説明

コンテナ

【課題】シーリングなどが不要であり、耐久性が高い防水構造を有するコンテナを提供する。
【解決手段】コンテナは、天井パネル11、天井パネル11に対向して配置される床パネル、及び天井パネル11と床パネルの間に配置される壁パネル13aを接続部材14でそれぞれ接続することにより組み立てられる。天井パネル11の屋外側主面に表出する外側金属板21は、天井パネル11の側面Eより延長され、鉤状の先端部24を少なくとも備える。天井パネル11と壁パネル13aとの間を接続する接続部材14は、外側金属板21の先端部24が嵌め込まれ固定される凹部25と、凹部25から天井パネル11の屋内側主面23に沿って延長され、天井パネル11の屋内側主面23に接続される天井パネル接続部26と、天井パネル接続部26から延長され、壁パネル13aに接続される壁パネル接続部27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納物を屋外の環境から保護するためのコンテナであって、複数の板状部材を組み立てて構成されるコンテナの防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道、トラック、船或いは飛行機などで物資を輸送又は保管する際又は携帯電話などの無線中継基地を屋外に設置する際、物資や無線中継基地は、屋外の環境から保護するためにコンテナの中に収納される。そして、このようなコンテナは、通常、天井パネル、床パネル、及び天井パネルと床パネルの間に配置される壁パネルを、接続部材を用いて接続することにより組み立てられるのが一般的である。
【0003】
従来、図5に示すように、天井パネル61と壁パネル63とを接続する場合、長手方向に垂直な断面がL字型の形状をするアングル64a、64bを2つ用意し、アングル64a、64bをコンテナの内側及び外側から天井パネル61と壁パネル63の接続箇所にそれぞれ当てる。そして、ビス65a〜65dを用いてアングル64a、64bを天井パネル61と壁パネル63に固定する。
【0004】
コンテナを屋外で使用する場合、雨がコンテナ内へ侵入することを防ぐ必要がある。このため、アングル64aと天井パネル61や壁パネル63との隙間には、雨の侵入を防止するために防水材66が挿入される。防水材66としては、シリコンやゴム系のシーリングが用いられるが、これらの防水材66は、数年(5年〜7年程度)の使用により損傷、劣化、割れなどが生じ、当該箇所から水が浸入してしまい、防水性に問題があった。
【0005】
この防水性の問題に着目した関連技術として、例えば特許文献1がある。ここでは、壁パネルの下端部を床パネルの側面よりも外側に位置させることで、シーリング不要な防水構造を提案している。
【特許文献1】特開平11−147594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、床パネルと壁パネルの間の防水構造のみが記載され、天井パネルと壁パネルの間の防水構造についての記載及び示唆はない。コンテナの防水性は、床パネルと壁パネルの間に限らず、天井パネルと壁パネルの間についても重要な問題である。また、床パネルと壁パネルの間の防水構造をそのまま、天井パネルと壁パネルの間の防水構造に流用することはできない。よって、天井パネルと壁パネルの間に特有の防水構造が別途必要となる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、その目的は、耐久性が高い防水構造を有するコンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、天井パネル、この天井パネルに対向して配置される床パネル、及び天井パネルと床パネルの間に配置される壁パネルを接続部材でそれぞれ接続することにより組み立てられるコンテナであって、天井パネルの屋外側主面に表出する金属板は、天井パネルの側面より延長され、鉤状の先端部を少なくとも形成し、天井パネルと壁パネルとの間を接続する接続部材は、金属板の先端部が嵌め込まれる凹部と、凹部から天井パネルの屋内側主面に沿って延長され、天井パネルの屋内側主面に接続される天井パネル接続部と、天井パネル接続部から延長され、壁パネルに接続される壁パネル接続部とを備えることである。
【0009】
天井パネルの屋外側主面に表出する金属板が延長されて鉤状の先端部を形成し、鉤状の先端部が天井パネルと壁パネルとの間を接続する接続部材の凹部に嵌め込まれて固定される。これにより、天井パネルの先端部と接続部材の凹部との隙間から雨水が浸入することを、シーリングなどの防水材を用いることなく、構造的に防止できる。したがって、耐久性の高い防水構造を有するコンテナを提供することができる。
【0010】
本発明の特徴において、天井パネルの屋外側主面に表出する金属板は、天井パネルの側面より延長された延長部と、延長部の先端で壁パネル側へ曲げられた側壁部と、側壁部の先端で天井パネルの側面に向かって曲げられた鉤状の先端部とを備え、接続部材の凹部は、天井パネルの側面と延長部と側壁部とで囲まれる領域に配置されていることが望ましい。
【0011】
接続部材の凹部が、天井パネルの側面と延長部と側壁部とで囲まれる領域に配置されることにより、当該領域において、金属板の先端部が接続部材の凹部に嵌め込まれることになり、凹部と先端部の間からの雨水の浸入をより正確に防止できる。したがって、耐久性を高く維持したまま防水性能を更に高めることができる。
【0012】
本発明の特徴において、壁パネルは、天井パネルの屋外側主面に表出する金属板の側壁部よりも屋内よりに位置するように接続部材に接続されることが望ましい。
【0013】
壁パネルが天井パネルの屋外側主面に表出する金属板の側壁部よりも屋内よりの位置に配置されることにより、金属板の側壁部より流下する雨水が壁パネルへ伝わることなく、水切りを行なうことができる。したがって、耐久性を高く維持したまま防水性能を更に高めることができる。
【0014】
本発明の特徴において、凹部はその上面と側面とが交差する角部分のうちいずれか一方であって、金属板の先端部の最先端部分が当接する側に突起部を備えることが望ましい。これにより、金属板の先端部が凹部に嵌め込まれて、先端部の最先端部分が突起部に引っかかることにより、先端部が凹部から外れることがなくなり接続状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、耐久性が高い防水構造を有するコンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
【0017】
図1を参照して、本発明に係わるコンテナを適用した実施の形態の1つである携帯電話の無線中継基地用コンテナの全体構成を説明する。無線中継基地用コンテナは、天井パネル11と、天井パネル11に対向して配置された床パネル12と、天井パネル11と床パネル12の間に配置される4枚の壁パネル13a〜13dと、天井パネル11と壁パネル13a〜13dの間、及び床パネル12と壁パネル13a〜13dの間をそれぞれ接続して固定する接続部材14とを備える。無線中継基地用コンテナは、天井パネル11、床パネル12及び壁パネル13a〜13dを接続部材14で接続することにより組み立てられる。なお、図1では接続部材14の図示を省略している。
【0018】
その他、無線中継基地用コンテナには、収納物である無線通信設備を搬入/搬出させるための扉17、換気用ダクト18、消火設備19、赤色ランプ20等が装備されている。
【0019】
次に、図2及び図3(a)〜図3(c)を参照して、無線中継基地用コンテナの天井パネル11と壁パネル13aとを接続している部分の構成を詳細に説明する。図2は、無線中継基地用コンテナの天井パネル11と壁パネル13aとの間を接続部材14で接続している部分を拡大した図1のA−A切断面に沿った断面図である。
【0020】
図2に示すように、天井パネル11は、第1の接続箇所B及び第2の接続箇所Cにおいて、接続部材14に固定されている。一方、壁パネル13aは、第3の接続箇所Dにおいて、接続部材14に固定されている。天井パネル11は、屋外側主面に表出する外側金属板21と、屋内側主面に表出する内側金属板23と、外側金属板21と内側金属板23の間に挟まれるポリスチレンフォーム22とを備える。外側金属板21は、天井パネル11の側面Eよりも外側へ直線状に延長され、途中の数カ所で曲げられ、延長された外側金属板21の先端において、鉤状の先端部24が形成されている。第1の接続箇所Bにおいて、鉤状の先端部24は接続部材14の凹部25に嵌め込まれ固定されている。接続部材14は、凹部25から天井パネル11の側面Eに沿って延長され、略直角に曲げられた後、内側金属板23に沿って延長されている。そして、接続部材14は、第2の接続箇所Cにおいて、リベット26を用いて天井パネル11の内側金属板23に接続されている。接続部材14は、第2の接続箇所Cから床パネル12の方向に延長され、第3の接続箇所Dにおいて、ビス27を用いて壁パネル13aに接続されている。
【0021】
なおここでは、4枚ある壁パネル13a〜13dのうち1枚(壁パネル13a)のみを図示して説明したが、その他の壁パネル13b〜13dも同様にして接続部材14を介して天井パネル11に接続されている。
【0022】
図3(a)を参照して天井パネル11の構成を詳細に説明する。図3(a)は、図1のA−A切断面に沿った天井パネル11の断面図である。天井パネル11は、外側金属板21、ポリスチレンフォーム22及び内側金属板23の順番で積層した積層構造を有する。外側金属板21は、天井パネル11の側面Eより延長された延長部31と、延長部31の先端で壁パネル13a側へ曲げられた側壁部32と、側壁部32の先端で天井パネル11の側面Eに向かって曲げられた鉤状の先端部24とを備える。側壁部32は、所定の曲率により緩やかに略90度曲げられているが、先端部24は、これよりも鋭角に略90度折り曲げられている。よって、天井パネル11の側面E、延長部31、側壁部32、先端部24によって、1つの領域が形成されることになる。また、内側金属板23の先端は、外側金属板21側へ天井パネル11の側面Eに沿って約直角に折り曲げられており、天井パネル11の強度を向上させている。
【0023】
外側金属板21及び内側金属板23の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は鋼鉄などからなる。ポリスチレンフォーム22(スタイロフォーム)の材質は、ポリスチレン、スチロール樹脂、スチレン樹脂等からなる。外側金属板21及び内側金属板23は、板金加工などにより図3(a)に示すような形状に折り曲げて形成される。そして、板状のポリスチレンフォーム22の表裏面に外側金属板21及び内側金属板23をそれぞれ接着剤を用いて貼り付け、加熱しながら加圧し、その後、冷却することにより天井パネル11は形成される。
【0024】
図3(b)を参照して接続部材14の構成を詳細に説明する。図3(b)は、図1のA−A切断面に沿った接続部材14の断面図であり、接続部材14の長手方向に垂直な面で切断した断面図である。接続部材14は、紙面に垂直な方向を長手方向とする長尺状物であり、外側金属板21の先端部24が嵌め込まれて固定される凹部25と、凹部25から天井パネル11の側面E及び屋内側主面に沿って延長されたL字型の形状を有するL字部35と、L字部35から天井パネル11の屋内側主面に沿って更に延長された天井パネル接続部36と、天井パネル接続部36から床パネル12に向かって延長された壁パネル嵌込部38a、38bと、屋内側の壁パネル嵌込部38b上に形成された壁パネル接続部37とを備える。なお、凹部25、L字部35及び壁パネル嵌込部38a、38bは、接続部材14の長手方向に沿って連続して形成されている。
【0025】
凹部25は、上面と、底面と、前記上面と前記底面の間をつなぐ側面とからなるが、上面と側面とが交差する角部分のうちいずれか一方であって、図3(a)の先端部24の最先端部分が当接する側に突起部33を備える。外側金属板21の先端部24が凹部25に嵌め込まれて、先端部24の最先端部分が突起部33に引っかかることにより、先端部24が凹部25から外れることがなくなり接続状態が維持される。
【0026】
L字部35は、図1の第1の接続箇所Bに配置された凹部25と、第2の接続箇所Cに配置された天井パネル接続部36とが一体を成すように繋ぎ合わせる機能を備え、更に、天井パネル11の屋外側主面に降り落ち、外側金属板21の延長部31、そして側壁部32へ流れ落ちる雨水を壁パネル13aへ伝わることなく、水切りを行なう機能をも備える。具体的には、L字部35は、L字に折り曲げられる角部分から鉛直下方向に向かって延長された水切部34を備える。水切部34は、天井パネル11の外側金属板21上に降り落ち、外側金属板21の延長部31、そして側壁部32へ流れ落ちる雨水を壁パネル13aへ伝わることなく、水切りを行なう。なおここでは、略垂直に折り曲げられたL字部35を示したが、L字部35の代わりに、鋭角に折り曲げて形成して水切部34を省略しても、所定の曲率で曲げて形成しても構わない。
【0027】
天井パネル接続部36は、天井パネル11の屋内側主面に表出した内側金属板23に接する部分に形成された孔である。この孔(天井パネル接続部36)から内側金属板23に向かって図2のリベット26が挿入されることにより天井パネル11と接続部材14が接続される。
【0028】
壁パネル嵌込部38a、38bは、天井パネル接続部36から壁パネル13aの厚み分だけの間隔を隔てて、鉛直下方向に延長されている。壁パネル13aは壁パネル嵌込部38a、38bの間に嵌め込まれて接続部材14に対して固定される。
【0029】
なお、接続部材14の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は鋼鉄などからなる。また、接続部材14の製造方法には、押し出し成形法などを採用することができる。
【0030】
図3(c)を参照して壁パネル13aの構成を詳細に説明する。図3(c)は、図1のA−A切断面に沿った壁パネル13aの断面図である。なお、その他の壁パネル13b〜13dも壁パネル13aと同様な構成を有する。壁パネル13aは、ポリスチレンフォーム22と同様に、ポリスチレンフォーム39(スタイロフォーム)等の材質からなる平板である。壁パネル嵌込部38a、38bの間に嵌め込まれて接続部材14に対して固定される壁パネル13aの表出部分には、金属材料からなる補強材40が挿入されている。壁パネル嵌込部38aと補強材40が図2のビス27により第3の接続箇所Dにおいて接続される。補強材40の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は鋼鉄などからなる。
【0031】
次に、図4(a)〜図4(c)を参照して、天井パネル11、接続部材14、及び壁パネル13aの組み立て方法を説明する。
【0032】
(イ)先ず、図4(a)に示すように、天井パネル11の外側金属板21の延長部31、側壁部32及び先端部24に対して、天井パネル11の側面Eとは反対方向に外力を加えて、天井パネル11の側面Eと延長部31と側壁部32と先端部24で囲まれる領域の入口を広げる。
【0033】
(ロ)そして、広げられた入口から接続部材14の凹部25を、天井パネル11の側面Eと延長部31と側壁部32と先端部24で囲まれる領域の中へ挿入して、凹部25に先端部24が嵌め込まれる位置において、外側金属板21をもとの状態に戻す。これにより、図4(b)に示すように、第1の接続箇所Bにおいて、凹部25に先端部24が嵌め込まれて固定されると同時に、天井パネル接続部36が天井パネル11の内側金属板23に当接する。
【0034】
(ハ)そして、第2の接続箇所Cにおいて、天井パネル接続部36に形成された孔から内側金属板23に向かってリベット26を打ち込み、接続部材14を内側金属板23へ接続する。このように、第1の接続箇所B及び第2の接続箇所Cを含む複数の離間した部分において天井パネル11と接続部材14とが接続されることにより、天井パネル11と接続部材14の接続強度が向上する。なお、リベット26の代わりにビスを用いても構わない。
【0035】
(ニ)最後に、壁パネル嵌込部38a、38bの間に、壁パネル13aを挿入する。そして、図4(c)に示すように、第3の接続箇所Dにおいて壁パネル嵌込部38aから壁パネル13aへ向かってビス27を打ち込むことにより、接続部材14を壁パネル13aへ接続する。なお、ビス止めを行なうのはコンテナ屋内側であるため、接続部材14と壁パネル13aとの間にシーリングなどの防水剤を介入させる必要はない。また、ビス27の代わりにリベットを用いても構わない。以上の手順を経て、図2に示したように天井パネル11、接続部材14、及び壁パネル13aを組み立てることができる。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係わるコンテナによれば、以下の作用効果が得られる。
【0037】
天井パネル11の屋外側主面に表出する外側金属板21は、天井パネル11の側面Eより延長され、少なくとも鉤状の先端部24を形成する。一方、天井パネル11と壁パネル13aとの間を接続する接続部材14は、外側金属板21の先端部24が嵌め込まれ固定される凹部25と、凹部25から天井パネル11の屋内側主面に沿って延長され、天井パネル11の屋内側主面に接続される天井パネル接続部36と、天井パネル接続部36から延長され、壁パネル13aに接続される壁パネル接続部37とを備える。
【0038】
天井パネル11の外側金属板21が延長されて鉤状の先端部24を形成し、鉤状の先端部24が天井パネル11と壁パネル13aとの間を接続する接続部材14の凹部25に嵌め込まれて固定される。これにより、天井パネル11の先端部24と接続部材14の凹部25の間から雨水が浸入することを、シーリングなどの防水材を用いることなく、構造的に防止できる。したがって、耐久性の高い防水構造を有するコンテナを提供することができる。
【0039】
天井パネル11の屋外側主面に表出する外側金属板21は、天井パネル11の側面Eより延長された延長部31と、延長部31の先端で壁パネル13a側へ曲げられた側壁部32と、側壁部32の先端で天井パネル11の側面Eに向かって曲げられた鉤状の先端部24とを備える。接続部材14の凹部25は、天井パネル11の側面Eと延長部31と側壁部32とで囲まれる領域に配置されている。
【0040】
接続部材14の凹部25が、天井パネル11の側面Eと延長部31と側壁部32とで囲まれる領域に配置されることにより、この領域において、外側金属板21の先端部24が接続部材14の凹部25に嵌め込まれることになる。よって、外側金属板21の側壁部32より流下する雨水が先端部24と凹部25の間からこの領域内まで浸入することはさらに困難となるため、凹部25と先端部24の間からの雨水の浸入をより正確に防止できる。したがって、耐久性を高く維持したまま防水性能を更に高めることができる。
【0041】
壁パネル13aは、天井パネル11の屋外側主面に表出する外側金属板21の側壁部32よりも屋内よりの位置において組み立てられる。壁パネル13aが外側金属板21の側壁部32よりも屋内よりの位置に配置されることにより、外側金属板21の側壁部32より流下する雨水が壁パネル13aへ伝わることなく、水切りを行なうことができる。したがって、耐久性を高く維持したまま防水性能を更に高めることができる。
【0042】
図5に示したように、従来、パネル61、63と接続部材(アングル64a、64b)との接続箇所のうち、屋外に表出する箇所においては、シーリングなどの防水材66を間に挟み、ビス65a〜65dなどを用いて接続することで雨水の浸入を防いでいた。しかし、この防水材66は耐用年数が短く、時間の経過により損傷、劣化、割れなどが生じる。雨水は、この損傷、劣化、割れが発生した部分から毛細管現象によって容易にコンテナ内部に進入してしまい、コンテナ内部の金属部分に錆を形成してしまう。これに対して、本発明の実施の形態では、図2に示したように、天井パネル11と壁パネル13aとの接続箇所B〜Dのうち、屋外に表出する箇所(第1の接続箇所B)においては、鉤状の先端部24と凹部25との嵌合により接続している。この嵌合部分ではシーリングなどの防水剤を使うことなく構造的に雨水の浸入を防ぐことができる。シーリングなどの防水材を用いる必要がなくなるので、耐久性の高い防水構造を有するコンテナを提供することができる。
【0043】
また、図5に示す構造において、パネル61、63は、アングル64a、64bの長手方向(紙面に垂直な方向)に所定の間隔を持ってビス65a〜65dが打ち込まれて接続されている。すなわち、アングル64a、64bの長手方向に散在する複数の「点」で接続されている。これに対して、本発明の実施の形態では、図2に示したように、先端部24と凹部25との嵌合が、接続部材14の長手方向(紙面に垂直な方向)に沿って連続して形成されている。すなわち、接続部材14の長手方向に連続する「線」で接続されている。これにより、第1の接続箇所Bの接続強度は、従来のビスによる方法に比べて高くなる。
【0044】
図4(a)に示したように、第1の接続箇所Bは、外側金属板21の延長部31、側壁部32、先端部24を少し押し広げ、その間から凹部25を差し込むだけで組み立てることができる。よって、専用の工具、ジグ、組み立て装置などを必要とせず、簡便な方法により組み立てすることができる。
【0045】
図3(b)に示したように、凹部25はその上面と側面とが交差する角部分のうちいずれか一方であって、図3(a)の先端部24の最先端部分が当接する側に突起部33を備える。外側金属板21の先端部24が凹部25に嵌め込まれて、先端部24の最先端部分が突起部33に引っかかることにより、先端部24が凹部25から外れることがなくなり接続状態を維持することができる。
【0046】
図4(b)に示したように、第1の接続箇所B及び第2の接続箇所Cを含む複数の離間した部分において天井パネル11と接続部材14とが接続されることにより、天井パネル11と接続部材14の接続強度が向上する。
【0047】
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
天井パネルの屋外に表出する部材が延長されて鉤状の先端部を形成し、この先端部が側壁部分において接続部材の凹部に嵌め込まれて固定される。これにより、雨水の浸入をシーリングなどの防水材を用いることなく構造的に防止する用途に適用できる。
【0049】
具体的には、鉄道、トラック(保冷車)、船或いは飛行機などで貨物輸送を行なう際に用いる箱又は容器及び、例えば、無線中継基地等、電波による情報伝送を目的とする無線設備(無線局)を収納する箱又は容器であって、屋外又は野外において使用することを目的とするコンテナに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係わるコンテナを適用した実施の形態の1つとして、携帯電話の無線中継基地用コンテナの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の無線中継基地用コンテナにおいて天井パネル11と壁パネル13aとの間を接続部材14で接続している部分を拡大した、図1のA−A切断面に沿った断面図である。
【図3】図3(a)は図1のA−A切断面に沿った天井パネル11の断面図であり、図3(b)は図1のA−A切断面に沿った接続部材14の断面図であり、図3(c)は図1のA−A切断面に沿った壁パネル13aの断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、天井パネル11、接続部材14、及び壁パネル13aの組み立て方法を説明するための断面図である。
【図5】従来技術に係わる天井パネル61、接続部材64a、64b、及び壁パネル63の接続箇所を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
11 天井パネル
12 床パネル
13a〜13d 壁パネル
14 接続部材
17 扉
18 換気用ダクト
19 消火設備
20 赤色ランプ
21 外側金属板
22 ポリスチレンフォーム
23 内側金属板
24 先端部
25 凹部
26 リベット(天井パネル接続部)
27 ビス(壁パネル接続部)
31 延長部
32 側壁部
33 突起部
34 水切部
35 L字部
36 天井パネル接続部
37 壁パネル接続部
38a、38b 壁パネル嵌込部
39 ポリスチレンフォーム
40 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井パネル、前記天井パネルに対向して配置される床パネル、及び前記天井パネルと前記床パネルの間に配置される壁パネルを接続部材でそれぞれ接続することにより組み立てられるコンテナであって、
前記天井パネルの屋外側主面に表出する金属板は、前記天井パネルの側面より延長され、鉤状の先端部を少なくとも形成し、
前記天井パネルと前記壁パネルとの間を接続する前記接続部材は、
前記金属板の先端部が嵌め込まれる凹部と、
前記凹部から前記天井パネルの屋内側主面に沿って延長され、前記天井パネルの屋内側主面に接続される天井パネル接続部と、
前記天井パネル接続部から延長され、前記壁パネルに接続される壁パネル接続部とを備える
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記天井パネルの屋外側主面に表出する金属板は、
前記天井パネルの側面より延長された延長部と、
前記延長部の先端で前記壁パネル側へ曲げられた側壁部と、
前記側壁部の先端で前記天井パネルの側面に向かって曲げられた鉤状の前記先端部とを備え、
前記接続部材の凹部は、前記天井パネルの側面と前記延長部と前記側壁部とで囲まれる領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記壁パネルは、前記天井パネルの屋外側主面に表出する金属板の側壁部よりも屋内よりに位置するように前記接続部材に接続されることを特徴とする請求項2記載のコンテナ。
【請求項4】
前記凹部は、その上面と側面とが交差する角部分のうちいずれか一方であって、前記先端部の最先端部分が当接する側に突起部を備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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