーブルを、水平姿勢を維持して任意の水平方向に移動自在に基台に支持するとともに、
前記テーブルをX方向に往復駆動する第1の直動駆動機と、
前記テーブルをY方向に往復駆動する第2の直動駆動機とをそなえ、
前記第1の直動駆動機による前記テーブルのX方向往復駆動と前記第2の直動駆動機による前記テーブルのY方向往復駆動とを、合成可能としたことを特徴とするコンクリート二次製品成形装置。
【請求項2】
前記テーブルが、略水平方向に揺動自在に前記基台に吊下支持されていることを特徴とする請求項1記載のコンクリート二次製品成形装置。
【請求項3】
前記第1の直動駆動機による前記テーブルの最大移動範囲内に、前記テーブルのX方向の移動を規制するX方向ストッパを設けるとともに、
前記第2の直動駆動機による前記テーブルの最大移動範囲内に、前記テーブルのY方向の移動を規制するY方向ストッパを設けたことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート二次製品成形装置。
【請求項4】
前記第1の直動駆動機が両ロッドシリンダから成り、この両ロッドシリンダのロッドを軸線をX方向に向けて前記テーブルに取付け、該両ロッドシリンダのシリンダを、X方向に延び基端部をZ軸まわりに揺動自在に前記基台に支持された第1アームの先端部にZ軸まわりに揺動自在に取付けた第1取付台上に、取付けるとともに、
前記第2の直動駆動機が両ロッドシリンダから成り、この両ロッドシリンダのロッドを軸線をY方向に向けて前記テーブルに取付け、該両ロッドシリンダのシリンダを、Y方向に延び基端部をZ軸まわりに揺動自在に前記基台に支持された第2アームの先端部にZ軸まわりに揺動自在に取付けた第2取付台上に、取付けたことを特徴とする請求項1または2または3記載のコンクリート二次製品成形装置。
【請求項5】
前記第1取付台に、前記第1の直動駆動機による前記テーブルのX方向の移動を規制するX方向ストッパを設けるとともに、
前記第2取付台に、前記第2の直動駆動機による前記テーブルのY方向の移動を規制するY方向ストッパを設けたことを特徴とする請求項4記載のコンクリート二次製品成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−196564(P2007−196564A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18988(P2006−18988)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(302047396)株式会社セフティシステム (2)