コンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具
【課題】コンクリート成型体に連結用の埋込金具を確実かつ強固に取り付けた構造でありながら、簡単な構成で、かつ低コストで製造できるコンクリート構造体を提供する。
【解決手段】コンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に対して連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体12に埋込み状に固定される埋込金具14であり、該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部34と、係合部34から突設される2つの脚板部34と、が略コ字状に一体形成された埋込金具14と、埋込金具14の各脚板部36に該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40を穿孔させておき、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で脚板部36の貫通孔40が形成される部分全体を該コンクリート成型体12に埋め込ませた脚板アンカー構造16と、を含むコンクリート構造体10から構成される。
【解決手段】コンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に対して連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体12に埋込み状に固定される埋込金具14であり、該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部34と、係合部34から突設される2つの脚板部34と、が略コ字状に一体形成された埋込金具14と、埋込金具14の各脚板部36に該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40を穿孔させておき、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で脚板部36の貫通孔40が形成される部分全体を該コンクリート成型体12に埋め込ませた脚板アンカー構造16と、を含むコンクリート構造体10から構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート成型体に金具を埋込むことにより連結対象物との連結手段を一体的に備えるコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場で製造したコンクリートブロックやコンクリートセグメント等のコンクリート構造体には、現場でそれらを互いに連結するために、コンクリート構造体の連結させる端部分に予めフランジ等の連結金具を取り付けておき、その連結金具をボルト、ナットで締結して連結する場合がある。図12には、従来のコンクリート構造体を連結する金具として利用される連結用フランジ100を示しており、従来の連結用フランジ100は、金属板をコ字状に曲折することにより中央にボルト108を通す孔110が設けられた係合板部102と、係合板部102から突設された一対の基部104と、が一体的に形成されており、さらに基部104に異形鉄筋等からなるアンカー106が溶接112で固定されている。そして、連結用フランジ100は、図13に示すように、アンカー106をコンクリート本体200中に埋め込むことにより、連結対象コンクリート構造体からの引っ張り力等に抗して連結用フランジをコンクリート本体200に確実に固定させておくものであった。また、同様な技術として、特許文献1には、連結端面部に埋設されてコンクリートセグメントどうしを連結する継手金具が提案されている。特許文献1の継手金具では、連結端面と同一面になるべく設けられており連結ボルト用の貫通孔が穿設されている連結板と、この連結板の後方に設けられてアンカー部材が取り付けられている基部とからなり、アンカー部材をコンクリートセグメントに埋め込んで取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−84896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の連結用フランジや特許文献1の継手金具等では、それらの金具等が連結時の引っ張り力等に抗してコンクリート構造体との取り付け状態を強固に保持させるためにアンカーを備える必要があった。したがって、連結用フランジや金具等を製作する際には、アンカーを1つ1つコ字状金属板の基部にそれぞれ溶接して取り付ける工程が必要であるから、製造が煩雑で手間及びコストがかかっていた。さらに、アンカーと基部との溶接部分が錆びたり劣化して連結部分が弱体化してしまったり、ボルト締め付け時にコ字金具が変形しやすく適切な連結を行えないおそれがあった。また、連結用フランジや継手金具が錆びにくいように、該金具等の表面をメッキ等で錆止め処理した金属材料を使用して製造しようとすると、防錆メッキにより基部とアンカーの溶接固定が困難又は不可能な場合があり、実用性に劣る問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、コンクリート成型体に連結用の埋込金具を確実かつ強固に取り付けた構造でありながら、簡単な構成で、かつ低コストで製造できるコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、所定形状のコンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体12に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具14であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部34と、引っ張り方向とは逆方向に係合部34から突設されてコンクリート成型体12に固定される2つの脚板部34と、が略コ字状に一体形成された埋込金具14と、埋込金具14の各脚板部36に該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40を穿孔させておき、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で脚板部36の貫通孔40が形成される部分全体(36b)を該コンクリート成型体12に埋め込ませた埋込金具14の脚板アンカー構造16と、を含むことを特徴とするコンクリート構造体10から構成される。埋込金具14の大きさ、形状や、1つのコンクリート構造体に埋め込む個数等については、例えば、コンクリート構造体や連結対象物の大きさ、荷重、連結状態で受ける引っ張り力、その他の力等を考慮して設計されるとよい。埋込金具は、例えば、高耐食溶融めっき鋼板のように錆び難いようなメッキ処理等した金属で製造するとよい。
【0007】
また、埋込金具14の係合部34と連結対象物とは締結部材18を介して締結され、脚板アンカー構造16は、脚板部36の対向間隙のうち係合部側の一部分42を締結部材18の締結作業間隙として中空に保持して脚板部36をコンクリート成型体12に埋め込ませたこととしてもよい。なお、埋込金具の締結作業用間隙は、連結対象物と連結した後には、モルタルやコンクリート等で埋めて強度を向上するようにしても良い。
【0008】
また、連結対象物は、該埋込金具14と同じ構成の他の埋込金具14を備えた他のコンクリート構造体からなり、埋込金具14の係合部34は、他方の係合部34に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材18を介して締結されることとしてもよい。実施形態のように同じ形状で製造されたコンクリート成型体12どうしを連結してもよいし、異なる形状で製造されたコンクリート成型体12どうしを連結してもよい。
【0009】
さらに、本発明は、上記記載のコンクリート構造体10に用いられる前記埋込金具であって、該係合部34と、該2つの脚板部36と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔40が穿孔されており、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔40が形成される部分全体(36b)を該コンクリート成型体12に埋め込ませることで脚板アンカー構造16を構成するコンクリート構造体用の埋込金具14から構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート構造体によれば、所定形状のコンクリート成型体と、コンクリート成型体に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部と、引っ張り方向とは逆方向に係合部から突設されてコンクリート成型体に固定される2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成された埋込金具と、埋込金具の各脚板部に該脚板部の板面を貫通する貫通孔を穿孔させておき、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませた埋込金具の脚板アンカー構造と、を含むことから、脚板アンカー構造によりコンクリート成型体に確実に強固に固定させることができ、連結対象物から引っ張り力が作用しても埋込金具の固定状態を確実に保持して良好に連結状態を保持できる。特に、埋込金具の脚板部自体にアンカー機能を持たせたので、製造時には従来のようにアンカー鉄筋の溶接作業等を工程が不要であり、簡単な構成で低コストで製造できる。同時に、埋込金具は、溶接が不要なので錆止めメッキ処理等した金属素材を使用して製造でき、耐久性が高い連結部を実現できる。また、連結する際に、埋込金具が変形しにくくいとともに、金具の変形によるコンクリート成型体の亀裂等も発生しにくい。
【0011】
また、埋込金具の係合部と連結対象物とは締結部材を介して締結され、脚板アンカー構造は、脚板部の対向間隙のうち係合部側の一部分を締結部材の締結作業間隙として中空に保持して脚板部をコンクリート成型体に埋め込ませたことから、脚板アンカー構造を構成する埋込金具であっても、締結部材を解してコンクリート構造体と連結対象物とを確実に連結できるとともに、連結作業を円滑に行うことができる。
【0012】
また、連結対象物は、該埋込金具と同じ構成の他の埋込金具を備えた他のコンクリート構造体からなり、埋込金具の係合部は、他方の係合部に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材を介して締結される構成とすることにより、例えば、種々の基礎架台や擁壁、暗渠等のコンクリートブロックどうしを連結する際に好適に利用できる。
【0013】
さらに、本発明の埋込金具によれば、上記記載のコンクリート構造体に用いられる前記埋込金具であって、該係合部と、該2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔が穿孔されており、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませることで脚板アンカー構造を構成することから、脚板アンカー構造によりコンクリート成型体に確実に強固に固定させることができ、連結対象物から引っ張り力が作用しても埋込金具の固定状態を確実に保持して良好に連結状態を保持できる。特に、埋込金具の脚板部自体にアンカー機能を持たせたので、製造時には従来のようにアンカー鉄筋の溶接作業等を工程が不要であり、簡単な構成で低コストで製造できる。同時に、埋込金具は、溶接が不要なので錆止めメッキ処理等した金属素材を使用して製造でき、耐久性が高い連結部を実現できる。また、連結する際に、埋込金具が変形しにくくいとともに、金具の変形によるコンクリート成型体の亀裂等も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンクリート構造体どうしを連結した状態の縦断面図である。
【図2】図1のコンクリート構造体の斜視説明図である。
【図3】図1のコンクリート構造体に用いられる埋込金具の拡大斜視図である。
【図4】コンクリート構造体の埋込金具周辺の拡大斜視図である。
【図5】図1のコンクリート構造体どうしの連結構造の拡大平面図である。
【図6】図1のコンクリート構造体どうしの連結構造の要部拡大図である。
【図7】他の形態の埋込金具の斜視図である。
【図8】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図9】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図10】図9のコンクリート構造体の連結部分を示した要部拡大説明図である。
【図11】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図12】従来の連結用フランジの斜視図である。
【図13】従来の連結用フランジを取り付けたコンクリート構造体どうしの連結部分の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照しつつ本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具の実施形態について説明する。本発明に係るコンクリート構造体は、例えば、太陽光パネル又はその他の構造物の基礎架台用ブロック、マンホールやハンドホール、擁壁構築用ブロック、カルバート構築用ブロック、道路側溝用ブロック、その他の種々の土木建築用等のコンクリート二次製品に、被連結物と連結するための連結手段を一体的に設けたものである。そして、本発明に係る埋込金具は該コンクリート構造体に用いられる埋込金具である。図1ないし図6は、本発明のコンクリート構造体及び埋込金具の一実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態において、コンクリート構造体10は、コンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に固定される埋込金具14と、該埋込金具14のコンクリート成型体12への脚板アンカー構造16と、を備えている。
【0016】
本実施形態では、例えば、コンクリート構造体10(10a、10b、10c)どうしを連結する場合について説明する。それぞれのコンクリート構造体10は、コンクリート成型体12の形状は異なっているが、同一構成の埋込金具14を備えている。すなわち、任意のコンクリート構造体10の連結対象物は、略同じ構成要素、すなわちコンクリート成型体12と埋込金具14と脚板アンカー構造16とを備えた他のコンクリート構造体10からなる。コンクリート構造体10どうしは、それらの連結金具14を互いに位置合わせした状態で、該連結金具14どうしをボルト、ナット等の締結部材18を介して締結することにより連結される。
【0017】
コンクリート成型体12は、目的の利用態様に応じて所定形状に形成されるコンクリート構造体の本体又はコンクリート躯体である。本実施形態では、図1、図2に示すように、コンクリート成型体12は、例えば、太陽電池パネル20を地面GLからある程度高い位置に任意の勾配で傾けた状態で支持する基礎架台22を構成するためのコンクリートブロック(12a、12b、12c)からなる。基礎架台22は、例えば、太陽電池パネル20の高位側を支持する第1コンクリート成型体12aと、太陽電池パネル20の低位側を支持する第2コンクリート成型体12bと、それらの間に介設して連結される第3コンクリート成型体12cと、を含む。すなわち、図1、図2では、第1〜第3コンクリート成型体12a〜12cの異なる3つの態様のコンクリート成型体12を同時に示している。
【0018】
第1コンクリート成型体12aは、例えば、平面視略矩形状のベース部24と、ベース部24から上に向けて立設された支持脚部26と、が側面視略L字状に一体的に形成されており、整地された平らな地面GLに安定的に自立するように設けられている。ベース部24は、例えば、ある程度の厚みを有する板状に形成され、板面を上下方向に向けて地面上に配置される。ベース部24の一端縁部がコンクリート成型体12の連結対象物に対する連結端部分32となっており、該連結端部分には、所定の間隔で凹部28が複数個設けられており、各凹部28に対応して後述の埋込金具14が連結方向を横向きにした状態で配置されている。支持脚部26は、例えば、ベース部24に一体化した下端側から上方に向けて次第に細くなる複数(例えば3つ)の柱状部29を上端側の受部30で接続し、内部に抜き孔が形成された枠状体に形成されている。支持脚部26の上端の受部30は、例えば、太陽光パネル20の支持フレーム21を傾けた状態で受ける傾斜上面が形成されているとともに、支持フレーム21とボルトで連結するためのインサートナット31等が埋め込まれている。第2コンクリート成型体12bは、例えば、第1コンクリート成型体12aと略同じ構成でありその詳細な説明を省略する。第2コンクリート成型体12bは、第1コンクリート成型体12aと比較して、ベース部24の大きさ形状は同じであるが、支持脚部26の高さが低く形成されている。第2コンクリート成型体12bは、L字の向きが第1コンクリート成型体12aと対称的に配置される。第3コンクリート成型体12cは、例えば、第1、第2コンクリート成型体12a、12bのベース部24と同じ厚みの矩形板状体からなる。第3コンクリート成型体12cの対向両端に、第1、第2コンクリート成型体12a、12cに対する連結端部分32が設けられる。第3コンクリート成型体12cの連結端部分32には、所定の間隔で凹部28が複数個凹設されており、各凹部28に対応して埋込金具14が配置されている。なお、コンクリート成型体12の形状は、上記のものに限定されず、例えば、T字状、I次状、コ字状等、その他任意の形状でもよい。また、基礎架台22は、上述のように、太陽電池パネルの流れ方向に複数のコンクリート成型体を連結する態様に限らず、太陽電池パネルの流れ方向に直交するようにコンクリート成型体を配置して連結する態様でもよい。
【0019】
図1、図2に示すように、埋込金具14は、コンクリート成型体12の連結部分32に埋め込み状に固定される連結用金具又は連結用フランジである。図3、図4、図5、図6に示すように、埋込金具14は、連結対象物と係合するための係合部34と、コンクリート成型体12へ固定される2つの脚板部36と、が略コ字状に一体的に形成されている。本実施形態では、図5、図6に示すように、例えば、互いに連結される一方のコンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34と、他方のコンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34と、を互いに当着状に突合わせた状態でボルト、ナット等からなる締結部材18で締結して連結される。そして、埋込金具14は、コンクリート構造体10を連結した状態では互いに相手側のコンクリート構造体10から引っ張り力を受ける。
【0020】
具体的には、埋込金具14は、図3に示すように、例えば、一枚の金属板部材を略コ字状に曲折されたものからなり、板状の係合部34と、2つの脚板部36と、が一体的に形成されている略コ字状金属板からなる。係合部34は、例えば、略矩形平板状に形成されており、その中央位置に締結部材18のボルトが貫通するボルト孔38が板面を貫通して穿孔されている。図4に示すように、係合部34は、埋込金具14がコンクリート成型体12の連結端部分32に取り付けられた状態では、係合部34の外面側がコンクリート成型体の連結端面と略面一状となるように、板面を立てて配置されている。係合部34の外面側は、連結他方側コンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34との突合わせ面39となり、互いに密着状に突き合せされて締結部材18で締結される。連結状態では、係合部34は、締結部材18を介して連結相手側のコンクリート構造体10から互いに引っ張り力を受ける部分となる。係合部34は、例えば、矩形状の横幅サイズがコンクリート成型体12の凹部28の横幅と略同じに設定され、縦幅サイズが該凹部28の縦幅すなわちベース部22の厚み幅よりも若干小さく設けられている。
【0021】
脚板部36は、埋込金具14においてコンクリート成型体12に支持させるための支持手段として機能する。本実施形態では、図3に示すように、2つの脚板部36は、例えば、矩形平板状に形成されており、係合部34の対向する2辺にそれぞれ接続され、略係合部34の大きさに対応した対向間隙を形成して平行状に配置されている。図4、図5にも示すように、脚板部36は、コンクリート成型体12の内側に向けて、すなわち連結対象物からの引っ張り方向とは逆方向に向けて、延びるように係合部34から突設されている。よって、埋込金具14は、コンクリート成型体12の連結端面に沿って係合部34側を連結部前面側に配置されるとともに、脚板部36が控え壁のように係合部34から後方に向けて延設されている。脚板部36の一部分、例えば、脚板部36の突設方向P中間位置より突設先部側部分(36b)に、該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40が穿孔されている。貫通孔40は、例えば、略矩形状に設けられており、係合部34が受ける引っ張り力の引っ張り方向に対して直交方向に板面を貫通している。脚板部36は、例えば、板部全体がコンクリート成型体12の外形輪郭より内部収容状に配置されるとともに、該2つの脚板部36の対向両外面側はコンクリート成型体12を形成するコンクリートと定着する。さらに、脚板部36の対向間隙内は、コ字開放側部分にはコンクリートが充填されるが、係合部34側の対向間隙42は中空に保持されており、該脚板部36の突設方向Pの先部側部分(36b)のみがコンクリート成型体12を形成するコンクリート部分に埋設される。よって、脚板部36の係合部34との接続基部から突設方向Pへの長さは、コンクリート成型体12の凹部28の連結端面から内部側への深さよりも十分に長い長さとなっている。脚板部36は、脚板アンカー構造16によりコンクリート成型体12に埋込み状に固定される。
【0022】
脚板アンカー構造16は、埋込金具14をコンクリート成型体12へ確実に埋込み状に固定するために脚板部36自体が構成するアンカー手段であり、連結対象物から受ける引っ張り力に抗して該埋込金具14のコンクリート成型体12との固定状態を強固に保持する。本実施形態では、図3、図4、図5、図6に示すように、例えば、脚板部36の係合部34との接続基部側から突出方向Pの中間位置までの前半部位を第1部位36aとし、該脚板部36の突出方向Pの同中間位置から突出先端までの後半部位を第2部位36bとすると、少なくとも脚板部の第2部位36bに貫通孔40が形成されるとともに、該第2部位36bがコンクリート成型体12を形成しているコンクリート部分に埋め込まれる埋設部分となって脚板アンカー構造16の要素として機能する。したがって、脚板アンカー構造16は、脚板部36の第2部位36bの板面を貫通する貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で、脚板部36の貫通孔40が形成される部分を該コンクリート成型体12に埋め込ませており、該第2部位36bの対向間隙部分(脚板部の対向間隙のコ字開放側部分)はコンクリート成型体を成すコンクリートが充填されている。これにより、コンクリート成型体12の連結端部分32において該コンクリート成型体12の一部分が脚板部36を連結対象物からの引っ張り方向に交差する方向に孔貫通状に配置されることによってアンカー機能として有効に作用して脚板部36が埋込み状に固定されている。一方、脚板部36の係合部34側に近い第1部位36aの対向間隙42は、締結部材18の締結作業間隙として中空に保持されている。この脚板部36の係合部側に臨む中空な対向間隙を介して締結部材18のボルト、ナットの挿入及び螺合締め付け作業を行える。すなわち、脚板部36の係合部34側の第1部位36aは締結作業用の間隙保持部であり、脚板部36のコ字開放側(突設先部側)の第2部位36bはコンクリート成型体12へのアンカーとなって脚板アンカー構造16を構成している。よって、脚板部の第1部位36aは外面側のみコンクリートと定着しているが、第2部位36bでは、対向内外両面及び貫通孔40の孔壁を含む部位全体がコンクリートと定着している。また、脚板部36は、係合部34との接続基部側から突設方向Pに向けて順に、締結作業用の間隙保持部(36a)とアンカー部(36b)とが一体的に形成され、かつアンカー部(36b)に貫通孔40が形成された構成ともいえる。また、本実施形態のコンクリート構造体に用いられる埋込金具14は、係合部34と、板面を貫通する貫通孔40が形成された脚板部36と、がコ字状に一体的に形成されており、該脚板部36をコンクリート成型体12へ埋め込んだ状態で脚板アンカー構造16を構成する。
【0023】
なお、図7に示すように、脚板部36に穿孔する貫通孔40は、各脚板部36に複数個ずつ設けることとしてもよい。図7では、各脚板部36に、上記の図3の形態と比較して小さな貫通孔40を2個形成した態様を示している。なお、貫通孔40の形状は、円形、楕円形、矩形状等その他任意の形状でもよく、貫通孔40の大きさもコンクリートが連通する大きさであれば任意でもよい。脚板部36に複数の貫通孔を形成した場合には、全ての貫通孔にコンクリート成型体12を形成しているコンクリート部分が入って連通するように埋め込まれるように設けられる。
【0024】
コンクリート構造体10を製造する際には、例えば、予めコ字状に一体的に曲折された金属板からなる埋込金具14を形成しておき、型枠でコンクリート成型体12を成型する際にその連結端部分に埋込金具14を配置した状態で生コンクリートを型枠内に打設して所定形状のコンクリート構造体10が形成される。なお、埋込金具14の脚板部36の貫通孔40内に生コンクリートが通って連通して貫通孔が形成された部分全体を埋め込ませることにより脚板アンカー構造16を構成させる一方、該脚板部36の対向間隙の係合部32側部分は生コンクリートを打設せず中空に保持させておく。打設したコンクリートが固化してコンクリート成型体12が成型されると該コンクリート成型体12と埋込金具14の貫通孔40を含む脚板部36との固定状態が強固に維持される。そして、図1、図5、図6に示すように、コンクリート構造体10どうしを連結する場合には、コンクリート構造体10の互いの連結端部分を突合わせ、かつ埋込金具14の係合部34の外面どうしを密着状に合わせボルト孔38を位置合わせした状態で、締結部材18のボルトを両ボルト孔38に通す。そして、該ボルトにナットを螺合して締めこむことによりコンクリート構造体10どうしが連結される。これにより、コンクリート構造体10どうしの連結構造は、それぞれのコンクリート構造体10の連結端部分に埋込み状に固定させる脚板アンカー構造16を備えたコ字状の埋込金具14と、埋込金具14どうしを締結する締結手段18と、を備えた構成となっている。この連結状態では、埋込金具14には互いに引っ張る力が作用するが、上記のようなコンクリート成型体12の一部分が脚板部36の貫通孔40内を満たすように貫通して固定させた脚板アンカー構造16により、該引っ張り力に抗して強固に固定状態を保持できる。また、埋込金具14は、連結時に係合部34等が変形しにいうえ、コンクリート成型体の剥離、欠損等も生じにくく、略コ字状の形態を保持して良好な連結状態を維持できる。このように埋込金具14の脚板部36自体にコンクリート成型体12へのアンカー機能を持たせた構成とすることで、従来のように異形鉄筋等のアンカーを別途取り付ける必要がなく、埋込金具14及びそれを用いたコンクリート構造体10の製作が極めて簡単であり、低コストで製造できる。なお、図1、図5、図6に示すようなコンクリート構造体10どうしの連結構造において、連結した後に埋込金具14の脚板部36の係合部側に形成させた締結部材18の締結操作用の対向間隙42内にモルタル、セメント又はコンクリートを打設して埋め、構造体10どうしの連結強度を向上させることとしてもよい。
【0025】
なお、コンクリート構造体10は、上述の実施形態のような態様に限定されない。例えば、図8に示す他の実施形態では、コンクリート構造体10は、例えば、擁壁を構成するために並設されて互いに連結されるコンクリートブロック(10d)に適用した場合について説明している。図8では、コンクリート成型体12dは、例えば、地面に設置される矩形板状に形成された底部44と、底部44の端部から立設された鏡部46と、がL字状に一体的に形成されている。コンクリート成型体12dの連結端部分32には、例えば、鏡部46の上部側とL字隅部位置にそれぞれ埋込金具14が埋込み状に固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。図8に示すようにコンクリート成型体12の連結端部を突き合わせた状態で埋込金具14どうしを締結部材を介して締結して連結される。
【0026】
また、図9、図10では、コンクリート構造体10が、例えば、地中に埋設されて水路、人や車が通る地下道、又はケーブルの敷設管路となるカルバートボックス(暗渠)を構成するコンクリートブロック(10e)に適用した場合について説明している。図9、図10の実施形態では、例えば、コンクリート成型体12eは、例えば、対向両端が開口48されるとともに、4つの周壁50が一体的に設けられた両端開口の矩形状筒体で形成されており、内部に周壁50に囲まれた中空空間が形成されている。コンクリート成型体12の連結端部分32となる開口48両端縁には、その隅部近傍に埋込金具14が固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造16の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。図9、図10に示すように、コンクリート成型体12の連結端部を互いに突き合わせた状態で埋込金具14どうしを締結部材(図示せず)を介して締結することでコンクリート構造体が連結されて、内部空間を互いに連通させた管路状の暗渠が構成される。
【0027】
また、図11では、コンクリート構造体10が、例えば、電線、通信線、光ファイバー等を接続、分岐するハンドホール(或いはマンホール)に適用した場合について説明している。図11の実施形態では、例えば、コンクリート成型体12fは、矩形状の底壁54とその底壁54の4辺の長さに応じて立設された4つの側壁56とが一体的に形成され、上面を開口52した有底箱状又は升状に形成されている。コンクリート成型体12fの側壁56には、電線等を通す配管のためのノックアウト部が貫通されている。コンクリート成型体12fの連結端部分32となる上端縁部には、その隅部近傍に埋込金具14が固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造16の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。コンクリート成型体12fの上方に図示しない上部側(蓋側)ハンドホール用ブロックが組み合わされて埋込金具14どうしを締結部材を介して連結してハンドホールが構成される。なお、その他、コンクリート構造体10は、上述した実施形態のものに限らず様々な態様に適用できる。
【0028】
以上説明した本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具は、例えば、コンクリート構造体どうしを連結する機能、又は他の構造体と連結する機能、を持たせたコンクリート構造体として有効に利用でき、種々の基礎架台、マンホール、ハンドホール、側溝、管路、擁壁、カルバート等その他様々なものに適用できる。
【符号の説明】
【0030】
10 コンクリート構造体
12 コンクリート成型体
14 埋込金具
16 脚板アンカー構造
18 締結部材
34 係合部
36 脚板部
40 貫通孔
42 対向間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート成型体に金具を埋込むことにより連結対象物との連結手段を一体的に備えるコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場で製造したコンクリートブロックやコンクリートセグメント等のコンクリート構造体には、現場でそれらを互いに連結するために、コンクリート構造体の連結させる端部分に予めフランジ等の連結金具を取り付けておき、その連結金具をボルト、ナットで締結して連結する場合がある。図12には、従来のコンクリート構造体を連結する金具として利用される連結用フランジ100を示しており、従来の連結用フランジ100は、金属板をコ字状に曲折することにより中央にボルト108を通す孔110が設けられた係合板部102と、係合板部102から突設された一対の基部104と、が一体的に形成されており、さらに基部104に異形鉄筋等からなるアンカー106が溶接112で固定されている。そして、連結用フランジ100は、図13に示すように、アンカー106をコンクリート本体200中に埋め込むことにより、連結対象コンクリート構造体からの引っ張り力等に抗して連結用フランジをコンクリート本体200に確実に固定させておくものであった。また、同様な技術として、特許文献1には、連結端面部に埋設されてコンクリートセグメントどうしを連結する継手金具が提案されている。特許文献1の継手金具では、連結端面と同一面になるべく設けられており連結ボルト用の貫通孔が穿設されている連結板と、この連結板の後方に設けられてアンカー部材が取り付けられている基部とからなり、アンカー部材をコンクリートセグメントに埋め込んで取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−84896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の連結用フランジや特許文献1の継手金具等では、それらの金具等が連結時の引っ張り力等に抗してコンクリート構造体との取り付け状態を強固に保持させるためにアンカーを備える必要があった。したがって、連結用フランジや金具等を製作する際には、アンカーを1つ1つコ字状金属板の基部にそれぞれ溶接して取り付ける工程が必要であるから、製造が煩雑で手間及びコストがかかっていた。さらに、アンカーと基部との溶接部分が錆びたり劣化して連結部分が弱体化してしまったり、ボルト締め付け時にコ字金具が変形しやすく適切な連結を行えないおそれがあった。また、連結用フランジや継手金具が錆びにくいように、該金具等の表面をメッキ等で錆止め処理した金属材料を使用して製造しようとすると、防錆メッキにより基部とアンカーの溶接固定が困難又は不可能な場合があり、実用性に劣る問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、コンクリート成型体に連結用の埋込金具を確実かつ強固に取り付けた構造でありながら、簡単な構成で、かつ低コストで製造できるコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、所定形状のコンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体12に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具14であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部34と、引っ張り方向とは逆方向に係合部34から突設されてコンクリート成型体12に固定される2つの脚板部34と、が略コ字状に一体形成された埋込金具14と、埋込金具14の各脚板部36に該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40を穿孔させておき、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で脚板部36の貫通孔40が形成される部分全体(36b)を該コンクリート成型体12に埋め込ませた埋込金具14の脚板アンカー構造16と、を含むことを特徴とするコンクリート構造体10から構成される。埋込金具14の大きさ、形状や、1つのコンクリート構造体に埋め込む個数等については、例えば、コンクリート構造体や連結対象物の大きさ、荷重、連結状態で受ける引っ張り力、その他の力等を考慮して設計されるとよい。埋込金具は、例えば、高耐食溶融めっき鋼板のように錆び難いようなメッキ処理等した金属で製造するとよい。
【0007】
また、埋込金具14の係合部34と連結対象物とは締結部材18を介して締結され、脚板アンカー構造16は、脚板部36の対向間隙のうち係合部側の一部分42を締結部材18の締結作業間隙として中空に保持して脚板部36をコンクリート成型体12に埋め込ませたこととしてもよい。なお、埋込金具の締結作業用間隙は、連結対象物と連結した後には、モルタルやコンクリート等で埋めて強度を向上するようにしても良い。
【0008】
また、連結対象物は、該埋込金具14と同じ構成の他の埋込金具14を備えた他のコンクリート構造体からなり、埋込金具14の係合部34は、他方の係合部34に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材18を介して締結されることとしてもよい。実施形態のように同じ形状で製造されたコンクリート成型体12どうしを連結してもよいし、異なる形状で製造されたコンクリート成型体12どうしを連結してもよい。
【0009】
さらに、本発明は、上記記載のコンクリート構造体10に用いられる前記埋込金具であって、該係合部34と、該2つの脚板部36と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔40が穿孔されており、貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔40が形成される部分全体(36b)を該コンクリート成型体12に埋め込ませることで脚板アンカー構造16を構成するコンクリート構造体用の埋込金具14から構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート構造体によれば、所定形状のコンクリート成型体と、コンクリート成型体に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部と、引っ張り方向とは逆方向に係合部から突設されてコンクリート成型体に固定される2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成された埋込金具と、埋込金具の各脚板部に該脚板部の板面を貫通する貫通孔を穿孔させておき、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませた埋込金具の脚板アンカー構造と、を含むことから、脚板アンカー構造によりコンクリート成型体に確実に強固に固定させることができ、連結対象物から引っ張り力が作用しても埋込金具の固定状態を確実に保持して良好に連結状態を保持できる。特に、埋込金具の脚板部自体にアンカー機能を持たせたので、製造時には従来のようにアンカー鉄筋の溶接作業等を工程が不要であり、簡単な構成で低コストで製造できる。同時に、埋込金具は、溶接が不要なので錆止めメッキ処理等した金属素材を使用して製造でき、耐久性が高い連結部を実現できる。また、連結する際に、埋込金具が変形しにくくいとともに、金具の変形によるコンクリート成型体の亀裂等も発生しにくい。
【0011】
また、埋込金具の係合部と連結対象物とは締結部材を介して締結され、脚板アンカー構造は、脚板部の対向間隙のうち係合部側の一部分を締結部材の締結作業間隙として中空に保持して脚板部をコンクリート成型体に埋め込ませたことから、脚板アンカー構造を構成する埋込金具であっても、締結部材を解してコンクリート構造体と連結対象物とを確実に連結できるとともに、連結作業を円滑に行うことができる。
【0012】
また、連結対象物は、該埋込金具と同じ構成の他の埋込金具を備えた他のコンクリート構造体からなり、埋込金具の係合部は、他方の係合部に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材を介して締結される構成とすることにより、例えば、種々の基礎架台や擁壁、暗渠等のコンクリートブロックどうしを連結する際に好適に利用できる。
【0013】
さらに、本発明の埋込金具によれば、上記記載のコンクリート構造体に用いられる前記埋込金具であって、該係合部と、該2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔が穿孔されており、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませることで脚板アンカー構造を構成することから、脚板アンカー構造によりコンクリート成型体に確実に強固に固定させることができ、連結対象物から引っ張り力が作用しても埋込金具の固定状態を確実に保持して良好に連結状態を保持できる。特に、埋込金具の脚板部自体にアンカー機能を持たせたので、製造時には従来のようにアンカー鉄筋の溶接作業等を工程が不要であり、簡単な構成で低コストで製造できる。同時に、埋込金具は、溶接が不要なので錆止めメッキ処理等した金属素材を使用して製造でき、耐久性が高い連結部を実現できる。また、連結する際に、埋込金具が変形しにくくいとともに、金具の変形によるコンクリート成型体の亀裂等も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンクリート構造体どうしを連結した状態の縦断面図である。
【図2】図1のコンクリート構造体の斜視説明図である。
【図3】図1のコンクリート構造体に用いられる埋込金具の拡大斜視図である。
【図4】コンクリート構造体の埋込金具周辺の拡大斜視図である。
【図5】図1のコンクリート構造体どうしの連結構造の拡大平面図である。
【図6】図1のコンクリート構造体どうしの連結構造の要部拡大図である。
【図7】他の形態の埋込金具の斜視図である。
【図8】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図9】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図10】図9のコンクリート構造体の連結部分を示した要部拡大説明図である。
【図11】他の形態のコンクリート構造体の斜視図である。
【図12】従来の連結用フランジの斜視図である。
【図13】従来の連結用フランジを取り付けたコンクリート構造体どうしの連結部分の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照しつつ本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具の実施形態について説明する。本発明に係るコンクリート構造体は、例えば、太陽光パネル又はその他の構造物の基礎架台用ブロック、マンホールやハンドホール、擁壁構築用ブロック、カルバート構築用ブロック、道路側溝用ブロック、その他の種々の土木建築用等のコンクリート二次製品に、被連結物と連結するための連結手段を一体的に設けたものである。そして、本発明に係る埋込金具は該コンクリート構造体に用いられる埋込金具である。図1ないし図6は、本発明のコンクリート構造体及び埋込金具の一実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態において、コンクリート構造体10は、コンクリート成型体12と、コンクリート成型体12に固定される埋込金具14と、該埋込金具14のコンクリート成型体12への脚板アンカー構造16と、を備えている。
【0016】
本実施形態では、例えば、コンクリート構造体10(10a、10b、10c)どうしを連結する場合について説明する。それぞれのコンクリート構造体10は、コンクリート成型体12の形状は異なっているが、同一構成の埋込金具14を備えている。すなわち、任意のコンクリート構造体10の連結対象物は、略同じ構成要素、すなわちコンクリート成型体12と埋込金具14と脚板アンカー構造16とを備えた他のコンクリート構造体10からなる。コンクリート構造体10どうしは、それらの連結金具14を互いに位置合わせした状態で、該連結金具14どうしをボルト、ナット等の締結部材18を介して締結することにより連結される。
【0017】
コンクリート成型体12は、目的の利用態様に応じて所定形状に形成されるコンクリート構造体の本体又はコンクリート躯体である。本実施形態では、図1、図2に示すように、コンクリート成型体12は、例えば、太陽電池パネル20を地面GLからある程度高い位置に任意の勾配で傾けた状態で支持する基礎架台22を構成するためのコンクリートブロック(12a、12b、12c)からなる。基礎架台22は、例えば、太陽電池パネル20の高位側を支持する第1コンクリート成型体12aと、太陽電池パネル20の低位側を支持する第2コンクリート成型体12bと、それらの間に介設して連結される第3コンクリート成型体12cと、を含む。すなわち、図1、図2では、第1〜第3コンクリート成型体12a〜12cの異なる3つの態様のコンクリート成型体12を同時に示している。
【0018】
第1コンクリート成型体12aは、例えば、平面視略矩形状のベース部24と、ベース部24から上に向けて立設された支持脚部26と、が側面視略L字状に一体的に形成されており、整地された平らな地面GLに安定的に自立するように設けられている。ベース部24は、例えば、ある程度の厚みを有する板状に形成され、板面を上下方向に向けて地面上に配置される。ベース部24の一端縁部がコンクリート成型体12の連結対象物に対する連結端部分32となっており、該連結端部分には、所定の間隔で凹部28が複数個設けられており、各凹部28に対応して後述の埋込金具14が連結方向を横向きにした状態で配置されている。支持脚部26は、例えば、ベース部24に一体化した下端側から上方に向けて次第に細くなる複数(例えば3つ)の柱状部29を上端側の受部30で接続し、内部に抜き孔が形成された枠状体に形成されている。支持脚部26の上端の受部30は、例えば、太陽光パネル20の支持フレーム21を傾けた状態で受ける傾斜上面が形成されているとともに、支持フレーム21とボルトで連結するためのインサートナット31等が埋め込まれている。第2コンクリート成型体12bは、例えば、第1コンクリート成型体12aと略同じ構成でありその詳細な説明を省略する。第2コンクリート成型体12bは、第1コンクリート成型体12aと比較して、ベース部24の大きさ形状は同じであるが、支持脚部26の高さが低く形成されている。第2コンクリート成型体12bは、L字の向きが第1コンクリート成型体12aと対称的に配置される。第3コンクリート成型体12cは、例えば、第1、第2コンクリート成型体12a、12bのベース部24と同じ厚みの矩形板状体からなる。第3コンクリート成型体12cの対向両端に、第1、第2コンクリート成型体12a、12cに対する連結端部分32が設けられる。第3コンクリート成型体12cの連結端部分32には、所定の間隔で凹部28が複数個凹設されており、各凹部28に対応して埋込金具14が配置されている。なお、コンクリート成型体12の形状は、上記のものに限定されず、例えば、T字状、I次状、コ字状等、その他任意の形状でもよい。また、基礎架台22は、上述のように、太陽電池パネルの流れ方向に複数のコンクリート成型体を連結する態様に限らず、太陽電池パネルの流れ方向に直交するようにコンクリート成型体を配置して連結する態様でもよい。
【0019】
図1、図2に示すように、埋込金具14は、コンクリート成型体12の連結部分32に埋め込み状に固定される連結用金具又は連結用フランジである。図3、図4、図5、図6に示すように、埋込金具14は、連結対象物と係合するための係合部34と、コンクリート成型体12へ固定される2つの脚板部36と、が略コ字状に一体的に形成されている。本実施形態では、図5、図6に示すように、例えば、互いに連結される一方のコンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34と、他方のコンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34と、を互いに当着状に突合わせた状態でボルト、ナット等からなる締結部材18で締結して連結される。そして、埋込金具14は、コンクリート構造体10を連結した状態では互いに相手側のコンクリート構造体10から引っ張り力を受ける。
【0020】
具体的には、埋込金具14は、図3に示すように、例えば、一枚の金属板部材を略コ字状に曲折されたものからなり、板状の係合部34と、2つの脚板部36と、が一体的に形成されている略コ字状金属板からなる。係合部34は、例えば、略矩形平板状に形成されており、その中央位置に締結部材18のボルトが貫通するボルト孔38が板面を貫通して穿孔されている。図4に示すように、係合部34は、埋込金具14がコンクリート成型体12の連結端部分32に取り付けられた状態では、係合部34の外面側がコンクリート成型体の連結端面と略面一状となるように、板面を立てて配置されている。係合部34の外面側は、連結他方側コンクリート構造体10の埋込金具14の係合部34との突合わせ面39となり、互いに密着状に突き合せされて締結部材18で締結される。連結状態では、係合部34は、締結部材18を介して連結相手側のコンクリート構造体10から互いに引っ張り力を受ける部分となる。係合部34は、例えば、矩形状の横幅サイズがコンクリート成型体12の凹部28の横幅と略同じに設定され、縦幅サイズが該凹部28の縦幅すなわちベース部22の厚み幅よりも若干小さく設けられている。
【0021】
脚板部36は、埋込金具14においてコンクリート成型体12に支持させるための支持手段として機能する。本実施形態では、図3に示すように、2つの脚板部36は、例えば、矩形平板状に形成されており、係合部34の対向する2辺にそれぞれ接続され、略係合部34の大きさに対応した対向間隙を形成して平行状に配置されている。図4、図5にも示すように、脚板部36は、コンクリート成型体12の内側に向けて、すなわち連結対象物からの引っ張り方向とは逆方向に向けて、延びるように係合部34から突設されている。よって、埋込金具14は、コンクリート成型体12の連結端面に沿って係合部34側を連結部前面側に配置されるとともに、脚板部36が控え壁のように係合部34から後方に向けて延設されている。脚板部36の一部分、例えば、脚板部36の突設方向P中間位置より突設先部側部分(36b)に、該脚板部36の板面を貫通する貫通孔40が穿孔されている。貫通孔40は、例えば、略矩形状に設けられており、係合部34が受ける引っ張り力の引っ張り方向に対して直交方向に板面を貫通している。脚板部36は、例えば、板部全体がコンクリート成型体12の外形輪郭より内部収容状に配置されるとともに、該2つの脚板部36の対向両外面側はコンクリート成型体12を形成するコンクリートと定着する。さらに、脚板部36の対向間隙内は、コ字開放側部分にはコンクリートが充填されるが、係合部34側の対向間隙42は中空に保持されており、該脚板部36の突設方向Pの先部側部分(36b)のみがコンクリート成型体12を形成するコンクリート部分に埋設される。よって、脚板部36の係合部34との接続基部から突設方向Pへの長さは、コンクリート成型体12の凹部28の連結端面から内部側への深さよりも十分に長い長さとなっている。脚板部36は、脚板アンカー構造16によりコンクリート成型体12に埋込み状に固定される。
【0022】
脚板アンカー構造16は、埋込金具14をコンクリート成型体12へ確実に埋込み状に固定するために脚板部36自体が構成するアンカー手段であり、連結対象物から受ける引っ張り力に抗して該埋込金具14のコンクリート成型体12との固定状態を強固に保持する。本実施形態では、図3、図4、図5、図6に示すように、例えば、脚板部36の係合部34との接続基部側から突出方向Pの中間位置までの前半部位を第1部位36aとし、該脚板部36の突出方向Pの同中間位置から突出先端までの後半部位を第2部位36bとすると、少なくとも脚板部の第2部位36bに貫通孔40が形成されるとともに、該第2部位36bがコンクリート成型体12を形成しているコンクリート部分に埋め込まれる埋設部分となって脚板アンカー構造16の要素として機能する。したがって、脚板アンカー構造16は、脚板部36の第2部位36bの板面を貫通する貫通孔40にコンクリート成型体12の一部分を連通させた状態で、脚板部36の貫通孔40が形成される部分を該コンクリート成型体12に埋め込ませており、該第2部位36bの対向間隙部分(脚板部の対向間隙のコ字開放側部分)はコンクリート成型体を成すコンクリートが充填されている。これにより、コンクリート成型体12の連結端部分32において該コンクリート成型体12の一部分が脚板部36を連結対象物からの引っ張り方向に交差する方向に孔貫通状に配置されることによってアンカー機能として有効に作用して脚板部36が埋込み状に固定されている。一方、脚板部36の係合部34側に近い第1部位36aの対向間隙42は、締結部材18の締結作業間隙として中空に保持されている。この脚板部36の係合部側に臨む中空な対向間隙を介して締結部材18のボルト、ナットの挿入及び螺合締め付け作業を行える。すなわち、脚板部36の係合部34側の第1部位36aは締結作業用の間隙保持部であり、脚板部36のコ字開放側(突設先部側)の第2部位36bはコンクリート成型体12へのアンカーとなって脚板アンカー構造16を構成している。よって、脚板部の第1部位36aは外面側のみコンクリートと定着しているが、第2部位36bでは、対向内外両面及び貫通孔40の孔壁を含む部位全体がコンクリートと定着している。また、脚板部36は、係合部34との接続基部側から突設方向Pに向けて順に、締結作業用の間隙保持部(36a)とアンカー部(36b)とが一体的に形成され、かつアンカー部(36b)に貫通孔40が形成された構成ともいえる。また、本実施形態のコンクリート構造体に用いられる埋込金具14は、係合部34と、板面を貫通する貫通孔40が形成された脚板部36と、がコ字状に一体的に形成されており、該脚板部36をコンクリート成型体12へ埋め込んだ状態で脚板アンカー構造16を構成する。
【0023】
なお、図7に示すように、脚板部36に穿孔する貫通孔40は、各脚板部36に複数個ずつ設けることとしてもよい。図7では、各脚板部36に、上記の図3の形態と比較して小さな貫通孔40を2個形成した態様を示している。なお、貫通孔40の形状は、円形、楕円形、矩形状等その他任意の形状でもよく、貫通孔40の大きさもコンクリートが連通する大きさであれば任意でもよい。脚板部36に複数の貫通孔を形成した場合には、全ての貫通孔にコンクリート成型体12を形成しているコンクリート部分が入って連通するように埋め込まれるように設けられる。
【0024】
コンクリート構造体10を製造する際には、例えば、予めコ字状に一体的に曲折された金属板からなる埋込金具14を形成しておき、型枠でコンクリート成型体12を成型する際にその連結端部分に埋込金具14を配置した状態で生コンクリートを型枠内に打設して所定形状のコンクリート構造体10が形成される。なお、埋込金具14の脚板部36の貫通孔40内に生コンクリートが通って連通して貫通孔が形成された部分全体を埋め込ませることにより脚板アンカー構造16を構成させる一方、該脚板部36の対向間隙の係合部32側部分は生コンクリートを打設せず中空に保持させておく。打設したコンクリートが固化してコンクリート成型体12が成型されると該コンクリート成型体12と埋込金具14の貫通孔40を含む脚板部36との固定状態が強固に維持される。そして、図1、図5、図6に示すように、コンクリート構造体10どうしを連結する場合には、コンクリート構造体10の互いの連結端部分を突合わせ、かつ埋込金具14の係合部34の外面どうしを密着状に合わせボルト孔38を位置合わせした状態で、締結部材18のボルトを両ボルト孔38に通す。そして、該ボルトにナットを螺合して締めこむことによりコンクリート構造体10どうしが連結される。これにより、コンクリート構造体10どうしの連結構造は、それぞれのコンクリート構造体10の連結端部分に埋込み状に固定させる脚板アンカー構造16を備えたコ字状の埋込金具14と、埋込金具14どうしを締結する締結手段18と、を備えた構成となっている。この連結状態では、埋込金具14には互いに引っ張る力が作用するが、上記のようなコンクリート成型体12の一部分が脚板部36の貫通孔40内を満たすように貫通して固定させた脚板アンカー構造16により、該引っ張り力に抗して強固に固定状態を保持できる。また、埋込金具14は、連結時に係合部34等が変形しにいうえ、コンクリート成型体の剥離、欠損等も生じにくく、略コ字状の形態を保持して良好な連結状態を維持できる。このように埋込金具14の脚板部36自体にコンクリート成型体12へのアンカー機能を持たせた構成とすることで、従来のように異形鉄筋等のアンカーを別途取り付ける必要がなく、埋込金具14及びそれを用いたコンクリート構造体10の製作が極めて簡単であり、低コストで製造できる。なお、図1、図5、図6に示すようなコンクリート構造体10どうしの連結構造において、連結した後に埋込金具14の脚板部36の係合部側に形成させた締結部材18の締結操作用の対向間隙42内にモルタル、セメント又はコンクリートを打設して埋め、構造体10どうしの連結強度を向上させることとしてもよい。
【0025】
なお、コンクリート構造体10は、上述の実施形態のような態様に限定されない。例えば、図8に示す他の実施形態では、コンクリート構造体10は、例えば、擁壁を構成するために並設されて互いに連結されるコンクリートブロック(10d)に適用した場合について説明している。図8では、コンクリート成型体12dは、例えば、地面に設置される矩形板状に形成された底部44と、底部44の端部から立設された鏡部46と、がL字状に一体的に形成されている。コンクリート成型体12dの連結端部分32には、例えば、鏡部46の上部側とL字隅部位置にそれぞれ埋込金具14が埋込み状に固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。図8に示すようにコンクリート成型体12の連結端部を突き合わせた状態で埋込金具14どうしを締結部材を介して締結して連結される。
【0026】
また、図9、図10では、コンクリート構造体10が、例えば、地中に埋設されて水路、人や車が通る地下道、又はケーブルの敷設管路となるカルバートボックス(暗渠)を構成するコンクリートブロック(10e)に適用した場合について説明している。図9、図10の実施形態では、例えば、コンクリート成型体12eは、例えば、対向両端が開口48されるとともに、4つの周壁50が一体的に設けられた両端開口の矩形状筒体で形成されており、内部に周壁50に囲まれた中空空間が形成されている。コンクリート成型体12の連結端部分32となる開口48両端縁には、その隅部近傍に埋込金具14が固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造16の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。図9、図10に示すように、コンクリート成型体12の連結端部を互いに突き合わせた状態で埋込金具14どうしを締結部材(図示せず)を介して締結することでコンクリート構造体が連結されて、内部空間を互いに連通させた管路状の暗渠が構成される。
【0027】
また、図11では、コンクリート構造体10が、例えば、電線、通信線、光ファイバー等を接続、分岐するハンドホール(或いはマンホール)に適用した場合について説明している。図11の実施形態では、例えば、コンクリート成型体12fは、矩形状の底壁54とその底壁54の4辺の長さに応じて立設された4つの側壁56とが一体的に形成され、上面を開口52した有底箱状又は升状に形成されている。コンクリート成型体12fの側壁56には、電線等を通す配管のためのノックアウト部が貫通されている。コンクリート成型体12fの連結端部分32となる上端縁部には、その隅部近傍に埋込金具14が固定されている。埋込金具14及び脚板アンカー構造16の構成は上記実施形態と同一であって、その詳細な説明は省略する。コンクリート成型体12fの上方に図示しない上部側(蓋側)ハンドホール用ブロックが組み合わされて埋込金具14どうしを締結部材を介して連結してハンドホールが構成される。なお、その他、コンクリート構造体10は、上述した実施形態のものに限らず様々な態様に適用できる。
【0028】
以上説明した本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のコンクリート構造体及びそれに用いられる埋込金具は、例えば、コンクリート構造体どうしを連結する機能、又は他の構造体と連結する機能、を持たせたコンクリート構造体として有効に利用でき、種々の基礎架台、マンホール、ハンドホール、側溝、管路、擁壁、カルバート等その他様々なものに適用できる。
【符号の説明】
【0030】
10 コンクリート構造体
12 コンクリート成型体
14 埋込金具
16 脚板アンカー構造
18 締結部材
34 係合部
36 脚板部
40 貫通孔
42 対向間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状のコンクリート成型体と、
コンクリート成型体に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部と、引っ張り方向とは逆方向に係合部から突設されてコンクリート成型体に固定される2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成された埋込金具と、
埋込金具の各脚板部に該脚板部の板面を貫通する貫通孔を穿孔させておき、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませた埋込金具の脚板アンカー構造と、を含むことを特徴とするコンクリート構造体。
【請求項2】
埋込金具の係合部と連結対象物とは締結部材を介して締結され、
脚板アンカー構造は、脚板部の対向間隙のうち係合部側の一部分を締結部材の締結作業間隙として中空に保持して脚板部をコンクリート成型体に埋め込ませたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造体。
【請求項3】
連結対象物は、該埋込金具と同じ構成の他の埋込金具を備えた他のコンクリート構造体からなり、
埋込金具の係合部は、他方の係合部に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材を介して締結されることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコンクリート構造体に用いられる前記埋込金具であって、
該係合部と、該2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔が穿孔されており、
貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませることで脚板アンカー構造を構成するコンクリート構造体用の埋込金具。
【請求項1】
所定形状のコンクリート成型体と、
コンクリート成型体に対して所定の連結対象物を連結させるために該コンクリート成型体に埋込み状に固定されて連結対象物から引っ張り力を受ける埋込金具であり、連結対象物と係合し該連結対象物から引っ張り力を受ける係合部と、引っ張り方向とは逆方向に係合部から突設されてコンクリート成型体に固定される2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成された埋込金具と、
埋込金具の各脚板部に該脚板部の板面を貫通する貫通孔を穿孔させておき、貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませた埋込金具の脚板アンカー構造と、を含むことを特徴とするコンクリート構造体。
【請求項2】
埋込金具の係合部と連結対象物とは締結部材を介して締結され、
脚板アンカー構造は、脚板部の対向間隙のうち係合部側の一部分を締結部材の締結作業間隙として中空に保持して脚板部をコンクリート成型体に埋め込ませたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造体。
【請求項3】
連結対象物は、該埋込金具と同じ構成の他の埋込金具を備えた他のコンクリート構造体からなり、
埋込金具の係合部は、他方の係合部に形成させた突合せ面を密着状に突合せた状態で締結部材を介して締結されることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコンクリート構造体に用いられる前記埋込金具であって、
該係合部と、該2つの脚板部と、が略コ字状に一体形成され、かつ各脚板部に板面を貫通する貫通孔が穿孔されており、
貫通孔にコンクリート成型体の一部分を連通させた状態で該脚板部の貫通孔が形成される部分全体を該コンクリート成型体に埋め込ませることで脚板アンカー構造を構成するコンクリート構造体用の埋込金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−254540(P2012−254540A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127904(P2011−127904)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(596002424)不二高圧コンクリート株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(596002424)不二高圧コンクリート株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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