コンテナ荷役車両
【課題】フックとコンテナとの係合作業を容易にできるコンテナ荷役車両を提供する。
【解決手段】フック6は規制部材16を有しており、この規制部材16は、コンテナ10の係合ピン11がフック6の凹部8から離脱するのを阻止する規制位置と、係脱自在となる開放位置との間を回動自在である。規制部材16は被押圧面15と受け面18とを有している。被押圧面15は、凹部8の内面8aよりも突出し、係合ピン11に押圧されることにより規制部材16を規制位置側となる方向へ回動させる。受け面18は、フック6の基端部7側から被押圧面15へと続くように形成されており、係合ピン11がこれらの間に嵌ることを防止することができる。
【解決手段】フック6は規制部材16を有しており、この規制部材16は、コンテナ10の係合ピン11がフック6の凹部8から離脱するのを阻止する規制位置と、係脱自在となる開放位置との間を回動自在である。規制部材16は被押圧面15と受け面18とを有している。被押圧面15は、凹部8の内面8aよりも突出し、係合ピン11に押圧されることにより規制部材16を規制位置側となる方向へ回動させる。受け面18は、フック6の基端部7側から被押圧面15へと続くように形成されており、係合ピン11がこれらの間に嵌ることを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体フレームと地上との間でコンテナを積み降ろしさせることができるコンテナ荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
図12と図13とに示しているように、コンテナ50を車体フレーム45と地上との間で積み降ろしさせることができるコンテナ荷役車両として従来知られているものに、車幅方向の軸線回りに回動する荷役アーム47を有した荷役装置を備えているものがある。荷役アーム47の先端部にフック46が固定されており、荷役装置は、コンテナ50の前壁にある係合ピン49にフック46を係合させた状態で荷役アーム47を回動させることにより、コンテナ50を車体フレーム45と地上との間で積み降ろしすることができる。
フック46には規制部材48が回動自在に設けられており、この規制部材48は、係合ピン49がフック46から離脱するのを阻止する規制位置(図13(b))と、係合ピン49がフック46から係脱自在となる開放位置(図12(b))との間を自重によって回動することができる。そして、荷役装置がコンテナ50を地上との間で積み降ろしする際、規制部材48は規制位置にあり、係合ピン49がフック46から離脱するのを防止している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第2903462号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコンテナ荷役車両において、地上にあるコンテナ50を車体フレーム45上に積み込む動作は、図12において、荷役アーム47を後方へ回動させた状態とし、フック46にコンテナ50の係合ピン49を係合させてから、荷役アーム47を反時計回り方向に回動させることによって行われる。しかし、従来の荷役装置では、フック46に係合ピン49を係合させる際、作業者が荷役アーム47を小さく上下回動させ位置調整することにより、フック46の開口部と係合ピン49との上下位置を合わせる必要がある。このために、フック46と係合ピン49とを係合させる作業が難しいという問題点がある。
【0005】
そこで、フック46を係合ピン49(図12(b)の二点鎖線)よりも低い位置とした状態から、荷役アーム47を上方(矢印の方向)へ回動させ、係合ピン49とフック46とを係合させることが考えられる。しかし、この場合、従来のフック46では、規制部材48がフック46の開口部の上位置に取り付けられているため、係合ピン49とフック46とを係合させるために荷役アーム47を上方へ回動させても、係合ピン49が規制部材48に引っ掛かって、両者を係合させることができなくなるというおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、コンテナの積み降ろし動作中に荷役装置のフックからコンテナが脱落してしまうことを防止できるとともに、フックとコンテナの係合部との係合作業を容易にできるコンテナ荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するためのこの発明のコンテナ荷役車両は、前壁に係合部が設けられたコンテナを載置させる車体フレームと、車幅方向の軸線回りに回動可能である荷役アームと、この荷役アームの先端側に固定され前記係合部と係合させるべく基端部と先端部との間に凹部が形成されたフックとを有し、前記凹部に前記係合部を係合させた状態で前記荷役アームを回動させることにより前記コンテナを前記車体フレームと地上との間で積み降ろしさせる荷役装置とを備え、前記フックは、前記係合部が前記凹部から離脱するのを阻止する規制位置と前記係合部が前記凹部に対して係脱自在となる開放位置との間を回動自在な規制部材を有し、前記規制部材は、前記開放位置で前記凹部の内面よりも突出し前記係合部に押圧されることにより前記規制部材を規制位置側となる方向へ回動させる被押圧面と、前記開放位置で前記フックの前記基端部側から前記被押圧面へと続くように形成されており前記係合部が当該基端部と当該被押圧面との間に嵌ることを防止する受け面とを有しているものである。
【0008】
この構成によれば、規制部材が規制位置にあるとコンテナの係合部がフックの凹部から離脱してしまうのを阻止でき、また、規制部材が開放位置にあると係合部が凹部から係脱自在となるため、フックと係合部との着脱が可能となる。
そして、規制部材の受け面が、当該規制部材が開放位置でフックの基端部側から被押圧面へと続くように形成されているので、フックとコンテナの係合部とを係合させる係合動作の際に、係合部がフックの基端部と被押圧面との間に嵌ることを防止する。これにより、係合部をフックの凹部の所定位置に配置させることができ、この状態から、係合部によって規制部材の被押圧面が押圧されると、規制部材は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
【0009】
また、前記コンテナ荷役車両において、前記荷役装置は、前記荷役アームの回動により、前記フックを前記基端部側から前記係合部に接近させて前記凹部に当該係合部を係合させる係合動作が可能であり、前記受け面は、前記係合動作の際に前記係合部を前記フックの基端部側から前記凹部の内面へ誘導する面であるのが好ましい。
この構成によれば、係合動作の際、フックの凹部を係合部よりも低い位置とし、規制部材を開放位置とし、荷役アームを上方へ回動させれば、フックをその基端部から係合部に接近させて係合部を凹部に係合させることができ、フックと係合部との係合作業がより一層容易となる。
さらに、この係合動作の際に、規制部材の受け面は、係合部をフックの凹部の内面へ誘導する。この受け面によれば、この誘導の際、係合部がフックの基端部から被押圧面までの間の途中で引っ掛かる等して停留してしまうことを防止することができる。これにより、係合部をフックの凹部の所定位置に配置させることができる。
【0010】
また、このコンテナ荷役車両において、前記フックは、前記係合動作の際に前記係合部と当接可能であり当該係合部を前記凹部に向かって誘導する当接面を前記基端部側に有しており、前記受け面は、前記係合動作の際に前記当接面に誘導された前記係合部が前記凹部に向かう軌跡に沿って形成された面であるのが好ましい。
この構成によれば、前記係合動作において、フックの基端部側にある当接面により凹部に向かって誘導された係合部は、引き続いて受け面により凹部に誘導されるので、係合部は凹部へより正確に誘導され、係合部とフックとを確実に係合させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明のコンテナ荷役車両置によれば、コンテナの積み降ろし動作中において、規制部材が規制位置にあるとコンテナの係合部がフックの凹部から離脱してしまうのを阻止できるので、フックからコンテナが脱落してしまうことを防止できる。そして、規制部材の受け面によって、係合部とフックとの係合動作の際に、係合部がフックの基端部と被押圧面との間に嵌ることを防止することができる。そして、フックの凹部の所定位置に配置させた係合部によって規制部材の被押圧面が押圧されると、規制部材は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明のコンテナ荷役車両の実施の一形態を示している側面図である。図2、図3、図4及び図5は、このコンテナ荷役車両によって行われるコンテナ10の積み降ろし動作を示している側面図である。
このコンテナ荷役車両は、コンテナ10を載置させる車体フレーム2と、この車体フレーム2と地上との間でコンテナ10を積み降ろしさせる荷役装置1とを備えている。荷役装置1は、車体フレーム2の車両前後方向の後部に基端部が取り付けられている直線状のダンプアーム4と、ダンプアーム4の先端部に取り付けられている荷役アーム3とを有している。
【0013】
ダンプアーム4は車体フレーム2に、車幅方向の第一軸線C1を中心として回動可能に取り付けられている。荷役アーム3はダンプアーム4の先端部において、車幅方向の第二軸線C2を中心として回動可能に取り付けられている。さらに、荷役アーム3とダンプアーム4との間には固縛手段(図示せず)が設けられており、固縛手段は荷役アーム3とダンプアーム4との間の回動を規制したり、回動自在としたり切り替えることができる。
【0014】
荷役アーム3は、ダンプアーム4に第二軸線C2を中心として回動可能に取り付けられた直線状のリフトアーム21と、このリフトアーム21に対して進退自在に設けられたフックアーム22とを有している。
リフトアーム21の途中部には、第一伸縮アクチュエータ12の一端部が回動自在に取り付けられている。第一伸縮アクチュエータ12の他端部は車体側(車体フレーム2)に回動自在に取り付けられている。この第一伸縮アクチュエータ12の伸縮動作によって、図2、図3、図4及び図5に示しているように、荷役アーム3が第二軸線C2を中心として車体フレーム2に対して回動することができる。また、図6に示しているように、第一伸縮アクチュエータ12の伸縮動作によって、固縛手段で一体とされた荷役アーム3とダンプアーム4とが第一軸線C1を中心として回動することができる。つまり、コンテナ10がダンプアーム4及び荷役アーム3と共に上方へ傾動したダンプ状態となる。
【0015】
荷役アーム3において、フックアーム22は、リフトアーム21の長手方向に進退自在(スライド自在)として当該リフトアーム21に保持されている進退部22aと、この進退部22aの先端から略直角に立設された立設部22bとによってL字形に形成されている。図1と図2とにおいて、フックアーム22の進退部22aとリフトアーム21との間には第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が介在しており、この第二伸縮アクチュエータの伸縮動作によって進退部22aはリフトアーム21に対して進退し、これによりフックアーム22はリフトアーム21に対して伸縮動作することができる。そして、立設部22bの先端部にフック6が固定されており、このフック6はコンテナ10の前壁10aに設けられた係合部11と係合する。
【0016】
以上の構成によれば、前記固縛手段により荷役アーム3(リフトアーム21)がダンプアーム4に対して回動可能とされている状態で、第一伸縮アクチュエータ12を伸縮させることによって、図2、図3、図4及び図5に示しているように、荷役アーム3は車体フレーム2に対して第二軸線C2を中心として回動する。これにより、荷役装置1は、フック6と係合しているコンテナ10を、車体フレーム2と地上との間で積み降ろしすることができる。
【0017】
図7は荷役装置のフック6部分とコンテナ10の前部とを示す図である。図8は荷役アーム3が回動することにより図7のフック6部分が姿勢を変えた状態を示す図である。
図7において、コンテナ10の係合部11は左右方向に長い係合ピン(リフトバー)11である。コンテナ10の前壁10aには、前方へ突出している左右一対の腕部19が固定されており、この腕部19の先端側に前記係合ピン11が固定されている。係合ピン11はコンテナ10の前壁10aから前後方向に離れて設けられている。これにより、係合ピン11と前壁10aとの間にフック6がその先端部9から進入することによって、フック6と係合ピン11とは係合した状態となることができる。
【0018】
フック6は側面視において略コ字形である。フック6は基端部7側においてフックアーム22の立設部22bの先端部に固定されている。フック6は、係合ピン11を係合させるために、その基端部7と先端部9との間に凹部8が形成されている。なお、このフック6において、凹部8が開いている側(図7の右側)をフック6の開口側aといい、これと反対側(図7の左側)を背面側bという。
【0019】
フック6の基端部7には先端部9側へ隆起している隆起部26が形成されており、この隆起部26はフック6の先端部9と対向している。フック6の基端部7のうちの開口側aの面(当接面)27は、他の部材やフック6自身による突起部が無い滑らかな一つの面であり、この当接面27は前記隆起部26へと続いている。そして、この隆起部26から先端部9までの間に凹部8の円弧状の内面8aが連続している。また、当接面27はフック6の先端部9側(凹部8の内面8a)へ向かってまっすぐな(または小さく湾曲した)面であり、当接面27から延長させた延長面は凹部8の内面8aと交差する。つまり、先端部9は当接面27の延長面よりもコンテナ10側へ突出している。また、当接面27は、後にも説明するが、係合ピン11とフック6とを係合させる係合動作の際に係合ピン11と当接可能であり、係合ピン11を凹部8に向かって誘導することができる部分である。
【0020】
図5と図7とに示しているように、フックアーム22(荷役アーム3)が車両後方へ回動した状態では、フック6の凹部8は車両後方、すなわちコンテナ10側に向かって開口した状態となり、図2と図8とに示しているように、フックアーム22が前方へ回動した状態では、フック6の凹部8は車両前方に向かって開口した状態となる。
【0021】
フック6は規制部材16を有しており、この規制部材16は、フック6の基端部7よりも先端部9寄りの位置において、車幅方向の軸線C3回りに回動自在に設けられている。規制部材16はフック6に対して所定の範囲で回動自在であり、規制部材16は、コンテナ10の係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止する規制位置(図8の状態)と、係合ピン11が凹部8に対して係脱自在となる開放位置(図7の状態)との間の範囲を回動することができる。そして、この規制部材16は、その重心位置と軸線C3との位置関係により、フック6の姿勢に応じて当該規制部材16の自重により自動的に回動することができる。つまり、フックアーム22が車両後方へ回動し、フック6の凹部8がコンテナ10側に向かって開口した状態(図7)では、規制部材16は開放位置となり、フックアーム22が前方へ回動し、フック6の凹部8が車両前方に向かって開口した状態(図8)では、規制部材16は規制位置となることができる。
【0022】
フック6の背面側bには、ストッパ23が設けられている。このストッパ23は、規制部材16の回動範囲を制限することができる。つまり、フックアーム22を後方へ回動させた状態で、規制部材16はその自重によって開放位置となる方向(時計回り方向)へ回動するようになっており、規制部材16が所定の位置で、規制部材16の一部(第1当接面16c)がストッパ23の第1受け面23aに接触する(図7)。この状態から規制部材16はさらに時計回り方向へ回動することができなくなる。この状態は、規制部材16が開放位置にある状態であり、この状態が保たれる。
一方、フックアーム22を前方へ回動させた状態では、規制部材16はその自重によって規制位置となる方向(反時計回り方向)へ回動するようになっており、規制部材16が所定の位置で、規制部材16の他部(第2当接面16d)がストッパ23の第2受け面23bに接触する(図8)。この状態から規制部材16はさらに反時計回り方向へ回動することができなくなる。この状態は、規制部材16が規制位置にある状態であり、この状態が保たれる。
【0023】
そして、図8に示しているように、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を塞いでいる状態が、規制部材16の規制位置であり、この規制位置では、規制部材16は凹部8内の係合ピン11が当該凹部8から離脱するのを阻止する。一方、図7に示しているように、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を開放している状態が、規制部材16の開放位置であり、この開放位置では、係合ピン11は凹部8に接近し凹部8内に存在しフック6と係合することができ、また、係合ピン11は凹部8から離脱することができる。
【0024】
そして、以上の構成の荷役装置1によれば、図7に示しているように、車両後方に位置させたフックアーム22を上方へ回動させることにより、フック6をその基端部7側から係合ピン11に接近させてフック6の凹部8に当該係合ピン11を係合させる係合動作が可能となる。すなわち、フック6に係合ピン11を係合させる動作を行うために、フック6の凹部8の位置を係合ピン11よりも低い位置とし、車両Cを後退させ係合ピン11がフックアーム22の一部(後述するガイド面29a)乃至前記当接面27に当るようにし、荷役アーム3を上方へ回動させる。これにより、係合ピン11は当接面27に当接し当該当接面27に沿って移動し、その後、凹部8内へと導かれる。
【0025】
また、図7において、フックアーム22の先端側部分のうちフック6の開口側aに近い面(背面)28にはガイド部材29が取り付けられている。このガイド部材29のコンテナ10側へ向く面はガイド面29aであり、当接面27と略一続きの滑らかな面を構成する。これにより、フック6に係合ピン11を係合させる前記係合動作の際に、係合ピン11はガイド面29aに当接し当該ガイド面29aに沿って移動し当接面27まで誘導され、この当接面27によってさらに係合ピン11は凹部8へと導かれる。
【0026】
図9は図8のフック6部分を車両前方から見た図であり、一部を断面で示している。図7と図8と図9とにおいて、規制部材16は側面視ほぼ円弧形状を有しており、内側に円弧状の内面36aを有した凹部36が形成されている。規制部材16は、フック6の側方に設けられており、この規制部材16がその一部においてフック6の中間部14とピン31によって連結されている。そして、規制部材16はこのピン31の軸線C3を中心として回動自在となっている。なお、前記中間部14はフック6の基端部7と先端部9との間の部分である。
【0027】
この実施形態の規制部材16は、第1部材16aと第2部材16bとを有している。第1部材16aは板部材からなり、第2部材16bは第1部材16aとは別体とした板部材からなり、第1部材16aと第2部材16bとは、ボルト20(図9参照)によって固定され一体となっている。図7と図8とにおいて、規制部材16の前記凹部36は第1部材16aに形成されている。
【0028】
図7において、規制部材16は一部に被押圧面15を有し、他部に受け面18を有している。規制部材16が開放位置にある状態で、第1部材16aは、フック6の凹部8の内面8aよりもコンテナ10側(開口側)へ突出した状態となる突出部24を有しており、この突出部24の一部に前記被押圧面15が形成されている。この被押圧面15は、規制部材16の凹部36の内面36aの一端部側(フック6の基端部7に近い側)に形成された面である。
【0029】
規制部材16が開放位置にある状態で、被押圧面15はフック6の凹部8の内面8aよりも突出しているため、当該凹部8内にある係合ピン11に接触して押圧されることにより、規制部材16を規制位置側となる方向へ回動させることができる面である。すなわち、前記係合動作において、係合ピン11がフック6の凹部8内に存在し(図7の破線の状態)、フックアーム22が上方へ回動することによって、係合ピン11が凹部8の奥部側(フック6の基端部8側)へさらに移動すると、係合ピン11は被押圧面15に接触し押圧する。これにより、開放位置にあった規制部材16は、軸線C3回りに規制位置側となる方向(反時計回り方向)へ回動することとなる。
【0030】
なお、規制部材16が規制位置にある状態では(図8)、被押圧面15はフック6の凹部8の内面8aよりも背面側bの位置に退避しており、被押圧面15と係合ピン11とは接触できない状態となっている。そして、係合ピン11が凹部8内に存在している状態で、規制部材16が規制位置にある状態から開放位置側となる方向へ回動した場合、係合ピン11と被押圧面15とが接触することにより、規制部材16の回動は制限される。このように規制部材16の回動が制限された状態を準規制位置という。
【0031】
受け面18は第2部材16bに形成されている。規制部材16が開放位置にある状態(図7)で、側面視において、受け面18は、フック16の基端部7側(当接面27乃至隆起部26)から被押圧面15へと続くように形成されており、係合ピン11がフック6の基端部7と被押圧面15との間に嵌ることを防止することができる面である。受け面18はフックの基端部7側から伸びて形成されており、フック6の当接面27と側面視において略一続きとなり、かつ、受け面18は、被押圧面15のうちの突出している側の先部と側面視において略一続きとなるように形成されている。したがって、規制部材16が開放位置にある状態では、ガイド面29a、当接面27、及び受け面18が一つの面上に形成され、これらが続くように形成されている。これにより、受け面18は、前記係合動作の際に係合ピン11をフック6の凹部8の内面8aへ誘導することができる面となる。
【0032】
このように、規制部材16が開放位置にある状態で、受け面18は、フック6の当接面27乃至隆起部26と、被押圧面15の突出している側の先部との間に存在している面となる。このため、係合ピン11をフック6の凹部8に係合させるために、係合ピン11が当接面27に沿って移動した後、係合ピン11はスムーズに受け面18へと移動することができ、係合ピン11が、フック6の基端部7と規制部材16との間に挟まってしまい停留することが防止され、係合ピン11は凹部6に到達することができる。
【0033】
また、規制部材16が開放位置にある状態において、規制部材16は、前記係合動作の際、係合ピン11がフック6の基端部7側から凹部8まで誘導される動作を阻害することがないように構成されている。つまり、規制部材16は係合動作の際に邪魔にならない位置にある。具体的には、フック6の凹部8の内面8aから突出している部分である突出部24(被押圧面15の先部)は、前記係合動作の際に前記当接面27を利用した凹部8までの係合ピン11の誘導を阻害することがない位置まで突出するように形成されている。
【0034】
これについてさらに説明すると、図7の状態から係合動作のためにフックアーム22を上方へ回動させると、係合ピン11はガイド面29a及び当接面27に沿って移動し、これら面から延長する軌跡iを移動しようとする。つまり、凹部8の内面8aに向かう軌跡iを移動しようとする。このため、被押圧面15の先部は、この軌跡iから背面側bの位置に存在しており、さらに、受け面18は、この軌跡iに沿って形成された面又はこの軌跡iよりも背面側bに存在している面となっている。
すなわち、受け面18は、当接面27をフック6の先端部9側へ延長させた延長面から背面側bに存在している。図7の形態では、受け面18は前記延長面よりも背面側bに存在しているが、図示しないが、延長面と一致させるのが好ましい。
【0035】
これにより当接面27に沿って移動した係合ピン11が、受け面18によって、フック6の基端部8側と被押圧面15との間に嵌ることが防止され、つまり、基端部8側から被押圧面15までの間の途中で引っ掛かって停留してしまうことが防止されて、フック6の凹部8の内面8aと被押圧面15との間へ誘導される。これにより、係合ピン11をフック6の凹部8の所定位置に配置させることができる。そして、この状態から、係合ピン11によって被押圧面15が押圧されると、規制部材16は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
以上のように、規制部材16が開放位置にある状態で、受け面18が形成されている第2部材16bは、被押圧面15が形成されている第1部材16aと、フック6の基端部7(隆起部26)との間に、係合ピン11が挟まり得る隙間が生じないようにしている。
【0036】
なお、図示しないが、仮に前記隙間が生じ、この隙間に係合ピン11が挟まって規制部材16を押すと、規制部材16は規制位置となる方向と反対方向へ回動しようとする。これにより、規制部材16がストッパ23を無理に押し、これらを破損させるおそれがある。さらに、前記隙間が生じており、特に係合ピン11の直径が、第1部材16aと隆起部26との間の最大寸法よりも大きい場合、係合ピン11はその隙間に挟まりやすくなる。
しかし、この発明によれば、たとえ係合ピン11の直径が、第1部材16aと隆起部26との間の最大寸法よりも大きくても、前記受け面18を有している第2部材16bにより、規制部材16と隆起部26との間に隙間が生じないようにしているため、係合ピン11がフック6の基端部7側と第1部材16aとの間で停留してしまうことが防止される。
【0037】
また、規制部材16の凹部36の内面36a(被押圧面15)の左右両縁部には面取り加工(面取り部)が施されている。コンテナ10が車体フレーム2に対して左右いずれかに斜めにある状態で係合ピン11をフック6に係合させる場合、係合ピン11は規制部材16の内面36a(被押圧面15)の縁部に当接する。係合ピン11が、面取り部が無いとした場合の前記縁部を押圧すると、当該係合ピン11の形状によって、規制部材16は規制位置となる方向へ余分な量を回動するおそれがある。この場合、回動した規制部材16がストッパ23を過度の力で押圧し、破損させることもある。これは係合ピン11がその中央部で高く両側部で低く形成された略への字形状である場合に、このようなことが生じる。しかし、前記縁部に面取り部が形成されているため、この面取り部によって、前記のように係合ピン11が規制部材16の内面36aの縁部に当接することを防止できる。
【0038】
また、図9に示しているように、規制部材16は第1部材16aと第2部材16bとの2枚を有し、これらを重ね合わせていることにより、規制部材16のうちのフックアーム22に近い側を段付き形状としている。そして、この段付き部16fと、フック6の基端部7及びフック6を固定しているフックアーム22の先端部との間には隙間が形成されている。特に、フックアーム22の先端部は、車幅方向に広がるテーパ形状であり幅広となっているが、前記段付き部16fによって、第2部材16bをフックアーム22からより離してフックアーム22との間に隙間を形成することができ、規制部材16の回動の際の両者間の干渉を防いでいる。
【0039】
また、図9では、規制部材16はフック6の一側面側にのみ設けられているが、同じ形状の規制部材16をフック6の他側面側にも設けてもよい。このように規制部材16を、フック6を挟んで左右両側に設けた場合、両規制部材16を連結部材によって連結固定して同時に回動するようにしてもよいが、両規制部材16は連結部材を用いずにそれぞれ独立して回動するように構成するのが好ましい。これは、例えば、車体フレーム2に対してコンテナ10が左右方向に傾いた状態で、係合ピン11をフック6に係合させる際、係合ピン11が規制部材16に当接することによって当該規制部材16のそれぞれに不均等な力が作用する。この場合、両規制部材16を繋ぐ連結部材が存在していると、当該連結部材及び規制部材16に大きな捩れ力が生じ、これらを変形させるおそれがあるためである。しかし、両規制部材16がそれぞれ独立して回動自在であれば、規制部材16のそれぞれは係合ピン11との接触状態に応じた角度で自由に回動することができ、規制部材16に無理な力が作用することを防止できる。
なお、前記実施形態の規制部材16では、第1部材16aと第2部材16bとを別部材とし、ボルト20(図9参照)によって相互を一体としているが、これ以外に、(図示しないが)第1部材と第2部材とを1つの部材によって構成することで一体とする構成であってもよい。
【0040】
以上の実施形態のコンテナ荷役車両によるコンテナ10の積み降ろし動作について説明する。図10はコンテナ10の降ろし動作を説明している図であり、図11はコンテナ10の積み込み動作を説明している図である。図10(a)は荷役アーム3(図2)を前側から後方へ回動させてコンテナ10を地上へ降ろす動作の開始時の状態を示しており、図8の状態と同じである。図10(e)はコンテナ10を地上に降ろした荷降ろし完了の状態を示しており、図7の状態と同じである。
図11(f)は地上にあるコンテナ10の積み込み(吊り上げ)動作開始時の状態を示しており、図7の状態と同じである。また、図11(j)はコンテナ10を車体フレーム2に載置させた積み込み完了の状態を示しており、図8の状態と同じである。図10(b)(c)(d)及び図11(g)(h)(i)はそれぞれ、降ろし動作及び積み込み動作の途中の状態を示している。
【0041】
まず、コンテナ10の地上への降ろし動作について説明する。
図1の状態から、フックアーム22の進退部22aとリフトアーム21との間に介在している第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が短縮動作することによって、フックアーム22はコンテナ10とともに車両後方へ向かって水平移動する(図2)。この際、車体フレーム2の後端部に設けた支持ローラ32によってコンテナ10の後端底部が支持された状態で、コンテナ10は車両後側へ向かって移動する。
【0042】
図2の状態から第一伸縮アクチュエータ12が伸張動作することによって、荷役アーム3を第二軸線C2回りに車両後側へ回動させる(図3と図4)。なお、図1から図2のように、フックアーム22を第二伸縮アクチュエータ(図示せず)によって車両後方へ移動させてから、荷役アーム3を第二軸線C2回りに回動させることにより、第二軸線C2を中心とするフック6(係合ピン11)における回動半径は小さくなる。これにより、フック6の回動軌跡の高さを低く抑えることができる。
【0043】
そして、この回動により、フックアーム22の先端部に固定されたフック6がコンテナ10の係合ピン11と係合した状態で、フック6はコンテナ10を持ち上げるようにして移動させる。この際、コンテナ10は支持ローラ32を支点として傾動するが(図3)、やがて、コンテナ10は支持ローラ32から離れ、コンテナ10の後端底部に設けられているローラ33が地面に接触する(図4)。
【0044】
なお、この図1から図4までの状態(動作)では、図10(a)又は(b)に示しているように、規制部材16は規制位置又は前記準規制位置にある。具体的に説明すると、図1と図2と図10(a)の状態では、規制部材16は規制位置にあるが、荷役アーム3を回動させることで、規制位置にあった規制部材16はフック6の姿勢が変化することにより、当該規制部材16の自重によって開放位置側(時計回り方向)へ回動しようとする)。しかし、図10(b)に示しているように、この場合であっても、規制部材16の被押圧面15に係合ピン11が当接した状態となる。これにより、規制部材16が開放位置となるのを防いでいる。準規制位置では、規制位置にあった規制部材16が少し開放位置側となる方向へ回動した状態であるが、規制部材16が開放位置側へ自重によってさらに回動してしまうことが防止された状態であり、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を塞ぎ、係合ピン11は凹部8から離脱できない状態である。
【0045】
特に、図3において、コンテナ10の後端部(ローラ33)が地面に接しておらずその底面がガイドローラ32に支持された状態で、かつ、コンテナ10の重心位置がガイドローラ32よりも車両後方側にあると(リフトアーム21が水平に対してほぼ45°の時)、コンテナ10はガイドローラ32を支点として前壁10a側が上方へ回動する方向へ倒れようとする。これにより、図10(b)の破線で示しているように、係合ピン11はフック6の凹部8内から離脱しようとする方向(上方)へ移動するおそれがある。しかし、この場合であっても、規制部材16は準規制位置に保たれた状態にあったため、係合ピン11は規制部材16の凹部36と係合した状態が保たれる。つまり、規制部材16の先端側はUターン形状に湾曲しており、その先端部16eに係合ピン11が係合するため、係合ピン11がフック6から離脱することがなく、コンテナ10がフック6から脱落してしまうことを防止できる。
【0046】
さらに、図4に示しているように、荷役アーム3が所定回動位置まで回動することによって、コンテナ10のローラ33が地面に接触した状態となる。そして、荷役アーム3のさらなる後方への回動によってコンテナ10は地面に沿って、車両後方へ移動しようとする。この動作の際、フック6部分の回動軌道は後方下向きとなり始める。したがって、地面が車両後方へ向かって昇り勾配面(傾斜面)であったり地面が悪路であったりして、コンテナ10が車両後方へ移動し難くい状態の場合、図10(b)に示しているように、係合ピン11が隆起部26を越えてフック6から外れようとする。しかし、規制部材16が前記の場合と同様に、準規制位置に保たれた状態にあったため、係合ピン11は規制部材16の先端部16eによってフック6から離脱することがない。
【0047】
さらに、荷役アーム3が前記所定回動位置乃至この前後位置にある状態で、規制部材16の重心位置がピン31(軸心C3)よりも車両後方側へ移行し、自重によって規制部材16が開放位置側へ回動しようとしても、規制部材16の外周円弧面38の一部がコンテナ10の前壁10aに接触し、これ以上開放位置側へ回動することができない状態となるように、外周円弧面38の形状を設定してもよい。そしてこの状態では、係合ピン11がフック6の凹部8内から離脱しようとしても、規制部材16の先端部16eは当該係合ピン11と係合できる位置にあり、係合ピン11がフック6から離脱するのを防止できる。
【0048】
また、車両後方の地面が後方へ向かって下り勾配面(傾斜面)である場合、コンテナ10のローラ33が接地すると、その勾配によってコンテナ10には後方へ移動しようとする力が働く。これにより、図示しないが、係合ピン11がフック6の先端部9側へ移動し、さらに先端部9を乗り越えてフック6から外れようとする。しかし、この場合であっても、係合ピン11は規制部材16の先端部16aと係合した状態となり、凹部8から離脱するのを防止することができる。
【0049】
そして、図4から図5に示しているように、荷役アーム3をさらに下方(車両後方)へ回動させることにより、コンテナ10を地面に降ろすことができる。この状態では、図10(e)に示しているように、規制部材16は自重によって開放位置へと自動的に切り替わる。これにより、フック6の凹部8の開口部がコンテナ10側に開放された状態となり、車両を前進させることで、コンテナ10はフック6から離れることができる。
【0050】
次に、コンテナ10の積み込み動作について説明する。
図5と図7とに示しているように、フック6の凹部8の開口部がコンテナ10側に向くように、荷役アーム3を後方へ回動させた位置とする。この際、図7に示しているように、フック6の凹部8の開口部の高さ位置がコンテナ10の係合ピン11よりも低い位置とする。そして、ガイド部材29のガイド面29a(またはフック6の当接面27)に係合ピン11が当接するまで車両を後退させる。
【0051】
この状態で、荷役アーム3を上方へ回動させると、フック6は上方へ向かって移動する。これにより、フック6はその基端部7側から係合ピン11に接近し、フック6の凹部8に係合ピン11を係合させることができる。そして、この動作において、規制部材16が開放位置にある状態で、ガイド面29a、当接面27及び受け面15に沿って係合ピン11はフック6の凹部8内へ誘導され移動する。なお、開放位置にある規制部材16は、係合ピン11のこの誘導を阻害することがない(邪魔をすることはない)。これにより、係合ピン11とフック6とが係合した状態となる。
【0052】
そして、図5から図4と図3とに示しているように、荷役アーム3を上方(前方)へ回動させると、コンテナ10のローラ33を支点としてフック6はコンテナ10を持ち上げ車体フレーム2へ引き込む。
そして、この積み込み動作において、図11(f)の状態から、荷役アーム3を上方へ回動させ積み込み動作途中の状態に進めると、図11(g)から(h)に示しているように、フック6は姿勢変化しながら、フック6の先端部9がコンテナ10の前壁10aと係合ピン11との間に位置し、フック6の凹部8の開口部は上を向く方向となっていく。
【0053】
このようにフック6の姿勢は荷役アーム3の回動によって変化するが、係合ピン11はコンテナ10の自重によってフック6の凹部8内において下方へ向かう力が作用しているために、係合ピン11は凹部8のうち底部面に位置するように当該凹部8内を滑り移動する。これにより係合ピン11は、規制部材16の被押圧面15と接触し押圧することができる。したがって、フック6の姿勢変化に応じて規制部材16は規制位置側(反時計回り方向)へ自動的に回動することができ、規制部材16の外周円弧面38がコンテナ10の前壁10aに接触することなく、規制部材16は自動的に規制位置側へ立ち上がるように回動する。これにより、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周囲からほぼ囲んだ状態(図11(h))、つまり規制部材16が準規制位置となり、規制部材16はその位置に保持されている。これにより、係合ピン11とフック6との係合が解けてコンテナ10がフック6から脱落してしまうことを防止することができる。
【0054】
また、図11(g)と(h)との状態において、係合ピン11がフック6の凹部8の内面8aから離れ、規制部材16の凹部36を押して規制部材16を仮に開放位置側(時計回り方向)へ回動させようとしても、規制部材16の外周円弧面38の一部がコンテナ10の前壁10aに当接することによって、規制部材16は開放位置の方向へ回動するのが制限される。つまり、規制部材16の外周円弧面38は、規制部材16が開放位置の方向へ回動するのを制限する制限部となっている。これにより、係合ピン11が凹部8から離脱することを防止できる。さらに、規制部材16の外周円弧面38を制限部として用いていることで、制限部として別部材が不要であり、構造の簡素化及び部品点数の低減が図れる。
【0055】
そして、この状態から荷役アーム3をさらに前方へ向かって回動させることによって、コンテナ10を車体フレーム2の上に着床させることができる(図2)。この際、図11(i)と(j)とに示しているように、規制部材16の重心位置が、ピン31(軸線C3)よりも車両後方側から前方側へと移行することにより、規制部材16は自重によって自動的に回動し、ストッパ23の第2受け面23bに規制部材16の第2当接面16dが当接し、規制部材16は規制位置となる。この状態は、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周方向に囲んだ位置となり、規制部材16が凹部8の開口部を略閉鎖することで、凹部8内にある係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止することができる。
【0056】
その後、前記第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が伸張動作することによって、フックアーム22はコンテナ10と共に車両前方へ水平移動する(図1)。図2及び図1の状態では、図11(j)に示しているように、規制部材16は規制位置に存在し、係合ピン11がフック6から離脱することを防止している。これにより、車両はコンテナ10を搭載した状態で安全に走行することができる。
【0057】
なお、図2と図8とにおいて、コンテナ10を車体フレーム2上に載置させた状態において、係合ピン11の高さが若干高いために、(図示しないが)係合ピン11がフック6の基端部7から上に浮いた状態となる場合がある。この状態から前記のとおりコンテナ10を降ろす動作を行うと、係合ピン11は、フック6の凹部8から離脱する方向へ相対的に移動しようとする。しかし、この場合であっても、規制位置にある規制部材16の先端部16eによってこれが防止され、コンテナ10がフック6から外れるのを防ぐことが可能となる。
【0058】
以上のように、コンテナ10の積み降ろし動作途中の状態では、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周囲からほぼ囲んだ状態、つまり、一部を残して周囲から囲んだ状態となり、規制部材16が凹部8の開口部を閉鎖することで、凹部8内にある係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止することができる。
【0059】
また、本発明のコンテナ荷役車両は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、図1と図2では、荷役アーム3において、フックアーム22がリフトアーム21に対して直線的に進退駆動する場合を説明したが、この他に、図示しないが、フックアーム22がリフトアーム21に対して車両後方へ回動駆動するものであってもよい。または、フックアーム22がリフトアーム21に対して相対的に移動(スライドや回動)する構造ではなく、両者を一体として荷役アーム3を構成してもよい。さらに、図示しないが、荷役アーム3は、車体フレーム2に直接回動可能として取り付けられたものであってもよい。
さらに、図7では、フックアーム22の背面28にガイド部材29を取り付け、係合ピン11を誘導するガイド面29aを形成したが、図示しないが、ガイド部材29を設けることなく、フックアーム22の背面28を直接、係合ピン11を誘導するガイド面としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のコンテナ荷役車両の実施の一形態を示す側面図である。
【図2】コンテナを後方へ水平移動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図3】荷役アームを上方へ回動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図4】荷役アームをさらに上方へ回動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図5】コンテナが地上にある状態でのコンテナ荷役車両の側面図である。
【図6】ダンプアーム及び荷役アームがコンテナとともに上方へ傾動した状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図7】荷役装置のフック部分とコンテナの前部とを示す図である。
【図8】図7のフック部分が姿勢を変えた状態を示す図である。
【図9】図8のフック部分を車両前方から見た図であり、一部を断面で示している。
【図10】コンテナの降ろし動作を説明している図である。
【図11】コンテナの積み込み動作を説明している図である。
【図12】従来のコンテナ荷役車両を示す図であり、コンテナが地上にある状態である。
【図13】従来のコンテナ荷役車両を示す図であり、コンテナが車両に搭載された状態である。
【符号の説明】
【0061】
1 荷役装置
2 車体フレーム
3 荷役アーム
6 フック
7 基端部
8 凹部
8a 内面
9 先端部
10 コンテナ
10a 前壁
11 係合部(係合ピン)
15 被押圧面
16 規制部材
18 受け面
27 当接面
i 軌跡
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体フレームと地上との間でコンテナを積み降ろしさせることができるコンテナ荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
図12と図13とに示しているように、コンテナ50を車体フレーム45と地上との間で積み降ろしさせることができるコンテナ荷役車両として従来知られているものに、車幅方向の軸線回りに回動する荷役アーム47を有した荷役装置を備えているものがある。荷役アーム47の先端部にフック46が固定されており、荷役装置は、コンテナ50の前壁にある係合ピン49にフック46を係合させた状態で荷役アーム47を回動させることにより、コンテナ50を車体フレーム45と地上との間で積み降ろしすることができる。
フック46には規制部材48が回動自在に設けられており、この規制部材48は、係合ピン49がフック46から離脱するのを阻止する規制位置(図13(b))と、係合ピン49がフック46から係脱自在となる開放位置(図12(b))との間を自重によって回動することができる。そして、荷役装置がコンテナ50を地上との間で積み降ろしする際、規制部材48は規制位置にあり、係合ピン49がフック46から離脱するのを防止している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第2903462号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコンテナ荷役車両において、地上にあるコンテナ50を車体フレーム45上に積み込む動作は、図12において、荷役アーム47を後方へ回動させた状態とし、フック46にコンテナ50の係合ピン49を係合させてから、荷役アーム47を反時計回り方向に回動させることによって行われる。しかし、従来の荷役装置では、フック46に係合ピン49を係合させる際、作業者が荷役アーム47を小さく上下回動させ位置調整することにより、フック46の開口部と係合ピン49との上下位置を合わせる必要がある。このために、フック46と係合ピン49とを係合させる作業が難しいという問題点がある。
【0005】
そこで、フック46を係合ピン49(図12(b)の二点鎖線)よりも低い位置とした状態から、荷役アーム47を上方(矢印の方向)へ回動させ、係合ピン49とフック46とを係合させることが考えられる。しかし、この場合、従来のフック46では、規制部材48がフック46の開口部の上位置に取り付けられているため、係合ピン49とフック46とを係合させるために荷役アーム47を上方へ回動させても、係合ピン49が規制部材48に引っ掛かって、両者を係合させることができなくなるというおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、コンテナの積み降ろし動作中に荷役装置のフックからコンテナが脱落してしまうことを防止できるとともに、フックとコンテナの係合部との係合作業を容易にできるコンテナ荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するためのこの発明のコンテナ荷役車両は、前壁に係合部が設けられたコンテナを載置させる車体フレームと、車幅方向の軸線回りに回動可能である荷役アームと、この荷役アームの先端側に固定され前記係合部と係合させるべく基端部と先端部との間に凹部が形成されたフックとを有し、前記凹部に前記係合部を係合させた状態で前記荷役アームを回動させることにより前記コンテナを前記車体フレームと地上との間で積み降ろしさせる荷役装置とを備え、前記フックは、前記係合部が前記凹部から離脱するのを阻止する規制位置と前記係合部が前記凹部に対して係脱自在となる開放位置との間を回動自在な規制部材を有し、前記規制部材は、前記開放位置で前記凹部の内面よりも突出し前記係合部に押圧されることにより前記規制部材を規制位置側となる方向へ回動させる被押圧面と、前記開放位置で前記フックの前記基端部側から前記被押圧面へと続くように形成されており前記係合部が当該基端部と当該被押圧面との間に嵌ることを防止する受け面とを有しているものである。
【0008】
この構成によれば、規制部材が規制位置にあるとコンテナの係合部がフックの凹部から離脱してしまうのを阻止でき、また、規制部材が開放位置にあると係合部が凹部から係脱自在となるため、フックと係合部との着脱が可能となる。
そして、規制部材の受け面が、当該規制部材が開放位置でフックの基端部側から被押圧面へと続くように形成されているので、フックとコンテナの係合部とを係合させる係合動作の際に、係合部がフックの基端部と被押圧面との間に嵌ることを防止する。これにより、係合部をフックの凹部の所定位置に配置させることができ、この状態から、係合部によって規制部材の被押圧面が押圧されると、規制部材は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
【0009】
また、前記コンテナ荷役車両において、前記荷役装置は、前記荷役アームの回動により、前記フックを前記基端部側から前記係合部に接近させて前記凹部に当該係合部を係合させる係合動作が可能であり、前記受け面は、前記係合動作の際に前記係合部を前記フックの基端部側から前記凹部の内面へ誘導する面であるのが好ましい。
この構成によれば、係合動作の際、フックの凹部を係合部よりも低い位置とし、規制部材を開放位置とし、荷役アームを上方へ回動させれば、フックをその基端部から係合部に接近させて係合部を凹部に係合させることができ、フックと係合部との係合作業がより一層容易となる。
さらに、この係合動作の際に、規制部材の受け面は、係合部をフックの凹部の内面へ誘導する。この受け面によれば、この誘導の際、係合部がフックの基端部から被押圧面までの間の途中で引っ掛かる等して停留してしまうことを防止することができる。これにより、係合部をフックの凹部の所定位置に配置させることができる。
【0010】
また、このコンテナ荷役車両において、前記フックは、前記係合動作の際に前記係合部と当接可能であり当該係合部を前記凹部に向かって誘導する当接面を前記基端部側に有しており、前記受け面は、前記係合動作の際に前記当接面に誘導された前記係合部が前記凹部に向かう軌跡に沿って形成された面であるのが好ましい。
この構成によれば、前記係合動作において、フックの基端部側にある当接面により凹部に向かって誘導された係合部は、引き続いて受け面により凹部に誘導されるので、係合部は凹部へより正確に誘導され、係合部とフックとを確実に係合させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明のコンテナ荷役車両置によれば、コンテナの積み降ろし動作中において、規制部材が規制位置にあるとコンテナの係合部がフックの凹部から離脱してしまうのを阻止できるので、フックからコンテナが脱落してしまうことを防止できる。そして、規制部材の受け面によって、係合部とフックとの係合動作の際に、係合部がフックの基端部と被押圧面との間に嵌ることを防止することができる。そして、フックの凹部の所定位置に配置させた係合部によって規制部材の被押圧面が押圧されると、規制部材は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明のコンテナ荷役車両の実施の一形態を示している側面図である。図2、図3、図4及び図5は、このコンテナ荷役車両によって行われるコンテナ10の積み降ろし動作を示している側面図である。
このコンテナ荷役車両は、コンテナ10を載置させる車体フレーム2と、この車体フレーム2と地上との間でコンテナ10を積み降ろしさせる荷役装置1とを備えている。荷役装置1は、車体フレーム2の車両前後方向の後部に基端部が取り付けられている直線状のダンプアーム4と、ダンプアーム4の先端部に取り付けられている荷役アーム3とを有している。
【0013】
ダンプアーム4は車体フレーム2に、車幅方向の第一軸線C1を中心として回動可能に取り付けられている。荷役アーム3はダンプアーム4の先端部において、車幅方向の第二軸線C2を中心として回動可能に取り付けられている。さらに、荷役アーム3とダンプアーム4との間には固縛手段(図示せず)が設けられており、固縛手段は荷役アーム3とダンプアーム4との間の回動を規制したり、回動自在としたり切り替えることができる。
【0014】
荷役アーム3は、ダンプアーム4に第二軸線C2を中心として回動可能に取り付けられた直線状のリフトアーム21と、このリフトアーム21に対して進退自在に設けられたフックアーム22とを有している。
リフトアーム21の途中部には、第一伸縮アクチュエータ12の一端部が回動自在に取り付けられている。第一伸縮アクチュエータ12の他端部は車体側(車体フレーム2)に回動自在に取り付けられている。この第一伸縮アクチュエータ12の伸縮動作によって、図2、図3、図4及び図5に示しているように、荷役アーム3が第二軸線C2を中心として車体フレーム2に対して回動することができる。また、図6に示しているように、第一伸縮アクチュエータ12の伸縮動作によって、固縛手段で一体とされた荷役アーム3とダンプアーム4とが第一軸線C1を中心として回動することができる。つまり、コンテナ10がダンプアーム4及び荷役アーム3と共に上方へ傾動したダンプ状態となる。
【0015】
荷役アーム3において、フックアーム22は、リフトアーム21の長手方向に進退自在(スライド自在)として当該リフトアーム21に保持されている進退部22aと、この進退部22aの先端から略直角に立設された立設部22bとによってL字形に形成されている。図1と図2とにおいて、フックアーム22の進退部22aとリフトアーム21との間には第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が介在しており、この第二伸縮アクチュエータの伸縮動作によって進退部22aはリフトアーム21に対して進退し、これによりフックアーム22はリフトアーム21に対して伸縮動作することができる。そして、立設部22bの先端部にフック6が固定されており、このフック6はコンテナ10の前壁10aに設けられた係合部11と係合する。
【0016】
以上の構成によれば、前記固縛手段により荷役アーム3(リフトアーム21)がダンプアーム4に対して回動可能とされている状態で、第一伸縮アクチュエータ12を伸縮させることによって、図2、図3、図4及び図5に示しているように、荷役アーム3は車体フレーム2に対して第二軸線C2を中心として回動する。これにより、荷役装置1は、フック6と係合しているコンテナ10を、車体フレーム2と地上との間で積み降ろしすることができる。
【0017】
図7は荷役装置のフック6部分とコンテナ10の前部とを示す図である。図8は荷役アーム3が回動することにより図7のフック6部分が姿勢を変えた状態を示す図である。
図7において、コンテナ10の係合部11は左右方向に長い係合ピン(リフトバー)11である。コンテナ10の前壁10aには、前方へ突出している左右一対の腕部19が固定されており、この腕部19の先端側に前記係合ピン11が固定されている。係合ピン11はコンテナ10の前壁10aから前後方向に離れて設けられている。これにより、係合ピン11と前壁10aとの間にフック6がその先端部9から進入することによって、フック6と係合ピン11とは係合した状態となることができる。
【0018】
フック6は側面視において略コ字形である。フック6は基端部7側においてフックアーム22の立設部22bの先端部に固定されている。フック6は、係合ピン11を係合させるために、その基端部7と先端部9との間に凹部8が形成されている。なお、このフック6において、凹部8が開いている側(図7の右側)をフック6の開口側aといい、これと反対側(図7の左側)を背面側bという。
【0019】
フック6の基端部7には先端部9側へ隆起している隆起部26が形成されており、この隆起部26はフック6の先端部9と対向している。フック6の基端部7のうちの開口側aの面(当接面)27は、他の部材やフック6自身による突起部が無い滑らかな一つの面であり、この当接面27は前記隆起部26へと続いている。そして、この隆起部26から先端部9までの間に凹部8の円弧状の内面8aが連続している。また、当接面27はフック6の先端部9側(凹部8の内面8a)へ向かってまっすぐな(または小さく湾曲した)面であり、当接面27から延長させた延長面は凹部8の内面8aと交差する。つまり、先端部9は当接面27の延長面よりもコンテナ10側へ突出している。また、当接面27は、後にも説明するが、係合ピン11とフック6とを係合させる係合動作の際に係合ピン11と当接可能であり、係合ピン11を凹部8に向かって誘導することができる部分である。
【0020】
図5と図7とに示しているように、フックアーム22(荷役アーム3)が車両後方へ回動した状態では、フック6の凹部8は車両後方、すなわちコンテナ10側に向かって開口した状態となり、図2と図8とに示しているように、フックアーム22が前方へ回動した状態では、フック6の凹部8は車両前方に向かって開口した状態となる。
【0021】
フック6は規制部材16を有しており、この規制部材16は、フック6の基端部7よりも先端部9寄りの位置において、車幅方向の軸線C3回りに回動自在に設けられている。規制部材16はフック6に対して所定の範囲で回動自在であり、規制部材16は、コンテナ10の係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止する規制位置(図8の状態)と、係合ピン11が凹部8に対して係脱自在となる開放位置(図7の状態)との間の範囲を回動することができる。そして、この規制部材16は、その重心位置と軸線C3との位置関係により、フック6の姿勢に応じて当該規制部材16の自重により自動的に回動することができる。つまり、フックアーム22が車両後方へ回動し、フック6の凹部8がコンテナ10側に向かって開口した状態(図7)では、規制部材16は開放位置となり、フックアーム22が前方へ回動し、フック6の凹部8が車両前方に向かって開口した状態(図8)では、規制部材16は規制位置となることができる。
【0022】
フック6の背面側bには、ストッパ23が設けられている。このストッパ23は、規制部材16の回動範囲を制限することができる。つまり、フックアーム22を後方へ回動させた状態で、規制部材16はその自重によって開放位置となる方向(時計回り方向)へ回動するようになっており、規制部材16が所定の位置で、規制部材16の一部(第1当接面16c)がストッパ23の第1受け面23aに接触する(図7)。この状態から規制部材16はさらに時計回り方向へ回動することができなくなる。この状態は、規制部材16が開放位置にある状態であり、この状態が保たれる。
一方、フックアーム22を前方へ回動させた状態では、規制部材16はその自重によって規制位置となる方向(反時計回り方向)へ回動するようになっており、規制部材16が所定の位置で、規制部材16の他部(第2当接面16d)がストッパ23の第2受け面23bに接触する(図8)。この状態から規制部材16はさらに反時計回り方向へ回動することができなくなる。この状態は、規制部材16が規制位置にある状態であり、この状態が保たれる。
【0023】
そして、図8に示しているように、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を塞いでいる状態が、規制部材16の規制位置であり、この規制位置では、規制部材16は凹部8内の係合ピン11が当該凹部8から離脱するのを阻止する。一方、図7に示しているように、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を開放している状態が、規制部材16の開放位置であり、この開放位置では、係合ピン11は凹部8に接近し凹部8内に存在しフック6と係合することができ、また、係合ピン11は凹部8から離脱することができる。
【0024】
そして、以上の構成の荷役装置1によれば、図7に示しているように、車両後方に位置させたフックアーム22を上方へ回動させることにより、フック6をその基端部7側から係合ピン11に接近させてフック6の凹部8に当該係合ピン11を係合させる係合動作が可能となる。すなわち、フック6に係合ピン11を係合させる動作を行うために、フック6の凹部8の位置を係合ピン11よりも低い位置とし、車両Cを後退させ係合ピン11がフックアーム22の一部(後述するガイド面29a)乃至前記当接面27に当るようにし、荷役アーム3を上方へ回動させる。これにより、係合ピン11は当接面27に当接し当該当接面27に沿って移動し、その後、凹部8内へと導かれる。
【0025】
また、図7において、フックアーム22の先端側部分のうちフック6の開口側aに近い面(背面)28にはガイド部材29が取り付けられている。このガイド部材29のコンテナ10側へ向く面はガイド面29aであり、当接面27と略一続きの滑らかな面を構成する。これにより、フック6に係合ピン11を係合させる前記係合動作の際に、係合ピン11はガイド面29aに当接し当該ガイド面29aに沿って移動し当接面27まで誘導され、この当接面27によってさらに係合ピン11は凹部8へと導かれる。
【0026】
図9は図8のフック6部分を車両前方から見た図であり、一部を断面で示している。図7と図8と図9とにおいて、規制部材16は側面視ほぼ円弧形状を有しており、内側に円弧状の内面36aを有した凹部36が形成されている。規制部材16は、フック6の側方に設けられており、この規制部材16がその一部においてフック6の中間部14とピン31によって連結されている。そして、規制部材16はこのピン31の軸線C3を中心として回動自在となっている。なお、前記中間部14はフック6の基端部7と先端部9との間の部分である。
【0027】
この実施形態の規制部材16は、第1部材16aと第2部材16bとを有している。第1部材16aは板部材からなり、第2部材16bは第1部材16aとは別体とした板部材からなり、第1部材16aと第2部材16bとは、ボルト20(図9参照)によって固定され一体となっている。図7と図8とにおいて、規制部材16の前記凹部36は第1部材16aに形成されている。
【0028】
図7において、規制部材16は一部に被押圧面15を有し、他部に受け面18を有している。規制部材16が開放位置にある状態で、第1部材16aは、フック6の凹部8の内面8aよりもコンテナ10側(開口側)へ突出した状態となる突出部24を有しており、この突出部24の一部に前記被押圧面15が形成されている。この被押圧面15は、規制部材16の凹部36の内面36aの一端部側(フック6の基端部7に近い側)に形成された面である。
【0029】
規制部材16が開放位置にある状態で、被押圧面15はフック6の凹部8の内面8aよりも突出しているため、当該凹部8内にある係合ピン11に接触して押圧されることにより、規制部材16を規制位置側となる方向へ回動させることができる面である。すなわち、前記係合動作において、係合ピン11がフック6の凹部8内に存在し(図7の破線の状態)、フックアーム22が上方へ回動することによって、係合ピン11が凹部8の奥部側(フック6の基端部8側)へさらに移動すると、係合ピン11は被押圧面15に接触し押圧する。これにより、開放位置にあった規制部材16は、軸線C3回りに規制位置側となる方向(反時計回り方向)へ回動することとなる。
【0030】
なお、規制部材16が規制位置にある状態では(図8)、被押圧面15はフック6の凹部8の内面8aよりも背面側bの位置に退避しており、被押圧面15と係合ピン11とは接触できない状態となっている。そして、係合ピン11が凹部8内に存在している状態で、規制部材16が規制位置にある状態から開放位置側となる方向へ回動した場合、係合ピン11と被押圧面15とが接触することにより、規制部材16の回動は制限される。このように規制部材16の回動が制限された状態を準規制位置という。
【0031】
受け面18は第2部材16bに形成されている。規制部材16が開放位置にある状態(図7)で、側面視において、受け面18は、フック16の基端部7側(当接面27乃至隆起部26)から被押圧面15へと続くように形成されており、係合ピン11がフック6の基端部7と被押圧面15との間に嵌ることを防止することができる面である。受け面18はフックの基端部7側から伸びて形成されており、フック6の当接面27と側面視において略一続きとなり、かつ、受け面18は、被押圧面15のうちの突出している側の先部と側面視において略一続きとなるように形成されている。したがって、規制部材16が開放位置にある状態では、ガイド面29a、当接面27、及び受け面18が一つの面上に形成され、これらが続くように形成されている。これにより、受け面18は、前記係合動作の際に係合ピン11をフック6の凹部8の内面8aへ誘導することができる面となる。
【0032】
このように、規制部材16が開放位置にある状態で、受け面18は、フック6の当接面27乃至隆起部26と、被押圧面15の突出している側の先部との間に存在している面となる。このため、係合ピン11をフック6の凹部8に係合させるために、係合ピン11が当接面27に沿って移動した後、係合ピン11はスムーズに受け面18へと移動することができ、係合ピン11が、フック6の基端部7と規制部材16との間に挟まってしまい停留することが防止され、係合ピン11は凹部6に到達することができる。
【0033】
また、規制部材16が開放位置にある状態において、規制部材16は、前記係合動作の際、係合ピン11がフック6の基端部7側から凹部8まで誘導される動作を阻害することがないように構成されている。つまり、規制部材16は係合動作の際に邪魔にならない位置にある。具体的には、フック6の凹部8の内面8aから突出している部分である突出部24(被押圧面15の先部)は、前記係合動作の際に前記当接面27を利用した凹部8までの係合ピン11の誘導を阻害することがない位置まで突出するように形成されている。
【0034】
これについてさらに説明すると、図7の状態から係合動作のためにフックアーム22を上方へ回動させると、係合ピン11はガイド面29a及び当接面27に沿って移動し、これら面から延長する軌跡iを移動しようとする。つまり、凹部8の内面8aに向かう軌跡iを移動しようとする。このため、被押圧面15の先部は、この軌跡iから背面側bの位置に存在しており、さらに、受け面18は、この軌跡iに沿って形成された面又はこの軌跡iよりも背面側bに存在している面となっている。
すなわち、受け面18は、当接面27をフック6の先端部9側へ延長させた延長面から背面側bに存在している。図7の形態では、受け面18は前記延長面よりも背面側bに存在しているが、図示しないが、延長面と一致させるのが好ましい。
【0035】
これにより当接面27に沿って移動した係合ピン11が、受け面18によって、フック6の基端部8側と被押圧面15との間に嵌ることが防止され、つまり、基端部8側から被押圧面15までの間の途中で引っ掛かって停留してしまうことが防止されて、フック6の凹部8の内面8aと被押圧面15との間へ誘導される。これにより、係合ピン11をフック6の凹部8の所定位置に配置させることができる。そして、この状態から、係合ピン11によって被押圧面15が押圧されると、規制部材16は規制位置側となる方向へ自動的に回動することができ、係合作業が容易となる。
以上のように、規制部材16が開放位置にある状態で、受け面18が形成されている第2部材16bは、被押圧面15が形成されている第1部材16aと、フック6の基端部7(隆起部26)との間に、係合ピン11が挟まり得る隙間が生じないようにしている。
【0036】
なお、図示しないが、仮に前記隙間が生じ、この隙間に係合ピン11が挟まって規制部材16を押すと、規制部材16は規制位置となる方向と反対方向へ回動しようとする。これにより、規制部材16がストッパ23を無理に押し、これらを破損させるおそれがある。さらに、前記隙間が生じており、特に係合ピン11の直径が、第1部材16aと隆起部26との間の最大寸法よりも大きい場合、係合ピン11はその隙間に挟まりやすくなる。
しかし、この発明によれば、たとえ係合ピン11の直径が、第1部材16aと隆起部26との間の最大寸法よりも大きくても、前記受け面18を有している第2部材16bにより、規制部材16と隆起部26との間に隙間が生じないようにしているため、係合ピン11がフック6の基端部7側と第1部材16aとの間で停留してしまうことが防止される。
【0037】
また、規制部材16の凹部36の内面36a(被押圧面15)の左右両縁部には面取り加工(面取り部)が施されている。コンテナ10が車体フレーム2に対して左右いずれかに斜めにある状態で係合ピン11をフック6に係合させる場合、係合ピン11は規制部材16の内面36a(被押圧面15)の縁部に当接する。係合ピン11が、面取り部が無いとした場合の前記縁部を押圧すると、当該係合ピン11の形状によって、規制部材16は規制位置となる方向へ余分な量を回動するおそれがある。この場合、回動した規制部材16がストッパ23を過度の力で押圧し、破損させることもある。これは係合ピン11がその中央部で高く両側部で低く形成された略への字形状である場合に、このようなことが生じる。しかし、前記縁部に面取り部が形成されているため、この面取り部によって、前記のように係合ピン11が規制部材16の内面36aの縁部に当接することを防止できる。
【0038】
また、図9に示しているように、規制部材16は第1部材16aと第2部材16bとの2枚を有し、これらを重ね合わせていることにより、規制部材16のうちのフックアーム22に近い側を段付き形状としている。そして、この段付き部16fと、フック6の基端部7及びフック6を固定しているフックアーム22の先端部との間には隙間が形成されている。特に、フックアーム22の先端部は、車幅方向に広がるテーパ形状であり幅広となっているが、前記段付き部16fによって、第2部材16bをフックアーム22からより離してフックアーム22との間に隙間を形成することができ、規制部材16の回動の際の両者間の干渉を防いでいる。
【0039】
また、図9では、規制部材16はフック6の一側面側にのみ設けられているが、同じ形状の規制部材16をフック6の他側面側にも設けてもよい。このように規制部材16を、フック6を挟んで左右両側に設けた場合、両規制部材16を連結部材によって連結固定して同時に回動するようにしてもよいが、両規制部材16は連結部材を用いずにそれぞれ独立して回動するように構成するのが好ましい。これは、例えば、車体フレーム2に対してコンテナ10が左右方向に傾いた状態で、係合ピン11をフック6に係合させる際、係合ピン11が規制部材16に当接することによって当該規制部材16のそれぞれに不均等な力が作用する。この場合、両規制部材16を繋ぐ連結部材が存在していると、当該連結部材及び規制部材16に大きな捩れ力が生じ、これらを変形させるおそれがあるためである。しかし、両規制部材16がそれぞれ独立して回動自在であれば、規制部材16のそれぞれは係合ピン11との接触状態に応じた角度で自由に回動することができ、規制部材16に無理な力が作用することを防止できる。
なお、前記実施形態の規制部材16では、第1部材16aと第2部材16bとを別部材とし、ボルト20(図9参照)によって相互を一体としているが、これ以外に、(図示しないが)第1部材と第2部材とを1つの部材によって構成することで一体とする構成であってもよい。
【0040】
以上の実施形態のコンテナ荷役車両によるコンテナ10の積み降ろし動作について説明する。図10はコンテナ10の降ろし動作を説明している図であり、図11はコンテナ10の積み込み動作を説明している図である。図10(a)は荷役アーム3(図2)を前側から後方へ回動させてコンテナ10を地上へ降ろす動作の開始時の状態を示しており、図8の状態と同じである。図10(e)はコンテナ10を地上に降ろした荷降ろし完了の状態を示しており、図7の状態と同じである。
図11(f)は地上にあるコンテナ10の積み込み(吊り上げ)動作開始時の状態を示しており、図7の状態と同じである。また、図11(j)はコンテナ10を車体フレーム2に載置させた積み込み完了の状態を示しており、図8の状態と同じである。図10(b)(c)(d)及び図11(g)(h)(i)はそれぞれ、降ろし動作及び積み込み動作の途中の状態を示している。
【0041】
まず、コンテナ10の地上への降ろし動作について説明する。
図1の状態から、フックアーム22の進退部22aとリフトアーム21との間に介在している第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が短縮動作することによって、フックアーム22はコンテナ10とともに車両後方へ向かって水平移動する(図2)。この際、車体フレーム2の後端部に設けた支持ローラ32によってコンテナ10の後端底部が支持された状態で、コンテナ10は車両後側へ向かって移動する。
【0042】
図2の状態から第一伸縮アクチュエータ12が伸張動作することによって、荷役アーム3を第二軸線C2回りに車両後側へ回動させる(図3と図4)。なお、図1から図2のように、フックアーム22を第二伸縮アクチュエータ(図示せず)によって車両後方へ移動させてから、荷役アーム3を第二軸線C2回りに回動させることにより、第二軸線C2を中心とするフック6(係合ピン11)における回動半径は小さくなる。これにより、フック6の回動軌跡の高さを低く抑えることができる。
【0043】
そして、この回動により、フックアーム22の先端部に固定されたフック6がコンテナ10の係合ピン11と係合した状態で、フック6はコンテナ10を持ち上げるようにして移動させる。この際、コンテナ10は支持ローラ32を支点として傾動するが(図3)、やがて、コンテナ10は支持ローラ32から離れ、コンテナ10の後端底部に設けられているローラ33が地面に接触する(図4)。
【0044】
なお、この図1から図4までの状態(動作)では、図10(a)又は(b)に示しているように、規制部材16は規制位置又は前記準規制位置にある。具体的に説明すると、図1と図2と図10(a)の状態では、規制部材16は規制位置にあるが、荷役アーム3を回動させることで、規制位置にあった規制部材16はフック6の姿勢が変化することにより、当該規制部材16の自重によって開放位置側(時計回り方向)へ回動しようとする)。しかし、図10(b)に示しているように、この場合であっても、規制部材16の被押圧面15に係合ピン11が当接した状態となる。これにより、規制部材16が開放位置となるのを防いでいる。準規制位置では、規制位置にあった規制部材16が少し開放位置側となる方向へ回動した状態であるが、規制部材16が開放位置側へ自重によってさらに回動してしまうことが防止された状態であり、規制部材16がフック6の凹部8の開口部を塞ぎ、係合ピン11は凹部8から離脱できない状態である。
【0045】
特に、図3において、コンテナ10の後端部(ローラ33)が地面に接しておらずその底面がガイドローラ32に支持された状態で、かつ、コンテナ10の重心位置がガイドローラ32よりも車両後方側にあると(リフトアーム21が水平に対してほぼ45°の時)、コンテナ10はガイドローラ32を支点として前壁10a側が上方へ回動する方向へ倒れようとする。これにより、図10(b)の破線で示しているように、係合ピン11はフック6の凹部8内から離脱しようとする方向(上方)へ移動するおそれがある。しかし、この場合であっても、規制部材16は準規制位置に保たれた状態にあったため、係合ピン11は規制部材16の凹部36と係合した状態が保たれる。つまり、規制部材16の先端側はUターン形状に湾曲しており、その先端部16eに係合ピン11が係合するため、係合ピン11がフック6から離脱することがなく、コンテナ10がフック6から脱落してしまうことを防止できる。
【0046】
さらに、図4に示しているように、荷役アーム3が所定回動位置まで回動することによって、コンテナ10のローラ33が地面に接触した状態となる。そして、荷役アーム3のさらなる後方への回動によってコンテナ10は地面に沿って、車両後方へ移動しようとする。この動作の際、フック6部分の回動軌道は後方下向きとなり始める。したがって、地面が車両後方へ向かって昇り勾配面(傾斜面)であったり地面が悪路であったりして、コンテナ10が車両後方へ移動し難くい状態の場合、図10(b)に示しているように、係合ピン11が隆起部26を越えてフック6から外れようとする。しかし、規制部材16が前記の場合と同様に、準規制位置に保たれた状態にあったため、係合ピン11は規制部材16の先端部16eによってフック6から離脱することがない。
【0047】
さらに、荷役アーム3が前記所定回動位置乃至この前後位置にある状態で、規制部材16の重心位置がピン31(軸心C3)よりも車両後方側へ移行し、自重によって規制部材16が開放位置側へ回動しようとしても、規制部材16の外周円弧面38の一部がコンテナ10の前壁10aに接触し、これ以上開放位置側へ回動することができない状態となるように、外周円弧面38の形状を設定してもよい。そしてこの状態では、係合ピン11がフック6の凹部8内から離脱しようとしても、規制部材16の先端部16eは当該係合ピン11と係合できる位置にあり、係合ピン11がフック6から離脱するのを防止できる。
【0048】
また、車両後方の地面が後方へ向かって下り勾配面(傾斜面)である場合、コンテナ10のローラ33が接地すると、その勾配によってコンテナ10には後方へ移動しようとする力が働く。これにより、図示しないが、係合ピン11がフック6の先端部9側へ移動し、さらに先端部9を乗り越えてフック6から外れようとする。しかし、この場合であっても、係合ピン11は規制部材16の先端部16aと係合した状態となり、凹部8から離脱するのを防止することができる。
【0049】
そして、図4から図5に示しているように、荷役アーム3をさらに下方(車両後方)へ回動させることにより、コンテナ10を地面に降ろすことができる。この状態では、図10(e)に示しているように、規制部材16は自重によって開放位置へと自動的に切り替わる。これにより、フック6の凹部8の開口部がコンテナ10側に開放された状態となり、車両を前進させることで、コンテナ10はフック6から離れることができる。
【0050】
次に、コンテナ10の積み込み動作について説明する。
図5と図7とに示しているように、フック6の凹部8の開口部がコンテナ10側に向くように、荷役アーム3を後方へ回動させた位置とする。この際、図7に示しているように、フック6の凹部8の開口部の高さ位置がコンテナ10の係合ピン11よりも低い位置とする。そして、ガイド部材29のガイド面29a(またはフック6の当接面27)に係合ピン11が当接するまで車両を後退させる。
【0051】
この状態で、荷役アーム3を上方へ回動させると、フック6は上方へ向かって移動する。これにより、フック6はその基端部7側から係合ピン11に接近し、フック6の凹部8に係合ピン11を係合させることができる。そして、この動作において、規制部材16が開放位置にある状態で、ガイド面29a、当接面27及び受け面15に沿って係合ピン11はフック6の凹部8内へ誘導され移動する。なお、開放位置にある規制部材16は、係合ピン11のこの誘導を阻害することがない(邪魔をすることはない)。これにより、係合ピン11とフック6とが係合した状態となる。
【0052】
そして、図5から図4と図3とに示しているように、荷役アーム3を上方(前方)へ回動させると、コンテナ10のローラ33を支点としてフック6はコンテナ10を持ち上げ車体フレーム2へ引き込む。
そして、この積み込み動作において、図11(f)の状態から、荷役アーム3を上方へ回動させ積み込み動作途中の状態に進めると、図11(g)から(h)に示しているように、フック6は姿勢変化しながら、フック6の先端部9がコンテナ10の前壁10aと係合ピン11との間に位置し、フック6の凹部8の開口部は上を向く方向となっていく。
【0053】
このようにフック6の姿勢は荷役アーム3の回動によって変化するが、係合ピン11はコンテナ10の自重によってフック6の凹部8内において下方へ向かう力が作用しているために、係合ピン11は凹部8のうち底部面に位置するように当該凹部8内を滑り移動する。これにより係合ピン11は、規制部材16の被押圧面15と接触し押圧することができる。したがって、フック6の姿勢変化に応じて規制部材16は規制位置側(反時計回り方向)へ自動的に回動することができ、規制部材16の外周円弧面38がコンテナ10の前壁10aに接触することなく、規制部材16は自動的に規制位置側へ立ち上がるように回動する。これにより、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周囲からほぼ囲んだ状態(図11(h))、つまり規制部材16が準規制位置となり、規制部材16はその位置に保持されている。これにより、係合ピン11とフック6との係合が解けてコンテナ10がフック6から脱落してしまうことを防止することができる。
【0054】
また、図11(g)と(h)との状態において、係合ピン11がフック6の凹部8の内面8aから離れ、規制部材16の凹部36を押して規制部材16を仮に開放位置側(時計回り方向)へ回動させようとしても、規制部材16の外周円弧面38の一部がコンテナ10の前壁10aに当接することによって、規制部材16は開放位置の方向へ回動するのが制限される。つまり、規制部材16の外周円弧面38は、規制部材16が開放位置の方向へ回動するのを制限する制限部となっている。これにより、係合ピン11が凹部8から離脱することを防止できる。さらに、規制部材16の外周円弧面38を制限部として用いていることで、制限部として別部材が不要であり、構造の簡素化及び部品点数の低減が図れる。
【0055】
そして、この状態から荷役アーム3をさらに前方へ向かって回動させることによって、コンテナ10を車体フレーム2の上に着床させることができる(図2)。この際、図11(i)と(j)とに示しているように、規制部材16の重心位置が、ピン31(軸線C3)よりも車両後方側から前方側へと移行することにより、規制部材16は自重によって自動的に回動し、ストッパ23の第2受け面23bに規制部材16の第2当接面16dが当接し、規制部材16は規制位置となる。この状態は、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周方向に囲んだ位置となり、規制部材16が凹部8の開口部を略閉鎖することで、凹部8内にある係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止することができる。
【0056】
その後、前記第二伸縮アクチュエータ(図示せず)が伸張動作することによって、フックアーム22はコンテナ10と共に車両前方へ水平移動する(図1)。図2及び図1の状態では、図11(j)に示しているように、規制部材16は規制位置に存在し、係合ピン11がフック6から離脱することを防止している。これにより、車両はコンテナ10を搭載した状態で安全に走行することができる。
【0057】
なお、図2と図8とにおいて、コンテナ10を車体フレーム2上に載置させた状態において、係合ピン11の高さが若干高いために、(図示しないが)係合ピン11がフック6の基端部7から上に浮いた状態となる場合がある。この状態から前記のとおりコンテナ10を降ろす動作を行うと、係合ピン11は、フック6の凹部8から離脱する方向へ相対的に移動しようとする。しかし、この場合であっても、規制位置にある規制部材16の先端部16eによってこれが防止され、コンテナ10がフック6から外れるのを防ぐことが可能となる。
【0058】
以上のように、コンテナ10の積み降ろし動作途中の状態では、規制部材16の凹部36とフック6の凹部8とによって、係合ピン11を周囲からほぼ囲んだ状態、つまり、一部を残して周囲から囲んだ状態となり、規制部材16が凹部8の開口部を閉鎖することで、凹部8内にある係合ピン11が凹部8から離脱するのを阻止することができる。
【0059】
また、本発明のコンテナ荷役車両は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、図1と図2では、荷役アーム3において、フックアーム22がリフトアーム21に対して直線的に進退駆動する場合を説明したが、この他に、図示しないが、フックアーム22がリフトアーム21に対して車両後方へ回動駆動するものであってもよい。または、フックアーム22がリフトアーム21に対して相対的に移動(スライドや回動)する構造ではなく、両者を一体として荷役アーム3を構成してもよい。さらに、図示しないが、荷役アーム3は、車体フレーム2に直接回動可能として取り付けられたものであってもよい。
さらに、図7では、フックアーム22の背面28にガイド部材29を取り付け、係合ピン11を誘導するガイド面29aを形成したが、図示しないが、ガイド部材29を設けることなく、フックアーム22の背面28を直接、係合ピン11を誘導するガイド面としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のコンテナ荷役車両の実施の一形態を示す側面図である。
【図2】コンテナを後方へ水平移動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図3】荷役アームを上方へ回動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図4】荷役アームをさらに上方へ回動させた状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図5】コンテナが地上にある状態でのコンテナ荷役車両の側面図である。
【図6】ダンプアーム及び荷役アームがコンテナとともに上方へ傾動した状態にあるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図7】荷役装置のフック部分とコンテナの前部とを示す図である。
【図8】図7のフック部分が姿勢を変えた状態を示す図である。
【図9】図8のフック部分を車両前方から見た図であり、一部を断面で示している。
【図10】コンテナの降ろし動作を説明している図である。
【図11】コンテナの積み込み動作を説明している図である。
【図12】従来のコンテナ荷役車両を示す図であり、コンテナが地上にある状態である。
【図13】従来のコンテナ荷役車両を示す図であり、コンテナが車両に搭載された状態である。
【符号の説明】
【0061】
1 荷役装置
2 車体フレーム
3 荷役アーム
6 フック
7 基端部
8 凹部
8a 内面
9 先端部
10 コンテナ
10a 前壁
11 係合部(係合ピン)
15 被押圧面
16 規制部材
18 受け面
27 当接面
i 軌跡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁に係合部が設けられたコンテナを載置させる車体フレームと、
車幅方向の軸線回りに回動可能である荷役アームと、この荷役アームの先端側に固定され前記係合部と係合させるべく基端部と先端部との間に凹部が形成されたフックと、を有し、前記凹部に前記係合部を係合させた状態で前記荷役アームを回動させることにより前記コンテナを前記車体フレームと地上との間で積み降ろしさせる荷役装置と、
を備え、
前記フックは、前記係合部が前記凹部から離脱するのを阻止する規制位置と前記係合部が前記凹部に対して係脱自在となる開放位置との間を回動自在な規制部材を有し、
前記規制部材は、前記開放位置で前記凹部の内面よりも突出し前記係合部に押圧されることにより前記規制部材を規制位置側となる方向へ回動させる被押圧面と、前記開放位置で前記フックの前記基端部側から前記被押圧面へと続くように形成されており前記係合部が当該基端部と当該被押圧面との間に嵌ることを防止する受け面と、を有していることを特徴とするコンテナ荷役車両。
【請求項2】
前記荷役装置は、前記荷役アームの回動により、前記フックを前記基端部側から前記係合部に接近させて前記凹部に当該係合部を係合させる係合動作が可能であり、
前記受け面は、前記係合動作の際に前記係合部を前記フックの基端部側から前記凹部の内面へ誘導する面である請求項1に記載のコンテナ荷役車両。
【請求項3】
前記フックは、前記係合動作の際に前記係合部と当接可能であり当該係合部を前記凹部に向かって誘導する当接面を前記基端部側に有しており、
前記受け面は、前記係合動作の際に前記当接面に誘導された前記係合部が前記凹部に向かう軌跡に沿って形成された面である請求項2に記載のコンテナ荷役車両。
【請求項1】
前壁に係合部が設けられたコンテナを載置させる車体フレームと、
車幅方向の軸線回りに回動可能である荷役アームと、この荷役アームの先端側に固定され前記係合部と係合させるべく基端部と先端部との間に凹部が形成されたフックと、を有し、前記凹部に前記係合部を係合させた状態で前記荷役アームを回動させることにより前記コンテナを前記車体フレームと地上との間で積み降ろしさせる荷役装置と、
を備え、
前記フックは、前記係合部が前記凹部から離脱するのを阻止する規制位置と前記係合部が前記凹部に対して係脱自在となる開放位置との間を回動自在な規制部材を有し、
前記規制部材は、前記開放位置で前記凹部の内面よりも突出し前記係合部に押圧されることにより前記規制部材を規制位置側となる方向へ回動させる被押圧面と、前記開放位置で前記フックの前記基端部側から前記被押圧面へと続くように形成されており前記係合部が当該基端部と当該被押圧面との間に嵌ることを防止する受け面と、を有していることを特徴とするコンテナ荷役車両。
【請求項2】
前記荷役装置は、前記荷役アームの回動により、前記フックを前記基端部側から前記係合部に接近させて前記凹部に当該係合部を係合させる係合動作が可能であり、
前記受け面は、前記係合動作の際に前記係合部を前記フックの基端部側から前記凹部の内面へ誘導する面である請求項1に記載のコンテナ荷役車両。
【請求項3】
前記フックは、前記係合動作の際に前記係合部と当接可能であり当該係合部を前記凹部に向かって誘導する当接面を前記基端部側に有しており、
前記受け面は、前記係合動作の際に前記当接面に誘導された前記係合部が前記凹部に向かう軌跡に沿って形成された面である請求項2に記載のコンテナ荷役車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−247304(P2008−247304A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93780(P2007−93780)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
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