説明

コンクリート混和材及びこれを用いたコンクリート

【課題】 コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させても、コンクリートの流動性を充分に得ることができるとともに、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度に比べて著しく低下することを防ぐことができる、コンクリート混和材およびそれを用いたコンクリートを提供する。
【解決手段】 コンクリート混和材は、最大寸法が15mm以下で且つ粗粒率が3.3〜5.0である貝殻粉砕物を主成分とすることを特徴とする。上記貝殻粉砕物は、そのふるいの公称呼び寸法の通過率が、10mmで80〜100%、5mmで50〜97%、2.5mmで30〜70%、1.2mmで20〜45%、0.6mmで10〜30%、0.3mmで5〜20%、0.15mmで5〜12%の粒度分布を有すると好適である。また、コンクリートは、このコンクリート混和材を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート混和材に関し、詳しくは、コンクリートに多量に混和してもコンクリートの強度低下が少なく且つ高い流動性が得られるコンクリート混和材に関する。また、本発明はコンクリートに関し、詳しくは、良好な強度及び流動性が得られ、通常のコンクリートと同様に施工することができる貝殻粉砕物を含有するコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、我が国における天然及び養殖貝類の水産加工場から排出される貝殻の量は年間100万tを超えている。貝殻の排出は一部の自治体内に偏っており、その自治体の多くでは貝殻処理が社会問題となっている。貝殻の処理法としては、粉砕もしくはそのままの状態での埋め立て処分が殆どである。しかし排出量と処理量のバランスが崩れている事から、年々累積され野積み状態になっている。そこで貝殻をより多く処理するために、コンクリートの材料の一部として貝殻又は貝殻粉砕物を用いることが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0003】
しかし、貝殻の処理量を増やすためにコンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させると、コンクリートの流動性が充分に得られず、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度に比べ著しく低下するという問題がある。このため、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を単に増大させたコンクリートは、使用方法や使用用途が限られてしまい、結果として、貝殻の処理量を増やせないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−241165号公報
【特許文献2】特開2004−51461号公報
【特許文献3】特開平11−228206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決したものであり、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させても、コンクリートの流動性が充分に得られ、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度に比べ著しく低下することのない、貝殻粉砕物を主成分とするコンクリート混和材を提供することを目的とする。また、本発明は、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させても、流動性が充分に得られ、硬化後の強度が貝殻又は貝殻粉砕物を全く含有しないものの強度に比べ著しく低下することのないコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るコンクリート混和材は、最大寸法が15mm以下であり且つ粗粒率が3.3〜5.0である貝殻粉砕物を主成分とすることを特徴とするものである。上記貝殻粉砕物が、そのふるいの公称呼び寸法10mmの通過率が80〜100質量%、5mmの通過率が50〜97質量%、2.5mmの通過率が30〜70質量%、1.2mmの通過率が20〜45質量%、0.6mmの通過率が10〜30質量%、0.3mmの通過率が5〜20質量%、0.15mmの通過率が5〜12質量%の粒度分布を有すると好適である。
【0006】
また、本発明に係るコンクリートは、上記のコンクリート混和材を含有することを特徴とするものである。コンクリートの配合比としては、水セメント比を50%以下とし、且つ以下の式(1)で求まる細粒率を40%以上にすることが好適である。
【数1】

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貝殻を上記所定の粒度に粉砕することで、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させても、コンクリートの流動性が充分に得られ、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度に比べ著しく低下することのない、コンクリート混和材を得ることができる。また、本発明によれば、このコンクリート混和材を使用することで、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を増大させても、流動性が充分に得られ、硬化後の強度が貝殻粉砕物を全く含有しないものの強度に比べ著しく低下することのないコンクリートを得ることができる。本発明によれば、流動性に優れ、特殊な打設方法を用いなくても打設可能なコンクリートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のコンクリート混和材は、最大寸法が15mm以下且つ粗粒率が3.3〜5.0である貝殻粉砕物を主成分とすることを特徴とするものである。ここで「最大寸法が15mm」とは、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に従い、貝殻粉砕物を試料としてふるい分け試験を行い、公称呼び寸法15mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%未満且つ公称呼び寸法10mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%以上であることをいう。貝殻粉砕物の最大寸法が15mmを超えると、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が300kgを超える場合に、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリート(貝殻粉砕物の代わりに細骨材を用いたもの)の強度の80%を下回ってしまい、且つコンクリート表面をコテで均す際は、粒形の大きい貝殻がコテにひっかかり、コンクリート表面の仕上げ性が著しく低下する。
【0009】
貝殻粉砕物の最大寸法は10mm以下がより好ましい。最大寸法が10mm以下であると、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が500kgを超えても、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度の90%以上を確保できる。ここで、「最大寸法が10mm」とは、JIS A 1102に従い貝殻粉砕物を試料としてふるい分け試験を行い、公称呼び寸法10mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%未満且つ公称呼び寸法5mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%以上であることをいう。
【0010】
なお、本発明において、同様に、「最大寸法が20mm」とは、公称呼び寸法20mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%未満且つ公称呼び寸法15mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%以上であることをいい、「最大寸法が5mm」とは、公称呼び寸法5mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%未満且つ公称呼び寸法2.5mmのふるいに留まるものの質量百分率が0.5%以上であることをいう。
【0011】
また「粗粒率」とは、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に従い、ふるいの呼び寸法が80、40、20、10、5、2.5、1.2、0.6、0.3および0.15mmの各ふるいにとどまる質量百分率の和を100で除した値であり、貝殻粉砕物の粒度を示す1つの指標である。貝殻粉砕物の粗粒率が5.0を超えると、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が300kgを超える場合に、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度の80%を下回ってしまう。一方、貝殻粉砕物の粗粒率が3.3未満であると、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が300kgを超える場合に、コンクリートのスランプが小さく、コンクリートを打設するのが困難になる。貝殻粉砕物の粗粒率は3.3〜4.0がより好ましく、これにより硬化後のコンクリートの強度を、貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度と同等レベルまたはそれ以上に向上することができ、且つコンクリートのスランプをより大きくすることができる。
【0012】
本発明のコンクリート混和材の主成分である貝殻粉砕物は、ふるいの公称呼び寸法10mmの通過率が80〜100質量%、5mmの通過率が50〜97質量%、2.5mmの通過率が30〜70質量%、1.2mmの通過率が20〜45質量%、0.6mmの通過率が10〜30質量%、0.3mmの通過率が5〜20質量%、0.15mmの通過率が5〜12質量%の粒度分布を有することが、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量を300kg〜500kgとしてもコンクリートのスランプを10cm以上とすることができるので好ましい。特にふるいの公称呼び寸法10mmの通過率が95〜100質量%、5mmの通過率が80〜97質量%、2.5mmの通過率が50〜70質量%、1.2mmの通過率が30〜45質量%、0.6mmの通過率が20〜30質量%、0.3mの通過率が10〜20質量%、0.15mmの通過率が5〜12質量%の粒度分布を有することが、コンクリートの強度を高くすることができるのでより好ましい。
【0013】
本発明に用いる貝殻の種類は特に限定されないが、粉砕を行い易いことから二枚貝の貝殻が好ましく、入手のし易さから帆立貝の貝殻、アコヤ貝の貝殻、牡蠣の貝殻、アサリの貝殻、赤貝の貝殻、ハマグリの貝殻が好ましい。
【0014】
また、貝殻を粉砕する方法及び装置は特に限定されず、ジョークラッシャー、ボールミル、ロッドミル等の各種の粉砕装置を用いることができ、二種以上の粉砕装置を組み合わせて用いることもできる。また、貝殻を粉砕後、ふるい分けを行って、所定の最大寸法以上の粒径を有する貝殻粉砕物を更に粉砕し、所定の最大寸法以下にすることができる。また、粉砕により得られた二種以上の粗粒率及び粒度分布の貝殻粉砕物を合わせて、所定の範囲内の粒度としても良い。
【0015】
本発明のコンクリート混和材には、貝殻粉砕物以外に、本発明の効果を損なわない範囲でモルタルやコンクリートに使用できる混和材料を添加することができる。この混和材料としては、例えば高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤、流動化剤、減水剤を含むセメント分散剤、防水材(剤)、急結剤(材)、急硬剤(材)、顔料、撥水剤、発泡剤、起泡剤、消泡剤、遅延剤、硬化促進剤、収縮低減剤、膨張材、増粘剤、水和熱抑制剤、保水剤、防錆剤、セメント用ポリマー、石粉、粘土鉱物粉末、スラグ粉末、フライアッシュ、繊維、シリカフューム、フィラー等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を本発明による効果を阻害しない範囲で使用することができる。特に、本発明のコンクリート混和材にセメント分散剤を含有すると、コンクリートの単位水量を小さくすることができるので、本発明のコンクリート混和材を用いたコンクリートの適用範囲が広がり好ましい。
【0016】
上記の混和材料は粉末状のものが好ましい。粉末状の混和材料であれば、コンクリートに混和する前に予め所定の割合で貝殻粉砕物と均一に混合しておき、袋やコンテナ等の容器に入れて搬送することができる。なお、本発明においてコンクリートとは、通常の粗骨材を含有するコンクリートのほかに、粗骨材を含有しないモルタルも含む意味である。
【0017】
次に、本発明のコンクリートについて説明する。本発明のコンクリートは、上記コンクリート混和材を混和したことを特徴とするものである。本発明のコンクリートには、上記コンクリート混和材以外に、セメント、骨材及び水が含まれ、更に、本発明の効果を損なわない範囲でモルタルやコンクリートに使用できる混和材料を添加することができる。この混和材料としては、例えば高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤、流動化剤、減水剤を含むセメント分散剤、防水材(剤)、急結剤(材)、急硬剤(材)、顔料、撥水剤、発泡剤、起泡剤、消泡剤、遅延剤、硬化促進剤、収縮低減剤、増粘剤、水和熱抑制剤、膨張材、保水剤、防錆剤、水中不分離性混和剤、セメント用ポリマー、石粉、粘土鉱物粉末、スラグ粉末、フライアッシュ、繊維、シリカフューム、フィラー等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を本発明による効果を阻害しない範囲で使用することができる。
【0018】
本発明で使用するセメントは、水和反応により硬化する水硬性セメントであれば何れのものでも良く、例えば普通、早強、超早強、低熱、中庸熱、白色等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、並びにこれらポルトランドセメントまたはエコセメントにフライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒューム等を混合した各種混合セメント、カラーセメント、アルミナセメント、カルシウムアルミネート、カルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムサルホアルミネート等の急硬成分を主体とする急硬性セメント、超速硬セメント、無水石膏、半水石膏等が例示でき、これらの一種又は二種以上を使用することができる。
【0019】
本発明で使用する骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石及び人工骨材等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することができる。骨材は、10mmのふるいを全て通過し、5mmのふるいを85質量%以上通過する細骨材や、5mmのふるいに85質量%以上とどまる粗骨材を含む。
【0020】
本発明のコンクリートの配合比としては、例えば、コンクリート1m3当たり、上記コンクリート混和材を200〜800kg、細骨材を0〜1100kg、粗骨材を300〜1300kg、セメントを200〜700kg、水を130〜230kgとすることが好ましく、上記コンクリート混和材を300〜600kg、細骨材を200〜800kg、粗骨材を500〜1100kg、セメントを250〜500kg、水を150〜200kgとすることがより好ましく、上記コンクリート混和材を300〜500kg、細骨材を300〜600kg、粗骨材を700〜1000kg、セメントを290〜400kg、水を160〜180kgとすることが更により好ましい。このとき、上記コンクリート混和材、細骨材および粗骨材の合計は1700〜2000kgとすることが好ましい。
【0021】
本発明のコンクリートの配合比としては、特に、水セメント比を50%以下とし、且つ次式(1)で求まる細粒率を40%以上とすることが好ましい。この条件にすることで、材齢28日の圧縮強度が40N/mm2以上となるコンクリートを得ることができる。なお、式(1)中の「粒径5mm以下の貝殻粉砕物」とは、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に従い貝殻粉砕物を試料としてふるい分け試験を行い、公称呼び寸法5mmのふるいを通過する貝殻粉砕物のことをいう。
【0022】
【数2】

【0023】
本発明のコンクリートを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、重力式ミキサ、傾胴式ミキサ、2軸強制練ミキサ又は強制パン型ミキサ等の強制練りミキサ、連続ミキサ等のミキサを用いて、上記の材料を混練して製造することができる。好ましくは、バッチングプラントで、上記のコンクリート混和材、セメント、骨材及び水、並びに必要により混和する混和材料を、計量設備で計量した後にミキサ内に投入して練り混ぜる。なお、上記のコンクリート混和材及び必要により混和する混和材料を、計量した状態で袋やコンテナ等の容器に入れておき、他のコンクリートの材料を練り混ぜるとき、練り混ぜ前、或いは練り混ぜ後に、必要数量をミキサ内に投入してさらに練り混ぜることも好ましい。
【0024】
混練後の本発明のコンクリートは、好ましくはスランプが8cm以上、より好ましくは10〜26cm、さらに好ましくは10〜21cmである。よって、本発明のコンクリートは、トラックアジテータ、ダンプトラック、ホッパ、ベルトコンベア等による運搬、又はコンクリートポンプやコンクリートプレーサによる圧送も可能である。また、本発明のコンクリートは、流動性が高いので、加圧締固めを行わずとも、木槌で叩くことによる振動、内部振動機又は型枠振動機等により、容易に且つ充分締固めることができる。材料の配合によっては、振動を与えずとも充分締固めることができる場合もある。さらに、本発明のコンクリートは、含有する貝殻粉砕物が所定の最大寸法および粗粒率を有することから、貝殻粉砕物の含有量が増大しても、コンクリート表面を仕上げることができる。このように、本発明のコンクリートは、貝殻粉砕物を含有しない通常の生コンクリートと同様の強度や流動性等の性能を有しているので、運搬、打込み、締固め、打継ぎ、表面仕上げ、養生等、通常の生コンクリートと同様に施工することができる。
【0025】
本発明のコンクリートは、一般的な土木構造物や建築構造物のコンクリート部材に用いることができるが、材料の一部に貝殻粉砕物を用いているので、魚礁、防波堤、消波ブロック等の海洋構造物に用いることが好ましい。また、本発明のコンクリートは、使用材料や配合を調整することで、舗装コンクリート、水中コンクリート、水中不分離性コンクリート、流動化コンクリート、高流動コンクリート等の各種コンクリートとして使用することができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。
[コンクリート混和材の製造]
北海道二海郡八雲町から発生した帆立貝の貝殻(密度2.63g/cm3)を、粉砕あるいは粉砕後ふるい分けにより粒度調整することで、貝殻粉砕物であるコンクリート混和材A〜Fを作製した。JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準じてこれらの貝殻粉砕物のふるい分け試験を行い、各ふるいの通過率、最大寸法及び粗粒率を求めた。コンクリート混和材A〜Gの粒度分布、最大寸法及び粗粒率を表1に、粒度分布及び粗粒率を図1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
[コンクリートの製造]
これらのコンクリート混和材A〜Gにセメント、細骨材、粗骨材、セメント分散剤及び水を、公称55リットルの強制練りコンクリートミキサを用いて、20℃の恒温室内で練り混ぜ、コンクリート試料1〜29を作製した。使用材料は、以下に示すものを用いた。またコンクリート試料1〜29の各材料の配合比は、コンクリート1m3当たりの各材料の使用量(単位量)を示す表2の配合1〜14のいずれかとした。
【0029】
<使用材料>
・セメント分散剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名「コアフローNF−100」、太平洋セメント社製)。
・セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)。
・粗骨材:茨城県桜川市産砕石(20〜5mm)(表乾密度2.65g/cm3)。
・細骨材:静岡県御前崎市産陸砂(表乾密度2.60g/cm3)。
・水:水道水。
【0030】
【表2】

【0031】
上記により作製したコンクリート試料1〜29について、以下の試験を行った。試験の結果を表3〜表7に示す。なお、各表中の「細粒率」は、上記式(1)で求まる細粒率である。
<スランプ試験>
JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に従いコンクリートのスランプを測定した。
【0032】
<圧縮強度試験>
JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に従い、直径10cm、高さ20cmの供試体を作製し、材齢7日及び材齢28日におけるコンクリートの圧縮強度を測定した。このとき、供試体の養生温度は20℃とした。また、供試体作製時の金鏝でコンクリート表面を仕上げるときに、貝殻粉砕物が鏝に引きずられた跡が残り、表面を平らに仕上げることが困難であるか否か、即ち鏝仕上げ性も合わせて確認した。
【0033】
【表3】

*1:鏝仕上げでの貝殻の引きずり跡の有無。
*2:各材齢での貝殻粉砕物を含有しないコンクリート(試料4)の圧縮強度に対する圧縮強度の比。
【0034】
【表4】

*3:各材齢での貝殻粉砕物を含有しないコンクリート(試料13)の圧縮強度に対する圧縮強度の比。
【0035】
【表5】

【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

*4:各材齢での貝殻粉砕物を含有しないコンクリート(試料28)の圧縮強度に対する圧縮強度の比。
【0038】
本発明のコンクリート混和材B〜E又はGの何れかを含有したコンクリートは、何れもコンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が300kgを超え500kgとなっても、貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの圧縮強度に対する圧縮強度の比が0.8を超え、且つスランプが10cm以上と、コンクリートの流動性が充分得られ、硬化後のコンクリートの強度が貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの強度に比べ著しく低下することはなかった。特に、最大寸法が10mm以下且つ粗粒率が3.3〜4.0となるように粉砕した貝殻粉砕物を主成分とするコンクリート混和材B及びCは、コンクリート1m3当たりの貝殻粉砕物の使用量が500kgとなっても、貝殻粉砕物を全く含有しないコンクリートの圧縮強度に対する圧縮強度の比が0.9を超え、且つスランプが10cm以上であった。また、本発明のコンクリート混和材B〜E又はGの何れかを含有したコンクリートは、何れも鏝仕上げでの貝殻の引きずり跡がつかず、良好な鏝仕上げ性を示した。更に、本発明のコンクリート混和材B〜E又はGの何れかを含有し、水セメント比が50%以下で且つ上記式(1)で求まる細粒率が40%以上であったコンクリートは、材齢28日の圧縮強度が40N/mm2以上と、高い強度を示した。
【0039】
本発明のコンクリート混和材B〜E又はGの何れかを含有したコンクリートは、何れも圧縮強度が高く且つ優れた流動性が得られることから、貝殻粉砕物を含有しない一般的なコンクリートと同様な性状を有する。よって、特殊な使用方法を用いずとも、貝殻粉砕物を含有しない一般的なコンクリートと同様な使用個所に広く用いることができる。このため、貝殻粉砕物の使用量を大幅に増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】コンクリート混和材A〜Gの各ふるいにおける通過率(粒度分布)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大寸法が15mm以下であり且つ粗粒率が3.3〜5.0である貝殻粉砕物を主成分とするコンクリート混和材。
【請求項2】
上記貝殻粉砕物が、そのふるいの公称呼び寸法10mmの通過率が80〜100質量%、5mmの通過率が50〜97質量%、2.5mmの通過率が30〜70質量%、1.2mmの通過率が20〜45質量%、0.6mmの通過率が10〜30質量%、0.3mmの通過率が5〜20質量%、0.15mmの通過率が5〜12質量%の粒度分布を有する請求項1に記載のコンクリート混和材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコンクリート混和材を含有するコンクリート。
【請求項4】
水セメント比が50%以下であり、且つ次式(1)で求まる細粒率が40%以上である請求項3に記載のコンクリート。
【数1】


【図1】
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【公開番号】特開2007−186409(P2007−186409A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337961(P2006−337961)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【出願人】(505449999)株式会社カイト (1)
【Fターム(参考)】