説明

コンタクトレンズ

【課題】眼組織および涙液との長期間の接触に適する透明な重合体材料、これらの材料から作成されるコンタクトレンズ、および該レンズを製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)親水性単量体の、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体、(c)非常に様々な疎水性単量体(脂肪族および芳香族とも)、および通常、(d)ポリフッ素化単量体、ならびに陽イオン単量体、非芳香族疎水性単量体およびポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体を包含し得る、場合による単量体または単量体混合物との共重合生成物で構成される眼用材料およびコンタクトレンズ、および該レンズを製造する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願に対する相互参照
本願は、1999年12月10日付の仮出願第60/170,162号の一部継続出願であって、その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、広義には、視覚と眼の技術に役立つレンズおよび重合体材料に関する。より詳しくは、本発明は、コンタクトレンズの製造に役立つ重合体材料、コンタクトレンズ、および処理方法に関する。
【0003】
背景技術
生体適合性を有する重合体の分野では、非常に多様な研究が実施されている。用語「生体適合性を有する」の定義は、それに向けて重合体が設計される個々の用途に左右される。眼用レンズの分野、特にコンタクトレンズの分野では、生体適合性レンズは、接触の期間中に、周囲の眼組織および眼液を実質的に損傷しないそれとして一般的に定義される。語句「眼に適合する」は、眼用レンズの生体適合性の必要条件をより適切に述べている。
【0004】
コンタクトレンズに関する眼適合性の一つの特徴は、酸素が、長期の角膜の健康に充分である量で角膜に達するのを、レンズが許すことである。コンタクトレンズは、角膜が、血液の供給から他の組織のようには酸素を受けないため、周囲の空気からの酸素を許さなければならない。充分な酸素が角膜に達しないならば、角膜の腫脹が生じることがあり、同様に、上皮ミクロシスト、基質/上皮の形成不全、基質アシドーシス、内皮ポリメゲチズム、角膜潰瘍、および炎症の増大も生じることがある〔Brennan et al., Opt. Vis. Sci., 74(8):609-623 (1997)〕。「ソフト」コンタクトレンズは、眼の形状に密接に従うため、酸素は、容易にレンズを囲むことができない。そのため、ソフトコンタクトレンズは、酸素がレンズを通して拡散して、角膜に達するのを許さなければならない。
【0005】
ソフトコンタクトレンズに関する眼適合性のもう一つの特徴は、レンズが眼に強く付着しないことである。明らかに、消費者は、消毒、洗浄または処分のために、レンズを眼から容易に取り外すことができなければならない。その上、レンズは、レンズと眼との間の涙流を促進するために、眼球上を移動することもできなければならない。レンズと眼との間の涙流は、残渣、たとえば外来微粒子、または死んだ上皮細胞が、レンズの下から、かつ究極的には眼から涙流中に掃去されるのを許す。したがって、コンタクトレンズは、あまりにも強く眼に付着して、眼球上のレンズの適切な移動が阻害されてはならない。
【0006】
高い酸素透過率を有し、眼球上を移動する、剛体気体透過性(「RGP」)コンタクトレンズが存在するが、RGPレンズは、代表的には、消費者にとって全く不快である。そのため、多くの消費者は、ソフトコンタクトレンズを好んで選ぶ。その上、1日またはそれ以上の期間連続的に装用できる(睡眠の期間の装用を包含する)コンタクトレンズは、大衆的な長期装用の候補としてのRGPレンズを排除する快適さの水準を意味する。
【0007】
終日装用ソフトコンタクトレンズを設計する際に、眼適合性と消費者の快適さの必要条件とを釣り合わせるために、2−ヒドロキシエチル=メタクリラート(HEMA)、N−ビニルピロリドンおよびメタクリル酸グリセリル(GMA)の重合体や共重合体が開発された。これらの親水性重合体は、眼球上を充分に移動し、終日装用に充分な酸素透過率(たとえば約8〜35Dk単位)を与える。FDA(米国食品医薬品局)は、約6夜の終夜装用、および7日の終日装用までの長い装用期間のための、一定のソフトコンタクトレンズを認可した。しかし、消費者は、酸素透過率が不充分であるため、これらのポリHEMAレンズを7日またはそれ以上の長い期間、安全かつ快適に装用することはできない。これらのレンズの真の長期装用(すなわち7日またはそれ以上)は、少なくとも、角膜腫脹、および角膜の表面血管の発達を招きかねない。
【0008】
酸素透過率を向上させるために、シリコーンの基を有する重合体が開発された。多くのシロキサン含有重合体は、高い酸素透過率を有するとして開示されている〔たとえば、米国特許第3,228,741号;第3,341,490号;第3,996,187号;および第3,996,189号明細書を参照されたい〕。しかし、これら公知のポリシロキサンを用いて製造されたコンタクトレンズは、しばしば、眼に付着して、必要なレンズの移動を阻害する。ポリシロキサンは、代表的には、極めて親油性であって、レンズ越しの視覚に干渉する、脂質およびタンパク質の曇りを生じる。
【0009】
HEMAのような単量体から形成される、親水性重合体の望ましい特性と、シロキサン含有単量体から形成される重合体の望ましい酸素透過率とを混合する試みがなされている〔たとえば、米国特許第3,808,178号;第4,136,250号;第4,711,943号;第5,070,169号;および第5,760,100号明細書を参照されたい〕。しかし、真の長期装用コンタクトレンズを製造しようとする従来の試みは、角膜の健康に対する長期装用レンズの効果、またはレンズが眼球上を移動しようとしないことのいずれかのために、特に成功してはいない。したがって、酸素透過率は、あまりにも低いままであり、かつ/またはレンズは、角膜に付着した。
【0010】
そのため、眼組織および涙液との長期間の接触に適する、眼に適合する透明な重合体材料に対する必要性が存続している。以下の考察は、そのような材料、これらの材料から作成されるコンタクトレンズ、および該レンズを製造する方法を開示する。
【0011】
発明の簡単な要約
(a)親水性単量体と、(b)(脂肪族および芳香族双方の)非常に多様な疎水性単量体、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体、ならびに通常は、(d)ポリフッ素化単量体、および場合により、陽イオン単量体、非芳香族疎水性単量体およびポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体を包含し得る単量体または単量体混合物との共重合は、異例の酸素透過率を維持しつつ、より実質的に大きい含水量を有する重合体を与えることが発見された。
【0012】
したがって、本発明は、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%の水和含水量を有する重合体材料を含む眼用レンズを企図する。該重合体材料は、(a)親水性単量体と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基を有する単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(e)約0.003〜約30N/mm2の破壊点応力、約25〜約3,000%の破断伸び率、および約0.001〜約10N/mm2の弾性率値を与えるのに充分な量の架橋剤との共重合体で構成される。
【0013】
もう一つの重合体のコンタクトレンズ材料は、重合させた(a)非イオン親水性単量体と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(e)架橋剤との共重合体を含む。非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。該レンズ材料は、約60Dk単位より大きい酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0014】
さらに一つの実施態様は、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリレートまたはアクリレート基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(e)架橋剤とを含む重合体コンタクトレンズ材料を企図する。非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。このレンズは、約60〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0015】
さらにもう一つの重合体コンタクトレンズは、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体と、(e)架橋剤とを含む。ここで、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。該レンズは、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0016】
やはりもう一つの重合体コンタクトレンズは、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)C1〜C10疎水性メタクリラートまたはアクリラート単量体と、(e)架橋剤とを含む。ここで、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。該レンズは、約50〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0017】
さらに一つのコンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)スチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物である。該単量体混合物は、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比、および(d)の単一単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有する。このレンズも、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0018】
やはりもう一つのコンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)陽イオン単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物である。該単量体混合物は、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する。このレンズも、45Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0019】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)疎水性単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物は、さらにもう一つの企図されたコンタクトレンズを構成する。該単量体混合物は、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を示し、少なくとも20重量%〜約55重量%の平衡水和時含水量、および約55〜約120Dk単位の酸素透過値を示す。
【0020】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)陽イオン単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体、疎水性単量体(芳香族または非芳香族単量体)、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合体を含むコンタクトレンズも企図される。このレンズは、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。該レンズは、ムチンおよびリゾチームが7.2〜7.6のpH値の水性緩衝液中に0.46g/Lの初期濃度で別個に存在するときに、該タンパク質を、in vitroで、約1:2〜約2:1の重量比、および約0.75〜約2.5μg/cm2の量で別個に結合する。
【0021】
重合方法(または重合法)も企図される。この方法では、眼用コンタクトレンズが、単量体混合物の共重合によって製造され、該単量体混合物は、充填かつ閉鎖された注型カップ内で、約110〜約140℃、より好ましくは約120〜約135℃の温度で約10〜約15分間熱的に重合させる。企図される単量体混合物は、(a)親水性の不飽和モノ−またはジ−置換C1〜C4アルキルアクリルアミドもしくはメタクリルアミド単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、疎水性芳香族単量体もしくはポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体、またはこれらの単量体種の2、3、4もしくは5種類の混合物と、(d)架橋剤とを、本明細書で別途考察された重量比で含む。重合が完了したならば、該注型カップを冷却し、開放し、レンズを取り出し、用いるためにレンズを水和させる。そのように製造されたレンズは、約45〜約120Dk単位の酸素透過率、および水和の際に約20〜約55重量%の水和含水量を示す。
【0022】
さらに一つの方法は、(a)メタクリルアミドまたはアクリルアミドである非イオン親水性単量体、および(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体を含む単量体混合物の共重合によって眼用レンズを形成する際の改良を企図する。該改良は、該単量体と、該単量体混合物中で混和可能であり、かつ該共重合させたレンズから容易に除去可能である、非共重合性溶媒とを含む組成物から、該レンズを湿式注型することを含む。特に好適な実施においては、単量体混合物は、(c)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体も含む。
【0023】
本発明は、いくつかの利益および利点を有する。
【0024】
本発明の利点は、長期間、炎症または感染なしにレンズの装用を許すのに充分な酸素を与える眼用レンズの提供である。
【0025】
本発明の一つの利益は、長期間、炎症または感染なしにレンズの装用を許すのに充分な含水量を与える眼用レンズの提供である。
【0026】
本発明のさらにそれ以外の利益および利点は、以下の考察から当業者には明らかになると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】コンタクトレンズ越しの水の流束を測定するためのレンズホルダー装置の断面図を示す図である。
【図2】3.5重量%のMD9(約1,000の分子量を有するモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)を含有するレンズ、ならびに7および56重量%のMD9を含有し、DMA:T1〔T1は、TRISと呼ばれることもあり、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランである〕が1である2種類のレンズについての、コンタクトレンズの酸素透過率値対DMA:T1(ジメチルアクリルアミド:T1)含有量のグラフである。
【図3】図2の、約30重量%未満の含水量が推算されるレンズについての、重量%としての含水量対DMA:T1含有量のグラフである。
【図4】系MD9/TRIS/DMAについての、すべての数を重量%で表した相図であって、水平のハッチングは、曇った単量体混合物および重合体を表し、垂直のハッチングは、クリーム状の単量体組成物、および不透明な重合体を表し、相図内の単量体および重合体の残余の組成物は、無地(clear)である。
【0028】
用語の定義
本明細書に用いられる限りでの用語「単量体」は、重合条件下で、重合させることができるか、または他の単量体と共重合させることができるかのいずれかである化合物を意味する。
【0029】
本明細書に用いられる限りで、用語「陽イオン単量体」は、生理学的pH値、すなわちpH7.2〜7.4の水中でのプロトン化を通じてかまたは永続的にかのいずれかで陽イオンの(正の)電荷を示す、ペンダント官能基を有する単量体を意味する。
【0030】
用語「重合条件」は、1種類またはそれ以上の単量体の重合体への重合が達成される条件を意味する。適する条件は、当業者に周知であり、ラジカル重合連鎖反応を開始かつ成長させるための、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のような活性化剤もしくは開始剤の使用、UVもしくは電離放射線の使用、熱の使用、マイクロ波エネルギーの使用、またはそれらの組合せを包含することができる。
【0031】
本明細書に用いられる限りでの用語「共重合体」、「共重合」および「共重合可能である」は、それぞれ、2もしくはそれ以上の単量体から製造された重合体、またはこれら2もしくはそれ以上の単量体が反応する反応、およびある単量体が、他の少なくとも1種類の単量体と重合できることを意味する。これらの用語は、二単量体重合体系のみに限定されない。
【0032】
本明細書に用いられる限りで、「眼用レンズ」は、眼または涙液に密着して置かれるレンズ、たとえば視力補正のためのコンタクトレンズ(たとえば球面の、円環体の、二焦点の)、眼の色の変更のためのコンタクトレンズ、眼用ドラッグデリバリー用具、眼組織保護用具(たとえば眼用治癒促進レンズ)などを意味する。特に好ましい眼用レンズは、視力補正のためのコンタクトレンズである。
【0033】
本明細書に用いられる限りでの「高い酸素透過率を有する重合体を形成するよう重合する、重合可能な材料」は、それを通じての相対的に高率の酸素透過率を示す重合体を形成するよう、似ているか、または似ていない重合可能な材料と重合する単量体、オリゴマー、マクロマーなどを意味する。参照の便宜のために、これらの材料を、本明細書では、「重合可能な材料」と呼び、得られる重合体を、本明細書では「眼用重合体」と呼ぶことにする。
【0034】
本明細書に用いられる限りで、レンズの「酸素透過率」は、酸素が特定の眼用レンズを通過する率である。酸素透過率の単位は、「バレル」で表され、ここで「バレル」は、下記のとおりに定義される:
【0035】
【数1】

【0036】
上に定義された単位は、当技術に一般的に用いられるものである。
【0037】
本明細書に用いられる限りで、「眼に適合する」は、眼の環境を有意に損なうことなく、かつユーザーの有意な不快感なしに、長期間眼の環境に密着させることができる材料または材料表面を意味する。したがって、眼に適合するコンタクトレンズは、指示された装用期間の間、有意な角膜腫脹を生起せず、瞬きとともに眼球上を適切に移動して、充分な涙液交換を促進し、実質的な量の脂質またはタンパク質吸着がなく、装用者の有意な不快感を生じない。
【0038】
本明細書に用いられる限りで、「眼の環境」は、視力補正、ドラッグデリバリー、創傷治癒、眼色変更その他の眼の用途に用いられるコンタクトレンズに密着する、眼の流体(たとえば涙液)、および眼の組織(たとえば角膜)を意味する。
【0039】
本明細書に用いられる限りで、「親水性」は、水と容易に会合する材料、またはその部分を記述する。単語「親水性」は、水を愛することを意味するラテン語に由来するが、本明細書では、上記のとおりに意味するものとする。
【0040】
本明細書に用いられる限りで、「疎水性」は、水と容易に会合しない材料、またはその部分を記述する。単語「疎水性」は、水を嫌うことを意味するラテン語に由来するが、本明細書では、上記のとおりに意味するものとする。
【0041】
本明細書に用いられる限りで、「親水性表面」は、水が散開するか、または水によって濡れる表面を意味する。
【0042】
本明細書に用いられる限りで、レンズの「外面」は、装用の際に、レンズの眼に背いて面する表面を意味する。外面は、代表的には、実質的に凹面であって、レンズの前面曲線と呼ぶこともできる。
【0043】
本明細書に用いられる限りで、レンズの「内面」は、装用の際に、レンズの眼に向かって面する表面を意味する。内面は、代表的には、実質的に凹面であり、レンズの基底曲線と呼ぶこともできる。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は、眼の組織、および眼の流体と連続的な、かつ密着しての長期間の装用に適する眼用レンズを対象とする。企図される眼用レンズは、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の水和含水量を有する重合体材料を含む。企図されるレンズは、プラズマ処理、または化学反応によるとおりに表面処理して、装用時間を延長することができる。
【0045】
該重合体材料は、(a)親水性の重合可能な材料と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体と、(e)約0.003〜約30N/mm2の破壊点応力、約25〜約3,000%の破断伸び率、および約0.001〜約10N/mm2の弾性率値を与えるのに充分な量の架橋剤との共重合体で構成される。
【0046】
企図されるレンズは、眼の組織、および眼の流体との長期の連続的な接触の期間の間、角膜の健康、および装用者の快適感を保つのに充分な量の酸素透過を許す。水和させると、このレンズは、眼の組織、および眼の流体との長期の連続的な接触の期間の間、角膜の健康が実質的に損なわれず、装用者の快適感が許容され得るための充分なバルク含水量を有する。企図される眼用レンズは、重量測定によてか、または屈折率測定によって測定される、完全(平衡)水和に際の0重量%以上、好ましくは約30重量%より大きく、約65重量%以下の含水量を有する。通常の値は、約35〜約55重量%である。
【0047】
本発明の第二の実施態様では、重合体のコンタクトレンズ材料は、(a)非イオン親水性単量体と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基を有する単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(e)架橋剤との共重合体を含む。非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。このレンズ材料は、約60Dk単位より大きい酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有する。
【0048】
本発明の第三の実施態様では、重合体のコンタクトレンズは、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性(芳香族、脂肪族または混合物)単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体と、(e)架橋剤とを含む。ここで、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。このレンズは、約60〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0049】
本発明の第四の実施態様では、重合体のコンタクトレンズは、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体(ポリフッ素化単量体)と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体と、(e)架橋剤とを含む。非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。このレンズは、約45〜約150Dk単位の、好ましくは45Dk単位より大きい、より好ましくは60Dk単位より大きい酸素透過率、および約20〜約55重量%、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0050】
本発明の第五の実施態様では、重合体のコンタクトレンズは、共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有するフッ素化単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)疎水性のC1〜C10メタクリラートまたはアクリラート単量体と、(e)架橋剤とを含む。非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、約0.3:1〜約2:1である。このレンズは、約50Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0051】
第六の実施態様では、企図されるコンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)スチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物である。該単量体混合物は、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比、および(d)の単一単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有し;ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物は、約35重量%まで存在する。このレンズも、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0052】
第七の実施態様では、コンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)陽イオン単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物から形成される。該単量体混合物は、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する。このレンズも、約45〜約150Dk単位の、好ましくは45Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。
【0053】
本発明の第八の実施態様では、コンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)疎水性単量体、好ましくはスチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物から形成される。該単量体混合物は、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する。企図されるレンズは、20重量%以上、約55重量%以下の平衡水和時含水量、および約55〜約150Dk単位の酸素透過値を示す。
【0054】
企図されるもう一つの実施態様では、トリス(シロキシ)シリル基含有単量体を含む単量体混合物の共重合生成物から形成されるコンタクトレンズの含水量を向上させるための方法が提供される。この方法は、ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物を混合して、コンタクトレンズが、低下した角膜の接着を有し、眼の組織、および眼の流体に密着した長期間の連続装用に適するよう、コンタクトレンズの含水量を増加させるのに充分な量の単量体混合物を形成することを含む。一変化形では、含水量は、ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性芳香族単量体、またはそれらの混合物を含まない類似のレンズに比して、水和したレンズの総重量の15重量%以上増加する。
【0055】
さらにもう一つの実施態様は、(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)陽イオン単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体、疎水性単量体(芳香族または非芳香族単量体)、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合体を含む、長期装用コンタクトレンズも企図する。このレンズは、約55〜約150Dk単位の酸素透過率、および20重量%以上の、好ましくは約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。該レンズは、ムチンおよびリゾチームが7.2〜7.6のpH値の水性緩衝液中に0.46g/Lの初期濃度で別個に存在するときに、該タンパク質を、in vitroで、約1:2〜約2:1の重量比、および約0.75〜約2.5μg/cm2の量で別個に結合する。
【0056】
完全な(平衡)水和の際の、重量測定によってか、または屈折率測定によって決定される、レンズの好ましいバルク含水量は、約20重量%より大きい。より好ましくは、レンズは、総レンズ重量に対して、約35〜50重量%の含水量を有する。最も好ましくは、水和レンズは、約40〜約55重量%の水を含有する。特に好ましいレンズ含水量は、40重量%より大きい。
【0057】
企図されるレンズは、いくつかの単量体の共重合体である。下記の表Aは、企図されるレンズ中に存在し得るこれらの単量体の例示的な近似量を、ある与えられた単量体が存在するときの好ましい量とともに示す。特定のレンズ中にすべての単量体が存在する必要はないのであるから、表A中に存在する単量体の量は、100%を上回る。
【0058】
【表1】

【0059】
ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体および疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物が、企図される共重合体中に存在する場合、これらの単量体は、約30〜約40重量%で存在することができる。好ましくは、これらの単量体の1種類またはそれ以上は、約35重量%まで存在する。
【0060】
本明細書に開示されるすべての実施態様について、親水性単量体は、(a)例示的には2−ヒドロキシエチル=メタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチル=アクリラート(2−HEA)、メタクリル酸グリセリル(GMA)、3−ヒドロキシプロピル=メタクリラート、3−ヒドロキシプロピル=アクリラート、4−ヒドロキシブチル=メタクリラート、4−ヒドロキシブチル=アクリラート、N−ビニルピロリドン(NVP)、α−メチルグルコシド−6−メタクリラート、ポリヒドロキシスクリルアルキル=アクリラート、N−(2−ヒドロキシプロピル)=メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)(n)=モノメタクリラートを包含する、ヒドロキシル化C1〜C4アルキル=アクリラートおよび=メタクリラート、(b)ポリ(エチレングリコール)(n)モノメチルエーテル=モノメタクリラートのようなポリ(C2〜C3アルキレンエーテル)(n)モノC1〜C4アルキルエーテル=アクリラートまたは=メタクリラート(ここで、「n」は、約12〜約160の平均値を有する)、ならびに(c)例示的にはN−ビニル−N−メチルアセトアミド、ビニルメチルスルホン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、モノ−およびジ−N−C1〜C10アルキル、ベンジル−およびフェニル=アクリルアミドおよび=メタクリルアミド、たとえばN−イソプロピルアクリルアミド(N−IPA)、N−(tert−ブチル)アクリルアミド、N−(オクチル)アクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、N,N−ジプロピルアクリルアミドなどを包含するアミド含有単量体を包含するが、これらに限定されない。
【0061】
企図される親水性単量体は、意図された用途の条件下で非イオン性であり、たとえば該単量体は、6〜8のpH値、特にpH7.2〜7.4の水中で電荷を示さない。したがって、これらのpH値で負の電荷を示す陰イオン単量体は、この群の単量体から除外され、これらのpH値で正の電荷を示す陽イオン単量体も同様である。
【0062】
より好ましくは、該親水性単量体は、非イオン性であり、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの基を有する。これらの単量体は、非置換、モノ−およびジ−置換C1〜C4アルキル=アクリルアミドおよび=メタクリルアミド、ならびにヒドロキシル化C1〜C4アルキルのアクリル酸およびメタクリル酸エステルによって例示される。アクリルアミド、メタクリルアミド、およびアクリル酸またはメタクリル酸エステルの基を有する、特に好適な非イオン単量体は、HEMA、2−HEA、GMA、DHPA、3−ヒドロキシプロピル=メタクリラート、3−ヒドロキシプロピル=アクリラート、4−ヒドロキシブチル=メタクリラート、4−ヒドロキシブチル=アクリラート、DMAおよびDMMAよりなる群から選ばれる。N,N−ジメチルアクリルアミドが、最も好適である。
【0063】
もう一群の共単量体は、好ましくはアクリラートまたはメタクリラートであるビニル基、およびトリス(トリメチルシロキシ)シリル基を有し、1モルあたり約6,000gまたはそれ以下の分子量を有する。適する単量体は、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(T1)、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシジメチルシロキシ)シラン(T2)、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルアミド(TSMAA)、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕アクリルアミド(TSAA)、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルオキシエチル=カルバマート(TSMC)、N−〔トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルアミド、N−〔トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルアミド、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルオキシ−グリセリルカルバマート、N−〔トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルアミド、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルオキシアセトアミド、N−〔トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル〕メタクリルオキシメチルジメチルアセトアミド、ビニル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニル−トリス(ジメチルシロキシ)シラン、アリル−トリス(トリメチルシロキシ)シランおよび(3−アクリルオキシプロピル)−トリス(トリメチルシロキシ)シランを包含する。好適なトリス(シロキシ)シリル基含有単量体は、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである。T1およびT2と呼ばれる単量体は、本明細書における用途に特に好適である。
【0064】
親水性単量体に対するトリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体の重量比は、代表的には、約0.3:1〜約2:1であり、より好ましくは約0.6:1〜約2:1である。この比率は、最も好ましくは、約0.7:1〜約1.4:1であり、本明細書では、特に好ましい親水性単量体であるDMAに対する、特に好ましいトリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体であるT1の重量比として示されることが多い。
【0065】
本発明は、通常、選ばれた親水性単量体およびトリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体と共重合させ得る、疎水性の芳香族もしくは脂肪族単量体、またはこれらの単量体の混合物を用いて実施する。疎水性芳香族単量体の例は、スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン(TMS)、tert−ブチルスチレン(TBS)および2−ビニルナフタレンを包含する。これらの単量体のうち、スチレン含有単量体が好適である。スチレン含有単量体は、本明細書では、フェニル基に直接結合したビニル基を有し、ここで、フェニル基は、融合環以外のもの、たとえば1〜3好ましくはC1〜C6アルキル基を有する上記のものと置き換えることができる。スチレン自体〔H2C=CH−C65〕は、特に好適なスチレン含有単量体である。疎水性脂肪族(非芳香族)単量体は、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルを包含する。例示的な単量体は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル(イソプロピルMA)、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシルなどである。これらの単量体のうち、メタクリラートはアクリラートより好ましく、より短いエステル鎖(C1〜C3)が、より長い鎖より好ましい。
【0066】
親水性単量体およびトリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体も、通常、1単量体分子あたり3〜約20個のフッ素原子を有する、それ自体は、4〜約20個の炭素原子、好ましくは約6〜約15個の炭素原子を有し、ポリフッ素化単量体と呼ばれることもあるフッ素化単量体と共重合させる。ポリフッ素化単量体は、1モルあたり約700g未満の分子量を有する。用語「フッ素含有またはフッ素化単量体」が本明細書で用いられるときは、フッ素化シロキシ含有単量体を除外するものと理解しなければならない。
【0067】
好適なフッ素化単量体は、2−(N−エチルペルフルオロオクタン−スルホンアミド)エチル=アクリラート(FX−13)、2−(N−エチルペルフルオロオクタン−スルホンアミド)エチル=メタクリラート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチル=メタクリラート(TEM)、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル=アクリラート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピル=アクリラート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル=アクリラート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロエチル=アクリラート、ペンタフルオロエチル=メタクリラート、ヘキサフルオロイソプロピル=アクリラート、ヘキサフルオロイソプロピル=メタクリラート(HFIPMA)などを包含する。1単量体分子あたり3〜約20個のフッ素原子を有する、好適なフッ素化単量体は、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである。1単量体分子あたり3〜約20個のフッ素原子を有する、特に好適なフッ素化単量体は、13または14個の炭素原子を有するFX−13、FX−14および1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル=アクリラート、ならびに6〜8個の炭素原子を有するPFSおよびHFIPMAである。これらの単量体のうち最も好ましいのは、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである、FX−13およびFX−14である。
【0068】
陽イオン単量体も、企図される眼用レンズに役立つ。適する陽イオン単量体の材料は、1モルあたり約600gまたはそれ以下の分子量を有し、約7.2〜7.4のpH値(生理学的pH値)でプロトン化され得る、第四級アンモニウム基または第三級アミン基を有する。例示的な単量体は、第三級C1〜C10アルキル、C1〜C3アルカノール、ならびにアクリル酸およびメタクリル酸のベンジルアミノエチルまたはN−モルホリノエチルエステル、たとえば2−ジメチルアミノエチル=メタクリラート(DMEAM)、2−N−モルホリノエチル=メタクリラート(MEM)、N,N−ジエタノールアミノエチル=メタクリラート、N,N−ジメトキシエチルアミノエチル=メタクリラート、ビニルアミン、アミノスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−(2−ビニルオキシエチル)ピペリジン、ならびに第四級アンモニウム化合物、たとえば3−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピル=メタクリラート=クロリド(TMAHPM)、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリル酸水酸化物、2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸塩化物、2−トリメチルアンモニウムメチルアクリル酸塩化物および2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチル=スルファートを包含する。アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである、陽イオン単量体が好適である。含まれるとき、陽イオン単量体は、代表的には、約15〜約30重量%、より好ましくは約20〜約25重量%で存在する。MEMおよびDMAEMは、特に好ましい陽イオン単量体である。
【0069】
本発明のいくつかの態様は、(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)スチレン含有単量体のような疎水性芳香族単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合を企図する。ポリフッ素化、陽イオンおよび疎水性非芳香族(脂肪族)単量体は、上記に考察したとおりである。
【0070】
もう一群の好適なシロキシ単量体は、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル含有基を有するものであり、代表的には、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである、ポリシロキサンビニル単量体である。例示的な材料は、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサンであるMD3(MW=386)、MD5(MW=550)、MD9(MW=1,000)およびMD63(MW=5,000)、メタクリルオキシプロピルで末端ブロックされたジメチルシリコーン液であるM2D63(MW=5,000)、1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサンであるM2K2(MW=683.25)、ならびに1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)−テトラメチルジシロキサンであるM2D2(MW=386.64)を包含する。ビニル終端ポリジメチルシロキサンであるVD2(MW=500)およびVD5(MW=770)も企図される。ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基を有する特に好適な単量体は、ジメチルシリコーン部分に結合された、モノアクリラート、メタクリラート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド化合物、たとえばMD9およびMD63;すなわち約1,000〜約5,000の分子量を有する単量体である。
【0071】
重合させた架橋剤も、通常、企図される眼用レンズ中に存在する。適する架橋剤または架橋結合剤は、エチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート(HDODA)、1,4−ブタンジオールジアクリラート(BDODA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、トリプロピレングリコールジアクリラート(TRPGDA)、ジエチレングリコールジアクリラート(DEGDA)、テトラエチレングリコールジアクリラート(TEGDA)、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラートなどを包含する。EGDMAが、特に好適である。
【0072】
望みの単量体、および存在するときの架橋剤を含む共重合は、代表的には、(2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;V−64)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどのような、周知のとおりの活性化剤または開始剤も含む。UV重合のための増感剤も、存在することができる。電離放射線による共重合は、通常、開始剤を必要としない。前記したとおり、重合手法の組合せは、本明細書に用いられるフリーラジカル重合の連鎖反応を開始かつ成長させるのに用いることができる。
【0073】
重合体およびレンズの酸素透過率は、好ましくは45バレル以上、より好ましくは50バレル以上(50バレルより大)、最も好ましくは60バレル以上(60バレルより大)である。レンズ中心の厚さは、代表的には、約50ミクロン(μm)、好ましくは約50〜約200ミクロン(μm)、より好ましくは約50〜約150ミクロン(μm)、はるかに好ましくは約50〜約120ミクロン(μm)、最も好ましくは約60〜約100ミクロン(μm)である。
【0074】
企図されるレンズの外面から内面への酸素透過率は、長期装用の間のいかなる実質的な角膜腫脹も防ぐのに充分である。米国特許第5,760,100号明細書は、角膜は、睡眠の終夜という期間に、酸素枯渇の結果として約3〜4%腫脹すること、および代表的なコンタクトレンズ、たとえばACUVUE(登録商標)(Johnson & Johnson)の約8時間という期間にわたる装用(終夜装用)は、約11%の角膜腫脹を生じ得ることが知られていると報告している。
【0075】
企図される眼用レンズは、通常、希釈剤または非共重合性溶媒の不在下での、成分単量体のそれのみの共重合によって製造される。そのような組成物の成形重合は、しばしば、乾式注型と呼ばれる。しかし、共重合は、非共重合性溶媒の存在下で実施することもできることが注目される。そのような成形重合は、しばしば、湿式注型と呼ばれる。
【0076】
眼用レンズを湿式注型するための非共重合性溶媒は、単量体混合物中で混和性であり、重合したレンズから容易に除去可能である。例示的な溶媒除去法は、蒸発、水または生理食塩水中での洗浄などを包含する。例示的な溶媒は、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールのような、水混和性C1〜C4一価アルコール溶媒であるが、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ベンゼンおよびトルエンのような、その他の溶媒も企図される。湿式注型用溶媒は、破壊点応力値を0.03N/mm2まで低下させるそれより低い量で存在することができる。通常の実施では、溶媒は、総共重合組成物の約20重量%未満、より好ましくは約15重量%またはそれ以下の濃度で存在する。
【0077】
意外にも、湿式注型、すなわち非共重合性溶媒の存在下でのレンズ形成用単量体の共重合は、形成されたレンズの酸素透過率を、同じ比率での同じ単量体から製造された乾式注型レンズに比して、約5〜約20%増加させ得ることが見出された(「同じ比率での同じ単量体」は、溶媒による組成物の僅かな希釈を償うための、湿式注型組成物中の開始剤および架橋剤の僅かな増加を包含することが留意される)。酸素透過率のこの上昇は、(a)メタクリルアミドまたはアクリルアミドを含む非イオン親水性単量体、および(b)本明細書で別途考察された量で存在するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体を含むレンズで生じると思われ、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体も含むような組成物で特に明白である。
【0078】
定量手順
バルク含水量
本明細書に用いられる限りで、レンズの含水量は、別途特記されない限り、水和されたレンズの総重量を基準とする水の重量%である。この含水量の測定は、付着した表面液滴をバルク含水量に影響させずに除去することが些末でないため、困難である。加えて、水は、レンズ表面から速やかに蒸発して、それによって、含水量を平衡レベルから低下させることがある。したがって、レンズのバルク含水量の考察は、この決定に用いるための測定手法の考察を正当化する。
【0079】
水和されたレンズの好適なバルク含水量は、レンズ材料特性の関数である。材料特性は、重合前のマクロマーおよび単量体、ならびに重合条件に依存する。そのため、フッ素含有シロキサンという材料を含むレンズの好適なバルク含水量は、非フッ素シロキサン含有材料を含むレンズのそれとは異なることがある。したがって、発明のさらに充分な理解のために、バルク含水量についての一般的な範囲を与えるが、本発明は、特定のバルク含水量に一般的に限定されることはない。
【0080】
本発明に従って形成されたレンズの含水量を測定する一つの方法を、本明細書では、「バルク手法」と呼ぶ。バルク手法の手順は、下記の通りである。
【0081】
初めに、レンズを生理食塩水溶液(0.9%塩化ナトリウム)中で完全に水和させて、レンズ内の水を周囲の水と平衡させる。次に、糸くずを含まない、2枚の吸取り布の間で、レンズを静かに吸い取って、表面の水分を除去する。レンズを、アルミニウムの秤量皿に素早く載せ、最初の湿潤重量W1を測定する。次いで、レンズを載せたアルミニウム皿を、36℃で少なくとも24時間オーブンに入れる。熱処理の後、レンズを載せた皿を、取り出し、デシケーターに入れ、室温(約22℃)まで冷却させる。レンズを載せた皿を、再び秤量して、乾燥重量Wdをそれについて決定する。レンズを生理食塩水溶液中で再平衡させ、第2の湿潤重量W2を決定する。湿潤重量(W1およびW2)を平均して、平均湿潤重量Wwを得る。バルク含水量は、下記の公式によって決定する:
【0082】
【数2】

【0083】
本発明に従って形成されたレンズの含水量を測定するさらに一つの方法は、
本明細書では「屈折計手法」と呼ばれが、アタゴ(登録商標)屈折計のような屈折計を用い、下記のとおりである:
【0084】
1.飽和塩溶液の原液の調製:
栓をしたガラス容器に塩(塩化ナトリウム)を2分の1充填し、脱イオン水を40〜45℃に予熱し、容器が4分の3満たされるまで加える。テフロン被覆した栓を用いて、容器を密閉する。容器を2分間振盪し、次いで、30〜60分攪拌する。この溶液の上清を用いて、屈折計の目盛りを較正する。塩のすべてが溶液に溶解している(すなわち、容器の底に塩が全く残留していない)ならば、追加の塩を、溶解しない残渣が残るまで加える。混合物を室温まで冷却する。
【0085】
2.目盛りの調整:
目盛りを室温で較正する。昼光プレートを開き、数滴の飽和塩溶液を、使い捨てピペットを用いて、プリズム表面に落とす。昼光プレートを閉じる。溶液は、昼光プレートを閉じたときに、全プリズム表面を被覆しなければならない。視野の上部と下部との境界を、目盛り上の「S」マークに合わせる。
【0086】
3.測定手法
糸くずを含まない軟らかいティシューで、レンズを軽く叩いて、表面の過剰な水分を除去する。昼光プレートを開き、レンズを、その凸面を下向きにして、中央のプリズムに載せる。レンズの中心部分を、プリズム表面に定置する。昼光プレートを、レンズが昼光プレートとプリズムとの間にあるように、プレートの上端を軽く加圧しつつ静かに閉じる。接眼鏡の焦点を、目盛りが明瞭に観察できるように合わせる。視野の上部は、青く見え、下部は、白く見えなければならない。視野の上部と下部との境界の位置が、レンズの重量%としての含水量を示すが、それは、縦の目盛りから読み取られる。
【0087】
角膜の運動および接着
最近、レンズ越しのイオン透過率は、眼球上の移動と充分に相関することが当技術に提唱されている。前記に考察したとおり、レンズの眼上移動は、良好な涙交換を確保し、最終的には、良好な角膜の健康を確保するために望ましいことが公知である。本明細書に提示された仮説に束縛されようとは望まないが、本発明を実施する方法をより充分に理解するには、角膜の接着を防ぐ可能ないくつかの機序を考察することが役立つと思われる。
【0088】
透水性は、長期装用レンズのための一つの重要な特徴であることが提唱されている。シロキサン含有材料は、眼に強力に接着し、それによって、レンズから搾取されようとする水が発揮する力を通じての眼上移動を停止させる傾向がある。レンズ越しに水を通過させる能力は、重合体のレンズが弛緩し、眼球上を移動し続けるのを許す。レンズの透水性は、圧力が除かれたならば、レンズの含水量を快復させるのに重要であることも考えられる。実際、レンズ下の充分な眼の流体の欠如は、角膜へのレンズの接着に寄与する可能性がある。したがって、透水性は、眼上移動の一つの予知指標であると考えられる。
【0089】
余人は、30日の長期装用レンズを開発するために、角膜接着の問題を解決する試みに深く関与している。たとえばNicholsonら(米国特許第5,760,100号明細書)は、角膜接着を低下させるための適正な涙交換に、一定の透水性が必要とされることを理論化した。彼らは、イオンまたは放射線標識化したグルコース流束を、コンタクトレンズを通過して流れる水の量の擬似指標として測定した。これらの発明者らは、眼上移動を許すには、イオン拡散性計数が、2.6x10-6mm2/分より大きくなければならないことを明らかにした。
【0090】
測定されたレンズ特性
レンズ径は、工業用顕微鏡を用いて決定し、中心厚さは、Rehder(登録商標)電子式肉厚ゲージ(モデルET−3)を用いて測定した。レンズの倍率は、トプコン(登録商標)LM−P5というディジタル式レンズ測定器で決定した。含水量は、上記の「屈折計手法」に従い、アタゴ(登録商標)屈折計を用いて測定した。酸素透過率の測定は、米国特許第5,817,924号明細書(引用により、その開示は組み込まれる)に記載されたとおり、Mocon Corp.(Minneapolis, Minnesota)が、そのOptiPerm(登録商標)技術に従って実施した。内部研究室での酸素透過率は、Rosemountマイクロプロセッサ分析装置(モデル1054B)に接続された、Rosemount Scientific溶解酸素センサ(モデル499A DO)を用いて決定した。このシステムは、Dk値を、ANSI規格(ANSI:Z80.20、標準用語法、公差、測定および物理化学的特性、コンタクトレンズ1996)の方法に類似する方法で測定するが、電極配置が僅かに異なる。
【0091】
この分析装置を、標準的なコンタクトレンズ材料を用いて較正した。ソフトコンタクトレンズについてDk測定を実施するのに用いた方法および計算は、本明細書で下記に考察するとおりである。新鮮なホウ酸緩衝生理食塩水、pH7.48を、用いる前に作成した。すべての含水量の数字は、アタゴ(登録商標)の手動屈折計(モデルCL−1、日本国)を用いて測定し、35%未満の含量が推定された。
【0092】
コンタクトレンズを、酸素センサ上のレンズホルダーに取り付けた。いかなる気泡も除去し、装置を、循環水浴を用いて37℃の温度に保った生理食塩水溶液中に浸漬した。平衡時間の後、センサ上のレンズを有する酸素レベルを、その場にレンズなしのレベルと比較した。相当する酸素透過率は、下記の公式から算出することができる:
【0093】
【数3】

【0094】
〔式中、P=Dk;透過率の値(バレル);
L=レンズサンプルの厚さ(mm);
t=酸素センサを覆うテフロン(登録商標)膜の厚さ(供された膜について0.05mm);
r=レンズおよびテフロン膜越しの定常状態の酸素輸送(ppm);
o=レンズ不在下でのテフロン膜越しの定常状態の酸素輸送(ppm、通常は6.4);
K=参照レンズから決定した定数(Dk);代表的には9〜14Dk単位;
である〕
【0095】
ATRタンパク質アッセー
このin vitroアッセーのためには、レンズを、適切なタンパク質溶液(通常は、生理学的条件を模倣するための、0.46g/Lのリゾチーム濃度)に、望みの時間長入れる。レンズを洗浄し、吸い取り、ATR結晶に載せる。蓄えられている対照スペクトルによる正規化および減算の後、タンパク質の存在は、アミドIおよびIIのピークの検査によって観察することができる。タンパク質の量は、これらの波長での吸収を較正曲線と比較することによって決定することができる。この分析法は、タンパク質溶液に接触させたか、または装用されたコンタクトレンズ上に蓄積されたタンパク質の量を決定することができる。
【0096】
必要とされる機器
1.FTS−20赤外分光計〔Bio-Rad(登録商標)〕
2.ATR付属品(#091-0507B、Bio-Rad)
3.ZnSe結晶(#989-0160、84mmx9mmx6mm、Bio-Rad)
4.pH計
5.10μl入りエッペンドルフマイクロピペット
【0097】
必要な補給品
1.0.9%塩化ナトリウム潅流溶液、USP(Baxter)、1.5L
2.8.4%重炭酸ナトリウム溶液、USP(Abbott Laboratories)
3.10ml入り注射筒
4.Kimwipe(登録商標)
5.リゾチーム、凍結乾燥したもの、鶏卵白由来(Sigma、L6876)
6.100ml入り体積測定用フラスコ
7.プラスチックピンセット
【0098】
手順
緩衝正常生理食塩水溶液を、実験の前に作成しなければならない。略述すると、重炭酸ナトリウム緩衝液0.25mlを、塩化ナトリウム潅流用緩衝液1.5Lに、無菌の10ml入り注射筒を用いて加える。溶液は、7.6〜7.2のpH値を有する。リゾチーム希釈を、ガラス製の100ml入り体積測定用フラスコを用いて実施する。
【0099】
1.リゾチームの較正曲線
ATR付属品を、ATR付属品マニュアルが指図するとおりに、IR光路内に置く。干渉図の中央バーストが、結晶がIRビームに整合していることを確認する(0.85V未満の振幅)。IRパラメータは、下記の通りでなければならない:開放間隙、5kHzの走査速度、および1.5kHzの低域フィルター。
【0100】
ZnSe結晶を、Kimwipeで包み、メタノール1〜2滴を浸透させた綿棒で表面を拭うことによって浄化する。空気乾燥して数秒後には、結晶上にメタノールの明白な兆候が皆無でなければならない。バックグラウンドの単一ビームスペクトルを、32回の走査をシグナル平均化することによって得る。
【0101】
各コンタクトレンズ材料の対照スペクトルは、製造直後のレンズから得られる。レンズは、それぞれ、その保存溶液からポリプロピレンのピンセットを用いて取り出し、Kimwipe上に置く。過剰な緩衝液を、もう1枚のKimwipeでレンズを吸い取ることによって除去する;視認できるいかなる緩衝液も、コンタクトレンズ基質の減算をより困難にする。レンズを、ZnSe結晶に載せ、ATRサンプルホルダーを用いて圧縮して、吸光度を上昇させる。この部域は、9mm幅の結晶上の14.5mmのコンタクトレンズについて、ほぼ1.215cm2と算出される。その後調べられるレンズは、圧縮して、1,703cm-1での吸光度ピークをこの対照ピークと同じにする(約0.01吸光度単位以内)。これは、スペクトルを正規化して、レンズの接触部域を同一にするのを確保する。他のピークを正規化に用いることもできると思われるが、このピークは、アクリル型ヒドロゲルに好都合である。
【0102】
リゾチームの較正曲線は、新たなコンタクトレンズ材料を分析するときに、既知濃度のリゾチーム溶液を、10μl入りエッペンドルフピペットを用いてZnSe結晶上に置くことによって構築する。ほぼ10滴の溶液を結晶上に展開させて、単層のタンパク質による被覆を確保する。肉眼およびIRでの観察に基づいて、15分間の乾燥時間が用いられる。各タンパク質濃度のスペクトルを、32回の走査をシグナル平均化することによって作成する。
【0103】
1,540cm-1でのアミドIIのピーク高を用いて、較正曲線を作成する。この特定のピークは、アミドIのピークに比して、水の帯域を重複させることからの誤差がより少ない。最小二乗適合線形回帰モデルは、蓄積されたタンパク質をアミドIIのピークの吸光度(吸光度単位;a.u.)に関連付ける等式:
A(a.u.)x491.617=(μgで表した蓄積タンパク質) (1)
を与える。
【0104】
2.レンズ上のタンパク質蓄積物
検定しようとする各レンズを、問題のタンパク質溶液(代表的には、緩衝液中0.46g/Lのリゾチームを用いる)を内容するバイアル内に入れる。サンプルバイアルを密封し、37℃の水浴中に望みの持続時間入れる。レンズを瓶から取り出し、Kimwipeで吸い取って乾燥し、分析のためにATR−FTIRに載せる。サンプルホルダーを用いて、1,703cm-1のピーク高を対照レンズと同じにするよう、スペクトルを調整する(上記を参照されたい)。対照コンタクトレンズのスペクトルを用いて、基質による吸光度を減算する。この結果、レンズ上に蓄積された残留タンパク質のスペクトルが得られる。こうして、レンズの表面上に蓄積されたタンパク質濃度は、較正曲線から決定することができる。
【0105】
水流束
イオン透過率を測定するのではなく、レンズを通過する実際の水流動率、すなわち水流束を直接測定することができる。これは、水がレンズおよび空気−レンズ境界面越しに輸送する方法の、より生理学的な表し方を与える。本発明に従って製造されたレンズは、代表的には、ケイ素含有単量体から製造された当技術によるレンズより有意に大きい水流動率を有する。好ましくは、水流束は、約0.40x10-5g/cm2・秒より大きい。より好ましくは、水流束は、約0.50x10-5g/cm2・秒より大きい。より高い水流束では、企図されるレンズは、より高い涙交換率を示し、ヒトの眼に接着する可能性がより少なくなるが、眼球上のレンズの望みの運動量を与えるためには、依然として表面処理を要することがある。水流束を測定する信頼できる方法を、下記の通り説明する:
【0106】
手順:
実験装置1を図1に断面図として示す。この装置を緩衝液3(11.3mM塩化ナトリウム、8.1mMホウ酸、0.3mMホウ酸ナトリウム、pH7.2〜7.5;以後、ホウ酸緩衝生理食塩水と呼ぶ)で満たし、コンタクトレンズ5を頂部に置く。カバー7をレンズにかぶせて、Oリング9は、レンズをレンズホルダーに押しつける。カバーの6.3mmの孔11は、水がレンズホルダーの貯留槽からレンズを通じてカバー外に流出するのを許す。レンズカバーは、それに見合う、水の通過のための孔13を有し、ねじ式の環15にその場で固定される。過剰な緩衝液は、吸収性の拭き取り具で除去する。
【0107】
この水流装置全体は、AE200というMettler(登録商標)の天秤に載せる。天秤をグローブバッグ(Aldrich、AtmosBag(登録商標)、Z11、282−8)内に閉じ込め、それを、急速に閉じるグローブバッグ締め金(I2R、AC−24)で素早く密閉する。空気をバブラーからバッグ内に送り込む。バブラーをグリセリン/水混合物(69.4重量%グリセリン)で満たして、5〜10分後にバッグ内の相対湿度を約50%にさせる。相対湿度および温度は、Mannix(登録商標)のモデルLAM 880Dという携帯式熱湿度計を用いて監視する。Mettler天秤の読みは、データ取得プログラムによって監視する。
【0108】
本発明の一実施態様は、レンズ重合体中の陽イオン単量体を用い、長期装用レンズを提供する。この実施態様は、ムチンをレンズに接着するために、陽イオン単量体と涙薄膜の陰イオン性ムチン層との間のイオン引力を必要とする。
【0109】
レンズは、涙のムチン層の引力によって角膜の接着を防ぐことができると考えられる。シリコーンは、低い表面エネルギーを有し、眼の涙薄膜の土台を構成するムチン質の層を弾くことができる。涙薄膜のこの破裂は、コンタクトレンズが、高い水流動を有してさえ、角膜に接着することの理由となり得る。生理学的pH値(たとえば約7.2〜7.4)で正の形式電荷を有するレンズは、負に帯電したムチン層を静電気によって引き付け、蓄積することがある。
【0110】
企図される長期装用コンタクトレンズは、(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)陽イオン単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体、疎水性単量体(芳香族または非芳香族単量体)、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合体を含み、やはり企図される。このレンズは、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す。レンズは、in vitroでは、ムチンおよびリゾチームが7.2〜7.6のpH値の水性緩衝液中に0.46g/Lの初期濃度で別個に存在するときに、これらのタンパク質を、in vitroで、約1:2〜約2:1の重量比、および約0.75〜約2.5μg/cm2の量で別個に結合する。したがって、別個のin vitro研究では、レンズは、各タンパク質が、約7.2〜7.6のpH値を有する水性緩衝液中で、0.46g/Lで初めに存在する、本明細書に別途考察したアッセーを用いて、リゾチームとムチンとの双方を類似の量(約1:2〜約2:1)、好ましくはほぼ同じ量(約1:1)で結合する。特定の緩衝液が、特に重要であるとは考えられていない。しかし、重炭酸ナトリウム緩衝液を用いるのが好適である。
【0111】
改良された眼の運動の機序に関わりなく、陽イオンまたは疎水性単量体を含む、企図されるコンタクトレンズは、当技術に公知のレンズに比して、高い含水量、および酸素透過率(Dk値)を与えることが、意外にも発見された。
【実施例】
【0112】
下記の実施例は、発明を例示し、当業者が発明を実施するのを許す。下記の表は、本発明のいくつかの実施態様に従って作成されたコンタクトレンズの重合体の配合、および得られる特性を示す。
【0113】
すべての単量体は、特記した場合を除いて、Gelest, inc.(Tullytown, PA)から購入した。MD9(ロット番号:86−6126、MW=1,000)およびMD63(ロット:95H−1068、MW=5,000)は、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサンである。M2D63は、メタクリルオキシプロピルで末端ブロックされたジメチルシリコーン液(#GP−478、Genesee Polimer Corp, Flint, MI、MW=5kD)である。M2K2は、1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン(SIB 1400.0、MW=683.25)である。M2D2は、1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(SIB 1402.0、MW=386.64)である。T−1は、メタクリルオキシプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン(MW=522,82,ロット:98−6898)である。2,4,6−トリメチルスチレン(TMS)、ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−N−モルホリノエチル=メタクリラート(MEM)、およびメタクリル酸オクチル(OMA)は、Monomer-Polimer & Dajac Labs(Feasterville, PA)から購入したが、メタクリル酸メチル(MMA)、スチレンおよび4−tert−ブチルスチレンは、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee, WI)から購入した。
【0114】
【化1】

【0115】
【化2】

【0116】
MD3(MW=約390、n=約3)
MD5(MW=約550〜700、n=約5)
MD9(MW=約1,000、n=約9)
MD63(MW=約5,000、n=約63)
【0117】
【化3】

【0118】
GentleTouch(登録商標)およびFreshlook(登録商標)のレンズは、Wesley Jessen Corporation(Des Plaines, IL)から入手した。その他のレンズは、それらの製造者から購入した。
【0119】
様々なサンプルを乾式注型のために製造し、ここで、単量体溶液400μlを注型カップの雌型部分に入れ、雄型部分を雌型部分に入れ、過剰分を留去した。重合の後、レンズを取り出し、次いで、ホウ酸緩衝生理食塩水(pH7.48)中で終夜(約18時間)水和させてから、貯蔵用の包装液を内容するコンタクトレンズ(CL)バイアルに移した。
【0120】
製造からFreshLook(商標)注型カップの成形用型を用いた(−3.00〜−0.50D/14.5mm径/8.25厚)。充填は、エッペンドルフのコンビチップ、および5mlのチップセットを用い、単量体溶液300〜400μlを送達して実施した。閉鎖は、研究室用充填/閉鎖装置を(フード内で)用いて実施した。熱重合には、Despatch(登録商標)オーブン(モデルLN01−42−2、Minneapolis, MN)を用いた。
【0121】
下表に示した配合に従って形成した重合体は、手順A、BまたはCのいずれかに従って達成した。
【0122】
手順A
単量体を、その量の順に、最低から最高まで混合した。混合物を充分に攪拌して、均質な溶液を形成した。当技術に常用される注型カップを、雄型部分のコロナ活性化を包含する、公知の手法に従って製造した。予め調製した反応混合物を、この注型カップの雌型部分に入れた。注型カップを閉鎖し、反応室に入れた。減圧によって雰囲気を除去し、N2のような不活性雰囲気に置き換えた。単量体混合物を、重合を生じるのに充分なUVエネルギーに付した。重合を生じるのに適するUVエネルギーは、約0.7mW/cm2〜約3mW/cm2で1〜6時間、好ましくは2時間である。
【0123】
手順B
この手順による眼用レンズは、最終重合を、フリーラジカル連鎖反応の熱エネルギー開始によって達成すること以外は、手順Aに提示した混合手順に従って形成した。単量体混合物の重合を生じるのに適するいかなる温度範囲も、許容され得る。適する温度範囲は、望みの重合が生じるのを許す時間にわたる、約60〜150℃、好ましくは80〜120℃を包含する。望みの重合を達成するのに適する時間は、約0.25〜約4時間、好ましくは約2〜約4時間、最も好ましくは約4時間である。オーブン内の環境雰囲気は、窒素またはアルゴンのような不活性気体と部分的にか、または完全に置き換えることができる。
【0124】
UV開始の重合が、熱重合条件下で硬化も生じさせ、またその逆も生じさせるように、上記の二つの手順を組み合わせることが、しばしば望ましい。加えて、一方の手法を、他方の手法によって製造したレンズを後硬化させるのに用いることができる。
【0125】
手順C
単量体を充填し、閉鎖した注型カップは、約110℃のような、予め決定した最低温度の鋼製ブロックオートクレーブに入れる。単量体混合物を、約10〜約15分間にわたって、約110〜約140℃、より好ましくは約120〜約135℃の温度で熱重合させて、その時間の後、前記に考察したとおり、注型カップを取り出し、開放し、レンズを取り出し、水和させる。同様の高温急速重合も、Despatchオーブン(モデルLN01−42−2、Minneapolis, MN)内で実施することができる。
【0126】
興味深いことに、この重合手順を、不飽和モノ−およびジ−置換C1〜C4アルキルアクリルアミドおよびメタクリルアミドのようなアミド含有単量体、たとえばDMAに代えて、HEMAを非イオン親水性単量体として含有する配合物で用いたとき、得られたレンズは、清澄ではなく、不透明であった。加えて、この重合手順は、アルゴンまたは窒素のような不活性雰囲気の存在下ばかりでなく、雰囲気酸素の存在下でも用いることができる。
【0127】
結果
比較例A:水流動の研究
上記の手順に従って、製造された様々なコンタクトレンズを、水流動について測定した。FreshLookのレンズ(−3.00D、直径:14.5、BC:中間、ロット44555、実験:12/00、中心肉厚=92μm)、GentleTouchのレンズ(−3.00D、直径:14.5、BC:8.5、ロットWBYNT、実験:1/3、中心肉厚=137μm)、Clearview(登録商標)レンズ(0.00D、直径:13.8、BC:8.4、ロットRAALB、実験:10/99、中心肉厚=118μm)、およびSilsoft(登録商標)レンズ(エラストフィルコン、+12D、直径:12.5、BC:8.3、ロットR85008683、実験:7/00、中心肉厚=315μm)を、受領するにつれて用いた。基本レンズ(中心肉厚=127μm)、および改質基本レンズ(中心肉厚=114μm)は、例0および4に従って作成した。レンズは、すべて、ホウ酸緩衝生理食塩水溶液中に、少なくとも30分間浸漬してから、用いた。
【0128】
異なるレンズについて、mg/時での失水率を測定し、本明細書下記の表1に示したとおり、比較した。
【0129】
【表2】

【0130】
真鍮の金属は、最も低い失水率を示し、サンプルホルダー周囲の漏水から観察される誤差を与えているものと思われる。低いとはいえ、この漏水率は、測定可能である。おそらく、真鍮は、レンズホルダーの表面に充分従わずに、より順応性に富むコンタクトレンズより多くの量の水が材料の周囲に滲出するのを許すのである。
【0131】
Silsoft(商標)のレンズは、柔軟なシリコーン基質を通じての、より高い水蒸気拡散率におそらく起因して、真鍮より僅かに高い水流動を有する。やはり、水蒸気のみがレンズを貫通できるにすぎず、そのため、Silsoftは、ヒドロゲルに比して、低い水流動率を示す。この低い水流動率は、この材料で認められる、より高度な角膜接着を生じることができるが、涙薄膜のムチン層の反発も、観察された角膜接着を説明し得る。
【0132】
本来の基本レンズ、改質基本レンズ、Cleaview、FreshLookおよびGentleTouchのレンズは、その含水量の順に水流動喪失率を示した。実際、GentleTouchのレンズは、緩衝液の対照サンプル(レンズなし)のそれに類似する失水率を有した。明らかに、GentleTouchの基質は、この材料越しの水の流動を妨げない。
【0133】
Cleaview、FreshLookおよびGentleTouchのレンズは、それぞれ、同意試験の被験者の眼球上を充分に移動した。改質基本レンズ(例4)は、CleaviewおよびFreshLookのレンズとほとんど同一の水流束と、それらに勝るO2透過率とを示したが、被験者の眼への多少の接着を示していると思われ、非調剤臨床試験を終結した。したがって、レンズを通過する水の流れを測定する水流束は、眼球上のレンズ移動に対しては、米国特許第5,760,100号明細書におけるような、当技術で確認されているのよりおそらく重要ではないように思われる。共重合させた配合物の結果としての眼球上のレンズ移動が、望みのそれより少ない場合、望みの移動を与えるための、米国特許第5,760,100号明細書に考察されたとおりのプラズマ放電、または当業者に公知のその他の表面改質手法、たとえば国際公開特許第99/57177号、第99/57178号および第99/57179号公報に開示されたそれによって、レンズを処理することができる。
【0134】
例0〜17:コンタクトレンズ
表2は、基本レンズ配合物の組成を示す。別途特記されない限り、すべての配合/組成単位は、質量グラムとしてである。このレンズ配合物は、シリコーン含有単量体であるT1、親水性単量体であるDMA、少量のスチレン含有単量体であるTMS、および架橋剤であるEGDMAを含む。しかし、この配合物は、フッ素化疎水性単量体を含有しない。このレンズ配合物は、比較的適切なレベルの酸素透過率は示すものの、水和レンズの総重量の重量%として測定された、低い含水量を有する。また、このレンズは、ヒトの角膜への接着を示して、長期装用に不適切にさせている。
【0135】
例1、2および3は、1単量体分子あたり3〜約20個のフッ素原子を含むフッ素化単量体の組込みは、意外にも、酸素透過率の有意な低下なしに、レンズの含水量を増加させることを立証している。これらのレンズは、ヒト角膜に接着しないと考えられ、そのため、長期装用に適切である。
【0136】
【表3】



【0137】
表3は、レンズ配合物中のシリコーン含有単量体であるT1、親水性単量体であるDMA、およびフッ素原子疎水性単量体であるFX−13の量の変動の結果を示す。レンズの光学的清澄さはもとより、変形に対する反発弾性に顕著な加重を与えると、例4および15(二重試験)は、より望ましい複合特性を、含水量および酸素透過率とともに有すると思われる。
【0138】
【表4】





【0139】
【表5】

【0140】
例18〜22:長鎖ポリフッ素化単量体の様々な単量体による置換え
長鎖ポリフッ素化単量体であるFX−13を、約1のT1/DMA比を保ちつつ、短鎖ポリフッ素化単量体その他の単量体に、表3、例4の組成中の等重量ベース(9.4重量%)で置き換えた。この研究の結果を、平衡水和における水の%、およびO2透過率(Dk)値について、下記の表5に示す。
【0141】
【表6】

【0142】
データから認められるとおり、それぞれの単量体の使用は、類似の含水量を与えた。フッ素化単量体、特に1単量体分子あたり5〜約20個のフッ素原子を有するそれの使用は、最も高いDk値を示した。
【0143】
例23〜25:変動するT1:DMA比を有する陽イオン単量体、および長鎖ポリフッ素化単量体の添加
T1/DMA比の相対量を増加させつつ、変動する量の長鎖ポリフッ素化単量体FX−13も含有するレンズ配合物に陽イオン単量体を加えることの効果を査定するための研究を実施した。これらの組成のための配合物、およびその含水量および酸素透過率を、下記の表6に示す。
【0144】
【表7】

【0145】
例26〜31:基本レンズ配合物に対するT1:DMA比の効果
表2の「基本」配合物におけるとおりの、ポリフッ素化単量体の不在下でのDMA単量体に対するT1単量体の比率の効果を調べるための研究を実施した。レンズ配合物を下記の表7に示すが、ここで、「Ex.」は、例を意味する。この比率を変更することの酸素透過率および含水量に対する効果を、その後の表8に示す。
【0146】
【表8】

【0147】
【表9】

【0148】
上記のデータは、T1:DMA比が1.4〜1.0間で変化するにつれて、Dk値は、高く、また比較的一定して留まるが、約1.0未満のT1:DMA比では、この値が急激に減少することを示す。調べた範囲内では、徐々に上昇する含水量が、T1:DMA比の低下とともに観察された。
【0149】
例32および33:例4のレンズにおけるTMSの芳香族との置き換え
表3、例4の2,4,6−トリメチルスチレン(TMS)を、疎水性芳香族のスチレン型単量体の4−tert−ブチルスチレンまたはスチレンに、約1のT1:DMA重量比、および約9〜約10重量%の長鎖ポリフッ素化単量体を含むレンズ共重合体配合物において、等重量ベースで置き換えた。これらのレンズのための配合、ならびにその含水量および酸素透過率を、下記の表9に示す。認められるとおり、そのように製造されたレンズは、それぞれ、優れた特性を示した。
【0150】
【表10】

【0151】
例34:芳香族改質レンズ上のタンパク質蓄積
FX−13が約9.4%で存在し、T1:DMA比が約1である、例4の配合物において、トリメチルスチレン(TMS)に代えてスチレンを用いて、追加のレンズを製造した。用いた配合物を、下記に表10に示し、別途「S基本」と呼ぶ。当量のDMAに対する代置として、ほぼ同じ量のスチレンを、約3.5重量%のMD9単量体とともに含有する配合物も製造し、これをMD9−S基本と呼ぶ。
【0152】
【表11】

【0153】
そのように製造したレンズ、および商業的に入手できるレンズを、0.46g/Lのリゾチーム溶液に浸漬し、赤外分光学を用いて分析して、レンズに吸着されたタンパク質の量を決定した。アミドII帯域を測定し、較正曲線によってタンパク質濃度に変換した。前記に考察したアッセー手順、およびこれらの研究の結果を考察し、下記に示す。
【0154】
タンパク質濃度は、下記の通りである:
【0155】
【表12】

【0156】
【表13】

【0157】
S基本およびMD9−S基本レンズは、測定の標準偏差以内で、CSI/Clarity(登録商標)D2またはGentleTouchのレンズとほぼ同様に多くのリゾチームを吸着すると思われた。それらは、DS3より有意に少量のタンパク質を吸着した。
【0158】
前記した手順は、減衰全反射(ATR)を利用し、各コンタクトレンズ上に蓄積されたタンパク質の量を推算するためのin vitroでの方法を与える。
【0159】
例35:ムチンおよびリゾチームの蓄積の研究
表2、例0の基本レンズ、表6、例25の陽イオン単量体含有レンズ、および商業的に入手できる終日装用レンズ(FreshLookのレンズ)上に蓄積されるムチンおよびリゾチームの双方の量を測定する研究を実施した。この研究を実施する手順は、適切な研究でリゾチームに代えてムチン(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を用いること以外は、以前の実施例で考察されたのと同じである。研究の結果を、表IIに示す。
【0160】
【表14】

【0161】
これらの予備的なデータから、ムチンは、基本レンズに非常に低い(CSIレンズへのリゾチームの結合に比して)レベルで結合し、ムチンは、基本レンズ自体と対比して、約5.3倍も多く陽イオン改質基本レンズに結合すると思われる。
【0162】
したがって、陽イオン改質基本レンズは、涙薄膜の基本層を構成する、ムチンを結合することによる角膜の接着を示さない。このムチン層は、眼の移動、および眼上濡れ易さを向上させることができる。
【0163】
例36:スチレン含有レンズにおける共重合シリコーン単量体の組込み
いくつかのシリコーンおよびシロキサニル(シロキシ含有)単量体を、レンズに用いることについて調べた。これらの単量体に関する図表、および対応する構造は、前記に示した。
【0164】
シリコーンメタクリラートを、スチレン含有基本配合物(下記の表12に示す)に加え(1〜35重量%)、手順Cを用いて重合させた。
【0165】
【表15】

【0166】
結果:
A.シリコーンの組込み
M2D65は、約1%までのみ可溶であるにすぎず、この単量体混合物についての範囲を限定する。M2K2およびM2D2レンズは、清澄であるが、特に高い付加レベルで、コンプライアンスを欠く(たとえばRGP様の剛性)レンズを作成した。MD9は、高い溶解度を示し、清澄なレンズを、38重量%の付加レベルでさえ作成した。代表的なシリコーン単量体含量は、約1〜約6重量%であった。
【0167】
ここでの仮説は、より多くのシリコーンのレンズへの組込みは、Dkを上昇させるであろうということであった。しかし、これらのM2型ビス(メタクリラート)シリコーン単量体による結果は、逆の傾向を示した。基本配合物へのいかなるビス(メタクリラート)シリコーン単量体の添加も、Dkの低下を示した。この不測の結果は、あるとすれば、いかなる要因がDkを上昇させるのかを決定するために、追加の配合物を作成させることになった。
【0168】
B:MD9/T1/DMA配合物
様々な濃度のMD9、T1およびDMAを混合することによって、当初の混合物の研究を実施したが、MD9は、いくつかの濃度で不溶性であると判明した。相図(図4)を用いて、以後の配合物が清澄なコンタクトレンズを確実に与えるようにした。
【0169】
MD9、すなわちポリ(ジメチルシロキシ)シリル=メタクリラートは、Dkを上昇させるとは思われなかったため、相図(図4)を検討し、一定したMD9のレベル(約3.5%)でDMA:T1比を調整するよう、その後の研究を計画した。これまでの配合物におけるDMA:T1比の増大は、Dkの上昇、Dkの僅かな低下、またはDkに対する無効果のいずれかを示した。この場合、MD9の添加は、Dkが、DMA:T1比の調整によって影響され得ることを示した(図2を参照されたい)。しかし、DMA:T1比の減少は、レンズの含水量を減少させた(図3を参照されたい)。
【0170】
この少量のMD9の添加は、これらのヒドロゲルのDkを向上させた。観察された最高Dkは、0.33のDMA:T1比(または3のT1:DMA比)での123Dk単位であった。このレベルでは、高い接着力のため、レンズを成形用型から取り出すことに困難が存在した。レンズは、強い凝集力を有して、それが折り重なったレンズを互いに粘着させるように思われる。これらのレンズの含水量は低く(<30%)、これらのレンズが角膜接着の問題を有し得ることを示す。
【0171】
高いDkと含水量との妥協は、0.72というDMA:T1比(または1.39のT1:DMA比)で見出されて、この場合、90Dk単位という平均Dk値が観察された。含水量は、この配合物について約30%の水であることが判明した。
【0172】
MD9のレベルが、これらのゲルの酸素透過率を高めることができる理由は、依然として未知である。おそらく、MD9は、T1単量体の酸素輸送能に影響することなしに、T1単量体に対する合体部位として作用することができると思われる。MD9単量体は、ヒドロゲルの体制を崩壊させることができて、酸素が、無定形領域をより充分に通過するのを許すと思われる。このことは、ゲルを通じての、より多くの連続的な酸素輸送相を許すことができると思われる。
【0173】
C:低分子量メタクリルシリコーンとのT1の代置
もう一連の研究を実施して、メタクリルシリコーンを、T1単量体に代置するのに用いることができるか否かを調べた。MD5、MD3およびVD2は、MD9、またはより高分子量のメタクリルシリコーンで認められる混和性のいかなる変化もなしに、DMAに可溶であった。すべてのVD2重合体は、おそらくビニル基がメタクリル単量体より反応性に乏しいために、不透明であった。VD2は、重合を窒素下で実施するならば、T1に対する置換物として、依然として用いることができる。T1をMD5およびMD3に置き換えることは、清澄なコンタクトレンズを作成させたが、これらのレンズのDk値は、小さかった。
【0174】
T1は、酸素を輸送するのに、短いメタクリルシリコーン単量体より効率的であると思われる。T1単量体からのトリ(シロキシ)シリル基は、メタクリルシリコーンからのジメチルシロキシ基より大きい自由体積、およびより多くの配座上の自由を有する。他の単量体、たとえばビニル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニル−トリス(ジメチルシロキシ)シラン、アリル−トリス(トリメチルシロキシ)シランまたは(3−アクリルオキシプロピル)−トリス(トリメチルシロキシ)シランをT1に代えて用いることができる。
【0175】
例37:スチレン含有レンズにおける開始剤(V−64)および架橋剤(EGDMA)の濃度の変更の効果
対照として、表12のS基本配合物を、開始剤および架橋剤の様々な濃度を用いて調べた。配合物を、下記の表13に示す。
【0176】
【表16】

【0177】
製造されたレンズは、すべて、清澄であったが、いくつかは、反り、表面欠陥および辺縁欠陥を示した。ほとんどは、多量のバリを示して、おそらく、より充分な排気が必要であるか、またはより少量の単量体を用いなければならないことを示した。微粒子が観察されて、おそらく、最終評価のためには、清浄な室内環境または単量体濾過が必要であり得ることを示した。
【0178】
巻上がりは、開始剤濃度に関連すると思われ、開始剤の削減は、巻き上がったレンズの数を減少させた(p=0.1)。Dk、厚さおよび直径は、おそらく、架橋剤と開始剤との双方向の相互作用を有するが、この関連は、この小規模の研究では有意に証明することができなかった。しかし、これらのデータは、スチレン改質基本(S基本)配合物が、確固としていて、以後のレンズを比較するための対照として信頼できることを示した。
【0179】
例38:レンズの製造
通常は、他のコンタクトレンズの製造に使われる製造施設を用いて、一連の眼用レンズを製造した。この研究で用いた2種類の配合物を、下記の表14に示す(以前用いられた略号は、同じ意味を有する)。
【0180】
【表17】

【0181】
検査したS基本レンズの約50%は、許容可能であった。欠陥のほとんどは、バリまたは辺縁欠陥であった。特に設計された注型カップを用いて作成したレンズは、僅かに平坦な基本曲線以外は、公差範囲内であった。一方、検査したMEM基本レンズの約7%のみが、許容可能であったにすぎない。このことは、おそらく、コロナレベルが高過ぎて、レンズを注型カップの基本曲線に強く接着させ、成形用型の開放、またはレンズ取り出しの際に裂けさせたことを示す。両形式のレンズとも、オーブン内で、窒素下、90℃前後で約3時間硬化させ、次いで検査した。
【0182】
例39:芳香族疎水性単量体に代えて脂肪族疎水性単量体を用いたレンズの製造
手順Cを用い、通常存在する疎水性芳香族単量体を、脂肪族疎水性単量体に等重量ベースで置き換えて、もう一連の眼用レンズを製造した。この研究に用いた2種類の配合物を、下記の表15に示す(以前用いられた略号は、同じ意味を有する)。
【0183】
【表18】

【0184】
上記のデータから認められるとおり、反応混合物中の芳香族疎水性単量体の脂肪族疎水性単量体による置き換えは、含水量の増大と酸素Dk値の増大との双方を示すレンズを与えた。実際、いくつかのサンプルについてのDk値は、標準偏差が証拠立てるとおり、90台に充分属した。
【0185】
例40:一価アルコール溶媒を用いたレンズの製造
一価アルコールを溶媒として含有する類似の組成物から、一連のレンズを製造した。レンズは、すべて、重合可能単量体の約1%のMD9を含有した。一対は、無溶媒に対比して、約15重量%のエタノールを含有する点のみが異なったにすぎないのに対して、第3群のレンズは、陽イオン単量体のMEMをさらに含有した。レンズを、以前のとおり重合させ、重合後、オーブン内で、窒素気体下、約90℃で約3時間硬化させて、溶媒を除去した。これらのレンズの組成を、下記の表16に示す。
【0186】
【表19】

【0187】
イソプロパノールを溶媒として用いて、さらに2セットのレンズを製造した。これらのレンズは、式例4(Ex.4)のレンズの変化形であった。レンズの製造は、上記のとおりであった。これらのレンズの組成を、下記の表17に示す。
【0188】
【表20】

【0189】
本明細書に引用された特許および論文は、それぞれ、参照によって組み込まれる。単数形の冠詞の使用は、一つまたはそれ以上を包含するものとする。
【0190】
例41:陽イオン単量体含有レンズ
約21重量%または約42重量%のDMAEMを含有するよう、レンズを製造した。レンズは、表18に示した配合物を用いて製造した。120℃で10分間の通常の硬化は、完全な硬化を得るには不適切であったが、15分の硬化時間は、21%DMAEMのレンズに対しては良好な硬化を与えた。40分の硬化時間でさえ、42%DMAEMのレンズに対しては役立たず、これらのレンズでは、それ以上のことは実施しなかった。約21%のDMAEMを含有するレンズ(例40)は、水和後に48.0%の水を含有することが見出され、61.0±1.2Dk単位の酸素透過率の値を示した。
【0191】
【表21】

【0192】
リゾチームおよびムチン結合の研究を、前記に考察したとおり実施した。これらの研究の結果は、例40のレンズが、低いリゾチーム結合(2.5±1.2μg/cm2)、および低いムチン結合(1.4±0.7μg/cm2)を示すことを示した。ムチン結合の結果は、例25の5%MEMのレンズ(表11)が、約1.73±0.54μg/cm2で結合することが見出されていることから、特に意外であった。静電引力が線形であるならば、約7.8μg/cm2が例40のレンズに結合すると予測されると思われた。
【0193】
水滴でレンズ表面を濡らし、水を除去して、より小さい液滴を濡らす前の部域に置き、最後に加えた液滴(1μl)の接触角を測定することによって、静的な前進接触角の測定も、例25および40のレンズについて実施した。結果は、濡れやすさにおける統計的に有意な改良を示した(それぞれ、96.5°対84.5°)。例40のレンズの表面は、また、水をその表面に置き、次いで除去する都度、接触角が約89°から約82°へと変化して、さらに濡れやすくなると思われた。
【0194】
また、約15〜約20重量%のDMAEMを用い、単量体T1およびDMAの比率を変化させて、研究を実施した。これらのレンズのいくつかに対する配合物を、例42として、製造されたレンズの観察された水の百分率、および酸素透過率の値とともに、下記の表19に示す。
【0195】
【表22】

【0196】
例42:代替的なフッ素含有単量体によるレンズ
好適なFX−13以外のフッ素含有単量体を含む、一連のレンズを製造した。これらのレンズのいくつかの組成および特性を、下記の表20に示す。
【0197】
【表23】

【0198】
本明細書に引用された特許および論文は、それぞれ、参照によって組み込まれる。単数形の冠詞の使用は、一つまたはそれ以上を包含するものとする。
【0199】
上記から、本発明の新奇な概念の、真の精神および対象範囲から逸脱することなしに、数多くの変更および変化形を実現できることが認められると思われる。提示された特定の実施例に関しては、何ら限定が意図されることはなく、推論されてはならないことが理解されなければならない。開示は、付記されたクレームによって、該クレームの対象範囲内にあるような変更をすべて網羅するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約20〜約55重量%の水和含水量を有する重合体材料を含む眼用レンズであって、該重合体材料が、(a)親水性単量体と、(b)疎水性の芳香族もしくは脂肪族単量体、またはその混合物と、(c)トリス(シロキシ)シリル基を有する単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有するフッ素化単量体と、(e)約0.003〜約30N/mm2の破壊点応力値、約25〜約3,000%の破断伸び率、および約0.001〜約10N/mm2の弾性率値を与えるのに充分な量の架橋剤との共重合体で構成される眼用レンズ。
【請求項2】
該親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体である請求項1記載の眼用レンズ。
【請求項3】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項1記載の眼用レンズ。
【請求項4】
該疎水性脂肪族単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項1記載の眼用レンズ。
【請求項5】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項1記載の眼用レンズ。
【請求項6】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項1記載の眼用レンズ。
【請求項7】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項6記載の眼用レンズ。
【請求項8】
約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の水和含水量を有する重合体材料を含む眼用レンズであって、該重合体材料が、(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性のスチレン含有単量体、もしくはアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステル、またはその混合物と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基を有する単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるフッ素化単量体と、(e)約0.003〜約30N/mm2の破壊点応力、約25〜約3,000%の破断伸び率、および約0.001〜約10N/mm2の弾性率値を与えるのに充分な量の架橋剤との共重合体で構成される眼用レンズ。
【請求項9】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項8記載の眼用レンズ。
【請求項10】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該フッ素化単量体が、約20重量%以下で存在する請求項8記載の眼用レンズ。
【請求項11】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.3:1〜約2:1である請求項8記載の眼用レンズ。
【請求項12】
重合させた(a)非イオン親水性単量体と、(b)疎水性芳香族単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有するフッ素化単量体と、(e)架橋剤との共重合体を含む重合体のコンタクトレンズであって、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.3:1〜約2:1であって、約60Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項13】
該親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体である請求項12記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項12記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項12記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項12記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項16記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.6:1〜約2:1である請求項12記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性スチレン含有単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有するフッ素化単量体と、(e)架橋剤との共重合体を含む重合体のコンタクトレンズであって、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.6:1〜約2:1である、約60Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項20】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項19記載のコンタクトレンズ。
【請求項21】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該フッ素化単量体が、約20重量%以下で存在する請求項19記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
共重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性芳香族単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有するフッ素化単量体と、(e)架橋剤とを含む重合体のコンタクトレンズであって、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.3:1〜約2:1である、約60Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項23】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項22記載のコンタクトレンズ。
【請求項24】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項22記載のコンタクトレンズ。
【請求項25】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項22記載のコンタクトレンズ。
【請求項26】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項25記載のコンタクトレンズ。
【請求項27】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項22記載のコンタクトレンズ。
【請求項28】
重合させた(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)疎水性スチレン含有単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルであるフッ素化単量体と、(e)架橋剤との共重合体を含む重合体のコンタクトレンズであって、非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である、約50Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項29】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該フッ素化単量体が、約20重量%以下で存在する請求項28記載のコンタクトレンズ。
【請求項30】
該レンズが、60Dk単位より大きい酸素透過率、および約40〜約55重量%の平衡水和時含水量を示す請求項28記載のコンタクトレンズ。
【請求項31】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)疎水性芳香族単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比、および(d)の単一の単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有する、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項32】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項33】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項34】
該疎水性脂肪族単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項35】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項36】
該ポリフッ素化単量体が、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項37】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項31記載のコンタクトレンズ。
【請求項38】
(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)疎水性スチレン含有単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるポリフッ素化単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである陽イオン単量体、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.6:1〜約2:1の重量比、および(d)の単一の単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有する、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項39】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項38記載のコンタクトレンズ。
【請求項40】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項38記載のコンタクトレンズ。
【請求項41】
該レンズが、約60Dk単位より大きい酸素透過率を有する請求項38記載のコンタクトレンズ。
【請求項42】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物が、約35重量%以下で存在する請求項38記載のコンタクトレンズ。
【請求項43】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)陽イオン単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)疎水性芳香族単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する、45Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を有するコンタクトレンズ。
【請求項44】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を有する請求項43記載のコンタクトレンズ。
【請求項45】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項43記載のコンタクトレンズ。
【請求項46】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項43記載のコンタクトレンズ。
【請求項47】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項43記載のコンタクトレンズ。
【請求項48】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである陽イオン単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)疎水性スチレン含有単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する、45Dk単位より大きい酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示すコンタクトレンズ。
【請求項49】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項48記載のコンタクトレンズ。
【請求項50】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項48記載のコンタクトレンズ。
【請求項51】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性スチレン含有単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該陽イオン単量体が、約20〜約25重量%で存在する請求項48記載のコンタクトレンズ。
【請求項52】
該陽イオン単量体が、2−N−モルホリノエチル=メタクリラートである請求項48記載のコンタクトレンズ。
【請求項53】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有し、少なくとも20重量%の平衡水和時含水量、および約55〜約150Dk単位の酸素透過値を示すコンタクトレンズ。
【請求項54】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む請求項53記載のコンタクトレンズ。
【請求項55】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項53記載のコンタクトレンズ。
【請求項56】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項53記載のコンタクトレンズ。
【請求項57】
(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドであるポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)スチレン含有単量体と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.6:1〜約2:1の重量比を有し、少なくとも20重量%の平衡水和時含水量、および約55〜約120Dk単位の酸素透過値を示すコンタクトレンズ。
【請求項58】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、ポリ(ジメチルシロキシ)部分を有し、約1,000〜約5,000の分子量を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項57記載のコンタクトレンズ。
【請求項59】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項57記載のコンタクトレンズ。
【請求項60】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該疎水性スチレン含有単量体が、約2.5〜約4.5重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、約1〜約6重量%で存在する請求項57記載のコンタクトレンズ。
【請求項61】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)陽イオン単量体、疎水性芳香族単量体、疎水性脂肪族単量体もしくはポリフッ素化単量体、またはこれらの単量体種の2、3もしくは4種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比を有する、少なくとも20重量%の平衡水和時含水量、および約55〜約150Dk単位の酸素透過値を示すコンタクトレンズ。
【請求項62】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項63】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項64】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項65】
該疎水性芳香族単量体が、スチレン含有単量体である請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項66】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項67】
該疎水性脂肪族単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項68】
該ポリフッ素化単量体が、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項61記載のコンタクトレンズ。
【請求項69】
(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドであるポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(d)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである陽イオン単量体、スチレン含有単量体である疎水性芳香族単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである疎水性脂肪族単量体、または1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるポリフッ素化単量体、またはこれらの単量体種の2、3もしくは4種類の混合物と、(e)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.6:1〜約2:1の重量比を有し、少なくとも20重量%の平衡水和時含水量、および約55〜約150Dk単位の酸素透過値を示すコンタクトレンズ。
【請求項70】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、ポリ(ジメチルシロキシ)部分を有し、約1,000〜約5,000の分子量を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項69記載のコンタクトレンズ。
【請求項71】
非イオン親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項69記載のコンタクトレンズ。
【請求項72】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、約1〜約6重量%で存在し、(c)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(d)該陽イオン単量体、疎水性芳香族単量体、疎水性脂肪族単量体もしくはポリフッ素化単量体、またはこれらの単量体種の2、3もしくは4種類の混合物が、約35重量%以下で存在する請求項69記載のコンタクトレンズ。
【請求項73】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体もしくは疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(d)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.3:1〜約2:1の重量比、および(c)の単一単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有する、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示すコンタクトレンズ。
【請求項74】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの基を有する請求項73記載のコンタクトレンズ。
【請求項75】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項73記載のコンタクトレンズ。
【請求項76】
該ポリフッ素化単量体が、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項73記載のコンタクトレンズ。
【請求項77】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項73記載のコンタクトレンズ。
【請求項78】
該疎水性非芳香族単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項73記載のコンタクトレンズ。
【請求項79】
(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるポリフッ素化単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである陽イオン単量体、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(d)架橋剤とを含む単量体混合物の共重合生成物であるコンタクトレンズであって、該単量体混合物が、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約0.6:1〜約2:1の重量比、および(c)の単一単量体または単量体混合物に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の約1.5:1〜約20:1の重量比を有する、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示すコンタクトレンズ。
【請求項80】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該フッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項79記載のコンタクトレンズ。
【請求項81】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(c)該ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体もしくは疎水性非芳香族単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物が、約35重量%以下で存在する請求項79記載のコンタクトレンズ。
【請求項82】
(a)非イオン親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)陽イオン単量体と、(d)ポリフッ素化単量体、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体、疎水性単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合体を含む長期装用コンタクトレンズであって、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.3:1〜約2:1である、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示し、ムチンおよびリゾチームが7.2〜7.6のpH値の水性緩衝液中に0.46g/Lの初期濃度で別個に存在するときに、該タンパク質を、in vitroで、約1:2〜約2:1の重量比、および約0.75〜約2.5μg/cm2の量で別個に結合するコンタクトレンズ。
【請求項83】
該非イオン親水性単量体が、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの基を有する請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項84】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項85】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項86】
該ポリフッ素化単量体が、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項87】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項88】
該疎水性単量体が、スチレン含有単量体である請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項89】
該疎水性単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項82記載のコンタクトレンズ。
【請求項90】
(a)メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの基を含む非イオン親水性単量体と、(b)アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるトリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである陽イオン単量体と、(d)1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子、および4〜約20個の炭素原子を有し、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルであるポリフッ素化単量体、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドであるポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体、スチレン含有単量体またはアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである疎水性単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物と、(e)架橋剤との共重合体を含む長期装用コンタクトレンズであって、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.6:1〜約2:1である、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、約35〜約55重量%の平衡水和時含水量を示し、ムチンおよびリゾチームが7.2〜7.6のpH値の水性緩衝液中に0.46g/Lの初期濃度で別個に存在するときに、該タンパク質を、in vitroで、約1:2〜約2:1の重量比、および約0.75〜約2.5μg/cm2の量で別個に結合するコンタクトレンズ。
【請求項91】
1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有する該ポリフッ素化単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルである請求項90記載のコンタクトレンズ。
【請求項92】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、ポリ(ジメチルシロキシ)部分を有し、約1,000〜約5,000の分子量を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項90記載のコンタクトレンズ。
【請求項93】
(a)該非イオン親水性単量体が、約30〜約60重量%で存在し、(b)該トリス(シロキシ)シリル基含有単量体が、約30〜約65重量%で存在し、(c)該陽イオン単量体が、約20〜約25重量%で存在し、(d)ポリフッ素化単量体、疎水性非芳香族単量体、スチレン含有単量体、ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体、またはこれらの単量体種の2もしくは3種類の混合物が、約35重量%以下である請求項90記載のコンタクトレンズ。
【請求項94】
眼用コンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)充填かつ閉鎖された注型カップ内で、約110〜約140℃の温度で約10〜約15分間、(a)非置換、モノ−またはジ−置換C1〜C4アルキル−アクリルアミドもしくは−メタクリルアミドである親水性単量体と、(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体と、(c)ポリフッ素化単量体、陽イオン単量体、疎水性非芳香族単量体、疎水性芳香族単量体もしくはポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体、またはこれらの単量体種の2、3、4もしくは5種類の混合物と、(d)架橋剤とを含み、親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が約0.3:1〜約2:1である単量体混合物を熱的に共重合させる工程と、
(b)重合が完了したならば、該注型カップを冷却し、開放し、レンズを取り出し、用いるためにレンズを水和させて、該レンズが、約45〜約150Dk単位の酸素透過率、および水和の際に約20〜約55重量%の水和含水量を示す工程と
を含む方法。
【請求項95】
該トリス(トリメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項94記載の方法。
【請求項96】
該ポリフッ素化単量体が、1単量体分子あたり約3〜約20個のフッ素原子を有し、かつアクリル酸またはメタクリル酸のアミドもしくはエステルである請求項94記載の方法。
【請求項97】
該陽イオン単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである請求項94記載の方法。
【請求項98】
該疎水性非芳香族単量体が、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C10脂肪族エステルである請求項94記載の方法。
【請求項99】
該芳香族疎水性単量体が、スチレン含有単量体である請求項94記載の方法。
【請求項100】
該ポリ(ジメチルシロキシ)シリル基含有単量体が、ポリ(ジメチルシロキシ)部分を有し、約1,000〜約5,000の分子量を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルもしくはアミドである請求項94記載の方法。
【請求項101】
該温度が、約120〜約135℃である請求項94記載の方法。
【請求項102】
親水性単量体に対するトリス(シロキシ)シリル基含有単量体の重量比が、約0.7:1〜約1.4:1である請求項94記載の方法。
【請求項103】
(a)メタクリルアミドまたはアクリルアミドである非イオン親水性単量体、および(b)トリス(シロキシ)シリル基含有単量体を含む単量体混合物の共重合によって眼用レンズを形成する方法において、該単量体と、該単量体混合物中で混和可能であり、かつ該共重合させたレンズから容易に除去可能である非共重合性溶媒とを含む組成物から、該レンズを湿式注型することを含む改良。
【請求項104】
該単量体混合物が、(c)ポリ(ジメチルシロキシ)シリル単量体も含む請求項103記載の方法。
【請求項105】
該溶媒が、C1〜C4一価アルコールである請求項103記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−8279(P2011−8279A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−181286(P2010−181286)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2001−544077(P2001−544077)の分割
【原出願日】平成12年12月7日(2000.12.7)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】