説明

コンテナ用の結束部材及びそれを備えたコンテナ

【課題】構造が簡単であり、しかも、製造コストをも大幅に削減可能なコンテナ用の結束部材を提供する。
【解決手段】上記コンテナ用の結束部材10は、一方の側には開口部10aが形成され、他方の側には少なくとも2つの貫通孔10bが一列に並んで形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用の結束部材及びそれを備えたコンテナに係り、特に、コンテナをある場所から別の場所へ運搬できるようにコンテナを昇降し易くし、また、積置場、貨物車両、船舶などにぎっしり積載されている多数のコンテナ同士を安定して固定可能にするコンテナ用の結束部材及びそれを備えたコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナは、貨物の安全な運搬のための積載手段または保管手段として用いられ、臨時事務室、現場宿舎、住まい、バス停の簡易売り場などに用いられている。
通常のコンテナ1は、図1から図4に示すように、上部と下部の各4ヶ所の隅部2に3側面が外部に開放された一定の深さの凹部3が形成されており、これらの各凹部の周りには、3つの開口部4a付きコーナー・キャスティング4が溶接されている。
【0003】
ここで、上記コーナー・キャスティング4は、コンテナ1を所定の場所へ運ぶ目的でコンテナを昇降させるのに用いられ、しかも、隣り合うコンテナ同士を互いに固定させるのにも用いられる。
コンテナの運搬時、上記コーナー・キャスティング4の開口部4aは、主として、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを用いてコンテナ1を昇降させるのに用いられる。加えて、上記コーナー・キャスティング4の開口部4aは、凹部3中に流れ込む雨水などを外部に排出する排水口としても働く。
【0004】
コンテナの固定時、隣り合うコンテナ同士は、各隅部2の周りに取り付けられたコーナー・キャスティング4、貫通孔5a付き繋ぎプレート5、ボルト6とナット7及びリング8よりなる結束装置9により互いに固定可能となる。
上記繋ぎプレート5は、当該コーナー・キャスティング4の開口部4aを介して一方の側の内壁にそれぞれ配置された後、ボルト6とナット7により当該コーナー・キャスティング4に締め付けられ、これにより、隣り合うコンテナ同士が上記結束装置9により互いに固定可能となる。
【0005】
しかしながら、従来のコンテナ用の結束装置は、少なくともコーナー・キャスティング、繋ぎプレート及びボルトとナットを用いることを余儀なくされ、その結果、構造が複雑となり、各部品の製造コストが嵩むといった不都合があった。
また、上記各繋ぎプレートがコーナー・キャスティングの開口部を介してそのコーナー・キャスティングの内部に配置される必要があり、ボルトとナットを当該コーナー・キャスティングの開口部内に入れて、各繋ぎプレートを介して当該コンテナを隣のコンテナに固定させるとった構造であるため、組み立て作業が極めて煩雑であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、構造が簡単であり、しかも、製造コストをも大幅に削減可能なコンテナ用の結束部材を提供するところにある。
本発明の他の目的は、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを用いてコンテナをある場所から別の場所へ簡単に移すことを可能にすると共に、ぎっしり積載されているコンテナ同士を上下方向に簡単に係脱可能にする結束部材付きコンテナを提供するところにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、一方の側のコンテナの外縁部から外方への結束部材の張り出し量と、これに対応する、他方の側のコンテナの外縁部から外方への結束部材の張り出し量とを合わせた合計張り出し量が、左右方向に隣り合うコンテナ同士の間隙などを規定しているコンテナ国際規格の範囲内に納まるような結束部材付きコンテナを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によるコンテナ用の結束部材は、一方の側には開口部が形成され、他方の側には少なくとも2つの貫通孔が一列に並んで形成されていることを特徴とする。
また、本発明によるコンテナは、一方が開口された一定の深さの凹部が形成され、その凹部の少なくとも片側面に開口部が形成され、外部から上記凹部を通ってコンテナの内部へ水が流れ込むことが遮断される上下側の各4ヶ所の隅部と、これらの各隅部に取り付けられ、一方の側には開口部が形成され、他方の側にはその隅部の当該外縁部から外側に一定の間隔をおいて少なくとも2つの貫通孔が一列に並んで形成されてなる結束部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、構造が簡単であり、しかも、製造コストをも大幅に削減することができる。
また、本発明によれば、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを用いてコンテナをある場所から別の位置へ簡単に移すことを可能にすると共に、ぎっしり積載されているコンテナ同士を上下方向に簡単に係脱することができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、一方の側のコンテナの外縁部から外方への結束部材の張り出し量と、これに対応する、他方の側のコンテナの外縁部から外方への結束部材の張り出し量とを合わせた合計張り出し量が、左右方向に互いに隣り合うコンテナ同士の間隙などを規定しているコンテナ国際規格の範囲内に納まるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図5から図9に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
図5は、本発明によるコンテナ用の結束部材を示す概略斜視図であり、図6は、図5の結束部材がコンテナの1隅部に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
本発明によるコンテナ用の結束部材10は、図5に示すように、一方の側には開口部10aが形成され、他方の側には少なくとも2つの貫通孔10bが一列に並んで形成されている構造を有する。
【0012】
ここで、上記貫通孔10bの配列線は、上記開口部10aの長手方向の軸線に対して直角または平行をなしてもよい。上記結束部材10は、取り付け先(例えば、コンテナの隅部)に固定される場合を想定して、一部分が周縁部に対して凹状または凸状に形成され、全体としては板状を呈することが好ましい。
【0013】
一方、本発明によるコンテナ11は、図6に示すように、一方が開口された一定の深さの凹部12aが形成され、その凹部の少なくとも片側面に開口部12bが形成され、外部から上記凹部12aを通ってコンテナ11の内部に水が流れ込むことが遮断される上下側の各4ヶ所の隅部12と、これらの各隅部に取り付けられ、一方の側には開口部10aが形成され、他方の側にはその隅部13の当該外縁部から外側に一定の間隔をおいて少なくとも2つの貫通孔10bが一列に並んで形成されてなる結束部材10と、を備える。
【0014】
ここで、上記凹部12aは、外部からコンテナ11の内部に雨水などが流れ込むことを防ぐと共に、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを出入可能にする。
上記各凹部12aは、垂直支柱20と水平支柱22の隣接端部、または当該垂直支柱20の端部を介して形成される。また、上記各凹部12aの底面は、コンテナ11の内部への水の流入を遮断するだけでなく、周りの機械的な強度を高める。さらには、上記各凹部12aの底面は、製造過程で予め周縁部と一体に形成されてもよく、別途の補強プレート部材21を介して溶接方式により固定されてもよい。
【0015】
上記各隅部12の開口部12bは、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを介して加えられる引張力に効果的に耐えうるように垂直支柱20からなることが好ましい。
上記開口部12bは、クレーンのフック、ツイストロック、鋼線などを出入可能にすると共に、上記凹部12a中に流れ込む雨水などを外部に速やかに排出可能にする。
上記各隅部12は、コンテナ11を支える垂直支柱20の端部であることが好ましい。この場合、上記垂直支柱20は、中空状の四角管、円筒管などからなり、その垂直支柱20の内部に補強プレート部材21が配置され溶接されることが好ましい(図6参照)。
【0016】
上記結束部材10は、隅部12の対応部分にリベット締め、溶接などの種々の方式により固定することが可能であるが、その結束部材10が隅部12の対応部分に対して簡単に、且つ、一定の取り付け強度(例えば、隅部に対して要される耐久強度など)以上に保持可能であれば、いかなる方式により固定されても構わない。
前述のように、各隅部12に結束部材10が取り付けられたコンテナ11は、平らな基台にそのまま配置して用いてもよく、または、先端部にねじ線が形成された多数の支持棒(図示せず)付き基台に配置させ、その各支持棒にナット部材を締め付けて用いてもよい。上記基台は、コンクリート構造物、鉄製構造物などであってもよいが、コンテナ11を十分に支えるものであれば、制限なしに使用できる。
【0017】
他方、上述の如き構造を有するコンテナ11の上部に別のコンテナ(図示せず)が積載された時、隣り合う両コンテナの各隅部の結束部材10は、ボルト部材13とナット部材14により締め合わせられる(図7参照)。
ここで、上記各結束部材10は、その結束部材の貫通孔10bの配列線がコンテナ11の長手方向または幅方向に揃うように当該隅部12に取り付けられてもよい。
【0018】
上記各隅部12の当該外縁部から外方への結束部材10の張り出し量は、互いに隣り合うコンテナ同士の間隔などに関して規定しているコンテナ国際規格を満たす。
上記ボルト部材13のヘッド部とこれに対応する結束部材10との間、及び上記ナット部材14とこれに対応する結束部材10’との間の少なくとも一方には座金15が配設される。この座金15は、上記ボルト部材13のヘッド部の内側に一体に形成されてもよく、または、別体として軸部に外嵌されてもよい。
【0019】
以下、図6から図9に基づき、上述のような構造を有する本発明によるコンテナの積載及び固定過程を説明する。
先ず、クレーンのフック(または、ツイストロック、鋼線など)をコンテナ11の4ヶ所の隅部12にそれぞれ設けられた凹部12aと開口部12bを介してその各隅部12に引っ掛けた後、当該コンテナを一定の高さまで持ち上げて所望の場所(例えば、積置場、貨物車両、船舶)などに移す。
【0020】
その後、上記コンテナ11の各隅部12からクレーンのフックを取り外した後、上述と同様に別のコンテナを持ち上げ、上記移されたコンテナ11の上部に整列して積載する。
すると、上記両コンテナ11の各隅部12に取り付けられた結束部材10が互いに対向して当接し、このとき、上記各結束部材10の貫通孔10bも互いに対向することになる。
その後、ボルト部材13とナット部材14により各隅部12の結束部材10を互いに締め合わせると、両コンテナ11は一体になる。
【0021】
一方、作業者は、上述の如き方式によりコンテナを多数の層に積載して固定することができ、また、コンテナを収容する対象(例えば、積置場、貨物車両、船舶)の積載空間が許容される限り、先に積載された一方側の列のコンテナの隣にそこから一定の間隔をおいて他の列のコンテナを一定の高さに積載することが可能になる。
【0022】
このとき、上記一側の列のコンテナのうち最上層と隣の他の列のコンテナのうち最上層の各隅部12は、たとえ外部から物理的な衝撃を加わっても各列のコンテナ層を転倒させないために、且つ、コンテナ同士を係脱し易くするために、着脱し易いファスナー(図示せず)により固定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通常のコンテナを示す概略斜視図である。
【図2】コーナー・キャスティング抜きコンテナの隅部を示す概略斜視図である。
【図3】従来の技術によるコンテナ用の結束装置の全体構成を示す概略分解斜視図である。
【図4】図3のコンテナ用の結束装置を介して互いに係合された両コンテナの隅部を示す概略部分拡大図である。
【図5】本発明によるコンテナ用の結束部材を示す概略斜視図である。
【図6】図5の結束部材がコンテナの1隅部に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
【図7】本明によるコンテナ用の結束部材付き結束装置の全体構成を示す概略分解斜視図である。
【図8】本発明の結束部材を各隅部に長手方向に取り付けているコンテナの概略平面図である。
【図9】本発明の結束部材を各隅部に幅方向に取り付けているコンテナの概略平面図である。
【符号の説明】
【0024】
10、10’ 結束部材
10a、12b 開口部
10b 貫通孔
11 コンテナ
12a 凹部
12 隅部
13 ボルト部材
14 ナット部材
15 座金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側には開口部が形成され、他方の側には少なくとも2つの貫通孔が一列に並んで形成されてなることを特徴とするコンテナ用の結束部材。
【請求項2】
前記貫通孔の配列線は、前記開口部の長手方向の軸線に対して直角または平行をなすことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用の結束部材。
【請求項3】
板状からなることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用の結束部材。
【請求項4】
一方が開口された一定の深さの凹部が形成され、その凹部の少なくとも片側面に開口部が形成され、外部から前記凹部を通ってコンテナの内部へ水が流れ込むことが遮断される上下側の各4ヶ所の隅部と、
前記各隅部に取り付けられ、一方の側には開口部が形成され、他方の側にはその隅部の当該外縁部から外側に向かって一定の間隔をおいて少なくとも2つの貫通孔が一列に並んで形成されてなる結束部材と、を備えることを特徴とするコンテナ。
【請求項5】
所定のコンテナの上部に他のコンテナが積載された場合、隣り合う両コンテナの各隅部の結束部材が、ボルト部材とナット部材により互いに固着されていることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記結束部材は、当該隅部の対応部分に沿って溶接されていることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項7】
前記各結束部材は、その結束部材の貫通孔の配列線がコンテナの長手方向または幅方向に揃うように当該隅部に取り付け可能であることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項8】
前記各隅部の当該外縁部から外側への結束部材の張り出し量は、隣設するコンテナ同士の間隙に関して規定しているコンテナ国際規格を満たすことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項9】
前記ボルト部材のヘッド部とこれに対応する結束部材との間、及び前記ナット部材とこれに対応する結束部材との間の少なくとも一方には座金が配設され、この座金は、前記ボルト部材の軸部に外嵌されることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項10】
前記各隅部は、コンテナを支える垂直支柱の端部であることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記垂直支柱は、中空状の四角管または円筒管からなり、その垂直支柱の内部に補強プレート部材が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−276877(P2007−276877A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16223(P2007−16223)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(507028907)
【Fターム(参考)】