コンテナ
【課題】コンテナに収容物を投入するための作業機を用いてコンテナ本体を移動させることを可能にするコンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ10は、収容物を収容可能なコンテナ本体16と、コンテナ本体16に対して収容物を投入するための作業機30の作業具31が係合可能であり且つ係合した状態で作業機によってコンテナ本体16を移動させることができる係合装置28と、を備える。
【解決手段】コンテナ10は、収容物を収容可能なコンテナ本体16と、コンテナ本体16に対して収容物を投入するための作業機30の作業具31が係合可能であり且つ係合した状態で作業機によってコンテナ本体16を移動させることができる係合装置28と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建設現場等において土砂を収容し、運搬するために用いられるコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル建設現場では、地下において掘削作業を行い、排出された土砂を地上まで移動し、地上において移送用車両に積み込む作業が行われる。移送車両に積み込まれた土砂は、埋め立て造成地等の廃棄場所に運搬されるようになっている。
【0003】
上記の作業には、効率化を図るために移送車両としてコンテナ荷役車両が用いられ、空のコンテナと、土砂を収容したコンテナとを載せ替えてピストン輸送することが一般に行われている。このコンテナ荷役車両に関して、下記特許文献1には、車体にコンテナを積み降ろしする作業にフォークリフトを用いることが開示されている。下記特許文献2には、コンテナを車体上へ自動で積み降ろしする積み降ろし装置を具備したコンテナ荷役車両が開示されており、コンテナには、積み降ろし装置のフックが係合するリフトバーが形成されている。
また、トンネル建設現場では、コンテナ昇降用のエレベータを設置し、地上と地下との間でコンテナを移動させている。
【0004】
【特許文献1】実開昭55−88986号公報
【特許文献2】特開2006−56414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテナ昇降用のエレベータには、フォークリフトを用いてコンテナを出し入れするのが一般的である。また、特許文献2記載のコンテナのようにリフトバーが設けられている場合は、このリフトバーを用いて荷役車両によりコンテナを出し入れすることも行われている。
しかし、いずれの場合も、地上と地下との双方にフォークリフトや荷役車両等の車両を配備しておかなければならず、そのための手間と費用がかかっていた。
【0006】
また、コンテナ昇降用のエレベータは、現場に応じて仕様が異なり、地上と地下とで出入口が同じ側にある場合と、反対側にある場合とがある。後者の場合、地上でリフトバーを用いてエレベータにコンテナを載せることができても、地下ではリフトバーが出入口側に現れなくなるので、コンテナの引き出し作業にリフトバーを用いることができない。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、例えばコンテナ昇降用エレベータに対してコンテナ本体を出し入れするために、コンテナ本体に収容物を投入する作業機を用いてコンテナ本体を移動させることができるコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、収容物を収容可能なコンテナ本体と、このコンテナ本体に前記収容物を投入するための作業機の作業具が係合可能であり且つ係合した状態で前記作業機によって前記コンテナ本体を移動可能とする第1係合部材と、を備えていることを特徴としている。
これによれば、コンテナ本体を移動させるために、コンテナ本体に収容物を投入するための作業機を用いることが可能となる。したがって、作業現場において、コンテナ本体を移動させるためだけのフォークリフトや荷役車両等の配備を省略又は少なくすることができ、その手間や費用を削減することができる。
【0009】
例えば、前記作業機が前記作業具としてバケットを具備している場合には、バケットによって土砂等をコンテナ本体に投入し、第1係合部材にバケットを係合させることによってコンテナ本体を移動させることが可能となる。バケットを有する作業機としては、ホイールローダやパワーショベル等を採用することができる。
【0010】
前記第1係合部材は、前記コンテナ本体の一側部に設けられ、他側部には、前記コンテナ本体を荷役車両に対して積み降ろしするための装置(積み降ろし装置)が係合する第2係合部材が設けられていることが好ましい。この場合、地上と地下とで出入口が互いに反対側に形成されたコンテナ昇降用エレベータに対して、地上では、第2係合部材を利用して荷役車両及び積み降ろし装置によりコンテナ本体を出し入れし、地下では、第1係合部材を用いて作業機によりコンテナ本体を出し入れすることができる。
【0011】
前記第1係合部材は、前記コンテナ本体から突出し且つ前記作業具が係合可能な係合位置と、この係合位置から前記コンテナ本体側に退避する退避位置との間で、姿勢変更可能に設けられていることが好ましい。これにより、コンテナ本体を移動させる場合には、第1係合部材を係合位置に配置して作業具が係合可能な状態とすることができ、コンテナ本体を荷役車両により運搬する場合等には、第1係合部材を退避位置に配置することで突出量を少なくし、周囲のものとの接触を防止することができる。
【0012】
前記コンテナ本体が、揺動することによって開閉する煽戸を有している場合、前記第1係合部材は、前記係合位置と前記退避位置との間で前記煽戸の揺動軸心と同一の軸心回りに揺動可能に設けられることが好ましい。これにより、第1係合部材が障害となることなく煽戸を開閉させることが可能となる。
【0013】
前記第1係合部材は、前記作業具に係合可能な係合位置と、前記コンテナ本体の上方開口を塞ぐ閉塞位置との間で姿勢変更可能に設けられていることが好ましい。これによって、第1係合部材を使用しないときは、コンテナ本体の上方開口を塞ぐ蓋として第1係合部材を用いることができる。
【0014】
前記第1係合部材は、前記作業具に左右方向に並べて設けられた隣接する突部間に配置されるか、又は、前記作業具に設けられた1若しくは複数の突部を左右から挟むように配置されることにより、前記突部に左右方向に係合する規制部を備えていることが好ましい。これによって、第1係合部材に対する作業具の左右方向の相対移動を規制することができ、両者の係合を確実にするとともに、左右方向の相対移動に伴う両者の摩耗を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテナ本体に収容物を投入する作業機を用いてコンテナ本体を移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンテナの平面図、図2は、コンテナの側面図、図3は、コンテナの背面図である。コンテナ10は、前後壁部11,12、左右壁部13,14、及び底壁部15を備えた上方開放状のコンテナ本体16を備えている。このコンテナ本体16は、土砂等を収容するとともに、荷役車両46(図7)に搭載された状態で運搬されるようになっている。
なお、以下の説明では、図1における左側を前側とし、右側を後側とする。
【0017】
コンテナ本体16の前壁部11は、他の壁部よりも上方に突出しており、その上端部の左右中央にリフトバー(第2係合部材)18を備えている。このリフトバー18は、荷役車両46の積み降ろし装置47(図7)に係合され、荷役車両46に対してコンテナ本体16を積み降ろしするために用いられる。コンテナ本体16の下面4隅には、接地ローラ19が設けられ、この接地ローラ19によってコンテナ本体16が前後方向に移動可能となっている。
【0018】
コンテナ本体16の上部開口の後端部には、天蓋21が設けられている。この天蓋21は、荷役車両46の積み降ろし装置47によってコンテナ本体16を後下がり姿勢に傾斜させたとき、収容した土砂がこぼれ落ちるのを防いでいる。
コンテナ本体16の後壁部12は、テールゲート(煽戸)となっている。このテールゲート12は、上方に突出する取付ブラケット22を備え、この取付ブラケット22を天蓋21の左右両側に設けた支持ブラケット23に左右方向(水平方向)の枢支軸24を介して連結することにより、前後(上下)揺動可能となっている。そして、コンテナ本体16に収容した土砂等を排出するときは、このテールゲート12を開放可能な状態とし、荷役車両46の積み降ろし装置47によりコンテナ本体16を後ろ下がり傾斜姿勢とすることにより、テールゲート12を開いて土砂を排出するようになっている。
【0019】
天蓋21には、本発明に係る係合装置(第1係合部材)28が設けられている。この係合装置28は、コンテナ本体16に土砂を投入するためのホイールローダ(作業機)30のバケット(作業具)31が係合可能であり(図7、図8参照)、係合した状態でホイールローダ30を前後進させることによってコンテナ本体16を前後に移動させることができるようになっている。
係合装置28は、天蓋21上の左右方向中央部に設置されており、天蓋21から上方に延びる基体33と、基体33の上端から後方及び後斜め下方に延びる係合体34とを有している。図1に示すように、係合体34の後端(自由端)は、テールゲート12よりもやや後方に突出している。
【0020】
図4は、係合装置28の斜視図である。この図では、テールゲート12を支持する支持ブラケット等を省略してある。基体33は、左右方向に並べて配置された3本の支柱部材35と、各支柱部材35の上端をつなぐ横材41とを備え、各支柱部材35の基部は補強部材36により補強されている。
係合体34は、バケット31の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有しており、基体33の上端から後方へ略水平に延びる水平部37と、水平部37から後斜め下方に延びる傾斜部38とを備えている。水平部37及び傾斜部38は、3本の縦材39と、各縦材39を前後複数箇所で相互に繋ぐ横材40とを備えている。
【0021】
前記支柱部材35,横材41,40,縦材39は、パイプ材等の棒状部材からなっており、係合装置28は、複数の棒状部材を相互に連結することによって格子形状に形成されている。
【0022】
図5は、係合装置28とホイールローダ30のバケット31との係合状態を拡大して示す断面図である。バケット31は、その掘削性を向上するため先端縁に複数の爪31aを備えており、爪31aは上方先細り状に形成されている。そして、バケット31は、先端部を係合体34の前側に挿入するとともに、係合体34下端の横材40の前面42またはその縁42aにバケット31の内面31bを当接させることによって、係合装置28に係合可能となっている。図5(b)に示すように係合した場合、バケット31先端の爪(突部)31aは、係合装置28の格子内に入り込むようになっている。
【0023】
図6(a)は、係合装置28とホイールローダ30のバケット31との係合状態を拡大して示す平面図である。同図において、複数の爪31aは間隔Iをあけて配置されている。
一方、係合装置28は、バケット31の左右幅L2よりも小さい左右幅L1に形成され、係合装置28の縦材39は、爪31aの間隔Iと略同じか小さい横幅aを有し、2つの爪31a毎のピッチで配置されている。すなわち、隣接する縦材39の間隔sは、2つの爪31aを入り込ませることができる寸法に設定されている。そして、バケット31を係合装置28に係合させるとき、爪31aを縦材39間に入り込ませ、縦材39の左右両側部を爪31aに係合させることによって、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制できるようになっている。ここに、縦材39の左右両側部は、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制する規制部39aを構成している。
【0024】
以下、図7を参照して本実施形態のコンテナ10をトンネル建設作業に用いる場合について説明する。建設現場にはエレベータ45が設置されており、このエレベータ45は、地上に前向きの出入口45Aを備え、地下に後向きの出入口45Bを備えている。
まず、荷役車両46に搭載された空のコンテナ本体16を、積み降ろし装置47により車体から降ろし、そのまま荷役車両46によって後向きにエレベータ45に載せる。或いは、地上に降ろしたコンテナ本体16をフォークリフト(図示略)によってエレベータ45に載せる。
【0025】
次に、エレベータ45によってコンテナ本体16を地下に降ろし、ホイールローダ30を後面側の出入口45Bからコンテナ本体16に近づけ、係合装置28の基体33と係合体34との間にバケット31の先端を挿入して(係合体34をバケット31内に挿入させて)、図5に示したように、バケット31を係合装置28の係合体34に係合する。そして、バケット31を上昇させることによりコンテナ本体16の後部を持ち上げ、更に、ホイールローダ30を後進させることによって、バケット31の内面31bにより係合装置28の前面42又は縁42aを後方へ押し、コンテナ本体16をエレベータ45から引き出す。この状態を図8(a)に示す。
【0026】
その後、ホイールローダ30によってコンテナ本体16に土砂を投入し、コンテナ本体16が土砂で一杯になると、再度エレベータ45にコンテナ本体16を載せる。この作業は、上述の如くホイールローダ30のバケット31を係合装置28に係合させた状態で、ホイールローダ30を前進させることにより行う。この状態を図8(b)に示す。
最後に、エレベータ45によってコンテナ本体16を地上に上昇し、コンテナ本体16のリフトバー18に荷役車両46の積み降ろし装置47を係合し、コンテナ本体16を前方に引っ張ることによってエレベータ45から引き出し、そのまま荷役車両46の車体上に搭載する。或いは、フォークリフト(図示略)によってエレベータ45からコンテナ本体16を引き出し、積み降ろし装置47により荷役車両46にコンテナ本体16を搭載する。
【0027】
以上の作業において、コンテナ本体16は、地下では土砂投入用のホイールローダ30によって移動され、エレベータ45に対して出し入れされるので、コンテナ本体16を移動させるためだけにフォークリフトや荷役車両46等を地下に配備させておく必要はない。したがって、これらを配備するための手間や費用を削減することができる。
【0028】
係合装置28は、複数の棒状部材により格子形状に形成されており、バケット31が係合したときに、先端の爪31a(図5(b),図6(a))を格子内に嵌め込ませることができるので、係合装置28とバケット31との係合を確実なものとし、係合状態を維持することができる。特に、バケット31の爪31aを縦材39の規制部39aに左右方向に接触(係合)させて、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができるので、バケット31や係合装置28の摩耗を防止することができる。
【0029】
また、例えば、バケット31と係合装置28との左右幅を略同じに設定すれば、爪31aを係合装置28の縦材39に係合させなくてもバケット31の内側面と係合装置28が接触し、両者の左右方向の相対移動を規制することが可能となるが、本実施形態のように、バケット31の爪31aを縦材39の規制部39aに係合させることによって、係合装置28の左右幅L1がバケット31の左右幅L2より小さくても、両者の左右方向の相対移動を規制することが可能となる。したがって、係合装置28のコンパクト化及び軽量化を図ることができる。さらに、異なる大きさのバケット31でも左右方向に相対移動することなく係合装置28に係合することが可能となる。
【0030】
なお、図7に示す作業において、エレベータ45の出入口45A,45Bが、地上及び地下の双方とも前側(図7の左側)に設けられている場合は、地上において、フォークリフト等によりコンテナ本体16を前向きに(リフトバー18側から)エレベータ45に載せることで、地下において、ホイールローダ30のバケット31を係合装置28に係合し、コンテナ本体16を引き出すことができる。
【0031】
係合装置28は、図6(b)に示すように、バケット31の1つの爪31a毎のピッチで複数(図例では5本)の縦材39を備えたものとすることができる。すなわち、爪31aのピッチと縦材39のピッチとを同一にし、縦材39の間隔sを爪31aの幅wと略同じかやや広く設定して、各縦材39の間に1つの爪31aが配置されるように構成することができる。また、3以上の爪31a毎のピッチで縦材39を配置することもできる。
【0032】
つまり、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制する形態としては、左右方向に複数の爪31aの各間に1又は複数の縦材39を配置するか、或いは、左右方向に複数の縦材39の各間に1又は複数の爪31aを配置することが考えられ、いずれにおいても、爪31aが左右方向に動いたときに該爪31aを縦材39(規制部39a)に当接させて、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0033】
図9は、本発明の第2実施形態に係るコンテナ10の後部側の平面図、図10は、コンテナ10の後部側の側面図、図11は、コンテナ10の背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1実施形態と異なっている。
本実施形態の係合装置28は、コンテナ本体16に左右方向の連結軸54を介して前後揺動可能に支持され、ホイールローダ30のバケット31に係合可能な係合位置(図10(b))と、係合位置からコンテナ本体16側に退避した退避位置(図10(a))との間で姿勢変更可能となっている。
【0034】
以下、具体的に説明する。係合装置28は、左右一対の縦材51と、この縦材51の下端を連結する横材52と、縦材51の上部から上方に突出する連結ブラケット53とを有する係合体34を備えており、連結ブラケット53は、天蓋21上に立設された支持ブラケット55に左右方向の連結軸54を介して連結されている。この連結軸54は、図9及び図11に示すように、テールゲート12を揺動開閉可能に支持する枢支軸24と同一軸心O1上に配置されている。なお、図10では、テールゲート12を揺動可能に支持するための取付ブラケット22,支持ブラケット23,枢支軸24を省略してある。
【0035】
コンテナ10は、係合装置28を係合位置、退避位置に保持するための保持手段を備えている。図10(b)に示すように、保持手段は、天蓋21上に立設された保持ブラケット56を備え、保持ブラケット56の上端部にはボス部57が設けられている。係合体34の連結ブラケット53には、左右方向に貫通する連結孔59が形成され、ボス部57と連結孔59とを適合させた状態で、これらに保持ピン58(図9,図11も参照)を挿通することによって、係合体34が係合位置に保持される。係合位置にある係合体34は、コンテナ本体16の上部から後斜め下方に突出した状態になる。
【0036】
また、図10(a)に示すように、係合体34の自由端には、保持ピン58挿通用の孔60aを形成した保持片60が設けられている。そして、係合装置28を前方に揺動するとともに、テールゲート12と保持片60とに保持ピン58を挿入することで、係合体34が退避位置に保持される。退避位置にある係合体34は、テールゲート12に重なった状態で固定され、後方への突出量が最小限となっている。
【0037】
本実施形態では、係合装置28を係合位置に配置することで、第1実施形態と同様に、ホイールローダ30のバケット31(図7)を適切に係合させることができる。また、係合装置28を退避位置に配置することで、係合装置28が後方に大きく突出しなくなるので、周囲のものに接触する可能性が低くなり、また、コンテナ本体16を運搬する際に、荷役車両46から係合装置28が突出するのを防止することができる。
【0038】
また、図9に示すように、テールゲート12の枢支軸24と係合体34の連結軸54とは、同一軸心O1上に配置されているので、図12に示すように、テールゲート12が上方に揺動して開いたときに、係合体34も共に上方に揺動し、テールゲート12との相対位置関係が維持されるようになっている。したがって、係合体34がテールゲート12の開閉の邪魔になることはない。
【0039】
また、第1実施形態と同様に、爪31aの間に縦材51を入り込ませ、爪31aと縦材51の左右両側部(規制部)とを左右方向に係合させることにより、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0040】
図13は、本発明の第3実施形態に係るコンテナの平面図、図14は、コンテナの側面図、図15は、コンテナの背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1,第2実施形態と異なっている。
本実施形態の係合装置28は、第2実施形態と同様に、係合位置と退避位置との間で姿勢変更可能であるが、退避位置では、コンテナ本体16の上部開口の後部側を塞ぐことにより、天蓋として機能している。したがって、本実施形態では、係合装置28の退避位置のことを、コンテナ本体16の上部開口を閉塞する閉塞位置という。図13〜図15は、いずれも係合装置28が閉塞位置にある状態を示している。
【0041】
係合装置28は、前後に複数の横材67及び縦材66によって格子状に形成された基枠70と、この基枠70の両面に固着された一対の四角形状の係合板68,69と、係合板68,69の左右両側から突出する連結ブラケット64と、を有する係合体34を備えている。連結ブラケット64は、天蓋21に立設した支持ブラケット63に連結軸65を介して回動自在に連結されている。
【0042】
図13に示すように、コンテナ本体16には、天蓋21のすぐ前側において上部開口の左右両側を覆う補助天蓋21Aが設けられており、係合体34は、閉塞位置において、左右補助天蓋21Aの間に略水平な姿勢で配置されている。また、閉塞位置にある係合体34は、補助天蓋21Aに固定手段71によって固定される。
【0043】
図16は、係合装置28を係合位置に配置した状態を示す側面図である。係合位置にある係合装置28の係合体34は、テールゲート12に重なるように略垂直に配置され、ピン、ボルト等の固定手段によってテールゲート12に固定される。係合装置28の下端には、一対の係合板68,69の間により左右方向に延びる溝34aが形成され、バケット31は、この溝34aに先端を挿入することによって係合体34に係合される。図16(a)には、バケット31を係合する前(実線)と係合した後(2点鎖線)の状態を示し、図16(b)には、係合したバケット31によりコンテナ本体16の後部を持ち上げた状態を示している。
【0044】
本実施形態では、係合装置28が、バケット31に対する係合部材としての機能と、コンテナ本体16の蓋としての機能とを有しているので、各機能を別の部材で構成する場合に比べて部品点数減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
また、係合体34は、係合位置においてテールゲート12に重なるように略垂直に配置されているので、さほど後方に大きく突出せず、周囲のものとの接触を防止することができる。
【0045】
また、係合装置28は、係合位置においてテールゲート12を覆うように配置されるとともに、その下端部にバケット31が係合するようになっているので、バケット31が誤ってテールゲート12に衝突することはほとんどなく、テールゲート12の破損を防止することができる。
なお、補助天蓋21Aは、コンテナ本体16の上部開口を大きく開放するために開閉可能に構成してもよい。また、係合体34の下端の溝34aに、バケット31の爪31aと左右方向に係合する縦材(規制部)を設けてもよい。
【0046】
図17は、本発明の第4実施形態に係るコンテナの後部の平面図、図18は、コンテナの後部側面図、図19は、コンテナの背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1〜第3実施形態と異なっており、また、本実施形態の係合装置28は、第2、第3実施形態のように姿勢変更はせず、第1実施形態と同様にコンテナ本体16に対して固定された形態となっている。
【0047】
係合装置28は、天蓋21に立設された基体33と、基体33の上端から後斜め下方に延びる係合体34とからなっている。基体33及び係合体34は、左右方向に並設された複数の縦材72と、各縦材72を連結する横材73,74,75とを備えている。縦材72は、基体33と係合体34とを一体的に形成すべく、側面視で略逆V字形状に形成された板材により構成されている。縦材72の下端部と後端部とを連結する横材73,75は断面四角形のパイプ材からなり、縦材72の上部を連結する横材74は、断面コ字状に屈曲した板材からなる。
【0048】
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、係合装置28は、その構造の大部分を板材により構成しているので軽量化を図ることができる。また、縦材72の左右両側部は、第1実施形態と同様にバケット31の爪31aに左右方向に係合する規制部を構成し、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0049】
本実施形態は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、作業機としては、ホイールローダ30に限定されず、コンテナ本体16に収容物を収容するためのあらゆる作業機を適用することができ、係合装置28の形態も、使用する作業機の作業具に応じて適宜変更することができる。
また、係合装置28は、コンテナ本体16の前壁部11やテールゲート12に設けることもでき、リフトバー18は、省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンテナの平面図である。
【図2】同コンテナの側面図である。
【図3】同コンテナの背面図である。
【図4】係合装置の斜視図である。
【図5】係合装置とバケットとの係合状態を拡大して示す断面図である。
【図6】係合装置とバケットとの係合状態を拡大して示す平面図である。
【図7】トンネル建設現場の作業状態を示す説明図である。
【図8】ホイールローダによりコンテナを移動させる状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコンテナの後部側の平面図である。
【図10】同コンテナの後部側の側面図である。
【図11】同コンテナの背面図である。
【図12】テールゲートを上方に揺動した状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るコンテナの平面図である。
【図14】同コンテナの側面図である。
【図15】同コンテナの背面図である。
【図16】係合装置を係合位置に配置した状態を示す側面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係るコンテナの後部の平面図である。
【図18】同コンテナの後部側の側面図である。
【図19】同コンテナの背面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 コンテナ
12 テールゲート(煽戸)
16 コンテナ本体
18 リフトバー(第2係合部材)
28 係合部(第1係合部材)
30 ホイールローダ(作業機)
31 バケット(作業具)
31a 爪(突部)
39a 規制部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建設現場等において土砂を収容し、運搬するために用いられるコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル建設現場では、地下において掘削作業を行い、排出された土砂を地上まで移動し、地上において移送用車両に積み込む作業が行われる。移送車両に積み込まれた土砂は、埋め立て造成地等の廃棄場所に運搬されるようになっている。
【0003】
上記の作業には、効率化を図るために移送車両としてコンテナ荷役車両が用いられ、空のコンテナと、土砂を収容したコンテナとを載せ替えてピストン輸送することが一般に行われている。このコンテナ荷役車両に関して、下記特許文献1には、車体にコンテナを積み降ろしする作業にフォークリフトを用いることが開示されている。下記特許文献2には、コンテナを車体上へ自動で積み降ろしする積み降ろし装置を具備したコンテナ荷役車両が開示されており、コンテナには、積み降ろし装置のフックが係合するリフトバーが形成されている。
また、トンネル建設現場では、コンテナ昇降用のエレベータを設置し、地上と地下との間でコンテナを移動させている。
【0004】
【特許文献1】実開昭55−88986号公報
【特許文献2】特開2006−56414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテナ昇降用のエレベータには、フォークリフトを用いてコンテナを出し入れするのが一般的である。また、特許文献2記載のコンテナのようにリフトバーが設けられている場合は、このリフトバーを用いて荷役車両によりコンテナを出し入れすることも行われている。
しかし、いずれの場合も、地上と地下との双方にフォークリフトや荷役車両等の車両を配備しておかなければならず、そのための手間と費用がかかっていた。
【0006】
また、コンテナ昇降用のエレベータは、現場に応じて仕様が異なり、地上と地下とで出入口が同じ側にある場合と、反対側にある場合とがある。後者の場合、地上でリフトバーを用いてエレベータにコンテナを載せることができても、地下ではリフトバーが出入口側に現れなくなるので、コンテナの引き出し作業にリフトバーを用いることができない。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、例えばコンテナ昇降用エレベータに対してコンテナ本体を出し入れするために、コンテナ本体に収容物を投入する作業機を用いてコンテナ本体を移動させることができるコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、収容物を収容可能なコンテナ本体と、このコンテナ本体に前記収容物を投入するための作業機の作業具が係合可能であり且つ係合した状態で前記作業機によって前記コンテナ本体を移動可能とする第1係合部材と、を備えていることを特徴としている。
これによれば、コンテナ本体を移動させるために、コンテナ本体に収容物を投入するための作業機を用いることが可能となる。したがって、作業現場において、コンテナ本体を移動させるためだけのフォークリフトや荷役車両等の配備を省略又は少なくすることができ、その手間や費用を削減することができる。
【0009】
例えば、前記作業機が前記作業具としてバケットを具備している場合には、バケットによって土砂等をコンテナ本体に投入し、第1係合部材にバケットを係合させることによってコンテナ本体を移動させることが可能となる。バケットを有する作業機としては、ホイールローダやパワーショベル等を採用することができる。
【0010】
前記第1係合部材は、前記コンテナ本体の一側部に設けられ、他側部には、前記コンテナ本体を荷役車両に対して積み降ろしするための装置(積み降ろし装置)が係合する第2係合部材が設けられていることが好ましい。この場合、地上と地下とで出入口が互いに反対側に形成されたコンテナ昇降用エレベータに対して、地上では、第2係合部材を利用して荷役車両及び積み降ろし装置によりコンテナ本体を出し入れし、地下では、第1係合部材を用いて作業機によりコンテナ本体を出し入れすることができる。
【0011】
前記第1係合部材は、前記コンテナ本体から突出し且つ前記作業具が係合可能な係合位置と、この係合位置から前記コンテナ本体側に退避する退避位置との間で、姿勢変更可能に設けられていることが好ましい。これにより、コンテナ本体を移動させる場合には、第1係合部材を係合位置に配置して作業具が係合可能な状態とすることができ、コンテナ本体を荷役車両により運搬する場合等には、第1係合部材を退避位置に配置することで突出量を少なくし、周囲のものとの接触を防止することができる。
【0012】
前記コンテナ本体が、揺動することによって開閉する煽戸を有している場合、前記第1係合部材は、前記係合位置と前記退避位置との間で前記煽戸の揺動軸心と同一の軸心回りに揺動可能に設けられることが好ましい。これにより、第1係合部材が障害となることなく煽戸を開閉させることが可能となる。
【0013】
前記第1係合部材は、前記作業具に係合可能な係合位置と、前記コンテナ本体の上方開口を塞ぐ閉塞位置との間で姿勢変更可能に設けられていることが好ましい。これによって、第1係合部材を使用しないときは、コンテナ本体の上方開口を塞ぐ蓋として第1係合部材を用いることができる。
【0014】
前記第1係合部材は、前記作業具に左右方向に並べて設けられた隣接する突部間に配置されるか、又は、前記作業具に設けられた1若しくは複数の突部を左右から挟むように配置されることにより、前記突部に左右方向に係合する規制部を備えていることが好ましい。これによって、第1係合部材に対する作業具の左右方向の相対移動を規制することができ、両者の係合を確実にするとともに、左右方向の相対移動に伴う両者の摩耗を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテナ本体に収容物を投入する作業機を用いてコンテナ本体を移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンテナの平面図、図2は、コンテナの側面図、図3は、コンテナの背面図である。コンテナ10は、前後壁部11,12、左右壁部13,14、及び底壁部15を備えた上方開放状のコンテナ本体16を備えている。このコンテナ本体16は、土砂等を収容するとともに、荷役車両46(図7)に搭載された状態で運搬されるようになっている。
なお、以下の説明では、図1における左側を前側とし、右側を後側とする。
【0017】
コンテナ本体16の前壁部11は、他の壁部よりも上方に突出しており、その上端部の左右中央にリフトバー(第2係合部材)18を備えている。このリフトバー18は、荷役車両46の積み降ろし装置47(図7)に係合され、荷役車両46に対してコンテナ本体16を積み降ろしするために用いられる。コンテナ本体16の下面4隅には、接地ローラ19が設けられ、この接地ローラ19によってコンテナ本体16が前後方向に移動可能となっている。
【0018】
コンテナ本体16の上部開口の後端部には、天蓋21が設けられている。この天蓋21は、荷役車両46の積み降ろし装置47によってコンテナ本体16を後下がり姿勢に傾斜させたとき、収容した土砂がこぼれ落ちるのを防いでいる。
コンテナ本体16の後壁部12は、テールゲート(煽戸)となっている。このテールゲート12は、上方に突出する取付ブラケット22を備え、この取付ブラケット22を天蓋21の左右両側に設けた支持ブラケット23に左右方向(水平方向)の枢支軸24を介して連結することにより、前後(上下)揺動可能となっている。そして、コンテナ本体16に収容した土砂等を排出するときは、このテールゲート12を開放可能な状態とし、荷役車両46の積み降ろし装置47によりコンテナ本体16を後ろ下がり傾斜姿勢とすることにより、テールゲート12を開いて土砂を排出するようになっている。
【0019】
天蓋21には、本発明に係る係合装置(第1係合部材)28が設けられている。この係合装置28は、コンテナ本体16に土砂を投入するためのホイールローダ(作業機)30のバケット(作業具)31が係合可能であり(図7、図8参照)、係合した状態でホイールローダ30を前後進させることによってコンテナ本体16を前後に移動させることができるようになっている。
係合装置28は、天蓋21上の左右方向中央部に設置されており、天蓋21から上方に延びる基体33と、基体33の上端から後方及び後斜め下方に延びる係合体34とを有している。図1に示すように、係合体34の後端(自由端)は、テールゲート12よりもやや後方に突出している。
【0020】
図4は、係合装置28の斜視図である。この図では、テールゲート12を支持する支持ブラケット等を省略してある。基体33は、左右方向に並べて配置された3本の支柱部材35と、各支柱部材35の上端をつなぐ横材41とを備え、各支柱部材35の基部は補強部材36により補強されている。
係合体34は、バケット31の左右方向の幅よりも小さい左右方向の幅を有しており、基体33の上端から後方へ略水平に延びる水平部37と、水平部37から後斜め下方に延びる傾斜部38とを備えている。水平部37及び傾斜部38は、3本の縦材39と、各縦材39を前後複数箇所で相互に繋ぐ横材40とを備えている。
【0021】
前記支柱部材35,横材41,40,縦材39は、パイプ材等の棒状部材からなっており、係合装置28は、複数の棒状部材を相互に連結することによって格子形状に形成されている。
【0022】
図5は、係合装置28とホイールローダ30のバケット31との係合状態を拡大して示す断面図である。バケット31は、その掘削性を向上するため先端縁に複数の爪31aを備えており、爪31aは上方先細り状に形成されている。そして、バケット31は、先端部を係合体34の前側に挿入するとともに、係合体34下端の横材40の前面42またはその縁42aにバケット31の内面31bを当接させることによって、係合装置28に係合可能となっている。図5(b)に示すように係合した場合、バケット31先端の爪(突部)31aは、係合装置28の格子内に入り込むようになっている。
【0023】
図6(a)は、係合装置28とホイールローダ30のバケット31との係合状態を拡大して示す平面図である。同図において、複数の爪31aは間隔Iをあけて配置されている。
一方、係合装置28は、バケット31の左右幅L2よりも小さい左右幅L1に形成され、係合装置28の縦材39は、爪31aの間隔Iと略同じか小さい横幅aを有し、2つの爪31a毎のピッチで配置されている。すなわち、隣接する縦材39の間隔sは、2つの爪31aを入り込ませることができる寸法に設定されている。そして、バケット31を係合装置28に係合させるとき、爪31aを縦材39間に入り込ませ、縦材39の左右両側部を爪31aに係合させることによって、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制できるようになっている。ここに、縦材39の左右両側部は、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制する規制部39aを構成している。
【0024】
以下、図7を参照して本実施形態のコンテナ10をトンネル建設作業に用いる場合について説明する。建設現場にはエレベータ45が設置されており、このエレベータ45は、地上に前向きの出入口45Aを備え、地下に後向きの出入口45Bを備えている。
まず、荷役車両46に搭載された空のコンテナ本体16を、積み降ろし装置47により車体から降ろし、そのまま荷役車両46によって後向きにエレベータ45に載せる。或いは、地上に降ろしたコンテナ本体16をフォークリフト(図示略)によってエレベータ45に載せる。
【0025】
次に、エレベータ45によってコンテナ本体16を地下に降ろし、ホイールローダ30を後面側の出入口45Bからコンテナ本体16に近づけ、係合装置28の基体33と係合体34との間にバケット31の先端を挿入して(係合体34をバケット31内に挿入させて)、図5に示したように、バケット31を係合装置28の係合体34に係合する。そして、バケット31を上昇させることによりコンテナ本体16の後部を持ち上げ、更に、ホイールローダ30を後進させることによって、バケット31の内面31bにより係合装置28の前面42又は縁42aを後方へ押し、コンテナ本体16をエレベータ45から引き出す。この状態を図8(a)に示す。
【0026】
その後、ホイールローダ30によってコンテナ本体16に土砂を投入し、コンテナ本体16が土砂で一杯になると、再度エレベータ45にコンテナ本体16を載せる。この作業は、上述の如くホイールローダ30のバケット31を係合装置28に係合させた状態で、ホイールローダ30を前進させることにより行う。この状態を図8(b)に示す。
最後に、エレベータ45によってコンテナ本体16を地上に上昇し、コンテナ本体16のリフトバー18に荷役車両46の積み降ろし装置47を係合し、コンテナ本体16を前方に引っ張ることによってエレベータ45から引き出し、そのまま荷役車両46の車体上に搭載する。或いは、フォークリフト(図示略)によってエレベータ45からコンテナ本体16を引き出し、積み降ろし装置47により荷役車両46にコンテナ本体16を搭載する。
【0027】
以上の作業において、コンテナ本体16は、地下では土砂投入用のホイールローダ30によって移動され、エレベータ45に対して出し入れされるので、コンテナ本体16を移動させるためだけにフォークリフトや荷役車両46等を地下に配備させておく必要はない。したがって、これらを配備するための手間や費用を削減することができる。
【0028】
係合装置28は、複数の棒状部材により格子形状に形成されており、バケット31が係合したときに、先端の爪31a(図5(b),図6(a))を格子内に嵌め込ませることができるので、係合装置28とバケット31との係合を確実なものとし、係合状態を維持することができる。特に、バケット31の爪31aを縦材39の規制部39aに左右方向に接触(係合)させて、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができるので、バケット31や係合装置28の摩耗を防止することができる。
【0029】
また、例えば、バケット31と係合装置28との左右幅を略同じに設定すれば、爪31aを係合装置28の縦材39に係合させなくてもバケット31の内側面と係合装置28が接触し、両者の左右方向の相対移動を規制することが可能となるが、本実施形態のように、バケット31の爪31aを縦材39の規制部39aに係合させることによって、係合装置28の左右幅L1がバケット31の左右幅L2より小さくても、両者の左右方向の相対移動を規制することが可能となる。したがって、係合装置28のコンパクト化及び軽量化を図ることができる。さらに、異なる大きさのバケット31でも左右方向に相対移動することなく係合装置28に係合することが可能となる。
【0030】
なお、図7に示す作業において、エレベータ45の出入口45A,45Bが、地上及び地下の双方とも前側(図7の左側)に設けられている場合は、地上において、フォークリフト等によりコンテナ本体16を前向きに(リフトバー18側から)エレベータ45に載せることで、地下において、ホイールローダ30のバケット31を係合装置28に係合し、コンテナ本体16を引き出すことができる。
【0031】
係合装置28は、図6(b)に示すように、バケット31の1つの爪31a毎のピッチで複数(図例では5本)の縦材39を備えたものとすることができる。すなわち、爪31aのピッチと縦材39のピッチとを同一にし、縦材39の間隔sを爪31aの幅wと略同じかやや広く設定して、各縦材39の間に1つの爪31aが配置されるように構成することができる。また、3以上の爪31a毎のピッチで縦材39を配置することもできる。
【0032】
つまり、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制する形態としては、左右方向に複数の爪31aの各間に1又は複数の縦材39を配置するか、或いは、左右方向に複数の縦材39の各間に1又は複数の爪31aを配置することが考えられ、いずれにおいても、爪31aが左右方向に動いたときに該爪31aを縦材39(規制部39a)に当接させて、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0033】
図9は、本発明の第2実施形態に係るコンテナ10の後部側の平面図、図10は、コンテナ10の後部側の側面図、図11は、コンテナ10の背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1実施形態と異なっている。
本実施形態の係合装置28は、コンテナ本体16に左右方向の連結軸54を介して前後揺動可能に支持され、ホイールローダ30のバケット31に係合可能な係合位置(図10(b))と、係合位置からコンテナ本体16側に退避した退避位置(図10(a))との間で姿勢変更可能となっている。
【0034】
以下、具体的に説明する。係合装置28は、左右一対の縦材51と、この縦材51の下端を連結する横材52と、縦材51の上部から上方に突出する連結ブラケット53とを有する係合体34を備えており、連結ブラケット53は、天蓋21上に立設された支持ブラケット55に左右方向の連結軸54を介して連結されている。この連結軸54は、図9及び図11に示すように、テールゲート12を揺動開閉可能に支持する枢支軸24と同一軸心O1上に配置されている。なお、図10では、テールゲート12を揺動可能に支持するための取付ブラケット22,支持ブラケット23,枢支軸24を省略してある。
【0035】
コンテナ10は、係合装置28を係合位置、退避位置に保持するための保持手段を備えている。図10(b)に示すように、保持手段は、天蓋21上に立設された保持ブラケット56を備え、保持ブラケット56の上端部にはボス部57が設けられている。係合体34の連結ブラケット53には、左右方向に貫通する連結孔59が形成され、ボス部57と連結孔59とを適合させた状態で、これらに保持ピン58(図9,図11も参照)を挿通することによって、係合体34が係合位置に保持される。係合位置にある係合体34は、コンテナ本体16の上部から後斜め下方に突出した状態になる。
【0036】
また、図10(a)に示すように、係合体34の自由端には、保持ピン58挿通用の孔60aを形成した保持片60が設けられている。そして、係合装置28を前方に揺動するとともに、テールゲート12と保持片60とに保持ピン58を挿入することで、係合体34が退避位置に保持される。退避位置にある係合体34は、テールゲート12に重なった状態で固定され、後方への突出量が最小限となっている。
【0037】
本実施形態では、係合装置28を係合位置に配置することで、第1実施形態と同様に、ホイールローダ30のバケット31(図7)を適切に係合させることができる。また、係合装置28を退避位置に配置することで、係合装置28が後方に大きく突出しなくなるので、周囲のものに接触する可能性が低くなり、また、コンテナ本体16を運搬する際に、荷役車両46から係合装置28が突出するのを防止することができる。
【0038】
また、図9に示すように、テールゲート12の枢支軸24と係合体34の連結軸54とは、同一軸心O1上に配置されているので、図12に示すように、テールゲート12が上方に揺動して開いたときに、係合体34も共に上方に揺動し、テールゲート12との相対位置関係が維持されるようになっている。したがって、係合体34がテールゲート12の開閉の邪魔になることはない。
【0039】
また、第1実施形態と同様に、爪31aの間に縦材51を入り込ませ、爪31aと縦材51の左右両側部(規制部)とを左右方向に係合させることにより、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0040】
図13は、本発明の第3実施形態に係るコンテナの平面図、図14は、コンテナの側面図、図15は、コンテナの背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1,第2実施形態と異なっている。
本実施形態の係合装置28は、第2実施形態と同様に、係合位置と退避位置との間で姿勢変更可能であるが、退避位置では、コンテナ本体16の上部開口の後部側を塞ぐことにより、天蓋として機能している。したがって、本実施形態では、係合装置28の退避位置のことを、コンテナ本体16の上部開口を閉塞する閉塞位置という。図13〜図15は、いずれも係合装置28が閉塞位置にある状態を示している。
【0041】
係合装置28は、前後に複数の横材67及び縦材66によって格子状に形成された基枠70と、この基枠70の両面に固着された一対の四角形状の係合板68,69と、係合板68,69の左右両側から突出する連結ブラケット64と、を有する係合体34を備えている。連結ブラケット64は、天蓋21に立設した支持ブラケット63に連結軸65を介して回動自在に連結されている。
【0042】
図13に示すように、コンテナ本体16には、天蓋21のすぐ前側において上部開口の左右両側を覆う補助天蓋21Aが設けられており、係合体34は、閉塞位置において、左右補助天蓋21Aの間に略水平な姿勢で配置されている。また、閉塞位置にある係合体34は、補助天蓋21Aに固定手段71によって固定される。
【0043】
図16は、係合装置28を係合位置に配置した状態を示す側面図である。係合位置にある係合装置28の係合体34は、テールゲート12に重なるように略垂直に配置され、ピン、ボルト等の固定手段によってテールゲート12に固定される。係合装置28の下端には、一対の係合板68,69の間により左右方向に延びる溝34aが形成され、バケット31は、この溝34aに先端を挿入することによって係合体34に係合される。図16(a)には、バケット31を係合する前(実線)と係合した後(2点鎖線)の状態を示し、図16(b)には、係合したバケット31によりコンテナ本体16の後部を持ち上げた状態を示している。
【0044】
本実施形態では、係合装置28が、バケット31に対する係合部材としての機能と、コンテナ本体16の蓋としての機能とを有しているので、各機能を別の部材で構成する場合に比べて部品点数減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
また、係合体34は、係合位置においてテールゲート12に重なるように略垂直に配置されているので、さほど後方に大きく突出せず、周囲のものとの接触を防止することができる。
【0045】
また、係合装置28は、係合位置においてテールゲート12を覆うように配置されるとともに、その下端部にバケット31が係合するようになっているので、バケット31が誤ってテールゲート12に衝突することはほとんどなく、テールゲート12の破損を防止することができる。
なお、補助天蓋21Aは、コンテナ本体16の上部開口を大きく開放するために開閉可能に構成してもよい。また、係合体34の下端の溝34aに、バケット31の爪31aと左右方向に係合する縦材(規制部)を設けてもよい。
【0046】
図17は、本発明の第4実施形態に係るコンテナの後部の平面図、図18は、コンテナの後部側面図、図19は、コンテナの背面図である。本実施形態のコンテナ10は、係合装置28の構成が第1〜第3実施形態と異なっており、また、本実施形態の係合装置28は、第2、第3実施形態のように姿勢変更はせず、第1実施形態と同様にコンテナ本体16に対して固定された形態となっている。
【0047】
係合装置28は、天蓋21に立設された基体33と、基体33の上端から後斜め下方に延びる係合体34とからなっている。基体33及び係合体34は、左右方向に並設された複数の縦材72と、各縦材72を連結する横材73,74,75とを備えている。縦材72は、基体33と係合体34とを一体的に形成すべく、側面視で略逆V字形状に形成された板材により構成されている。縦材72の下端部と後端部とを連結する横材73,75は断面四角形のパイプ材からなり、縦材72の上部を連結する横材74は、断面コ字状に屈曲した板材からなる。
【0048】
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、係合装置28は、その構造の大部分を板材により構成しているので軽量化を図ることができる。また、縦材72の左右両側部は、第1実施形態と同様にバケット31の爪31aに左右方向に係合する規制部を構成し、係合装置28に対するバケット31の左右方向の相対移動を規制することができる。
【0049】
本実施形態は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、作業機としては、ホイールローダ30に限定されず、コンテナ本体16に収容物を収容するためのあらゆる作業機を適用することができ、係合装置28の形態も、使用する作業機の作業具に応じて適宜変更することができる。
また、係合装置28は、コンテナ本体16の前壁部11やテールゲート12に設けることもでき、リフトバー18は、省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンテナの平面図である。
【図2】同コンテナの側面図である。
【図3】同コンテナの背面図である。
【図4】係合装置の斜視図である。
【図5】係合装置とバケットとの係合状態を拡大して示す断面図である。
【図6】係合装置とバケットとの係合状態を拡大して示す平面図である。
【図7】トンネル建設現場の作業状態を示す説明図である。
【図8】ホイールローダによりコンテナを移動させる状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコンテナの後部側の平面図である。
【図10】同コンテナの後部側の側面図である。
【図11】同コンテナの背面図である。
【図12】テールゲートを上方に揺動した状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るコンテナの平面図である。
【図14】同コンテナの側面図である。
【図15】同コンテナの背面図である。
【図16】係合装置を係合位置に配置した状態を示す側面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係るコンテナの後部の平面図である。
【図18】同コンテナの後部側の側面図である。
【図19】同コンテナの背面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 コンテナ
12 テールゲート(煽戸)
16 コンテナ本体
18 リフトバー(第2係合部材)
28 係合部(第1係合部材)
30 ホイールローダ(作業機)
31 バケット(作業具)
31a 爪(突部)
39a 規制部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を収容可能なコンテナ本体と、このコンテナ本体に前記収容物を投入するための作業機の作業具が係合可能であり且つ係合した状態で前記作業機により前記コンテナ本体を移動可能とする第1係合部材と、を備えていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記コンテナ本体の一側部に前記第1係合部材が設けられ、他側部に、前記コンテナ本体を荷役車両に対して積み降ろしするための装置が係合する第2係合部材が設けられている請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記第1係合部材が、前記コンテナ本体から突出し且つ前記作業具が係合可能な係合位置と、この係合位置から前記コンテナ本体側に退避する退避位置との間で、姿勢変更可能に設けられている請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記コンテナ本体が、揺動することによって開閉する煽戸を有しており、
前記第1係合部材が、前記係合位置と前記退避位置との間で前記煽戸の揺動軸心と同一の軸心回りに揺動可能に設けられている請求項3記載のコンテナ。
【請求項5】
前記第1係合部材が、前記作業具が係合可能な係合位置と、前記コンテナ本体の上方開口を塞ぐ閉塞位置との間で姿勢変更可能に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項6】
前記第1係合部材が、前記作業具に左右方向に並べて設けられた隣接する突部間に配置されるか、又は、前記作業具に設けられた1若しくは複数の突部を左右から挟むように配置されることにより、前記突部に左右方向に係合する規制部を備えている請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項1】
収容物を収容可能なコンテナ本体と、このコンテナ本体に前記収容物を投入するための作業機の作業具が係合可能であり且つ係合した状態で前記作業機により前記コンテナ本体を移動可能とする第1係合部材と、を備えていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記コンテナ本体の一側部に前記第1係合部材が設けられ、他側部に、前記コンテナ本体を荷役車両に対して積み降ろしするための装置が係合する第2係合部材が設けられている請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記第1係合部材が、前記コンテナ本体から突出し且つ前記作業具が係合可能な係合位置と、この係合位置から前記コンテナ本体側に退避する退避位置との間で、姿勢変更可能に設けられている請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記コンテナ本体が、揺動することによって開閉する煽戸を有しており、
前記第1係合部材が、前記係合位置と前記退避位置との間で前記煽戸の揺動軸心と同一の軸心回りに揺動可能に設けられている請求項3記載のコンテナ。
【請求項5】
前記第1係合部材が、前記作業具が係合可能な係合位置と、前記コンテナ本体の上方開口を塞ぐ閉塞位置との間で姿勢変更可能に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項6】
前記第1係合部材が、前記作業具に左右方向に並べて設けられた隣接する突部間に配置されるか、又は、前記作業具に設けられた1若しくは複数の突部を左右から挟むように配置されることにより、前記突部に左右方向に係合する規制部を備えている請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−114890(P2008−114890A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300213(P2006−300213)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
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