説明

コンタクトレス・インターフェースを持つ不揮発性記憶デバイス

【課題】一体型の記憶デバイス及びその操作方法を得る。
【解決手段】遠隔基地局から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するための一体型記憶デバイスは、第二の不揮発性記憶デバイス、アンテナ、第一の不揮発性記憶メディア及びプロセッサを含む。アンテナは、遠隔基地局から無線でデータ・パッケージを受け取るように構成され、また、遠隔基地局から、第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するための電気エネルギーを受け取るように構成されている。このため、第二の不揮発性記憶デバイスは、データ・パッケージを記憶するためにアクセスが可能である。第一の不揮発性記憶メディアは、電源へ電気的に接続している場合にのみアクセス可能である。第二の不揮発性記憶デバイスと第一の不揮発性記憶メディアとは、作動上恒久的に接続されている。プロセッサは、第一の不揮発性記憶メディアが電源へ電気的に接続しているときに、第二の不揮発性記憶デバイスから第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶メディアに関し、特に、無線でアクセスできる不揮発性記憶メディアに関する。
【背景技術】
【0002】
前置きとして、不揮発性記憶デバイスは、多種多様なアプリケーションで広く使われている。不揮発性記憶デバイスは、
電源が切れても内容を保持することが可能な、全ての読み書きデジタル記憶デバイスを含む。不揮発性記憶デバイスは、フラッシュ・ディスクのような磁気ディスク、書換え可能型光ディスク及び不揮発性ソリッドステート・デバイスを含む。応用の視点から、不揮発性記憶デバイスは、3つのグループに分類することができる。最初のグループは埋め込み型記憶デバイスである。この場合、記憶デバイスは、電子機器、例えば小型携帯移動電話機またはコンピュータ等の常駐部品である。第二のグループは、取り外し可能な記憶デバイスである。この場合、記憶デバイスは、例えば、デジタル・カメラのメモリーカード等の電子機器へ容易に挿入し、そして取り除くことができる。最後のグループは携帯型記憶デバイスである。この場合、記憶デバイスは、スタンドアロン・デバイスであり、例えば、USBフラッシュ・ディスク等の機器に選択的に接続可能である。これら三つの全グループにおける不揮発性記憶デバイスは、時々、電源から切り離される。例えば、新品の小型携帯移動電話機は、慣習的に、携帯電話からそのバッテリーが切り離された状態で、箱詰めされて供給される。デジタル・カメラのフラッシュカードは、カメラからしばしば取り外されるし、そして、携帯用USBフラッシュ・ディスクは、機器のUSBポートに接続している時にだけエネルギーが与えられる。これら全ての例では、不揮発性記憶デバイスは、電源が切れた後も、その中に記憶されたデータを維持するが、不揮発性記憶デバイスを電源へ物理的に接続しない限り、不揮発性記憶デバイスへのアクセスは不可能であり、読み込み及び書き込みはできない。
【0003】
コンタクトレス・スマートカードは、不揮発性メモリを電源に物理的に接続しなくとも不揮発性メモリにアクセスができる、特別なケースの一例である。各々のコンタクトレス・スマートカードは、小さなアンテナを含み、コンパチブルな基地局の近くに配置させると、カードのアンテナは、カードの回路を作動させるのに十分な電気エネルギーを受ける。また、コンタクトレス・スマートカードと基地局との間で無線通信リンクを確立するのに、同じアンテナが用いられる。無線通信リンクは、基地局の、スマートカードの不揮発性メモリからの読み込みを可能にし、また、いくつかのモデルでは、そのメモリへの書き込みも可能にする。このテクノロジーは、クレジットカードのようなプラスチック及びキーフォブを含み、さまざまな方法で適用されている。コンタクトレス・スマートカードの主な応用は、大量輸送機関や駐車場における高速識別及び数値トランザクションである。一方でエネルギー供給が非常に限られていながら、他方で高速処理が要求されるため、コンタクトレス・スマートカードの、書き込み可能な不揮発性メモリの量は、非常に少なく、現在の典型的なメモリ値は、EEPROMで最高4キロバイトである。
【0004】
したがって、現在、2種類の不揮発性メモリーがある。最初のタイプは、一般的にメガバイトからギガバイトの範囲で、大きな容量を持つメモリである。これらのメモリは、メモリへのアクセスに物理的な電気的接続が必要である。第二のタイプは、最高で2、3キロバイトの、少量の不揮発性メモリを持つコンタクトレス・カードである。
【0005】
したがって、不揮発性メモリが電源へ物理的に電気接続していないときも、大きな容量を持つ不揮発性メモリ上へデータを書き込むためのシステム及び方法が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一体型記憶デバイスと、その操作方法に関する。
【0007】
本発明によれば、遠隔基地局から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するための、次のものからなる一体型記憶デバイスが提供される。(a)電源へ電気的に接続しているときにのみアクセスが可能な第一の不揮発性記憶メディア。(b)第一の不揮発性記憶メディアへ作動上恒久的に接続されている第二の不揮発性記憶デバイス。なお、第二の不揮発性記憶デバイスは、電源から電気的に切り離されているときにも、データ・パッケージを記憶するためのアクセスが可能である。そして(c)遠隔基地局から無線でデータ・パッケージを受け取るように構成したアンテナ。
【0008】
さらに、本発明の特徴によれば、アンテナは、遠隔基地局から、データ・パッケージを記憶するために第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するための電気エネルギーを受け取るように構成される。
【0009】
さらに、本発明の特徴によれば、第一の不揮発性記憶メディアが電源へ電気的に接続しているときに、第二の不揮発性記憶デバイスから第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするように構成したプロセッサ配列が提供される。
【0010】
さらに、本発明の特徴によれば、プロセッサ配列は、第二の不揮発性記憶デバイス及び第一の不揮発性記憶メディアに作動上恒久的に接続されている。
【0011】
さらに、本発明の特徴によれば、また、ハウジングが提供され、その中に、第二の不揮発性記憶デバイス、第一の不揮発性記憶メディア及びプロセッサ配列が配置される。
【0012】
さらに、本発明の特徴によれば、第一の不揮発性記憶メディアは、少なくとも1メガバイトのデータを記憶するように構成される。
【0013】
本発明によれば、また、遠隔基地局から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するための、次のものからなる一体型記憶デバイスが提供される。(a)電源へ電気的に接続しているときにのみ、データ・パッケージを記憶するためのアクセスが可能な第一の不揮発性記憶メディア。(b)電源から電気的に切り離されていても、データ・パッケージを記憶するためのアクセスが可能な第二の不揮発性記憶デバイス。(c)遠隔基地局から無線でデータ・パッケージを受け取るように構成したアンテナ。そして(d)第一の不揮発性記憶メディアが電源へ電気的に接続しているときに、第二の不揮発性記憶デバイスから第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするように構成したプロセッサ配列。
【0014】
さらに、本発明の特徴によれば、アンテナは、遠隔基地局から、データ・パッケージを記憶するために第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するための電気エネルギーを受け取るように構成される。
【0015】
さらに、本発明の特徴によれば、第二の不揮発性記憶デバイスと第一の不揮発性記憶メディアとは、作動上恒久的に接続される。
【0016】
さらに、本発明の特徴によれば、ハウジングが提供され、その中に、第二の不揮発性記憶デバイス、第一の不揮発性記憶メディア及びプロセッサ配列が配置される。
【0017】
さらに、本発明の特徴によれば、第一の不揮発性記憶メディアは、少なくとも1メガバイトのデータを記憶するように構成される。
【0018】
さらに、本発明の特徴によれば、プロセッサ配列は、第二の不揮発性記憶デバイス及び第一の不揮発性記憶メディアに作動上恒久的に接続される。
【0019】
本発明によれば、また、第一の不揮発性記憶メディア、第二の不揮発性記憶デバイス及びアンテナを含む一体型記憶デバイス内にデータを記憶するための方法が提供される。この方法は、次のステップからなる。(a)アンテナを介して電気エネルギーを受けるステップ。(b)その電気エネルギーを用いて第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するステップ。(c)アンテナを介して遠隔基地局からデータ・パッケージを受け取るステップ。(d)第二の不揮発性記憶デバイスが電気エネルギーのみによって駆動されるときに、第二の不揮発性記憶デバイス内にデータ・パッケージを記憶するステップ。(e)第一の不揮発性記憶メディアを電源へ電気的に接続するステップ。そして(f)第二の不揮発性記憶デバイスから第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするステップ。このコピー・ステップは、上記電気的接続ステップの後に実行される。
【0020】
さらに、本発明の特徴によれば、コピー・ステップは、第一の不揮発性記憶メディアが電源へ電気的に接続しているときに実行される。
【0021】
さらに、本発明の特徴によれば、遠隔基地局によって、第二の不揮発性記憶デバイスからユーザーIDを読み込むステップが提供される。この場合、上記のデータ・パッケージ受信ステップは、遠隔基地局によるユーザーIDの検証後に実行される。
【0022】
さらに、本発明の特徴によれば、データ・パッケージは、トランザクション・ログ・アイテムを含む。
【0023】
さらに、本発明の特徴によれば、記憶デバイスを電源へ電気的に接続したときに、データ・パッケージを用いて、記憶デバイス及び機器の少なくとも1つを少なくとも部分的に設定するステップが提供される。
【0024】
さらに、本発明の特徴によれば、記憶デバイスを梱包するステップが提供される。この場合、前述の、データ・パッケージを受け取ってそのデータ・パッケージを記憶するステップは、梱包ステップの後に実行される。
【0025】
さらに、本発明の特徴によれば、データ・パッケージは、設定データ・セットを含む。
【0026】
さらに、本発明の特徴によれば、記憶デバイスを、カメラ、小型携帯移動電話機、パーソナル・プロセシング・システムからなるグループから選択した機器に操作上接続するステップが提供される。この場合、上記のコピー・ステップは、この操作上の接続ステップの後に実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、一体型記憶デバイスと、その作動方法に関する。
【0028】
本発明による一体型記憶デバイスの原理及び作動は、図面と、その説明文を参照することで、良く理解することができる。
【0029】
さて、図1を参照する。これは、本発明の好適実施例に従って構成され、作動可能な、一体型記憶デバイス50の高レベルの概略ブロック図である。一体型記憶デバイス50は、遠隔のコンタクトレス基地局130から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するように構成されている。一体型記憶デバイス50は、第一の記憶メディア101を含む。第一の記憶メディア101は、それに対する書き込みあるいは読み取りのためのアクセスが、第一の記憶メディア101が電源へ電気的に接続されているときにのみ可能である。本文中、「電気的に接続された」は、非無線リンクを用いて接続されていることを示す。第一の記憶メディア101は、磁気のディスクあるいはフラッシュメモリ等の、不揮発性記憶メディアであり、典型的にメガバイトからギガバイトの範囲で、比較的大量のデータを記憶するように構成されている。第一の記憶メディア101の内容は、ユーザー・ファイルと、デバイス識別、デバイス構成パラメータ及びセキュリティ機能等のシステムデータとを含んでもよい。本技術における同業者には、第一の記憶メディア101のすべてあるいは一部が、スマートカードの技術における既知の技術によって、改ざんに対して、物理的に、電気的に、そして論理的に保護できることは明らかである。
【0030】
一体型記憶デバイス50は、第一の記憶メディア101を制御してそれへのアクセスを処理するプロセッサ配列100を含む。第一の記憶メディア101がフラッシュメモリである場合、プロセッサ配列100は、また、損耗平等化、エラー訂正及びセキュリティ機能を処理するように構成してもよい。
【0031】
一体型記憶デバイス50は、また、有線データ・リンク120を介して、機器110のプロセッサ111とのデータ交換を処理するデータ・インタフェース102を含み、さらに、有線電源リンク121を介して機器110の電源112から、プロセッサ配列100と第一の記憶メディア101とを作動させるための電気エネルギーを受け取る電気インタフェース103を含む。データ・リンク120及び電力リンク121は、永続的な、または一時的なリンクである。第一の例として、一体型記憶デバイス50が機器110のメモリである場合、例えば、機器110が小型携帯移動電話機である場合、データ・リンク120及び電力リンク121は、通常、恒久的なものである。第二の例として、一体型記憶デバイス50が、例えばパソコン等の機器110に接続可能なUSBポータブル記憶デバイスである場合、データ・リンク120及び電力リンク121は一時的なものである。データ・リンク120及び電力リンク121は、典型的に、一つの物理的なコネクタ、例えばUSBコネクタを用いて実現される点に注意すべきである。機器110は、概して、パソコン、デジタル・カメラ、音楽プレーヤーまたは小型携帯移動電話機であり、この場合、第一の記憶メディア101は、通常、各々、バックアップ記憶、画像記憶、音楽記憶または主要な記憶のために用いられる。
【0032】
一体型記憶デバイス50は、また、第二の記憶デバイス105及びアンテナ106を含む。コンタクトレス基地局130は、アンテナ131及びプロセッサ132を持つ、コンタクトレスのリーダ・ライターである。同業者には、コンタクトレス基地局130が、コンタクトレス・スマートカード及び受動無線周波数識別(RFID)の応用技術における既知の技術を用いて構成できることは明らかである。アンテナ106及びアンテナ131は、電磁リンク122を定める。アンテナ131は、アンテナ106を介して第二の記憶デバイス105にエネルギーを与え、アンテナ106を介して第二の記憶デバイス105とのデータ交換を可能にする。アンテナ106とアンテナ131との間の典型的な作動距離は、数センチメートルから1メートルまでの範囲である。アンテナ106は、第二の記憶デバイス105を駆動するため、コンタクトレス基地局130のアンテナ131から電気エネルギーを受け取るように構成されている。このため、第二の記憶デバイス105は、例えば、データを記憶するためにアクセスが可能である。したがって、第二の記憶デバイス105は、電源112から電気的に切り離されている状態でも、データを記憶するためのアクセスが可能である。しかし、本技術における熟練者には、第二の記憶デバイス105が電源112に電気的に接続されている場合、第二の記憶デバイス105がアクセス可能であることは明らかである。さらに、アンテナ106は、コンタクトレス基地局130のプロセッサ132から無線で、一つ以上のデータ・パッケージを受け取るように構成されている。同様に、データは、電磁リンク122を介して、第二の記憶デバイス105からプロセッサ132へ送られる。したがって、電磁リンク122は、アンテナ106とアンテナ131とを結合させて、第二の記憶デバイス105に電気エネルギーを提供し、また、プロセッサ132と第二の記憶デバイス105との間でのデータ交換を可能にする。第二の記憶デバイス105は、通常、小さな不揮発性メモリ及びコントローラ(図示せず)を含む。同業者には、第二の記憶デバイス105及びアンテナ106は、コンタクトレス・スマートカードの技術で知られている技術を用いて構成できることは明らかである。第二の記憶デバイス105のメモリは、第一の記憶メディア101から物理的に分離している、あるいはそれと統合した低電力のEEPROMであることが望ましい。本発明の最好適実施例によれば、第二の記憶デバイス105は、例えば、コンタクトレス識別、認証及び支払い等の、第二の記憶デバイス105のコントローラが実行する非記憶機能を含む。これらの非記憶機能は、コンタクトレス・スマートカードの技術において既知である。
【0033】
プロセッサ・アレンジメント100は、また、第一の記憶メディア101が電源へ電気的に接続している場合に、第二の記憶デバイス105から第一の記憶メディア101へデータ・パッケージをコピーするように構成されている。用語「コピー」は、オプションとして、コピーしたデータを第二の記憶デバイス105に残すこと、あるいはコピーしたデータを第二の記憶デバイス105から削除することを含むものと、ここに定義する。
【0034】
一体型記憶デバイス50は、ハウジング55を含む。第一の記憶メディア101、第二の記憶デバイス105及びプロセッサ配列100は、ハウジング55内に配置されている。第一の記憶メディア101、第二の記憶デバイス105及びプロセッサ配列100は、作動上、恒久的に接続されており、第一の記憶メディア101、第二の記憶デバイス105及びプロセッサ配列100間の連結が、一体型記憶デバイス50の通常の使用で、逆になることはない。例えば、第一の記憶メディア101、第二の記憶デバイス105及びプロセッサ配列100は、工具を用いることなく、相互から容易に切り離すことはできない。
【0035】
さて、一体型記憶デバイス50の種々の使用シナリオを示す図2aから図2dを参照する。
【0036】
図2aは、コンタクトレス基地局130に無線接続した一体型記憶デバイス50の概略図である。一体型記憶デバイス50は、コンタクトレス基地局130の近くにあり、一体型記憶デバイス50とコンタクトレス基地局130とは、電磁結合している。したがって、プロセッサ132(図1)は、第二の記憶デバイス105(図1)上にデータを書き込むことができる。第一の記憶メディア101は、例えば機器110の電源112等の電源に電気的に接続されていないため、第一の記憶メディア101にはアクセスが不可能である。
【0037】
さて、図2bを参照する。これは、機器110に電気的に接続した一体型記憶デバイス50の概略図である。機器110の電源112(図1)は、プロセッサ配列100(図1)及び第一の記憶メディア101(図1)にエネルギーを与えるため、第二の記憶デバイス105(図1)から第一の記憶メディア101へデータをコピーすることが可能になる。注目すべきことは、一体型記憶デバイス50は、通常、一体型記憶デバイス50を電源112へ電気的に接続したときに、第二の記憶デバイス105から第一の記憶メディア101へのデータのコピーが自動的に行われるように構成されることである。同業者には、プロセッサ配列111と第一の記憶メディア101との間で、他のトランザクションも可能であることは明らかである。これらの他のトランザクションは、従来から既知であり、本発明の範囲外である。
【0038】
さて、図2cを参照する。これは、他のデバイスあるいは機器に接続していない一体型記憶デバイス50の概略図である。このシナリオでは、一体型記憶デバイス50は、他のデバイスから切り離されている。したがって、第一の記憶メディア101(図1)及び第二の記憶デバイス105(図1)内の記憶データは、読むことも、あるいは変えることもできない。
【0039】
さて、図2dを参照する。これは、コンタクトレス基地局130に無線接続した一体型記憶デバイス50の概略図である。このシナリオでは、一体型記憶デバイス50は、機器110にも電気的に接続している。しかし、機器110の電源112は、切れているか、あるいは活性ではない。したがって、機器110と一体型記憶デバイス50との間の連結は効果がない。したがって、この図に示すシナリオでは、図2aのシナリオと機能的に同一である。この図に示すシナリオの現実的な例は、まだ箱の中に梱包されている新しい小型携帯移動電話機であり、この場合、携帯電話のバッテリーは、携帯電話から切り離されている。本発明は、この場合、梱包を開くことなく電話機の一体型記憶デバイスの第二の記憶デバイス内で、若干のパラメータ、例えば、オペレーター・アイデンティティ、ユーザー名、電話番号及び他の証明等が更新されることを可能にする。その後、箱が開けられ、バッテリーが電話機に接続されたとき、一体型記憶デバイスのプロセッサが、自動的に、第二の記憶デバイスから一体型記憶デバイスの第一の記憶デバイスへ、それらのパラメータをコピーする。
【0040】
さて、一体型記憶デバイス50の作動を示す図3及び図4を参照する。
【0041】
図3は、図1に示す一体型記憶デバイス50の第二の記憶デバイス105に書き込むための方法のステップのフローチャートである。また、図1も参照する。最初に、一体型記憶デバイス50の内容を更新するための決定を行う(ブロック201)。第二に、一体型記憶デバイス50をコンタクトレス基地局130の近くに配置して、アンテナ106とアンテナ131との間の電磁結合を可能にすることによって、アンテナ106を介して電気エネルギーを受け取る(ブロック202)。一体型記憶デバイス50が非金属性の箱の中に梱包されている場合は、そのような梱包を電磁結合が透過するため、箱から取り出す必要はないかもしれない。第三に、第二の記憶デバイス105を、アンテナ106を介して受け取った電気エネルギーを用いて駆動する(ブロック203)。第四に、一体型記憶デバイス50は、アンテナ106を介して、コンタクトレス基地局130のプロセッサ132からデータ・パッケージを受け取り、それから、データ・パッケージを第二の記憶デバイス105内に記憶する(ブロック204)。この時点では、第二の記憶デバイス105は、通常、アンテナ106を介してコンタクトレス基地局130から受け取る電気エネルギーのみによって駆動する。最後に、一体型記憶デバイス50をコンタクトレス基地局130の近位から離し、これら2台のデバイス間での通信を無効にする(ブロック205)。
【0042】
さて、図4を参照する。これは、第二の記憶デバイス105から第一の記憶メディア101へデータをコピーするための方法のステップのフローチャートである。また、図1を参照する。最初、一体型記憶デバイス50は、一体型記憶デバイス50が機器110から切り離されている、あるいは電源112が機器110から切り離されているため、エネルギーを与えられていない(ブロック220)。第一に、一体型記憶デバイス50と機器110との連結状態を調べる(ブロック221)。第一の例として、機器110が小型携帯移動電話機である場合、一体型記憶デバイス50と機器110とは、通常、作動上このステップの前に既に接続されている。第二の例として、機器110がカメラまたはパーソナル・プロセシング・システムである場合、一体型記憶デバイス50と機器110とは、操作上このステップの前に、時々切り離された状態にある。本文では、パーソナル・プロセシング・システムを、例えばパーソナル・コンピュータ・システムまたはパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)等の、キーボード及びディスプレイ装置を備えたユーザー・インタフェースを持つプロセッサとして定義する。一体型記憶デバイス50と機器110とが接続していないならば、作動上、一体型記憶デバイス50を機器110に接続する(ブロック222)。機器110と電源112とが接続されていないならば、機器110を電源112に接続する(ブロック224)。一体型記憶デバイス50、機器110及び電源112が相互からすべて切り離されているシナリオは、一般的でないため、示していない。しかし、同業者には、そのようなシナリオでは、ブロック222のステップとブロック224のステップとを実行して、一体型記憶デバイス50、機器110及び電源112を単純に接続すればよいことは明らかである。ブロック222及び224のステップは、電力リンク121を介して一体型記憶デバイス50と電源112とを電気的に接続することによって、第一の記憶メディア101、プロセッサ配列100及び第二の記憶デバイス105にエネルギーを与える(ブロック225)。次に、プロセッサ配列100は、事前に第二の記憶デバイス105に書き込まれたデータ・パッケージを読み込み、これらのデータ・パッケージを第一の記憶メディア101に書き込む。したがって、プロセッサ配列100は、データ・パッケージを、第二の記憶デバイス105から第一の記憶メディア101へコピーする(ブロック226)。最後に、オプションのステップとして、一体型記憶デバイス50を機器110から切り離す。しかし、一体型記憶デバイス50と機器110とは、作動上接続されたままでもよい。その場合、プロセッサ111と基本主記憶装置101との間でトランザクションを継続することができる。そのことに関しては、本発明の範囲外である。
【0043】
本発明の応用例を以下に記す。
【0044】
本発明は、イン・ボックス設定に応用が可能である。記憶デバイスまたはデジタル機器は、デバイスまたは機器のエンドユーザーが使用する前に、しばしば、工場からの出荷後のカスタマイズ及びパーソナライズが必要である。本発明によれば、以下の通りに適用できる。第一に、一体型記憶デバイス50は、おそらく機器110と共に箱の中に梱包される。第二に、設定データ・セットを含むデータ・パッケージは、箱の外に存在するコンタクトレス基地局130から送られる。データ・パッケージは、アンテナ106によって受けられ、それから、第二の記憶デバイス105内に書き込まれて記憶される。ユーザーが、一体型記憶デバイス50を箱から出して電源へ電気的に接続すると、データ・パッケージは、プロセッサ配列100によって第二の記憶デバイス105から第一の記憶メディア101へコピーされる。このため、設定データ・セットを用いて、一体型記憶デバイス50や機器110を設定することができる。
【0045】
第一の例として、ある団体は、その従業員の各々に、個人用ポータブル記憶デバイスである一体型記憶デバイス50を携帯させる。この場合、まだ箱の中にある間に、各一体型記憶デバイス50を、団体名及びウェブサイト・アドレス、従業員名、アクセス・パスワード及び特別な証明で設定する。これらすべての設定項目は、本発明を適用することによって、箱を開くことなく、一体型記憶デバイス50の第二の記憶デバイス105へ一時的に書き込むことができる。そして、従業員が一体型記憶デバイス50をパソコン110へ初めて挿入したときに、一体型記憶デバイス50は恒久的に設定される。
【0046】
第二の例として、機器110は小型携帯移動電話機であり、オペレーターのオフィスで、その箱を開くことなく、オペレーター及びユーザーの証明で設定することができる。この設定は、小型携帯移動電話機のバッテリーである電源112を、小型携帯移動電話機に接続したときに、第二の記憶デバイス105の内容が第一の記憶メディア101へコピーされて、恒久的なものになる。
【0047】
イン・ボックス設定は、本来のパッケージ内に封入された状態で新しいデバイスを受け取るのを好むエンドユーザーには有り難いものである。さらに、イン・ボックス設定は、各々の箱を開けてデバイスを物理的に接続して実行するのに比べ、より効率的で無駄がない。
【0048】
本発明は、トランザクション・ロギングにも応用できる。トランザクション・ロギングは、電子購入手段を用いて製品またはサービスを購入する処理の一部である。電子購入手段を用いる購入処理は、例えば、以下の通りである。第一に、サービスまたは製品を売ることに関わる遠隔基地局は、第二の記憶デバイス105からユーザーIDを読み込む。第二の記憶デバイス105は、支払いやアクセス機能を含む。そのような機能は、コンタクトレス・スマートカードの同業者には周知である。さらに、第二の記憶デバイス105は、また、トランザクションを記録するログ・ファイルを含む。第二に、遠隔基地局は、通常のクレジットカード購入で慣習的に行われるように、例えば、ユーザーの銀行と交信することによって、ユーザーID及び購買力を確かめる。第三に、一体型記憶デバイス50のユーザーは、サービスや製品を購入する。第四に、コンタクトレス基地局130は、トランザクション・ログ・アイテムを含むデータ・パッケージを一体型記憶デバイス50へ送る。トランザクション・ログ・アイテムは、第二の記憶デバイス105のログ・ファイル内に記憶される。第二の記憶デバイス105の容量が限られているため、ログ・ファイルは、各トランザクションに関して最小の詳細事項で、非常に限られた数のトランザクションのみを記憶することが可能である。しかし、本発明を適用すれば、第二の記憶デバイス105内に維持する小さなログ・ファイルからの自動アップロードに基づいて、完全なログ・ファイルを、第一の記憶デバイス101内に維持することができる。自動アップロードは、例えば、パーソナル・コンピュータ・システムまたはPDA等の機器110へ一体型記憶デバイス50を挿入したときにいつも実行される。
【0049】
本技術における熟練者には、本発明が、上記の説明に限らないことは明らかである。むしろ、本発明の範囲は、上記の種々の特徴の組合せ、またそれらに準ずるもの、そして前述の説明を読み込むことで本技術の熟練者の心に浮かぶであろう、従来の技術にない変化及び修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明を、次の添付図面を参照しながら実施例によって説明する。
【図1】本発明の好適実施例に従って構成されて作動可能な、一体型記憶デバイスの概略図である。
【図2a】コンタクトレス基地局と無線接続した、図1に示す一体型記憶デバイスの概略図である。
【図2b】機器に電気的に接続した、図1に示す一体型記憶デバイスの、高レベルのブロック図である。
【図2c】他のデバイスまたは機器に接続していない、図1に示す一体型記憶デバイスの概略図である。
【図2d】遠隔コンタクトレス基地局に無線接続した、図1に示す一体型記憶デバイスの概略図である。この場合、一体型記憶デバイスは、電源に接続していない機器に電気的に接続している。
【図3】図1に示す一体型記憶デバイスの第二の記憶デバイスに書き込むための方法の、ステップのフローチャートである。
【図4】図1に示す一体型記憶デバイスの第一の記憶デバイスへデータをコピーするための方法の、ステップのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔基地局から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するための、
(a)電源に電気的に接続している場合のみアクセス可能な、第一の不揮発性記憶メディア、
(b)前記第一の不揮発性記憶メディアに恒久的に作動上接続されている第二の不揮発性記憶デバイス、なお、前記第二の不揮発性記憶デバイスは、前記電源から電気的に切り離されていても、データ・パッケージを記憶するためのアクセスが可能であり、そして
(c)前記遠隔基地局から無線でデータ・パッケージを受け取るように構成したアンテナからなる、一体型記憶デバイス。
【請求項2】
前記アンテナが、データ・パッケージの前記記憶のために、前記第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するための電気エネルギーを前記遠隔基地局から受け取るように構成された、請求項1のデバイス。
【請求項3】
さらに、
(d)前記第一の不揮発性記憶メディアが前記電源に電気的に接続しているときに、前記第二の不揮発性記憶デバイスから前記第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするように構成したプロセッサ配列からなる、請求項1のデバイス。
【請求項4】
前記プロセッサ配列が、前記第二の不揮発性記憶デバイスと前記第一の不揮発性記憶メディアとに作動上恒久的に接続されている、請求項3のデバイス。
【請求項5】
さらに、
(e)前記第二の不揮発性記憶デバイス、前記第一の不揮発性記憶メディア及び前記プロセッサ配列が配置されるハウジングからなる、請求項4のデバイス。
【請求項6】
前記第一の不揮発性記憶メディアが、少なくとも1メガバイトのデータを記憶するように構成した、請求項1のデバイス。
【請求項7】
遠隔基地局から無線で受け取ったデータ・パッケージを記憶するための、
(a)電源に電気的に接続しているときにのみ、データ・パッケージを記憶するためにアクセスが可能な第一の不揮発性記憶メディア、
(b)前記電源から電気的に切り離されているときでも、データ・パッケージを記憶するためにアクセスが可能な第二の不揮発性記憶デバイス、
(c)前記遠隔基地局から無線でデータ・パッケージを受け取るように構成したアンテナ、そして
(d)前記第一の不揮発性記憶メディアが前記電源に電気的に接続しているときに、前記第二の不揮発性記憶デバイスから前記第一の不揮発性記憶メディアへデータ・パッケージをコピーするように構成したプロセッサ配列からなる、一体型記憶デバイス。
【請求項8】
前記アンテナが、データ・パッケージの前記記憶のために前記第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するための電気エネルギーを前記遠隔基地局から受け取るように構成された、請求項7のデバイス。
【請求項9】
前記第二の不揮発性記憶デバイスと前記第一の不揮発性記憶メディアとが、作動上恒久的に接続されている、請求項7のデバイス。
【請求項10】
さらに、
(e)前記第二の不揮発性記憶デバイス、前記第一の不揮発性記憶メディア及び前記プロセッサ配列が配置されるハウジングからなる、請求項9のデバイス。
【請求項11】
前記第一の不揮発性記憶メディアが、少なくとも1メガバイトのデータを記憶するように構成された、請求項7のデバイス。
【請求項12】
前記プロセッサ配列が、前記第二の不揮発性記憶デバイス及び前記第一の不揮発性記憶メディアに作動上恒久的に接続されている、請求項7のデバイス。
【請求項13】
第一の不揮発性記憶メディア、第二の不揮発性記憶デバイス及びアンテナを含む一体型記憶デバイス内にデータを記憶するための方法であって、
(a)前記アンテナを介して電気エネルギーを受けるステップ、
(b)前記電気エネルギーを用いて前記第二の不揮発性記憶デバイスを駆動するステップ、
(c)前記アンテナを介して遠隔基地局からデータ・パッケージを受け取るステップ、
(d)前記第二の不揮発性記憶デバイスが前記電気エネルギーのみによって駆動されているときに、前記第二の不揮発性記憶デバイス内に前記データ・パッケージを記憶するステップ、
(e)前記第一の不揮発性記憶メディアを電源へ電気的に接続するステップ、そして
(f)前記第二の不揮発性記憶デバイスから前記第一の不揮発性記憶メディアへ前記データ・パッケージをコピーするステップからなり、前記コピー・ステップが、前記電気的接続ステップの後に実行される、方法。
【請求項14】
前記コピー・ステップが、前記第一の不揮発性記憶メディアを前記電源へ電気的に接続したときに実行される、請求項13の方法。
【請求項15】
さらに、
(g)前記遠隔基地局によって、前記第二の不揮発性記憶デバイスからユーザーIDを読み込むステップからなり、前記データ・パッケージを受け取る前記ステップが、前記遠隔基地局による前記ユーザーIDの検証後に実行される、請求項13の方法。
【請求項16】
前記データ・パッケージがトランザクション・ログ・アイテムを含む、請求項15の方法。
【請求項17】
さらに、
(g)前記記憶デバイスを前記電源へ電気的に接続したときに、前記データ・パッケージを用いて、前記記憶デバイス及び機器の少なくとも1つを少なくとも部分的に設定するステップからなる、請求項13の方法。
【請求項18】
さらに、
(h)前記記憶デバイスを梱包するステップからなり、データ・パッケージを受け取り、そのデータ・パッケージを記憶する前記ステップが、前記梱包ステップの後に実行される、請求項17の方法。
【請求項19】
前記データ・パッケージが設定データ・セットを含む、請求項13の方法。
【請求項20】
さらに、
(g)カメラ、小型携帯移動電話機、パーソナル・プロセシング・システムからなるグループから選択した機器に、操作上前記記憶デバイスを接続するステップからなり、前記コピー・ステップが、前記操作上接続ステップの後に実行される、請求項13の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−501474(P2007−501474A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530996(P2006−530996)
【出願日】平成16年5月2日(2004.5.2)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000369
【国際公開番号】WO2004/104990
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(502111536)エム−システムズ フラッシュ ディスク パイオニアーズ リミテッド (64)
【氏名又は名称原語表記】M−SYSTEMS FLASH DISK PIONEERS LTD.
【住所又は居所原語表記】Central Park 2000,Atir Yeda Street 7,44425 Kfar Sabad,Israel
【Fターム(参考)】