コンソールボックスの収納装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの室内に設けられるコンソールボックスの収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、缶やカップ等を保持する自動車用カップホルダーは、インストルメントパネルやセンタガーニッシュ部に取付けられることが多く、時々はフロアコンソールボックスに取付けられている。このようなカップホルダーとしては、例えば図8〜図10に示すものがある。図8に示すカップホルダー51は、コンソールボックス52の水平面部に設けられた円筒状の収納凹部53と、該収納凹部53の円形状の開口部53aを閉塞する蓋体54とから成り、当該蓋体54の車体後方側の端部は収納凹部53に回動自在に取付けられている。しかしてカップホルダー51は、使用時に蓋体54を上方へ回動させて開口部53aを開け、収納凹部53内に缶やカップ等(図示せず)を入れて立たせることにより固定するようになっている。
【0003】また、図9および図10に示すカップホルダー61は、コンソールボックス62の水平面部に設けられた矩形の収納凹部63と、該収納凹部63内に車体前後へ出没自在に配設される保持板64とから成り、当該保持板64の先端面64aは缶、カップ等と対応する円弧状に形成されている。しかしてカップホルダー61は、蓋体が設けられておらず、通常は収納凹部63内に小物などを収納させることにより「小物入れ」として使用され、缶、カップ等(図示せず)を立てるときは保持板64を引き出して当該保持板64の先端面64aを缶、カップ等の外周面に当接させて固定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図8に示す従来のカップホルダー51にあっては、収納凹部53が円筒状に形成されているので、「小物入れ」として使用できず不便である上、当該収納凹部53をある程度深く形成しないと、立てた缶やカップ等を確実に固定することができないという不具合を有していた。また、図9および図10に示す従来のカップホルダー61にあっては、収納凹部63の上部を覆う蓋体が設けられていないので、「小物入れ」としては不適当であるとともに、缶やカップ等の収納時に保持板64が外部から見えることから、コンソールボックス62付近の見映えが悪かった。しかも、上記保持板64による缶、カップ等の固定方法では安定感に欠け、自動車走行中の急ハンドル操作時や急ブレーキ時に、立てて置いた状態の缶、カップ等が横に倒れるおそれがあった。
【0005】本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、缶、カップ等を確実に固定することが可能なホルダーとして、かつ小物入れとしての機能を備え、部品点数が少ない上安価であって、外観の良好なコンソールボックスの収納装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明においては、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されている。
【0007】
【作用】本発明に係るコンソールボックスの収納装置では、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されているため、少ない部品点数でカップホルダーと小物入れの両方の機能を果たし、コンソールボックスに対して蓋体が面一に配置されて見映えが良く、しかも缶、カップ等を確実に固定保持することが可能になる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0009】図1〜図7は本発明に係るコンソールボックスの収納装置の一実施例を示している。図において、1は車室内のフロントシートの左右間に配設されるフロアコンソールボックスであり、このコンソールボックス1は機能部品を装着すべく車体前後に沿って長く形成されている。しかも、コンソールボックス1の前後中間部2は、図1に示す如く、変速レバー3を配置し得るように凹んでいるとともに、隆起した後部4は収納ボックスとなっている。そして、コンソールボックス1の後部4の前面側には、変速レバー3へ向かって斜めに下る傾斜面4aが形成されている。
【0010】また、上記コンソールボックス1の後部4の傾斜面4aには、後述するカップホルダーと小物入れの両方の機能を備えた収納装置5が設けられている。この収納装置5は、コンソールボックス1の傾斜面4aに設けられる凹部6と、該凹部6の上面に形成された開口部6aを閉塞する蓋体7とをそれぞれ有しており、この蓋体7は、ヒンジ部8によって凹部6に回動自在に取付けられるようになっている。上記した凹部6は、開口部6aを上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成されており、このような形状によって缶、カップ等のみならずタバコ程度の小物も収納可能に構成されている。
【0011】一方、上記蓋体7は、図2〜図5に示す如く、凹部6の開口部6a全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁9と、該上面壁9の左右両側に設けられた側面壁10,10とから成り、左右両側面壁10は上面壁9の裏面9a側へ向かって直角に屈曲され、全体が下向き配置の断面コ字状に形成されている。しかも、これら両側面壁10は巾広に延出され、凹部6内に立てて置いた缶(又はカップ等)11を左右方向からしっかりと保持するように構成されている。さらに、両側面壁10の外面下部には、上記したピン状のヒンジ部8が外方へ向かってそれぞれ突設されており、これらヒンジ部8を凹部6側の嵌合穴12に嵌入配置させることによって、蓋体7は下部のヒンジ部8を中心にして上下方向へ回動し得るようになっている。
【0012】上記嵌合穴12は、コンソールボックス1の凹部6を形成する壁面6bであって、車体前方側に位置する左右両側壁に設けられており、ヒンジ部8と対応する大きさで水平方向に形成されている。また、これら嵌合穴12は、蓋体7の左右両側面壁10が完全に凹部6内に収納できる高さ位置に配設されている。すなわち、蓋体7は、これを上方へ回動させて起立した状態では車体前方側の位置(自動車の進行方向の位置)に配置され、その高さは立てた缶11の相当部分の位置まで達するよう設定されている。そして蓋体7は、これを下方へ回動させて開口部6aを閉塞した状態ではコンソールボックス1の傾斜面4aに沿って面一に配置されるように設定され、凹部6内にタバコ13等が収納可能に構成されている。なお、蓋体7の車体後方側に位置する上面壁9の中央部分には、上方へ突出した円弧状の操作部14が設けられており、蓋体7の開時において、当該操作部14に指先を入れて引き起こすようになっている。
【0013】本実施例の収納装置5をカップホルダーとして使用する場合には、まず、図1および図2に示す位置から蓋体7を上方へ回動させることにより凹部6の開口部6aを開き、図3に示す如く蓋体7を凹部6の車体前方側に起立配置する。この状態で、缶11を上方から凹部6内に入れて立てると、当該缶11は、起立している蓋体7の上面壁9の裏面9aおよび左右両側面壁10と、凹部6の壁面6bとに当接することによって保持される(図6参照)。また、本実施例の収納装置5を小物入れとして使用する場合には、上記したと同様の操作により蓋体7を凹部6の車体前方側に起立配置する。この状態で、図7に示す如くタバコ13等の小物を上方から凹部6内に入れ、しかる後に蓋体7を下方へ回動させることにより開口部6aを閉塞すると、タバコ13等は収納されることになる。
【0014】このように本実施例の収納装置5では、カップホルダーとして使用する場合に、起立させた蓋体7が缶11の相当部分の高さ位置まで達しており、しかも蓋体7の左右両側に巾広の側面壁10が設けられているため、凹部6内に立てて置いた缶11は、自動車の進行方向に配置された蓋体7の上面壁9および左右両側面壁10と凹部6の壁面6bとによって四方から保持され、確実かつ安定的に固定されることになり、自動車走行中に急ハンドル操作や急ブレーキを行っても缶11が横に倒れるのを防ぐことができる。しかも、収納装置5を小物入れとして使用する場合に、閉じた蓋体7がコンソールボックス1の後部4の傾斜面4aに沿って面一に配置されるため、コンソールボックス1との一体感を生じて見映えが良くなる上、蓋体7を閉じることによって凹部6内に貴重品も収納することが可能である。
【0015】以上、本発明の一実施例につき述べたが、本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0016】例えば、既述の実施例においては、蓋体7を回動自在に支持するヒンジ部8を当該蓋体7の左右両側面壁10に設け、嵌合穴12を凹部6の壁面6bに設けたが、これらヒンジ部8と嵌合穴12とを逆に配置して設けてもよい。
【0017】
【発明の効果】上述の如く、本発明に係るコンソールボックスの収納装置は、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されているので、部品点数が少ない構造になり、コストダウンを図ることができるとともに、カップホルダーと小物入れの両方の機能を果たすことが可能になり、収納装置の使い勝手が良くなる。また、本発明の収納装置は、閉じた状態の蓋体がコンソールボックスに対して面一に配置され、当該コンソールボックスの傾斜面と一体的になっているので、コンソールボックスの見映えが良く、外観性の向上を図ることができる。しかも、凹部の開口部が上向きに配置した断面コ字形とされていることから、缶、カップ等のみならずタバコ程度の小物も収納可能になり、各種小物類の収納場所に困ることは少なく、狭い車室内において非常に便利である。さらに、本発明の収納装置では、起立させて配置した蓋体の上面壁と左右側面壁により、凹部内に立てて置いた缶、カップが左右方向からしっかりと保持され、確実かつ安定的に固定されるので、自動車の走行中に缶、カップ等が倒れるということは起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る収納装置が設けられたフロアコンソールボックスを示す斜視図である。
【図2】蓋体が閉状態にある上記収納装置を示す斜視図である。
【図3】蓋体が開状態にある上記収納装置を示す斜視図である。
【図4】上記蓋体を示す側面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】上記収納装置をカップホルダーとして使用する場合を示す斜視図である。
【図7】上記収納装置を小物入れとして使用する場合を示す斜視図である。
【図8】蓋体が開状態にある従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【図9】保持板が収納状態にある他の従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【図10】上記保持板を引き出した状態にある他の従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 フロアコンソールボックス
4 フロアコンソールボックスの後部
4a 傾斜面
5 収納装置
6 凹部
7 蓋体
8 ヒンジ部
9 上面壁
10 側面壁
11 缶
12 嵌合穴
13 タバコ
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの室内に設けられるコンソールボックスの収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、缶やカップ等を保持する自動車用カップホルダーは、インストルメントパネルやセンタガーニッシュ部に取付けられることが多く、時々はフロアコンソールボックスに取付けられている。このようなカップホルダーとしては、例えば図8〜図10に示すものがある。図8に示すカップホルダー51は、コンソールボックス52の水平面部に設けられた円筒状の収納凹部53と、該収納凹部53の円形状の開口部53aを閉塞する蓋体54とから成り、当該蓋体54の車体後方側の端部は収納凹部53に回動自在に取付けられている。しかしてカップホルダー51は、使用時に蓋体54を上方へ回動させて開口部53aを開け、収納凹部53内に缶やカップ等(図示せず)を入れて立たせることにより固定するようになっている。
【0003】また、図9および図10に示すカップホルダー61は、コンソールボックス62の水平面部に設けられた矩形の収納凹部63と、該収納凹部63内に車体前後へ出没自在に配設される保持板64とから成り、当該保持板64の先端面64aは缶、カップ等と対応する円弧状に形成されている。しかしてカップホルダー61は、蓋体が設けられておらず、通常は収納凹部63内に小物などを収納させることにより「小物入れ」として使用され、缶、カップ等(図示せず)を立てるときは保持板64を引き出して当該保持板64の先端面64aを缶、カップ等の外周面に当接させて固定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図8に示す従来のカップホルダー51にあっては、収納凹部53が円筒状に形成されているので、「小物入れ」として使用できず不便である上、当該収納凹部53をある程度深く形成しないと、立てた缶やカップ等を確実に固定することができないという不具合を有していた。また、図9および図10に示す従来のカップホルダー61にあっては、収納凹部63の上部を覆う蓋体が設けられていないので、「小物入れ」としては不適当であるとともに、缶やカップ等の収納時に保持板64が外部から見えることから、コンソールボックス62付近の見映えが悪かった。しかも、上記保持板64による缶、カップ等の固定方法では安定感に欠け、自動車走行中の急ハンドル操作時や急ブレーキ時に、立てて置いた状態の缶、カップ等が横に倒れるおそれがあった。
【0005】本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、缶、カップ等を確実に固定することが可能なホルダーとして、かつ小物入れとしての機能を備え、部品点数が少ない上安価であって、外観の良好なコンソールボックスの収納装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明においては、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されている。
【0007】
【作用】本発明に係るコンソールボックスの収納装置では、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されているため、少ない部品点数でカップホルダーと小物入れの両方の機能を果たし、コンソールボックスに対して蓋体が面一に配置されて見映えが良く、しかも缶、カップ等を確実に固定保持することが可能になる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0009】図1〜図7は本発明に係るコンソールボックスの収納装置の一実施例を示している。図において、1は車室内のフロントシートの左右間に配設されるフロアコンソールボックスであり、このコンソールボックス1は機能部品を装着すべく車体前後に沿って長く形成されている。しかも、コンソールボックス1の前後中間部2は、図1に示す如く、変速レバー3を配置し得るように凹んでいるとともに、隆起した後部4は収納ボックスとなっている。そして、コンソールボックス1の後部4の前面側には、変速レバー3へ向かって斜めに下る傾斜面4aが形成されている。
【0010】また、上記コンソールボックス1の後部4の傾斜面4aには、後述するカップホルダーと小物入れの両方の機能を備えた収納装置5が設けられている。この収納装置5は、コンソールボックス1の傾斜面4aに設けられる凹部6と、該凹部6の上面に形成された開口部6aを閉塞する蓋体7とをそれぞれ有しており、この蓋体7は、ヒンジ部8によって凹部6に回動自在に取付けられるようになっている。上記した凹部6は、開口部6aを上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成されており、このような形状によって缶、カップ等のみならずタバコ程度の小物も収納可能に構成されている。
【0011】一方、上記蓋体7は、図2〜図5に示す如く、凹部6の開口部6a全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁9と、該上面壁9の左右両側に設けられた側面壁10,10とから成り、左右両側面壁10は上面壁9の裏面9a側へ向かって直角に屈曲され、全体が下向き配置の断面コ字状に形成されている。しかも、これら両側面壁10は巾広に延出され、凹部6内に立てて置いた缶(又はカップ等)11を左右方向からしっかりと保持するように構成されている。さらに、両側面壁10の外面下部には、上記したピン状のヒンジ部8が外方へ向かってそれぞれ突設されており、これらヒンジ部8を凹部6側の嵌合穴12に嵌入配置させることによって、蓋体7は下部のヒンジ部8を中心にして上下方向へ回動し得るようになっている。
【0012】上記嵌合穴12は、コンソールボックス1の凹部6を形成する壁面6bであって、車体前方側に位置する左右両側壁に設けられており、ヒンジ部8と対応する大きさで水平方向に形成されている。また、これら嵌合穴12は、蓋体7の左右両側面壁10が完全に凹部6内に収納できる高さ位置に配設されている。すなわち、蓋体7は、これを上方へ回動させて起立した状態では車体前方側の位置(自動車の進行方向の位置)に配置され、その高さは立てた缶11の相当部分の位置まで達するよう設定されている。そして蓋体7は、これを下方へ回動させて開口部6aを閉塞した状態ではコンソールボックス1の傾斜面4aに沿って面一に配置されるように設定され、凹部6内にタバコ13等が収納可能に構成されている。なお、蓋体7の車体後方側に位置する上面壁9の中央部分には、上方へ突出した円弧状の操作部14が設けられており、蓋体7の開時において、当該操作部14に指先を入れて引き起こすようになっている。
【0013】本実施例の収納装置5をカップホルダーとして使用する場合には、まず、図1および図2に示す位置から蓋体7を上方へ回動させることにより凹部6の開口部6aを開き、図3に示す如く蓋体7を凹部6の車体前方側に起立配置する。この状態で、缶11を上方から凹部6内に入れて立てると、当該缶11は、起立している蓋体7の上面壁9の裏面9aおよび左右両側面壁10と、凹部6の壁面6bとに当接することによって保持される(図6参照)。また、本実施例の収納装置5を小物入れとして使用する場合には、上記したと同様の操作により蓋体7を凹部6の車体前方側に起立配置する。この状態で、図7に示す如くタバコ13等の小物を上方から凹部6内に入れ、しかる後に蓋体7を下方へ回動させることにより開口部6aを閉塞すると、タバコ13等は収納されることになる。
【0014】このように本実施例の収納装置5では、カップホルダーとして使用する場合に、起立させた蓋体7が缶11の相当部分の高さ位置まで達しており、しかも蓋体7の左右両側に巾広の側面壁10が設けられているため、凹部6内に立てて置いた缶11は、自動車の進行方向に配置された蓋体7の上面壁9および左右両側面壁10と凹部6の壁面6bとによって四方から保持され、確実かつ安定的に固定されることになり、自動車走行中に急ハンドル操作や急ブレーキを行っても缶11が横に倒れるのを防ぐことができる。しかも、収納装置5を小物入れとして使用する場合に、閉じた蓋体7がコンソールボックス1の後部4の傾斜面4aに沿って面一に配置されるため、コンソールボックス1との一体感を生じて見映えが良くなる上、蓋体7を閉じることによって凹部6内に貴重品も収納することが可能である。
【0015】以上、本発明の一実施例につき述べたが、本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0016】例えば、既述の実施例においては、蓋体7を回動自在に支持するヒンジ部8を当該蓋体7の左右両側面壁10に設け、嵌合穴12を凹部6の壁面6bに設けたが、これらヒンジ部8と嵌合穴12とを逆に配置して設けてもよい。
【0017】
【発明の効果】上述の如く、本発明に係るコンソールボックスの収納装置は、コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されているので、部品点数が少ない構造になり、コストダウンを図ることができるとともに、カップホルダーと小物入れの両方の機能を果たすことが可能になり、収納装置の使い勝手が良くなる。また、本発明の収納装置は、閉じた状態の蓋体がコンソールボックスに対して面一に配置され、当該コンソールボックスの傾斜面と一体的になっているので、コンソールボックスの見映えが良く、外観性の向上を図ることができる。しかも、凹部の開口部が上向きに配置した断面コ字形とされていることから、缶、カップ等のみならずタバコ程度の小物も収納可能になり、各種小物類の収納場所に困ることは少なく、狭い車室内において非常に便利である。さらに、本発明の収納装置では、起立させて配置した蓋体の上面壁と左右側面壁により、凹部内に立てて置いた缶、カップが左右方向からしっかりと保持され、確実かつ安定的に固定されるので、自動車の走行中に缶、カップ等が倒れるということは起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る収納装置が設けられたフロアコンソールボックスを示す斜視図である。
【図2】蓋体が閉状態にある上記収納装置を示す斜視図である。
【図3】蓋体が開状態にある上記収納装置を示す斜視図である。
【図4】上記蓋体を示す側面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】上記収納装置をカップホルダーとして使用する場合を示す斜視図である。
【図7】上記収納装置を小物入れとして使用する場合を示す斜視図である。
【図8】蓋体が開状態にある従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【図9】保持板が収納状態にある他の従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【図10】上記保持板を引き出した状態にある他の従来のカップホルダーを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 フロアコンソールボックス
4 フロアコンソールボックスの後部
4a 傾斜面
5 収納装置
6 凹部
7 蓋体
8 ヒンジ部
9 上面壁
10 側面壁
11 缶
12 嵌合穴
13 タバコ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されていることを特徴とするコンソールボックスの収納装置。
【請求項1】 コンソールボックスの後部の前面側の斜め下方に下がる傾斜面に設けられる凹部と、該凹部の上面に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋体とを備え、前記凹部は、前記開口部を上向きに配置した断面コ字形で、上下方向に沿って延びるボックス状に形成され、前記蓋体は、前記凹部の開口部の全面を覆えるような大きさの平面四角形状に形成された上面壁と、該上面壁の左右両側に設けられ、下部が前記凹部に回動自在に取付けられる巾広の側面壁とから構成されており、前記蓋体を上方へ回動させることにより前記開口部を開いて前記凹部の車体前方側に起立した状態では、前記凹部に入れたカップ等を前記蓋体の上面壁および側面壁と前記凹部の壁面とによって保持するホルダーとして構成され、前記蓋体により前記開口部を閉塞して前記コンソールボックスの傾斜面に沿って配置した状態では、前記凹部内に小物を収納する小物入れとして構成されていることを特徴とするコンソールボックスの収納装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図5】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【特許番号】特許第3194168号(P3194168)
【登録日】平成13年6月1日(2001.6.1)
【発行日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−297044
【出願日】平成4年11月6日(1992.11.6)
【公開番号】特開平6−144117
【公開日】平成6年5月24日(1994.5.24)
【審査請求日】平成11年1月27日(1999.1.27)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【参考文献】
【文献】特開 平4−358939(JP,A)
【文献】実開 昭59−126738(JP,U)
【登録日】平成13年6月1日(2001.6.1)
【発行日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成4年11月6日(1992.11.6)
【公開番号】特開平6−144117
【公開日】平成6年5月24日(1994.5.24)
【審査請求日】平成11年1月27日(1999.1.27)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【参考文献】
【文献】特開 平4−358939(JP,A)
【文献】実開 昭59−126738(JP,U)
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