説明

コンテンツ再生システム

【課題】客に商品と共にコンテンツを提供でき、かつ、客の回転率を高めることができるコンテンツ再生システムを提供する。
【解決手段】サーバ10は、店舗識別情報に対応付けて店舗クライアント20A、20Bが現在再生しているコンテンツの識別情報を管理する。サーバ10は、商品を購入した顧客の顧客識別情報に対応付けて、購入した店舗A、Bの店舗識別情報と、家庭内クライアント30A、30Bでのコンテンツの残り再生可能時間とを管理する。サーバ10は、顧客識別情報を送信してきた家庭内クライアント30A、30Bに、顧客識別情報に対応付けて管理されている残り再生時間の情報に基づいて、店舗クライアント20A、20Bで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する。家庭内クライアント30A、30Bは、サーバ10から受信したコンテンツを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーショップやレストラン等の飲食店においては、客に対して快適な空間を提供するために、BGMを再生するようにしている。例えば、下記特許文献1〜3には、メニュー商品毎にBGMの情報を割当てておき、客が注文した商品に基づいて、その客の席周辺において再生されるBGMが決定されるシステムが記載されている。一方で、飲食店においては、客の回転率を高めることによって、利益率を上げることが要求される。客に適したBGMを再生することによって、客に対して快適な空間を提供することができるが、逆に回転率を低下させてしまうという懸念がある。
【0003】
また、現在、店内の無線LANアクセスポイントに客の所有する携帯電話がアクセスし、店内で再生されているBGMのコンテンツ情報(曲名、アーティスト名)を携帯電話に表示すると共に、当該曲を携帯電話にダウンロードすることができるサービスが提供されている。しかし、このサービスも、客が店内のBGMをダウンロードすることに集中しすぎてしまい、逆に回転率を低下させてしまうという懸念がある。
【0004】
また、下記特許文献4、5には、サーバクライアントシステムを利用した音楽再生システムにおいて、複数のクライントに対して同一曲を同時に再生させる技術が記載されている。しかし、特許文献4、5には、飲食店の音楽提供サービスに関しては何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−98950号公報
【特許文献2】特開2002−320296号公報
【特許文献3】特開2007−164559号公報
【特許文献4】特開2001−184292号公報
【特許文献5】特開2005−148565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、客に商品と共にコンテンツを提供でき、かつ、客の回転率を高めることができるコンテンツ再生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システムは、サーバと、前記サーバに接続可能な1又は複数の店舗クライアントと、前記サーバに接続可能な1又は複数の店舗端末と、前記サーバに接続可能な1又は複数の顧客クライアントとを備え、前記サーバが、前記店舗クライアントにコンテンツを送信する第1コンテンツ送信手段と、前記店舗クライアントを所有する店舗の店舗識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントが現在再生しているコンテンツの識別情報を管理する再生コンテンツ管理手段と、前記店舗端末から送信された顧客識別情報と商品購入履歴情報とに基づいて、前記顧客クライアントの所有者である顧客の顧客識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報を管理する顧客情報管理手段と、顧客識別情報を送信してきた前記顧客クライアントに、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記権利情報に基づいて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する第2コンテンツ送信手段とを有し、前記店舗クライアントが、前記サーバからコンテンツを受信する第1コンテンツ受信手段と、受信したコンテンツを前記店舗内にて再生する第1再生手段とを有し、前記店舗端末が、商品を購入した顧客の顧客識別情報と、商品購入履歴情報とを前記サーバに送信する購入情報送信手段を有し、前記顧客クライアントが、顧客識別情報をサーバに送信する顧客識別情報送信手段と、前記サーバからコンテンツを受信する第2コンテンツ受信手段と、受信したコンテンツを再生する第2再生手段とを有する。
【0008】
客は、商品を購入した店舗で再生されているコンテンツと同じコンテンツを略同じ時刻に、顧客クライアントで再生して楽しむことができる。従って、店舗で再生されているコンテンツを楽しむために店舗に居続ける必要がないので、客の回転率を高めることができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記顧客情報管理手段が、前記顧客識別情報に対応付けて、顧客識別情報と商品購入履歴情報とを送信してきた前記店舗端末を所有する店舗の店舗識別情報と、当該店舗識別情報で特定される店舗が所有する前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報とを管理し、第2コンテンツ送信手段が、顧客識別情報を送信してきた前記顧客クライアントに、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記権利情報に基づいて、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記店舗識別情報で特定される店舗が所有する前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する。
【0010】
この場合、再生する権利を有する複数の店舗クライアントが再生しているコンテンツの中から選択された店舗クライアントで再生しているコンテンツを、顧客クライアントで再生させることができる。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記権利情報が、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な残り再生可能時間である。
【0012】
この場合、残り再生可能時間だけ顧客クライアントによって店舗クライアントで再生されているコンテンツと同じコンテンツを再生することができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記店舗端末または前記サーバが、商品の購入金額に基づいて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な残り再生可能時間を決定する。
【0014】
この場合、顧客クライントでの再生可能時間が購入金額によって決定されるので、店舗の売り上げを増加させることができる。
【発明の効果】
【0015】
客に商品と共にコンテンツを提供でき、かつ、客の回転率を高めることができるコンテンツ再生システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システムを示すブロック図である。
【図2】曲リストを示す図である。
【図3】再生曲管理テーブルを示す図である。
【図4】顧客情報テーブルを示す図である。
【図5】コンテンツ再生システムの処理を示すフローチャートである。
【図6】コンテンツ再生システムの処理を示すフローチャートである。
【図7】コンテンツ再生システムの処理を示すフローチャートである。
【図8】コンテンツ再生システムの処理を示すフローチャートである。
【図9】コンテンツ再生システムの処理を示すフローチャートである。
【図10】家庭内クライアントが表示する店舗リストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本実施形態によるコンテンツ再生システムを示すブロック図である。コンテンツは、オーディオ(音楽、曲)データ、ビデオデータ、ピクチャデータの総称であるが、本例では、オーディオデータである。
【0018】
コンテンツ再生システムは、サーバ10と、1又は複数の店舗クライアント20(20A、20B、・・)と、1又は複数の店舗端末25(25A、25B、・・)と、1又は複数の顧客クライアント(以下、家庭内クライアント30という)(30A、30B、・・)とを備える。サーバ10は、各店舗を経営する事業者またはその代行者によって管理、運営される。店舗クライアント20と店舗端末25とは各店舗に設置される。家庭内クライアント30は、客の宅内に設置される。これらは、インターネット等の任意の電気通信回線(ネットワーク)を介して接続可能である。
【0019】
店舗クライアント20は、サーバ10に曲データの送信を要求する。サーバ10は、曲データの要求に応答して、店舗クライアント20に曲データを送信する。店舗クライアント20は、サーバ10から曲データを受信し、BGM(バックグラウンドミュージック)として店内で再生する。サーバ10は、店舗クライアント20を所有する店舗の店舗識別情報に対応付けて、店舗クライアントが現在再生しているコンテンツの識別情報を管理する。
【0020】
店舗端末25は、レジ(レジスター)に相当するものである。店舗端末25は、客が所有するICカード等の任意の記憶媒体から顧客識別情報を読みとって取得する。客が店内における飲食ではなく、テイクアウトで商品を購入する際に、店舗端末25は、顧客識別情報と商品購入履歴情報とをサーバ10に送信する。商品購入履歴情報は、商品購入金額、又は、家庭内クライアント30による曲を再生する権利情報である。この権利情報は、例えば、曲の再生可能時間、又は、再生可能回数等であり、商品購入金額に基づいて店舗端末25によって決定される。
【0021】
サーバ10は、店舗端末25から送信された顧客識別情報と商品購入履歴情報とに基づいて、家庭内クライアント30の所有者である顧客の顧客識別情報に対応付けて、店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報を管理する。サーバ10は、店舗端末25から権利情報を受信し、受信した権利情報を管理する。または、店舗端末25は、店舗端末25から商品購入金額を受信すると、商品購入金額から権利情報を決定し、決定した権利情報を管理する。
【0022】
家庭内クライアント30は、サーバ10に接続すると、顧客識別情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、受信した顧客識別情報に基づいて、家庭内クライアント30がBGMを再生可能な店舗の情報と、権利情報(例えば、残り再生可能時間の情報)とを家庭内クライアント30に送信する。家庭内クライアント30が、店舗を選択すると、サーバ10は、顧客識別情報を送信してきた家庭内クライアント30に、顧客識別情報に対応付けて管理されている権利情報に基づいて、店舗クライアント20で再生している曲データと同じ曲データを家庭内クライアント30に送信する。家庭内クライアントは、サーバ10から受信した曲データを再生する。
【0023】
これによって、客は店舗において商品をテイクアウトで購入すると、その店舗で再生されている曲と同じ曲を略同じ時刻に、テイクアウトした商品を飲食しながら、家庭内クライアント30で再生して楽しむことができる。従って、店舗側は、客にコンテンツ(BGM)を提供することができ、かつ、テイクアウトを増加させることによって、回転率を高めることができる。以下、詳細に説明する。
【0024】
サーバ10は、HDD等の任意の記憶媒体11と、制御部12と、ROM、RAM等のメモリ13と、通信部14とを概略備える。
【0025】
HDD11には、店舗クライアント20、および、家庭内クライアント30に送信するためのオーディオファイル(以下、曲データという。)が蓄積されている。また、HDD11には、HDD11に格納されている曲の情報の一覧である曲リストが保存されている。曲リストの一例を図2に示す。曲リストは、曲識別情報に対応付けて、曲名とアーティスト名とを含む。
【0026】
HDD11には、図3に示す再生曲管理テーブルが格納されている。再生曲管理テーブルは、店舗クライアント20毎に現在再生中の曲データおよびその再生位置を管理するためのテーブルである。再生曲管理テーブルは、店舗識別情報と、店舗名とに対応付けて、再生曲識別情報と、曲名と、アーティスト名と、再生位置情報とが登録される。店舗識別情報は、店舗クライアント20が設置されている店舗の識別情報である。店舗識別情報は、店舗クライアント20の識別情報又は店舗端末25の識別情報と同じでもよい。再生位置情報は、店舗クライアント20で現在再生中の曲の再生位置であり、例えば曲の先頭からの経過時間である。
【0027】
HDD11には、図4に示す顧客情報テーブルが格納されている。顧客情報テーブルは、顧客毎に、家庭内クライアント30でBGMを再生可能な店舗の情報と、家庭内クライアント30による曲を再生する権利情報(以下、残り再生可能時間とする。)とを管理するためのテーブルである。顧客情報テーブルは、顧客識別情報に対応付けて、店舗識別情報(及び/又は店舗名)と、残り再生可能時間(単位は秒)とが登録される。
【0028】
図1に戻って、制御部12は、メモリ13に格納されているプログラムに基づいて、サーバ10の各部を制御するものであり、マイコンやCPU等である。制御部12は、サーバ10が店舗クライアント20に送信している曲データの情報に基づいて、再生曲管理テーブルの登録内容を更新する。また、制御部12は、店舗端末25から送信された店舗識別情報、顧客識別情報、購入履歴情報(以下、本例では、再生可能時間の情報とする。)に基づいて、顧客情報テーブルに各情報を登録し、更新する。
【0029】
通信部14は、店舗クライアント20の通信部23、店舗端末25の通信部28、および、家庭内クライアント30の通信部33とインターネット経由で通信し、各コマンドや情報を送受信する。
【0030】
店舗クライアント20A(店舗クライアント20Bも同様であるので説明を援用する。)は、制御部21Aと、ROM、RAM等のメモリ22Aと、通信部23Aと、再生部24Aとを概略備える。
【0031】
制御部21Aは、メモリ22Aに格納されているプログラムに基づいて、店舗クライアント20Aの各部を制御するものであり、マイコンやCPU等である。制御部21Aは、サーバ10に曲リストや曲データの送信を要求する。通信部23Aは、サーバ10の通信部14とインターネット経由で通信し、各コマンドや情報を送受信する。再生部24Aは、サーバ10から受信した曲データを再生し、図示しないスピーカーから音声をBGMとして出力する。
【0032】
店舗端末25A(店舗端末25Bも同様であるので説明を援用する。)は、制御部26Aと、ROM、RAM等のメモリ27Aと、通信部28Aと、ICカード読取部29Aとを概略備える。
【0033】
制御部26Aは、メモリ27Aに格納されているプログラムに基づいて、店舗端末25Aの各部を制御するものであり、マイコンやCPU等である。通信部28Aは、サーバ10の通信部14とインターネット経由で通信し、各コマンドや情報を送受信する。ICカード読取部29Aは、客が商品を(例えばテイクアウトで)購入し、代金を支払う際に、客が所有するICカードから顧客識別情報を読み取る。
【0034】
制御部26Aは、客がテイクアウトで商品を購入する際に、テイクアウトである旨の情報が図示しない入力部の店員による操作によって入力されると、家庭内クライアント30によるBGMの再生可能時間を決定する。特に限定されないが、購入した商品の金額(総額)に応じて、金額が多いほど再生可能時間が増加するように決定される。もしくは、1回の購入により付与される再生可能時間が一定であってもよい。制御部26Aは、顧客識別情報と、店舗識別情報と、再生可能時間の情報とをサーバ10に送信する。なお、店舗端末25Aは、再生可能時間の代わりに商品の購入金額をサーバ10に送信し、サーバ10が再生可能時間を決定してもよい。
【0035】
家庭内クライアント30A(家庭内クライアント30Bも同様であるので説明を援用する。)は、制御部31Aと、ROM、RAM等のメモリ32Aと、通信部33Aと、再生部34Aとを概略備える。
【0036】
制御部31Aは、メモリ32Aに格納されているプログラムに基づいて、家庭内クライアント30Aの各部を制御するものであり、マイコンやCPU等である。制御部31Aは、サーバ10から店舗リストを受信し、客の操作に応じて同じBGMの再生を希望する店舗を指定し、指定した店舗をサーバ10に通知する。通信部33Aは、サーバ10の通信部14とインターネット経由で通信し、各コマンドや情報を送受信する。再生部34Aは、サーバ10から受信した曲データを再生し、図示しないスピーカーからBGMを出力する。
【0037】
以上の構成を有するコンテンツ再生システムについてその動作を説明する。図5は、客が店舗で商品をテイクアウトで購入する際の店舗端末25およびサーバ10の処理を示すフローチャートである。客が例えば店舗20Aで商品を購入する際に、客は店員にICカードを渡す。店員がICカードをICカード読取部29Aに接触または近接させることによって、ICカード読取部29Aは、ICカードと通信し、ICカードに記録されている顧客識別情報を読み出して、制御部26Aに受け渡す(S101)。
【0038】
店員は店舗端末25Aの図示しない入力部に商品名を入力し、かつ、テイクアウトである旨の情報を入力する。制御部26Aは、テイクアウトにて商品を購入する指示が入力部を介して入力されたか否かを判断している(S102)。テイクアウトでない場合(S102でNO)、処理を終了する。すなわち、客は、家庭内クライアント30によって店舗と同じBGMを再生することができる権利(再生可能時間)を取得することはできない。テイクアウトである場合(S102でYES)、客は、家庭内クライアント30によって店舗と同じBGMを再生することができる権利(再生可能時間)を取得することができる。
【0039】
すなわち、制御部26Aは、商品の購入金額に応じて、家庭内クライアント30によって商品を購入した店舗と同じBGMを再生することができる再生可能時間を決定する(S103)。購入金額と再生可能時間との関係は、メモリ27A内に予め設定されている。続いて、制御部26Aは、決定された再生可能時間を客に告知する(S104)。例えば、制御部26Aは、店舗端末25Aの図示しない表示部に再生可能時間を表示させる、または、音声で再生可能時間を告知する、または、店舗端末25Aからプリントアウトされるレシートに再生可能時間を記載する。
【0040】
制御部26Aは、ICカードから取得した顧客識別情報と、メモリ27Aに予め格納されている店舗識別情報および店舗名と、決定した再生可能時間とをインターネット経由でサーバ10に送信する(S105)。
【0041】
サーバ10の制御部12は、店舗端末25から購入情報(顧客識別情報、店舗識別情報、店舗名、再生可能時間)を受信したか否かを判断している(S201)。受信した場合(S201でYES)、制御部12は、顧客情報テーブルに、顧客識別情報に対応付けて店舗識別情報と店舗名と再生可能時間とを追加する(S202)。詳細には、顧客識別情報と店舗識別情報との組合せが顧客情報テーブルに既に登録されている場合、今回受信した再生可能時間が登録済みの残り再生可能時間に加算され、新たな残り再生可能時間とされる。一方、顧客識別情報と店舗識別情報との組合せが顧客情報テーブルに未だ登録されていない場合、顧客識別情報と店舗識別情報との組合せが新規に登録され、今回受信した再生可能時間が新規に残り再生可能時間として登録される。
【0042】
図6は、店舗クライアント20AでBGMを再生する際の処理を示すフローチャートである。図7は、図6に対応するサーバ10の処理を示すフローチャートである。店舗クライアント20Aの制御部21Aは、インターネット経由でサーバ10に接続し、メモリ13に予め格納されている店舗識別情報をサーバ10に送信する(S111)。サーバ10の制御部12は、店舗クライアント20Aから店舗識別情報を受信し、メモリ13に一時的に保存する(S211)。
【0043】
店舗クライアント20Aの制御部21Aは、店員による図示しない入力部の操作に応じて、曲リスト取得指示が入力されたか否かを判断している(S112)。入力された場合(S112でYES)、制御部21Aは、曲リストを送信するようにサーバ10に要求する(S113)。サーバ10の制御部12は、店舗クライアント20Aから曲リストの送信要求を受信したか否かを判断している(S212)。受信した場合(S212でYES)、制御部12は曲リストをHDD11から取得して、店舗クライアント20Aの制御部21Aに送信する(S213)。
【0044】
店舗クライアント20Aの制御部21Aは、曲リストを受信してメモリ22Aに一時的に保存し、図示しない表示部に曲リストを表示する(S114)。制御部21Aは、店員による図示しない入力部の操作に応じて、曲リストから曲が選択され、再生指示が入力されたか否かを判断している(S115)。入力された場合(S115でYES)、制御部21Aは、曲データの送信をサーバ10に要求する(S116)。この要求には、選択された曲の識別情報が含まれている。
【0045】
サーバ10の制御部12は、店舗クライアント20Aから曲データの送信要求を受信したか否かを判断している(S214)。受信した場合(S214でYES)、制御部12は選択された曲データをHDD11から取得して、店舗クライアント20Aに送信開始する(S215)。店舗クライアント20Aの制御部21Aは、曲データをサーバ10から受信すると、再生部24AにBGMとして店内にて曲データを再生させる(S117)。
【0046】
サーバ10の制御部12は、再生曲管理テーブルに、店舗識別情報および店舗名に対応付けて、送信開始した曲データの識別情報と、曲名と、アーティスト名と、再生位置情報とを登録する(S216)。曲名とアーティスト名とは曲リストから取得して登録することができる。再生位置情報は、曲データを送信開始する際には0秒である。そして、順次曲データを店舗クライアント20Aに送信する際に、制御部12は、HDD11から読み出す曲データの位置に基づいて、再生位置を計算し、再生曲管理テーブルの再生位置情報の登録内容を更新する(S216)。
【0047】
一般的にストリーミング再生においてはバッファに曲データを蓄積しながら再生する。従って、例えば店舗クライアント20Aが2秒分の曲データをバッファに一時的に蓄積した後に曲データを再生するのであれば、サーバ10が送信した曲データの位置から2秒を減算した位置を再生位置として再生曲管理テーブルに登録するとよい。例えば、現在サーバ10が店舗クライアント20Aに送信した再生位置が45秒であれば、再生位置は43秒と求められる。また、必要に応じて、サーバ10と店舗クライアント20Aとの間の通信にかかる時間も減算するとよい。
【0048】
続いて、サーバ10の制御部12は、店舗クライアント20Aに送信する曲が次の曲に変更されるか否かを判断している(S218)。つまり、店舗クライアント20Aから曲の指定がない限り、サーバ10は、曲リストの順に従って曲データを連続的に店舗クライアント20Aに送信し続ける。従って、曲リストに基づいて再生曲が変更される場合(S218でYES)、処理はS215に戻って、制御部12は、次の曲を店舗クライアント20Aに送信開始し(S215)、再生曲管理テーブルに、店舗識別情報および店舗名に対応付けて、送信開始した曲データの識別情報と、曲名と、アーティスト名と、再生位置情報とを登録する(S216)。
【0049】
店舗クライアント20Aの制御部21Aは、店員による図示しない入力部の操作に応じて、曲リストから曲が選択され、再生曲を変更する指示が入力されたか否かを判断している(S118)。入力された場合(S118でYES)、制御部21Aは、曲データを要求する指示をサーバ10に送信する(S116)。この要求には、変更後の曲の識別情報が含まれている。
【0050】
先ほどと同様に、サーバ10の制御部12は、店舗クライアント20から曲データの送信要求を受信したか否かを判断している(S214)。受信した場合(S214でYES)、制御部12は選択された曲データをHDD11から取得して、店舗クライアント20Aに送信開始する(S215)。店舗クライアント20Aの制御部21は、曲データをサーバ10から受信すると、再生部24AにBGMとして店内にて曲データを再生させる(S117)。
【0051】
以上のように、サーバ10は、店舗クライアント20毎に現在再生している曲とその再生位置をリアルタイムに管理することができる。
【0052】
図8は、商品をテイクアウトで購入した客が、購入した店舗で現在再生されているBGMを自宅で家庭内クライアントを利用して聴く際の、家庭内クライアントの処理を示すフローチャートである。図9は、図8に対応するサーバ10の処理を示すフローチャートである。
【0053】
家庭内クライアント30Aの制御部31Aは、インターネット経由でサーバ10に接続し、メモリ32Aに予め格納されている顧客識別情報をサーバ10に送信する(S121)。サーバ10の制御部12は、家庭内クライアント30Aと接続し、家庭内クライアント30Aから顧客識別情報を受信して、メモリ13に一時的に保存する(S221)。制御部12は、顧客情報テーブルから、受信した顧客識別情報に対応付けて登録されている店舗名(および/または店舗識別情報)と、残り再生可能時間とを読み出して、店舗リストを生成し、家庭内クライアント30Aに送信する(S222)。
【0054】
例えば、図4の顧客情報テーブルにおいて、受信した顧客識別情報が顧客ID1であれば、図10に示すような店舗リストが生成される。つまり、店舗リストには、現在店舗で再生しているBGMと同じBGMを家庭内クライアント30Aで再生することが可能な店舗名、および、その残り再生可能時間の一覧を含む。図10では、A店が再生中のBGMを24分50秒間再生可能であり、B店が再生中のBGMを33分10秒間再生可能であり、F店が再生中のBGMを40分20秒間再生可能であることを示している。
【0055】
家庭内クライアント30Aの制御部31Aは、店舗リストを受信すると、メモリ32Aに保存し、図示しない表示部に表示させる(S122)。制御部31Aは、客による図示しない入力部の操作に応じて、店舗リストから店舗が選択され、決定ボタンが選択されることによって、再生指示が入力されたか否かを判断している(S123)。入力された場合(S123でYES)、制御部31Aは、選択された店舗の店舗名(又は店舗識別情報)をサーバ10に送信することによって、選択された店舗で現在再生している曲データの送信をサーバに要求する(S124)。
【0056】
サーバ10の制御部12は、家庭内クライアント30Aから店舗識別情報を受信することによって曲データの送信要求を受けたか否かを判断している(S223)。受信した場合(S223でYES)、制御部12は、再生曲管理テーブルから、受信した店舗識別情報に対応付けて登録されている再生曲識別情報と、再生位置情報とを取得する(S224)。そして、制御部12は、取得した再生曲識別情報で特定される曲データを、取得した再生位置情報で特定される位置から、HDD11から読み出して家庭内クライアント30Aに送信する(S225)。
【0057】
家庭内クライアント30Aの制御部31Aは、曲データをサーバ10から受信して、再生部31Aに再生させる(S125)。これにより、家庭内クライアント30Aでは、選択した店舗で現在再生しているBGMと同じBGMを再生することができる。
【0058】
サーバ10の制御部12は、曲データを家庭内クライアント30Aに送信するに従い、再生時間を計時することで、顧客情報テーブルにおいて、選択された店舗に対応付けられた残り再生可能時間をリアルタイムに更新する(S226)。つまり、図4では、顧客ID1の店舗Aに関して残り再生可能時間は24分50秒であるが、20秒再生した場合には、残り再生可能時間が20秒減算されて、24分30秒に更新される。
【0059】
そして、制御部12は、更新した残り再生可能時間の情報を家庭内クライアント30Aに送信する(S227)。家庭内クライント30Aの制御部31Aは、残り再生可能時間の情報を受信し、例えば図10の店舗リストに表示されている選択された店舗の残り再生可能時間を更新する(S126)。これにより、客はリアルタイムに残り再生可能時間を知ることができる。なお、サーバ10ではなく家庭内クライアントが自ら残り再生可能時間を計時してもよい。
【0060】
家庭内クライアント30Aの制御部31Aは、客による図示しない入力部の操作に応じて、再生を停止する指示が入力されたか否かを判断している(S127)。入力された場合(S127でYES)、制御部31Aは、再生停止指示をサーバ10に送信する(S128)。
【0061】
サーバ10の制御部12は、家庭内クライアント30Aから再生停止時を受信したか否かを判断している(S228)。受信しなければ(S228でNO)、S229に進む。受信した場合(S228でYES)、制御部12は、曲データの家庭内クライアント30Aへの送信を終了する(S230)。
【0062】
また、制御部12は、選択されている店舗の残り再生可能時間が0になったか(残存しなくなったか)否かを判断している(S229)。未だ0ではない場合(S229でNO)、S225に戻って、曲データの送信が継続される。0になった場合(S229でYES)、制御部12は、曲データの家庭内クライアント30Aへの送信を終了する(S230)。そして、制御部12は、顧客情報テーブルにおいて、残り再生可能時間が0になった店舗識別情報を削除するよう更新する(S231)。
【0063】
以上の処理によって、家庭内クライアント30では、テイクアウトで商品を購入した店舗で現在再生しているBGMと同じBGMを再生することができる。従って、店舗は、客にBGMを提供することができ、かつ、テイクアウトの客数を増加させることで回転率を高め、利益を増加させることができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。顧客クライアントは、家庭内に設置される家庭内クライアントに限定されず、ポータブルオーディオ機器や携帯電話等の可搬型のものでもよく、公共施設に設置され顧客識別情報を入力可能な公共クライアントであってもよい。コンテンツを蓄積するコンテンツサーバと、図2〜図4のテーブルを管理する管理サーバとが別個に設けられてもよい。また、店舗クライアント及び店舗端末がそれぞれ1つしか存在しない場合には、あえて店舗識別情報をサーバで管理する必要がない。従って、顧客クライアントが店舗を選択する必要もない。サーバ10、店舗クライアント20、店舗端末25、家庭内クライアント30の上記各動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、飲食店等の店舗に関連するコンテンツ再生システム等に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0066】
10 サーバ
20A、20B 店舗クライアント
25A、25B 店舗端末
30A、30B 家庭内クライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバに接続可能な1又は複数の店舗クライアントと、前記サーバに接続可能な1又は複数の店舗端末と、前記サーバに接続可能な1又は複数の顧客クライアントとを備え、
前記サーバが、
前記店舗クライアントにコンテンツを送信する第1コンテンツ送信手段と、
前記店舗クライアントを所有する店舗の店舗識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントが現在再生しているコンテンツの識別情報を管理する再生コンテンツ管理手段と、
前記店舗端末から送信された顧客識別情報と商品購入履歴情報とに基づいて、前記顧客クライアントの所有者である顧客の顧客識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報を管理する顧客情報管理手段と、
顧客識別情報を送信してきた前記顧客クライアントに、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記権利情報に基づいて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する第2コンテンツ送信手段とを有し、
前記店舗クライアントが、
前記サーバからコンテンツを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信したコンテンツを前記店舗内にて再生する第1再生手段とを有し、
前記店舗端末が、商品を購入した顧客の顧客識別情報と、商品購入履歴情報とを前記サーバに送信する購入情報送信手段を有し、
前記顧客クライアントが、
顧客識別情報をサーバに送信する顧客識別情報送信手段と、
前記サーバからコンテンツを受信する第2コンテンツ受信手段と、
受信したコンテンツを再生する第2再生手段とを有する、コンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記顧客情報管理手段が、前記顧客識別情報に対応付けて、顧客識別情報と商品購入履歴情報とを送信してきた前記店舗端末を所有する店舗の店舗識別情報と、当該店舗識別情報で特定される店舗が所有する前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報とを管理し、
第2コンテンツ送信手段が、顧客識別情報を送信してきた前記顧客クライアントに、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記権利情報に基づいて、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記店舗識別情報で特定される店舗が所有する前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記権利情報が、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な残り再生可能時間である、請求項1または2に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
前記店舗端末または前記サーバが、商品の購入金額に基づいて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な残り再生可能時間を決定する、請求項3に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ再生システムにおけるサーバであって、
前記店舗クライアントにコンテンツを送信する第1コンテンツ送信手段と、
前記店舗クライアントを所有する店舗の店舗識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントが現在再生しているコンテンツの識別情報を管理する再生コンテンツ管理手段と、
前記店舗端末から送信された顧客識別情報と商品購入履歴情報とに基づいて、前記顧客クライアントの所有者である顧客の顧客識別情報に対応付けて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを再生可能な権利情報を管理する顧客情報管理手段と、
顧客識別情報を送信してきた前記顧客クライアントに、前記顧客識別情報に対応付けて管理されている前記権利情報に基づいて、前記店舗クライアントで再生しているコンテンツと同じコンテンツを送信する第2コンテンツ送信手段とを備える、サーバ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ再生システムにおける店舗クライアントであって、
前記サーバからコンテンツを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信したコンテンツを前記店舗内にて再生する第1再生手段とを有する、店舗クライアント。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ再生システムにおける店舗端末であって、
商品を購入した顧客の顧客識別情報と、商品購入履歴情報とを前記サーバに送信する購入情報送信手段を有する、店舗端末。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ再生システムにおける顧客クライアントであって、
顧客識別情報をサーバに送信する顧客識別情報送信手段と、
前記サーバからコンテンツを受信する第2コンテンツ受信手段と、
受信したコンテンツを前記家庭内にて再生する第2再生手段とを有する、顧客クライアント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−83927(P2012−83927A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229181(P2010−229181)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】