説明

コンテナ化画像マーキングエンジンによる並列印刷アーキテクチャ

【課題】複数個の画像マーキングエンジン(IME)を有し生産性及び速度が高く低価格且つ簡素なシステムを実現する。
【解決手段】少なくとも2個のIME100、150、200、250、300及び350並びに少なくとも1個の媒体フィーダモジュール22及び24を有する集積型印刷システム10に、少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路として横方向先送り用の転送ハイウェイ62及び66を設ける。転送ハイウェイ62及び66は、媒体フィーダモジュール22又は24からIME100、150、200、250、300又は350へと媒体を横方向転送するための転送路であり、IME100、150、200、250、300及び350と媒体フィーダモジュール22及び24との間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数個の画像マーキングエンジン(image marking engine:IME)乃至複数個の画像記録装置並びに媒体フィーダモジュールを用い、多機能で且つ拡張性の高い印刷システムを提供する技術に関する。この技術は、特に、互いに同一の又は相異なる印刷機能乃至能力を有する何個かのIMEを含む印刷モジュールを集積乃至統合したシステムとの関連において用い得る。そこで、以下の説明では当該集積型乃至統合型印刷システム(integrated printing system)における用例を説明するが、本発明はその他の類似した用途に対しても好適に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、シート上に画像を記録するための装置として様々な装置が実用化されるに至っている。その例としては、原本の画像が感光媒体等を経てシート上に記録されるタイプのコピー機や、電気信号に変換された画像情報がインパクトシステム(タイプシステム、ワイヤドットシステム等)や非インパクトシステム(感熱システム、インクジェットシステム、レーザビームシステム等)によりシート上に画像として再現されるタイプのプリンタがある。
【0003】
電子複製印刷システム用のIMEとしては、しばしば、電子写真印刷マシンが用いられる。この種のマシンにおいては、まず、光導電部材例えば光導電ベルトの表面をある電位まで実質均一に荷電させることによって、当該光導電部材の表面を感受性とし、続いて、光導電部材ベルト上の荷電されている部分を光照射に対し部位選択的に露出し以てその部位の電荷を失わせることによって、複製すべき原文書に含まれる情報エリアに対応した静電潜像を光導電部材上に記録し、更に、光導電部材上の静電潜像を例えばトナーにより現像して画像形成先のシート上に転写し、そして、そのシートを加熱することによってトナー画像をそのシート上に永久的に固着させ画像を形成する。
【0004】
多色電子写真印刷のプロセスは先行開発済の白黒電子写真印刷のプロセスと本質的に同様のものであるが、白黒電子写真印刷プロセスでは単一の静電潜像が光導電部材表面に形成されるのに対し、多色電子写真印刷プロセスではそれぞれ異なる色に対応する一連の静電潜像が光導電部材表面に記録される、という相違点がある。多色電子写真印刷プロセスにおいては、各色静電潜像を補色トナーにより現像してトナー画像を形成するという処理を色の異なる画像毎に(従って各補色トナー毎に)合計複数サイクルに亘り繰り返し実行し、また先に転写済のトナー画像に対しこれから転写するトナー画像が重なり合うようまたそれらの位置が合うよう各色トナー画像を画像形成先のシート上に転写し、それによってそのシート上に形成された多層トナー画像をそのシート上に永久的に固着させることによって多色コピーを得るようにしている。なお、現像素材は液状素材でもよいし粉体状素材でもよい。
【0005】
白黒電子写真印刷プロセスにおいては、画像形成先のシートが取込トレイから取り込まれて電子写真印刷マシン内経路に進み、この電子写真印刷マシン内経路にてトナー画像がそのシート上に転写され、更にそのシートは吐出トレイへと進み、吐出トレイからマシンオペレータの手に渡る。特に、多色電子写真印刷プロセスにおいては、取込トレイから取り込まれたシートが進む電子写真印刷マシン内経路は電子写真印刷マシン内循環経路であり、この電子写真印刷マシン内循環経路では色の異なる複数個のトナー画像がシート上に転写される(しかる後そのシートは吐出トレイに進みマシンオペレータの手に渡る)。電子写真印刷マシン内循環経路を使用し色の異なる複数個のトナー画像をシート上に転写できるようにするため、多色電子写真印刷プロセスを実行するマシンには、例えば、正確なマルチパス色位置合わせが実現されるようシートを受け取ってその一端を把持しシートを循環経路内に転送して循環経路内を移動させるシートグリッパが、シート用の転送路に組み込まれる。このようにすれば、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのトナー画像を、互いに位置ずれしないようシート上に転写できる。
【0006】
加えて、シートの片面にとどまらず両面に画像を記録することも、広く行われている。資源や文書保存スペースを節約するという観点からすれば、シート両面に画像を複写乃至印刷して使用シート枚数を削減することは、望ましいことである。複数枚のシートに両面複写乃至印刷可能なシステムとしては、よく知られているように、各シートを2回フィードする(送り込む)システムが既に実用化されている。この種のシステムにおいては、送り込まれてくるシートそれぞれの片面に画像を記録し、片面記録が済んだシートを一時蓄積し、全てのシートについて片面記録が完了したら蓄積されているシートを再び送り込み、各シートの他面に画像を記録する。このシステムによれば、大量のシートの両面に同一内容の画像を記録する作業を、効率的にこなすことができる。しかしながら、大量のシートの両面に互いに異なる内容の画像を記録する作業をこのシステムに行わせると、非常に不効率的なことになる。例えば、1頁目、2頁目、3頁目、4頁目、…という順序で複製乃至印刷を行う場合、まずは、送り込まれてくるシートそれぞれの片面に1頁目、3頁目、5頁目、…という順番で奇数番目の頁を記録し、次いで、それらシートを再び送り込んで各シートの他面に2頁目、4頁目、6頁目、…という順番で偶数番目の頁を記録する、といった手順を踏まねばならない。このとき、もし、2回目のフィード即ち偶数頁印刷のためのシート送り込み中にジャミング(シート複数枚の同時噛み込み)が生じると、各シートの表側の頁と裏側の頁との対応関係がぐちゃぐちゃになり、結局は、記録作業を最初からやり直さねばならなくなる。これを避けるには、1枚のシートの表側の面に表側の頁がまた裏側の面に裏側の頁が必ず記録されるようシート毎に記録を行えばよいが、そのためには、シート毎にシートの再フィード作業(例えば片面印刷済シート1枚ずつの手差し)を行わねばならない。これは、所要時間の増大と効率の低下とを招く。更に、従来技術に係る方法においては、シート搬送ルートが複雑であり不可避的にシート反転部が含まれていたため、シート搬送上の信頼性が非常に低かった。
【0007】
また、1枚のシートの同一面に二種類の情報を重ね合わせて記録する場合には、更なる条件を満足させねばならない。特に、近年においては各分野において色の使い方が進歩しており、例えば多色印刷と黒色印刷とを1枚のシートの同一面に混在させたいといったニーズが増大している。これを簡単なやり方で達成するには、例えば、まずシステムにより黒色記録を行わせ、その後このシステム内の現像装置を黒色用のものから多色用のものへと交換し、黒色記録済の面への多色記録をそのシステムにより行わせる、というやり方があろう。しかしながら、このやり方では時間も労力もかさんでしまう。
【0008】
1枚のシートの同一面に二種類の情報を重ね合わせて記録する場合即ちマルチパス印刷を実行する場合には、画像位置の正確さに十分な注意を払わねばならない。さもないと、画像同士の位置関係がずれたり所定の画像記録枠に対して画像の位置がずれたりして、最終的に得られるコピーが非常に見苦しいものになり得る。
【0009】
近年においては、こういった画像記録装置に対してより高い生産性とより高い速度とが求められるに至っている。しかしながら、シート等の媒体をフィードする速度や画像を形成乃至処理する速度についてはシステム毎に限界があり、これらの速度を向上させる試みは、何れも、数多くの問題を生じさせ、或いは装置を肥大化乃至膨満化させるに至っている。高速ではあるが肥大化乃至膨満化してしまったプリンタは、通常、非常に高価格でありまた非常に“金食い虫”であって、その装置構成も潜在的に複雑な(やっかいな)ものである。超大量印刷顧客は数あるが、こういった浪費ややっかいさを是認乃至受容できる顧客は、比率的に見てわずかしか存在していない。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4591884号明細書
【特許文献2】米国特許第5208640号明細書
【特許文献3】米国特許第5041866号明細書
【発明の開示】
【0011】
本発明の一実施形態に係る新規な改良された集積型印刷システムは、少なくとも2個の画像マーキングエンジン(IME)、少なくとも1個の媒体フィーダモジュール及び少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路(forward generally horizontal interface media transport)を備える。この横方向先送り用媒体連通転送路は、上記少なくとも1個の媒体フィーダモジュールから上記少なくとも2個のIMEのうち少なくとも1個へと、媒体を横方法転送するための転送路であり、当該少なくとも2個のIMEと当該少なくとも1個の媒体フィーダモジュールとの間に設けられている。
【0012】
本発明の他の実施形態に係る集積型印刷システムは、少なくとも2個のIME、取込モジュール、吐出モジュール、媒体フィーダモジュール、少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路及び少なくとも1個の横方向回送用媒体連通転送路(return generally horizontal interface media transport)を備える。横方向先送り用媒体連通転送路は上記取込モジュールから上記少なくとも2個のIMEへと媒体を横方向循環させ、横方向回送用媒体連通転送路は上記吐出モジュールから上記媒体フィーダモジュールへと媒体を横方向循環させる。
【0013】
本発明の更に他の実施形態に係る方法は、複数個のIMEにより媒体に印刷する方法であって、何れかの列内にIMEを少なくとも2個縦に並べるステップと、何れかの行内にIMEを少なくとも2個横に並べるステップと、少なくとも1個の媒体フィーダモジュールを準備するステップと、少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路及び少なくとも1個の横方向回送用媒体連通転送路を横方向に通し、且つ上記縦又は横に並んだIMEへと媒体を頒布する取込モジュールへと、上記少なくとも1個の媒体フィーダモジュールから媒体を循環させるステップと、を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る印刷システム、印刷装置及び方法に関し実施形態を示しつつ説明を行うが、これは本発明を当該実施形態に限定する意図ではない。実施形態を示す意図は、むしろ、その全ての代替物、変形物及び等価物が別紙特許請求の範囲により定義されている発明乃至実施形態の本質及び技術的範囲内に包含されることを明らかにすることにある。
【0015】
以下に述べる実施形態は、複数個の画像マーキングエンジン(IME)及び媒体フィーダモジュールを備えている。IMEとしては、インクジェットプリンタ型IME、電子写真プリンタ型IME、感熱紙を用いるサーマルヘッドプリンタ型IME等、媒体上に画像をマーキングできる各種の装置を用いることができる。IMEは、また、黒色単色プリンタ即ちモノクロプリンタであってもよいし、多色プリンタであってもよい。図1には黒色プリンタ及び多色プリンタを備える集積型印刷システムの例を示してあるが、本発明乃至その実施形態の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて、図示したものとは異なる種類乃至量のIMEを用いてもよいし図示したものとは異なるやり方で組み合わせてもよい。理解されるべきことに、各IMEは、例えば、入出力インタフェース、メモリ、マーキングカートリッジプラットフォーム、マーキングドライバ、ファンクションスイッチ、コントローラ、自己診断ユニット、それらの間を接続するデータバスや制御バス等を、備えている。各IMEの処理速度面での能力は様々に異なっていてもよい。媒体フィーダモジュールは、例えば、後に述べるように、集積型印刷システムから媒体を選択的に廃棄するためのガーベージカン乃至媒体廃棄エリア(媒体廃棄経路)を有している。
【0016】
各IMEは、信号線乃至リンクを介しデータ源に接続することができる。データ源はマーキング対象データを出力し、このマーキング対象データは媒体上への画像の形成に使用される。データ源としては、一般に、各種の電子画像データ発生装置・格納装置・送信装置・搬送媒体の何れをも用いることができる。例えば、スキャナ、ディジタルコピア、ファクシミリ装置といった電子画像データ発生装置や、ネットワークやインターネット(特にワールドワイドウェブ)に接続されたクライアントやサーバ等の電子画像データ格納・送信装置や、磁気記録ディスク、CD−ROM等マーキング対象データを保持し得る電子画像データ搬送媒体を含め、スキャン乃至合成したデータを各IMEに提供できる限り、現在知られており又は今後開発されるどのようなデータ源をも用い得る。
【0017】
各IMEとデータ源とを接続するためのリンクは、現在知られており又は今後開発されるどのような装置乃至システムであってもよい。例えば、ケーブルによる直接接続、公衆電話交換網を介した接続、無線通信回線を介した接続、WAN(wide area network)やLAN(local area network)を介した接続、イントラネットを介した接続、インターネットを介した接続、その他分散処理ネットワーク乃至システムを介した接続等により、このリンクを実現できる。即ち、一般に、リンクは、各IMEとデータ源との接続に使用できる限り、現在知られており又は今後開発されるどのような接続システム乃至構造物であってもよい。更に、認められるべきことに、データ源をIMEに直付けし又は組み込んでもよい。
【0018】
後に図1を参照して説明するように、図示した実施形態においては複数個のIMEが互いにタイトに連結されており(即ち集積乃至統合されており)、それによって、高速印刷や低ランニングコストを、超短時間処理及び高いシステム冗長性と共に達成している。IMEに対する媒体の供給は、例えば、2個の集積型フィーダモジュールによって行われている。
【0019】
図1に示す集積型印刷システム10は、複数個のIME及び媒体フィーダモジュールを保持できる縦方向フレーム状構造物を用いたモジュール化アーキテクチャを有しており、また媒体連通転送路の一部として横方向媒体経路乃至転送ハイウェイを形成している(即ちモジュール化されたIME及び媒体フィーダが転送ハイウェイの構成部分をも収容してコンテナ化されている)。モジュール化アーキテクチャは、或いは、各IME、媒体フィーダモジュール、転送ハイウェイ又はそれらの任意の組合せを個々別々に囲むフレーム状構造物を有するアーキテクチャとすることもできる。何れにせよ、フレーム状構造物は、IME及び媒体フィーダモジュールを横方向にも縦方向にもドッキングさせ得るよう構成され、その横方向壁及び縦方向壁は、他のIME及び媒体フィーダモジュールに害を与えにくい構成とされている。更に、IME及び媒体フィーダモジュールは、他のモジュール例えばIMEと何重何連にもカスケード接続できるよう、ひいてはより高速で処理可能なシステムを形成できるよう、構成されている。更には、IMEや媒体フィーダモジュールは、修理等のため集積型印刷システム10から切り離すことができるよう構成されており、更には、他のIMEや媒体フィーダモジュールが集積型印刷システム10システムから切り離されている間や、他のIMEや媒体フィーダモジュールを集積型印刷システム10システムから切り離す作業中も、集積型印刷システム10の残りの部分で処理を実行し続け得るよう、構成されている。
【0020】
より具体的には、図1に示す集積型印刷システム10は、それぞれ縦に並んだ2個のIMEから構成されている3個の画像処理タワー乃至IMEタワー14、16及び18と、縦に並んだ2個の媒体フィーダモジュール22及び24から構成されている紙/媒体フィーディングタワー20とを、備えている。IMEタワー14を構成しているIMEは100及び250、IMEタワー16を構成しているIMEは150及び300、IMEタワー18を構成しているIMEは200及び350であり、IMEの合計個数は6個である。また、集積型印刷システム10には図示しない仕上げタワーを設けることができ、この仕上げタワーには例えば2個の紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部51及び52を組み込むことができる。集積型印刷システム10は、更に、集積型印刷システム10内で媒体を循環できまた集積型印刷システム10から媒体を吐出できるよう、媒体フィーダ乃至取込エンドキャップモジュール(以下「取込モジュール」)40及びフィニッシャ乃至吐出エンドキャップモジュール(以下「吐出モジュール」)50を備えており、これら取込モジュール40と吐出モジュール50との間には、上述の6個のIME100、150、200、250、300及び350並びに2個の媒体フィーダモジュール22及び24が組み込まれ集積化されている。認められるべきことに、この図では2個の単色(黒色)IME100及び250と4個の多色IME150、200、300及び350を組み合わせているが、単色IME、多色IME及び媒体フィーダモジュールの個数や組合せ方がこの図とは違う様々な形態にて、本発明を実施することもできる。
【0021】
動作時には、フィーディングタワー20内の媒体吐出モジュール22又は24から出た媒体が、取込モジュール40内に入り、更に一対の横方向先送り用の転送ハイウェイ62及び66のうち少なくとも一方により横方向循環されて、IME内に入っていく。
【0022】
上述したモジュール化アーキテクチャを用いれば、同一システム内にある複数個のIMEを使用しシングルパス複製(single pass duplexing)乃至シングルパス複製印刷(single pass duplex printing)やマルチパス印刷(multi-pass printing)乃至マルチパス処理(multi-pass processing)を実行することができる。ここでいうシングルパス複製とは、あるIMEによって1枚のシートの片面に印刷を行い次にこれとは別のIMEによってそのシートの他面に印刷を行う、というやり方であり、シングルパス複製であれば、あるIMEにて片面印刷を終えたシートをそのIMEへと逆循環させる必要がない。また、マルチパス印刷とは、あるIMEによって1枚のシートの片面に印刷を行いこれとは別のIMEによってそのシートの同じ面に印刷を行う、というやり方である。無論、シングルパス複製とマルチパス印刷とを組み合わせた複雑な印刷も実行できる。
【0023】
図1に示した集積型印刷システム10にてシングルパス複製を行うには、6個のIMEのうち何れか2個を対で用いればよい。例えば、IME100と、このIME100の横に並んでおりIME100より下流側にあるIME150を、用いればよい。但し、後に述べるように、シングルパス複製に用いるIME対は、互いに縦に並んでいるIMEの対でもよいし、互いに横に並んでいるIMEの対でもよいし、互いに隣接していないIMEの対でもよいし、種類の違うIMEの対でもよいし、種類が同じIMEの対でもよい。
【0024】
また、横方向先送り用の転送ハイウェイ62及び66を含め、IME内に入りIME内から出る経路乃至ルートには他の経路乃至ルートと交わる箇所や他の経路乃至ルートへと分岐する箇所がある。図上は省略しているが、認められるべきことに、そういった箇所には、経路を切り替えるためのスイッチ乃至分岐部材が配置され或いは作り込まれている。この種のスイッチ乃至分岐部材を設けることにより、例えば、採ろうとしているルートがある経路を含んでいる場合はその経路に沿って媒体例えばシートが移動し、また別の経路を含んでいる場合は当該別の経路に沿って媒体が移動するよう、媒体を送り込む先の経路を切り替えることができる。このスイッチ乃至分岐部材は、例えば、少なくとも二種類の接続状態を採り得る電気的に制御可能なスイッチ乃至分岐部材として、実現できる。信頼性及び生産性が高いシステム動作を実現するには、これらスイッチ乃至分岐部材による接続状態の制御を、ジョブのプラニングや媒体が辿るルートの制御等と共に、中央制御システムにより行わせればよい。中央制御システムは、何個かのモジュールを用いてこれらの制御等を実行することにより、ストリーム化されている一連のジョブを実行する。
【0025】
また、図1においては、相独立した4個の横方向媒体経路乃至転送ハイウェイ60、62、64及び66が、それらにおける媒体の移動方向を示す矢印と共に示されている。媒体は、図中、一番上にある横方向回送用の転送ハイウェイ60においては右側(吐出モジュール50側)から左側(取込モジュール40又は媒体フィーダモジュール22、24側)へと移動し、真ん中にある横方向先送り用の転送ハイウェイ62においては左側から右側へと移動し、真ん中にある横方向回送用の転送ハイウェイ64においては右側から左側へと移動し、一番下にある横方向先送り用の転送ハイウェイ66においては左側から右側へと移動する。フィーディングタワー20の左側にある取込モジュール40は、媒体例えばシートを、横方向回送用の転送ハイウェイ60又は64を介してIME100、150、200、250、300、350や媒体フィーダモジュール22、24から受け取り、受け取った媒体を、横方向先送り用の転送ハイウェイ62又は66へと送給する。3個のIMEタワーのうち最終段のIMEタワー18の右側にある吐出モジュール50は、媒体を横方向先送り用の転送ハイウェイ62又は66から受け取り、受け取った媒体を、順に、仕上げ源たる紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部51又は52に送給するか、或いは横方向回送用の転送ハイウェイ60又は64を通して循環させる。転送ハイウェイ60、62、64及び66(並びにそれらの構成部分やそれらに連結接続している若しくはそれらとの連結接続用の転送経路)における媒体の移動方向は、原則的には図中に示した通りであるが、認められるべきことに、媒体を指定してその転送経路を変更できるよう、転送ハイウェイ等における媒体の移動方向を一時的に乃至間欠的に反転させることが可能である。また、認められるべきことに、システム全体の構成を鏡像変換することもできるしそうした場合は媒体の流れも逆向きになる。
【0026】
図1に示した集積型印刷システム10における肝要な能力乃至性能の一つは、何れか1個のIMEにより媒体にマーキングした後に他の1個又は複数個のIMEにより媒体にマーキングすることができ、従って例えばシングルパス複製やマルチパス印刷等を実行できることである。この能力乃至性能を実現する上で役立っている構成要素としては、横方向回送用の転送ハイウェイ60及び64、反転器迂回路(inverter bypass)、取込モジュール40、吐出モジュール50等を示すことができる。横方向回送用の転送ハイウェイ60及び64は、吐出モジュール50から取込モジュール40へと延び両者の間を連結接続している。これによって、例えば、媒体を取込モジュール40から一番下の転送ハイウェイ66を介し右下のIME200に振り分け更に吐出モジュール50へと送り、更に吐出モジュール50の頂部から一番上の転送ハイウェイ60を介して取込モジュール40へと戻し、そして取込モジュール40から真ん中の転送ハイウェイ62を介して左上のIME250に送る、といった動作が可能になる。また、転送ハイウェイ60内又は転送ハイウェイ64内にある媒体は、縦方向に延びる媒体経路乃至転送ハイウェイ61又は65に(再)進入するのに先立ち、集積型印刷システム10にて選択した媒体を廃棄するための媒体廃棄経路23又は25を通して廃棄することができる。廃棄された媒体はオペレータの都合のよいときに集積型印刷システム10から取り出せばよく、廃棄媒体取り出しのために実行中のジョブを中断乃至停止する必要はない。
【0027】
6個設けられているIMEのうちIME100を例とすると、媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME100にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40は、転送ハイウェイ60からの媒体及び転送ハイウェイ64からの媒体を、縦横に並んだIME100、150、200、250、300及び350に頒布するためのモジュールであり、その内部には、転送ハイウェイ60から転送ハイウェイ66に向けて縦方向に、一連の転送ハイウェイ61、63及び65が設けられている。IME100に媒体を送給する際には、取込モジュール40は、入ってきた媒体を一番下の横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込む。即ち、転送ハイウェイ60から入ってきた媒体は転送ハイウェイ61、63及び65を通って、また転送ハイウェイ64から入ってきた媒体は転送ハイウェイ65を通って、転送ハイウェイ66に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60又は64を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込む(或いは循環させる)こともできる。また、IME100を含め各IMEは、それぞれ、横方向先送り用又は横方向回送用の転送ハイウェイに連結接続するための媒体転送路を有している。例えば、IME100にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ66上にある媒体を転送ハイウェイ出口102から一方のステージング部即ち取込側反転器108に取り込み、取込側反転器108にて反転した媒体を処理前経路106を介して黒色記録部75内の処理経路110に送り込み、処理経路110に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い黒色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点112にて処理経路110から送り出し、そしてIME100から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を送り出す。処理終了点112から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路113を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器114に送り込み、吐出側反転器114にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路115を通してIME100から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器114を迂回する反転器迂回路116を通して媒体をIME100から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ66に入れる、という経路である。何れにせよ、IME100を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ66を通って転送ハイウェイ67に入る。吐出モジュール50内には、転送ハイウェイ67、68及び69が転送ハイウェイ66から転送ハイウェイ60へと縦方向に延びている。転送ハイウェイ67に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ64に送られるか、紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部51へと送られるか、転送ハイウェイ68及び69を通って循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは転送ハイウェイ68及び69を通って紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。これら、横方向媒体連通転送路として設けられている横方向媒体経路乃至転送ハイウェイ60、62、64及び66並びに縦方向媒体連通転送路として設けられている縦方向媒体経路乃至転送ハイウェイ61、63、65、67、68及び69を含む経路乃至経路部分の組合せ次第で、媒体を任意の経路地点から他の任意の経路地点へ例えばあるIMEから他のあらゆるIMEへと運ぶことができる。
【0028】
IME150を例とすると媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME150にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40に入った媒体は、一番下の横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60又は64を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込む(或いは循環させる)こともできる。IME150にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ66上にある媒体を転送ハイウェイ出口152から一方のステージング部即ち取込側反転器158に取り込み、取込側反転器158にて反転した媒体を処理前経路156を介して多色記録部30内の処理経路160に送り込み、処理経路160に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い多色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点162にて処理経路160から送り出し、そしてIME150から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を送り出す。処理終了点162から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路163を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器164に送り込み、吐出側反転器164にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路165を通してIME150から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器164を迂回する反転器迂回路166を通して媒体をIME150から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ66に入れる、という経路である。何れにせよ、IME150を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ66を通って転送ハイウェイ67に入る。転送ハイウェイ67に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ64に送られるか、紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部51へと送られるか、転送ハイウェイ68及び69を通って循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは転送ハイウェイ68及び69を通って紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。
【0029】
IME200を例とすると媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME200にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40に入った媒体は、一番下の横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60又は64を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ66に送り込む(或いは循環させる)こともできる。IME200にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ66上にある媒体を転送ハイウェイ出口202から一方のステージング部即ち取込側反転器208に取り込み、取込側反転器208にて反転した媒体を処理前経路206を介して多色記録部30内の処理経路210に送り込み、処理経路210に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い多色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点212にて処理経路210から送り出し、そしてIME200から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を送り出す。処理終了点212から横方向先送り用の転送ハイウェイ66へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路213を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器214に送り込み、吐出側反転器214にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路215を通してIME200から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器214を迂回する反転器迂回路216を通して媒体をIME200から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ66に入れる、という経路である。何れにせよ、IME200を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ66を通って転送ハイウェイ67に入る。転送ハイウェイ67に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ64に送られるか、紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部51へと送られるか、転送ハイウェイ68及び69を通って循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは転送ハイウェイ68及び69を通って紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。
【0030】
IME250を例とすると媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME250にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40に入った媒体は、転送ハイウェイ61を通って真ん中の横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込む(或いは循環させる)こともできる。IME250にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ62上にある媒体を転送ハイウェイ出口252から一方のステージング部即ち取込側反転器258に取り込み、取込側反転器258にて反転した媒体を処理前経路256を介して黒色記録部75内の処理経路260に送り込み、処理経路260に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い黒色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点262にて処理経路260から送り出し、そしてIME250から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を送り出す。処理終了点262から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路263を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器264に送り込み、吐出側反転器264にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路265を通してIME250から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器264を迂回する反転器迂回路266を通して媒体をIME250から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ62に入れる、という経路である。何れにせよ、IME250を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ62を通って転送ハイウェイ69に入る。転送ハイウェイ69に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。
【0031】
IME300を例とすると媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME300にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40に入った媒体は真ん中の横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込む(或いは循環させる)こともできる。IME300にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ62上にある媒体を転送ハイウェイ出口302から一方のステージング部即ち取込側反転器308に取り込み、取込側反転器308にて反転した媒体を処理前経路306を介して多色記録部30内の処理経路310に送り込み、処理経路310に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い多色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点312にて処理経路310から送り出し、そしてIME300から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を送り出す。処理終了点312から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路313を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器314に送り込み、吐出側反転器314にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路315を通してIME300から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器314を迂回する反転器迂回路316を通して媒体をIME300から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ62に入れる、という経路である。何れにせよ、IME300を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ62を通って転送ハイウェイ69に入る。転送ハイウェイ69に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。
【0032】
IME350を例とすると媒体の流れ方は次の通りとなる。まずは、IME350にてマーキングを施すべき媒体を、フィーディングタワー20の媒体フィーダモジュール22又は24内のスタック80や、IME100、150、200、250、300又は350から送り出し、転送ハイウェイ60又は64等を介して取込モジュール40に入れる。取込モジュール40に入った媒体は真ん中の横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込まれる。但し、媒体を横方向回送用の転送ハイウェイ60を通して横方向先送り用の転送ハイウェイ62に送り込む(或いは循環させる)こともできる。IME350にて媒体にマーキングを施す際には、横方向先送り用の転送ハイウェイ62上にある媒体を転送ハイウェイ出口352から一方のステージング部即ち取込側反転器358に取り込み、取込側反転器358にて反転した媒体を処理前経路356を介して多色記録部30内の処理経路360に送り込み、処理経路360に送り込まれた媒体に対し且つ供給される画像データに従い多色で画像の記録(マーキング)を行い、マーキングが済んだ媒体を処理終了点362にて処理経路360から送り出し、そしてIME350から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を送り出す。処理終了点352から横方向先送り用の転送ハイウェイ62へと媒体を届ける際には、次の二通りのルートのうち何れかを採り得る。第1の経路は、媒体を反転器進入経路363を通してもう一つのステージング部即ち吐出側反転器364に送り込み、吐出側反転器364にて媒体を反転させた上で、更に反転器退出経路365を通してIME350から出す、という経路である。第2の経路は、取込側反転器364を迂回する反転器迂回路366を通して媒体をIME350から出し、直に横方向先送り用の転送ハイウェイ62に入れる、という経路である。何れにせよ、IME350を出た媒体は、横方向先送り用の転送ハイウェイ62を通って転送ハイウェイ69に入る。転送ハイウェイ69に入った媒体は、吐出モジュール50により、循環のため横方向回送用の転送ハイウェイ60に送られるか、或いは紙/媒体仕上げ乃至スタッキング部52へと送られる。
【0033】
また、図1に示した集積型印刷システム10におけるIME及び媒体フィーダモジュールの相対的位置関係や個数は一例に過ぎない。IME及び媒体フィーダモジュールの最適な相対的位置関係や最適な個数は、黒色単色印刷頻度と多色印刷頻度との差といった顧客利用状況に関わる統計の解析結果や、システムの処理容量に対する要求事項等に、依存している。
【0034】
図1に示した例においては、各IMEは一対の反転器サブシステム(IME100でいえば取込側反転器108及び吐出側反転器114)を備えている。これらの反転器は、媒体をIME内に取り込みIMEから吐出する機能、特にシングルパス複製時等に媒体例えばシートを反転させる(裏返す)機能を、有している。認められるべきことに、コンテナ化されているモジュール内の媒体経路には、取込側反転器例えば108を迂回するための迂回路(図示せず)や、吐出側反転器例えば114を迂回するための迂回路例えば116を、何れか一方又は双方共、設けることができる。従って、例えば、あるIMEから他のIMEへと媒体を転送する経路上に吐出側反転器が1個あり取込側反転器が1個あるならば、それらのうち1個のみを迂回させることによってシングルパス複製を実行でき、2個とも迂回させるか2個とも迂回させないで通すことによってマルチパス印刷を実行できる。より一般的に表現すれば、2個又はそれ以上の個数のIMEによりシングルパス複製を行う際には、片面に印刷するIMEと他面に印刷するIMEとの間で奇数個の反転器に媒体を通すようにすればよいし、マルチパス印刷を行う際には、使用する任意のIMEとその次に使用する任意のIMEとの間で何れの反転器にも媒体を通さないか偶数個の反転器に通すようにすればよい。
【0035】
集積型印刷システム10は、上述した通りモジュール化アーキテクチャを有している。即ち、それぞれ媒体取込用及び媒体吐出用の経路部分を含む少なくとも2個のIMEを支持フレーム内に2個ずつ積み重ねることによって、IMEを2個含む基本単位たるツーアップモジュールを形成し、更にツーアップモジュール(群)に少なくとも2個の媒体フィーダモジュールを付加した構成を有している。このモジュール化アーキテクチャに対しては、更なるIME及び媒体フィーダモジュールを組み合わせることができる。付加したIME及び媒体フィーダモジュールには、そのIME乃至媒体フィーダモジュールに対して又はそのIME乃至媒体フィーダモジュールから媒体を転送できるよう、横方向転送ハイウェイを添わせるか当該横方向転送ハイウェイを連結接続すればよい。また、集積型印刷システム10においては、この付加されたIMEの上方、間又は下方に、更なる横方向転送ハイウェイを設けることができる。また、吐出モジュールにおいては、1個又は複数個の転送ハイウェイからの媒体例えばシートをまとめることができる。機能を付加すれば、吐出モジュールにて媒体例えばシートを反転させることや、吐出モジュールから複数の吐出先に媒体を吐出させることができる。更に、認められるべきことに、転送ハイウェイにおける媒体転送速度は、IMEの内部的媒体転送速度(そのIMEにてマーキングされる際に媒体がそのIME内を通過していく速度)に比べ、高速にすることができる。
【0036】
このモジュール化アーキテクチャにおいては、各IMEが転送ハイウェイを含めてモジュール化されており、モジュール同士間のインタフェースであるモジュール内転送ハイウェイ部分の形状等が共通化されているため(即ちIME等のモジュールが共通化されたインタフェースを有しているため)、IME内の経路のうち転送ハイウェイの構成部分たる経路が他のIME又はモジュール内の経路のうち転送ハイウェイの構成部分たる経路とつながり一連の転送ハイウェイが何個か形成されるよう、複数個のIMEを単一の集積型印刷システム10内に組み込むことができる。組み込まれているIME内の媒体経路は、他のIME等の前置モジュールから反転状態又は(迂回路を介し)非反転状態で媒体例えばシートを受け取れるよう共通化された入口部分が設けられており且つ他のIME等の後置モジュールへと反転状態又は非反転状態で媒体を送り出せるよう共通化された出口部分が設けられている限り、同じ集積型印刷システム10に組み込まれている他のIME等のモジュールの内部的媒体経路と、異なっていてもよい。
【0037】
このモジュール化アーキテクチャによれば、様々な種類のIMEを単一の集積型印刷システム10内で使用することができる。例えば、上述したように、様々な種類のIMEや様々な処理速度のIMEを混在させることができる。また、このモジュール化アーキテクチャによれば、IME及び経路に冗長性を持たせることができる。更に、このモジュール化アーキテクチャにおいては、取込側の媒体源や吐出側の吐出(合流)モジュールをそれぞれ1個とすることもでき、吐出(合流)モジュールには更に反転機能や複数の吐出口を設けることができる。認められるべきことに、集積型印刷システム10によれば、高速で実行する必要のないマーキングプロセスや他のIMEが保守点検を受けているときでも継続して実行できるマーキングプロセスを各構成要素において用いることができるため、非常に高い生産性を実現できる。これによって、フュージングサブシステム等多くのサブシステムが単純化された比較的低価格のIMEを用いることが可能になる。また、図示していないが、モジュール化アーキテクチャに含まれるIMEの個数を奇数とすることもできる。例えば、2個のIMEを縦一列に配置し、それら2個のIMEのうち1個の横にもう1個のIMEを配置して一行を形成すれば、縦一列(2個)+横一行(2個)−列と行の重複分(1個)=合計3個のIMEから構成されたモジュール化アーキテクチャを得ることができる。
【0038】
モジュール化アーキテクチャによれば、シングルパス複製乃至印刷、マルチパス印刷乃至処理及びそれらの変形版の何れをも、多色、単色及びそれらの変形版の何れでも実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】画像マーキングエンジン(IME)及び媒体フィーダモジュールの配置を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の画像マーキングエンジンと、
少なくとも1個の媒体フィーダモジュールと、
上記少なくとも2個の画像マーキングエンジンと上記少なくとも1個の媒体フィーダモジュールとの間に設けられ当該少なくとも1個の媒体フィーダモジュールから当該少なくとも2個の画像マーキングエンジンのうち少なくとも1個へと媒体を横方向転送する少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路と、
を備える集積型印刷システム。
【請求項2】
少なくとも2個の画像マーキングエンジンと、
取込モジュールと、
吐出モジュールと、
媒体フィーダモジュールと、
上記取込モジュールから上記少なくとも2個の画像マーキングエンジンへと媒体を横方向循環させる少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路と、
上記吐出モジュールから上記媒体フィーダモジュールへと媒体を横方向循環させる少なくとも1個の横方向回送用媒体連通転送路と、
を備える集積型印刷システム。
【請求項3】
何れかの列内に画像マーキングエンジンを少なくとも2個縦に並べるステップと、
何れかの行内に画像マーキングエンジンを少なくとも2個横に並べるステップと、
少なくとも1個の媒体フィーダモジュールを準備するステップと、
少なくとも1個の横方向先送り用媒体連通転送路及び少なくとも1個の横方向回送用媒体連通転送路を横方向に通し、且つ上記縦又は横に並んだ画像マーキングエンジンへと媒体を頒布する取込モジュールへと、上記少なくとも1個の媒体フィーダモジュールから媒体を循環させるステップと、
を有し、複数個の画像マーキングエンジンにより媒体に印刷する方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−51817(P2006−51817A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228992(P2005−228992)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】